平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月18日

(令和2年9月18日(金) 14:16~14:38  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 昨日からデジタル庁設立準備に向けて私が合宿すると言った言葉について、いろいろと皆さんから取材もありますので、冒頭そのことについてお話をさせていただきたいと思います。
 昨日の就任記者会見で、明日からの4連休に合宿をした後にデジタル庁のイメージをお話ししたいと申し上げたと思います。この合宿という言葉は、新設するデジタル庁は、今回社会全体のデジタル化に向けた強力な推進力を持たなければいけないということで、デジタル庁自身がインフォメーション・シェアリングや意思決定のデジタル化を徹底したいと思っています。
 霞が関における新しい働き方や価値創造を体現できる組織にしたいと、若い能力のある人材を引きつけて、働きたいと思ってもらえる職場環境を実現するというのは既に記者会見でもお話ししたと思います。
 今回、デジタル庁の新設に向けた検討課題、20年ぶりのIT基本法の改正アップデート、そして新たな組織の設計、民間人材の登用、そしてこれらの前提となる社会全体のデジタル化のビジョンの提示などたくさんあるんです。
 その上に、昨日総理から、デジタル庁の新設に関してさらにスピードアップをせよと。今どのぐらいのスピードで走っているかわかりませんが、これから走ろうというときに、さらにスピードアップせよということでございます。
 そういうことで、いわゆる合宿形式で、時間を気にせずに役職も関係なく、徹底的なディスカッションと意識合わせを最初にしておかないとうまく立ち上がらないと思います。
 ですから、今回、これは珍しいことですが、ブレインストーミングに近い形で主要メンバーになる方々とお話をさせていただこう思っています。
 このいわゆる合宿というのは何かというと、場所は虎ノ門ですから、皆さん虎ノ門の事務所に集まってくれと、集まれる人は集まってほしいという、言わば休みに時間貸してみたいなことでやろうと思っていますが、急なことなのでウェブで参加もオーケーにしています。とはいえ、どこかの新聞で書いていただいているんですが、私の組織的な足場は大変脆弱だということでございますので、これからいろいろな方々に協力してもらわなければいけない体制をつくるということです。
 これは一からのベンチャー企業、企業を立ち上げるような作業なので、設計図もないし、そして最終的には人、モノ、カネをきっちりそろえて、なおかつ法律も作ってということですから、今までのやり方ではないという形というか。私もこんなことはやったことがないので、まずは皆さんとの意識合わせとして、大臣みずから1人のスタッフとして仕事をしなければいけないと私自身は思っています。
 そういう意味で、完全に最初は15名程度かな、リモートも合わせるともっとになると思うんですが、そういう皆さんの意見を、全員の意見を聞こうと、本件に関してそのように思っています。
 その上で、次の段階に入っていこうと。恐らくは、具体的なスケジュール感というか、今は、ただただもう全力疾走を始めましたけれども、どの時点でどういう成果物を出していくのかということが決まってくると思うので、それまで、はじめましてのメンバーの仕事はできないので、どこかで今回は意識合わせを最初にさせていただこうということで、この4連休をうまく有効活用しようと、そのように思っています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、大臣の方から、15名程度で最初に話をしていくということだったんですけれども、この内訳といいますか、どういった方々を集めてお話をする予定なのでしょうか。
(答)やっぱり、最初はキックオフですから、内閣官房が中心になると思います。
(問)先ほど今後の具体的なスケジュール感は、その合宿を経て具体的に決まってくるというお話でしたけれども、今日、朝の報道では、実際の設置が来年秋頃ではないかと報じられていますけれども、ゴールというか、終着点のタイミングというのはもうそういうイメージを持たれているんでしょうか。
(答)今が2020。総理のお考えのスケジュールというのは、どうなんだろう。最終的には具体的な御指示が来るだろうと思っています。
(問)デジタル庁のトップに民間人を検討という報道が一部でありましたけれども、そういう考えはおありかどうかというのと、もしその場合どのような理由で登用されるんでしょうか。
(答)まだ、これは設計図、設計していなくて、これからですが、あらゆる可能性はあると思っています。
(問)昨日の会見で、大臣から行政のデジタル化の遅れは反省すべきだけれども、民間企業もDX、デジタル変革に取り組んできていないという御主旨の発言があったと思います。
 国では民間企業のDXを後押しするような政策を従来もやってきたとは思うんですけれども、大臣は今後そういう政策をどう進めるべきだとお考えでしょうか。
(答)やっぱり、マイナンバーカードなんかの民間利用がまだまだ進んでいません。本当にもったいないのは、あの公的個人認証のシステムを、例えば、いろんな決済のところにかますことができたら、本人確認としてはやっぱりものすごく格段にセキュリティレベルが上がるんです。この間のような事態は絶対に起きない。絶対とは言わないけれども、ほぼほぼないと思うんです。
 ですから僕が、マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートと言った意味は、デジタル社会を安全に生活していろんな活動をするためには、自分が自分であるということを証明することのできるマイナンバーカードのチップをさらに使ってほしいというメッセージなんです。
 多くの方々が誤解をしているのは、国が情報を吸い上げるとか、何かそんな話ですが、全然そうではなくて、持っている人が自分が自分であることをデジタルの社会、いわばネットワークの中で証明するものだということなんです。そこのところをこれからきちんと皆さんに理解をしていただいて、さらに普及を進めないと。そこの誤解から解くべきだと私自身は思っています。
 DXが進んでいないというのは、健康や医療、教育や防災や決済等の公的サービスインフラに連動したりするものもあるんですが、一言で言うと生産性が高いんですかと。今の民間の企業の皆さんに、今のシステムのままでいいんですかということも問いたいと思います。
 だからそうじゃないと、これからさらに世の中の変化のスピードが速い中で、欧米とか中国企業と同じ土俵で闘えるシステムなのかどうなのか、そこら辺りもそれぞれの皆さんにチェックしてもらいたいなと思います。
 社会全体のデジタル化が進むということは、当然民間の企業の皆さんがそれに応じてそれぞれの企業のあり方を見直すタイミングではないかと、そのように思います。
(問)民間企業のDXを進めるためにはITを専門にやっているIT産業の貢献も重要になると思うんですけれども、現状では日本のIT産業の商材で世界に通用するものは残念ながら少ないという現状もあると思います。
 なので、そういった現状で企業の需要に応えきれていないような側面もあると思うんですけれども、もし大臣に日本のIT産業の競争力強化についての御意見がありましたらお聞かせください。
(答)このIT産業という幅をどこまで見るかわからないんですが、日本の企業の技術力というのが全然ないわけではありません。ただ、残念ながらクラウド技術であるとか、セキュリティではやはり海外のいろいろな会社の方が相当先行している部分があります。
 ただ、それ以外の分野で考えますと、日本は日本の技術がたくさんあるし、例えばブロックチェーンなんかは日本はすばらしい技術者が実はたくさんいるんです。そういうものをどうやって社会の中でインプリしていくかということも当然考えなければいけないと思っています。
 だから、そういう誘導政策も今回のデジタル庁の直接の機能ではないにせよ、どこかにそういう仕事も入れさせたいなと思っています。
 若くて優秀な技術者というのは、日本の企業の中には実は本当にたくさんいるんです。皆さん、そういう方々は表に名前も出てきていないし、働いている企業はどんな企業だったとしても、そういう技術を持った方々もたくさんいるし、実はいろんな製品も事細かにあるんです。
 ただ、欧米の企業と作っているレイヤーが違うので、つまりプラットフォームを構築するに当たって、どうしても欧米の企業の方がメインのほうにきてしまうというところがあるんだろうと思います。
 全ての企業が特に中小企業も含めて、クラウドベースになかなか移行できないんです。その辺りのところもやっぱり、明らかに生産性が高くなるので、後押しする方法も考えなければいけないと思います。
(問)これまでの話で政策のプロセスを透明化したいというふうにおっしゃっていたと思うんですけれども、もう少し具体的にどういうようなイメージなのかというのを教えていただけますでしょうか。
(答)デジタル化のプロセスを透明化したいと。デジタルを進める政策ですよね、これからいろいろやっていくのは。いろんなものをデジタル化する、何をする。いろんなことがこれから進んでくると思うんですけれども、いきなりデジタル化と言われても皆さんピンと来ないと思うので、なぜ必要で、それはどういうアウトカムがあって、だからやらなければいけないんだと。要するにいきなりデジタルにしたからいいだろうというふうに言わないということです。
 ですから、デジタルの意思決定のプロセスを透明化するというのは、デジタル化は手段で、やっぱり目的があるわけですから、そこのところをきちんと説明しきって始めようと、そういうことがまず1つです。
 あとは、情報発信が今までできていなかったので、つかさつかさできちんといろいろな情報を発信できるようにしたいと、そんなふうに思います。
(問)少し話が違うんですけれども、マイナンバーの銀行口座の付番の話なんですが、高市前総務相は1口座に義務化ということをおっしゃっていましたけれども、議員立法も出ていますが、その辺りの平井大臣のお考えをお聞かせください。
(答)私はあの時の議員立法の提出者で、あの法律は通ると非常にいいなと。マイナポータルに紐づけていて、今回、次の給付がもしあったとしたら非常に役立つ法律なんでいいと思うんですが、銀行付番のことに関しては、総務省の方で引き続き検討している話かなと思うので、今、直接私自身がそれをどうこうしようというふうには何も考えていません。
(問)一応マイナンバー制度の御担当は今回平井さんについたかなと思ったんですけれども。
(答)そうなんです。だから総務省で今までどのような議論をしたかということも踏まえて、ゆっくり意見交換をさせていただきたい、まだそこまでできていないんです、全ての。ただ、あの法案は要するにデジタル庁を作る法案とは関係ないので、まずはデジタル庁の関連法案を急いでいるわけです。
 そして、その後、そういう議論になるんであれば当然しなければいけないんだけれども、これ以上法律を抱えられますかね、今回。もうそれが心配です。
(問)国民的にはその辺りも結構関心が高いところなので、どちらがやるにしてもそれなりにきちんと御説明されたほうがいいかなと思ったのでお聞きしました。
(答)法律を出すということになれば、懇切丁寧に説明をさせていただきますが、今はまだ何も決まっておりませんので、それはそのときにということでお願いします。
(問)今のマイナンバーカードの話なんですけれども、今までもマイナンバーカードは、これは便利だから使ってください、使ってくださいとお願いベースでなかなか広がらなかったんですが。例えば入試のときの受験票の代わりに使わなければいけないとか、例えば健康保険診療を受けるんだったら、健康保険証と一体化になったマイナンバーカードを使わなければいけないとなったら広がると思うんですが、そういうふうな考え方を変更するようなお考えはあるんでしょうか。
(答)マイナンバーカードの所持を義務付けるという話ですが、今のところそれはすぐにやろうという気はありません。ただ、エストニアのケースを見ていると、2002年にスタートして確か6年後に義務化したと思うんです。罰則のない義務化。しかし、罰則のない義務化というので皆が持つようになったのでは実はなくて、民間のあらゆるサービスとつながるようになって、ものすごく便利になったから皆が持つということです。
 ですから基本的に、こういう話は法律で強引に持たせるということではうまくいかないんだと思います。
(問)例えばマイナンバーカードを使ったようなシステムでないと政府は調達しないとか、そういうような考え方はどうなんでしょうか。
(答)政策誘導のための調達ということですね。どうなんだろうか。いずれにせよ、マイナンバーカードがこれから使われる前提で、ありとあらゆるシステムを作っていくということになるのは間違いないと思います。
(問)一部報道で、世論調査でこの新しい内閣に対する支持率がすごい高い数字が出ております。率直な受け止めと、まだ成果がないというか、これからの内閣に対してそれだけ支持があるというのは何か期待されているものがあるのかと思うんですが、その辺についてはどうお考えか教えてください。
(答)新聞報道で支持率が上がったというのは大変うれしいと同時に、責任の重さというか。まだ正直に言って、私は大臣になって何の成果も上げているわけではないんです。全く上げているわけではないんです。
 ですから期待感だけで支持が上がるということだと思うので、早く具体的な成果を積み上げていきたい、そんなふうに思います。
(問)明日の合宿とデジタル庁設置に関してなんですが、明日のいわゆる合宿の中では、基本的には内閣官房から人が参加されるということなんですが、この庁の設置に向けて昨日も一部質問が出ていましたけれども、特命チームですとか準備委員会ですとか、そういったものの発足というのを予定しているということはあるんでしょうか。
(答)そんなこんなも含めて明日やるんです。それも決まっていないんです、正直に言って。なので意識合わせをしながら、どういうやり方が一番うまくいくかというのを最終的に。ですから現時点ではチームを立ち上げているわけではないんです。
 ですからこれからなので今回の合宿は連休中に何回するかも決めていません。要するに取りあえず集まって問題点を列挙して、その日のうちに結論がある程度出るもの、出ないもの、次までにすぐ詰めなければいけないものがあるならやるし。来週以降多くの各省のスタッフを巻き込んで進めてもらうようなこともお願いしなければいけない、スタッフもいないんですから、今。だからどこに何をお願いするかというようなことも含めて、最初のメンバーでいろいろ考えていくと。だから作業の進め方も考えるということなんです。
 ですから、もう少ししてからいろんなイメージがはっきりしてくるんではないかと思います。
 先ほどの口座の話は私が担当する可能性が高いということでございます。

(以上)