甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年12月16日

(平成26年12月16日(火) 11:59~12:36  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

第4回経済の好循環実現に向けた政労使会議について概要を申し上げます。
本日、選挙後初の閣議終了後30分間、安倍総理出席の下で開催されました。
冒頭、安倍総理から、次のような発言がありました。「経済界の皆さんに、来年春の賃上げについて、最大限の努力を図っていただけるよう要請する。今般の合意に沿って取組をお願いしたい。賃上げの流れを来年、再来年と続けていき、全国津々浦々にアベノミクスの効果を浸透させる。特に、円安のメリットを受けて高収益の企業については、賃上げ・設備投資に加え、下請企業に支払う価格についても配慮を求めたい。今回の取りまとめで、取引企業の仕入価格の上昇を踏まえて、価格転嫁などに経済界が総合的に取り組むと合意した意義は大変に大きい。賃金体系については、与えられた仕事内容・貢献度を重視し、子育て世代への配分を高めるように見直す案を提示した。正規化に意欲を持つ非正規労働者や育児休職の取得者などにハンデのない賃金体系となるよう、労使で十分に議論いただきたい。
休み方改革については、個人の創造性を発揮するために、様々な働き方があってしかるべきである。地域や仕事に応じて個人の時間を豊かにする働き方を議論し、ワーク・ライフ・バランスを実現したい。
政府としては、豊富な経験を持つ大企業の熟年層が地方でも活躍の機会を得られるよう、民間の力も借りて、受け皿となる地域中小企業に支援をしていきたい。
立場、意見の違いがある中、大所高所の立場に立って、政労使の取りまとめに合意いただいたことに感謝する。
好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで景気回復を実感いただくことを国民にお約束した。そのためには、政労使一丸となって、本日の合意を実行することが不可欠である。皆さんには引き続きよろしくお願いをしたい。」
以上の総理の冒頭発言に続きまして、「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組について」に政府・経団連・日商・中小企業団体中央会・連合の五者で合意いたしました。
合意内容について、簡単に御説明をいたします。
まず第1に、昨年の合意事項については、引き続き取組を継続することを確認した。
第2に、賃金の上昇等による継続的な好循環の確立について、経済界は、①来春の賃上げの最大限の努力と、②円安等により仕入価格の上昇に直面している取引企業、すなわち下請企業、運送業者等に対し、価格転嫁を認めることや、取引企業に対する支援などに総合的に取り組むことに合意した。
特に、円安で高収益の輸出企業に対しては、下請企業に支払う価格についても配慮を求めたいとの趣旨であります。
第3に、賃金体系の在り方については、与えられた仕事内容・貢献度を重視し、子育て世代への配分を高めるよう見直す案が提示されました。与えられた仕事内容やポストを重視する賃金体系になれば、結婚、子育てで離職・休職した女性でも、非正規雇用からの中途採用の人でも、ハンデのない処遇を受けられる。それのみではなくて、若年層、子育て世代は、現在に比べ、高い賃金を得ることができるということであります。
第4に、休み方・働き方改革については、私のワーキンググループの報告にあります「プラスワン休暇」、これは3連休以上が集中する秋を中心に、これに有給休暇を組み合わせまして、4日以上の連休というのを実施するということであります。この「プラスワン休暇」や「ふるさと休日」、これは地域の伝統行事やイベントのある市町村を中心に設定したものであります。こういう「ふるさと休日」を利用して帰省するということもあります。といったキャンペーンも勘案して長時間労働を是正する意識改革を実現することといたしました。
第5に、プロフェッショナルの地方への人材還流円滑化であります。地方にはよい技術は多いけれども、その企業、技術に融資しようにも、財務諸表の作成などができないという中小企業が多く、社長を補佐する経験者や事業承継者自体の招聘が最大課題であります。
他方、都会の大企業でスキルを磨いた熟年層は、就職できるポストを求めていますけれども、年齢が高いとポストがほとんど見つけられていないというのが実情であります。まち・ひと・しごと創生本部がそういった民間企業と人材をつないでいく、民間企業も活用した枠組みを設計することといたしました。
次に、本日が政労使会議の最終回となりますので、今後の取組についての意気込みであるとか抱負などを含めまして委員の皆さんからの御発言をお願いいたしました。
最初に、経団連・榊原会長からでありますけれども、「今回の選挙結果は、アベノミクスをはじめ、第2次安倍政権が掲げる政策の方向性と実績を国民が支持し、経済の好循環を通じて、日本経済再生に対する強い期待を示すものであった。政労使がデフレからの脱却を確実なものとするとの強い意思を再確認し、ペーパーを取りまとめたということは、大きな成果であると考える。今後は、昨年の取りまとめも踏まえながら、今回の共通認識に沿った形で、政労使がそれぞれの取組を進めていくことが重要である。経団連としても、経済の好循環の2巡目をしっかりと回していくために、拡大した企業収益を設備投資や雇用の拡大、そして、来年春の賃金の引上げにつなげていくことを目指し、会員企業に呼びかけていく。原材料やエネルギーコスト増の影響を受けている中小企業に配慮していくことも重要なので、総合的な取組に努める。また、より多くの企業で賃金の引上げが可能となるためには、政府による企業活動の活性化策が必要である。大胆な規制改革や、実質減税となる法人税改革などの環境整備が急がれる。」という発言です。
続きまして、連合・古賀会長からであります。「経済の好循環の実現に向けて昨年取りまとめた4項目が重要であるとの認識を深め、かつ単年度の取組だけではなく「継続して行う」ことが重要であるとの認識を共有化できたこと、また、ワーク・ライフ・バランス社会の実現などについて議論を深めることができたことは意義深い。こうした認識を踏まえ、連合は、2015春季生活闘争のみならず、各種施策の中で、我々の役割を認識しながら、実践していきたい。政府においても、幅広い国民の声に耳を傾け、雇用の安定、所得の向上、そして将来不安の払拭と解消に取り組んでいただきたい。」という御発言であります。
続いて、日商の三村会頭からであります。「エネルギー価格や円安による原材料価格コストの上昇をスムーズに転嫁することが必要である。今回、価格転嫁に加えて、総合的な支援や協力の取組が書き込まれるなど、昨年のペーパーより更に踏み込んだことを評価する。こうした取組の実効性を高め、地方や中小企業に景気の波を行き渡らせることが非常に重要である。今回の取りまとめの内容について、対外的にも公表・周知徹底していただきたい。」という発言です。
続いて、中小企業団体中央会・鶴田会長からであります。「中小企業の賃上げに向けてまだ足らざることの一つは、下請代金の改善である。仕入単価の上昇に伴う適正な価格転嫁など、取引環境の整備を更に強化をしていただきたい。全国中央会としても、好循環を2巡させることによって、全国津々浦々の中小企業の生産性が向上するよう支援していく。」という発言であります。
次に、民間委員・高橋委員からでありますが、「本日の取りまとめは、日本の労働市場の抱える課題が要点としてよくまとめられている。これらの課題について、より実効性を高めていくために、しっかりフォローアップしていくことが必要である。経済財政諮問会議などでも、今回の合意について議論をしていく必要がある。」
続いて、吉川委員からであります。「本日の合意ができたことはよかったと思う。賃上げは、日本経済にとって引き続き大きな課題である。今回のように政労使が問題の所在を明らかにして情報を共有することは重要である。特に長時間労働の是正を求めたい。」との発言です。
次に、樋口委員からです。「個別労使では解決できないことが取りまとめられた。特に賃金上昇と価格転嫁、女性の働き方について盛り込まれたことを評価する。」との発言です。
続いて、政府側からです。麻生副総理であります。「今年に引き続き、来年以降も賃上げの流れを続けるためには、経営者が生産性を向上させなければならない。政労使で着実に進める必要がある。デフレ不況脱却が私たちの最大のターゲット。予算、規制の問題などいろいろあるが、政府も協力していきたい。」という発言です。
続いて、塩崎厚生労働大臣からですが、「長時間労働の是正について進めていく。加えて非正規雇用労働者の処遇改善などを通じ、経済の好循環に貢献していきたい。」という発言です。
続いて、私から「2年半後の消費税引上げには、景気条項を外す方針を定めた。日本経済は、20年間で名目GDPを60兆円失ったが、安倍内閣で12兆円取り戻した。消費税引上げまでが日本経済の正念場であり、政労使が、経済の好循環を実現するという不退転の決意を持って今後の取組を進めるべきである。」と申し上げました。
最後に、総理からです。「2017年4月に消費税を、景気条項を外して10%に引き上げるという大変重い決断をした。それまでに、その時までに好循環が回っているという自信、日本が成長するという自信を回復していかなければならない。そのためには、生産性や働き方、競争力など、重要な点があるが、その全てを包含した政労使の合意ができた。政労使の会議は異例の取組であるが、こうした形で成果を出していくことは皆さんの努力のたまものと考える。結果を出していきたい。」
以上です。

2.質疑応答

(問)政労使会議の今後ですけれども、今日で一応終わって、この後はどんな感じになるのでしょうか。
(答)共通認識、合意が図られました。大事なことは、この合意を実行していくことであります。そのためには、フォローアップする対応が必要だと思います。それをどういう場でやるかは、これから最も効果的な対応を検討していきたいと思っております。必ずしも、この政労使会議を続けてやるということではないですけれども、そう決まっているわけではないですけれども、経済財政諮問会議等のいろいろな場、あるいはそれ以外の場があるか、実行を担保するためのフォローアップに適切な場を考えていきたいと思います。
(問)2点ありまして、一つは、昨年に比べると詳細な合意になっていると思うのですが、昨年と何が違うのかということをどう考えていらっしゃるのか。それから、法的拘束力はないですけれども、先ほどフォローアップとおっしゃいましたが、実現に向けて、無理強いはできないけれどもやりましょうという、そのあたりの合意の意義というのを教えてください。
 それからもう一つは、本来、労使交渉で決まるべきものでありますけれども、ここに政府が介入することを良しとしないという意見もあると思います。そこについて、政府が介入する意義について、問題点についての反論も含めて教えてください。
(答)1点目です。昨年より踏み込んでいる内容、何が違うかということであります。
 これは、好循環を回していく必要があって、それは2巡目、3巡目を回していくことによって、この抱えている問題、デフレの脱却が図られる。しかも、そのためには、後ろが切られている。2年半後に消費税率を引き上げるというときには、景気条項を外しております。ということは、関係者が不退転の決意を持って、後ろが切られているのだということを認識しながら、それぞれがある意味で身を切る思いで実行していくことが大事なので、その覚悟を具体的に求めるために、より詳細な表現にも至ったと思っております。
 それから、労使交渉、特に賃金に関することは民民の契約でありますから、政府が非介入というのは原則でそのとおりであります。ただ、これは政労使の会議というのは賃上げ交渉の場でなくて、経営者側もデフレ脱却のために何をしなければならないか、同時に、労働側も、かたくなに現状を1センチも変えたくないということではなくて、より前向きに労働生産性、ワーク・ライフ・バランスの確立、あるいは女性が結婚、出産、子育ての中で、より復帰しやすい体制、あるいは連合自らがおっしゃっている、同一労働、同一賃金、片方でそう言いながら、もう片方でそれ以外の固定した賃金体系が大事だとおっしゃるのは、これは矛盾なのでありますけれども、それぞれが目標、目的に向かって進んでいくために、自分が何をすべきかということを共有する。政府ももちろんそのための環境整備はしていきますということですから、それぞれが自分に向けて何をしたらいいかということを覚悟し、それを共有するという意味で政労使の会議を設置させていただきました。単純に賃上げ交渉に政府が介入したという意味ではなくて、賃上げが好循環を回していく、まずその最初のギアであるという点も含めて我々の方から立ち入った要請をしたということであります。
(問)端的に今回の合意をもって来年の春の賃上げで物価上昇を上回る賃上げというのが実現できるのかどうか、どう見ていらっしゃるのでしょうか。
 また、年功序列の賃金体系の見直しのところなのですけれども、これは例示にとどまっていてやや拘束力弱いと思うのですが、見直しは本当に進むのでしょうか。そこら辺の受け止めをお願いします。
(答)一般物価上昇が1%で消費税3%引上げ分が物価に与える影響は2%とすると3%の物価上昇になる。連合の集計の賃上げは2.07%でありましたから、一般物価上昇は超える賃上げになりましたけれども、消費税率引上げ分が超えられないというのが1巡目の結果だと思います。ただ、消費税率引上げ分はワンショットでありますから、毎年毎年さらに3%上乗せになっていくというわけではないのです。一般物価上昇は1%上がった上にプラスして加算されていきます。賃上げも最初の年度の賃金がベースになってそれに加算されていくというものでありますから、片方はワンショット、片方は累積ということですから、連続して賃上げをしていくということで消費税分も含めて超えて、実質賃金がプラスになっていくという道であります。
 それをできるだけ単年度でやりたいと思います。我々に残されている時間はあと2年半しかないわけでありまして、できるだけ短期間で、できれば来年の賃上げで実質をプラスにもっていけるのが理想だと思っております。
 それから、年功賃金と労働生産性の成果に見合った賃金あるいは柔軟な働き方の議論であります。これはそういう方向性にして、今まで連合はかたくなにこの表現についてネガティブな姿勢を持っておられましたけれども、状況の認識、例えば民間労組からは生産性向上運動を国民運動として進めていくべきだという発言も出ました。これはまだ連合全体の統一見解ではないと思いますけれども、しかし民間労組から、今は戦後の復興と同じように国民が一丸となって日本の経済の生産性を引き上げる国民運動を起こすべきだという発言が出たというのは極めて意義深いことだと思っております。ただ、それを具体的に、労働生産性を上げるということをどういう形でブレークダウンしていくかということについて今作業が進みつつあるということだと思っております。
 政労使の会議を通じて、それぞれ三者自身に何ができるか、何をすべきかということの認識が高まってきているのは、意義深いことだと思っております。これを具体的な形としてどう落とし込んでいくか、これからフォローアップしていく体制が大事だと思います。
(問)取引企業の仕入れ価格の上昇等を踏まえた価格転嫁や支援・協力というくだりなのですけれども、これまでの3回の政労使会議では余りこの辺は議論していなかった。そもそも議論の対象からずれているとか、追加されているような感覚があるのですけれども、これを取りまとめ文書に入れた意義、狙いを改めて教えていただけますか。
(答)アベノミクスの効果は出始めているのですが、課題は、輸出大企業は特にいい、大企業はいいけれども中小企業はまだである、都市部はいいけれども地方はまだであるという課題があります。野党はトリクルダウン自身を否定していますけれども、経済原則からいってもうかっている企業が周辺の関連事業者にそれを裨益させていくということは経済の大原則であります。そこで大事なことは、賃上げとともに中小企業、取引先に経済の好循環が波及していくようにしていくことが大事であって、仕入れ価格は上がっている、しかしそれがきちんと納入先に転嫁できないとなると好循環というのは逆循環になりますから、元請企業は経済全体を好循環の渦に巻き込んでいくことが最終的に中長期的にはさらに自分の収益にはね返ってくるという認識を持ってもらうということです。
 実はもちろん議論しなかったわけではないのですが、議論してきましたけれども、特に総理の強い意思を受けて事務的に今日まですり合せ作業をやってきました。これは強く我々から申し入れまして、最終的に経団連会長がこの決断をされたということであります。
(問)賃上げについても連合の調査などでは大企業に比べて中小企業はそこまで賃上げ率は高くないわけですが、実質賃金をプラスにもっていくためには賃上げの幅だけではなくて広がりというのも重要ですが、それについては今回の政労使の合意についてどのように盛り込まれていますでしょうか。
(答)先ほどの質問と同じ趣旨だと思います。中小企業は取引元があるわけであります。そこが下請中小企業の賃金を上げる原資をどうかせいでいくかということについてもきちんと配慮をするということでなければいけないと思います。
 ある自動車企業は、毎年納入業者に対して1%から3%のコストカットを要請していました。つまり生産性を上げよという意味だと思いますが、それを今回はしていません。政府から要請をいたしました。そこでコストカットは今回しないということにした自動車大手もあるわけです。好循環を回していくことの意義を共有するということが大事だと思っておりまして、中小企業はかなり頑張って賃上げをいたしました。しかし、大企業ほどその原資があるわけではないので、引き続き賃上げしていく原資をつくることに協力をしてもらうということであります。
(問)合意文書では、政府の環境整備の取組のもと、賃上げを進めていくという書き方になっていて、政府の環境整備というのは、具体的にどういうことをやろうとしているのかということを伺いたいというのが一つ。経団連の榊原会長は、法人税減税について実質減税にしてほしいということも述べられているようですけれども、そういった点についてどうお考えになっているかということをお聞かせください。
(答)政府が取り組むべきは、規制緩和と税制が主であると思います。それから、もちろんワンストップサービス化する、行政の判断のスピードアップというのはあろうかと思います。
 法人税につきましては、今日までの取りまとめでアベノミクスの成果をどう取り込んでいくか。もちろん安定財源、裏打ち財源をきちっと確保するということが大前提でありますけれども、少なくとも消費税を引き上げていく2017年まで、この好循環がしっかり回っていくための実質的な先行減税ということは必要だと思っております。
(問)総理の言葉の中で、特に円安メリットを受けた企業は、頑張って下請にお金を払ってあげてくださいというのがありましたけれども、合意文書の中にはそれはないですけれども、これは合意内容と言ってよろしいのでしょうか。どうなのでしょうか。
(答)合意内容は、文書にあるとおりです。総理の発言は、それを具体的に補完しているものと理解していただきたいと思います。高収益企業というのは、円安によって利益を受けている輸出企業が一番利幅を拡大しているのは顕著でありますから、そこの企業は率先して最大限取り組んでもらいたいという気持ちです。
(問)衆院選挙が終わりまして、引き続き自公で3分の2以上を占めるという状況が続くわけですけれども、大臣としてこれからこの選挙結果を今後の政権運営、またアベノミクスの推進にどういうふうに生かしていきたいとお考えでしょうか。
(答)今回、アベノミクスの是非を問う選挙で、大変国民の皆様から強力な御支持、信任をいただきました。
 このことは、デフレから脱却する、正に最後のチャンス、最大のチャンスだというふうに考えておりまして、そのためにその処方箋としてアベノミクスというのを投入しているわけであります。そのことを国民の皆様から期待を持って支持をいただいたわけですから、それ以外のこと、つまり多数を取ったから予算要求、補正要求であらゆることを全部盛り込めというのではなくて、アベノミクスを推進していくのに、フォーカスを絞って、やるべきことをきちっとやっていってほしい。至上命題は、デフレからの脱却ということを国民の皆様に支持していただいたのだと思います。
 限られている財源の中で、フォーカスを絞って集中的な対応をしていきたいと思っております。併せてやはり我々が認識すべきは、アベノミクスは単なる景気対策ではなく、経済構造改革であるということです。20年間悩まされてきたデフレというのは、日本の経済構造がまだ21世紀型に完全になり切れていないのだと思います。
 そこで、日本経済を人口が減少していく中でも成長していく経済に構造を変えていく。最終的には日本を世界で最もイノベーティブな国にしていくということだと思います。高付加価値を生み出す国にしていく。それが人口減少、もちろん中長期的には人口減少を止める対策を打っていきますけれども、人口が減っていく中でも成長していく。今までは人口が増えていくことをバックボーンとして、労働力の増加、投入資本の増加で成長してきた。これからは付加価値を上げていくということで成長していくというふうに構造改革をしていかなければならないわけです。
 ですから、政府も、そして与野党も、そういうふうに発想を抜本的に変えて、新しい日本の経済構造をつくっていくのだという視点で、予算や税制全てに取り組んでいく必要があろうかと思います。

(以上)