石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年12月16日

(平成26年12月16日(火) 10:40~10:59  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.質疑応答

(問)衆議院選後初めての閣議ということで、この衆議院選を振り返って、与党で3分の2を超えた結果となったんですけれども、それに対する受止めと、また今日の閣議、閣僚懇で、総理からの閣僚人事についての何らかの言及があったかということを聞かせてください。
(答)後段からお答えすれば、閣議、あるいは閣僚懇談会の発言等々については一切しないということでありますので、御承知おき願いたいと存じます。
 この選挙は、私も全国70人ぐらいの方のお手伝いに参りましたが、2年前と比べて、政権を取り戻してもらいたいという、そういう高揚感というものは当然のことかもしれませんが感じられなかった、非常に冷静な反応であったという感じを持っております。これは全国おしなべてそうだったという感じであります。その冷静な判断の結果として、このような御信任をいただいた。
 もちろん小選挙区制ですから、相手にどのような候補者が何人立つかにもよりますが、得票率も伸ばした。また、比例においてもそうであるということです。投票しますときに、当たり前のことですが、支持する理由を付記して投票するわけではございませんので、有権者の御意思がどの辺にありやということは、それぞれの候補者が感じとっていることだと思いますし、今後もこの数ということのみならず、総理が言っておりますように、謙虚さとかそういうものを無くせばあっと言う間に国民の支持はなくなるということをよく自重、自戒しながらこれからの政権運営は進められるべきものではないかと思っております。
(問)関連してなんですけれども、得票率が前回から伸びましたが、一方では投票率が大幅に下がっております。安倍総理の昨日の会見で国民の信を得たということで、今後政策を進めていく考えを示されましたが、一方で、自民党に対する支持は決して国民全てではないということなんですけれども、大臣は地方創生を含めて、安全保障政策、エネルギー政策等、自民党、与党政権をどのように進めていくべきだとお考えになりますか。
(答)これは一閣僚としてあまり党の政策について云々するべきことだとは思いませんが、例えば安全保障政策でも、7月の閣議決定をするに当たっては、多くの報道がなされ、多くの関心があったというふうに思います。あるいはエネルギー政策、原発再稼働についても多くの議論があったわけでございます。ですので、これもまた総理が言っておられることですが、安全保障政策というものをこの閣議決定の線に沿って具体的に法制化する。あるいは、原発もこれは常に我々が繰り返していることですが、最高度の安全・安心が確認され、地元の理解を得たものは再稼働するということと、一方において再生可能エネルギーの比率を上げていくということがあるわけで、そこのところをどれだけこれから先も、もう選挙が終わったんだと、全部公約に書いてあると、このとおりやるんだということではなくて、それぞれの政策を遂行するに当たって、丁寧な説明というのは今まで以上に求められると思います。総理が言う謙虚さを失ったらというのは、そういう含意ではないかと私は推測しているところでございます。
(問)地方創生の総合戦略と長期ビジョンの2点についてお聞きします。選挙前も大臣は自治体に迷惑がかからないように、できるだけ早くというお話をされていましたが、年内に決定するべく作業が進められるのでしょうか。
(答)それはそのとおりでございます。何とか年内にということで、別に精神論を言っているわけではなくて、この選挙中にそれぞれの候補者が地方創生について語ったと思いますが、国の総合戦略に対応した形で、全自治体に総合戦略をつくっていただくという努力義務をお願いしているところでございます。
 そうすると、国の総合戦略ができなくて、さあ選挙のときにはああ言ったではないか、全自治体総合戦略を立てるのか、でもそれは国の総合戦略と符合する形でということを言っているわけですから、これは全国町村会でも市長会でも同じことを申し上げているわけであって、これの作成というものを何とか年内にやるということは私どもの責務だと思っておりますので、政務として事務方をよく督励しながらという言い方はいかんかもしれないが、我々も一緒になってつくりたいと。
 ただ、つくればいいというものではなくて、それが今までと何が違うんだということが明確にされなければならないし、そしてKPIやPDCAという言葉、それは一体どういうものなんだと。私は全国を回っていて、KPIとかPDCAと言うと「はあ」とか言われて、何のことでしょうかという反応であります。それでは話にならんので、こっちだけわかっていればいいというものではありませんから、そこのところを自治体の方々によく御理解をいただく努力も併せてしなきゃいかん。政府が総合戦略をつくりました。はい、これに符合した形でつくりなさい、以上。というようなことがあってはならないと思います。
(問)地方創生の関連ですけれども、地方の団体が求めている自由度の高い交付金について、14年度の補正予算、景気対策の中に入ってくるのか、15年度予算から入るのか、また規模はどのくらいを想定しているのか。もし今の段階でおっしゃっていただけることがあれば見通しを示していただきたい。
 それから、2点目ですけれども、選挙を通じて、地方の方から地方創生でこんなことを我々はしたい、あるいはこんなことを政府にしてほしい、そこら辺で今まで以上にこれはというものが、お感じになったことがあれば教えてください。お願いします。
(答)自由度の高い交付金というものにつきましては、経済対策を策定しなければいけないわけで、その中にこういうものが入ってくるという可能性については、それは否定をするものではございません。ただ、これは従来から申し上げていることですが、経済対策の中に自由度が高い交付金ということを入れるとすれば、それは自由に使えるお金をなるべくたくさんということが御要望として当然あることでございますが、これは先程から申し上げているように、政策目標を設定する。そして、またそれが効果検証を伴うものであるということ。それを内在するということが必要なことでございます。
 ですから、先ほどの御質問にも関連することですけれども、そこのところをよく御理解いただいて、それに符合したものなのかどうかということも検討の対象にはなる。今のところ規模感とか、これを必ず入れるとかということはまだこれからのお話でございますけれども、仮に入れるとすれば、そういうことになってくるのではないかと思っております。
 自由度の高い交付金というものと、総合戦略というのはかなり密接不可分な関係にございますので、そこは自治体にもよく御理解をいただいて、共にやっていきたいというふうに考えております。
 地方創生についての御意見というのは、特にいわゆる地方と呼ばれるところ、東京都23区以外といったほうがよろしいでしょうか、そういうところにおいていろいろな御意見がございました。それぞれの市町村によって、もちろん都道府県によっても違うのですが、自治体によって抱えている状況は全く違うわけです。
 ですから北海道で申し上げれば、例えば日本海側の漁業ということを考えたときに、今まで獲れていた魚種が激減し、ブリが捕れるようになったんだけど、ブリは北海道の人はあまり食べないので、さてどうしましょうと。あるいは、トドがたくさん魚を食べるのでどうしましょう、というお話がある。
 それによって、北海道の漁業というのは日本海側とオホーツク海側で相当に違う様相を呈しているわけでございます。ですから、地方創生に当たっては、それぞれの市町村が主体でございますので、そこは抱えている状況というものをどのように変えるかということなのですよということを御理解いただくとともに、国の側も、こんなメニューがございます。この中からお選びくださいませ、という話ではなくて、その地方の実状というものが、これから地方版総合戦略に反映されると思うのです。
 その地域にカネ、ヒト、モノがどこから入り、どこへ出ていくのか。それはどのようなカネであり、どのようなヒトであり、どのようなモノであるかということを精密に分析した上で、地方版総合戦略というものを立てていただきたい。やはり全てのスタートはそこだと思っているのです。
 ですから、自治体の方々からいろいろな御要望があって、そのときに私が申し上げたのは、そのとおりでしょうと。この霞が関において、その全てを知悉(ちしつ)しているわけではないのであって、その地域においてこういうようなことなのだ、だからこういうようなことを要望するのだ、というものがまず最初にあってということだと思います。
 自由に使える交付金をなるべくたくさんというお話はもちろんあるのですが、それを行うに当たっては、先ほど申し上げたように、いろいろな数値目標を設定し、そしてまた検証システムというものを内在したものでお願いしますと。そして、それがまさしくその地域にぴったり合ったものというものをつくっていただくということではないかと各地においてお願いをしてまいったところでございます。
(問)交付金の関連でもう一つ質問なんですけれども、そうなると経済対策に入れる可能性も否定しないということでしたが、来年度の本予算についてもこれは入れる可能性があるということなんでしょうか。
(答)可能性は排除されません。それはそういうことです。これは、規模感というのは財源との御相談でございますので、なるべく多ければ多いほどいいねというのはそのとおりなんですが、分配は成長を生まないものですから、それを出すことによって、その地域がどれだけ経済的に自立に近づくのかということは極めて重要なことで、それを出しました、はい、それでおしまいです。それが切れたならばもうその事業はおしまいでございまして、ということであってはならないのだと。
 自由度の高い交付金なるものは、それを使うことによって、その地域の経済構造、あるいは雇用構造、産業構造なるものがいかに変わり、そしてそれが今後5年間を目途とするものですから、いかなる効果を発現するものであるかということについては、自治体ときちんとした議論をしていかねばならない。
 バラマキはやらないというのは、それがいかなる効果を発現するものであるかという検証を伴うものですし、それを要望される場合においてはその御説明というものはいただかねばならないということだと思います。
(問)選挙の話に戻って恐縮なんですが、今回、戦後最低の投票率でしたが、大臣の選挙区でも投票率が下がったと思うんですけれども、この投票率が下がった理由について、大臣がどのようにお考えになるのかお伺いしたいんですが、与党の争点、大義がなかったことなのか、野党が対案を示せなかったのか、国民の意識の問題なのか、大臣はどのようにお考えになられますか。
(答)これは多分、これが唯一絶対の理由だというものはないんだと思います。うちの選挙区もそうでしたけれども、相当寒かったし、吹雪もあったし、ということであります。それから、政権が変わるという選択肢が今回なかったわけです。それに足るだけの、過半数の候補者を擁立されたという党が、日本共産党しかなかったと。
 そうすると現実問題として、国民に、自分の一票によって政権が変わるという実感をお持ちいただくのにはやや遠い状況であった。自分の一票で政権が変わるという動機付けみたいなものがなかったということが一つあろうかと思います。
 もう一つは、この選挙の大義は消費税を1年半先伸ばしするのでございます。その間に、地方であり、あるいは中小等々の企業の方々の所得、雇用を改善し、消費税の引き上げはマストでございますので、そういう環境を整えるという仕事を自公政権、あるいは当該候補者にやらせてください。これが大義でありますからと言ったのだけど、頷く人もいたが、何となくよくわからないね、という方もおられて、何のための選挙なのかということを我々は一生懸命御説明をするのだけれども、有権者の方々に得心をいただく状況になったかと言えば、さてそれはどうなんだろうねということもあったかもしれません。断定はできません。人の心は読めないので。
 だから、政権交代の可能性がほとんどというか、有権者が実感できなかった。あるいは何のための選挙かということが、なかなか我々の努力が足りず、御得心いただくに至らなかったのかもしれない、そして悪天候。私が考えられるのはそれぐらいかなと思います。

(以上)