平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月17日

(令和2年9月17日(木) 16:01~16:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 今朝の深夜の記者会見でもお話をさせていただきましたが、今回、所掌としてデジタル改革、そしてIT政策、そしてマイナンバー制度、あと個人情報保護と、それにプラスして一番大きな仕事としてはデジタル庁の新設ということになります。そういう意味で、今私の手元に何の発言ペーパーもありませんが、これから全部作り上げていくという、初めての仕事になります。
 ですが、これから進めるプロセスは、皆様にきちんとお見せしようと思っています。というのも、やっぱりデジタルというのは見えにくいということもあるし、例えばマイナンバーの今までのシステムにしても、勝手にいろんなところで作ってしまったのではないかみたいなことも、やっぱりあったと思うんです。ですから、デジタル化のプロセスをどこまで透明化できるかというのも一つの重要な私のミッションではないかなというふうに思います。
 そして、新しいデジタル庁という役所、まさにSociety5.0、次のデジタル社会をリードしていく役所ということになるんですから、今までの、既存の霞が関の役所とは一線を画したものにしたいと。だから次の時代を感じてもらえるような、次の時代に挑戦できるような役所にしたいし、恐らく技術的な、やっぱり所見とかいろんなものがある方が必要です。
 特にテクノロジーは、本当にすごい速いスピードで変わるので、特にこの、今、進んでいるデジタライゼーションというのは、半年経つといろんなものが変わってしまう時代です。そういうものにも対応できる人材を、民間からやっぱり募集をしていこうというふうに思うんですが、旧態依然たる役所の姿だと、若い能力のある人は行きたいと思いません。これは私、これからどうするかもゆっくり考えていくんですが。ゆっくりは考えられない、すぐやらなければいけないんですが、今までの皆さんの持っているような、何とか庁とか、何とか省というようなイメージとは違うものにしたいと、そんなふうに思います。
 あと、法律の改正というものが次の通常国会では相当あります。これは、20年ぶりの改正のIT基本法、これをどのように改正するかというふうに思うんですけれども、まずはIT基本法というものは、経団連さんがよく言われるSociety5.0というようなことから言うと、あのIT基本法はSociety3.0ぐらいのものなんです。インフラを作って、多くの皆さんが、要するにインターネットにアクセスできることを目的にしていたということだと思うんですが、今度作るIT基本法の改正というのは、全面的に書き換えるつもりなので、そうするとSociety5.0というものに対応できる形にしなければいけないというふうに思っています。
 ですから、単に皆さんがデジタルにアクセスできるとか、そういうことだけではなくて、新しい価値を作っていくということも私自身としては法律の中に入れていきたいというふうに思います。
 そして、このIT基本法の中には実はセキュリティの概念が入っていなかったんです。要するに2000年当時、そういう言葉は、安全という言葉が1か所入っていただけなんです。それが入っていなかったので、というか当時はサイバーセキュリティなんて全然考えていなかった時代で、2014年に私が中心となってサイバーセキュリティ基本法というものを作って、今あるNISCに権限を与えていくということになったんです。
 こういう流れからいくと、じゃあ次のIT基本法、次のデジタル社会推進の法律の中には、セキュリティの問題は基本的な認識として、入れる必要があると思います。そうすると今のサイバーセキュリティ基本法にも関わる部分もあるし。2016年にこれも私が中心になって作った官民データ活用推進基本法というのも、議員立法です。要するに、データを使うということが当たり前の時代ですから、さりとてまたオープンデータとかそういうものもまだ十分に進んでいるとはいえないところもあるので、そういう意味で民間のデータを使ったDXがさらに進むようにするためには、当然、今回のデジタル社会を推進する法律と、官民データ活用推進基本法の一部をさらに少し強化するというようなことも検討したいというふうに思っています。
 あとは、設置法を作らなければいけないんですが、まだ、サイズも決まっていませんし、スコープもどこまで広げるかまだ検討中です。所掌という言い方もどこまで広げるかということもあるし、これから、スタートアップ企業を立ち上げるような形で、今、影も形もあるわけではありませんので、立ち上げて、できるだけ早く上場せよというのが総理の私への指示だと思っていますので、できるだけ早く作業に取り組みたいので、この4連休はもう合宿をしたいと思っています。
 そのぐらいのスピード感でやらないと今回は間に合わないし、先ほど総理にさらにこのデジタル庁に関しては「スピードを上げていけ」というふうに御指示をいただきましたので、私もさらに気合を入れて頑張っていこうというふうに思っています。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)昨夜の深夜の記者会見を聞いていたんですけれども、デジタル庁の、今も少し出ていました設置法、これはまず来年の通常国会の提出を目指すということでよろしいんでしょうか。
(答)そうです。はい。
(問)組織について、サイズもスコープもまだという話でしたけれども、例えば内閣官房のIT総合戦略室と総務省と経産省の関連部局を統合して内閣府の外局につけるとか、どのようなイメージを今、持たれているのでしょうか。
(答)幾つかのイメージはあるんですけれども、それはもう少し待ってください。今週、この4連休で合宿した後にイメージをもっとお話しします。
(問)大臣は官邸での未明の会見でも、今日の会見でも、民間から力を入れていきたい、人材を入れていきたいということをおっしゃいましたけれども、行政のデジタル化を進められるような高度なIT人材というのは民間でも取り合いになっていて、高い年収を積まないと雇えないというような現状もあると思います。
 そういう中で高度なIT人材をどういうふうに確保したり、育成したりしていくのか、その辺りの方法論や考え方について何かありましたらお聞かせください。
(答)新しい組織には人とモノとカネがいるわけです。そこは今日総理にお会いして、強くお願いをしてまいりました。万全の協力をしていただけるというふうにいただいていますので、これからいろいろなことを詰めていく過程で、さらに総理に御相談を申し上げて進めていきたいと考えています。
(問)合宿後ということで、だんだん詳しいことがわかってくるというふうな認識をしたんですが、今の時点でどんなデジタル庁を作り上げたいとか。あとは所掌の部分ですよね。どこまで、多分デジタルという基盤ですので、誰もが使いこなすというところまで広げていく。多分、デジタル庁の、政府の取組というのが起爆剤になると思うんですが、合宿前にどれぐらいのイメージで広げて、大臣の役目というのをやっていくのかなというのを教えていただければ。
(答)要するに総理の御指示は縦割りサイロを打破していけということ、そして、時代を先取って新しいことをやっていけ。DXが起きるようにして、まずUIを徹底的によくしろと。特にマイナンバーカード、要するにユーザー・エクスペリエンスを上げないと。
 私は昨日の未明の記者会見で1つびっくりしたんですが、小此木大臣が免許証をやるぞと。あれは私が党にいたときにずっとお願いしていたのに、全然相手にされなかった話が、健康保険証に続いて運転免許証まであれだけはっきり担当大臣が言われるということは、やっぱり、いろんなものが変わったなとつくづく思いました。
 なので、今、言おうと思ったら私なりのミッションとかスコープとかを言えるんですが、それはもう少し待っていただいて。必ず実現できるというものから説明をさせていただきたいので、その辺り、今の既存のIT室、IT戦略本部と新しいデジタル庁との関係と言われるのは、誰が考えたってどうするのかなというふうに思うと思います。
 まだ、だから軽々にそのことについて今、私の思いつきの案をお話しないほうがいいと思うので、これはもう少し待ってください。
(問)大きく2点あるのですが、1点は前に大臣をされたときもそうだと思うんですが、世界最先端のIT国家の創造宣言を出したりとか、古くは20年前のe-Japan戦略から世界最先端を目指すと言いながら、今回のコロナでも明らかになったように、なかなかデジタル化、IT化というのは進んでいなかった一番の理由というのがどこになるのか。またそれをデジタル庁を作ることによって、今までもいろんな司令塔という組織はあったと思うんですけれども、それは何が変わるのかというところを少し御説明いただけますでしょうか。
(答)まず、この20年間で何もできていないわけではないんです。できたこともたくさんあるんです。今回だって、要するに、いざとなったら遠隔診療もできたし、遠隔教育もできたし、いざとなったら考えられないような多くの方が自宅で仕事ができた、テレワークもできたと、ある程度のことはできたんです。
 だけど、本当に国民のほとんどの方々が満足するようなデジタル化というのができていなかったという反省があると思います。
 それと、これは私がこの20年間デジタルの進み具合を見ていて思うことなんですが、なぜ進まなかったのかという意味で言えば、いろんな要素があると思うんですが、例えば、今、GAFAの時価総額と日本の全ての、要するに上場企業の時価総額の合計と比べると、GAFAのほうが大きいという事実があります。
 ですからこれは、行政もデジタル化をやってこなかったということを反省しなければいけないんですが、民間企業も要するにDXに取り組んできていないから、つまり、GAFAプラスMicrosoftの時価総額を足してしまうと、全然日本の全ての企業の総額を足しても届かないわけです。
 ですから、思い切って進められなかったというところは国も民間企業もあると思います。それはいろんな要素はあるんですが、日本という国は、例えば中国とかアメリカに比べてデジタル・ディバイドの問題を重視します。アメリカとか中国はある程度ディバイドというものがある。言い換えますと格差は容認しながら進んでいくんです。日本の場合は、やっぱりそこはそうではなくて、常に政策を進めるときにディバイドの問題というのは重視をしてきました。そういう意味で特に社会構造がもうすぐすると、人口の半分以上は50歳を超えるというような社会の中で、前に進む人だけでどんどん新しいことをやって、マネタイズをして、そして経済を発展させるというようなモデルが進みづらい環境にあったということもあると思います。
 そういうようなこととか、企業が過去の成功体験である一定の収益モデルからそれを捨ててまで新しいところに立ち位置を変えるという決断ができなかったとか、いろんなもののトータルだと思います。
 役所も、要するに、完全にデジタルに振り切って、デジタルにアクセスできない人は努力してくださいという中国流のやり方ができる国ならもっと進んだと思いますが、我々はそうではないので、ゆっくりとしたペースでも最終的に高齢社会の中で人に優しいデジタル・トランスフォーメーションがもうできるのではないかと、私は思っています。
(問)もう1点なんですが、昨晩の会見で、マイナンバー制度は今までいろんな誤解とかそういうものがあって進まなかったとおっしゃったんですけれども、実際にどういう誤解があったのか、その誤解を解く努力というのは政府としてきたのか、今後どういうふうにすればその誤解を解けるのかというのを教えてください。
(答)これ、どうしましょうかね。話すと長くなりますが、ほか同じ質問の方もいらっしゃいますか、マイナンバー。この質問に答えたほうがよろしいですか。答えたほうがいいですか。じゃあ、かいつまんで話をさせていただきたいと思います。
 このマイナンバー制度というのは、昭和40年代の国民総背番号の話から入ってくるのですよね。その後、グリーンカードの話があって、そういう流れの中で住基が失敗をしたと。
 私はこの制度がスタートしたときに、ものすごく印象に残っているのは、これは民主党政権のときにスタートしたんです。私は野党で、随分いろんなことでそのお話をさせていただいたのですが、当初はこんなにデジタルシフトのことを考えていなかったので、つまりマイナンバーというものは何かというふうに考えて、日本では要するに個人を特定できるものがないと。
 その理由は、戸籍には名前の読み方というものが公証されていないと。住んでいる住民の地域でも名前の読み方というものが確定しているわけではありません。一方、銀行口座はなぜか銀行番号と片仮名の読み方。こんなので突合するのは、やっぱりその人の一人の唯一の人だということをちゃんと言うことが非常に難しい国で、今までよくやれてきたなというふうに海外の皆さんからは散々言われます。
 民主党がそういう問題でこのマイナンバーを進めたときに、やっぱり一番気にしていたのは、いろんな訴訟とかいろんなものもありましたけれども、政府による情報の、要するに一元管理に対する懸念という言葉なんです。
 このマイナンバー制度のシステムを見ていただければわかるように、非常にまどろっこしく作って高コストになっているのは、政府によって一元管理しないように作ったために、あんな面倒くさくてお金のかかるシステムにしてしまったんです。そういうことを、まだちゃんと国民は知らないと思います。
 本当は、管理者側からいえば、一元管理をしたほうが、中国みたいにしたほうが効率的なんですよ。そして、突合のメリットだってあるし、わざわざ別々に管理して、符合でちゃんと連携させるような、こんなやり方をやる国は、他の国よりも多くの個人情報に対する配慮とか、そういう国民の人権に対する配慮みたいなものが、ものすごく入っている制度なのに、要するに政府に対する、やっぱりのぞかれるんじゃないかみたいな誤解があると。
 そういう誤解をやっぱり解いていかなきゃいけないというふうに思うのと。最近、昼のテレビの番組でも、さすがに最近はコメンテーターの皆さんが、マイナンバーとマイナンバーカードは別だと、チップは違うということをやっと言ってくれるようになったんです。だから、あのチップのことを違う名前で呼んでおくともっとよかったと思うんですけれども。あのチップを全国民に配りきったら、先進国の中でもう唯一の国になれるんですよ。あれが、本人確認に使えるようになれば、生産性はものすごく上がるんです。
 だから、私はマイナンバーはデジタル社会のパスポートだと。このパスポートをみんなに持ってもらったら、どれだけ便利になるんだと。それはマイナンバーのことを言っているのではなくて、あのICチップのことを私は言っているわけです。それを最大限いろいろなものに使えるという意味で、健康保険証が出てきて、運転免許証が出てきたと。
 結局、そういう意味で、例えばこの間、ドコモさんの事故の問題も、あれも本人確認が弱かったということだと思います。多要素認証にするのか、2段階認証にするのか、いろいろあるんですけれども、やっぱりマイナンバーカードによる本人確認というのは、あれは一番いいと思います。一番安心です。国がらみでもあるし、あの中には写真も入っていますし。ですから、ああいうものを組み込んでもらえれば、ああいう事故は起きていかないというふうなこともあって。
 結局、よくテレビの番組を見ていると、政府に対する信頼がないから行かないというふうに言われるんですけれども、ここまで配慮して作っていながら、真意を理解されていない政府は説明が下手だと。それで、昨日の私の発言になったわけです。今日の私のこの説明もわかりづらいと思います。
 だから、これをさらにわかりやすくするように、これからうまくやって、国民の皆さんにちゃんと示していきたいと。デジタル社会の中で身を守るために持ってほしいというのがマイナンバーカードというふうに認識してもらえるように、これはもうわかってもらえるまで説明したいなと思っています。
(問)先ほどの言及でもあったのですけれども、ドコモの問題だとか、金融機関からの不正出金なんかも、あるいはテレワークのサイバー攻撃だとか、デジタルの恩恵でコロナと闘っている部分もあるのですが、負の側面もクローズアップされて、ややそういう不信感じゃないですけれども、そういったところも広がりつつあるのかなと思います。先ほどおっしゃったように、うまく使えば、ああいう事故も防げたということだとは思うんですけれども、その負の側面をどう国民に、ネガティブな部分を説明していかれるのでしょうか。
(答)これはもう100パーセントということは、このインターネットを使う以上はありません。
 じゃあ、アナログの世界がそのデジタルの世界より安全かと言われれば、アナログの紙だと誰に見られたかも何のエビデンスもないし、トレーサビリティーもないし、コピーをとられたかもわからないし、はっきり言って、アナログの紙のデータというものはどう扱われようが何のセキュリティもないので、一概に比較することはできないとは思いますが、デジタルの場合は必ずトレースできます。何か起きたときに。ですから、穴を開けられようが、いろんなものを窃取されようが、ある一定のところまでは必ずそれを追いかけることができると。
 これから、やっぱりいろんなセキュリティ対策等々を考えなきゃいけないのですが、やっぱりインターネットの世界で言うと、例えばテレワークの場合だと、VPNをどうやって張るか、どうやってセキュリティを担保するかみたいなことは、今回のコロナ禍で各企業、もう一斉に考え始めました。コストとセキュリティ、どうやってやるかと。そういうことを一気に進めていくということと、自分の身は自分で守るという基本的な姿勢を全ての皆さんに持っていただいた上で、ありとあらゆるセキュリティというものを。我々はやっぱりセキュリティ体制を上げていかなきゃいけないというふうに思っています。
 サイバーセキュリティというものは、コストではなくて、いわば投資の一部だと私自身は考えているので、そういう前向きな投資の一環として、もっと日本の企業がサイバーセキュリティに対して投資できるようにもしていきたいというふうにも思います。
 ただ、やられても、それがちゃんと後で対応できるような状況さえ作っておけば、私はその利便性のほうがはるかにリスクを上回るので、国民のためにはやはりデジタル化を進めていくべきだろうと思います。
(問)デジタル庁の新設をできるだけ早くということで、通常国会に関連法案を提出されるということですけれども、そもそもなんですけれども、デジタル庁新設はいつを目指されるのか。あと、もう一点。デジタル庁新設のために、大臣の下へ例えば特命チームを作るですとか、具体的な何か作業行程でお考えになっていることがあればお示しいただければと思います。
(答)今日、テレビのテロップで見たんですけれども、22年の4月新設みたいなのが出ていましたよね。全然それは私が言ったわけでも何でもなく、いろんな情報をとって作ったのだと思いますが、それより早いペースでやらないと総理の期待には応えられないような感じです、今は。あと、もう一つの質問は何でしたっけ。どんなような・・・。
(問)例えば、大臣のもとへ特命チームを作るとか、何か作業行程で考えられていることがあれば。
(答)明日から合宿するので、チームがないと一人で合宿はできませんので、それはやります。
 これから、やっぱり各省のいろんな方々にも協力してもらわなきゃいけないし、民間のアドバイスもいただかなきゃいけないし。海外の事例もありますよね。例えばイギリスのGDSとか、シンガポールのGovTechとか、アメリカのGSAとか、要するに似た組織は海外のいろんな政府の下にあるんですね。それがうまくいっている所もうまくいっていない所もあるし、本当はそのあたりのことも全部含めて、今、情報を集めて勉強しています。それをまねするというわけじゃないんだけれども、参考にしながら、日本で一番機能する形を早く作りたいと。ですから、まだ具体的な中身については、今は申し上げない方がいいだろうと思っています。
(問)デジタル庁のスコープにもかかる話なのですが、今後、行政の手続の簡略化ですとか見直しをするとなると、どうしても行政改革との絡みが出てくると思うのですが、例えば河野行革担当大臣との連携について首相からの指示や、平井大臣としてこういうふうに考えているというものはございますか。
(答)河野大臣とは、今日国会開会式等ともお会いして、大体週一ぐらいのペースで、要するにターゲットを決めようということにはなっています。これは、これから事務方がどういうふうに詰めるのかはわかりませんが、当然、連携するということになります。
(問)一点追加で。改めて役所の書面主義ですとか手続の問題というのはどういうふうに捉えて、どういうふうに変えていきたいとお考えでしょうか。
(答)まず当然、生産性が低いと、誰が見てもあり得ないというようなものは、やっぱり全部やめていきたいというふうに私自身は思います。
 ただ、役所の中だけを少しデジタル化をして、生産性が上がったということのために作るわけではないので、デジタル庁というのはもっとスコープが広い、社会全体をやっぱりデジタル化によって前に進めるということですから、役所の今までやっているデジタルガバメントみたいなものをさらに加速化させるということはやります。
 私は昨年、大臣だったときに、デジタル手続法という法律を通しているんですよ。要するに、コネクテッド・ワンストップ、ワンスオンリー、デジタルファースト。つまり、原則、書面から、アナログからデジタルに変わっているんです。
 だけど、あの法律を、相当いろんなものをうわっと変えているんだけれども、まだ今一つ浸透しないようなこともあります。ですから、そういうような方向性はある程度いろんなもので見えているので、それはどうやったら進められるかということに、やっぱり全力を挙げたいと思います。
(問)今のお話の関連でなんですけれども、いわゆる国民の生活が、このデジタル庁ができてデジタル化されたことによってどういうふうに変わるかというのを、より具体的に言うと、例えばどんなものがどんなふうに変わるかというのを、高齢の方でもわかるような優しい言葉で言うと、どういうふうになるかという。
(答)これは内閣府かどこかが、スマートシティかな、スーパーシティかな。そのビデオがあるのでそれをご覧になっていただくと、あれは一つのイメージかなというふうに思うんですけれども。要するに究極に目指すのはデジタルを意識しないデジタル社会。つまり裏で動くのが本来なんです。デジタルの何かをやって、それで何か利便性というのは、まだ最終的な形ではなくて、デジタルを意識しないデジタル社会というのは、これは実現可能だと思います。
 それを最終的な目標としながら、その途中の段階では、やはり例えば24時間365日、行政のサービスがどこにいてもちゃんと受けられるとか、病院なんかも自宅にいても医者の診療を本人の希望によって受けられるとか、例えば家で学習していても学校でちゃんと卒業できると。要するに行かなくても、授業の単位が認めてもらえるとか。AIによる診断とか、できるだけ病気にならないような生活をちゃんとアドバイスしてくれるような環境であるとか、MaaSみたいなものとか、そういうのはもうわかりやすい世界ですけれども、それを越えて人間が快適になると。
 要するに人間が快適な生活ができて、本来好きなこと、例えば地域の文化や芸術やスポーツや、友人とのいろんな活動みたいなものを、さらに生産性の上がった社会の中においては、時間にゆとりを持ってできるはずではないかと。
 つまり、よりクオリティー・オブ・ライフが上がって、幸せを感じられる社会をデジタルによって作るということではないでしょうか。
(問)関連するんですけれども、東京一極集中の是正であったりとか、省庁の移転、ちょっと将来的な話になるのかもしれないですけれども、そういったものに関してはどうお考えでしょうか。
(答)今回、皆さん一番顕在化したのは、密になることがリスクだというのは、日本の歴史上初めてなんです。都会、都市部は、人口密度も高い、土地の値段も高い。一方でいろんな情報もあるし、生産性も高い。いわば経済をずっと引っ張ってきたんですね。ところが、密になる、人が集まるということがリスクだということが顕在化したのは今回のコロナ禍で初めてなんです。
 そうすると、リスクを回避するために起きていることというのは、例えばテレワークであるとか、要するに地方へ。例えばパソナが淡路島に本社を移すとか、いろんなことが起きるのだと思うのですが、これはやっぱりこれから起きることは何かと私自身が想像しているのは、今までのテレワークというのは、今までのやっていた仕事を、要するにデジタルでどこまでカバーできるかということだけれども、恐らく今回のコロナを受けて、全ての企業や多くの方々が新しい働き方をデジタルを使って作ろうと。会社との関係もそうなると思います。新しいデジタルワーキングスタイルを作ると。
 そうなると、別段、東京に住んでいなくても、どこに住んでいてでも東京の会社で勤務したことになると。事実、会津若松市に移っている450名のIT企業のエンジニアの皆さんは、東京でやっていた仕事を会津若松に移って、全く同じ給与で同じように働いているわけです。変わったのは住んでいる生活環境だけですよ。コワーキングスペースと、あとは自宅ですから。
 こういうことを進める企業みたいなものが出てくるというか、全体で起きるというのは、今までだったら一極集中が不公平だから分散せよという文脈ではなくて、日本全体としてリスクを分散させていくという自然な流れの中で、そういうことも起きるというふうに思っています。

(以上)