石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月3日

(平成26年9月3日(水) 21:53~22:20  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 地方創生担当大臣を拝命をいたしました石破であります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 冒頭の発言はもう先ほどと繰返しになりますから、時間の重複を避けますために割愛をさせていただきます。
 御質問があれば承ります。どうぞ。

2.質疑応答

(問)今回の改造を機に大臣補佐官が一人任命できることになったと思うのですけれども、石破大臣は任命されるお考えがあるのか、ある場合どのような方、民間なのか国会議員なのか、その辺現時点の大臣のお考えをお聞かせください。
(答)この仕事は、各省の縦割りを排していかねばならないということであります。もちろん副大臣、政務官というラインも使ってまいりますが、縦割りを排していくというためには、相当の知見とエネルギーが必要だと承知をいたしております。したがいまして、そのような知見を有した方であり、そしてそのようなエネルギーを持った方ということなので、今御指摘のように、民間か国会議員かということを今明確に申し上げることはできませんが、その両方を兼ね備えた方をなるべく早急にお願いをいたしたいと思っております。以上です。
(問)国家戦略特区の農業特区について伺います。現在、新潟市と兵庫県養父市が指定されておりますけれども、両市とも企業の農業参入を促すという狙いで農業生産法人の出資規制を緩和するという内容の提案をしています。企業の農業参入については撤退による耕作放棄地の発生なども懸念されていますけれども、その点について大臣どのようにお考えかをお聞かせください。
(答)どのようにすれば撤退による荒廃地あるいは産業廃棄物置場のようにならないかということを考えなければならないのではないでしょうか。撤退してそういうことになるから駄目だというのは、私は理屈として余り正しいと思っていません。どうすれば農業の生産力が増大をし、雇用が増大をし、所得が増すかというのが目的なのであって、そのために私は企業の参入というものを否定するものではございません。
 ですから、病理現象だけに着目をしてそれを排除するという考え方は私は採りません。病理現象が起きないためにはどうすればよいかという処方箋を考える。それによって企業の参入を促すというのは飽くまで手段です。農地が守られ、そして所得が上がることによって後継者ができる、それが目的ですから、企業参入は飽くまで手段でしかないということであります。
(問)よろしくお願いいたします。
 地方分権の推進についてまずお尋ねしたいのですけれども。今年から提案募集方式が導入されているのですが、この前各省庁の一次回答が出て、かなりの部分が、8割方が対応不可ということで地方の知恵を絞った提案が途中段階でありますけれどもなかなか厳しい状況であるのですが。やはり地域活性化にも繋がることだと思うので、どのように対応されていくかまずお尋ねしたいと思います。
(答)これは規制の緩和に係る部分も多々あろうかと思います。規制には社会的規制と経済的規制というのがあるのであって、経済的規制は事業者のきちんとした選択がなされるという条件が具備をされたとするならば、それはなるべく廃していくべきものだと思っております。
 しかしながら、社会的規制というものはむしろ強化をされる面もあってしかるべきだというふうに考えております。それは省庁の発言権とかそういうものを強化するというものであればそれを認めるつもりはございませんが、それが国民の安心、安全を守るというものであるならばそれは続けていかなければならないものだと思っております。
 ここにおいて必要なのは、やはり今おっしゃったようなその地域の自発性というものは大事にしていかなければならない。それぞれ市なら市、町なら町というように一律に切っちゃうのじゃなくて、いろいろなところにいろいろな緩和があり、分権があるのだと思うのですね。ですから、それがその地域の人々のいろんな条件というものをきちんとクリアして、それがその地域の発展に資するものであればきちんと認めていきたいと思っています。
 いっぱい応募したのだけれども、たくさん駄目になっちゃった、ああ、やはりやっても駄目なのだというようなそういうような選び方をしてはいけないのであって、何百とあるものを大臣みずから全部見ることは難しいのかもしれませんが、それがきちんと官僚ではなくて政治がきちんと見ると。そして、駄目だったとすればなぜ駄目なのか、どうすれば認められるようになるのかということまでアドバイスをしていかなければそれは不親切というものだと思っております。そういう自発性、意欲を削ぐようなそういうことはいたしません。
(問)もう1点お願いします。
 道州制の導入を目指した検討というのも総理の指示に入っているかと思うのですが、この法案は自民党の中でかなりいろいろな賛否がありますし、全国町村会がかなり峻烈に反対しているものがあります。今の法案へのスタンス、もし提出を目指すのであれば時期等お考えがあればお願いします。
(答)これはよく与党と御相談をしていかなければいけないものだと思っています。私は政調会長のときも幹事長のときもこの説明は随分聞いてきました。しかし、この道州制というものは唱えられて随分長いのですが、いつもいつも一進一退というのか、御指摘のように町村会が反対していますからできません、以上、おしまいということではなくて、町村会の方々が反対されるのは、それは自分たちの町が無くなっちゃうとか、自分の職が無くなっちゃうとかそういうつまらないことで反対しておられるのではないと思っています。私も党におりましたときにそういう町村会の方々と随分と親しくなりました。そこはもうなぜ反対なのかというお話をよく承りたいと思っています。
 この道州制というものもこれも手段であって、目的は何なのかと言えば、それは国政というものが外交であり安全保障であり、あるいは通貨政策であり、財政政策であり、そしてまた教育の基本でありということに集中すべきなのであると、地域のことはより地域の方々に近いところで決めていくべきなのだという目的があって、それを成就させんがための道州制なわけですよね。道州制は飽くまで手段なのだ、その果たさねばならない目的に反対をする方はそんなにおられないと思うのですよ。にもかかわらず、道州制に対する反対が強いというのはなぜなのだろうかということをきちんと議論しないと、この話は多分いつまでたっても進まないのだと思います。それが一つ。
 もう一つは、基礎自治体の方々が反対をしておられるのは、町村合併がうまくいかなかったじゃないかというお話があって、それの大型版みたいな道州制というのはとてもとても納得できないねというお話をよく聞きます。じゃあ、町村合併は本当に失敗だっただろうか。薬飲んだけれども効かないとよく言うじゃないですか、でも飲まなかったらどうなっていたのという検証はしてないわけですよね。消滅の危惧がある町村というのはずらずらと出ていますが、もし合併しなかったらもっとすごいことになっていたはずですよね。それは数字の何を基礎にするかということにもよりますが、20代、30代の女性の方々の数という非常にわかりやすい数字を用いていてああいうことになるわけですね。
 町村合併は失敗だったのだと言われるけれども、他にどういう道があったのだろうか。町村合併を元に戻すという話にはならないでしょう。ですが、私の地元でもそうですけれども、それをやったことによって行政の光が届かなくなって本当に大変になっちゃったというところもあります。
 じゃあ、そこをどうするのだということを考えたときに、私は農林水産大臣のときに地域マネジメント法人法案というものを書き始めました。しかしそれが政権交代によって止まっちゃったのですが。例えば地域に残されている資源としてJAというのがあります。JAというものを産業組合としてのJAと地域組合としてのJAという2つの分化、分けるに化けるという次を書く分化ですが、すべきではないかという議論はずっと昔からあるのです。そこのお話を私はきちんと突き詰めてみたい。何もJAに限りませんが、例えば土地改良組合とか、あるいは農業委員会とか、あるいは郵便局とか、まだ残っているそういう地域の社会的なインフラがあるわけですね。そのJAというのは、そもそも一人は万人のために、万人は一人のためにというのが協同の理念でございますので、それを最大限生かした形というのはできないのだろうか。
 私は政調会長の時に谷垣総裁の下で参議院選挙の政策をつくりましたが、その時にJAこそ地域の担い手と書いたのはまさしくそのJAの精神なるものが体現されるためです。美しい精神論で言うのではなくて、それがJAの新たな役割としてやっていけるための法整備とは何なのだということは西川大臣とよく御相談しながらやりたいと思います。
 合併というものに対するトラウマみたいなものがあって、それすなわち道州制の否定になるとするならば、それをどういうふうにするのかというのをお示ししないとこれも議論が進まないでしょう。
 もう一つは、道州制の導入が唱えられて永くなりますが、この建物もそうなのですけれども、中央省庁がどんどん立派になっていって、いまや古い建物というのは財務省と農水省だけになっちゃって。立派な議員会館も建ちましたしね。片方で道州制の推進だと言っても何となくリアルに伝わらないところがありますよね。作ってしまったものはもうどうしようもないのだけれども。では、そうなった時に、中央の統治機構はどうなっていくのだ。道州制を導入したときに国土交通省はどうなり、農林水産省はどうなり、経済産業省はどうなり、要するに中央の統治機構も大幅に変わるわけですよね。そして、国会も変わるわけですよね。先ほど申し上げたように外交だ、安全保障だ、財政だ、通貨だということを国政がやるとすれば、それは国会議員の数ってどうなるの、国会議員は何をやる人なのということも当然変わってくるでしょう。私が不勉強なのかもしれませんが、そこまで突き詰めた議論というものを聞いたことがない。だからいつも感情論みたいなものと言っては失礼だが、そういう部分を私は感じないでもなくて。そこのところのお話を、国民がそうだねと思ってもらうものを提示しなければ、掛け声だけに終わってしまうということだと思います。
 ですから、今申し上げたような、縷々申し上げて恐縮ですが、そういうものをきちんと整理をして、道州制というのは何なのだと。そして、今自民党の中で法案というものが考えられています。あれも見ました。その整合をとりながらこれから先の道州制の在り方というものを総理の御指示を踏まえて検討してまいりたいし、先ほど会見で申し上げましたように、「検討する。」、ということを私はいたしませんので、このことに一つの結論を見出すということは必要なことだというふうに認識をいたしております。
(問)国家戦略特区のことでお尋ねしたいのですが。当初予定よりもスタートというのにちょっと時間がかかっているということで、現段階で6カ所が実際に特区として動き始める時期の見通しをどういうふうに考えていらっしゃるかということと。
 先ほどの会見で事務局体制の強化ということをおっしゃっていましたが、どういうものを今の段階では検討されているのでしょうか。
(答)これは早ければ早い方がいいと思っております。今、6カ所のうち4カ所が進んでおって、東京と沖縄が残っていますが、東京も沖縄もある意味で非常にシンボリックなものだと思っております。
 東京は、より快適でより安全な、そして世界から人を集められる東京というものをどうつくるのだと、オリンピックを控えてこれも非常に急ぐ地域だと思っております。
 そして、私は沖縄に行く度に申し上げているのだけれども、これから先は沖縄が日本を引っ張るという、そういう地域になっていかなければならないと。それは日本の中で2025年まで人口が増え続けるというのは沖縄だけのわけですよね。そしてロケーションとして、これから先成長著しいアジアに一番近いと。そして、努力によって優良な土地が、米軍の用地が返ってくるということもある。更には、原子力発電というものがございませんので、そういう点でのエネルギーの心配がないという、いろんな良い条件を持っている沖縄が日本を引っ張っていくために、この特区というものの動きを一日も早くしていくということは、これは国家の課題だと思っております。
 それを推進していくための仕組みですけれど、最初のうちはみんな張り切って元気にいろいろなことを言うのですが、これは何度も経験したことですが、やがてその会議が月に1回みたいな頻度に落ち、そこの会議に来たらスタッフが書いた原稿をそのまま読んで、何となく予定調和的に会議が終わると。そうすると段々モチベーションが下がってきて、駄目になってしまうと。ですから、今日はこういう議論をし、こういう結論を出すのだということに、事務局体制に国もきちんと関与をする形で動かしていかなければならない。そこに参加することがこういうように国の施策に反映される、そして自分たちの言ったことがきちんと実現をしていく。それによって、参加することによってわくわくするような、そういうような気持ちを味わってもらえるような会議にしないと意味がないのだと私は思っているのですね。
 だから、できればそういう会議に私も参加というのかな、参加でいいんでしょうね、させていただいて、自分たちがやっていることが何になるんだという意識を持っていただくとともに、大勢の方に聞いていただく、あるいはネットでその状況をお伝えするということで、その会議だけがひとり歩きするのじゃない、その地域の住民の方々もその映像とか活字を見て参加できるような、そういう仕組みを作りたいと思っております。
(問)今回、大臣は地方創生と単独の役職に就かれましたけれども、今まで総務大臣と地域活性化担当大臣というのを兼務で、やっぱりその総務省がついていなければ地方に根を張った実効性のあるものはできないのではないかという見方をされる方もいるのですけれども、そうではなくなったことについて、どう評価されているかというか、どう理解されているかということと、あと総理が大臣にどのような役回りを期待されているというふうにお受け止めになっているのか、お聞かせ願えますか。
(答)後段の質問からお答えすると、今日の総理の会見が全てだと思っております。このことを看板政策として位置づけられた。そして、何で石破を任命したのかということについても、縷々総理から御説明があったところであります。それに尽きると思っておりまして、それにお応えをしなければなりません。国家のためであります。
 前段の御質問について申し上げれば、それは総務省というものを持っていたほうがいいのか、そうではないのかという議論が随分と今までにあったと承知をいたしております。総務省ということになりますと、それは経産とか農水とか特定の分野を持っているわけではありませんが、やはり総務省であれば地方交付税というものを使って地域を動かしていくという、やはりそういう性格は拭えないのだと思っております。ですから、総務であれ、農水であれ、経産であれ、国交であれ、厚生であれ、どこかの省庁に足場を持ってということではなくて、強力な政治力、実行力を持って、本当に省庁の縦割りというものを排していくということのためには、そうでない方がいいというふうな結論に到達をしてこのようなことになったと。そうであるが故に、石破やってみろということだと思っております。
 もちろん、高市大臣とは今まで幹事長と政調会長という立場で長く仕事をいたしてまいりました。待合室においても、とにかく一緒にやっていかなければいかんよねというお話を随分いたしました。それは総務に限らず、例えば西川大臣でも、小渕大臣でも、西川大臣はTPP対策委員長としてずっと一緒に幹事長である私と仕事をしてきましたし、小渕大臣とも麻生内閣で一緒でありました。そうすると閣僚たちがそれぞれの省の代表者ではないのだと、この地方の創生ということは、東京の問題でもあるわけですよね。この一方に、この東京の一極集中をどうするかという問題があって、これも、このまま東京に人が集まり、そこが人口の再生産の力を失い、そこに高齢者の方々が集中をして、そのケアをするために地方からどんどん人材が流出し、ということになると、それは地方も衰退すれば東京もやがて衰退する、イコール日本の消滅に繋がっていくわけで、その危機認識を共有すれば、それは経産大臣であれ、あるいは農水大臣であれ、あるいは総務大臣であれ、みんな一緒の仕事ができるはずです。できないとすれば危機感を共有していないとしか言いようがないということでありまして、私自身今まで省庁を持ってまいりましたが、内閣府の大臣によっては私の大臣室までやってきて議論をする、そこで分かったといった場面もありました。やはり大臣自らがそれぞれの大臣と話をし、なあなあではなくてともに危機感を共有して、これで行こうということをやっていくために、省庁を持たないということを否定的に解するべきではなく、そのことをどうやって肯定的に活用していくかということが私の仕事だと承知いたしております。
(問)もう、ちょっと終わった話かもしれないのですけれども、安保政策の関係でいろいろ、これまで経緯があって、総理とは必ずしも一致していないところもあるというお話をされていたと思うのですけれども、これは多分国会でも野党から聞かれることもあるかもしれないなと思っているのですが、そうは言っても安倍内閣に今回入られたわけで、そこは改めてその大臣としてどのような整理をつけられたのか、安保政策についてどういうふうに御自身の中で思いを固められたのかというところを伺いたいんですけれども。
(答)国会で野党の方々がどんな御質問なさるかまで、私は存じません。仮に問われたとすれば、それはまず所掌の大臣がお答えになるべきだというふうに申し上げると存じます。
 そして更に、それではどうなのだというふうに言われたとすれば、それは閣僚の一人である以上、内閣の方針に従うというのが、それは内閣の一体性を持つということで必要なことでございます。それができないのだったら閣僚を務める意味はございません。それに尽きます。

(以上)