第477回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2025年12月10日(水)11:00~12:50
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
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- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理
- (テレビ会議)今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、善如委員、中田委員、原田委員
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- 【説明者】
- 中村雅人 弁護士
- 一橋大学 松本恒雄 名誉教授
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- 【事務局】
- 小林事務局長、吉田審議官、友行参事官
議事次第
- 製造物責任法をめぐる現状と課題について(有識者ヒアリング)
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:188KB)
- 【資料1-1】 実務家から見た製造物責任法改正の必要性(中村弁護士)(PDF形式:254KB)
- 【資料1-2】 わが国における製造物責任法改正の課題(一橋大学 松本名誉教授)(PDF形式:641KB)
- 【参考資料1-1】 PL訴訟の実情(ランチアデルタ事件)(中村弁護士)(PDF形式:922KB)
- 【参考資料1-2】 PL訴訟の実情(温水便座発火事件)(中村弁護士)(PDF形式:823KB)
- 【参考資料1-3】 PL訴訟の実情(薪ボイラー発火事件)(中村弁護士)(PDF形式:2065KB)
- 【参考資料1-4】 PLオンブズ会議改正案(2015年)(中村弁護士)(PDF形式:265KB)
- 【参考資料1-5】 消費者安全専門調査会 設置・運営規程(中村弁護士)(PDF形式:127KB)
- 【参考資料2】 委員間打合せ概要メモ(PDF形式:146KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、第477回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理と、私、鹿野が会議室にて出席しており、今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、善如委員、中田委員、原田委員がテレビ会議システムにて御出席です。
なお、一部の委員におかれましては、少し遅れての御参加と伺っております。
山本委員は、本日、所用のため御欠席と伺っています。
それでは、本日の会議の進め方等について事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足等がございましたら事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
《2. 製造物責任法をめぐる現状と課題について(有識者ヒアリング)》
○鹿野委員長 本日の議題は「製造物責任法をめぐる現状と課題について」です。
製造物責任法は、製造物の欠陥により、人の生命、身体または財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的として制定された法律です。
消費者委員会では、令和6年4月に取りまとめた「次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見」の中で、制定から30年が経過している同法について、消費者保護の活用のされ方について調査し、仮に十分活用されていないのであれば、その要因を明らかにし、必要な措置を取ることが望まれるという点及びデジタル化の進展等、社会環境の変化に基づく観点からの見直しが求められるという点を指摘していたところでございます。
そこで、本日は有識者として、中村弁護士から製造物責任法の制定経緯や、現行法の訴訟実務上の問題点、課題などについて御発表をいただき、一橋大学の松本名誉教授より、EUの製造物責任指令の改正の動きを踏まえた上での、日本の製造物責任法の課題について御発表をいただき、意見交換を行いたいと思います。
改めて御紹介させていただきます。
本日は、中村弁護士と、一橋大学の松本名誉教授に会議室にて御出席いただいております。本日は、大変お忙しいところ、ありがとうございます。
本日の進め方ですが、中村弁護士、松本名誉教授の順にそれぞれ20分程度で御発表をいただき、その後、全体としての質疑応答、意見交換の時間を50分程度取らせていただきたいと思います。
それでは、早速ですが、最初に中村弁護士から20分程度で御発表をお願いします。
○中村弁護士 おはようございます、中村です。
私の肩書きにあるとおり、東京PL弁護団というのは、PL事件の裁判を被害者側でたくさん扱っておる団体であります。
今日は、消費者委員会では久しぶりにというか、なかなか取り上げられない製造物責任法の問題を取り上げていただいて、私ども実務家としては大変感謝申し上げたいと思います。
それから、PLオンブズ会議というのは、製造物責任法が制定された後、この法律がどのように機能しているか、していないかを監視する団体として立ち上がっておりまして、以来、30年活動を続けております。7月1日という製造物責任法施行の日を記念して、毎年報告会をやっている団体です。
そういうところで、実践と運動をやっている弁護士の1人として、今日は御報告したいと思います。
前提として、なかなか製造物責任法のお話が、この会議で扱われていないので、簡単に製造物責任法とは何だったのかと、もう一回振り返っておきたいと思います。
まず、前提として、その来歴なのですが、もともと欠陥製品の被害を受けた人の救済というのは、民法で扱われておって、明治29年にできた私人間の紛争解決ルールとしての不法行為、ここのルールとして被害者が加害者側の故意、過失を証明する必要があった、そういう時代がずっと続いてきましたが、科学技術の進展に伴って、消費者にとっては非常に困難が待ち受けておるわけでありまして、例えば、私が昭和50年から関わった薬害のスモン訴訟、これは製薬会社の過失を証明する、どうやって証明するのだと、本当に悩みました。製造物としての医薬品を製造販売した段階で欠陥があったのだということ、あるいは過失があったのだと、この両方を証明しなくてはいけないという重責を担って裁判に挑むわけですが、もう全ての情報がメーカー側にあるので、被害者の消費者からは、研究段階でどんなことがあって、どうだったかということは全く分からない、そういう中で裁判をやらざるを得ない、こういう不公平なことがあるかということで、当時から学者では、我妻榮先生たちの団体が、製造物責任法要綱試案というものを発表しておられて、過失の立証を不要とする公平なルールに直したほうがいいという提案をされておりました。
そういう中で、我が国でも世界の趨勢を受けて、製造物責任法というものが制定されるのですが、アメリカ、ヨーロッパから比べると、10年以上後れをとっておって、1995年7月1日にようやく施行されるということになって、世界的なスタンダードに10年、20年遅れて、日本も並んだということが、この製造物責任法です。
ルールの基本は、過失の証明は要らないよと、製造物責任法の第3条を御覧いただくと、製造業者らは、その引き渡したものの欠陥により、他人の生命身体または財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずると、こう書いてある。
では、その欠陥とは何ぞやというと、第2条の2項に、「この法律において「欠陥」とは、・・・当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」と、至って簡単に見えるのですが、これは、実際には、とても難しい立証なのです。
では、法律ができてよかったねということで、では、うまくいっているのかというと、そうでもない。もともとこの法律ができる前から、欠陥ということの証明がとても難しい、因果関係もとても難しいということはずっと言われていて、学者の試案とか、日弁連、東弁、私法学会の試案などは全て、欠陥、因果関係については推定規定が要るのではないかという提案をしてきたわけです。製造物責任法制定時の国会審議の中でも大変議論になったのが、立証責任の軽減という課題でした。
これに対して、いろいろなところから推定規定が要るのではないかという提案をしたのですが、当時の政府答弁は、個々の訴訟において、裁判所による事実上の推定の活用で対応できるのだから、わざわざ条文にしなくていいということを、法務省から出てきた参事官がのたまわったわけで、そのために推定規定というのは立法化されておりません。
その結果、現場ではどんなことが起こっているかということで、私どもが扱った事例の中から幾つか紹介しておきます。映像のほうをお願いします。
1つは、ランチアデルタという車の事件なのですけれども、購入してまだ1か月という新車だったのですけれども、初詣に行った帰りに、突然、バンパーのところから白煙が上がり、ハンドル操作ができなくなって電柱にぶつかって止まったという事故だったのです。
この事故について、修理屋さんが解体した結果、エンジンにオイルを注ぐ、潤滑油がたまっているオイルパンというところがあるのですが、そこの中に金属片が落ちていると、これは、多分、エンジンから何か金属片が落ちたのではないかと、そこに欠陥があるのではないか、明らかですねということで、裁判を起こしました。
ところが、裁判官は請求棄却、私たちは本当にびっくりしました。絶対勝つと思って当事者席に座って待っておったら、原告の請求を棄却すると言われたときは、もう顔が真っ青になりまして、何でこんなことが起こるのだろうと、製造物責任法ができた直後ぐらいの事件だったので、やっと新しい時代が来ると思って期待していた法廷だったのですが、あっさりと裁判官に首を切られてしまったと。
そんな判断がどうしてできるのだと、この際、エンジンの中もかっぴらいて中を見せてやるわということで、エンジンを解体するのも大変費用がかかって、当時110万円のお金をかけて工場へ持っていって開けてみましたら、やはり案の定、ピストンの中がぐちゃぐちゃになっていたと、今、映像が出ていますが、左上がランチアデルタ、当時の車で、上の右側がエンジンの中、開けたところで、その中のピストン、回転を伝えるそのピストンが、見て分かるとおり、少し小さいかもしれませんが、メタルがちょん切れているような状態になっていますね。そういうことがどうして起こったかというと、右下のオイルパンからエンジンルームにオイルを運ぶ、そういうパイプの部分が、上のほうに隙間が空いていて空気が入ってしまえば、オイルが上まで届かなくなると、そういう状態で、新車から1か月よく走っていたなと思ったのですけれども、その結果、オイルがいかないために、金属と金属が摩擦を起こして、メタルが壊れたということが分かったわけです。
それを控訴してから控訴趣意書を書く50日の間に懸命に立証資料をつくって高裁に臨んだところ、高等裁判所の裁判官は第1回の期日に言いました。本件の事件については、当裁判所は原審とは結論を異にします、ということで和解を勧告されまして、被告側から幾らかの賠償金を払わせて和解に至ったという事件でした。
この事件の教訓は、何で裁判官は、こんなことぐらい分からないのだろうというのが、私たちの実感ですが、裁判官は本当に、物事の何ていうか、発想というか、推理思考、そういうものに欠けている裁判官が間々おりまして、こういう判決になったのだなと思いました。
2つ目の事件も少し御紹介させていただきたいのですが、こちらの事件についても同じようなことで、いわゆる温水便座、今はほとんど普及していますけれども、出がけの頃はよく火事が起こっているのです。便座というのは、皆さん御存じのとおり、電気で温めたり、お湯を放出するわけですが、その周りは水があったり、糞尿があったり、非常に危険なところに電気が来ているわけで、機械も故障しやすいと、そういう中で発火事故が起こったということだったのですが、これもどうしたことか、消防署が、なかなかどうして発火したか分からなかったらしくて、どうもこの燃え方を見ると、放火してもこうなるねということを言って、放火の可能性も否定できないなどと結論を書いてしまったもので、裁判官もそれに引きずられてしまって、敗訴判決になってしまったということ、誠に残念ですが、私どもは明白に、電気的な故障が起こったのだと、そこからの火災だということを思って、映像の中でも見せて、便座はこんな感じですね、右側が実際に燃えたもので、左側は燃えた後に取りかえた新品ですね。こんな状態でどうして、ここしか燃えていないのですね、家の中は、すすだらけにはなったけれども、ここしか燃えていないのに、なぜこれが原因と言えないのかということですが、裁判官はそこの発想がなかなかできなかった。消防署がこう言っているのだからといって、安易に飛びついてしまう、それが実情だと。
3つ目の事件、これは、つい最近和解したばかりなのですが、千葉県の温室栽培をしている園芸農家で、温室の200坪が全焼したのです。温室を温める装置というのは、薪をたいたストーブのようなボイラー、そこから熱を送って温室を温めるというシステムだったのですが、これが燃えてしまった。
これも燃えた原因について、もちろん論争になるわけですが、私たちが頼んだ鑑定士さんは、異常な燃焼現象が起こったと、常に安定した状態で炎が出るわけではなくて、薪ですから、少し燃え方にむらがあったりして、そのときに突然ぶわっと大きな火が出て、煙突の中を走って、中にあるすすなどを燃やしたのだろうと、その結果、火事になったのではないかということだったのですが、被告のほうの争い方は、煙突の中のすすは、あなたが掃除しなかったからでしょうと、だから、それはあなたのせいで、製品には欠陥はないのだよという争い方をされるわけです。
実際、証人尋問等を経て5年も一審裁判をやったのですが、裁判官は最後に、当裁判所の心証は必ずしもよくないので、和解しませんかということを言ってきて、本当にささやかな賠償金、鑑定士さんたちにお願いした実費程度しか回収できなくて、弁護士の費用はどこへいったのだと言いたいぐらいの和解の解決で終わったという事例です。
こういう事例を見ていてお分かりのとおり、消費者にとっての立証負担というのは非常に重い、この状態が延々とまだ続いているというのが現状です。
私たちは、そういうことを経験しているから、製造物責任法で早く推定規定を入れてくださいよとか、その他、立法からもう30年ですけれども、大分時間もたって世の中も変わっているのだから、いろいろ見直してくださいよということで、PLオンブズ会議で製造物責任法の改正試案というものを出しております。後ろのほうに資料をつけていますけれども、これは、時間的には少し前なのですけれども、これを発表した頃の段階は20年経過した段階で出しているので、今から10年ほど前に発表したものですが、このときも下のほうで見ていただくと分かるとおり、3条辺りでは、推定規定を入れろということを明確に言っています。
もう一つは、証拠開示の規定も入れろと、それから、懲罰賠償とは言わないのですが、賦課金をつける制度とか、そういうものを随分立法提言をしてきました。
後ろのほうの7、8条に、消費者団体訴権とか、公益通報者の保護とかを入れていますが、これは、当時の立法状況では、まだなかなかここが実現していなかった部分を、では、先に製造物責任法でやってやろうではないかということで入れてみたわけです。
そういう改正案を出しておるのですが、振り向かれないというか、学者も、マスコミも、なかなか振り向いてくれなくて、今日に至っているわけです。
そこへ持ってきて、さらにIT化、デジタル技術の急速な進歩というものが、近年加わってきて、いよいよヨーロッパも法改正に踏み切った、この後の松本先生が詳しくお話しいただけると思うのですが、そこの中では、やはり欠陥や因果関係の推定規定だとか、製造物の範囲の拡大、デジタルプラットフォーマーの責任などが、当然議論される。私たちも、ここをちゃんとカバーしないと、今の時代に製造物責任訴訟をやっても、私たちはほとんど勝てませんよということを申し上げたいわけです。
最後に、こうやってみると、日本の消費者というのは、今、世界的に見て最も不利な法的環境に置かれているということが言えると思うのです。ここは早く、少なくともヨーロッパ並みの立法改善が必要だと思っています。
それから、行政規制は、今回、消費者安全4法の改正が、もうすぐ12月25日から施行されますけれども、ここで一定の前進は確かにあります。ここも多分、松本先生のところで詳しくお話しになると思います。
だけれども、それはあくまでも行政規制でありまして、民事ルール、責任論のところについては手つかずの状態になっているわけです。
消費者委員会には、消費者安全専門調査会というのがあることをぜひ思い出していただきたいと思っております。
この専門調査会は、今、お眠りされているようですが、かつて第1期のときには、ここが大活躍をしまして、消費者委員会第1号の建議というのは、ここから出しているのですね。リコールに関する建議、これは、まさに、その安全専門調査会で十分議論して出した建議でありました。こういうものがあるのですから、ぜひ、製造物責任法の改正も、安全専門調査会を立ち上げて検討していただいて、消費者庁に法改正を促していただきたいと思います。
それから、よく製造物責任法は、先ほどもちらっと話題にあったかもしれませんが、経産省も、今、何らかの動きをしていると、デジタル化の影響を受けての一定の動きはあるのですが、経産省は経産省の所管物資しか扱わない、よそのところには手を突っ込まない、これと同じことはPL法制定のときにもやはりありまして、PL法制定時は、結局、各省庁の所管物資ごとに、製造物責任法の検討委員会というのをつくった。もちろん、スタートは内閣府の国民生活審議会だったのですが、経産省は産業構造審議会でありましたし、農水省、厚労省、国交省、それぞれの省庁が自分のところの所管物資について製造物責任法の検討をして、それらを持ち寄って、最後は、何か法務省的な民法の一部変更のような製造責任法になったということなので、残念なのは、今、他の省庁で製造物責任法を検討しようという動きは全くない。これは、私、非常に残念に思うのですが、1つは、消費者庁というのが16年前にできて、消費者問題は、みんなそっちがやってくれるのだから、俺たちはやらなくていいよという空気が、どうもあるのではないかという気がするのです。
ですから、やはり消費者庁がリードするのも大事なのですが、各省庁も叩き起こしていただいて、お任せではなくて、自分のところの所管物資について、もっと検討を深めてほしいなと考えております。
ぜひ、消費者委員会では、安全専門調査会を再起動して、製造物責任法改正に向けて取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
続きまして、一橋大学、松本名誉教授から、同じく20分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○一橋大学松本名誉教授 それでは、私のほうからは、日本の製造物責任法改正に向けて、EUで昨年公布された新PL指令との対比で、何が課題かをお話ししたいと思います。
まず歴史のところからいきますけれども、日本での製造物責任の議論は、基本的にはアメリカの第2次不法行為法リステイトメントの規定をモデルに行われてきました。その段階では学者の議論で止まっていたのですけれども、85年にEUで旧PL指令ができたことによって、日本もヨーロッパ法を勉強して導入したらどうかという議論が出てきまして、それから約10年後の94年に、日本でも製造物責任法ができました。
アメリカのほうは、その後の97年に、第3次リステイトメント・製造物責任というものができて、そこでは、いわゆる厳格責任を限定し、設計上の欠陥と指示・警告上の欠陥については、過失責任的なアプローチを取るというように、本家がかなり方向転換をしているということがございます。ヨーロッパのほうは、この点については、特に変化はなくて、この3つの欠陥は同じだというレベルで、新しい指令もできているように見えます。
飛んでいただいて、スライドの8枚目です。日本はヨーロッパの旧指令をモデルにしてつくったということなのですけれども、そもそも違うところが幾つかあるのです。
まず、先ほど中村弁護士からも説明がありましたけれども、法務省が、民法一般のルールの方向に最後に持っていったので、消費者の保護にもなるけれども、それに限定したものではなく、事業者、企業の利益もたっぷり保護されるという法律になりました。
まず、ヨーロッパでは、生命・身体への被害については事業者であっても一緒なのですが、財産上の被害の場合は、消費者が個人的に使用・消費している物の損害に限定しています。日本は限定しておらず、企業の営業上の利益も全部入ってくるというとんでもなく広い賠償範囲です。
さらに、供給者、すなわち売主が、この製品は誰がつくったのか、売主のところに引き渡したのは誰かということを明らかにできない場合は、売主が責任を負うという厳しいルールがあるのですけれども、どういうわけか、日本には、これは入らなかったのです。
あとは、少し小さい差ですが、農水畜産物とか電気もEUは製造物に含んでいる。それから、損害賠償額の限定があって、一定額は消費者負担だったということがあります。この4つぐらいが日欧の差かと思います。
その後、ヨーロッパでは、法改正をしなくても問題はないのだという調査結果が出ていたのですけれども、2018年以降、新たな動きが出てきて、22年に新しいPL指令案の公表をしています。
そのときに、AIについてもAI責任指令案というのが出ているのです。ただし、ここでいうAIの責任というのは、契約外の民事責任、すなわち不法行為責任のことなのですけれども、製造物責任に関わるAIの問題は新PL指令のほうでカバーするので、そうではないAIの問題に限定しておりました。例えば、就職選考の際の差別によって不利益を受けたというのが典型です。
面白いのは、さらに、このAI責任指令案の中身は、中村先生が強調された立証責任とか、証拠開示のみなので、実体法的な責任ルールは何も入っていなかったということです。つまり、AIの開発や提供、さらに利用する事業者の不法行為責任を追求する際に、被害者が証拠を集めるのが大変だろうからということで、このような指令案がつくられたのですが、これは、24年の段階で、アメリカとの関係で、AI規制をやるとヨーロッパは置いてきぼりになるかもしれないからやめようという色彩が強くなったようで撤回されました。
では、ヨーロッパの改正は何を目的としていたのかということで、11ページですが、大きく分けると、デジタル化対応とグリーン化対応です。
さらに12ページで、EU域外からのプラットフォーム経由の直接販売に伴う問題、これは日本でも全く同じ問題が起こっています。それから消費者の立証困難の緩和、加えて賠償額が限定されていて、消費者の自己負担があるというのはおかしいのではないかという辺りが改正の理由で、それぞれ実現しています。
中身については、次の13ページです。製造物の範囲がうんと広がりまして、ソフトウエアとか、デジタル製造ファイルと言われているものが入りました。日本では、立法当時ソフトウエアは入っておらず、制定後の議論の中でも、毎回読み込むタイプのソフトウエアは入らず、ファームウエアの形で、ハードウエアと一体化している場合は製造物だということでした。
14ページですけれども、欠陥の部分は、今回あまり変わってはいなくて、むしろ欠陥判断のファクターが非常に詳細に列挙されているというところがあるぐらいなのですが、これだけ列挙してもらうと、立証のとき、少し楽になるというところがあります。
それから、15ページです。賠償請求権者の範囲ですが、これも、従来どおりであまり変わっておらず、賠償請求権者を自然人に限定しております。
ただし、適格消費者団体などを念頭に置いたような規定も置かれていて、製造物責任について、適格消費者団体が請求できるということになりそうです。
それから、16ページの損害の範囲です。賠償を求めることができる損害の範囲についての大きな変更は、データの喪失や破損についても、賠償請求できることになりました。従来だと、有体物の滅失や損壊に限定されていたのですが、データも入った。ただし、事業上の目的のために使用されていない場合に限るということです。
日本ではどうかというと、日本は賠償の範囲が広くて、民法と同じですから、データも当然入っているのですけれども、データ破損の原因がソフトウエアに問題があって、外部から侵入されたという場合などは、そもそも入らないということになりますから、ここで大分差が出てきます。
次に、賠償責任を負う者の範囲、17ページです。これは、エコノミックオペレーターと英語で言っていますけれども、経済事業者と一般に訳されている、様々な関係者が階層的に責任を負うということになっております。第1順位はあまり変わらないですけれども、第2順位のところで、輸入者だけではなくて、権限のある代理人、authorized representativeという概念が入っています。日本語に翻訳をする学者によってみんな違う訳を当てているという分かりにくい概念なのですけれども、これは、先ほど中村先生がおっしゃったように、製品安全4法改正で、国内代理人を置かないと駄目だぞという規定が入りましたが、その国内代理人のような存在だと考えていただければ結構です。
ただし、国内代理人という行政手続の代理人が、損害賠償責任も負うというすごいルールなのです。ヨーロッパの場合、ここまで平気で引き受けるのかという点が、個人的には関心があるところです。
それから、第3順位にフルフィルメントサービス提供者がきます。これも人によって訳がいろいろ異なるところです。プラットフォーム経由の直輸入なのだけれども、翌日には注文者に配達されるというケースがあるわけで、プラットフォーム事業者あるいはプラットフォーム事業者から委託された業者が、製品をあらかじめ国内で保管していて、配達までやっているということです。このように一種の輸入代行に近いことをやっている場合には、責任を負うのだという感じです。以上のようにプラットフォーム上での越境直接販売の場合に、関係者の責任範囲が広げられたということがございます。
次の18ページですけれども、コンポーネントとか関連サービスという概念が入りまして、これもデジタル対応です。従来の議論での有体物の部品という概念をデジタルの世界に合わせて広げて、様々なデジタルコンテンツとか、デジタルサービスというものも部品に類似の製造物なのだという発想です。したがって、デジタルコンテンツ、デジタルサービスの提供者は、一定の場合には、製造物責任法上の責任を負うということです。いわゆる自動運転用のナビゲーションサービスなどは、これの典型と思います。
19ページのプラットフォーム事業者の責任の整理はカットして、次に20ページのところです。これは、グリーン化対応の関係になりますけれども、どんどん捨てるのではなくて、修理して使いましょうという発想のもと、実質的に改造したものは新たな製造者として責任を負うのだという規定が入っています。
それから、21ページ以下のところで証拠開示と証明責任の規定について挙げています。こういう場合には、相手方は証拠を開示しなければならないといった規定が細かく置かれていて、証拠を開示しない場合は、今度は証明責任の転換となって、一定の推定が働くことになるという感じです。そういう手当が詳細にされたということがございます。
25ページのところは期間制限ということですが、これは従来とそんなに変わっているわけではございません。
以上をまとめて、26ページのところで、新しいPL指令になって、保護が拡大したところを整理しています。製造物の範囲が広がった。欠陥については、考慮要素が詳細に規定された。自動的に学習して賢くなる製品などのことも念頭に置かれています。
それから、責任主体については、特に越境取引関係でいろいろ新たな事業者が加えられた。
賠償請求権者として、消費者団体による代表訴訟ができる。
賠償の範囲も、データのほうに広がった。
証拠開示・立証責任の転換について、明確な、詳細な規定が入った。
被害者負担は、撤廃されました。
その結果、27ページのところで、日本との差はどうなったかということです。製造物に関しては、従来から少し差がありましたが、これがかなり大きくなった。
賠償請求権者についても、従来から大分差がありましたが、それが少し拡大した。
損害については、従来から大きな差があったのが、今回、そんなに変わっておらず、大きな差が引き続いているということです。
それから、責任主体については、従来からあった差がかなり大きくなった。
証拠開示・証明責任については、新たに大きな差が生じた。
免責に関しては、被害者負担が廃止されて、差がなくなったということですが、全体としては、従来からあった差がもっと大きくなったということになります。
ヨーロッパの場合、PL指令のところだけを見ていると、よく分からないことがございます。用語なども、実は製品安全規制のほうが先行して、そこで使われている用語が新PL指令のほうにもそのまま引用されているところがありますから、市場監視規則とか、あるいは一般製品安全規則などをよく読まないと、新PL指令の意味が分からないことがあります。
たとえば、市場監視規則の中に、フルフィルメントサービス提供者などを行政規制の対象に入れる、あるいはauthorized representativeも行政規制の対象に入れるという規定が先に書かれていて、それがそのまま製造物責任のほうに引っ越してきたという感じです。
一般製品安全規則でも、この中に、プラットフォームの様々な義務が書かれていたり、代表訴訟、すなわち消費者団体訴訟についての規定が既に入っております。
日本でも、製造物責任法の改正より先に、製品安全4法が改正されています。とりわけ、海外からの直接越境販売の場合の安全規制がかなり強化されました。海外から販売する業者は、製品安全法上は輸入者とみなされることになります。
したがって、例えば、PSマークを付けないと日本で販売できないものである場合には、第三者機関の審査を受けたり、自分で検査をしたりしてPSマークを付けた形で直接販売しないと、法律違反になるというルールになりました。
その実効性を高めるために、国内管理人を置かなくてはならないということにしたわけです。海外の事業者に対して直接日本の行政法を執行しようとすると、送達に半年ぐらいかかるという話を聞くので、それが国内に代理人がいれば、その者に送達すれば、それで法執行はしたということで、あとはそれで行政処分の実効性が確保されるかという次の問題になります。
最後に、では、日本ではどうすればいいのでしょうかという点で、36ページ、37ページの辺りです。やはり、デジタル対応の問題としては、製造物の範囲を広げるということと、責任主体についても広げることが必要とプラットフォーム経由で中国の業者から直接製品を購入した人が日本国内でプラットフォーム事業者を相手に製造物責任訴訟を起こしたけれども、全面的に敗訴したという事件がございました。これなどを見ていると、法律改正による手当の必要が明確だろうと思います。
ただし、その場合の最大の課題は、日本は、先ほども強調しましたが、製造物責任法が民法709条の特則の形でつくられていて、消費者保護に限定されていない。事業者も消費者と同様に保護される。しかも、単なる経済的な損失にすぎないような、いわゆるピュア・エコノミック・ロスと言われているようなものも含むということになっています。そのため、ソフトウエアが対象に入って来るとどうなるかというと、最近セキュリティの隙を突かれたサイバー攻撃による被害が多くの会社で発生しておりますが、これによる経済的な損失の賠償も、欠陥があったソフトウエアを提供した事業者に請求できるということになります。もちろん、ユーザー企業側の過失相殺は当然あると思いますが、やはり、提供事業者の責任が大変重くなる可能性があるので、業界からは、抵抗が非常に多くなると思います。消費者被害に限定すれば、年賀状の住所録データが消えましたぐらいだと、大した損害額にはならないでしょうが、それが事業用のデータということになると、大変な話になります。
そこで、本来であれば、30年前の立法時に戻って、適用範囲を限定すべきところなのですが、とりあえず、改正されるデジタル対応の部分に限っては、適用対象を消費者被害に限定する。消費者というよりは個人被害と言い換えてもいいかもしれないですから、消費者ないしは個人の被害に限定するような文言をうまく組み合わせることが1つ考えられるのではないかと思っています。
そのヒントになるのが、2017年の民法の債権法改正の際に、従来は、自然人と法人を区別していなかった民法の債権法の中に、自然人を意味する個人という概念が入ったのです。個人には、消費者だけではなく個人事業者も含まれ、そのような個人が保証人となる場合の個人保証に関するルールが新たに入ったのです。民法でそれができるのだから、製造物責任法でも個人の損害に限定すれば、賠償額が非常に大きくなるということが避けられるのではないかと思っている次第です。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまより、質疑応答、意見交換を行いたいと思います。時間は、当初申し上げたとおり、50分程度を予定しております。いかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 小野でございます。
中村先生には、製造物責任法の改正の必要性について、それから、松本先生には法改正の課題について御説明をいただきまして、ありがとうございました。
とりわけ、中村先生にはPL訴訟の事例を交えたお話で、欠陥、それから因果関係に関わる推定規定など、法制上の課題を、法律を専門にしていない私にも理解することができました。大変ありがたく存じます。
中村先生の第4の結びというところで、日本の消費者だけが不利な法的環境に置かれるというお話でございましたが、その背景として何があるのかというのを、お話を伺ってからすごく気になっております。
私、専門が消費者教育ということで、消費者にどうやって伝えていくのか、効果的なのかというのを研究しているということもあります。
日本は、アメリカとか、イギリスとか、フランスのような商品テストの機関が、どうも根づかないことが関係しているのではないのかなと思います。
消費者の意識の高まり、そして、その機運に押されるような形で法改正につながるとか、あるいは一過性のものにはしない、とどめないという、そんな方策も必要なのだろうなと思っています。
漠然とした質問で誠に恐縮なのですけれども、これまでの長いお取組の中で、中村先生自身が、日本の消費者に当事者意識を持ってもらう工夫など、つまり、こうした問題を理解してもらう人を増やさないといけないということがありまして、何か御示唆をいただければなと思いまして、質問をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 それでは、中村先生、お願いします。
○中村弁護士 なかなか難しい質問ですが、いい質問だと思います。
私どもも、すごく日頃感じているのは、消費者教育の視点から、今もお話がありましたけれども、消費者のところで幾ら気をつけても防げないのが、やはり製品に根本的に安全性を欠いた部分があるということで、それを改善するには、やはりつくった人が、ちゃんと安全なものをつくるというのが第一だと思うのです。
そういうものづくりのところを所管している経産省とか各省庁が、そこら辺についてちゃんと目を行き届かせてくれればいいのですが、やはり基本的に日本の省庁というのは、産業育成を目的に明治時代にできているという歴史があって、そこからなかなか抜けきっていない。産業保護も大切なことですけれども、それで日本が発展したという部分は確かにあるのですけれども、そこで、やはりもう一つ消費者目線で動くというところが必要と。そういう必要性を感じて、福田元総理が消費者庁をつくるということを言われて、できて16年になるわけですけれども、やはり今度は消費者目線で物を見て、法律を変えるなり、進めるなりするのが消費者庁であり、それを、後ろからけつを叩くのが消費者委員会だろうと、こう思っていますので、そこにやはり頑張っていただきたいと思います。
やはり、目線の違いというところがどうしても大きくあるので、消費者の皆さん、賢くなりましょうと、こういう製品には気をつけましょうと、特に、今、リチウムイオン電池などで非常に問題になっていますけれども、そちらのほうももちろん啓発等は重要なのですけれども、そこでは、やはり防げない製品安全の部分というのは、やはり製造元できちんとやってもらうと、そのための法規制をきちんとやると、万が一被害が生じたら、ちゃんと消費者を保護、救済するという仕組みをがちっとつくらなくてはいけないのだろうと思っております。非常に抽象的な答えですが、そういうことを私は常々感じております。
以上です。
○鹿野委員長 小野委員、何かございますか。
○小野委員 どうもありがとうございました。
ものづくりでも、安全性を意識するようなことが必要である、つまり、消費者教育は被害者をつくらないだけではなくて、加害者もつくらないというところが、どうも根本にあると思っています。
その意味では、学校教育などでも、消費者安全、安全性について伝えていくということ、大切だと改めて思いました。
それから、消費者目線が必要であるということ、私自身が所属をしている大学が家政学をベースにしているところでして、生活者を中心に物事を考えていこうと、知識、技術を身につけていこうというところで仕事をしておりますので、私たちにも何かできることがあるかなという示唆を頂戴いたしました。
漠然とした質問でしたのに、どうもありがとうございました。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
善如委員、お願いします。
○善如委員 よろしくお願いします。
お二人の先生方、どうも大変丁寧に教えていただき、ありがとうございます。
まず、私から松本先生の御発表にありました、スライドで26辺りなのですが「新PL指令における保護の拡大」というスライドがあったかと思います。
その中で、欠陥というアイテムのところで、流通に置かれた後または使用開始後に学習を継続し、または新たな特徴を獲得する能力が、簡単に勝手に解釈しますと、これはAIが搭載された製品みたいなものが市場にリリースされて、それが、その後も継続的に学習をいろいろ勉強していって、あと、自分の意思決定で様々な行動をするときに、それが何かしら消費者に深刻なダメージを与えたときの、それも欠陥と認定するという話かなと勝手に解釈したのですが、もしその解釈が正しければということで、2点聞きたいことがあります。
1つ目ですけれども、リリース後の学習に関与するものというのが、必ずしも開発者だけではなくて、一般利用者などもAIの学習に関与するというのが、これからのAI搭載製品の特徴かと思うのですが、そういう意味では、事業者、開発者側からすると、非常に厳しい認定のされ方というか、少し製造物責任法と文脈は変わるのですが、SNSか何かが、AIチャットボットを導入した後に、ユーザーたちが、そいつをからかって変なうその情報を教えたりしたら、それで変な学習をしてしまったAIが、差別的な発言を繰り返したとか、そういった事例もあったことを考えると、このEUの動きといいますか、新PL指令の保護の対象といいますか、その考え方というのは、かなり厳しめの設定かなと思うのですが、このことに関して、実際どういった議論がEU内で行われたのか、もし御存じであれば、教えていただきたいなと、また、日本で同様の議論をすべきとなったときに、気をつけるべきポイントがあれば、教えていただきたいなと思います。これが1点目です。
2点目は、先ほど言いましたように、これは事業者にとって、かなり厳しめの対応に思えるのですが、そうすると、事業者側、開発者側のイノベーションのインセンティブをそがないのかなという心配も同時に感じました。これに関しましても、EUにおいてどのような議論が行われたのか、そして、日本で今後議論する場合には、どういったことに気をつけたほうがいいのかに関して、もし御存じでしたら御教示いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
○一橋大学松本名誉教授 ありがとうございました。
多分きちんと私が説明しきれていないかったので、誤解されているのではないかという感じがあります。製造物の範囲が広がったと言いましたが、製造物絡みの欠陥の概念も広がっていて、ここで挙げられているのは、まさにAI的なもので、学習機能を持った製品だと思うのです。先ほども言いましたように、ヨーロッパの考え方は、製造物の欠陥が原因で消費用の財物に生じた損害あるいは個人の人体、生命への侵害に限定されておりますので、AIが差別的な発言をしたとかというのは製造物責任の対象外なのです。そういう種類の不法行為責任をカバーするのに、AI責任指令案というのができていたのですが、AIの開発を阻害するかもしれないからということで撤回されたということがございます。
ですから、ここでは、やはり学習機能を備えた機械が、誤学習をして消費者にけがをさせたといったことを念頭に置かれているのだろうと思います。
もう一点関連するテーマとして、ソフトウエアが製造物に入ったことによる変更があります。従来の製造物の欠陥判断は、引渡しの時点でやっていたのです。引渡し後に、新たな状況の変化が生じたりしても、それは関係ありませんとして、引渡時点における安全性が確保されているかどうかで判断していました。
しかし、ソフトウエアの場合は、アップデートとかアップグレードと言われるような作業が定期的に行われることが多いわけです。そのため、ソフトウエアの欠陥に関しては、アップデートがきちんとされていないことによって、安全性を損なうような結果になって事故が起こったという場合も、そのソフトウエアの欠陥だという考え方が取られたということです。
このアップデート、アップグレードの話は、製造物責任に限定されていなくて、通常の契約上の履行義務のレベルでも同じことです。その点はデジタルコンテンツ指令という別のEU法の中で定められています。デジタルコンテンツやデジタルサービスの供給契約の場合には、引渡し後に、アップデートを提供しなかったことによって製品の品質が悪くなったという場合に、契約違反、債務不履行になるという考え方が既に導入されておりまして、それが製造物責任のほうにも入ってきたということでございます。
以上です。
○鹿野委員長 善如委員、どうぞ。
○善如委員 ありがとうございます。
すみません、丁寧に教えていただき、ありがとうございます。だんだん頭が整理されてきました。先ほどAIが差別的な発言をするみたいな例を出したのが、少し誤解を招くといいますか、議論を混乱させてしまったのかもしれませんが、同様に、例えばAIが勝手に変な学習をしてしまって、それがもとで自動運転の事故が起こったりとか、そういった場合でも、やはり開発者とか、アップデートを続けていた事業者側が、欠陥の責任を取るということになるのでしょうか。
○一橋大学松本名誉教授 先ほども少し御説明しましたけれども、関連サービスも製造物に入るということで、かなり広くカバーしておりますから、関連サービスの適切なアップデートがされていない場合には、やはりそういう関連サービスの提供者に製造物責任を負わせるという発想だろうと思います。
○善如委員 なるほど、分かりました。どうもありがとうございました。
○鹿野委員長 それでは、大澤委員と柿沼委員からお手が挙がっているようですから、まずは、大澤委員、お願いします。
○大澤委員 中村先生、松本先生、どうも御説明をいただき、ありがとうございました。
私、あまりこの辺は不勉強というか、勉強が、関心はありつつ、あまり進んでいないなというのを改めて思いました。
感想を半分で、質問をということになりますけれども、特に松本先生の御報告で、日本は、要は請求主体が法人とか、事業者も請求できるというところが、もし今後、例えば、要は責任主体を拡大したり、あるいは欠陥概念、まさにデジタルのものを含めたりとか、そうなってきたときに、例えば、まさに事業者がサイバー攻撃をされて、いろいろな会社で、アサヒ飲料などは、たしかそうだったと思うのですけれども、すごくたくさんの営業損害を被ったという事例がありましたので、ああいう場合が出てきたときに問題になり得るというのは、確かになと思っています。
フランスが、まさに日本と同じといえば同じなのでしょうが、民法の中で、要は不法行為の特則として、この製造物責任法のルールを設けているので、フランスは国内法が迫っていますけれども、どのようになっているのだろうかというのは、少し調べてみたほうがいいかなと思った次第です。
日本よりも、むしろフランスのほうが、不法行為の特則であると、民法のあくまで不法行為の部分の特則ですという意識は、製造物責任に関しては強いのではないかという印象は持っておりますが、今回の指令を受けて、どうなるかは少し調査をしてみようと思った次第です。
この辺りが感想ではあるのですが、1点、責任主体のほうの拡大に関して、EUのほうでは、プラットフォーム事業者が責任を負い得る主体として追加されているというところが、これは、今日の御発表でも非常によく分かったところでもあり、非常に今後の、現実の消費者がどのように製品を入手しているかということを考えたときには、プラットフォーム事業者にその責任を負わせるというのは、私もあり得る方向だと思っています。
思っていて、前向きに検討すべきだと思うのですが、ただ、やはり気になるところが、例えば、日本だと、いわゆる製品安全4法の改正で十分かどうかは分からないですが、これに関する、例えば国内管理人を定めるとか、いろいろ一定の手当をしたところでもあり、ただ、これは行政ルールですので、今後これと別に、例えば製造物責任法を改正して、民事のルールとして、プラットフォーム事業者に責任を負わせるというときに、少し行政ルールで既に、少しずつではあるのでしょうが、製品も限られていると思うのですけれども、対処しているところとのすみ分けが必要なのではないかなとは、個人的には思いました。
もちろん、民事のルールを整備されれば、消費者が実際に被害を被ったときに、例えば、製造業者が破綻してしまって、請求しても賠償が十分得られないというときに、プラットフォーム事業者に請求できるということが可能になると、消費者からすると救済の可能性が高まるので、これはとてもいいことだと思いますので、個人的には別にネガティブな印象は全く持っていなくて、前向きに検討すべきだとは思いつつ、しかし、その製品安全4法が一定程度行われたものとの対処との関係とか、行政、民事の違いは、もちろんありますけれども、検討する必要はあると思っています。
なぜ、そのように思っているかというと、これは、まず、1点目の質問ではあるのですが、例えば、このように賠償主体が拡大されるときに、私は、個人的にはEUの方向性は非常に理解できるところなのですが、他方で、その事業者が責任を負うことに備えて、例えば、PL保険をあらかじめ入っているとか、何か事業者だけに責任を負わせるということだと、なかなか、例えば、日本でこれを法改正しようとすると、恐らく事業者からそういう抵抗があるだろうというのは想像できるところですので、もし御存じだったら教えていただきたいのですが、例えば、EUではもともと日本よりもPLに関しては、事業者が保険に入るというのが通常であるとか、あるいは国からの何か保障があるとか、何か事業者の賠償負担を軽減するような方策というのが存在しているのかどうかというのを伺いたい、これが1点目です。
私は、フランス法を勉強しておきながら、この点を把握していないのも不勉強なのですが、もともと日本とフランスでも、民事賠償保険がフランスだと例えば非常に発展しているところがあるので、やはり責任を負う可能性が上がるということと、そういう保険などでもカバーできるというところは、パラレルに考えなくてはいけない話ではないかと思っていまして、質問する次第です。
2点目なのですが、先ほど申し上げたように、例えばプラットフォーム事業者に対しても請求できるように民事のルールを拡大することに、私は全然反対ではなくて、むしろ賛成をしているのですが、他方で、やはりそうは言っても、個人の消費者が自分で、しかも今日、中村先生の御報告にもあったように、欠陥の立証とか、因果関係の立証の推定規定が、日本はあるわけではない状況で、そもそも訴訟を起こして救済を求めるというのは、なかなか困難もあると思います。この点は、立証負担等を軽減したとしても、やはり個人の消費者が賠償請求するというのは、まさに裁判費用を考えて難しいところもあるのではないかと思っています。
その点で、松本先生のスライドの15ページ目だと思います。15枚目だと思うのですが、EUでその賠償を求めることのできるものの中に、要は、1人または複数の被害者のために行為することが認められているものは請求可能ということで、この例が、いわゆる消費者団体だと思うのですが、これは、日本だと裁判手続特例法では、今、人損、物損は対象外になっているので、これは難しいのですけれども、こういう、いわゆる団体訴訟の範囲を拡張するという形で、要は、大体こういう製品事故があるときに被害者が消費者1人だけですという場面ではなくて、モバイルバッテリーの話を見ても分かるように、多分複数の消費者が同じ製品のメーカーで損害を被っているということは、十分あり得る話だと思うので、こういう団体訴訟の部分を拡張していくことで、消費者が民事的に救済を得られる可能性を高めるというのはあり得るのではないかと思っているのですが、この点、特に実務上、この分野に非常に詳しい中村先生の御感触を伺えればと思います。
感想と混ざっていて、非常に分かりにくくて恐縮ですが、以上になります。よろしくお願いします。
○一橋大学松本名誉教授 ありがとうございました。
フランスと日本は一緒だということで、私もフランスがどうするつもりなのだろうという関心が非常にありますので、大澤先生、ぜひ調べてください。それが日本での議論に参考になるのではないかと思います。
ただ、フランスは最初のPL指令を国内法化するときも、期限を大幅に遅れて、欧州委員会や欧州司法裁判所からいろいろ言われたという前歴もあるので、今回もそう簡単にはいかないかもしれないですね。
それから、プラットフォーム事業者に対する行政規制が、今回少し入ったから、民事ルールは要らないのではないかというニュアンスの御発言をされたのですけれども、それは、やはりちょっと別問題だろうと思います。
○大澤委員 すみません、そんなつもりではなくて、そういうのもあり得るかなと思いつつ、個人的には、民事は必要だと思っているのですが、ただ、事業者のコスト負担とかも気になるので、保険とか、そういうのはあるのでしょうかという、そういう質問です。すみません、失礼しました。
○一橋大学松本名誉教授 各国の保険の実情というのはよく分からないですけれども、恐らく保険会社はビジネスとしてかなりカバーをしているのではないかと思うのです。日本でも30年前に製造物責任法をつくったときに、こんな法律をつくったら訴訟が頻発して大変なことになる、保険もパンクすると言われていたのですけれども、そのようなことは全く起こらなかったですね。むしろ事業者の意識を変える方向に立法が作用した。例えば、使用方法の説明を丁寧にするとか、設計を見直すとか、そういう形で事業者が動いたと私は評価をしておりますし、さらに面白いのは、当時、事故情報のデータを、消費者庁ではなくて経産省が収集・分析していまして、そこで、製造物責任法ができる前までは、消費者の誤使用という分類がかなり多かったのですが、法律ができてから誤使用分類がかなり減ったということもあります。行政の担当者の意識も、製造物責任法が少し変えてくれたのではないかなと思っていますから、そういう面も考えて改正をすべきではないかなと。
それで、プラットフォーム事業者との関係で言えば、プラットフォーム事業者の責任をカバーする保険というのがあるのか、ないのかですけれども、これは私には分かりません。ただし、特に問題となるプラットフォーム事業者は、すごい収入を得ているから賠償の負担を少々課されても大したことはないと思いますし、それが経営に影響するということであれば、保険の手当等をしたり、利用料の値上げ等をするから、経済的には、特に問題はないのではないかと思います。
零細な製造者、例えば、ソフトウエアを開発している零細企業が、責任を問われる可能性が出てくるというところに関しては、保険がきちんとカバーしてくれる必要があると思います。
では、証拠関係は、中村先生。
○中村弁護士 中村です。
保険のところについて、少し実情を申しますと、製造物責任法ができたときには、経産省は保険にどんどん入れ入れと言ったのですが、結局、大手は大体入っているのですが、中小企業が、なかなか保険料が高いということで加入しない。そこを中小企業団体がどこかでまとめてやれないかという話もあったのですが、なかなかそれが実行できなかった。
それで、今、私たちが大手メーカーを訴える裁判をやると、そこは保険があるからすぐ出してくれるかと思うと、そうではないのです。結局、保険会社が保険金を出すについて、厳しく欠陥の証明とか因果関係の証明を求めてくる、結局同じなのですね。
裁判になって登場してくる被告、メーカー側の代理人というのは、実は保険会社の代理人というのがほとんどなのです。そういう実情の中で、私たちは保険会社と、欠陥だの、因果関係だの、立証をめぐって裁判をやっているというのが、実は実情で、保険があるから簡単に物事が解決し、救済されるかというと、そうではないというのが現状だと思います。
ですから、立証については、保険とは関係なく非常に厳しいのだということだと思います。
あと、何か私向けの質問は何でしたか。
○一橋大学松本名誉教授 団体訴訟です。
○中村弁護士 団体訴訟については、今の団体訴訟の制度の中には、このPL関係の損害賠償の請求は入っていないので、私たちが先ほどお示しした製造物責任法の改正案のPLオンブズ会議の案の中には、団体訴訟も認めるべきだという条項を入れておりますが、なかなか消費者庁は動きませんね、ここは、いろいろ、今、消費者関連の法律を大きく見直そうという動きがあるので、ぜひ前の団体訴権を入れたときに、宿題として残してしまった損害賠償請求権の団体訴訟についても、ぜひ前向きに検討してもらいたいなと思っているところです。
最近、大きな被害の事件というのは、そんなに多くはないのですが、ぼちぼち起こってはおります。昔のような薬害の大型の事件とか、そういうのは、最近あまりないのですけれども、最近でも石鹸だとか、あるいはいろいろなサプリだとか、そういうので被害が起こると、ある程度人数の多い被害者が生じるので、やはりそういう団体制度が必要だろうと思っている。
現在、そういう事件については、やはりメーカー側が被害者を各個撃破しようとして、その集団をつくらせないというか、そういう方向で働きかけて、すぐ応じて来そうなところとはさっさと和解をしてしまうということで、だんだんだんだん被害者団体がやせ細っていくという現象も、結構最近の集団訴訟では見られるので、もう少し制度的にがっちりしたものを1つつくってもらえれば、前に進むのではないかと。それは、また、メーカーに対しても、より製品を安全にするという考え方が促進されるのではないかと思っております。
以上です。
○大澤委員 ありがとうございました。すみません、私の話し方が下手くそ過ぎて、本当に伝わらなくて申し訳ありませんでした。
私自身は、この製造物責任法の改正は、ぜひ本当にやっていくべきだと思っています。個人的には、欠陥の立証が、なぜ日本でないのだろうかというのは前から疑問に思っているところで、ぜひやっていくべきだと思っていますし、プラットフォームに関しても、安全4法との関係はありつつ、しかし、やはり民事的な救済を求める可能性というのを高めるという、特に零細な製造業者が破綻した場合とかというのはあり得る話なので、やるべきだと個人的には思っています。
ただ、まさに今、松本先生がおっしゃっていたように、今の製造物責任法ができるときでも、それだけ反発があったという、すごくコストが上がるのではないかと、負担がと反発があったということなので、これを改正する、かつ、その賠償責任者が拡大するとなると、そういうことは、またあり得るのではないかと思って、そのときの説得材料というわけではないのですが、その改正を円滑に進めるために、どのように持っていくかというときに、事業者のコストをどのようにカバーしていくかというのも、やはり視点として必要ではないかと思っていて、それで保険の話というのを例として挙げたという次第でございました。
大変失礼いたしました。ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
先ほど柿沼委員に、次にと申しましたが、原田委員からもお手が挙がっていて、お時間の都合があるようですので、先に原田委員からお願いしたいと思います。
○原田委員 ありがとうございます。
柿沼先生、大変申し訳ございません、先に失礼いたします。
大変今日のお話を興味深く伺いましたが、私は松本先生のほうに1つ質問をさせていただければと思います。
松本先生の御報告の中で、国内管理人を手がかりにして、そこに一定の責任を負わせることができないかというお話があったのですけれども、国内管理人の法的性格は、消費生活用製品安全法の国内管理人と同じだと考えてよいのかどうかが、ちょっと分からずに、その法的性格について、お伺いできればと思います。
直観的には、むしろ会社法934条の日本における代表者の選任登記に近いものと捉えると、民事責任とのリンクは比較的容易に説明できるような気がするのですが、消費生活用製品安全法の場合には、御承知のとおり、特定製品にだけこの規定がかかっていて、しかも表示の義務との関係での届出制というのは、かなり限定された枠組みの中での仕組みなので、これを一般化するというのは、直感的には難しいような気がするなと思って、お話を伺っておりました。
もし分かりましたら、御教示いただけますと幸いです。
以上です。
○一橋大学松本名誉教授 ありがとうございます。
ヨーロッパは、まさに製品安全関係の規制を背景にして、同じ概念を製造物責任の新指令に持ってきているのだと言いました。ヨーロッパで、これに対する懸念というのはなかったのかどうかという点は、私も個人的に調べていないので、ぜひそういうことも調べていただければ面白いと思うのです。一体どんな人がこんな仕事を引き受けるのだろうと、輸入業者と同じレベルの重い民事責任を負わされるような業務を行政手続的な業務に加えて、引き受けてくれる人がいるのかという辺りが、根本的な疑問としてあります。
したがって、日本でも、手がかりとしては、ヨーロッパをモデルに考えられるのだろうけれども、本当にそんなことができるのだろうかということです。日本で一体誰が製造物責任まで負担する国内代理人になってくれるのだろうかというところを考えると、相当難しい感じがいたします。
海外からの直接販売事業者が、報酬をたっぷり約束するとかいうことがない限り、製造物責任まで負わされるということになると、なかなか難しいだろうと。では、どうしますかということですが、先ほど会社法上の規定とか、あるいはそれ以外の業法の中にも、日本で事業をやる場合には、その種の代理人を置かないと駄目だという法律が幾つかありますので、そういう特別法のようなものをつくった上で民事責任にもつなぐというのは、考えられるかもしれないですね。
ヨーロッパでも、2つの規則が背景にあるようで、一般製品安全規則というのが、かなり広い部分をカバーしている。それに比べて日本の製品安全4法は、狭くPSマーク対象製品を直接販売する者に限定しているというところがあるから、ヨーロッパと似ているようだけれども、その一部を取り入れたにすぎないという評価もできるという気もしております。
したがって、この問題については、私自身は明確にこうすべきだという答えが現在ないという状況なので、それならプラットフォームの責任に寄せてしまったほうが、解決は簡単になるかな。プラットフォームが出品事業者に求償すれば、それで、経済的には回るはずだと。そんなお金も払えないようないいかげんな業者に出品させるのだとすれば、それはプラットフォームの問題かもしれないという、ヨーロッパのデジタルサービス法的な発想を取り入れれば、プラットフォームの無過失責任というよりは、注意義務違反の過失責任的なところで、カバーできる可能性もあるかなと思っています。
以上です。
○原田委員 ありがとうございました。
○鹿野委員長 それでは、柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 柿沼です。御説明いただきまして、ありがとうございました。
消費者が通販サイトなどで商品を購入する際に、商品を確認することができず、広告で判断することになるわけですが、その中には過剰な広告もあり、消費者はそれに誘導されてしまって購入してしまっているというのが現状です。
サイト内に商品の説明については詳細な規制がないため、かなり限定的な表示しかないものもあります。
海外に拠点のあるサイトと気づかずに注文し、安全性に問題がある製品が届く事例が消費生活センターの現場では多く寄せられています。これにより、消費者が危険にさらされる、大変深刻な状況であると捉えております。
製品事故については、大きな事故として報道や記録に残るものだけではなく、消費生活センターに相談が寄せられないような小さな事故も数多く存在していると考えられます。
PL法の活用することは、消費者にとっては、パワーがかなり必要であり、泣き寝入りしてしまっているという現状があるのではないかと思います。
オンラインショッピングサイトを開設しているプラットフォーム提供事業者が、安全誓約を掲げており、一定の規定を設けていますけれども、対象商品が限定的なので十分な安全確保に至っておらず、対象外の商品について、消費生活センターからプラットフォーム事業者に現状をお話しすると、ショップとの話し合いで対応するようにということで対応されない場合もあります。また、商品で事故が起こったことを情報提供しても、調査や改善をプラットフォーム事業者が、行われていないという現状があり、非常に悩ましいと思っております。
御質問なのですけれども、製造物責任法、これは事業者に対しての損害賠償責任、これを定める法律ではありますけれども、製品改善についての規定などは存在していないと思われます。
消費者安全法も機能をどこまでできているのかというのは言い難く、リコール制度も事業者主体で自主的な申出に依存しているところでありますし、製品4法についても、商品が限定的ということで、十分な予防措置が取られているとは言い難いと思います。
消費者の安全を確保するために、PL法の枠組みに、ここに加えるのか、それとも製品改善の予防措置を制度的につくる必要があるのではないかなと思っているのですが、そちらについて、まず、教えていただきたいなと思います。
それから、先ほど意見として、消費者団体が、まず、差止請求などをという意見もあったかと思うのですけれども、なかなか消費者団体自身が弱小化しており、そちらについて関わりを持つことについて、実際には厳しいのではないかと、思っているところです。事故調が、もっと更に頑張ってほしいなと意見をお伝えします。
あと、松本先生に御質問なのですけれども、IoT機器やスマート家電の普及によって、製品の欠陥は物理的な危険だけではなく、サイバー攻撃を通じた被害にも直結すると思っております。消費者保護の観点から、製造物責任法において、サイバー被害を含める方向性を議論することは重要であると思いました。
海外では、この製造物責任法の中に、サイバー被害について類似制度で、どのように扱っているのか、事例等があれば教えていただければと思います。
以上でございます。
○一橋大学松本名誉教授 いろいろおっしゃったので整理しきれていないところがあるのですが、最後の部分からいきますと、消費者向けのIoT機器などにサイバー攻撃による被害が起こった場合、これはヨーロッパ的に見れば、ソフトウエアだとか、あるいは関連サービスだとかと言われる、独立した製品として動いているわけではなくて、デジタルのネットワークの中で動いている製品については、その関連サービスとか、ソフトウエア等の提供者が製造者だという扱いになっていて、かつアップデート等の義務も課されています。サイバー被害の話は、企業との関係で話をしましたけれども、消費者が使っている場合も全く同じであって、もともとサイバー攻撃に対する防御がきちんとできていないようなソフトウエアだったということであれば、欠陥ありという判断になるのだろうと思います。
ただ、難しいのは、立証は日本だと被害者である消費者がやらなくてはならないというところです。そんなことは消費者には簡単にできませんということで、ヨーロッパ的には、事業者に証拠開示などを求めていくという方向で、不平等をなくしていこうということになっているのです。そういう制度とつながらないと、せっかく実体法としては、欠陥があれば責任ありだというルールができても、実際は使えないということになるのだろうと思います。
それから、もう少し前にお話しされたのが、事故調査との関係ですね。製品安全法的な行政規制的なルールと、それから製造物責任法、これは純粋な民事ルールで、民法の特別法がありますが、日本の場合は、行政法と民事ルールは原則として別だということになっているので、一緒にしてしまうというのは極めて難しい。特定商取引法のように、行政規制も民事ルールも団体の自主規制もみんな混ぜたような法律というのを、別途、特別につくればいいですけれども、今の日本の製品安全関係の法律は、行政規制に関する製品安全4法、その他、各省庁別の、個別の規制法と、それから、民事ルールとしての製造物責任法あるいはさらに後ろにある民法ということになりますから、そう簡単に製造物責任法の中に事故情報の規定を入れることはできないのではないかと思っています。
○柿沼委員 すみません、事故情報の規定ではなく、商品の改善について、PL法の中とは言わずとも、予防措置を制度的につくる必要があるのではないかということでお尋ねしたのですが。
○一橋大学松本名誉教授 この製品は事故が起こったから賠償せよというより、もっと前の段階で、ユーザーサイドから、こういう点で問題があるから改善すべきだという声を事業者に届けるための仕組みが、法律的にはきちんとないのではないかという御指摘ですね。私もそういう感じがしますが、多分、中村先生が詳しいと思うので、ぜひ。
○中村弁護士 それは、もうどんどん直接言っていけばいいと思うのですが、あと、公益通報の問題ともすごく絡んでいて、製造段階とかでいろいろ不正があるとか、基準を満たさないとか、不純物が入っているとかという事件については、やはり内部でつくっている労働者がいち早くそれを声に出してストップをかけてくれると、こういう制度がもっと機能すれば、やはり川上で被害を食い止められるわけですね。下まで流れてくる前に止められると。この制度をもう少し実効性のあるものにしなくてはいけないのですが、今、公益通報者保護法の改正は何回かやっていますが、まだまだ、そういう状態ではなくて、通報した人が不利益処分を受けるという状況は全然減っていない。そこは、やはり根本的に企業のほうも考え直さなくてはいけないと思いますし、通報した人のその勇気をちゃんと保護する、そこを実効性あるものにしていかなくてはいけないのだろうと思っています。
それから、先ほど少し聞いていて、相談現場でこれからどう変わるかということを考えると、やはり今まで私たちも海外から輸入されて事故を起こした製品について、そこに書いてある電話番号とか、アドレスに連絡しようとしても通じないということがいっぱいあって、誰に損害賠償請求していいか分からないというのは結構あるのですね。その点が、今度、国内管理人という制度ができるというのは、私は非常に有益だろうと、これはちょっと期待しているのですが、実際、国内管理人というのはどういう人がなっているかと。
1つは、行政書士さんが、大分触手を動かしたらしくて、経産省がその団体へ説明に行ったりしていたようですが、実際に、今、ネットなどで出てくるところは、コンサルタント会社なのですね、ほとんど、コンサルが国内代理人をやりますという宣伝を結構今されています。そこが、コンサルですから、いろいろなネットワークがあるでしょうから、そういうところを通じて、きちんと対応してくれるものと期待したいと思いますが、12月25日クリスマス以降の製品についての法律になっております。
ですから、相談現場では、新しい製品について、国内管理人の連絡先というのを見たら、やはりそこに連絡できるようになるというのは、これからの相談現場でも大いに活用していいところだと思っております。
以上です。
○柿沼委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。
○鹿野委員長 それでは、中田委員、お願いします。
○中田委員 中村先生、松本先生、御説明いただき、ありがとうございました。
今後、消費者委員会で調査審議を深めていく上で、2点質問をさせてください。
1点目は、私は法律の専門家ではないので、そもそもの質問になってしまうかもしれないのですが、冒頭の小野委員の質問にもあったのですが、日本の製造物責任法は、1995年に施行されてから30年間にわたって大幅に見直されていない。法律全体を見直す社会的な機運が高まっていない背景には、先ほど関連省庁の産業育成目線が強くて、消費者保護目線が十分ではないのではないかというお話も、中村先生からございましたが、そのほかに、日本市場ならではの事情があるとお考えでしょうかと。
先生方のお話を伺いまして、また、実際に被害に遭った消費者だけではなくて、国民生活センターや消費者団体からは、消費者にとって製造物の欠陥と被害や損害の因果関係の立証が難しいこと、デジタル化やネット販売におけるプラットフォーム事業者の責任の所在が不明確であること、あるいは新たな流通形態に対応できていないことも課題であるという指摘もあり、私は、課題の本質はある程度自明であると思われるのですが、EUではそれに対して製品安全、PLに関する法改正が進みつつある一方で、日本は、これまで見直しの大きな動きが表面化してこなかった背景に、1つには、先ほど消費者委員会の消費者安全専門調査会の再起動が必要であるという厳しい御指摘も中村先生からございましたが、中村先生に追加で伺いたいと思いますが、そのほかにもどのような要因があると考えられるか、教えていただければと思います。
具体的には、例えば、もしかしたら日本では訴訟件数が少ない、泣き寝入りの件数が多いのか、例えば、昨年の紅麹の機能性表示食品、これは食品ですが、そのようなメディアに注目される大きな事件が直近では、あまり発生していないということなのか、省庁としては、もしかしたら現在のPL法で企業の製品安全の取組はある程度できているというように解釈しているのか、あるいは、ほかの法律領域との整合性を取ることへの難しさということがあるのか、その辺りの御意見を伺えればと思います。
2点目は、今後、消費者委員会でPL法見直しに関して調査審議を行っていく場合、消費者保護の観点以外にも産業界や業界団体への影響、多岐にわたる関係省庁との調整や慎重な議論が必要になってくると思いますが、従来の既存の枠組みの中で、判例による解釈とか、民法改正による調整で対応できてきたのではないかと考えられる方もいらっしゃる中で、これだけ多岐にわたる方々に、この複雑な改正に積極的に動いてもらうためには、どういう視点や働きかけを、私たち消費者委員会として心がけることがよいか、御助言をできれば、松本先生よりお願いしたいと思います。
以上、2点です。
○鹿野委員長 それでは、1点目は、中村先生に対する御質問でしたので、よろしくお願いします。
○中村弁護士 ちょっと雑としたあれなのですが、やはり法律を改正するとか、動かすというときには、必ず立法事実があるかどうかということを常に言われるので、私たちは、今日お話ししたのは、まさに、今、現場の裁判でどんなことが起こって、どういう不都合があるかという、だからこの不都合を法で改正してくださいということ、まさにこれが立法事実なので、この積み重ねが非常に大事だと思っております。
ただ、先ほども言われていたのですが、PL訴訟というのは、今、そんなに多くはないのですね。日本の裁判の中でわんさかわんさかあって、みんなが困っているという状態になっていれば、もう少し動きも出てくるのですけれども、さほど件数がない、それは製品が安全になった裏づけかもしれませんけれども、逆に新しいものでリチウムイオン電池のような、ああいう事故が新しいものでどんどん起こってくる、あれについて、何か裁判をやっているかというと、今、私たちは準備中のものは幾つかありますけれども、なかなか、皆さん、一斉に訴えて出るというところまでは到達していない、そういう現状がある。ここは、やはり、ひとつ動かさなくてはいけないところだと思っています。
この間もNHKのクローズアップ現代でやっていましたけれども、非常にリチウムイオン電池の欠陥の証明というのは本当に難しいです。外国でいろいろな部品をそれぞれ別の会社とか、別の国の業者がつくって、それを組み立ててということになってくると、どこでどうなっているか、特にああいう火災のような事件というのは、燃えてしまって現物がよく分からないというものが非常に多いのです。
私たちは、消費者向けに言うとするならば、やはり事故が起こったときは、その事故の製品をちゃんと確保してもらいたい、私たちが困っているのは、常に立証責任で苦労しているのは、やはり現物をちゃんと押さえておいてもらえば、ある程度のところは後づけでも分かるものもある。だけれども、よく火災事故の場合には、現場を片付けてしまう、早く家を建て直したいとかというので、きれいに片付けてものが残っていないという状態が非常に多くて、そこから裁判をやってくださいというのは非常に難しい。
先ほど、私の事例で挙げた栽培しているハウスが燃えたという事件も、火災後にやはり全部片付けて、次のことをやらなくてはいけないので、片付けられて、一番の出火原因のところのボイラーがもうない状態で、そこから裁判をやってくださいということになると非常に難しい。だから、裁判官も立証が不十分だということで、敗訴的な和解を勧告してきたという、そういう実態があるので、まず、消費者の皆さんにも、ぜひ事故があったら証拠はきちんと確保するということをやっていってほしいと思っております。
あと、業界のほうなのですが、業界のほうは、まだあまり動きはない。かつてPL法を導入するときには、PL法を導入したら大変になるぞという視点から、企業は海外調査をかなりやって、いろいろな報告や本も出ましたが、最近は、今、PL法絡みの本というのは、ほとんどどこからも出ていない。3、4年前に、平野先生が出された本が最後かなと思うぐらい、ほとんど世の中には出ていないで、そういう状態なので、もう少し動きをつくるために、学者も動かなくてはいけないだろうし、実務家ももう少したくさん訴訟をちゃんと取り上げて公にしていくとか、そういうことも必要ですし、業界としては、あまり自分では動きたくない。今、松本先生が言われたように、PL法というのは、企業、法人も責任主体になり得る日本の状態を鑑みると、あまりこれ以上更に責任を重くするような法改正は、本当はしたくないのだろうなと思います。ですから、向こうからは、なかなか動いてこない状況がある。
そういう中でやっていってもらいたいのですが、先日、消費者庁の幹部の人と、我々PLオンブズ会議というところで、この問題を持ち込んだのですが、今、消費者庁はパラダイムシフトで、ようやく最近2つの検討会を挙げたので、もうPLどころではございませんということをあっさり言われてしまいまして、それは、ちょっとまずいのではないかと思っておりますので、消費者委員会のほうで、ぜひPLの専門調査会を開いて、検討に入っていただきたいと思います。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
松本先生からも、特に2点目について。
○一橋大学松本名誉教授 消費者委員会として、この問題を取り上げる場合に、どのようにやっていくのが効果的かという趣旨だと思うのですけれども、民事責任のところだけ、製造物責任法だけに限定するのではなくて、やはり製品安全のための事前規制、事後規制などもセットで議論していって、うまく法律で分担するというのが、一番いいと思うのです。製品安全4法が改正されただけで十分なのかという観点からフォローするということも必要だろうと思いますし、国内管理人が機能しているのかというフォローも必要だと思います。
さらに、製品安全誓約、英語でいうとプレッジですけれども、製品安全に自主的に取り組みますということをプラットフォームが宣言するという制度があって、既に8つの事業者が誓約しています。これが十分ではないという御指摘が委員の方からなされていたので、どこに問題があるのかをもっと徹底して調査をするとか、もっと多くのプラットフォームに参加してもらうための取組をどうすればいいのかという検討もやる。製造物責任法の改正のところだけに特化すると、何か壁に当たりそうな感じもしますので、多面的に、ほかの手法などもうまく考えながらやっていっていただきたいと思います。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。
お時間がないところすみません。まず中村先生にお尋ねします。
製造物責任法として非常に大きな裁判になったのは、私は茶のしずくの事件だったと思っています。石鹸の中に小麦アレルギー成分が入っていて、販売業者は欠陥を認めていましたが、そのエキスを製造販売した会社が開発抗弁を主張し、この抗弁が非常に大きな論点となった事件だと理解しています。資料1-4では、4条1号を削除と書かれています。この開発危険の抗弁について、オンブズマンで1号削除とお考えになったということでしょうが、仮にこうなってくると、新しい技術の知見について、かなり大きな制限というか、産業上の問題が出てくるのではないかと言われると思います。オンブズマンが1号削除とお考えになった理由を教えていただきたいというのが、中村先生への質問です。
それから、松本先生には、資料の13ページの製造物のところについてです。ここでオープンソースのソフトウエア不適用とありますが、我々が今、議論していることがありまして、EUでもまだ行っていないと思います。しかし、欠陥の概念として警告上の欠陥、きちんと警告しなかった場合は欠陥であるというのがあると考えています。
現在、生成AIに未成年が過度に依存してしまって、場合によってはAIとのチャットの中で自殺まで生じてしまっているという問題があります。私は、これはある意味では生成AIというソフトウエアの欠陥ではないかと考えられるのではないでしょうか。ソフトウエアが対象ではないということを前提としてですが、使用している者あるいはその両親に対して、過度の利用はいろいろな問題が生じるという警告を全くしないとした場合に、警告上の欠陥という概念が今後こういう問題について考えられるのかという点について、松本先生にお尋ねしたいと思います。
ソフトウエアが不適用と書いてありますが、その点についても思考実験としてお尋ねしたいと思います。この2点です。よろしくお願いします。
○鹿野委員長 それでは、中村先生からお願いします。
○中村弁護士 開発危険の抗弁、我々が反対した実際的な1つの理由は、この抗弁というのは、欧米でも当てはまる例はほとんどないと言われて、判例がほとんどないですが、これを日本の法律で悪用するのですね、メーカー側が、最初は分からなかったのだ、みたいなことを平気でおっしゃるのですが、そういう悪用をされると、そこの開発抗弁のある、なしをめぐって訴訟に随分時間と労力を使ってしまうのですね。実際の裁判では、そういう悪用例というか、我々は悪用だと思っているのですけれども、そういう濫用的な使われ方を非常にして、被害者の救済を妨害していると、こういうものはないほうがいい。
それから、開発危険の抗弁というのは、やはりよくPL法は無過失責任と言われるのですが、無過失を徹底しないことになるのですね、過失責任みたいな考え方なので、これは、やはり少し異質だろうと、できたら、そんな使い道がほとんどないのだったらやめておいてくださいよというのが率直な感想です。
今、ヨーロッパの改正でも、あまり動かなかったみたいですけれども、判例はあまり聞かないのですね、1つあったとか、なかったとかというのはちらっと聞いたぐらいで、悪用のほうが圧倒的に多いので、そういう規定はないほうがいいと思っております。
以上です。
○一橋大学松本名誉教授 ありがとうございます。
難しい問題なのですが、例えば当該製品の依存症になるということが、製品の欠陥によって生じた損害、個人の身体に生じた損害と言えるのかどうかという点が、多分入り口のところで議論になると思うのです。それだったらスマホ依存症もそうではないのか、オンラインゲーム依存症もそうではないかという議論が当然出てくる可能性があるので、その辺り、依存症に陥るということが損害かというレベルの議論をしなくてはならないだろうと思います。
つまり、製造物責任法の対象となる損害かという意味です。一般の不法行為責任とか契約責任で行く分には、多分問題ないと思うのですけれども。その上で、では、製造業者はどういう対応をあらかじめ行っておくべきか、つまり、製造上の欠陥、指示・警告上の欠陥という従来の考え方で、そういう依存状態になると、とんでもないことになるかもしれませんという警告、場合によっては自殺をしかねないですよという警告までしておかなくてはならないのか。逆に言えば、警告しておけば、それでいいのかという問題もあると思います。そういう指示・警告上の欠陥の範囲をどこまで広げていくかというのが、次の問題として出てきますし、そんなに危険が高いのであれば、指示・警告ですますのではなくて、そのようにならないようにAIが行動するようにしておかないと駄目だという議論も十分出てくるだろうと思います。この辺は、AI関係の新しい問題ということで、明確な答えはないと思うのですけれども、経産省が現在AIの不法行為責任の検討会でいろいろな事例を挙げながらやっていますから、その辺で議論が出てくる可能性はあると思います。
以上です。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。
○鹿野委員長 ほかは、よろしいでしょうか。
予定の時間もまいりましたので、以上にて質疑応答、意見交換を終わりとさせていただきたいと思います。
本日は、中村弁護士、そして、一橋大学の松本名誉教授に御出席いただき、貴重な御発表をいただきまして、誠にありがとうございました。
弁護士の中村先生からは、実務的な観点から、実例も交えながら、立証負担の問題をはじめとして、現行の製造物責任法の諸課題について御指摘をいただきました。
また、一橋大学名誉教授の松本先生からは、EUの新しい製造物責任指令について、製品安全規制との関係も含めて詳しくお話をいただくとともに、日本の製造物責任法の課題について御指摘をいただきました。
議論では、より幅広くいろいろな質問に対してお答えをいただいたと思います。立証負担の課題は、デジタル化以前からも重要だったと思いますけれども、さらには、デジタル化の進展など社会の変化に伴う製造物責任法の新たな課題についても、改めて確認をさせていただきました。
本日の御発表を踏まえ、今後の検討の参考とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
《3. 閉会》
○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上となります。
最後に、事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところお集まりいただき、また、御報告をいただきまして、ありがとうございました。
(以上)