山口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年10月22日

(平成26年10月22日(水) 18:02~18:15  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 先程、16時50分から17時25分まで、第5回総合科学技術・イノベーション会議を開催いたしました。
 本日は、戦略的イノベーション創造プログラム、SIPですが、これの平成26年度追加配分について案をお示しし、原案のとおり決定いたしました。
 続いて、ヒトES細胞の樹立に関する指針及びヒトES細胞の分配と使用に関する指針につきまして、文部科学大臣及び厚生労働大臣から諮問があり、今後、生命倫理専門調査会で審議を行った上で、会議として答申をするということにいたしました。
 また、議題、第3の「科学技術基本計画について」、これは第4期科学技術基本計画のフォローアップについて決定をするとともに、次期基本計画に向けて有識者議員から提出された意見書に基づいて議論を行い、基本計画専門調査会を設置して調査審議を進めていくということに決定をいたしました。
 その後は、皆様方にご覧いただいたと思いますが、ノーベル物理学賞を受賞された名古屋大学大学院工学研究科の天野浩教授に御出席をいただき、「科学技術イノベーションを巡る課題」ということをテーマにお話をいただきました。
 出席議員からの主な発言を御紹介いたします。
 まず、議題1のSIPの追加配分についてでありますが、橋本議員からは、SIPについては、プログラムディレクターを中心に産学官、更には複数省庁の行政官が参画をして連携を進めていくということが特徴であり、今後、知財戦略や規制改革、特区など総合的にやっていくべきであると発言がございました。
 また、議題3につきましては、高市総務大臣から、ICTは国民の生命・財産を守る等、国の存立に不可欠なものであり、消防防災を担当する立場からも、第5期科学技術基本計画の策定に係る議論に総務省として積極的に貢献をしていきたい旨の発言がありました。
 また、甘利経済再生担当大臣からは、産業競争力会議でも、大学改革やイノベーションについて、新たにワーキンググループを設置して議論を開始したところであり、今後、総合科学技術・イノベーション会議と連携しつつ検討を進めたいと発言がございました。
 また、丹羽文部科学副大臣からは、科学技術・学術審議会において、第5期基本計画の策定に向けた議論を進めており、年内の中間取りまとめを目指して今後更に議論を深め、建設的な提案を行っていきたいとの発言がございました。
 経済産業省の関大臣政務官からは、産総研(独立行政法人産業技術総合研究所)等の橋渡し機能強化など、現在強力に取り組んでいるイノベーションシステム改革については、次期基本計画の策定に当たっても課題解決に向けて引き続き議論をしていくべきとの発言がございました。
 続きまして、有識者議員からも御発言がございました。
 久間議員からは、日本が遅れている課題として、ITの大変革の流れを取り込めていないことなどを挙げられまして、これらの課題を解決する戦略と連動させて、どのような人材育成や人材の流動化、研究資金配分、制度改革が必要か議論をするプロセスが重要であり、そのためにも総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能のさらなる強化が必要であるとの発言がございました。
 また、内山田議員からは、大学、研究開発法人、産業界の三つのプレーヤーの連携が大事であり、特に重要なのは国際競争力であり、これを指標として改革を進めていくこと、また、地方の活性化においてもこの三つのプレーヤーが、一律ではなくそれぞれ地域が特色ある拠点化を図ることが重要との発言がございました。
 中西議員からは、遅れている状況を取り戻すのではなくて、日本がリーダーシップをとっていくことができるかということが鍵になるという発言がありました。
 最後に、橋本議員からは、大学、公的研究機関、産業界を一体とするプラットホームの整備が必要であり、特に大学の力をいかに引き出すかが重要、大学改革とイノベーション推進に横串を刺して検討している産業競争力会議と、しっかり連携できるように取り組んでいきたいとの発言がありました。
 最後に、安倍総理からは、以下の発言がございました。
 本日は、天野先生においでをいただいて、大変貴重なお話を聞かせていただいて、お礼を申し上げたい。
 天野先生は、できるはずがないと信じられていた青色発光ダイオードに果敢に挑戦をされ、実験で三千回失敗をしても諦めずに根気強く研究を続けられた。その純粋で傑出をした信念の強さに感銘を受けた。安倍内閣においても、こうしたチャレンジ精神にあふれる人を応援したい。
 更に、第5期科学技術基本計画は、確たる予測が難しくなっているこれからのイノベーションの時代に対応するものとしなければならないと考える。このため、既存の組織の価値観や大学の序列にとらわれることなく、天野先生が今回受賞の研究を行われた時のように、チャレンジ精神あふれる若い人が自由闊達(じゆうかったつ)、果敢に研究できる環境を提供するということが不可欠であると考える。
 過去の計画において、何がうまくいかなかったのか、その真の要因に正面から切り込み、人材の育成や流動化、組織の在り方や資金配分にまで踏み込んで検討していただきたいというお話がございました。
 今日の会議につきましては、以上でございます。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 第4期までの基本計画と比べると、大きく変わった点として、多分一つ、科学技術振興調整費というのが昔あって、例えば女性研究者の支援だとか、若手のテニュアトラックだとか、いろんなものを試験的に、後出しじゃんけんというか、予算が決まった後でも試験的にそういうのを総合科学技術会議の主導でやってきたんですけれども、民主党政権時代に振興調整費なくなってしまって、そういう、何というかイノベーション、基本計画を進めるための潤滑油のようなものがなくなってしまったんですけれども、第5期を検討するに当たって、例えばそういうものを復活するとか、何らかの通常の予算ではうまくいかないようなものをうまくいかせるような、何らかの仕組みというのは検討されているんでしょうか。
(答)もう既に各省がそれぞれ検討に入っていますので、議論としては出てきておるんではないかと思うのですが、私の問題意識としても、今日もやはり数多くの失敗があると、天野先生のお話でもありましたように、ともかく広くやらないとだめだとのお話もありましたので、問題意識としては持っておりますので、また各省の話を聞きながら検討したいと思います。
(問)NHKの木下です。
 総理の発言にもありましたけれども、その組織の在り方含めて踏み込んだ検討というふうなお話ありましたが、その研究者がイノベーションにつながるような研究を行う上で、その大学であるとか既存の組織のあり方というのは大きく変えていく必要があるかと思うんですけれども、第5期の計画の策定に向けて、大臣はそこまで、どのような形で踏み込んでいこうというようなお考えでしょうか。
(答)基本的にはこれからの議論ということですが、当然やっぱりそこら辺、有識者議員からの発言にもありましたので、総合科学技術・イノベーションン会議としてもそこら辺はしっかりと、書きあらわしていくような話になるのだろうと思います。
(問)大学改革とかいろいろ進める中で、例えば文部科学省の高等教育局の補助金だとか、結構5年の期限を限って、ばらばら、ばらばら細かく出しているじゃないですか。そのせいで現場の研究者なんかは、優秀な人であればあるほど、そういうところの書類書きとかそういうのに時間をとられて、結局研究力を削いでいることになるんですけれども、例えば今の予算構造上は、例えば5年のプロジェクトじゃないと新しくとれないとかですね、そういう予算構造の問題があるかと思うんですけれども、そこまで踏み込んでいかれるんでしょうか。
(答)これも、これからの検討だろうと思いますが、やっぱりそういう話、私も就任以来あちこち視察にお邪魔をして、よく聞かされます。確かにそうだろうと思います。そこら辺を何かこう、横串を刺すということもあるでしょうし、あるいはまた、その本当にこの研究どうなんだということを見る、いわゆる伯楽というか、見る目を持った人の育成というのも大事なのでしょうし、当然、課題としては大変大きな課題なので、当然、今回の基本計画の中で議論をされていくはずです。

(以上)