石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月19日

(平成26年9月19日(金) 10:42~10:58  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 こんにちは。
 月例経済報告に関する関係閣僚会議、閣議、閣僚懇談会と続けてございました。
 月例経済報告におきましては、いろんな経済指標というものが示されたのでありますが、地方あるいは所得階層によっていろいろな様相を呈しておるわけでありまして、私どもとして、よくそれを認識しながら、今後の政策立案の参考にしていかなければならないと考えております。
 閣議におきましては、私ども関係の案件はございません。特に発言もございません。
 ということで、何か御質問があれば、どうぞ。

2.質疑応答

(問)大臣、冒頭、経済指標のお話ありましたけれども、地方創生の中では、地方の活性化で、地方の景気対策等もあると思うんですが、アベノミクスが全国津々浦々、隅々に届いていないという認識は総理も大臣も示されていますけれども、今後、地方の景気対策等について、例えば臨時国会で何らかの手当てをするとか、年末の予算に反映させるとか、大臣の御見解をお願いいたします。
(答)これは、具体的にこういう施策がということを今申し上げる段階ではございませんが、例えば、今日提示されましたいろいろなデータを見ますと、大企業に比べて、地方に多い、もちろん東京、大都市圏も多いのですけれども、中小企業、零細企業の賃金の上がり方というものが少ない、賞与の額も少ないということがございます。また、そういうような所得の方々が、所得の減少よりも支出の減少のほうが大きい、いわゆる財布のひもが固いということでしょうか。地方においてそういうことが多いということ、あるいは燃料代が、地方では4人働けば4台車があるわけで、そういうような細かいところを見ていかなければならないのだと。どういう地域の、どういう方々に、どういう手当てをすればよいかということを細かく積み上げて、効果を発現しなければならないということでございます。
 今後の予算について、今の段階で申し上げるべきことではございませんが、いわゆるバラマキを排すとか、重複を排すということは、精神論、スローガンで言っているのではなくて、本当に困窮している方々、あるいは、そのことによって経済全体の効果を発現し得る地域あるいは人々というものに焦点を当てねばならんので、バラマキとか重複を排すということは、言葉を変えて言えば、本当にきめ細かい実効性のある手当てをしていくのだということになると考えております。
(問)今お話にありました、バラマキ対策に関することでお伺いします。これはつまり、来年度予算の査定基準をどうするかという話になるかと思うんですけれども、こうした基準は、まち・ひと・しごと創生本部で作っていく総合戦略や長期ビジョンというものが本来は当たるのかなというふうに思っているのですが、この総合戦略や長期ビジョンが完成するのは、おそらく予算編成の時期には間に合わないかと思うんですけれども、こうした明確な指針がない中で、何を基準に概算要求の中から必要な事業を選んでいったらいいのか。お考えを聞かせてください。
(答)そこは総理の指示の中で、はっきり出ているわけであります。そしてまた、閣僚全てがまち・ひと・しごと創生本部の本部員ということになっているわけで、その指示を踏まえた上で概算要求を精査し、予算編成は行われるということになります。ですから、長期ビジョンにもそういうことは反映されることは当然ですが、長期ビジョンと予算編成の作業が全く乖離(かいり)したものになるということはあり得ません。
 また、私どもで調整をし、そしてまた主計局と連携をしながら、総理の指示というものが具現化されるように努めるのであって、ビジョンの作成と予算編成がやや跛行性(はこうせい)を持つからといって、それが反映されないということにはなりません。
(問)安倍内閣が最重要課題と位置付ける地方創生の実現に向けて設置した有識者会議の初会合が、今日、ありますけれども、具体的にどういった論点、どういった視点からの議論を大臣は期待されているのでしょうか。
(答)そこは実際にやってみなければ分かりません。さればこそ期待をするのかという御質問かと存じます。
 それは有識者としてお願いをした方々は、それぞれの分野において見識の高い方であろうと。それぞれ現場のいろいろな実情に通暁し、そしてまた、思い付きではなくて、一つの体系立った、という言い方が正しいかどうか分かりませんが、考え方をお持ちの方々であります。加えて、そこには観光なら観光、あるいは農業なら農業、あるいは教育なら教育に、非常に深く知見をお持ちの方々も入っていただいておるわけでございます。
 ですので、先程のお答えと重複をするのかもしれませんが、どういう政策・施策が最も効果的なのか、それは、なぜならばこういうことによるものであるということを、もちろん議論ですから、いろいろな試行錯誤はあろうと思いますが、こういう施策をとるのであると、なぜならばこういう効果が発現されるからであると。今までの施策も、もちろん全てが全て間違っていたわけではないが、時代に合わなくなっているものが出ている。それは政府の政策のみならず、地域であり民間の取り組み方がどうなんだろうかということを発信するものでなければなりません。単に官がこうするということを発信するだけではなくて、それぞれの地域が、あるいはそれぞれの民間の方々が、漠とは思っているけれども、ああ、そういうことなのだということを示せるものでなければならんと。
 この地方創生というのは、官だけでやっても絶対に失敗します。民の意識改革というものも当然必要なのですが、それが思い付きのような話ではなくて、今、世の中はこうなっていると、経済はこうなっていると、世界の流れはこうなのだと、その中にあって、なぜこういうことをお願いするかということが明確に発信される、そういう議論を期待いたしております。
(問)先程質問で、予算編成の関連の質問のお答えと関連するんですけれども、通常、概算要求が出てきて、年末の予算編成に当たって財務省が査定をしていくという流れは通常のパターンだと思いますが、大臣も先程、主計局と連携してというお話ありましたけれども、創生本部としては、査定に当たっての、地方創生とはどういうものかというような基準を作ったり、優先順位付けというんでしょうか、そういった、どう査定をしたらいいかという、方針みたいなものを示す作業というのが進められていくことになるんでしょうか。
(答)それは、我々は査定官庁そのものではございませんので、そういう明確な基準を定型化してお示しするというところまで今考えているわけではありませんが、こういうことであるべきだと、それはすなわち、こうしなければ地方は創生されない、何だかあまりこなれていない言葉ですが、そういうような明確な方針が出ることになります。
 ですから、主計局と連携してと申し上げたのはそういうことであって、主計局は当然主計局の見方があるわけで、私もそれは、防衛省なり農水省なり、予算編成に当たって随分主計局とはやりとりをしてきたことですが、ここに地方創生本部というものが入る、まち・ひと・しごと本部というものが入ることによって、地方創生とはどういうことなのだということの理念が、それと当然セットになるものだと考えております。
(問)ちょっと個別の施策のことになるんですが、総理が3年で3倍に増やすとおっしゃっている地域おこし協力隊について、大臣、何かその有用性をどうお考えになっているのか。そして、これを実際増やすに当たっては、どういった課題があるとお考えなのかをお聞かせください。
(答)それは、本当にその協力隊の行うことが実効性を伴うものでなければなりません。一体その地域にどういうような問題が存在しているのか、そこにおいて協力隊が果たすべき役割は何なのかというビジョンが、考えが、ストラテジーと言ってもいいのかもしれないが、そういうものが明確になって、協力隊というものは初めてその役割をなすものだと考えております。それは、全国何千という市町村があって、1,700だったかしら、そこにおいて抱えている課題は何だというのは、実はその地域が一番知っている。それがそもそも分からないようで、創生などあり得るはずがないということですね。そこにおいてどういうような課題があり、そこがそれをどのように取り組もうとしているのか、あるいは周辺の自治体との連携はどうするのかということが、いわゆる学者の診断みたいな話ではなくて、自分たちで明確な考え方を持ってそこへ赴くということだと思います。
 ですから、数を3倍にするということは、単に量を増やすということではなくて、クオリティ自体も上げていかなければならないということなので、数だけ増やせばいいという考え方ではございません。
(問)大臣、直接の御担当ではないかもしれないんですが、ふるさと納税について伺いたいいんですけれども、制度が広まって地方に寄附金が大分行った、あとは、プレゼントなどの効果によって農産物などのアピールにもなったと評価する声がすごく多い一方で、過度なプレゼント合戦になっているのではないか、本来の趣旨とは変わってきたんではないかという懸念もあるんですけれども、今後制度拡充というような声もあるのですが、大臣はこのふるさと納税制度そのものについてどうお考えかということと、今後やっぱり拡充されていくというような御方針なんでしょうか。お願いします。
(答)併せて答えますから、御質問どうぞ。
(問)すみません、重複して恐縮ですけれども。通常、事業の改善を促すために、概算要求、一旦出したものを差し戻して改善を促すというのは通常の予算査定の流れだと思うのですけれども、それとは別に、また全く新しく、ゼロベースで予算を出し直すようにというふうに各省に求めるようなことも検討されているんでしょうか。
(答)そちらの方から先にお答えすれば、今の段階で確たるお答えはございません。あまりゼロベースでやり直せというのは例として多くないとは思っておりますが、要は、効果を発現するために、あらゆる可能性は否定されないとしか申し上げられないので、更によく検討して、またお答えをいたしたいと思います。
 ふるさと納税は、ちょっと私もよく勉強しようと実は思っておって、おっしゃるように、イカの次はタコだ、タコの次はカニだみたいなことで、どんどん特典がラグジュアリーになっていってということと、税の理論はどうなるんだということについて、私は総務省の見解を聞いてみたいと思っております。
 ですから、それは税の理論の中で、このふるさと納税なるものが何なのだと、それによって、どれぐらいの納税がその地域になされるか。それがあまりに特典がすごくて、納税もいっぱいされましたが、プレゼント代もすごい額になりましたと。いやいや、それはそれで、その地域のものが売れ、その地域の産業が活性化するからよいのではないかとかいうと、これは税の理論としてどうなんだいという気が実はしておりまして、ふるさと納税の税制上の課題についての研究が多分あるのだと思っております。
 次の機会までにというと、やらないで来て、ばかものみたいなことになりますが。総務省のお話も聞きながら、ふるさと納税の税制上の課題と今後の方向性みたいなお話を、ごめんなさい、ちょっと着任したときにそのことも考えたんだけど、ばたばたしておりまして、まだその手の論文を収集しきれておりません。すみません、もうちょっと時間を下さい。

(以上)