平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月6日

(令和2年10月6日(火) 11:07~11:34  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 私の方から2点、まず御報告させていただきます。まず、先週金曜日に、河野大臣と萩生田大臣とオンライン教育に関する意見交換第1回目をやりました。GIGAスクール構想により、1人1台端末の配備が進んでいく中で、授業の質の向上を目指すために必要な規制改革や、学習データを活用した生徒一人一人に個別最適な学習の実現に向けた意見交換でありましした。
 特に私からは、GIGAスクール構想により、1人に1台の端末が配備されることを前提に、教科書については原則デジタル教科書にすべきではないか。また、それに伴う現行の教科書制度の見直しを提起させていただきました。例えば、今、学習用のデジタル教科書を使用できる授業時数の制限、各教科等の授業時数の2分の1に満たないことが告示、要するに2分の1を超えちゃならないという告示があるんですが、私から見ると、これはもう全くナンセンスだと思います。また、デジタル改革担当大臣として、これは文部科学大臣の方から私に問題提起があったんですが、全国学力学習状況調査のCBT化、Computer Based Testing、要するにコンピューターで実施するテストのことですが、実現する上での方策の提案や、例えば、学習データや学校での健康診断のデータなどを、個人が活用できるための条例等の課題について宿題をいただきましたので、前向きに検討していきたいと思います。
 各大臣とこのような議論を重ねていくことで、教育分野のデジタル化が進んでいくと確信しておりますし、今のままでは、次の時代に中心的に活躍していただける人材を育てるのは難しいだろうと。ですから、早くこのデジタル化を進めたいと思います。
 そしてもう一つ、私の方からは、これはIT担当大臣としてon-goingでやっているいろいろなプロジェクトの中で、一定の成果が出たものについて御報告させていただきたいと思います。今日配付資料を、ちょっと分厚いんですが、こういう紙で配るのは今日限りにさせていただこうと思っています。これからはデータでお渡しするというふうにさせていただきますが、これは保育所入所申請のオンライン活用ということで、その資料には、できている自治体、できていない自治体というのを一目瞭然になるように書いてあります。これはもうできるだけ早く全ての自治体に取り組んでもらいたいと思っているんですが、来年4月からお子様の保育所への入所を希望される方の入所申請受付が、多くの自治体においてこの10月に行われます。今年は新型コロナウイルス対策の観点から、三密を避ける上でも、マイナポータルからのオンライン申請を積極的に御活用いただきたいと考えています。
 令和2年6月30日時点で、1,564自治体においてマイナポータル上で子育て関係のサービス検索が可能となっており、保育所の入所申請については、521自治体においてマイナポータルからオンライン申請が可能となっております。
 オンライン申請には、申請する親御さんなどのマイナンバーカードが必要になりますが、マイナンバーカードをお持ちであれば、子育てや仕事に忙しい子育て世代の方々がわざわざ窓口に出向かずとも、休日や夜間でも申請が可能となって、スマートフォンで手続を完結することが可能となっています。申請にはもちろんはんこは不要ですし、勤め先が作成した就労証明書の電子データをメール等で受け取って、申請時に添付していただければ、皆さんの負担も軽減になると考えています。
 これは今、IT室の方で引き続き前に進めておりますので、また詳しくはお問い合わせいただければと思います。私としてはもう全ての自治体が早く対応できるようになってほしいと、そのように思っています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)萩生田大臣との面会で、教科書のオンライン化を提言されたということですけれども、萩生田大臣からそれに対してどういう反応があったんでしょうか。
(答)もちろん前向きに検討したいというお話をいただきました。1人1台のパソコンを配る以上、ここはもうデジタルファーストでやってもらわなきゃ困るし、多分それは時代の要請だという共通認識をやっぱり持っておられました。
(問)今の質問に関連しまして、大臣としては、教科書をデジタル化することでどのようなメリットがあるというふうにお考えでしょうか。重複する部分もあるかと思いますがお願いします。
(答)まず、端末に慣れてもらいたいというのは、海外とのいろいろな共通テストみたいなものは、紙でやるというケースはほぼありません。そのときにハンデを背負っているということもあると思いますし、これから、今、紙の教科書を単にデジタル化する段階を経て、さらに教科書の中身が時代に即したものに変わっていくのではないかと思っていますし、教科書を何冊も抱えて移動するよりはPC1台で移動したほうがいいでしょうし、明らかに効率性というようなものを考えても生徒にとってプラスだろうと考えています。
(問)関連してお伺いします。教科書をデジタル化する上で、今、授業時数の話だとかを大臣おっしゃったかと思いますが、今後、もし実現をするとすれば、最もハードルになるなと今考えていらっしゃる部分があれば、お教え願います。
(答)さっき言ったように、文部科学省の告示で、教育上また健康上の理由から、2分の1を超えてはならんという告示があるということ。あとは、価格の問題があると思います。この問題を、やはり紙より数段高くなるというようなことは、我々から見るとちょっと考えられないんで、このハードルは何とかしなくてはいけないというふうに考えています。
(問)関連ですけれども、萩生田大臣はこの閣議後会見とかで、よく小中義務教育でのオンライン授業には慎重な発言を繰り返しているんですけれども、今回の2プラス1ではそのあたり何かお話されたりしていましたか。
(答)義務教育課程のオンライン化に消極的な発言をされているとは私はちょっと思えないのは、GIGAスクールというのは、小学校・中学校にPC・タブレットをやるということですから、要するに、それを配って、恐らくその機器を家で使おうがどこかに持っていこうが原則オーケーというようなこともお話しになったはずなんですね。
 つまり、結局全てオンラインではできないと。子供の社会性とか集団生活等々、いろんな成長期の子供たちにとって必要なことは、当然対面、集団行動、学校に行くということであるんですが、それを、やはりハイブリッド型に変えていくということに関しては、これは別に反対をされているということではないと理解をしています。
 ただ、そこで例えば、オンライン教育に先生が立ち会わなきゃいけないと、受け手側の方ですね。このようなものは、やはり他の、教師でなくても親でも十分果たせるし、果たしてそのオンライン教育に立ち会うという意味、それは一体何かというようなことも議論をさせていただきましたが、ここは河野大臣の方からも問題提起がありまして、オンライン教育というものを、今回のGIGAスクールを思い切った予算をつけて進めているという状況から考えて、このコロナ禍の緊急事態宣言下の特例としてだけ見るということではないだろうと。ですから、ニューノーマルというものが、新しいハイブリッド型の、デジタル教育と今までの教育というものの組み合わせでできるのではないかと考えています。
(問)デジタル教科書に関してお伺いしたいんですけれども、まずGIGAスクール構想について、1人1台を前提にということだったんですが、この原則化のスタートの時期は、1人1台が達成した時期ということなのか、それとも来年度とかめどがあるんでしょうか。
(答)1人1台に、やっぱりPCなりタブレットが行き渡ることが前提だと思います。そうでなければ当然デジタル化に、デジタルファーストはできないわけで、学習環境の整備がまず前提になるということです。
(問)対象は小中の義務教育の学校になるんでしょうか。
(答)高校・大学に関して言えば、相当デジタル化というのが進んでいます。通信制の学校の生徒が随分増えておりますし、大学なんかは、休校してほとんどオンライン授業ということですから、要は、一番重要な点は、公教育課程におけるデジタル化をどう考えるかということではないかと思います。
(問)授業時数の制限、2分の1など、いろいろこの先まだ突破しなきゃいけないことがあるかと思うんですけれども、例えば学校教育法とか必要な法改正もあるのか、そういったものは、例えば次の通常国会とか視野に入れているのかはいかがでしょうか。
(答)それは文部科学大臣、文科省の方で御検討いただくということになると思いますが、我々は法律以外でデジタル化を進める上で障害になりそうなものがあった場合、例えばインフラの状況であるとか、あとは回線の容量みたいなものとか、そういうことに関して、またシステムの全体のアーキテクチャーみたいなものが、例えば、一斉テスト等々で不具合があるなら、それを改善するような方策をお手伝いしたいと思っています。
 あくまでも最終的な判断は文部科学省にしていただかなければいけないと思うので、こちらの要望事項はきちんと伝えさせていただいた上で、そのようなことになろうかと思います。
(問)時期の話に戻るんですけれども、文科省の方では、この概算要求で全国の7割にデジタル教科書が行き渡るようにというので、実証実験的に予算を付けています。例えば、それを年末の予算編成までに、7割じゃなくて10割を目指せというような後押し、来年度からの変更みたいなのというのはあり得るんでしょうか。
(答)これは、今のGIGAスクールの進捗状況を見ながら適切に判断するということだと思います。
(問)関連してですけれども、これ、政治家のみの前回会合でしたけれども、今後は事務方も含めて具体的な方策等の検討に着手するのか、どんな日程感で検討を進めることになっているんでしょうか。
(答)それぞれの大臣が、事務方を交えていかに進めていくかという検討になると思います。あくまでも最初の問題をセットするときには、政治家だけの会合というやり方は、今後も続けていきたいと思います。
(問)マイナポータルに関連してなんですけれども、これは、子育てや介護などの行政手続のワンストップサービスということになると思うんですけれども、改めて、今回のコロナ禍で行政サービスのデジタル化の遅れというのも改めて浮き彫りになる一方で、地方自治体によって過疎化や財政難のあおりでなかなか人材や予算が不足してデジタル化が進みにくいというところもあります。そうした中で、一つ改めて大臣に伺いたいんですけれども、地方自治体のデジタル改革の旗振り役のお立場から、どのような障害を認識されているのか、それをどのように乗り越えていくのか、今度自治体もDX推進計画の策定の動きもありますけれども、その辺の関連について改めてお聞かせください。
(答)人、もの、金、全部ないというような自治体もあるし、長年地域で自治体のシステムを提供していたいろいろな会社もありますし、元々自治体同士がつながろうという発想がなかった上でシステムが作られていることの弊害もあろうかと思います。その意味で、総務省の方では、今度法律によって自治体システムの標準化を進めていこうということになっておりますし、我々としてはそういういうものを受けた上で、システムを含めて国と自治体の関係がどうあるべきかという全体のアーキテクチャーを今作っているところです。
 そういうアーキテクチャーを、市民にとって何がベストかという形で、今もう正に毎日検討させていただいているところで、2025年までという、一応年限が区切られておりますが、全ての自治体ということになりますと、なかなかこれは野心的なスケジュールだと思います。ただし、一度きちんとしたアーキテクチャーのもとに構成すれば、更新時期に合わせて最終的な全体最適化に進むことができるんだろうと考えています。
 自治体の皆さんには、それぞれの地域における政策の幅、例えば社会保障であるとかいろいろなものは、各自治体独自に利用しているものもたくさんあります。行政サービス、市民サービスという点で、正にそれこそが、その政策判断こそが、地方自治の本旨というものだと思っています。それを効率的に実現するためのシステムは、これは要するに、広く共通的に考えていくということで、今までよりも保守のコストが下がる、制度変更に強い、そして災害のときのバックアップができる等々のことを考えながら、そこは自治体のシステム、国のシステムのあり方を考えていくということになると思います。
(問)その際に、やはり政府が共通化できるシステムを開発したり、あるいはオープンソースとして仕様を公開するとかいろいろな手法があると思うんですが、その中で官民の連携みたいなところも出てくる可能性はあるんでしょうか。
(答)今、自治体ピッチというのをやっているのを御存知ですか。これはもう既に2年やっているんですが、ある自治体でうまく作った、例えば行政サービスみたいなものを、ウエブ上のピッチの形で発表して、それを他の自治体がそれを使うということを、もう既にやっています。ですから、それぞれが開発したものを横に広げるということは今までなかったんですが、そのことによって、開発費もトータルで提言することができるし、他の自治体で成功したよいアイデアだったら、そういうものはそこで抱えこむのではなくて、できるだけ多くの皆さんが使っていけるようなことをする。そういうようなことを今国の方で主導しているということだと思います。ですから、いいものはどんどん広げていけるようなことにしたいし、そういう流れで当然オープンソースというようなこともあると思います。
(問)先ほどの2プラス1に戻ってしまうんですけれども、厚労大臣との会談というのはもうセットされたんでしょうか。
(答)今週やる予定です。
(問)具体的な日程は決まっていないですか。
(答)今週どこかでやろうと思います。
(問)デジタル教科書のような、具体的なターゲットを、厚労大臣との会談ではもう設定されていますでしょうか。
(答)これ、ターゲットというのは、会ってみないと河野さんと田村さんそれぞれ皆さんお考えがあるというので、それぞれの考えをそこでぶつけ合いながらターゲットを決めていくということになろうかと思います。
(問)先週言及のあった、アイデアボックスの設置に向けた進捗状況と、いつどこに置くというのは決まっていますでしょうか。
(答)これ、2日の会見だったと思うんですが、アイデアボックスを設置すると発表したと思います。アイデアボックスは、専門家のみならず、自治体職員とか一般の方々、国民の皆さんから幅広く御意見やアイデアを募集するサイトということで、今週中にウエブ版を、来週後半にスマートフォン版を公開するということになっています。
 ちょっと今一ついけてなかったもので、急いで改修していてこうなってしまいましたが、ウエブ版でもスマホで見られますし、書き込めるんですが、募集期間は3週間程度を考えていて、デジタル社会のビジョンとか行政サービスに対する御意見、デジタル改革の進め方についてのアイデアを投稿していただくということです。
 この投稿は、メールアドレスとパスワードで、本人の名前を出さなくても投稿できるということでございます。テーマとして以下想定しているのは、デジタル社会に対する御自身の提案、また住民の声、自治体の声、省庁の声、またIT業界の方々からも広く声を求めたいと思います。そして、デジタル改革をどう進めていくのか等々、スタートさせたいと思います。
 これ、内閣官房に今までCIOポータルとかあったところで、あまり注目されていなかったサイトなので、果たしてこれがどうなるかはわかりません。ただ、ある程度多くの皆さんの御意見をいただきたいなと。また、そういうものも十分に、私はこの一般の方々の声というのが非常に重要な段階だと思っていますし、これは専門家だけで考えてはやっぱりだめだと思っていますので、できるだけ多くの皆さんにお声をいただきたいと思っています。
(問)公明党の山口代表が、デジタル庁の福島設置を提案されましたけれども、これをどのように受け止められましたでしょうか。
(答)今、準備室を立ち上げて、そのようなところまでまだ検討は全然していません。それの前にたくさんやらなくてはいけないことがあって、どんな機能を持ってどのようにしていくか、またデジタル庁の権能みたいなものですか、司令塔機能を果たすための法律的な規定とか考えているんですが、私自身は場所の問題はまだ全然考える段階ではないのかなと思っています。
 年内には基本方針を決める中で出てくるんですが、これはもう最初のアイデアの段階から、今の時代ですから、リモートワークというものはある程度やっぱり前提になる技術者の皆さんもいらっしゃるだろうと。そういうことですから、全員が全員、一つのビルに入って一緒に仕事をするということにはならない官庁になるだろうと。その程度しか今申し上げることはできませんが、場所は特段今具体的な検討をする段階にはなっていません。

(以上)