石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年12月24日

(平成26年12月24日(水) 9:33~9:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。

 先程の閣議におきまして、憲法の規定に従いまして内閣は総辞職をいたしましたということであります。

 以上です。

 

2.質疑応答

(問)今日、この後自民党の地方創生実行統合本部がありまして、地方創生の「長期ビジョン」と「総合戦略」を説明されると思うんですけれども、政府としての決定はまだ少し先だと思うんですが、与党にお示しするということで、改めて「総合戦略」と「長期ビジョン」の意義についてお聞かせください。
(答)今回の地方創生ということを行うに当たりまして、これは冒頭から申し上げていることですが、2010年を始期し、50年後を目途とした人口減少に歯止めをかけるという「長期ビジョン」、そしてこれから5年後を目途といたしました「総合戦略」、これを国としてのものをお示しをするものであります。
 これは、我が国の政治史上、初めてこういうものをお示しをするわけであって、もちろん長期計画等々でそういうことをお示ししたことはありますが、地方公共団体と連動する形でこういうものをお示しするというのは本邦初だというふうに考えております。
 人口減少に歯止めをかけるということはスローガン的には言われることなのですが、高齢化に伴いまして人口の減り方というものが何となくリアリスティックに捉えられないところがあったと。しかし、それはそういうような問題ではなくて、本当に本格的な人口減少時代に入る。それに対してどう対応するかというのが「長期ビジョン」であります。
 「総合戦略」については、これはかねてから申し上げていることですが、お役所の作文というものではないということです。国の「総合戦略」を作るに当たりまして、いろいろな方々の御意見を聞いてまいりました。そして、政務が主体的にそれにかかわるということによって、いわゆるお役所の作文ではない、そういうみんなが参加をする形のものを作ったと。ですので、これに対応する「地方版総合戦略」についても、多くの人が参加をするというものにしていただきたいということが一つ。
 もう一つは、企画をし、そして実行し、それを点検をし、そしてまたそれに基づいて新たな政策を展開するというPDCAのサイクルを稼働させるということ。そして、そこの前提として、キー・パフォーマンス・インディケーター、KPIというものを設定をして、その実現に向けて努力をしていくということ。そして、その効果検証、先程申し上げましたPDCAのC、チェックの部分を、当然地方議会というものはあるわけですが、第三者機関的な検証をする、そういうような組織を設けまして、議会と協調・連動するような形できちんとチェックを行うということであります。
 これによって、いわゆる税金のバラマキというものをいかにして阻止するか。それは、それがいかに有効に使われたかという検証の仕組みを入れるというところが全く違うところであります。
 それから、KPIにいたしましても、PDCAにいたしましても、まだとても人口に膾炙(かいしゃ)しているとは思えませんので、これが今回の総合戦略の意義なのだということをよくよくあらゆる手法を使って徹底をさせたいと思っております。
 ですから、一番の特色を申し上げれば、国と地方が連動する形でということ、そしてKPI、PDCAということで、従来とは全く違うものであるということをよくよく国民各員に御了知いただくべく、これは努力が相当に必要だと思っております。
(問)今のお話に関連するんですが、この地方創生の取り組みについて、総理かねてから従来の延長線上にない取り組みだとか、あと異次元の政策というお話をされていました。大臣も今、国と地方の連動だとかKPI、PDCAの仕組みというのが従来と全く違うというお話をされましたが、総理が言う異次元の政策というのが今回は打ち出せているのかどうか、その辺大臣の御認識をお聞かせください。
(答)これは、まだこれから政府・与党内で最終的な詰めを行うところでありますが、自由度の高い交付金ということについても自由に使えるお金がなるべくたくさんということは、それはそのとおりなのですが、そこにおいてKPI、PDCAというものが明確に設定をされているということに対応して自由に使える交付金というものが定まってくるというのは、これは今までにない手法だと思っております。
 あるいは、いわゆる東京の一極集中を排すというための具体的な手法について、これは税の面も含めての、精神論ではない、具体的にそういうものを動かしていくための仕組みを入れていく。そして、これも総合戦略でお示しをしたいと思っているのですけれども、民間にそういうことを言うのだったらば、政府はどうなんだということはございます。やはり民間、国民の皆様方に対してこういうことをお願いしたいというのであれば、政府が率先してそれを行わなければ、誰もそれを本気にしないということであります。
 さらには、日本人のライフスタイルのあり方というのでしょうか、そういうものを変えていかないと、それは地方創生ということにはなりません。
 ここは、また御議論のあるところだと思いますが、国民の方々がこうあれかしこうありたいなと思っている、そういうものに対して政府がいかなるお手伝いをするかという形でございます。
 いろいろなライフスタイルにしても、あるいは国民が御希望の出生数、あるいは労働形態、これを実現するのだという形で上から押しつけるということではなくて、国民の方々が本当はこうあったらいいなというふうに思っておられる。しかし、それはいろいろな状況があって、それが実現できない。そのことに政府がどれだけのお手伝いをするか、あるいはいかにして邪魔しないかということであります。
 ですから、主役はやはり国民であり、それぞれの自治体であり、民間であるということ。そして、それを実現するために政府が何をするか、あるいは何を邪魔しないかというような見方が今までと全く違うのだと思っております。
 異次元というからには、税制面においても、あるいは施策の面におきましても、今までこんなことやったことなかったというようなことに多くの部分触れておりますので、そういうものをもってして今までと違うのだということをよくよく国民の皆様方に御認識をしていただき、やはり主役であるからには、そういう方々に主体的にやっていただくということが大事なのだと思っております。
(問)先程の閣議で総辞職されて、今日にも第3次の安倍内閣が発足するということですけれども、大臣の現在の心境、所感をお願いできますか。
(答)今の安倍内閣というものがいろいろと新しい取り組みというものを進めるというようなことを念頭に組閣をされたものだというふうに認識をいたしております。それは、「アベノミクス第二章」という表現を使うとすれば、今まで大胆な金融緩和、そして機動的な財政出動ということで経済に新しい局面をもたらしたものですが、それをどのようにしてこれから先、グローバル経済のみならず、ローカル経済までそれを広げていくかということが一番大きな目標ではなかったかと思っております。
 そこへ向けて、先程来お話がありますような「長期ビジョン」、あるいは「総合戦略」、これは間に選挙を挟みましたので、少し日程がイレギュラーになった部分もありますが、私自身の感想として、この短い期間において、3カ月という短い期間において、政務も、そしてまた事務方も極めて精力的に活動を行ってきたと。まだスタート段階ですけれども、そして、また欲を言えば切りがないのですが、「長期ビジョン」、あるいは「総合戦略」というものをお示しできるところまで来たと。そして、地方公共団体の方々にも、そういうことなんだねと、今までと違うんだねと。自由度が高い交付金がいっぱいもらえればそれでいいねということではなくて、それはどういう意味であり、雇用において8割、経済規模において7割を占める、いわゆるローカル経済の部分が変わっていかなければ日本は変わらないのだということ、地方創生とは日本創生のチャレンジだということを認識していただくに足るような、そういう文章がつくれたのではないか。そして、文章をつくるだけでは意味がないのであって、この間、地方公共団体の方々、あるいは民間の方々とも随分と議論をし、ここまで来たと思っております。
 ここに至るまでに大変な努力をしていただいた方々に心からお礼を申し上げたいと思うし、それからこれを実現に向かって更なる努力をしていかねばならない。いわゆる新しい日本をつくるのだと。アベノミクス第二章というのは、まさしくそういうことなのだということをここまで作業ができたことは大変に私自身の今までの政治家としての仕事の中でも非常に印象深いものであったなというふうに思っております。
(問)第2次安倍改造内閣で、今地方創生に関しては総合戦略づくり、ビジョンづくりと、一定度のところまで来たと思うんですけれども、今後第3次安倍内閣において地方創生を更に一段階上げていくには、どのような取り組みが必要とお考えですか。
(答)まだこれから与党の中での手続、あるいは政府としての正式な閣議決定というプロセスが重要なものが残っているということを前提において申し上げますが、できればというか、それを確実にやりたいと思っているのですけれども、年末年始を挟みますので、この総合戦略、あるいは長期ビジョンなるものを自治体の執行部の方々、あるいは職員の方々、あるいは二元代表制の一方の当事者たる議会の方々によくよく御了知をいただくというところから始めなければいけないと思っております。
 仕事納めとか仕事始めということが各地方公共団体においてあるわけで、そこにおいて、それぞれの長の方々が国はこういうことをやろうとしていると。我々もそれに呼応して、我々が主役だと。PDCAというのはかくなるものであり、KPIというのはかくあるものでありと、これをやりましょうねということが言っていただけるようにしたいと思っております。
 また、来年は統一地方選挙もございまして、それぞれの地域のあり方についていろいろな選択が有権者によって行われるわけでありますが、それが某県某町であれば、あるいは某県某市であればこれがこのようなものなのだということが論点として提示をされ、それぞれの候補者が思うところを述べ、有権者はそれに対して判断するという、そういう地方の側においての対応というものが大事ではないかと思っております。
 国として、それを支援するための施策が単に自由度の高い交付金で、はい、これが欲しければみたいな、そういうようなことではなくて、そこにおいて、また国と地方との本当に真剣な関係というものが確立をされるということであり、あるいは税制の面においても地方がそういうことをやりやすいような状況をつくっていくということであり、やらねばならぬことは山ほどあります。
 ですが、まず一番大事なのは、何をやろうとしているのかということについて国と地方とが同じ意識を持ち、そして同じモチベーションを持って進んでいくということが極めて大事だと。
 ですから、これから先の5年間というのは、多分この国の将来を大きく左右するものだと思っておりまして、そのことの危機感、そしてまたモチベーション、そういうものを共有したいなと思っております。
(問)今の質問に関連するんですが、本日第3次安倍内閣が組閣されますけれども、地方創生のみならず、第3次安倍内閣に一衆議院議員として大臣が望むこと、要はどういう心がけでこれからの国政運営に当たるべきかというふうな所感というか、そういうものはありますでしょうか。
(答)新しい内閣をつくるに当たって、第47回の総選挙というものがあったわけでございます。そこにおいての一衆議院議員としてのというお話でございますが、それに符合する形で申し上げれば、日本をあらゆる面において他律的な国家ではなくて、自律的な国家として再生するということだと思います。そして、自ずとから立つという言葉を使う「自立」のほうもそうであって、食料にしてもエネルギーにしてもそうですが、他律的なことで国家が大きく揺れ動くということではないようにしたい。そして、また国から何かを受け取るのだということではなくて、地域において自らいろいろな富を生み出すというような、そういうようなことに変えていきたい。それだけの要素が、ポテンシャルが地方にはあると思っております。
 また、エネルギーにおいても、食料においても、そして安全保障においてもそうなのであって、自ら考え、自ら行うというのは、何も地方創生の専売特許のことではございません。やはり国家としてそういうような自律性を確立をしていくという、そういう目標に向かって、仮に天皇陛下から認証を賜り、再任ということがあるとすれば、そういう形で努力をしたいと思っております。
(問)第3次内閣に関連してなんですけれども、直接関係はないかと思うんですけれども、江渡防衛大臣が再任を固辞されて、後任に中谷氏を起用するとの報道が出ております。恐らく政治とカネをめぐる問題で江渡大臣が辞意を示されていると見られるんですけれども、また以前にも2閣僚が政治とカネをめぐる問題で辞任をされた経緯もありますが、こうした問題について、大臣改めて御所見をお願いします。
(答)それは新聞報道でしか存じません。このことについて江渡大臣とお話をしたこともございません。
 江渡大臣が自らの意思でそのようにおっしゃったと、そしてまた総理もそれを了とされたということでありますから、それは江渡大臣の高い見地に立っての御判断だというふうに認識をいたしております。
 中谷さんが後任になるかどうか、それは私が知るところでは全くございません。ただ、中谷さんとももう25年来の友人でありますし、そしてまた安全保障ということについて本当にもう数え切れないほどの時間、あるいは機会を通じて議論してきた友人であります。江渡大臣の進退についても後任の大臣についても、それは総理が御判断になることでありまして、これ以上のことは私が申し上げるところはございません。
(問)今のお話に関連して、閣議の後に江渡大臣が皆さんと何か握手をされたというような話もあるんですけれども、大臣のほうとしては、どういったやりとり、コメントをされたのかというのと、また今回全員が再任されるという予定が変わったことについて、改めてちょっと御所見をいただければと思います。
(答)握手をしたとかしないとかということについて私が申し上げるべきことではございませんが、私が福田康夫内閣において防衛大臣を拝命しておったときに、副大臣として支えていただいたのが江渡現防衛大臣であります。あのときは、まさしくテロ特措法の延長であり、あるいは前事務次官が逮捕されるというようないろいろな防衛省内の問題もございました。イージス艦の事故もございました。いろいろな懸案が山積し、いろいろな問題に直面する中において、江渡副大臣には大変お支えをいただいたということは内閣ができたときにも申し上げたことでございます。ですので、これもあくまで大臣の御本人の意思によるものであると思いますので、本当に3カ月であったけれども御苦労さまでしたというようなことの感慨は、私自身江渡さんと一緒に仕事をした者として持っております。

(以上)