平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月25日

(令和2年9月25日(金) 11:30~11:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 マイナンバー制度の担当ということで、今日第3回目のワーキンググループに初めて参加させていただきました。
 会議においては、具体的な議論として有識者から「トータルデザイン」の方向性とか、法務省から「読み仮名の法制化の検討」とか、総務省から自治体業務のシステムの統一、標準化の加速策」のそれぞれの説明がありまして、活発な意見交換がなされました。
 総理からはこのワーキンググループで取りまとめるデジタルトランスフォーメーションのための施策は、今後新設するデジタル庁を中心として強力に進めていく旨の御発言があり、その基本方針の策定に向け、私としても全力で取り組んでまいりたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、IT団体連盟の川邊会長と会談をされましたけれども、そこでデジタル庁について提案とかを受けたと思いますが、それについての受け止めと、大臣は会談の冒頭の発言の中で「5年ぐらいかかる」というようなお話をなさっていましたけれども、デジタル庁の成果が現れるのが5年程度というふうに私は理解したんですが、それでよいのかということ。そうであるならば、どういうふうなスケジュール感をイメージとして持っていらっしゃるのかお願いいたします。
(答)それは、私の説明の仕方が悪かったのかもわかりませんが、5年も成果を上げないデジタル庁では総理が許すはずがありません。ですから、IT戦略本部としては、デジタル庁が立ち上がるまでに幾つかの具体的な成果を上げたいと思っています。
 来年中にはデジタル庁を新設する。IT戦略本部でやっている仕事の多くをデジタル庁の方で引き継ぐということになりますから、そこは走りながらということになります。
 この5年という期間の話に関して言うと、今日の朝のワーキンググループでも地方自治体のシステム刷新の話等々があったんですけれども、各委員の皆さんからもやっぱり「5年はかかるね」というようなこと。そして標準化のための法務省が法制化を今回初めてやるんです。ですから私の今の感覚でいいますと国の基幹システム、独法の、例えば大きいシステムありますよね、年金システムほか、ああいう巨大システムをこれから新しい形に変えていくというのはものすごく大変なことなので、そういうものは絶対5年はかかりますよと。それは今の業務をそのまま動かしていくわけで。あと、地方自治体も予算とか今のシステムの現状から考えると、できる自治体から進んでいって、やっぱり5年ぐらいのスパンがかかるだろうということです。
 ですから、全てのプロジェクトに対して、いつまでにどういうことをやろうかというのは、これからデジタル庁ができたらきちんと管理をしていき、そのプロセスもチェックできるようにしたいと私は思っています。
 ネットでも5年もかかるのかと言われるんですが、システムの刷新という意味でいうと、5年かかるものもあれば、すぐにできるものもある。また、国民との接点という意味では制度改正も含めてすぐにできるようなこともあると。成果が早く出るものもたくさんあるし、慎重に進めていかないと成果が上がらないというものもあるし、最終的にそれで全体がきちんとしたアーキテクチャーになるかどうかということをデジタル庁できちんとチェックをしていくというのが私は一番重要な方向性ではないかと思っています。
(問)同じく、昨日の業界団体さんとの意見交換で、大臣は民間人材を積極登用したいという主旨の御発言がありましたけれども、月内に準備室も立ち上げられますが、いつ時点からどのぐらいの規模で活用されるというお考えがあるんでしょうか。
(答)今、定数とか予算とか、そういうのも別途検討をしているんですが、準備室にも当然、IT室には既に民間の方々がたくさんおられます。ですから、今の段階でいろんな方々のお力をお借りしています。また、有識者の皆さんにいろんなアドバイスや意見交換もさせていただこうと思っておりまして、最終的な、要するにデジタル庁としてスタートする時の雇用形態のある民間人というものは、そのスタートしてからの話になります。
 それまではいろんな形で民間の皆さんに御協力をしていただこうと考えています。
(問)先ほど官邸であった会議で、総理の方から今後5年間、令和7年度末までに必要なデジタルトランスフォーメーションを完成させるための行程表をワーキンググループで作成するというお話があったようですけれども、これは今、先ほど来出ている5年というのは……。
(答)これはマイナンバーと地方のデジタル基盤の話ですよね。
(問)大臣が昨日おっしゃっていた5年というのとは、また別の意味合いということ。
(答)また、違うんです。でも、大体一緒なんです、感覚的には。ここのワーキンググループはマイナンバー制度と地方のデジタル基盤を5年でやろうという話で、これだけでも33項目と言っていましたけれども、もう大変な行程表を作らなければいけないんだと思います。
 今度は国のシステム全部をこれから見ていこうということですから、同様にいろいろな行程表を作らなければいけないと思うんですけれども、これはこれで、これからまた具体的に検討していこうと思っています。
(問)2点あるんですけれども1点、先ほど総理から「必要な給付が迅速に行えるように」という話がありましたけれども、マイナンバーと口座の付番の話について、昨日のテレビでも「議員立法の方がまずあるので」という話をされていましたが、基本は議員立法の任意での付番というのを進めていくという解釈でよろしいんでしょうか。
(答)まずはやっぱり国会でお決めになることなんですけれども、私も当時議員立法の提出者でありましたので、あの法案をできるだけ速やかに成立させていただければ、希望者においてはすごく迅速に給付ができる体制が整うと。ただ、法律が通ってもそのシステムを少し改修しなければいけないところもあるので、直ちにとはならないと思うんですけれども、そういうことです。
 もう1つの銀行付番の話は、法律の附則の中に書いてあった検討が今も続いていると考えていて、それはある一定の時期に何らかの結論が出るように議論を進めるんだと思っています。
(問)そうしますと前任の高市大臣が1人1口座の義務化というのをおっしゃっていましたけれども、基本その義務化というのはとりあえず検討せずに、まず任意でやる議員立法のほうを優先するという解釈でいいんでしょうか。
(答)議員立法は議員立法で閣法と違いますので、国会の意思として提出されるわけで、高市大臣の御発言の要旨はよく分かりませんが、高市大臣の案も含めて今後検討課題にのっていくんだろうと私は思っています。
(問)あともう1点、菅総理の話の中でマイナンバーカードの発行はJ-LISの国の関与についての話もあったんですけれども、国の関与というのは具体的にはどのようなイメージで強めるということなのか、そのイメージをお知らせください。
(答)J-LISというのは地方共同法人という形であります。地方の自治体の皆さんのいろいろな主体性とかそういう関わりもあるし、J-LISのシステムが結局今回いろいろ不具合とかそういうものが露呈した経緯もあるので、ここは国が力を貸していかなきゃいかんだろうというようなことが発端だと思っています。
(問)独法化するとかそういうイメージで考えていらっしゃるということなんでしょうか。
(答)私は、現時点ではそういうことは考えておりません。
(問)そもそもデジタル庁の建付けのイメージをお伺いしたいんですが、今現在、内閣官房のIT総合戦略室、政府CIOの担っていた機能を継承、拡大するという方向性なのか、それとも全く新しい組織を別個に作り上げていって、内閣官房のIT総合戦略室と並立していくというイメージなのか、どちらなのかお伺いできればと思います。
(答)大変よい質問だと思います。そこが今後非常に重要な設計のポイントだと思うんです。今までの内閣のIT戦略本部、政府CIOでは、今まで随分各省庁のいろんな仕事もしてきました。実際は、システムのコストダウンはもう3割そこでやっているんです。ですからそういう努力はものすごく続けてきたということもわかるんですけれども、今、総理が考えているのは、もっと抜本的なシステムのあり方を変えていくこと。縦割りの打破という言葉が使われますが、今までやっぱり各省庁間の情報連携とか。昨日のテレビ番組でお話ししたかもわからないんですけれども、7,000億円の政府の予算のうち、4,000が一般会計で3,000が要するに特会だと。実はその特会の中にもものすごく大きなシステムがたくさんあるわけです。
 もう1つの、この7,000億の分け方は、3,000が新規の投資で4,000が要するにシステムの保守なんです。この構造というのは抜本的に変えていかないとこの構造は変わりません。ですからクラウド化する、制度設計に強いシステムにすると、IT系の方だとおわかりになると思うんですが、いろいろなシステムをやっぱりモジュール化していく必要があるんです。
 そういう大きな構造改革というのは今のIT室ではなかなかできなかったんです。そこに踏み込めるというのは、やっぱりデジタル庁の権限と力で、そして新しいエンジニアの皆さんの協力でそこを変えようということですから、今までの仕事は仕事として、大変重要な仕事だったですけれども、さらに大きな問題に取り組むというイメージで受け止めていただければと思います。
(問)別件になるんですが、今回内閣が新しくなって、そのほか内閣改造などがあると私は記者クラブの外の人間なので、毎回、内閣府の大臣の交代時にメールで申請フォームを送った上でさらにファクスで記名記事と社員証を送るというような事務手続が必要になっています。これについて、簡略化の御検討とかをぜひお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
(答)それは私の立場でどう変えるかということではなくて、役所のほうで考えていただけると思うんですけれども。私はインターネットテレビと既存のBSとか報道とか、全く同じ感覚で出演しておりますんで、今回もABEMAなんかは一番最初に出たぐらいです。これからニコ動等々も出ていくということで、私自身としては何らそこに垣根はないんですが、報道の皆さん方の今までのいろいろな慣習とかいろいろなことがおありだろうというふうに思います。
 それも時代とともに変わっていくんではないかなというふうに思います。
(問)オンラインの本人確認のeKYCについてお聞きしたんですが、ドコモはドコモ口座の不正利用の問題を巡って、対策として今月中にもeKYCを導入すると発表していますけれども、大臣はこの手法についての有効性についてどう考えているか教えてください。
(答)犯罪収益移転防止法に基づくオンライン完結、本人確認法としてマイナンバーカードの公的個人認証による本人確認に加えて、いわゆる利便性の観点から、そして当時やっぱりマイナンバーカードが普及していなかったという現状もあり、このeKYCといわれる本人確認方法が平成30年11月30日の同法施行規則の改正によって認められたということですが。このeKYCという用語の定義、私はあまり正確には。あるんですか、この定義が。KYCというのはわかるんだけれども、それを何らかの電子的なということだと思うんですが、有効性は当然あると思いますけれども、それで十分かと言われると、さらにマイナンバーカードの公的個人認証を使っていただいたほうがさらにセキュリティレベルが上がりますよと。私はLINEさんがこのeKYCから公的個人認証をやり始めるという記者発表、こういう流れがこれから続いていくんだろうというふうに思うので、マイナンバーカードがもっと普及していただければ、全体としてKYCのセキュリティレベルを上げることができると思います。
(問)昨日のIT連との面会についてお伺いしたいんですけれども、大臣はセキュリティ分野について、デジタル庁は直接見ずにNISCとの連携をして新しい方法を考えたいというふうに御発言されました。
 具体例についてはこれからだというふうに思うんですけれども、例えばすみ分けですとか、現時点でのお考え、イメージのほうを伺えれば。
(答)あれもちょっと言葉足らずで誤解を招いたのかもしれないんですけれども、NISCはNISCとしてきちんととしたミッションがあるんです。
 NISCのセキュリティポリシーに従ってセキュリティ対策をすべきというものが、IT室が中心にまとめている調達ガイドラインの中に入っているんです。それによって今までのシステムというものを作っているんです。
 ですから、デジタル庁というのは当然システム構築に責任を持つわけですから、セキュリティというものが最重要な課題であることは間違いないので、そのセキュリティの考え方、やり方というのが毎年のように変わっていくんです。NISCはどちらかだというと、そういう起きたことをきちんと調べて対策を打つ、何が起きているかを監視するというような機能です。
 ですから、そこと当然連動したような形でセキュリティガイドラインを作っていくということなんです。セキュリティガイドラインを常に新しいものに変えていくと、時代に応じて、それがやっぱり発注する側に、そういう常にセキュリティの新しい状況を考えてシステムを作っていくということを連携させたいという意味です。
(問)昨日から河野大臣が全府省のはんこについて見直しをする旨の発言をしています。この発言への受け止めをお願いします。
(答)御存じのように、河野大臣と私は週1回程度2人きりでいろいろなテーマを議論して、ターゲットを決めてそれを先行して進めていこうというふうにさせていただいています。
 その中で我々は、やっぱり象徴的なものとしてはんこを押すということの意味も含めて見直すべきではないかと。これはもうデジタル化以前の問題なので、これは両方でタッグを組んでやろうということになって、早速仕事のスピーディーな河野大臣がああいう形で情報発信をしていただいて、問題提起をしていただいたんだと思います。
 要するに押すことのはんこと、銀行員のように一つの認証印、またあと実印みたいなものがあるんですけれども、会社登記の電子的な証明というようなものは、今度は逆に私のほうできちんともっと、全ての中小企業もそういうものがきちんと使えるようにする。ですから、社会全体からはんこの問題を解決するには、それぞれやっぱり手分けして一緒にやって、定期的に打ち合わせをしながら進めていこうということで、河野大臣の動きを100%支持させていただきたいと思います。
(問)月内にもとおっしゃっていた準備室の立ち上げの具体的な日取りというのは決まっていますでしょうか。
(答)すみません。まだ決まっていないけれども、月内と言った以上は月内でやりたいと思っています。
 月内というと来週の水曜日まで。月火水のうちにということです。

(以上)