平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月9日

(令和2年10月9日(金) 11:35~12:07  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 私からはまず、既に田村大臣、河野大臣の方からお話があったかと思いますが、昨日の2プラス1について御報告をさせていただきます。
 内容はオンライン診療とか、診療報酬支払基金のシステム等に関することであります。まず、オンラインの診療については安全性と信頼性をベースに、初診を含めて原則解禁していくこと。また、診療は電話ではなく映像を原則化することを確認いたしました。その際、私から田村厚生労働大臣に、来年3月からスタートするオンライン資格確認、オンライン診療での患者や医師の本人確認に関してマイナンバーカードやHPKIカード、このHPKIというのは医師の資格を電子的に証明するカードでございます、など電子的な方法で行うこと。また、実は社会保障に係る国家資格というのは全部で30あるわけですが、これも同様のマイナンバー制度の中で資格確認ができるような環境整備を急いでほしいということをお願いさせていただきました。
 これから社会保障の分野、医療も含めて電子化をしていくときに、どうしても、いろいろな資格を持っている方々の身分を電子的に証明できる社会が望ましいだろうということですが、そういう方向で検討を開始していただかないといけないと思います。その契機になるのは今回の健康保険証のオンライン資格確認ということでありまして、併せてこの顔認証のカードリーダーというものをできるだけ多くの医療機関に持ってもらいたいということで、本件に関しては全ての医療機関にできるだけ早くという面でいうとまだ不十分な点がありますので、このこともまた追って厚生労働省の方にはお願いをさせていただこうと思います。
 さらに社会保険の支払報酬基金システムについては、ワンクラウドを最大限活用して、社会保険診療報酬支払基金を最大限効率化すること。これは既にIT室の方で大変力を入れまして、報酬支払基金のワンクラウドというものは見えました。ですから、それをうまく利用せよということだと思います。
 そして、併せて国保のシステムの刷新と標準化の検討について田村厚生労働大臣に申し入れました。国保に関してはステークホルダーが多いということと、システムが私の方から見るとどう見てもサグラダ・ファミリアみたいなものになっているので、これを何とかするというのは非常に大変なことだとは思います。しかしこのまま放置はできないと思っていますので、これから検討を開始していただいて、最終的には要するに制度変更に強い簡素なシステムに変えていくべきだと思っています。まず2プラス1については以上です。
 来週に関しては、これはまだ日程等々、最終調整ができておりませんが、小此木大臣に来ていただいて警察関係の電子化等々がいろいろ進んでおりますし、運転免許証等の資格確認等々の話とかシステムのワンクラウドの話も同時進行で、今進んでいますので、その辺の情報共有をできればいいなということをお願いをさせていただいております。
 2つ目は、アイデアボックス、以前説明をさせていただきました、広くこのデジタル庁やデジタル化について意見を求めるというものですが、本日17時からウェブ版を公開させていただきたいと思います。
 アイデアボックスは生活者、事業者の皆さんや、IT業界の皆さん、自治体職員、省庁職員の皆さん、幅広い国民の皆さんより幅広く御意見やアイデアを募集するサイトです。これは是非マスコミの皆さんにも御意見をお寄せいただければと思います。
 ウェブ版はデジタル改革アイデアボックスで検索いただくとアクセスできるようになっておりまして、募集期間は3週間程度を予定しています。デジタル社会の形やデジタル改革の進め方等について、皆様からの率直な御意見やユニークなアイデアを投稿していただきたいと思います。
 特にIT基本法の改正や、デジタル庁の創設に向けた議論、これは非常に重要だと思います。来週中にスマートフォン対応版も公開する予定ですが、今のウェブ版でもスマートフォンで見ていただけると思っておりますし、これはライン、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムの4つのSNSアカウントとも連携しています。ですから、ぜひ皆様方にも参加をしていただきたいと思います。既にお手元にはデータで配布資料をお届けしていると思いますので、御参照いただければと思います。
 3つ目は、デジタル改革関連法案準備室について、以前より民間からの人材を加えて多角的な検討を図りたいと申し上げておりました。本日より内閣官房のサイトにおいて、情報通信技術(IT)戦略調整官10名の公募を開始いたします。私の記者会見が終わり次第サイトオープンということでございまして、公募の詳細についてはIT総合戦略室にお問い合わせをいただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)アイデアボックスについてお伺いします。事前に配布していただいた資料の中で、ただアイデアを募集するだけでなく、共有・議論をしていただく場としてといったような一行が含まれています。大臣として今回設置されたアイデアボックスがどういったようなプラットフォーム、どういったような場になることを期待されているかお聞かせください。
(答)世の中の関心が非常にデジタル化とか、デジタル庁に集まっていますので、これはいろいろな意見をお持ちだと思います。そういう一般の国民の方々とか、意見も今回非常に重要だと思っていて、デジタル化というのが他人事のように思われては困ると、社会全体のデジタル化が進んでいくといろいろなことが変わっていくんだということを、それぞれの立場で想像力を働かせていただいて御意見をいただければと思います。
 今回コロナで大変、密がだめ、人との接触はだめということで御不便をおかけしていると思います。そういう皆さんの前向きなウィズコロナに対する前向きな現場の御意見みたいなもの、それを拾って、こちらの方でそういうものに対する意見も出していきたいと思っています。
 ITの専門家の皆さんからは、やっぱり政府システム等々の大幅改修となりますと、これはもう相当な作業だということを理解していただいている方も多いので、その手順ははっきり言って、今までの現行のシステムを変えるよりも大変だと思うので、そういう経験のある方々から注意事項等々の建設的な御意見もいただきたいと思うし、そういう意味では、いろいろなテーマがあろうかと思います。そういうものに対して我々は全部チェックをさせていただいて、答えも導いていきたいと思います。
(問)一昨日、大臣が出演されたネット番組で、IT基本法の改正の議論で年齢、所得、あと障害、こうしたところを一種の権利として書き込むことを検討したいとおっしゃっていたんですけれども、今の時点のIT基本法の改正の検討状況をお伺いできますか。
(答)IT基本法の改正に関して言うと、始まったばかりなんです。御覧になった番組はWEEKLY OCHIAIですかね。あの時に、このIT基本法の改正というのは今回着手するというわけではなくて、実は自民党のデジタル社会推進特別委員長としては、1年以上をかけてベースのアイデアはもう作っていました。その中で、アクセシビリティという問題と誰もが取り残されないような社会を作りたいということや、格差というものをできるだけ作らないようにしたいということが、その時の議論もありました。
 まず、例えば高齢者に対しては、デジタル機器とかサービスの利用方法について身近な場所で相談学習を行えるようにする仕組みが有用だと考えていますし、やがて間もなくデジタルネイティブ世代が社会の大半を占めるようになることを踏まえれば、経済的事情等に起因した利用の格差が生じてはならないと認識をしています。
 さらに、デジタル機器のサービスへのアクセシビリティの確保によって、例えば視力の低下した高齢者や障害や難病のある方の社会参画が可能になると考えていて、全ての国民がデジタルの恩恵を最大限享受できて、それぞれが幸せな生活を送ることができるような方向、それを改正IT基本法の中には当然入れていかなくてはということになろうかと思います。
 アクセシビリティの確保というのは以前から入れるべきだと考えておりまして、今度できるワーキンググループでもここは議論をしていただこうと思っています。
(問)オンライン診療の関係でお伺いします。新型コロナ禍ではインターネットを使えない地方の高齢者などへの配慮から、初診の電話診療も対象に含めていましたけれども、現在厚労省ではコロナ収束後にこれを見直す方向で検討しているようです。この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)今の時代ですから、電話ではなくてまず映像を含めたものを原則化してほしいということで、基本的に話をしました。電話では、緊急時はやむを得ない面もあると思いますけれども、やはり例えば声だけを聞いて判断できるものというのはやっぱり限りがあるのではないかと。つまり、できるだけ情報が多いほうが間違いない診断や診療ができるということで、電話だけというよりは、さらに一歩進めて情報量が増えるわけですから、そのようなことができる、今、時代になっていますので、映像を含むということを原則化していこうと、昨日の2プラス1では話し合いをさせていただきました。
(問)そもそもネットが使えない高齢者への配慮というのから始まったということだと、先ほどの誰もが取り残されない社会という面でいうと、電話をやめてしまうと、もちろん、おっしゃっていることは映像を原則としてというのはわかるんですけれども、この電話の部分をやめるというのはネットを使えない人への対応ということにはどうなんでしょう。
(答)ですから、これは原則という言葉を使わせていただいているのはそこで。例えば本当の緊急時で、致し方ない場合には当然そういうこともあると思いますが、映像も含めたものできちんとアクセスできるような環境を整えていくということも、このIT基本法の中の主旨からいえば当然そういう形になっていくということなので、社会全体のインフラをもう一段上げていくということになろうかと思います。
 ただ、全てのことはそうなんですけれども、現状が全部そういうところに手が届いているかというと届いていないので、そういう広い意味でのインフラの整備を急がなくてはいけないと考えています。
(問)冒頭の御発言で社会保障の国家資格等を電子的に証明できる社会が望ましいとおっしゃっていらしたんですけれども、電子的に証明した先にどういう社会ができるのが望ましいとおっしゃっているのかというところをもう少しお願いします。
(答)つまり今の場合は、例えばそれぞれの皆さんがどのような資格を持っているかということは余り気にされていないというか、本人の自己申告ベースだと思います。ただし、そのためには、やはりその医療機関であったりその施設であったりは、その人のことを雇用して使っているということだと思うんですが、本来望ましい姿というのは、医者とか看護師とか介護士とかがその個人のいろいろな状況等々に関して適切な情報共有をした方が現場の仕事が非常にやりやすくなるのは当然です。今、その情報共有をする時に、資格に応じてアクセス制限をしたり、情報共有をしたりということがデジタルの世界ではまず基本的には可能だと。
 そういうことも考えると、今後さらに遠隔でいろいろなことをやろうとしたときに、それぞれのスペシャリストの皆さんが力を合わせてとか、そのときのそれぞれどういう国家資格を持っておられるのかということに関して、データベースを持っている方がその人の資格を証明するというのが一番正しいわけです。そういう社会というのはやはり安全、安心でなおかつ便利という社会につながると考えているので、今は紙の免状でどこにあるかわからないとか、昔とったコピーとか今まで信頼に基づく社会でした。しかし、デジタル社会では、そういうものも含めてさらに厳格な運用が必要なのではないかと考えているということです。
(問)その時は何かシステムを作るのか、やっぱりマイナンバーカードみたいなものとの連携というのは考えていらっしゃいますか。
(答)全て、それはマイナンバーカードでできるようにしたいということで。今回の健康保険証のオンライン資格確認がその第1弾で、医師の方はHPKIという独自のデータベースを既に開発して、今は2割を超える程度の所有率だと聞いていますが、そのHPKIとマイナンバーカードも連携させようと考えています。
 そのほか、独自のデータベースを電子化してカードを発行するというのは費用負担もかかりますので、現行の資格のデータベースとマイナンバーカードのチップとの連携で資格が確認できるようにと。これは恐らくその医療の分野だけではなくて、今、運転免許証の話も進んでいますが、例えば教員免許であるとか、いろいろなものにつながっていくだろうと考えます。これは順次社会の要請に沿ってそういうことを進めていくということが必要なのではないかと考えています。
(問)量子暗号通信の件で伺いたいんですけれども。東芝が来年度にも事業化するという報道が流れていたんですけれども、東芝に関しては既にゲノム情報の伝送に通信技術を利用するシステムを世界で初めて開発することなどもやっていますけれども。改めて大臣はこれまで量子技術のイノベーションの創出に向けていろいろと戦略にも関わってきた部分があると思うんですけれども、今の量子暗号における日本の立ち位置とデジタル改革の側面から政府が果たすべき役割について、改めて伺えればと思います。
 これまで量子拠点の形成であったり、重点領域の設定とか、いろいろと問題提起はされているかとは思うんですけれども、改めてお聞かせください。よろしくお願いします。
(答)所管は井上大臣なので、私は答えようと思ったら答えられるんですけれども、答えていいのかどうなのか迷うところがあるので。前回の大臣の時には担当していました。それから1年間空白があるので、今の量子暗号、東芝さんなんかが非常に進んでいることもよくわかっておりますし、量子戦略の方も作らせていただいて拠点も形成するということは当時私が大臣の時に作ったものです。ただ、その後1年間どう進んでいるかは今、フォローアップしていませんので、それはぜひ井上大臣に御確認いただければと思います。
(問)データ戦略についてお伺いいたします。先日の官房長官の会見で政府としてデータ戦略を策定すると発言がありましたが、改めてどういった体制でどんなことに主眼を置いて作られていくのか教えてください。
(答)官民のデータ活用基盤を整備していくという観点から、デジタル・ガバメント閣僚会議の下に有識者及び関係省庁からなるデータ戦略タスクフォースを設置する方向で調整を進めているということです。
 データ戦略の内容としては、例えば法人とか土地など、他の分野でも頻繁に参照される社会の基本的な情報、これを我々はベースレジストリーと呼んでいますが、その在り方、これをきっちりやっていくこと、また様々な分野をまたいでもそのデータの流通を容易にすること等々を想定しています。
 こうした改革はスピード感を持って行うことが必要と考えておりまして、またこれはデジタル庁の一部機能にも関わることでもありますので、年内に大きな枠組を作ることをめざしたいと考えております。
(問)これと、毎年まとめているIT戦略とは別になるものですか。
(答)IT戦略とは整合性がとれるような形で進んでいくと考えます。
(問)データ戦略で関連して教えてください。これ、デジタル庁の方の基本方針も年内にまとめるということだったんですけれども、そのデジタル庁でデータも扱うとすれば、これはリンクしてくるものなんでしょうか。それとも全く別……。
(答)当然リンクすると思います。このベースレジストリーの話はやっぱりシステム構築の基本のところなので、これはデジタル庁が全くノータッチというわけにはいかないので。これはイメージですよ。データに関するオーソリティーをデジタル庁の中にやっぱり用意する必要があるのではないかと考えています。
 基本的なベースレジストリーのあり方とか、データの使うルールであるとか、また分野ごとのカタログであるとかというようなものは、どこかで誰かがきちんと管理していかなくてはいけないと考えると、その機能をデジタル庁に持たせるかどうかということも、今、検討しているということですので。データ戦略というのは、成長戦略の中でデータが石油の次に来るものだということをずっと言われている中で、データを使って成長戦略を描く、データを使って新しい価値を作る等々に関して、これは常にずっと議論し続けなくてはいけないことだと思っています。ただ、この年内にということで言いますと、デジタル庁との関わりの中で基本的な考え方は整理しておきたいということです。
(問)オンライン診療の方でお伺いしたいんですけれども。日本医師会の方では、オンライン診療を進めることによって、地方の患者さんが都市部のオンラインで受けることによって、逆に地方の地域医療が衰退して、いざ本当に面会での治療が必要な人たちが受けられないというような医療崩壊の懸念を示しているんですけれども、今回は推進する立場として、その辺の地域医療の崩壊の懸念はいかがお考えでしょうか。
(答)まずこれは安全性と信頼性をベースにということの中に当然医療崩壊等々に対する懸念というものも含まれるのかもしれません。
 私自身は、例えばかかりつけ医の皆さんがこのオンライン診療を使うことによって、今より非常に前向きに患者さんとのアクセスができると考えています。ですから、これはよくよく話し合いをすれば、恐らく医師会の皆さんもこの安全性、信頼性という中には医師と患者の信頼というものも非常に重要なので、地方のそういう医師の皆さんにとっては言わばチャンスではないかなと私自身は思っています。
 ここはこれから十分な意思疎通が必要なところで、田村厚生労働大臣も同じような考え方なのではないかと昨日感じました。
(問)来週の土曜日の17日から靖国神社の秋の例大祭が始まります。大臣は参拝の御予定がありますでしょうか。もしくは参拝しなくても真榊の奉納の御予定などはございますでしょうか。
(答)参拝の予定はありません。真榊についてはまだ決めていません。毎年出していたように思うんですけれども、確認をさせてください。
(問)来週の2プラス1の警察関係の件なんですけれども。8,200万人の免許保持者を持って、国民生活に、大変影響があると思います。オンライン講習も期待されているところなので、今はどんなところに注目しているか、興味があるかということをお話しいただければと思うんですが。
(答)まず、今、警察の方々がシステムの見直しに関して非常に積極的なスタンスで取り組んでおられます。ですので、47都道府県に合ったシステムをさらに効率化、そして利便性の高いものに変えていこうということで、IT戦略室とは長い間いろいろな議論をして、方向性はもう決まりました。
 それは追ってまた御報告をさせていただきますが、システムが新しくなるということは、そこで単にコストダウンを図るということだけではなくて、要するに国民の利便性が上がるということも当然あるわけで、そういう中身についてこれから議論をさせていただこうと考えています。
 そういうことで、システムを見直すことと効率性と利便性を上げていくということで、恐らく国民に還元されるアウトカムが実現できるのではないかと考えています。
(問)今日公開されるアイデアボックスについてですけれども、前々回の会見で、項目ごとに分けて混乱を防ぐという主旨の発言もあったかと思うんですが、具体的なことをお教えいただければと思います。
(答)テーマとしては生活者、事業者の声とIT業界の声、自治体職員の声、省庁職員の声、その他あると思うんですが、今のような区分けで考えています。
(問)では、このいただいた資料に書いてあるテーマに分けているということですか。生活者、事業者という感じで、大まかに……。
(答)そうです、はい。
(問)その小分けは、特にはないという感じですか。
(答)すいません、そこは私はわかりません。詳細は事務方に聞いてください。

(以上)