石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年10月14日

(平成26年10月14日(火) 9:31~9:44  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議、閣僚懇談会、特に私ども所管の案件はございません。
 私のほうから冒頭一つ申し上げたいと存じます。
 基本政策検討チームについてであります。先週金曜日まで7日間にわたりまして、私の命を受けまして、伊藤補佐官が中心となり、基本政策検討チームにおきまして各省施策について有識者を交えまして集中的にヒアリングを行ったところであります。都度皆様方には見ていただいていると思いますが、その報告を昨日、伊藤補佐官から受けたところであります。私として、以下3点のような所感を持っております。
 一つは、これは地方創生のために行うものでございますが、地方が何を望んでおり、どのような課題があり、それをどうしたら解決できるかという受け手側の視点がかなり欠落をしているのではないかということであります。理屈が中央の理屈になっておって、受ける側の理屈になっていないのではないか、ここは極めて問題だと思っております。
 第2点目に、霞が関が出してまいります施策の相当部分が、それによって何をやりたいんだと。まち・ひと・しごとと申しますが、論理的に申し上げれば、まずしごとがあり、それによってひとが来て、それによってまちができると、こういう理屈になる。ですから、まち・ひと・しごとというのは語呂が非常にいいわけですが、まず第一は、地方において仕事、それもいろいろな仕事があります。どのようにして仕事をつくり、そして、どのようにして人が来て、どのようにまちができるのかという、そういうようなことがストーリーになっていなければいけないし、それを出す場合は、数値的なものが概念として入っていなければ、それは単なる施策の羅列にすぎないのであります。
 3番目は、これも今回極めて重要な課題だと思っておりますが、重複をいかに排除するかということであります。例えていえば、総務省がやっております「地域おこし協力隊」あるいは農水省がやっております「田舎で働き隊!」、これは非常に現場においても歓迎されている事業であります。こういうものはいかにして発展させ、更に使いやすくするかということで、これは私は別に重複のシンボリックな例になるとは思っていません。例えていえば人材バンクでありますとか分散型エネルギーですとか、そういうのがあるんだったら私の役所もやりたい、うちもやりたいみたいなことで、地方からすると、何が何だかよくわからないというようなことになるわけでありまして、そういうような重複というものは、地方の使い勝手のよさを助長しないということになります。そういう意味での重複の弊害というものも、この基本政策検討チームにおいてきちんと改めていくのだということを確認しなければなりません。
 以上を踏まえまして、本日、以下の3点の指示を出したところであります。
 今まで申し上げたことですが、一つ目は、地方で何が課題であるか、それを解決するためにどのような目標を持ち、その目標を達成するためには、どのような施策が必要であるのかという受け手側、使う側の立場に立った施策を検討すること。これが第1番目。
 2番目も似たような話ですが、そういう考え方に基づきまして、縦割り、重複についてはきちんと問題意識を持ち点検をしてもらいたいということであります。
 今回のヒアリングでそのような論点も含めまして多くのことが明らかになっておるわけであります。要は、地方において経済がきちんと循環する。自律的な好循環というものを地方経済において実現するということが極めて重要であります。その中において仕事を位置づけ、仕事をつくるということに力点を置いて、厚みのある、地方にとってまさしく使い勝手のいい、地方も創意工夫がなくて、中央から降ってきたこれをやればよくなるという時代では全くないわけで、地方の創意工夫、熱意、努力、そういうものが十分に生きるような施策を入れ込まなければ、地方創生というものに値しないというふうに考えておるところでございます。
 そのようなことで、基本政策検討チームを7回やりましたが、まだまだ詰めていかねばならない論点があります。時間はいつまでも無制限にあるわけではないので、時間的なスケジュールということを念頭に置きながら、今週、来週、更に作業を加速させたいということでございます。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)大臣、冒頭の今の3点、所感を述べましたけれども、どのような報告を受けて、この各省庁の縦割りですとか重複をお感じになったのでしょうか。具体的にどの事例からですとか、どういったお考えから思ったのか。
(答)事例を一々挙げていると切りがないのであります。ただ、施策も、これはもう私も嫌というほど経験をしてきた話ですが、こういう施策をやりますと、一体それは地方が本当に望んでいるのですかと。それは各省の理屈であって、地方が望んでおる、望んでいるだけじゃだめで、それがどのような政策効果をもたらし、仕事を創出し、なおかつ、それが循環していくということになるのかという立論というものが余り感じられなかったという報告を受けております。余りというのはかなり遠慮した言い方かもしれません。地方創生という4文字をつければ何でも予算がついてくるみたいな、そういうような片鱗というのか、これが随所に感じられるということであります。それは今までのカルチャーがそうだったからそういうことになるんでしょうが、そこは基本的には考え方を変える。今までの延長線上でいいのだったらば、今までのようにしかなりません。量的変化は質的変化をもたらしませんので、そこは質的変化というものは考え方、すなわち地方の創意工夫というものを最大限生かしマッチングさせるということだと認識をしておりまして、私も全部議事録を読んだわけではないので、全てを知っているわけではありませんが、いかにもありそうなことだという感じがしております。
(問)今のに関連して、基本政策検討チームについてなんですけれども、今後、論点をまだ詰めるところがあると大臣はおっしゃいましたが、今後どのような方法で詰めていかれる考えでしょうか。ちなみに、結構来年度概算要求についてちゃんと見直すということになると、これかなり力量が必要なところだと思うんですけれども、その辺についてはどのように対応されていく方針でしょうか。
(答)それは結果が全てであって、頑張りました、だめでしたみたいな話をしても仕方がない。まち・ひと・しごと創生本部というのは、全部の閣僚が構成員なのであって、縦割りはだめ、バラマキはだめ、地方の視点に立ちなさいというのは全部の大臣について与えられたミッションであります。でき上がったものがそれと違うということはあり得ないことなのであって、これから先、予算編成作業において、そういう認識を持って、それぞれが出してきたもの、そして、それの総和としての平成27年度予算なるものが、それに見合ったものになっているかどうかということだと思います。その力量が問われるといって、まさしく記事には書きたいんでしょうし、そういうことになるわけですが、実際それを私が今、内閣法に基づいて与えられた調整権限に基づいてやっておりますが、これから御審議をいただきますところの創生法案において、その役割が明確になるわけであります。漠然と内閣法において与えられた権限というものではございません。それをいかにして発揮するかであり、要は、結果が全てだということでございます。
(問)今後のやり方についてなんですけれども、これはもう事務的に詰めるということになってくるんでしょうか。
(答)事務的にというのがどういうことかわからないが、今日指示を出したわけですね、また今週から来週にかけて作業をするわけです。その都度その都度、国会日程もありますが、私も含め副大臣、政務官、補佐官で本当にこれが指示に沿ってやられたものなのかということはかなり厳密に見させていただきたい、見る責任が我々にはあるということです。ですから、今週、来週にかけて基本政策検討チームの成果物というものを完成に近づけたいし、完成に持っていきたいということです。
(問)地方創生に向けてなんですけれども、大臣いつも、地方に知恵があると、やる気のある自治体を国が支援していく形をとりたいんだという、自立性をかなり強調されていると思うんですけれども、そうなると、自治体の勝ち組、負け組といいますか、そういったところが広がってくる懸念が地方側に広がっていると思うんですが、その辺の格差是正策についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)冒頭から、のっけから勝ち組があり、負け組がありということだと私は思っておりませんで、その地域のことは地域の人が一番よく知っているということだと思っております。その地域のいろいろな行政を選ぶのも地域住民であります。そして、民主主義に基づきまして選挙の際にいろいろな候補者がいろいろな施策を申し述べるわけでありまして、それをどのようにして有権者が真贋(しんがん)の目を持って見抜くかということだと思っております。ですから、首長に任せておけばそれでいいんだということではございません。成功事例が全て横展開できるかどうかはわかりませんが、例えば全国であちらこちら成功の事例があるのは、民と官というものがうまく連携して動いているというケースでございます。ですから、そこに暮らしている人たちは、そこの地域ならではの知恵は必ず持っている。官がそれに対してきちんと応えるかどうかなのであって、民と官が連携した場合に勝ち組、負け組というものが最初からあると私は思っておりません。そして、それは1年で魔法のように地方創生が成就するということはあり得ないのであって、竹下先生がやられたふるさと創生かしら、あれもそういう含意(がんい)があったと思う。だから、1億円バラマキとは何事だみたいなお叱りもあったけれど、それによって自ら考え、自ら行うという、そういうようなカルチャーをつくるのだというのが竹下先生の御意図であったと、私は近くにいて何度も聞いたことがあります。そういうものだと思っていて、これをやると勝ち組、負け組が出るのだ。じゃ、どうしてくれるんだという発想に最初から私どもは、少なくとも私は立っておりません。

(以上)