甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月12日

(平成26年9月12日(金) 11:31~11:49  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私から1点報告がございます。
 産業競争力会議の議員のうち、内閣総理大臣が指名する国務大臣につきまして、総理と相談させていただきました。その結果、以前より参加していただいておりました科学技術政策担当大臣及び規制改革担当大臣に加えまして、下村文部科学大臣及び石破地方創生担当大臣、御両者に入っていただくことになりました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭発言についてですけれども、下村文部科学大臣と石破地方創生担当大臣を入れるというのは、それぞれどういった理由、ねらいがあるのでしょうか。
(答)石破地方創生担当大臣は、ローカル・アベノミクス、地方創生がこの秋の陣の柱の一つであること、それと産業競争力会議との連携は密接不可分にやっていかなければなりません。そこで入っていただくことにいたしました。
 下村文部科学大臣については、イノベーション・ナショナルシステムを推進していく際に、上流である大学改革が必須要件になってまいります。そこで、文部科学省に本腰を入れてこの課題に取り組んでいただくために、大臣にお入りいただくということにしたわけであります。
(問)TPPについて、先般、日米の事務レベル協議とハノイの交渉が終わりましたけれども、大臣は以前から日米のフロマン代表との会談については、日米協議いかんだという趣旨の発言をされてきましたけれども、日米協議の結果の報告を受けられて、現時点での見通しをお願いします。
(答)大臣会合というのは、あくまでも政治判断が必要という項目にできるだけ絞り込んで、最終的な判断を示すということであります。細かな案件を幅広く大臣間で協議するというものではないと思っています。大臣会合を行うためには、事務折衝が実りあるものにならなければなりません。ハノイにおいてのCN(首席交渉官)会合はかなり前進したという報告を受けておりますが、日米間に関しましては、先般の会議は若干デッドロックに乗り上げている部分がございます。そこで、アメリカ流に言えば、だからこそ大臣会合ということになるのでしょうけれども、まずは、事務折衝でやるべきことは多々ありますから、もう少し間合いを詰める必要があります。そこで、もう一度しっかり関係省庁と連絡をとって、事務方に更にマンデートを与えて、しっかりともう一度、事務交渉、事務折衝をやらせたいと思っております。その先に大臣会合を予定していきたいと思っています。
(問)事務折衝の時期的なめどについては、現段階でどのような見通しでしょうか。
(答)できるだけ早くしたいと思います。
(問)事務方に更にマンデートを与えてというお話でしたが、これは以前から与えていたマンデートに更に加えるという認識でよろしいでしょうか。
(答)関係省庁との連携が少しうまくとれてないという部分がありまして、予定していた案件の改訂オファーが遅れております。でありますから、改訂オファーをきちんと用意させて折衝に当たらせたいと思っております。
(問)為替相場が一段と円安が進んで、1ドル107円台となりましたけれども、それについての御所感を改めてお伺いしたいのと、昨日、日銀の黒田総裁が安倍総理大臣と会談いたしまして、物価目標の2%を達成できなければ、金融緩和に踏み切ると、やや踏み込んだような発言もされていましたけれども、それについて大臣の御所見をお伺いさせてください。
(答)まず、円のレートが適正か安いかという話については、私から申し述べるべきではないと思います。黒田総裁は、現状は過度なマイナスは与えていないということの表現でありました。黒田総裁の表現にお任せしておきたいと思っております。
 それから、物価安定目標の達成に向けて見通しが悪くなってきた、目指すべきターゲットの範囲を外れているということであるならば、日銀としてしっかりとした対応をとるということは、従来から日銀総裁がおっしゃっておられることでありますし、日銀の主体的な行動として、2%目標の達成に向けて御努力いただきたいと思っております。
(問)TPPについて2点ありまして、1点目は、今回は、連携がうまくとれずに改訂オファーが進まなかったというお話でしたけれども、連携がうまくとれなかったというところについて、意見の相違なのか、なぜうまく連携がとれなかったのか、もう少しかみ砕いていただければと思います。
 それともう1点、11月のAPECまでに大筋の合意をするということに対して、今回うまくいかなったことが与える影響、その見通しを教えていただければと思います。
(答)改訂オファーを携えて交渉に臨むということが間に合わなかったということでありまして、やらなかったとかあえてしなかったということではありません。内閣改造がありましたので、きちんと事務的に引き継ぐという、物理的な情報の共有についてタイムラグがあったということです。それゆえに作業が間に合わなかったと理解していただいていいかと思います。作業が交渉に間に合っていないということですから、特別に新たな障害がでてきたということではありません。ですから、早急に当初からいろいろ策定して間に合わせる予定の作業を間に合わせてもらって、できるだけ直近に交渉させたいと思っております。
 もともと11月合意というのは、オバマ大統領が割と唐突に宣言されたわけでありまして、12カ国首脳が共有して発表されたということではありません。しかし、それはアメリカが中間選挙絡みで、その後までに、年内にとにかく大筋合意をまとめたいという意欲でありますから、これは日本としては歓迎したいと思っているわけであります。
 日米以外の2国間というのは、非常に明るい見通しで進んでいます。相当な成果がありました。これはもちろん日本が主張するところもあれば、相手が主張するところもあって、お互いにとって歯車がかみ合ってきているという意味で、大きな前進があったことは事実です。
 あと、日米が前進するということが極めて大事でありまして、他の2国間では非常に大きな成果が上がっていて、日米だけが上がらないというわけはないと私は思っております。他の2国間とは全部うまく進んで、アメリカとだけうまくいかないとしたら、どっちに問題があるかといえば、日本に問題があるとしたら、他の国との進展もないはずであります。ですから、お互いが問題を抱えているから進まないということになるのだと思います。もちろん日本は日本側で対応できる課題を最大限やりますし、アメリカ側もそれはやっていただかないと、双方に課題があるわけですから、日米間が進んでないということになるのだと思います。他の国との2国間は進んでいるわけでありますからね。
 日米間についても全く見通しがないわけではないですし、私としては、日本側の改訂の努力が評価されれば、それは閣僚折衝に次のステップは当然移れると思っております。
(問)「今回、日米が期待ほど進まなかった」というのは大江首席交渉官代理のお言葉ですが、そのことでAPECまでに間に合わせるということが、少し幾らか厳しくなったということはないですか。
(答)それはないと思います。日本側が検討すべきことが時間的に間に合わなかったと。カトラー次席代表代行にそのままもう少しいていただければよかったのですけれども、こちらの都合で滞在を延ばしてもらうわけにもいかないでしょうから、日本側の準備が整い次第、大江・カトラー間の折衝を再開させたいと思っていますから。
(問)ニューヨークタイムズに、消費税の再増税につきまして、余り拙速に急ぐべきではないのではないかという社説が載りましたけれども、大臣を含め、閣僚の方の御所見があればお願いいたします。
(答)総理を含めて、まだ全くニュートラルで、現時点で判断しておりません。政府に対するアドバイザー役をやっている方の中にも、あるいは機関投資家の中にも、予定どおりやるべきであるという方と、いや、ここは少し期日を切って延ばすべきであるというように、意見が真っ二つに分かれているところでございます。国民の賛否は、予定どおりという人の方が少ないようでありますけれども、大事なことは、何のために消費税を上げるかというと、それは赤字国債で支える社会保障はいつか倒れますから、将来の安心を確保するという意味で社会保障の持続性を担保することと、財政再建という意味があります。一方で、経済が失速したら、たとえ税率を引き上げても、税収の確保はむしろできないのではないかという懸念をおっしゃっている方がいるわけでありますから、両方とも正論だと思います。そこをしっかりと勘案しながら、どちらの方が全体の政策を進めていく上で資するかということを、最終的に総理が判断されるのだと思います。
(問)いよいよ経済財政諮問会議が始まるかと思うのですけれども、改めてどのようなテーマから議論されていくのか、御所感をお願いしたいと思います。
(答)経済財政諮問会議が再開後しっかり認識していくべき課題というのは、幾つかあると思います。一つは、消費税増税の駆込み需要の反動減から日本経済をできるだけ早く回復させるために、具体的に何をするか。何をするかというのは、産業競争力会議が具体的な施策をプランし、実行していくということになると思います。それから、中長期的に言えば、人口減少にどういう歯止めをかける見通しを作るかということです。これは地方創生会議の大きなテーマでもあります。それから、デフレ脱却ということはこの安倍政権の最大課題でありますから、そこにどういう道筋を付けていくかということです。そして、成長と財政再建の両立をしっかり図っていくこと等々があるわけです。
 それに向けて、司令塔として大きな方向性を出していくということです。その際には、将来を見通した判断が誤りなきように、できるだけしっかりとしたデータを把握することが必要です。そのために、経済財政諮問会議のインフラとして政策コメンテーターを49名、政策コメンテーターの方々を取りまとめる組織として政策コメンテーター委員会を、伊藤座長を含めた12名で構成したわけです。これは経済財政諮問会議のいわば強力なインフラになっていくわけであります。経済財政諮問会議の見通しと判断がより適切なものになるように、そのインフラを整えたと御理解いただきたいと思っております。大きな方向性をしっかり示すと。経済界を代表する方に入っていただきましたし、シャープな御意見をいただける方にも参加いただいているわけであります。経済財政諮問会議が名実共に安倍政権の経済財政運営の司令塔として活躍できるように、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

(以上)