平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月2日
(令和2年10月2日(金) 11:02~11:32 於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)
1.発言要旨
30日、デジタル改革関連法案準備室を設置したことについて御報告を申し上げたいと思います。立ち上げ会には菅総理にも御出席いただきまして、「デジタル庁の創設は我が国社会経済活動を大転換する改革であり、この準備室で改革が始まる。出身省庁の省益を考えない、前例主義を考えない、そうした中で未来につながる改革に向けて取り組むよう」に御指示をいただきました。
デジタル庁の創設は政府として、これは私自身が感じて言っていることですけれども、スタートアップ企業を立ち上げるような感覚でスピーディに仕事をしなければならないと、そういう意味で準備室のコンセプトを「Government as a Startup」と、こういうふうにさせていただきました。
そして目指す社会というのは、「Government as a Service」と、国民を幸せにできるようなシステムを作っていきたいということだと思います。
私は準備室立ち上げ会の直後に、職員1人1人から直接自己紹介も兼ねて意気込みを聞かせてもらいまして、新しいコンセプトの下、ワンチームとなってこの改革を成功させたいと思っています。今後、年末の基本方針の策定に向けて「アイデアボックス」の設置、企業のヒアリングなどを通じて多様な声を聞きながら進んでいきたいと思います。もう既に各団体からのヒアリングはスタートしておりまして、これからも企業の皆さんからヒアリングをしますが、できるだけヒアリング、全てというわけにはいきませんがオープンにしたいとそのように思っています。
私からは以上です。
2.質疑応答
- (問)今、大臣がおっしゃったアイデアボックスについて、もう少し具体的にお伺いできますでしょうか。どの辺りに設置とかを含めてお願いいたします。
- (答)アイデアボックスですね。来週立ち上げようということで、テーマを決めて広く全ての皆さんからアイデアを募集するということで、うまく分けないとこちらも整理がつかないので、幾つかの項目に分けてアイデアを、来週、既に立ち上げる準備はしています。河野大臣のところのように何千件も来てにっちもさっちもいかないというようなことにならないように準備をしているということです。
- (問)関連して、このアイデアボックスは物理的なものではなくて、ネット上に投稿できるものということ。
- (答)はい、全てそのウェブから入ってもらってと考えています。
- (問)投稿する人というのはどういった方を想定していますか。
- (答)もう全ての国民、専門家も含めてということで考えております。
- (問)準備室についてなんですけれども、名称を「デジタル庁準備室」ではなく、「デジタル改革関連法案準備室」とした理由というのは何なんでしょうか。
- (答)意味に差はないんですけれども、当面一番重要なのが法律を作るということです。準備室のフロアにはIT戦略本部の職員の皆さんもたくさんいらっしゃって、まずは、新しく集めたメンバーは法案を中心として仕事に取りかかると。将来デジタル庁が実務としてやる仕事の幾つかの部分、多くは今のそれ以外のIT室の皆さんが既に毎日やっている仕事ですから、そういう意味で法案を主にやるチームということで法案準備室とさせていただきました。
- (問)通常国会で法案を出した後というのは例えば名称を変えるとか、何かそういう考えもあるのでしょうか。
- (答)どうなんですかね。あそこについている名前というより「デジタル改革Now Loading…」というロゴがあったと思いますが、多分あんな感じでいくんだと思います。
IT室のやっている仕事をどう整理して新しい庁の方に持っていくのかということもあるので、それはそれで仕事のアーキテクチャーではなくて組織のアーキテクチャーも今、別途取りかかっていて、そういう中で決めていこうと思っています。 - (問)2点お伺いしたいんですが、まず1点目は昨日発生した東証システムの障害の受け止め、これから進めていくデジタル改革に与える影響というのをどういうふう分析されていますでしょうか。
- (答)まず、株式市場という経済活動の重要インフラである東京証券取引所において、システムの障害によって昨日、終日にわたって全銘柄の売買ができなくなり、株式取引という重要な経済活動の機会が損失したことは誠に遺憾だということです。
同時にサイバー攻撃である可能性は低く、装置の故障によるものとの報道は承知していますが、いずれにせよ原因究明、再発防止等について金融庁においてしっかりとまずは検証がなされるものであると承知しています。
そしてこれから進めていくデジタル社会ということを考えたときに、世界の中で日本が取り残されないためにも、国民の皆さんの利便性の向上のためにも極めて重要なことであるので、それでひるむということはありません。そして、再発防止の検討がなされるということですけれども、これはあらゆるシステムというものは障害が起きる可能性があります。それにいち早く対応するBCPのプランというのは絶対に必要です。
ですから今回のように機械の故障で起きるケース、サイバーアタックで起きるケース、自然災害で起きるケース、あらゆるリスクを当然分析した上でシステムのBCPを社会全体で確保するという方向で進んでいきたいと思います。 - (問)もう1点なんですが、今日は萩生田大臣、河野大臣との3者会談が予定されていると思うんですが、念頭はオンライン教育になるかと思うんですが、どのようなテーマで協議されるのか。
- (答)これは協議してみないとわからないんですけれども、デジタル教育改革というテーマになろうかと思います。
- (問)これは要望になってしまうんですが、終了後にぶら下がり対応をしていただけないかと、これは要望で。
- (答)どうだろうね、難しいなこれ。政治家だけで事務方が全く入っていない会合なので、ちょっと2人と相談してみます、どうするか。その内容を踏まえて、河野大臣のようにはっきりと方針を示していかれるケースもあろうかと思いますし、できるだけわかりやすいテーマに対して3人で話し合おうと、細かいところまで事務方も入っていないので、そこで全て議論するというわけではなくて、方向感覚と物事に取り組む優先順位みたいなものはそこで十分に話し合いたいと思っています。
- (問)マイナンバーカードについてお伺いしたいんですが、2,500万枚のボリュームということで、民間の方との連携もこれから議論の俎上に上がってくるかと思うんですが、今、大臣がイメージされているものを具体的に幾つかあればお願いします。
- (答)まずマイナンバーカードというものの説明のやり方を少し修正を加えようかなと思っているのは、デジタル社会のパスポートという言い方を今までしています。その上でマイナンバーカードのICチップは鍵だという説明もさせていただきました。
その鍵がそれぞれの必要な時にデータベースでその人の情報にアクセスできるようにすると。カード自体はその鍵のキーホルダーだと説明するとわかりやすいのではないかと。鍵自体はチップに入っていますが、それを持ち運ぶためのホルダーがカードだと説明したら、今日、皆さん、後で反応を聞いてわかりやすいかどうか教えてください。
その上で、公的個人認証、この間LINEさんがeKYCよりもさらに本人確認の精度を上げるというようなことで、公的個人認証を使うというふうになりました。そうしますと、本人確認の精度を非常に上げなければいけないものに関していえば、マイナンバーカードを使うというケースが、これは民間の皆さんも相当に増えてくるのではないかと思います。
ですから、今後は考えられるのはフィンテックの世界であるとか、資金決済であるとか、マイナポータルを使って見られる情報というものもこれから充実していくということですし、健康保険証として来年3月からスタートをすると。将来といいますかまだいつかと決まっていませんが、運転免許証というようなことになっていますが、お尋ねの、民間との連携というのがおそらく一番国民にとって利便性が上がると思うんです。
エストニアの場合も行政手続よりは民間のサービス、特に金融関連のサービスにつながるということが一番の利便性としてカードの普及につながったと聞いています。ですから、そういう方向が一番おそらく望まれる民間サービスとの連携ではないかと思います。 - (問)そうすると今のところイメージされているのはフィンテックというか、金融市場での連携、本人確認のツールとして使っていただけるようになるんじゃないかと、そういうことでしょうか。
- (答)ですから、マイナンバーカードのICチップというのは遠隔で本人確認ができるということですから、金融に限らずこれはいろいろ広がってくると思います。
ただ、今までカードの普及が2割にも満たないという状況で、なかなか民間がそういうサービスに乗り出さなかったということはあるんですが、もう既に2,600万枚を超えるという段階になっていますので、恐らくこれからいろいろな御提案が民間からあるだろうと考えています。 - (問)今回の東証のシステム障害を教訓に、大臣は今後ともデジタル社会を考えたときに日本が取り残されないためにも重要なことで、ひるむことはありませんというお話があったんですけれども。それに関連して日本が取り残されないためには何が必要なのかという、その課題認識を1点お聞かせ願えませんでしょうか。
- (答)要するに、社会全体のやっぱりデジタル化によって、生産性を上げていくということは当然必要だと思います。そして、従来のやり方だとどうしても時間がかかったり、国民も足を運んだり、あとは企業もそのためだけに本来の仕事ではない部分で時間がとられたり。そういう、やはり時間が相当に有効に活用できると思っています。
それが新しい価値を生む源泉になり、経済活動につながり、日本の成長につながっていくという方向に導いていかなければならないと思います。 - (問)関連してもう1点だけなんですが、一方で今回富士通というところが絡んで、日本を代表するITベンダーだと思うんですけれども、日本のデジタル技術の信頼性を揺るがす側面も一方であるというところもあると思うんですが。今後、そういうサイバー攻撃ではないというところはあるとは思うんですけれども、リスクと隣り合わせにあるこのデジタル改革を牽引するIT業界、あるいはDXに関わる業界について、大臣としてどういう対応を期待して求めていくのか、これについても改めて課題認識についてお聞かせください。
- (答)セキュリティであるとかそういうことも含めて、常に研究開発等々に投資をして進んでもらいたいし、広く世界から人材を集めて、その自分のシステムの向上につなげてもらいと思います。
だから今回の富士通さんのアローヘッドも、堅牢性ということは99.999%以上の可用性の確保、これは5年間で10分程度の障害ということ。これは前のシステム構築の時に発表をされたことですけれども、何事も100%はないというのはデジタルの世界もアナログの世界もどこも一緒です。
ただこれは、常に新しい投資をしていないとこの堅牢性というものは下がってしまうという意味で、このデジタル化を進めるというのは光と影が当然あって、圧倒的に光の部分が大きいので全世界的に進んでいるわけです。影の部分に目をつぶるわけにはいかないので、そこに対するやっぱり投資というのは、これはコストではなくて次の社会への投資だということで、いろいろな会社が頑張れるような環境はやっぱり我々が作っていく必要があるんだろうと思います。 - (問)日本学術会議の問題についてお伺いします。政府の方では会議側から推薦があったメンバーについて一部を除外するという判断をされました。学問上の主張を理由にこういったメンバーの除外、初めて除外されるということが憲法で保障されている学問の自由に影響するんではないかと、侵害に当たるんではないかという指摘がありますけれども、内閣の一員として大臣を務められている平井大臣はどうお感じでしょうか。
- (答)このことについて、余りよく私は今、存じ上げません。1年前は担当する大臣だったんですけれども、今は所管していないので、官房長官が記者会見でお答えしたと認識しておりまして、特段私のほうからコメントする立場にないので控えさせていただきたいと思います。
- (問)所管する立場にないということなんですけれども、仮に学問上の理由で恣意的に人を選ぶということがまかり通れば、所管されている有識者会議であるとか、専門家会議の信頼性にも関わるのかなと思うんですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
- (答)事実関係は私自身よくわかっておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、日本学術会議の会員については最終的には内閣総理大臣が任命するということになっているので、それは適正な手続によって任命されるものだと認識しています。
- (問)今回の準備室、デジタル庁創設に向けてというのは政府、行政内部のシステムというところが一番優先順位としては高いのかなと思うんですけれども。それと同時に情報公開のあり方ですとか、あとは公文書などのデータベース化とかデジタル申請とか、そういうところも視野には入っていらっしゃるのかというのが1点と。あとは、情報のデータ化による公開であるとか保全のあり方とか、そういう運用面でも重要かと思いますので、オープンガバメントという観点からも平井大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
- (答)公文書の管理等については、担当大臣ではありません。それはそれで引き続きの議論をしていると思いますし、公文書の管理等々についてもデジタル化というものは当然進みます。デジタル化によるトレーサビリティであるとかそういうものは非常に有用だと思っていますので、担当大臣等々とも今後意識合わせをしていこうと思っていて、特段、デジタル庁でその部分に関して何をするということは今は考えておりません。
我々が、やっぱり一番重視しているのは今までできなかった縦割りのシステム等々。これははんこの問題でもそうなんです。はんこをなくそうといったときに、例えば電子決裁システムであれば、その省内での電子決裁というものであれば、ほぼほぼできるんですが、省庁を越えて決裁するものになった途端に電子決裁が機能しないというようなものは、正に縦割りの弊害が明らかだと思います。
ですから、そういうものをこれから環境を作っていくということで、それをどのような公文書の管理のルールを決めてやっていくかというのは担当セクションにお任せしたいと思っています。
デジタル化によって、基本的にはいつ、どこで、誰がその文書にアクセスしたのかということが明らかになると、タイムスタンプ等々によって改ざんということも防止ができるという意味で、デジタル化はあらゆる面で有用ではないかと考えています。 - (問)今も少しお話があったんですけれども、河野大臣が取り組まれているはんこの廃止といいますか、行政手続上のはんこを少しでも減らしていこうという取組について、河野大臣は既に三文判については減らしていけるだろうという御認識を示されていますが、一方ではんこがやっぱりどうしても必要だという、例えば銀行印ですとか、あるいは印鑑証明ですとか、こういったものについてデジタル化によって代替していけるとか、はんこ、押印をなくすということができる可能性についてどのようにお考えがありますか。
- (答)そこの部分に関していうと、押印をなくすこと自体が目的ではなく、迅速でセキュリティ度の高いいろいろな手続に電子署名であるとか、そういうものがどのように使えるかという観点から進めていきたいと考えます。
銀行印に関しても基本的には目視ということですが、果たしてずっとこのまま目視ということで、人がかりの目視ですからそれでいいのかどうなのか、さらにそういうもののセキュリティ度を上げていくためにはそれに代替する方法があるのではないかと、そんなふうに考えています。
あとはいろいろな会社登記のときの手続をさらに迅速化していくというようなこと。また、民民のいろいろな契約に関して電子証明書みたいなものをどのように有効に使っていくのか、そしてそういうものがまだハードルが高いと考えている中小企業、零細企業、個人事業主等に対してどのような手当をしていくのかということが私の問題意識です。 - (問)少し戻ってしまうんですが、2プラス1についてなんですけれども、これは今回1回ではなくて継続的にずっとそういう会合を重ねていくというふうに考えていいんでしょうか。
- (答)そのように考えています。
- (問)差し支えなければ、今日何時頃お会いになる感じですか。
- (答)午後のどこかで、今すぐ何時と言われても今はわかりません。
- (問)大臣は先ほどの民間のデジタル化について研究投資、次の社会への投資ということでいろいろな会社が頑張れる環境を作っていきたいという御発言がありました。
昨日、ブロックチェーン協会の方からの面会で「ブロックチェーンを国家戦略に」という提言もあったかと思いますけれども、大臣の中で今、この民間の技術だったり、ソフトウェアの開発を進める上でどういった具体的な施策やイメージをお持ちでしょうか。 - (答)ブロックチェーンの話ではなくて……。
- (問)ブロックチェーンの話も含めて民間の技術やソフトウェアというものを後押しする開発、後押しすることについて具体的にどのようなイメージをお持ちかというのを教えてもらえますか。
- (答)法律改正してSBIR法というのがもう施行されていると思うので、国は調達の中でそういうものを入れていくというのが1つあると思います。
デジタル庁で考えるとすると、一番日本の若い企業であるとか多くの方々が望んでいるのは圧倒的な使い勝手のよさ。これはまたUI、UXというとまた怒られてしまうんですけれども、そこは本当にいろんな企業の方々が取り組んでいて、日本の得意分野の1つでもあると思います。
そういうものを社会実装するためには今までハードルが高かった部分を何とか今回そういうものを実験的にでも導入するような、うまくいけばさらにそれを広げていけるような機能を持たせたいと、今、それも設計をしているところです。
ですから、大手ベンダーだけではなくて、いろいろなスタートアップ企業であるとか、新興企業とかが持っている皆さんの技術やアイデアを社会全体のデジタル化の中でどう生かしていくかというのも、デジタル庁の1つの大きなテーマだと思います。 - (問)冒頭でおっしゃったアイデアボックスは、幾つかの項目に沿って広くアイデアを公募するとおっしゃいましたけれども、具体的にどのような項目を想定されているのかと。
デジタル庁の長官の位置付けですけれども、次官級のポストとするお考えという理解でよろしいでしょうか。また、その場合に民間出身の長官が事務次官連絡会議、いわゆる次官会議のメンバーに加われるかどうかという疑問があるのですが、その辺りの課題についての御認識はいかがでしょうか。 - (答)まずアイデアボックスに関して言えば、まず行政サービスを変えると、利用者の皆さんがここは困るというようなことを求めたいと思います。
そしてあとはデジタル社会に対するビジョンに対してのいろいろな御意見、そしてデジタル改革の進め方も聞きたいなと思っています。今回は地方自体職員の本音の話とか、あとは国家公務員の本音の話も聴取できるようにしたいと思います。
長官のポストの位置付けに関しては、今、議論中でまだお話できる段階ではありません。
(以上)