石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月5日

(平成26年9月5日(金) 11:12~11:31  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。お待たせをいたしました。
 10時から閣議終了後閣僚懇談会がございました。私どもの関連案件はございません。また閣僚懇談会においての私の発言もございません。
 何か御質問があれば承ります。

2.質疑応答

(問)総理が、秋の臨時国会に地方創生関連の法案を提出するとお話しになられていますけれども、これをどのような形で1本の法案で出すのか複数法案を出すのかを含めて、現段階での準備状況を教えていただけますでしょうか。
(答)現在、検討中であります。地域再生法、これの改正等はございますので、ごらんいただければと思います。その他法案につきまして、どのようなものをどのような形でいつ出すかということについては、現在内部で検討中でございます。
 これは出せばいいというものではないので、どういう形で何を盛り込むということは、相当深い議論というものをしていかなければなりません。そのようなことで、地域再生法の改正というのはマストだと思いますが、その他の法案につきまして、かなり精力的に作業をこれから行っていきたいということであります。
(問)道州制について1点お伺いします。先日の記者会見では、そのあり方を検討するというような結論にとどめるのではなくて、結論を見出していきたいと述べられたと思います。
 ただ道州制については大臣も御指摘されたように、全国町村会や議長会が強制的な合併に追い込まれることを懸念して、強く反対しております。また、国は国の役割に集中し、地域で決められることは地域で決められるようにするというような目的を果たすためには、国会や中央省庁の人や権限を大幅に地方に移すことになるわけですが、およそ現実的とは思えないという見方もあります。
 そこで、本来の目的を達成するための手段として、大臣は、道州制は検討に値する手段だとお考えなのかについてお伺いしたいと思います。
(答)それは当然検討に値する手段であって、さらばこそ今日まで道州制の議論が続いてきたということでありますが、では議論は深まったのかというと、もちろん党におりましたときも、この議論は今村雅弘代議士が長となって詰めてきたものであります。
 それは携わる方々は本当に熱情を持ってかんかんがくがくの議論をしたのですが、それが広く広範にシェアされているかというと、私は余りそういう感じを持っておりません。むしろ反対であるという方のほうが、数的には多かったのではないかと思っています。それはまさしく御指摘のように、それはもっと広範な合併につながるのではないのか、平成の大合併だって、あれ、余りよくなかったよねという感じをお持ちの議員もたくさんいたと思います。
 また、ましてやその広範に国民の中でそういう議論が行われてきたかというと、余り私はそういう印象は持っていないのです。
 これはほかの話でもそうなんですけれども、賛成の人は賛成の人ばかり集まって「そうだ、そうだ」という話をする。反対の人は反対の人ばかり集まって「だめだ、だめだ」という話をする。それが交わらないままにものすごく長い年月が流れたのはなぜなのかというと、リアリティーを持たれていない。霞が関、永田町にいろいろなものが建ちますよね。あるいは道州制になると、中央省庁はどうなるんですかねと。そうなったときに、農林水産省設置法ってどう変わるんだろう。国土交通省設置法ってどう変わるんだろうという話を聞いたことがない。多分誰もしていない。
 さらには、国の統治機構において国会がどうなるんですか。あるいは設けられるそれぞれの統治機構はどうなるんですかと。そこに民主党政権が地域主権という、私にはよく理解が難しい概念を持ちだしてこられた。
 主権というのは私が知る限り国民主権と国家主権の二つしかないはずだ。地域主権という言葉は、それは造語としてはあるのかもしれないけれども、その概念は極めて不明確なものである、ということは、私、たしか鳩山内閣ができて最初の予算委員会で私は政調会長として質問した覚えがありますし、いただいた答えも全然釈然としなかった。そこでまた議論が混乱したということだと思います。
 何でそれが交わらないのかといえば、そういう議論が欠落したままに、理念だけが走っているので、そういうことになったと思っております。
 ですから、それは私はああだ、こうだと言って結論めいたことを申し上げることはいたしませんが、そういうお話を詰めていかないと、いつまでたってもお話は前に進みませんということだと思います。そういうことがあってはならないし、広く国民の議論に供するとすれば、そういうものもあわせて提示をしないといけないのではないか。
 道州制というものを等閑視するつもりは全くありません。しかし、道州制というのは、この間申し上げたように手段なんです。国は国のことを、地方のことは地方のことをそうだよね。ではそれを実現する手段として道州制、この議論がさらに加速し、いや、でも、それを実現するためにはこんな道もあるのではないのかということを封殺してもどうにもなりません。ですから、そういうことが今後必要なのだと、私は確信しておるところでございます。
(問)地方創生の有識者会議のことでお伺いしたいのですが、きょう、経済財政諮問会議と産業競争力会議から民間議員を新しく内定しましたというような発表がありまして、その産業競争力会議のほうでは、何名かの方が会議を離れられるんですけれども、増田さんと、あとコマツの坂根さんも抜けられると。このお二方は特に地域経済のこともお詳しいと思うんですけれども、今後、その地方創生の会議のほうに加えていくお考えがあるのかということと、まだ会議自体がいつごろ開催するような見通しなのかということを教えていただけますか。
(答)会議自体はなるべく早く立ち上げたいと思っております。それに向けて人選もしていかなければなりません。今、どなたがどうのこうのということを私が申し上げるべきだとは思いませんが、今、お話がありました増田さん、あるいは坂根さん、私も長くいろいろな御指導というか、いただいてきた方であって、本当に卓越した識見をお持ちの方だというふうに申し上げておきますが、今、この時点で誰ということは申し上げるべきだと思いません。
 ただ、これ早くやらないといけませんし、その人選は、なるべく早く総理あるいは官房長官とも意見交換しながら人選を了したい。そして1日も早くこの会議を行いたいと思っております。
(問)大臣、各省庁の縦割りですとか縄張り争いを排していきたいというふうに先日からおっしゃっていますけれども、この地方創生本部の職員は、基本的に各省庁から来られている方が半数以上だと思うんですけれども、こういった状況でなかなか各省庁の要求とかを廃しにくい状況にあると思うんですけれども、その点に関して今の大臣のお考えをお聞かせ願いたいのが1点と、あと、各地方の知事から地方企業の法人減税ですとか、ふるさと納税ですとか、そういった要望もいろいろ出ていますけれども、こういった各県の地方の知事の要望をどのように今後の政策に取り入れていかれるのか、具体的なお考えがあればと思います。
(答)先日の会見で各省からいろいろなものが出てくるだろうと。それが従来の延長線上であって、あるいは焼き直しであって、要はそれぞれの省庁の予算の増額というような、そういうものは認めないということです。
 それがどのような、まず重複を排することは当たり前だと。名前が違うだけで実はほとんど同じことをやっているのだろうというものは、重複は排します。
 それから従来の事業の単なる増額というようなものは認めません。さらには、それがどういう効果をもたらすのか。いろいろな政策が、これも繰り返しになりますが、決算委員会で議論はされているんだけれども、それにはタイムラグがあるわけですよね。国会の権能として決算委員会で検証はするんだけれども、それはタイムラグがある。
 それぞれの政策がいわゆる政策サイクルのもとで、きちんと検証され、やめるものはやめると、リニューアルするものはリニューアルすると、拡充するものはすると、そういう政策サイクルが余りうまく動いていないと思うのです。
 ですから各省庁にそれは説明責任があるのであって、それを果たさず、それが納得できないものはそれは認めることはいたしません。それは認める認めないというのは、それは担当大臣としてそういうことはきちんと申し上げていかねばならないと思っております。
 ですから、そこは大臣たちも、みんなこの創生本部の本部員であります。大臣というのは、ともすればその省庁の利益の代弁者と化すという例が全くなかったと私は思っておりませんし、そっちのほうが役所の受けはいいわけです。
 私みたいに防衛省でも農林水産省でも、それはゼロから見直せなどということを言われると、大体余り歓迎されないことに相なっておりまして、そこはみんな各省の行政の責任者であると同時に、創生本部の本部員でもあるのだと、それが最重要政策なのだと、今回、従来と同じことをやったらば、これは安倍内閣の看板政策というものに値しなくなるという認識を常に持っていただければ、そういうことはなくなるし、なくさなければいけないということだと思っております。
(問)知事からの要望については。
(答)これは、就任の日に山田知事会会長がおいでになりました。そういうようなお話もいたしました。知事会でも、いろいろなアイデアを出してきたが、なかなかそれが実現していない。これは何としても実現したいという話なので、それは実現しないにはしないなりの理由があるのでしょう、ということです。
 そこをもっとこの内閣が新しく発足したのを契機に、あるいは地方創生担当大臣というのができたのを契機に、今回、知事会の意見、あるいはそれは町村会の意見でもあるかもしれません、地方六団体とよく申しますが。それが事務局が書いたものを羅列したのではなくて、それぞれの地方の首長として、実際にこれが必要なのだというリアリティーかつ説得力を持った言葉でつくってもらう。そしてそれは私と地方六団体の長が、かんかんがくがく詰めた議論を行うということは絶対に必要なことだと思っております。
(問)臨時国会での法案の話に戻ってしまうのですが、地方再生法を含めてその地方創生というものが国民にわかりにくいこともあって、具体的にこの法案を通じてどのような目的を達するための法案を整備するというふうに現段階でお考えなのか、もう少し具体的にお伺いできればと。
(答)それは法案の中身になってしまいますが、何のために地方再生というものを行うのかということは、全てに共通した理念でなければなりません。また、それを行うに当たっては、それぞれがいかなる立場でいかなることを担うかということも考えていかねばなりません等々、そういうようなイメージを私自身、まだ役所の中で議論しているわけではありませんが、持っております。
 ですから、そういうような法律をどのようにするかということは、先ほどの答えと重複いたしますが、早急に役所の中で詰め、政府の中で詰め、先ほどの再生法の改正と合わせてそれらが整合性を持ったものとして、国会の御審議をいただけるようなものとして仕上げたいと思っております。
 まだその内容とか提出時期について、具体的に申し上げる時期ではございません。
(問)先ほど、創生関連の有識者会議ですが、1日も早くやりたいということでしたけれども、本部自体の初会合の日程というのは、固まりましたでしょうか。
(答)まだ具体的に申し上げる段階ではございませんが、決まり次第貼り出し等々によって御了知いただくようにいたします。
(問)地方創生といったときに、東京への一極集中の是正ということも何か視野に入れて政策等をやられるおつもりはありますでしょうか。
(答)ごめんなさい。先ほどちょっと十分に言えなかったかもしれませんが、それは当然のことです。
 その東京の一極集中の是正というのは、実は何十年前から言われていることで、私が小学生のころからそんな話があったような気がしています。
 ところが一方において、集中の利益という議論もあって、そこへ集中すること即ち日本全体の活力なのだという御意見もこれあり、東京一極集中の是正って話は、これまたかけ声としてはあるんだけれども、近年の状況を見ると、特にオリンピックというものの開催が決定してから、良い悪いの話をしているのではなく、数字として再び東京に人・物・金というものが集まるようになっているということをどうするのだというお話は、東京がより活力あり、より安心で安全で快適なまちになるということもあわせて実現していかねばならないことで、このプロジェクトをやるに当たって絶対に避けなければならないのが、都市対地方、なかんずく東京対地方という構図にしたらこのプロジェクトはまず成功しないと思っています。
 ですから、これが東京も地方だよという言い方もありますけれども、そういう言葉遊びをするつもりは私はないんだが、それが地方が若者が安心して働き、家庭を持ち、子どもをつくり育てることができ、そしてまた地方において高齢者も安心して住まえる。そういう地方をつくるということと、東京がより活力を持ち、より安心・安全で快適なまちになるということは、それを両立させなければいけないことなのでしょう、私はそう思います。
 ですから一極集中の是正というのはそういうことです。それをきちんと打ち出すということが、今回のプロジェクトの目的と言ってもいいでしょう。

(以上)