山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年4月11日

(平成26年4月11日(金) 8:58~9:19  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議については、特に御報告することはありません。
 まず、宇宙政策担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 明日4月12日に出張を予定しています。北海道の大樹町の宇宙関連ベンチャー企業であるインターステラテクノロジス株式会社の工場及び宇宙航空研究開発機構大樹航空宇宙実験場、これはJAXA(宇宙航空研究開発機構)が持っているんですが、ここを視察したいと思います。
 この当該ベンチャー企業の出資者である堀江貴文氏との意見交換も行いたいと思っています。このベンチャー企業は、小型ロケットの開発、それから打ち上げ試験を行っておりまして、将来的には小型ロケットによる低価格な科学実験や超小型衛星の打ち上げを目指していると聞いています。今般の視察、意見交換を今後の宇宙開発利用の推進に役立ててまいりたいと思います。
 この視察ですが、宇宙利用、宇宙産業の裾野拡大という観点から言うと、ベンチャー企業の参入を促すということは大事だと考えておりまして、その現状を把握する上では非常に有益であると考えております。
 次に、原子力委員会担当大臣として申し上げたいと思いますが、エネルギー基本計画の閣議決定が行われました。エネルギー基本計画の策定過程においては、原子力関係閣僚会議の一員として議論にも参加をいたしましたし、私からは、国民からの信頼を得るとともに、平和利用と核不拡散について我が国の立場を世界に発信すべき、更に、国が前面に立って放射性廃棄物の処理・処分等に取り組んでいくべき、もう一つありまして、原子力人材の養成に関する政策は重要だ、関係各省で連携して取り組むべきだと、こういう意見を述べさせていただきました。
 今回閣議決定されたエネルギー基本計画は、このような意見についても十分に反映されたものとなっていると思います。今後、本計画に沿って関係各省が施策に取り組むことを期待をしています。
 更に、原子力委員会では、本年1月に、今後、本計画を実施していく際に留意すべき点を見解として示しております。原子力委員会を担当する大臣として、本計画の実施に際して、関係省庁の取組を注視をしてまいりたいと思います。
 次に、科学技術政策担当大臣として申し上げたいと思います。
 何度も申し上げていますが、理研(理化学研究所)の調査委員会の最終報告で、調査対象6件のうち2件について捏造(ねつぞう)、改ざんという厳しい結果が発表されたということについては厳しく受け止めております。
 これも何度も申し上げますが、理研については優秀な研究者が、すばらしい研究活動を行っている。その意味では優れた法人だと考えておりまして、特にここでも何度も申し上げましたが、若手や女性の研究者をリーダーに育てたいと、このような野依理事長(野依良治理化学研究所理事長)の哲学はすばらしいと思っておりまして、それだけに今回の一連の経緯は大変残念だと思っています。このことで寝食を忘れて努力をしている研究者、特に若手、女性のチャンスがなくなってしまうようなことはやはり避けなければいけないと思っています。
 他方、何度もこれも申し上げていますが、理研は世界最高水準の研究開発法人の候補になっているわけですから、それにふさわしいガバナンスとか危機管理マネジメントというものをきちんと示していただく必要があると思っています。
 ここ何日か、昨日の一部の報道でも、今国会での特定国立研究開発法人の指定といいますか、この法案の断念に向けて政府が検討を始めたという報道がありますが、私が全くこのような打合せに参加をしておりませんので、断念に向けた検討が始まっているようなことはありません。
 この際ですから一つ申し上げておきますと、特定国立研究開発法人制度は、私は意義があると思っていますし、必要だと思っています。それは、この特定国立研究開発法人制度の創設に向けて一生懸命努力をしてきた科学技術政策担当大臣としての思いですので、状況は厳しいということは、これは間違いないと思います。また、党の方からもいろいろと厳しい御指摘が出るのも当然だと思いますが、できるならば、今国会で成立をさせたいと、科学技術政策担当大臣として考えていることは申し上げておきたいと思います。
 ただし、これももう一度申し上げますが、現状をいろいろと見るに、理研の方で外部有識者も入れた調査委員会を作ったわけですから、これについて連休後でしょうか、報告がなされると。この報告の結果もきちんと見極め、更に小保方リーダー(小保方晴子理化学研究所ユニットリーダー)が不服申立てもされるということで、これはルールに基づいて手続が進んでいくことだと思いますが、このようなことに対する理研の対応も含めて、その辺のところをしっかりと見極めない限りは前回、前々回の記者会見でも申し上げましたが、やはり前に進むことはできないだろうということでございます。
 閣議後記者会見のいつものプレゼンテーション、これは簡潔に行いたいと思います。
 今日は、衛星データをビジネスに利用したグッドプラクティス事例集ということで、本邦初公開ですけど、皆さんのところにお配りをしています。
 これは、宇宙基本計画で宇宙利用の拡大を促すという大方針が示されておりますが、宇宙利用産業とかユーザー産業等による新たな宇宙利用の開拓をする。行政、産業、国民生活の高度化、効率化を目指すということで、こういうことを促すためにリモートセンシング衛星を利用したグッドプラクティス事例集、これを作りました。国内事例10件、欧州事例6件入っているんですが、今日は国内事例3件、欧州事例1件ですかね、この4件について簡潔に紹介させていただきたいと思います。
 農業分野ですが、最初にGeoMation farmということで、このGISとGPSの衛星画像を活用した農業情報管理システムのことで、日立ソリューションズが行っているものです。
 衛星画像で畑ごとの小麦の乾燥度合いを把握して、収穫の順序を決める。これはやはり立ち枯れの時のものを刈ってあげるのが一番効率がいいらしいんですが、そういうことを衛星画像で判断をしてプライオリティを付けていくということで、顧客としては農協、農業共済組合、自治体で、今47団体がこのシステムを導入していまして、小麦乾燥での省エネ効果は、CO2排出量を33%削減できるということになっています。ここに事例が出ていますが、これは衛星画像を解析した小麦の生育状況ですね。
 次は、衛星を活用した災害監視システムということで、地球観測データの受信からリモートセンシング、空間データ処理・提供まで一貫したサービスを実現するということで、株式会社パスコさんが行っているものですね。
 簡単に言いますと、崖崩れとか洪水等の災害状況を把握して、情報を提供する。
 これは震災後なんですが、これに基づいて津波の浸水の想定図を作るということで、これは帰宅支援マップですが、このようなものをスマートフォン等で配信をするということで、地球観測データを活用したものとしては国内の民間企業初でございます。
 次は、やはり少しでも動画というか物を動かすというのが私の信念ですから、簡単な、短く動画をお見せしたいと思いますが、エビスくんという宇宙から魚群を見つけ出すと。何でエビスくんなのか。恵比寿様は右手に釣り竿を持って、左手に鯛をかついでいまして、これは漁業の神様でもあるということで、エビスくんという名前がついているんですが、動画を御紹介したいと思います。

 

(動画上映)

 

 人工衛星の映像ですね。種子島スペースセンターからの映像です。人工衛星から送られてくる海洋、海に関する情報、これは皆さん言うまでもなく、漁業と深い関係があります。どこに魚がいるのか、どこによい漁場が作られているのか、このようなことが分析できるわけです。漁師の方々が、この人工衛星から送られてくる情報を基に漁場の正確な位置を探し出しているということなんです。
 ということで、今、パソコン等を搭載した漁船400隻にいろいろな情報を送信しているということで、何しろいち早く魚群が探査できるので、燃油の節約率が15%ということになっております。
 最後に、欧州のグッドプラクティスです。風力発電設備設置に関する支援サービスというのをPlanetek Italiaというところで行っていまして、これは衛星データ(風力の予報モデル)というのがあるんですが、これを利用して風力タービン設置の最適地をまず特定する。この風力データをWebのブラウザでリアルタイムに見ることができる。そこで分析ができるわけですね。ということはどういうことか。風速計の設置コストというものをかけずに、風力発電ビジネスの投資判断ができるという画期的なものです。
 ということで、このようなことを生かしてしっかりと宇宙の開発利用を進めていきたいと思います。
 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)読売新聞の梁田と申します。理研の問題の件なんですけれども、菅官房長官が一昨日の時点で、今国会での法案成立はちょっと難しいというような見通しを示していらっしゃるんですが、内閣の中でのそこの意見のすり合わせといいますか見解のすり合わせについてはどのようになっているんでしょうか。
(答)官房長官の会見を読ませていただきましたが、今国会での法案成立は難しいとはおっしゃっていないと思うんですね。いろいろなことにきちんと見通しがつかなければ、それまでは閣議決定はできないだろうというようにおっしゃっているので、それは私の言っていることとほとんど同じだと思うんですね。今後の理研の対応、特に連休直後に出てくるんでしょうか、その報告書の中身とか今後の対応も見ないと前には進めないということで、全く同じことを言っているということだと思います。今国会では法案を提出するということを現時点で断念したとはおっしゃっていないので、今日私が言ったこととほとんど同じだと思います。内閣としての方針、官房長官の考え方と私の考え方に相違はないと思っています。
(問)科学新聞の中村です。理研の問題なんですけれども、外部有識者委員会が連休明けくらいに報告書を出す。それを受けて、野依先生を中心とする改革本部がそれを具体化していく。そういうスケジュールを考えていくと、具体的に、じゃ、どういうふうに変えていくのかというのを理研が見せる、大臣がおっしゃった、ちゃんと対応を見極めて、そういう対応をちゃんと見せるには5月の遅い段階とかそのぐらいになってしまうと思うんです。そうすると、なかなか、普通に考えたら、今国会というのはスケジュール的にちょっときついんじゃないのかなというふうにも思うんですが、そこら辺はどうなんでしょうか。
(答)そこは、どの段階で閣議決定をするとか、あるいは法案を出すとかを判断するという問題なんですよね、どこをもって見極めたと判断するかという問題だと思います。先程申し上げたとおり、状況は厳しいということは、これは間違いないと思いますが、今の段階で法案提出を断念したということはありません。それは先程申し上げたとおり、どの段階で見極めたと判断するかということだと思います。
(問)大臣として見極める段階というのは、どの時点を。先程からおっしゃっている外部有識者の報告書が出てきた時点なんでしょうか。
(答)それは今後の、例えばこれからのいろいろな理研の対応を全体を見て判断するしかないと思うんですね。いずれにせよ、この連休直後になるのかどうかわかりませんが、この外部有識者による報告書が出て、それをしっかりと見るまでは判断はできないということだと思います。
(問)関連でTBSの加古です。今後の理研の対応次第では、法人の指定から理研が外れて、他の例えば元々挙がっていた候補になるという可能性もあるのでしょうか。
(答)他がなるとかならないとかはともかく、今後の対応によっては法案を今国会に提出できるかどうかという判断をするわけですから、いろいろなケースが考えられると思います。今おっしゃったようなことも含めていろいろなケースが考えられると思います。
(問)NHKの高野です。関連なんですが、法案の提出、まずその報告書、外部委員会は1カ月から2カ月かかると言われていて、早くても1カ月だと連休明けてになるんですが、そのスケジュールでも今国会に提出して成立することが可能だというふうにお考えでしょうか。
(答)それはだから、先程から申し上げているとおり、ここからの展開をよく見極めてみないとわからないと思うんですね。例えば法案を提出するということになれば、党のプロセスもきちんと経なければいけない、与党のプロセスも経なければいけないということですから、これからの様々な展開を見極めていかないとわからないと思います。
(問)関連なんですが、スケジュール感のお話で、少なくとも5月の今頃、上旬から中旬にかけてまでは外部委員会の報告は出ないわけですね。少なくともそれを待つという中で、スケジュール感として、それを待った上でも今国会に提出して、今国会で成立させるということは今の段階で可能だというふうにお考えですか。
(答)それは、可能かどうかとかではなくて、全体の状況を見て判断をするということで、今の段階で法案を提出するという選択肢を、これは科学技術政策担当大臣の意見として申し上げているので、今の段階で法案を断念するということは私は思っておりません。ただ、先程申し上げたとおり、大変厳しい状況だとは思います。
(問)関連でフジテレビの鹿嶋です。大臣の受け止めをお聞きしたいんですけれども、先日の小保方さんの会見を御覧になったと思いますが、小保方さんの会見の中で、その指摘された2点については、悪意のないミスだったということを主張するとともに、STAP細胞そのものが存在するかどうかの具体的な証拠は示せ得なかったという見方もできると思うんですが、この2点について大臣はどのように御覧になっていますか。
(答)小保方リーダーの会見については、科学技術政策担当大臣としての感想を述べるとかコメントをするとかということは控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、御本人から説明があったということは意味があったのではないかと思っています。
 今後の展開については、小保方さんが不服申立てをされたわけですから、これは理研側としてきちんと手続というかルールに則って対応していくと、これに尽きると思います。
(問)朝日新聞の園田です。確認なんですけれども、確認なんですけれども、理研の指定候補を外すというのは選択肢の一つであるという認識でよろしいんでしょうか、今後の対応について。
(答)指定候補を外すとか外さないとか申し上げていません。法案をまとめる、出すということは、指定をする、どこの法人を対象にするかということをきちんと方向性を出すということですから、今国会で法案を提出できるかどうかということは今後の対応によっていろいろなケースが考えられるということだと思います。
(問)関連なんですが、厳しいというのは何が厳しいという状況だというふうにお考えなのでしょうか。
(答)それは党内等々からも厳しい意見が出ていると、厳しい指摘が出ている。そういうこと等々を考えると、やはりこれについて党の了解をいただく、あるいは法案としてきちんと出していくためには、いろいろな対応をしていかなければいけないと思うので、全体として決して楽観できるような状況ではないということだと思います。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:333KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)