甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月21日

(平成27年7月21日(火) 17:45~17:58  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。
 景気は、「緩やかな回復基調が続いている。」とし、先月から判断を据え置いております。これは、生産がこのところ横ばいとなっているものの、引き続き雇用・所得環境は改善し、また設備投資などの民需に持ち直しの動きが見られていることを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、中国経済をはじめとした海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要があります。
 政府といたしましては、経済再生と財政健全化の双方を同時に実現していくこととしており、このために、6月30日にいわゆる「骨太方針」、「『日本再興戦略』改訂2015」、「規制改革実施計画」及び「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」を閣議決定いたしました。また、好調な企業収益を、政労使の取組等を通じて、設備投資の増加や賃上げ・雇用環境の更なる改善等につなげ、地域や中小・小規模事業者も含めた経済の好循環の更なる拡大を実現してまいります。さらに、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」及び平成26年度補正予算を迅速かつ着実に実行するとともに、平成27年度予算を円滑かつ着実に実施してまいります。日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)基調判断ですけれども、今月も据え置きということではあるのですが、景気動向指数などでは基調判断が足踏みに下方修正されるなど、最近、指標を見る限りでは景気の停滞感が強まっているようなのですけれども、その辺、景気動向指数と基調判断と判断が分かれたことについて、もう少し理由を詳しくお願いします。
(答)生産がこのところ横ばいで推移している。しかし、引き続き雇用・所得環境の改善は続いています。春闘の最終結果が出ましたけれども、昨年は15年ぶりの改善、今年は17年ぶりの改善となりました。有効求人倍率、失業率も四半世紀ぶりに迫るものになっております。それから、設備投資などの民需に持ち直しの動きが見られております。そういう点を踏まえて、判断を据え置いたわけでございます。
 また、今後政府としては、賃上げ、下請代金の改善に加えて、いよいよ企業による景気回復循環、好循環を取り戻すための本丸とも言える、設備投資、研究開発投資、人的投資に向けての官民対話も予定いたしております。
 こうした前回の政労使、それから今後の官民対話を通じて、好循環を政府が積極的に関与した中でしっかりつくっていくということを目指していきたいと思っております。
(問)今回基調判断のなかで、海外景気の下振れのところで中国経済をはじめとしたというところが入っているわけですけれども、ここを具体的に入れた背景と、今後どのようなところが、日本にとってリスク要因になるのか、大臣のお考えをお願いします。
(答)ギリシャの不安定要因が、EUの安定化基金による支援を通じて、軟着陸に向けて進んでおります。
 中国に関しましては、経済規模が比較にならないほど大きいということがあります。そして、中国の景気の停滞が東南アジアの景気、輸出を通じた景気にも影響してきております。
 中国経済の行く末をしっかり注視していくということでありますが、今後、海外要因リスクの中で一番注視しなければならないところとも考えており、具体的に記載することといたしました。
 株価、上海の指数が急激に落ち込んでいて、すわバブル崩壊というような心配が流れたわけでありますが、本来、もともとたかだか10カ月程度で2倍半ぐらいに上がったわけでありますから、これの調整局面にあると思います。日本等のバブル以降の経済状況をしっかり学習されているようでありますから、ソフトランディングに向けて政策を動員していかれるものと思います。
 うまくソフトランディングをさせて、しっかりと今度は投資中心から消費にシフトしていく経済へと、うまくかじを切っていかれることを期待しつつ注視するというところであろうと思います。
(問)関連しないのですけれども、東芝の件ですけれども、歴代3社長がそろって辞める。それから、組織的に実行され、経営判断としてこの利益の水増しが行われていたということです。佐々木さんに関しては産業競争力会議でコーポレートガバナンスコードをつくられたりですとか、そういうことにかかわっていて、しかも財界の要職につかれていたということもあり、こういう日本を代表する企業で、このような事態になったことをどう評価されているのかということを、大臣にまずお聞きしたいと思います。
(答)極めて由々しき事態だと思っております。今、安倍内閣は企業の財務諸表等々、企業の業績を示す各種指標の信頼性を高める、外の目で経営をしっかり監視する、そして投資家については企業価値を高める、中長期の視点で投資していく。この大きな目標を掲げて、具体的に独立社外取締役設置会社の比率を圧倒的に高める等々、コーポレートガバナンスの強化にも取り組んでいるさなかであります。そういうさなかに、そういう案件に関与した、そういう案件に携わった企業でコーポレートガバナンスを疑われるような事案が生じたということは極めて遺憾であります。
 なかなか社外取締役を設置したからすぐ見抜けるというものではなくて、経営ぐるみでそういう方向性が出て、利益を上げよという強い姿勢が部下に与えたプレッシャーがこういう形になってきているということのようでありますけれども、企業業績を上げるということと、企業の業績を歪めるという報告が出るということとは全く別問題でありますから、なかなかコーポレートガバナンスの本家のアメリカでも、この種の事案があったというふうに承知しておりますが、今回の事案を検証して、よりコーポレートガバナンスの向上・強化に資するような取組を進めていきたいと思っております。
(問)東芝自身が今検証作業中だということもあるのですが、何か政府としては、基本的には証券取引等監視委員会等に任せるということなのでしょうか。それともそれと別途何か考えがあるのでしょうか。
(答)これは、東芝が設置した第三者委員会なるものが検証結果、その報告をいたしました。今後、金融庁によってこの事案の検証がなされていくと思っております。それらの検証結果を見て、何をすべきか考えていきたいと思います。

(以上)