石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年10月10日

(平成26年10月10日(金) 9:56~10:17  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 本日、第2回まち・ひと・しごと創生本部会合を閣議前に開催いたしたところであり、議題としては、年内に取りまとめを予定している長期ビジョン及び総合戦略に関する決定をしたところです。お手元の資料に論点の内容をお配りしております。ご覧いただきたいと思います。
 今後、本部員であります各大臣において、これらの論点を踏まえてそれぞれの取組を検証、検討していただきます。年内の取りまとめに向けてご尽力をいただかなければなりません。
 また、私の下に設置をしてございます基本政策検討チームにおきましては、これまでの政府の取組の検証や関係各省からのヒアリングを行っております。本日お示しをいたしました論点や基本政策検討チームの取りまとめ結果につきましては、第2回のまち・ひと・しごと創生会議において、民間有識者の方々も交えて御議論をいただくことになります。
 それから、地方分権改革に関します提案募集につきまして、地方からの提案に対します各省からの回答は今日なされる予定であります。今後集中的にヒアリングを行いまして、各府省の意図、背景事情について御説明をいただき、これを鋭意確認することになります。
 その後でありますが、今月下旬に予定をしております地方分権改革有識者会議の中間取りまとめのタイミングで、各府省からの第2次回答の結果をお示ししたいと、このように考えておるところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先程の創生本部の会合の中で、最後の総理の発言、指示があったと思うんですけれども、ビッグデータを活用して分析するというような発言がありましたが、これは具体的にはどういうことなのでしょうか。
(答)これは、以前から申し上げておりますように、この地方創生というテーマの主役は、市町村だということであります。市町村が我が町をどのようにしたいのかということを出していただくということが基本中の基本でありまして、その際に、一体どうなっているんだ我が町はということについての客観的かつ数値で示されたデータというものは必要不可欠なものだということは承知をいたしております。もちろんそれぞれの都道府県や市町村においていろいろな指標は示されますが、それがどうしてそういう数字になっているのか、そのほかいろいろな自治体との連関がどのようになっているのか、あるいは時系列的にどうなっているのか、傾向としてどうなのかというようなことがなるべく知悉(ちしつ)をしていただくということが重要であります。
 ビッグデータにつきましては、今、鋭意作業を行っているところでありますし、その精度も高めていかなければなりません。地方が、それぞれの市町村が我が町をどうしたいのだというのを出すに当たって必要なデータの提供というものは行われるべきであり、そのために政府として尽力をしたいということであります。
(問)それは全ての市町村に対して統一的な指標というかそういったものを国のほうが全市町村に対して提示するというようなことを考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)なるべくはそうなりたいと思っていますが、先程申し上げたように数字の正確性というもの、その作業を行っております。できるだけそういうものを示したいと思っていますが、まだそれが完成していない段階で、こういうものをいついつまでに、どこどこにということは申し上げられない。ただ、できればそうありたいと思っています。
(問)お配りいただいた長期ビジョン、総合戦略の論点の中について質問なんですけれども、大臣、冒頭にも地方分権のお話をされていましたが、長期ビジョンに当たって地方分権の観点ですとか地方交付税ですとか交付金に関して見直していくというところが見当たらなかったんですけれども、そういったところについては盛り込まれなかった理由ですとか、大臣のお考えについてお聞かせ願いたいと思います。
(答)これはあくまで論点なのであって、これを踏まえて、その論点をこのような方向にしたいということになる。補助金のあり方、交付税のあり方、交付金のあり方というのは、実現するための手段なのであって、手段については論点としてあえて提示をしなかったものであります。
 ここで交付税のあり方についてということを書かなくても、それは手段としてそういう補助金、交付税、交付金というこの3つがあるわけで、それをどうするかというのは手段としての議論です。ですから書いておりません。
(問)大臣はどのようにお考えになられますか。この交付税の制度ですとか交付金について、人口問題、地方問題に関してどのようにあるべきだとお考えになりますか。
(答)それは、今起こっている人口の減少というものに対して、有効な手だてとは何でしょうかということです。これは連綿と続いてきたという言葉をいつも使いますが、交付税が持っている機能というのは、不公平というものを是正するというものと、足らざるを補うというものがございます。そうすると、今の人口減少とかそういうものを変えていくために、その保障機能を足らざるを補うのと、そしてまた等しからざるを補うということで解決できるなら、それはそれで結構なことであります。ただ、今までその機能が発現されていればこんなことにならなかったんじゃないのという議論があるわけで、そこはやはり侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が行われるべきだろうと思っております。ただ、これまで行われてきた制度を短絡的にこれを変えようということではなくて、今の制度でできないのかというお話も当然していくべきものです。ここでは私の考えを断定的に申し上げる段階にはございません。
(問)先程のビッグデータなんですけれども、イメージがわきづらいので具体例を挙げてもらえればと思うんですが、例えば、住民票の移動の情報であったりだとか、そういった情報を使ってビッグデータをつくっていこうと考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)住民票の移動は、それぞれの自治体がしておるわけですけれども、ただ、それがどこへ行きましたか、そういう方々がいかなる年代でどこに行きましたか、あるいはいかなる年代の方がどこから来ましたかというようなことが網羅的にというのか、わかるということは重要なことだと思っております。それぞれの役場に行ってみると、少ない人数で、それこそ日々の仕事に追われていて、そういう数字というものは認識をしながらも、我が町をどうしようかという議論にそれが供されているかどうかといえば、なかなかそこは難しいところもあるんでしょう。ですから、今、例示的に住民票ということをおっしゃいましたが、例えばいろいろなものが生産をされる。それはどこへ行っているのだろう、あるいはどこからそれをつくる物であり、人であり、金でありというのが来ているのだろうというのは、全国全部見てみないとわからないということがありまして、そんな日々の行政の仕事を見たときに、とてもそこまでは難しいよねということが現状ではないかなというふうに思っております。あくまで企画立案をしていくのは地方なんですが、そのときにこういうものがあるといいよねというのがたくさんあるはずなので、私どもがそういうものをつくるに当たっては、市町村がそういうことを考えていただくのにプラスになるもの、とにかくこっちから押しつけ的にどんと出して、さあ、これで考えて、ということを言うつもりはありません。こういうものがあると便利だよねというものをできるだけ出したいと思っております。
(問)先ほどの朝の本部会合の総理の挨拶に関連してなんですが、総理は、次回の12月の本部会合でビジョンと総合戦略の骨子を決定していくと。これを受けて当面の地域活性化対策と年内の予算編成をあわせて取りまとめるとおっしゃったんですが、年内に総合戦略をまとめる、あるいはビジョンをまとめるという一方でお話があって、通常流れとして考えると、総合戦略とビジョンが決まって、当面の活性化策だとか予算編成に流れていくというのが、通常わかりやすい流れかなと思うんですが、何か違う流れを想定されての御発言なのでしょうか。
(答)そうではありません。そういうふうに聞こえたとしたらば、それはなかなか真意を御理解いただく努力が私どもに足りなかったということだと思っております。
 例えば、今日お話をいたしましたように、基本政策検討チームを立ち上げて、そもそも考え方はこうあるべきだということは、長期ビジョンとか総合戦略が出る前の作業としても行っているものであります。ですから、長期ビジョンあるいは総合戦略というものが出なければ何も始まらないというのではない。それは議論の過程を経て出てくるものであって、全体的に予算編成がなされたときに、その全てが予定調和とはいいませんが、整合的になるようにしていかなければなりません。ですから、それが出るまではそういうものは全く関係なくいろいろな政府部内において作業が進んでいくということではございません。
(問)関連してなんですが、これも総理の発言ですけども、当面の地域活性化対策をやるというのと、一方で、来年は中長期の構造問題に取り組んでいく。これもまたうがった見方かもしれませんが、来年は中長期の構造的な問題というのは、それは年末に決める総合戦略には中長期的な話は入らないという趣旨ではないということでよろしいわけですか。
(答)そうではありません。ですから、そう聞こえたとしたらば、我々の説明の仕方が足りなかったのかもしれません。先ほど整合的という言葉を使いましたが、年内に総合戦略、長期ビジョンというのをつくるだけでもこれは大変なことなのであって、それと来年度の予算編成、これは当面というのでしょう、それが不整合であってはならないということですが、それを取りまとめるということになって初めてとは言わないが、それがオーソライズをされて中長期的なものに取り組めるということも事の当然ということでございます。ですから、当面ということと中長期というものが絶対に矛盾しないようにしていかなければならないし、当面の作業というものが中長期の流れの嚆矢というかな、きっかけになるようなものでなければいけないし、そのようにいたします。
(問)石破大臣、話変わるんですけれども、今日夕方にノーベル平和賞の発表があるんですが、憲法9条を保持してきた日本国民に対して有力視される向きもあるんですけれども、こうした状況というのをどういうふうに大臣としては受け止められるかというのと、今日閣議の際に安倍総理と9条に関して何か触れられていたようなんですけど、どういった話をされていたかなと。
(答)ノーベル平和賞を受賞するかどうかはわかりません、これはね。文学賞でも村上さんがもらうの、もらわないのという話があって、毎年残念だったねみたいな話があるわけですが、それは仮定のことについてお答えをしてもしようがないので、これはわかりません。発表を静かに見守るということに尽きます。
 また、閣議の前の閣僚応接室で話したことをここでお話しすることではございません。
(問)今有力視されているという現状については、どういうふうに。
(答)それは有力視されているということが事実だとすれば、そういうことなんでしょう。ですから、村上さんもいつも有力視をされているわけであって、この手のことというのは本当に発表にならなければわからないのであって、そういう段階であれこれ申し上げるべきではございません。
(問)基本政策検討チームについて伺います。これまでの議論を見てみますと、各省から来年度の要求ものですとか、あと自治体も、これまで地域活性化策に成功した自治体というか、そういう意味でいうと、大臣、前からおっしゃっていらっしゃる失敗事例というのはなかなか出てきていないのかなという受け止めをしております。これまで議論してこられまして、そういう検証機能がちゃんと働いているかどうかということについて大臣はどうお考えでしょうか。
(答)なかなかこれは失敗作でございましたということを言いにくいというのは、別に我々の世界に限ったことではございません。ただ、どうしてもそういう場になると、失敗事例というものを検証するというよりも、こんなにうまくいきましたよということを言うというのは、それは世の倣い(ならい)のようなものでございます。ですから、失敗事例というものは、それはこれから先もお願いしていかねばならんでしょう。ただ、限られた時間の中でやるに当たって、必要なのは我々中央省庁の都合ではない、使う側のユーザーの側がどう思っているかということです。中央省庁が成功だと言おうが、失敗だと言おうが、実際に使う側がどういうふうに考えているか。だから、うまくいっているよねということがあるとして、例えばA省というところB省というところが、同じ政策目的で違う事業をやっているとします。それぞれが効果をあらわしているとしましょう。ですけれど、地方にとってもっと使いやすいやり方ってないんだろうかということはあるんだと思います。ですから、それぞれの省庁が自らの正当性を述べるのは、それはそれで当然ですが、もう一歩進んで、使う側から見てどうなんだろうねということであります。ですから、私どもとして常に心がけねばならないのは、ユーザーの視点に立ってどうなんだということであって、事業仕分けのように、これを切れ、あれを切れとかそういうことを言っているんじゃありません。使う側が、より使いやすいものって何なんだろうということは、使う側のお立場、御意見というものを最大限配慮してしかるべきであり、検討チームにおいても、そういう視点でこれから議論をさせたいと考えております。
(問)各省からの政策についても、これまで過去の検証というよりも、どっちかというと来年度予算編成に向けてどういうふうな方向性でやっていくかというような議論のように見えるんですけども、その辺はいかがでしょうか。
(答)そこは伊藤補佐官が中心となって私の命を受けてやっているところでございます。その報告は逐一受け指示は出しておりますが、今御指摘のようなことがありとすれば、そういう話も大事だが、使う側にとってどうなのだと、それがよりよい効果をあらわすためにはどうすればよいのだという視点でこれから先議論を進めてまいります。
(問)所管外で恐縮なんですが、弊紙の元ソウル支局長がソウル中央地検によって名誉棄損で在宅起訴されましたけれども、権力と報道機関のあり方という観点から大臣の御見解があればお聞かせいただきたいんですけれども。
(答)健全な民主主義国家において健全な言論というものが保障されるということは、それは大原則です。これは私、防衛庁長官のときも防衛大臣のときも、農水大臣のときも幹事長のときも言ったんですが、あくまで報道の自由というものが担保されて民主主義というものはあるのだと思っております。それに尽きるのであって、内政干渉めいたことを申し上げるつもりはございませんが、民主主義において報道の自由というものがあくまで守られねばならないということに尽きるのだと思っております。
(問)先程質問に出ましたけど、ノーベル平和賞の件で、閣議の前に話したことをここでお話しすることではないとおっしゃられましたけど、我々聞いている前で総理とお話になられた際に、大臣の方から、政治的ですねという話を促されたということなので、その政治的というのはどういう意味というか、それをちょっと確認させていただきたいんですが。
(答)それはノーベル平和賞というのは物理学賞とか、あるいは化学賞とか、そのようにかくかくしかじかという業績というものが客観的にあらわれて受賞するというのとは、これは9条に限って物事を申し上げているわけではありません。いろいろ今まで平和賞というのがございました。それぞれ大変な功績を上げられたということなのでしょう。ただ、その主体が人の行為であるということと、客観的に業績としてあらわれ新しい発見があった、新しい技術というものが実用化されたというものとは異なるという、単に事実を申し上げたものでございます。

(以上)