甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月9日

(平成27年1月9日(金) 10:11~10:25  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)マーケットですが、今日は少し持ち直しておりますが、年明け以降、海外主導で展開が続いておりますが、足元での市場動向についてどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)乱高下が続いていますけれども、昨日もアメリカは随分上げていますし、今日、日本はそれを受けてさらに戻しています。海外要因で振れることがほとんどでありますが、EUの不安定要因もECBが対処するのではないかという観測も流れておりますし、それぞれ海外の不安定要因は、海外の金融通貨当局が適切に対処すると思います。
 そうしますと、年明け、好循環について企業経営者から前向きな発言が続出しております。基本的な流れとしては、我が国はいい方に向かっているのではないかと思っております。
(問)マーケットが動いている要因の一つは、原油安が続いているというのがあります。今、1バレル50ドルを下回るという状況の中で、コスト低下という追い風がある一方で、新興国経済あるいは産油国経済に打撃が起きるのではないかという指摘もありますが、このあたりのリスク、メリット、両面についてどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)油価がピークの半分以下になりました。恐らく半分になりますと、日本経済にとっては、資金の流出がとまってきますから、その分については恐らく7兆円分ぐらいのプラスになるのではないかと思います。日本経済にとってはプラスです。ただ、物価の総合に関しては、下げ要因になるという点は一部あろうかと思います。
 世界経済全体を見ますと、産油国にとっては深刻な経済不安の条件になります。ただ産油国ではない途上国等にとっては、これはプラスに貢献していくと思います。プラスもマイナスも世界経済にとってはあるわけであります。産油国が、国の運営に差し障るほど油価が下がりますと、これは深刻な問題になってくると思います。その油価のラインがどのくらいであるかということが一つの要点であるということと、それからやはりエネルギー価格というのは乱高下しないということが大事です。安定的に推移してくれること、これは為替もエネルギー価格も同じようなことが言えるのではないかと思います。投資の予見性が高まるということでありますので。
 今のところ油価は産油国の戦略、戦術的な思惑もあるようであります。どんどん下がっていって、そして反転して、また際限なく上がっていくということがないように期待しております。
(問)7兆円ぐらいプラスというのは、内閣府の試算なのでしょうか。それとも民間でそういう試算が出ているのを引用されているのでしょうか。
(答)内閣府が各種データによって試算をしますと、ピーク時から3割下がると国内経済には4兆円のプラスになるということです。既に5割以上ですから、7兆円前後のプラスになっているのではないかと推測しています。
(問)TPPについてお聞きします。年が明けましたけれども、大臣は、今年の春の早い時期までの交渉妥結が望ましいという考えをかねてから示していらっしゃいます。日米の事務レベル交渉の再開の見通しや、今後の閣僚折衝の見通しについてお願いします。
(答)近々、日米の交渉官レベルの次席レベルの事務折衝が再開されると思います。そしてその先には、CN(首席交渉官)会合も予定されるのだろうと思います。
 アメリカの関係紙からは、1月中にもCN会合という報道がなされているようでありますが、まだ確定はしていないにせよ、1月ないし2月まで、2月前にはCN会合を開催していかなければならないと思っております。
 その間に、日米間の閣僚レベル会合ができるような状況をつくりたいと思っています。そうしますと、春の早いうちに12カ国の閣僚会合が開けるということになれば、アメリカの政治日程を視野に入れつつ、年内に、国会対応も含めて取りまとめができるというスケジュールになってくるわけであります。
 ですから、春先までに12カ国の閣僚会合で、一つの合意がなされる。その後、法的な細かな手続があり、そして国会承認という手続につながっていきますから、春先までに閣僚会合が開ける状況をつくるということが大事だと思いますし、その前提としての日米間の決着、一通りの決着を図るということが鍵になってこようかと思います。
(問)近々開かれる日米の事務レベルでの交渉については、主にどういったことが争点になっているのか、何を目的としてどういう位置づけで行われるのか、お願いします。
(答)日米に残されている課題が何点かあります。農産品の一部と、アメリカ側の自動車関連の問題であります。日米交渉、TPPは全てそうなのですが、特にその前提となる日米もパッケージ合意でありますから、全てがセットできないと全体が合意できない構図になっております。
 日本側としては、相当譲歩してきたという思いがあります。アメリカ側にかなりの決断をしてもらわなければならないと思っております。
 その認識をそっくりアメリカが持っていれば事は簡単なのでありますけれども、アメリカ側は、恐らく自分たちの譲歩の概念が、日本側と若干違うのではないかと思っておりまして、そこをしっかりそろえていって、妥協点、我々はできることはほぼ全てやり尽くしたと私個人は思っておりますけれども、その上で妥結に向けて、道筋が図れるかということを、事務折衝を通じて近々始めたいと思っています。
(問)アメリカ側は自分たちの譲歩の概念が、日本側とは少し違うとおっしゃったのですが、その意味を教えていただきたいのと、今、日米の閣僚会合を、恐らく全体の合意の前に開くという意味でおっしゃったと思うのですけれども、日米の合意というのは、全体の合意に先立って行われるべきなのかどうか、その辺のお考えを教えてください。
(答)日米の大筋での合意は、当然、全体会合の合意の前提となります。これが成り立っていかないと全体会合の合意というのはなかなか難しいと思います。日米の思惑の違いというのは、要するにアメリカ側は自分たちの主張が100あるとすると、それを10や20譲ったということが譲歩であると理解していると思います。我々は、アメリカ側がセンシティブと言っている問題について、アメリカ側からどれだけ我々が得ることができたかということが、当然交渉であります。
 TPP交渉というのは、12カ国全体の中で、全体としてプラスの方が多いということはもちろん大前提であります。全体としてマイナスの方が多いような交渉に加わる人はいません。全体としてプラスの方が多いといって、初めて交渉が成り立つわけであります。同時に、だからといって、二国間交渉では、相手側はプラスがとれたけれども、こちら側はプラスがとれていないということであってはならないという意味であります。
 恐らく国によっては、どことは特定しませんけれども、国によっては全体としてプラスがとれれば、うちからは一つもとれなくてもいいではないかと思っている国があるかもしれません。しかし、それは交渉とは言えないということであります。
(問)大臣は、先ほど総理と面会されていましたけれども、これは増税延期に伴う社会保障関係の調整措置だという説明をされたということですけれども、どういった内容だったのか、簡単にお願いします。
(答)10%の引き上げを見込んで、社会保障の充実がいろいろ図られています。その見込む10%の引き上げを1年半延期しました。ということは、その間は財源がないということになります。しかし、財源が消費税の再増税分として当てにできない中でも、総理は、例えば子ども・子育て等々、これはしっかりやっていく。財源をいろいろな具合に手当してでもやっていこうという思いを持っておられますから、どこまでができて、どこまで以上はなかなかできないという、スケジュールの延期に伴う変更点について報告申し上げました。

(以上)