消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2024年2月21日)

日時

2024年2月21日(水)10:00~12:42

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員
    【説明者】
    一般社団法人全国消費者団体連絡会 郷野事務局長
    一般社団法人全国消費者団体連絡会 菅原事務局次長
    公益社団法人全国消費生活相談員協会 坪田専務理事
    公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 永沢代表理事・副会長
    日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 大迫委員長
    日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 大高副委員長
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 次期消費者基本計画における重点課題
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • 【参考資料1】消費者基本計画
  • 【参考資料2】消費者基本計画工程表
    ※参考資料1、2は消費者庁ウェブサイト(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/basic_plan/index.html#basic_plan_for_consumers)を御参照ください。

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから、消費者委員会と消費者団体ほか関係団体様との意見交換会を開催したいと思います。本日は、お忙しいところ御参集いただき、誠にありがとうございます。

本日は、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。また、今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員が、テレビ会議システムにて御出席です。

なお、原田委員は所用のため、12時頃に御退出と伺っております。

星野委員と山本委員は、本日所用のため、御欠席です。

それでは、本日の意見交換会の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本会議は、テレビ会議システムを活用して進行いたしております。配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 次期消費者基本計画における重点課題》

○鹿野委員長 消費者委員会では、調査審議の参考とするため、消費者団体を始めとした関係団体等の皆様から、直接、御意見や御要望をお伺いし、意見交換を行っております。

現在、消費者委員会では、次期消費者基本計画策定に向けて、政府全体として取り組む必要があると考えられる課題を取り上げ、関連する施策の状況等について、消費者の視点から点検し、調査審議を行っております。

本日は、その一環として、消費者団体を始めとした関係団体等の皆様より、次期消費者基本計画における重点事項と考えられる課題や、消費者委員会に求めることなどについて、忌憚のない御意見を頂戴し、また、意見交換ができればと思っております。

なお、このテーマにつきましては、既に先月も4団体の皆様方と意見交換をさせていただきました。本日は、その第2回ということになります。よろしくお願いいたします。

本日は、一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長の郷野様、事務局次長の菅原様。公益社団法人全国消費生活相談員協会専務理事の坪田様。公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、つまりNACSの副会長の永沢様。それから、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会の委員長でいらっしゃる大迫様、副委員長の大高様に、全員会議室にて御出席いただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。

本日の進め方ですが、今、お名前を御紹介しましたとおり、全国消費者団体連絡会、全国消費生活相談員協会、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、日本弁護士連合会の順に、それぞれ、まずは15分程度で御発表いただき、その後、全体としての質疑応答と意見交換を12時15分ぐらいまでを目処に行いたいと思います。

それでは、まず、全国消費者団体連絡会の郷野様、菅原様、よろしくお願いします。

○全国消団連 郷野事務局長 全国消費者団体連絡会の郷野です。よろしくお願いいたします。

第5期消費者基本計画における重点課題について意見を申し上げたいと思います。初めに、計画全体について申し上げます。

第5期消費者基本計画については、消費者庁以外の省庁にも、自らの課題としてきちんと取り組み、組立てを立てて実行してほしいと考えております。

それから、消費者が信頼できる公正な環境の確保をするために、事業者が自主的なルールを整備しても、悪質事業者、いわゆる極悪層はルールを守りません。悪質事業者対策は、行政、消費者庁が責任を持って実行するべきであることは当然だと考えております。

消費者被害を発生させた事業者に対しては、その事案の程度に応じた罰を与えるという視点が必要だと考えております。

それから、自ら学び行動する、自立した消費者の育成については、将来を見据えて早い段階での消費者教育が重要だと考えております。各段階に応じた消費者教育にしっかり取り組んでほしいと思っております。

それから、消費者基本政策の各施策も「合理的な判断のできる消費者」像を起点としないで、誰もが脆弱性を持つ消費者であるということを前提とした検討が必要だと考えております。

持続可能で包摂的な社会の実現に向けては、実効性を確保するための分かりやすく抜け道を許さない施策を盛り込んでほしいと考えております。

事業者が悪質商法に手を染めることを躊躇させられるような法制度の整備が必要だと考えます。

2025年度以降の消費者政策の進め方の検討に当たっては、利用者、消費者にとってDX化することで、どのような影響があるのかという視点を必ず盛り込んでほしいと思っております。

EBPM活用について、具体的にどのように進めるのか、また、進捗に対して、国民からの意見聴取をこれまでと同じように継続して実施するのかについて、確認したいと考えております。

次に、消団連が考える個別課題についての意見を申し上げます。

まず、消費者政策についてですが、消費者の脆弱性について、施策の基本に消費者の脆弱性を置き、事業者などへ消費者の脆弱性に関する周知と対応検討の推進が必要と考えております。

法務省に対しては、消費者の脆弱性を起点とした消費者像を整理し、消費者被害に関する裁判の判決に反映できるよう、各種消費者保護関連法の解釈への変更を進めてください。

孤立・孤独・貧困について、孤立・孤独、貧困状態と消費者被害の関連性の整理、関係者の連携による具体的な対策強化が必要です。

消費者被害防止についてです。消費者契約法、特定商取引法など、消費者関連法の抜本的改正を進めてください。

若者に重大な被害を及ぼすだけではなく、加害者になり得る危険性も高いことから、マルチ取引の規制強化を進めてください。

製品安全をめぐる行政規制の見直し強化を早急に進めるとともに、製造物責任法の改正を求めます。

特に子供の事故の未然防止のための情報収集の一本化を行い、分析をするとともに事業者への製品改善の情報提供と国民への周知を計画に位置付けてください。

高齢者に対しては、見守りネットワークの充実に向けて、全国社会福祉協議会と国民生活センターの間でも、中央レベルでの協力関係の構築を進めてください。

続きまして、デジタルの進展と消費者保護についてです。経済産業省、総務省、消費者庁、デジタル庁、公正取引委員会などの関係省庁で連携を取りながら、デジタル化が進展する中で消費者保護施策を組み立てることを求めます。

デジタル化が更に進展し、日常生活の中にも入り込む中、デジタル社会での消費者保護について、特に消費者自身が取り組まなければならないことの周知が必要だと考えます。

インターネット取引では、CtoCに関するルール策定と消費者・モール運営事業者などへの普及を計画化してください。

国際貿易・越境取引について、越境取引の拡大に伴う海外製品事故に対応できるよう、製造物責任法を改正するべきです。

WTOなどの貿易交渉について、消費者保護に関わるルールの検討状況と内容を文書として明らかにし、国民の意見を聴取してルール策定に反映させるべきです。

消費者教育について、まず、金融庁に対してなのですが、金融教育の中では、特に信用に関わる教育の充実を図るべきと考えます。

それから、消費者法の整備について、「消費者の脆弱性-包括的サービスの設計と提供に関する要件とガイドライン」の邦訳による普及とJIS規格化を進めるべきと考えております。

地方消費者行政の充実・強化について、現在も継続している課題として申し上げます。計画的な消費者施策の実施のために、地方版消費者基本計画が策定されるように、未策定の県と政令市に働きかけてください。計画の中に指標を設定している事例についても情報提供してください。

消費生活相談のDX化について、国は現場の状況を把握し、自治体の意見を丁寧に聴いて、コミュニケーションの強化を図り、速やかに情報提供・共有をしてください。併せて、DX化による変更が、相談者(消費者)の利便性につながるよう、消費者への周知と意見の聞き取りをしてください。

消費生活相談員の人材確保、処遇改善は喫緊の課題です。国は人件費に関する財政支援の継続と、働き方も含む抜本的な消費生活相談員の採用政策を取りまとめてください。

地方消費者行政強化交付金は、自治体のニーズを把握し、活用しやすい事業メニューにしてください。

若年層の消費者被害の未然防止のためにも、国、自治体ともに早期からの消費者教育を実践し、消費者教育コーディネーターの複数配置のための予算措置に取り組んでください。

地域サポーター制度の設置と活用の促進、自治体の消費者行政担当職員の役割を再確認し、人事政策の中に消費者行政担当のフルタイム職員の人材確保を位置付け、見守り活動などの運営や関係団体との連携を強化してください。

環境・エネルギー関係についてです。脱炭素社会の実現に向けた取組について、節約という観点だけではなく、エネルギーの効率的な利活用という観点からの省エネ強化に向けた周知、啓発と実践に関わる情報提供を強化するべきです。

省エネ法改正による非化石エネルギーの導入拡大に向けて、省エネの取組状況、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換の進捗を確認しながら確実に取り組んでください。

それから、SDGs目標達成の取組は、気候変動による影響が顕在化しております。持続可能な生活スタイルへの変換を目指し、できるだけ早く実践するよう促すべきです。

生活に多大な影響がある公共料金の料金透明化、取引適正化に向けて、監視体制の強化が必要です。

電力システムの監視体制を、まず、強化するべきです。従来の小売電気事業者と新電力の公正な競争環境確保と料金の透明化、消費者の選択の機会を確保するべきと考えております。

LPガス問題は、取引適正化、料金透明化に向けて、実効性を確保するための監視、検査体制及び関係省庁との連携強化、消費者への広報・啓発を早急に進めるべきです。

災害への備えについて、全国複数で同時発生した場合を想定した対策強化と国民への周知を進めてください。

被災者支援については、諸外国の先進事例を学び、ジェンダーの観点に立脚した避難所運営などを実施するためのマニュアル作成と訓練の実施が必要です。

食関係について、まず、食品ロス削減について、家庭用削減を進めるためには、賞味期限について、消費者が正しく理解するための周知・啓発や、量目の見直し、3分の1ルールを含む商慣習や期限表示の見直しなど、フードチェーン全体で取組を行う必要があります。

また、学校教育では、給食の場を利用した食育や、食品ロスの削減に向けた指導を強化して行うべきと考えております。

食品表示について、機能性表示食品の制度について、現状の課題整理と監視指導強化、広告、宣伝ルールの整理などの見直しが必要と考えております。

食品をめぐる新技術については、新規性が高いものについて、安全性や適切な表示の確保や消費者の受け止め、情報提供の在り方などを検討しながら取り組むことが必要です。

最後に、消費者委員会に対してです。消費者委員会は、現在、多様な消費者問題が顕在化する中で、実在の消費者の考えや行動をスタート地点として、様々な声を集め、消費者行政の充実・強化に結実させる重要な役割を果たしています。

消費者委員会では、昨年、「消費者団体の現状及び今後に向けた論点整理」として大変興味深い内容の報告書をまとめられました。その内容は、私たちが「消費者運動ビジョン」、「新・消費者運動ビジョン」でまとめた内容と通底しており、全国消団連として、今後の消費者団体の在り方を検討していきたいと考えております。

消費者団体が担う役割の重要性は、今まで以上に高まっていると考えておりますので、是非御一緒に消費者の権利の確立と擁護に向けて、取組を進めてまいりましょう。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、全国消費生活相談員協会の坪田様、よろしくお願いします。

○全相協 坪田専務理事 全国消費生活相談員協会の坪田でございます。よろしくお願いいたします。

資料に沿って述べさせていただきます。

コロナ禍を経て、デジタル化の急速な進展は、消費生活のあらゆる分野に影響を与えていると。これは、言わずもがなのことなのですが、今、正に「デジタル」の横串を刺した状態とも言えると思います。

そして、何かにつけて現代の諸課題の解決には、デジタルありきということが言われておりまして、それは本当なのですが、デジタル化に対応すれば解決するという問題だけではなく、デジタルがもたらす課題と根本的な課題の両側面からのアプローチが必要と考えております。

デジタルゆえの問題と、デジタル以前からある市場と人間の本質の関係性と言えるかもしれませんが、昔と根本的に変わっていない問題が消費者問題にはあり、それに対してもしっかりと目を向けた対策が必要だと考えております。

消費行動の一連のプロセスにおける課題は、現行の法制度及び仕組みでは対応し切れておらず、抜本的な見直しが必要と考えています。

基本計画では、将来像を描く必要がありますが、定期購入、これは、5年前には既に問題化していました。高齢者の判断力の衰えに乗じた被害、若者の金、美の問題も以前から大変問題でした。

消費生活は、広範な消費者問題ほぼ全てにわたっていますので、基本計画のどの項目も重点と考えておりますが、まずは足元の相談現場から現在の課題を踏まえて、今後の消費者政策へ向けた意見を述べたいと思います。

「(1)デジタル勧誘、デジタル取引における消費者被害への対応」。

本協会では、「デジタル勧誘 SNSやチャットの相手は信用できる?」をテーマに、電話相談110番を昨年秋に実施しました。報告書を本協会ホームページに掲載していますので、詳しくは御覧いただきたいのですが、ダークパターン、チャット、ステルスマーケティング、インフルエンサー、これらの4つのキーワードを付与したところ、最も多かったのがダークパターン、次いでチャットでした。

また、本協会が行っております週末電話相談におきましても、後出しマルチ商法、情報商材、インターネットを利用したサイドビジネス等のもうけ話系のトラブル、特定商取引法の脱法的エステなどの相談が寄せられています。

これらは、デジタルの進展に伴い、より広範囲の消費者層へ拡大し、また、複雑化していることを踏まえまして、デジタル社会に対応した通信販売規制の改正・強化も含めた特定商取引法の見直し。執行の強化と迅速化。膨大かつ日々変化するデジタル市場への対応が必要と考えております。瞬く間にトラブルが急増し、また、すぐに連絡が取れなくなってしまうなど、大変動きが早い中、これまでの執行の速度では追いつかない状況になっていると考えます。

また、法の抜け道をつくらない環境整備と、事業者に対する法令に関する研修・指導により、悪質事業者の市場からの排除、これも必要と考えております。

チャットの勧誘の問題や、SNSがきっかけとなっている、実質的には電話勧誘販売や、アポイントメントセールス、そして、個人事業主との契約を装っているが、実際には業務提供誘引販売取引という脱法的な被害が発生しております。事業者への法令の理解を促すことも必要です。

こういったことに対しては、抜け道をつくらない環境整備、そして事業者指導、適切な事業者教育というのも必要かと考えております。

次に、「(2)デジタル化による新たな取引形態への対応」についてです。

シェアリングエコノミー、フリマサイト等に見られるように、プラットフォーマーが提供者とそれを欲している消費者とをマッチングする環境を提供しています。これにより消費生活がより快適に、より経済的に、より効率的にという傾向が進んでいます。

これもデジタルのおかげとも言えるのですが、マッチングが簡単にできる、事業者と消費者との出会いが簡単にできるという状況になりました。そして、消費者は容易に事業者になることができ、事業者は容易に消費者として振る舞うことができる場合も想定されています。これまでの消費者概念、事業者概念とは異なる立場どうしの取引が広がりつつあります。従前の消費者と事業者との非対称性を土台とした消費者保護の規律では、解決できないトラブルが発生しています。

現状としては、取引の実態を踏まえて、個別に消費者性・事業者性を検討して解決を図ってはいますが、スタートアップ企業支援の側面から事業者として市場への参画が容易になる傾向があります。真の消費者保護を図ることができる法制度や仕組み、新規事業の参入の仕方などについても考える必要があります。

サイドビジネス系のトラブルでは、事業者としての契約であるため、特定商取引法の適用外であるという書面にサインをさせられている事例も散見されます。

また、消費者も、ビジネスの契約と言われても、それがどうしたものかという受け止め方をしている場合が多くあります。

消費者も自分の商品や機能をネットで提供することが簡単にできるようになりましたが、現状では、個人間取引として消費生活センターでは原則対応することができないという状況になっています。このような取引形態も更に拡大すると思われます。

「(3)デジタル化によるキャッシュレス決済への対応」です。

デジタル取引に大きく寄与しているのが、デジタル決済、キャッシュレス決済です。

ECサイトでは、様々な決済手段が利用され、複雑化しています。消費者は、ポイント還元には敏感ですが、決済の仕組みについては理解が不十分で、ブラックボックス化しています。

クレジットカードのセキュリティの問題もあります。不正利用の問題です。これに対しましては、便利で使いやすいキャッシュレス決済とセキュリティの強化が必要です。

キャッシュレスがここまで普及し、これまでの紙幣、硬貨に代わる存在となりつつあります。将来世代においては、キャッシュでの取引がほとんどない状況になるかもしれないと思われます。

これに対しましては、問題取引におけるキャッシュレスの利用、また、不正利用等に対する迅速かつ厳正な対処が必要です。

また、スマホによるキャッシュレス決済の進展による利便性、その一方で、システム等の障害が懸念されます。キャッシュレスの生活では、システム障害が起こると、これまでの財布、クレジットカード、キャッシュカード、既に購入したチケットなど、これらを一遍に紛失したことと同じような状況になると思われます。多くの消費者が同時に巻き込まれます。強靱なシステムの構築への対策も必要と考えております。

次に「(4)多様な継続的なサービスへの対応」ということで、特定商取引法における特定継続的役務提供、これは、制定時、改正時におきまして、消費者トラブルが多い特定の取引を指定してできてきました。現在は多様な継続的なサービスが提供されていますが、特商法適用外であることにより解決が困難になっている状況があります。

継続的なサービスは、その時代の消費者のニーズ、志向を反映して新たに誕生するビジネスとも言えます。特商法の規制範囲の拡大、あるいはより包括的な消費者保護ルールが必要と考えています。

(5)として、「脆弱な消費者と権利擁護、消費者安全確保地域協議会」についてです。

脆弱な消費者は、主に高齢者、障害者、若年者、日本で暮らす外国人等でありますが、また、状況によっては、あらゆる年齢層においても該当します。

社会経済状況の変化による高齢者、障害者の消費行動が活発化し、ニーズに応じた多様なサービスが提供されるようになり、生活の利便性が向上しています。

本来、デジタル化は脆弱な消費者に対する商品・サービスの提供を容易にする利便性のあるツールとも言えますが、情報弱者ゆえにニーズに応じた多様なサービスを享受できない、あるいは情報弱者ゆえに消費者トラブルに遭い、深刻化するという問題が起きており、デジタル化の利便性、メリットを享受できず、むしろ障害となっているケースがあります。

さらに、孤独・孤立により情報が届かない、被害に気付かないことにより、トラブルに気が付かないということから、被害が深刻化しています。

こういったことに対しましては、利用しやすい相談窓口を設置すること、また、脆弱な消費者につけ込むような相談窓口というのもありますので、こういったものと明確に区別し、信頼のできる窓口を設置し、周知することが必要と考えています。

これは、つけ込み型の消費者被害の対策にも通じますので、こういった面からの法制度の整備も必要と考えています。

そして、消費者安全確保地域協議会の設置促進と、実際の機能の充実強化です。

設置数は増えてはいるものの、設置数及び人口カバー率のみならず、日常の具体的な協議会活動に対する評価が必要と考えています。

そして、認知症等の高齢者の財産被害に対する法制度を含めた包括的な手当の検討です。見守り活動の両輪として法制度の整備が必要となります。元気な高齢者が増え、消費市場に貢献しているとも言えますが、高齢というだけで適合性の原則を考えるのはいかがなものか、元気な高齢者の消費行動を阻むものではいけないという考えが一部にあるようです。

確かに、年齢だけで一律に考えることには問題がありますが、高齢社会に突入し、成年後見制度の利用まではいかないけれども、時たまおぼつかないという高齢者がとても多くなる社会においては、高齢者対策がより日常的になります。日常的に使い勝手のいいルール、これが求められます。

「(6)多様化する消費者に対する実践的な消費者教育」です。

多様化した消費者には、これまでの年齢などに基づく分類だけではなく、消費者の特性に応じた実践的な教育が必要です。

これに対しましては、デジタル市民という観点からの消費者教育の必要性、そして、デジタル機器の操作の基本的なスキルと、もう一つ、デジタルリテラシーの習得、これは車の両輪です。デジタルスキルのある若者が消費者被害に遭っているのは、リテラシーの不足と言えます。また、見抜く力、批判的思考力を養うことが重要です。これは決して消費者教育により自己責任を重くするということではありません。脆弱性に対するセーフティネットをしっかりと備えた上で、より踏み込んだ消費者の積極的な行動を促すことが必要と考えています。情報はあふれるほどありますが、その個人に対して選択された情報しか届いていない状況があります。

それから、消費者教育の推進には、消費者教育コーディネーターが必要と言われています。配置する地方公共団体は増加しましたが、コーディネーターの特性が十分に発揮できていないケースがあります。コーディネーターの定義・役割、消費生活センターにおける位置付けを明確化することが、消費生活センターにおけるコーディネーターの活動の活性化につながると考えております。

消費者教育の担い手の育成も必要です。消費者教育の範囲は広いですので、多様な担い手が必要ですが、まとめ役、これがコーディネーターに、あるのかもしれませんが、必要です。消費者トラブルを自分事として捉えることができるような伝え方、これには、消費者教育教材の開発も重要ですけれども、担い手にこのスキルが必要と考えております。

個人金融資産の乏しい人が、投資を誤解することへの懸念もあります。これは、金融経済教育に対する正しい理解と周知、特性に応じた金融経済教育の実施となります。

消費者教育の担い手不足、また、消費生活センターの財源不足ということも関係してくると思います。

消費者教育は地域に根差したものであり、地方支援が必要と考えています。

「(7)消費生活相談の在り方」です。相談員の職が法定化されました。パンフレットの作成や担い手の育成の事業が国によっても行われています。しかし、処遇改善には温度差があります。消費生活相談に対する社会における認知度、これもまだ高いとは言えません。

欠員のセンター・窓口があり、これも問題になっています。資格試験の合格者がイコール相談員の職に就く現状ではありません。

消費者行政を支える基礎情報を提供する窓口として、地方への適切な支援が必要と考えています。

DX化がもたらすメリットの発揮と、DX化により対応できない項目に対する適切な対応により、消費生活相談の質の担保を図ることが重要です。

DX化の仕組みの構築、運用方法を考えるのは人であることから、まず、現場を正しく理解し、現場の声を最大限尊重して進めていただきたいと考えています。相談者は多様な人であり、DXの仕組みに期待どおり対応できるかは未知数です。

システムの構築の後は、修正、改修が、一般的には容易でないことが予測されますが、実施、検証、修正を現場目線で。現場目線というのは、相談者と相談員、消費生活センターとなりますが、これをタイムリーに行っていただくよう計画に入れていただきたいと考えています。

「(8)他省庁との更なる連携強化」です。消費者問題は広範にわたります。他省庁との連携は欠かせません。

他省庁との連携を行っていくことを国民に分かりやすく伝えて、消費者に役立つ情報発信をしていただきたいと考えています。

食品、医療、エネルギー、環境、決済、全てが他省庁とも関連していることですが、例えば、最近できました、こども家庭庁、子ども安全メールの件もあります。また、国土交通省では、路線バス内の事故なども啓発をしていますが、様々なこういったこと、国土交通省は、リフォームの問題もあると思いますが、できるだけ、こういった情報を、消費者庁だけではなく、あらゆる省庁に消費者の目が必要であるということを、消費者庁から発信していただき、また、国民にも対応していることを周知していただきたいと考えています。

最後に「消費者委員会に望むこと」です。

消費者委員会は、消費者行政に対する監視機能を持ち、また、建議するという権限も持っています。これを最大限発揮していただきたいと思います。

そのためには、多様な消費者に接している消費者団体等から新鮮な情報を機動的に収集していただくことをお願いいたします。

以上です。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の永沢様、よろしくお願いします。

○NACS 永沢代表理事・副会長 ありがとうございます。略称のNACSでございます。NACSの永沢でございます。このたび、このような機会を頂きましてありがとうございます。

私どもNACSでは、専門のテーマを掲げた委員会を設置しておりまして、今回は各委員会に意見を求めました。どのような委員会を設けているかと言いますと、消費者相談室という週末相談を受けているグループと、そのほかに、ICT、消費者の安全のための標準化委員会、食生活、環境、金融といった委員会を設けておりまして、そちらの辺りから、このたび意見を出させていただいております。

それぞれ委員会から意見を出してきておりますので、深さに少し違いがあるかと思いますが、御容赦いただきながら、出てきた意見を御紹介させていただきたいと思います。

また、その前に一言、取りまとめながら感じたことで盛り切れていないこととして、特に消費者委員会に期待することにつながるところでございますけれども、現在、消費者法のパラダイムシフトについて御検討いただいているところですが、デジタル化、それから気候変動等、この数年の間に予測していなかったスピードで、いろいろな社会課題が急速に進んでおりますので、消費者自身のパラダイムといいますか、視座が大きく転換する可能性があるのではないかと思っております。こうした転換にいち早く、アット・ザ・カーブというのでしょうか、カーブを回るときに見えてきている、ちょっと見えるものを消費者委員会のほうで察知をしていただいて、新たな危険に対して備える警告をしていただいたり、各省庁に働きかけていただけたらと思っております。

また、ほかの方からも御指摘がありましたけれども、格差というところも次の時代の鍵になるのではないかと、まとめながら思った次第でございます。そのような雑感を申し上げた上で、各論を御紹介させていただきたいと思います。

最初に、生命・身体の安全に関するところでございますが、この分野は、ここ数年動きがなかったように私どもは感じており、特に製品安全4法についての見直しは喫緊の課題であり、早急に行っていただきたいと思っております。

ここには書いておりませんけれども、4法とあるように縦割りでいいのかという問題もございます。視座転換ということで、今までどおりの法律の枠組みでいいのかということも含めて、この製品安全に関する法規制について、見直しを検討いただきたいと思っております。

それと併せてPL法ですね、こちらは30年経っておりますけれども、大きな改正が行われておりません。ヨーロッパでは、デジタル化、グリーン化に対応するための規制改革も行われておりますので、日本でもここは着手すべきではないかということを書かせていただいております。消費者庁のほうでプログレッシブ・レポートに言及されている問題もございますので、この辺りの検討をお願いしたいと思っております。

それから、1の(3)でございますけれども、既にほかの方からも御指摘がありましたが、こども家庭庁が創設されました。これはこれで歓迎すべきことではありますけれども、股裂きになってもらっては困ると思っております。特に新たなリスクが顕在化する可能性もありますので、こども家庭庁だけではなく、消費者庁にも十分に監視の体制を敷いていただきたいということです。子供の命を守るためのことですので、消費者委員会から特に強く言っていただきたいということでございました。

それから、2番目、食の安全でございます。健康食品の広告は、大変増えておりますけれども、広告に関する規制につきまして、消費者啓発はもちろん大事ですけれども、広告のガイドラインの見直しをお願いしますということが出ておりました。

2番目、新しい食品というものが出てきております。植物肉や昆虫食というものがクローズアップされてきていますけれども、こういったところ、大丈夫ですかという指摘が、食生活委員会からございました。食品表示とともにトレーサビリティの問題も、ここはあるということで、2の(2)は、そのような意見を出させていただいております。

それから、3番目、ここもほかの方々から御指摘があったところですけれども、ネット社会やデジタル化、キャッシュレスが想定以上の速さで進んでおりますので、これに関する個別の意見ということで出させていただきたいと思います。

まず、第1に、SNSによる勧誘による法規制につきましては、これは既に消費者委員会からも御提言していただいて、動いていただいているところですけれども、SNSによる勧誘に関しては、特商法で法規制を入れていただきたいということで、引き続きお願いしたいという意見が消費者相談室から出ております。

2番目、取引DPF消費者保護法につきましては、動き始めているところですけれども、法律制定前に保留になった諸課題につきまして、やはり検討が必要だということを、こちらに書かせていただいております。ボーダーレス化が進んでおり、外国の業者との取引でトラブルになると解決が困難ですので、同法2条にある適用範囲を広げるということも検討いただいてはどうかという意見でございます。

3番目、デジタル広告の安全性についても意見が出てきており、欧米に比べて日本ではこの辺りが弱いように思いますので、欧米の調査も引き続き行っていただき、日本のデジタル広告の在り方について、本腰を入れて取り組んでいただくためにも、消費者委員会からの働きかけをお願いしたい、重点課題に是非入れていただきたいということでございます。

4番目、キャッシュレスの多様化が進んでおります。多様なキャッシュレスの手段が出てきておるのですが、消費者保護のための法規制にばらつきがあり、また、自主規制で対応していただいている分野もありますけれども、それがない分野もあるようであるということです。消費者の側からすると、この分野はこの法律というのは分かりません。日常生活に関わる問題でございますので、ここは、横断的な消費者法規制についての検討を消費者委員会のほうで主導していただきたく、これらは、所管は金融庁や経産省になるかと思いますが、所管官庁に働きかけていただきたいと思います。

この分野も股裂きになっておりますので、やはり消費者委員会が動いていただく分野なのかなと思っております。特にBNPL大丈夫ですかという意見が出てきております。現時点では大きな事故が起きているわけではありませんけれども、少し意識して対応すべきではないですかということで、意見を出させていただいております。

4番目になりますけれども、社会環境の変化に対応した消費者教育です。何でも消費者教育に落ちていくわけですけれども、3つ、消費者教育に関して、特に気になるところを書かせていただきました。

デジタルリテラシーとメディアリテラシーが必要ということです。青少年の貨幣価値に関して、キャッシュレスやポイ活を背景に、心配だという声を出させていただいております。

キャッシュレスに対する金銭教育を進めていただくことが必要であり、金融教育という分野で対応することも考えられますが、デジタルリテラシーの教育と一体化して充実させることが必要であると考えますと、広範囲でカバーできる消費者教育でやっていただくことが望ましいと考えます。

それから、生成AIの問題が、今、世の中でも話題になっておりますけれども、海外ではメディアリテラシーの教育がかなり早くから充実されていると聞いておりますが、日本はこの分野の対応が遅れているという指摘がされております。

日本でも対策を急ぐべきではありますが、これをどこでやるのかという問題がございます。学校教育ということに関しては、文科省主導になるかと思いますけれども、大人については、どこがやるのかとなると、やはり消費者教育でやらざるを得ないと思っております。消費者教育でここの部分をカバーしていただくことを期待しております。

続いて、消費者教育は、省庁を超えた連携が特に必要です。様々な省庁が消費者に対していろいろな教育を提供しておるわけですけれども、連携が不十分であるために、税金の使い方としても、また、教育の受け手は1人の消費者なわけですから、時間的にも効率的とは言えませんので、これは連携いただきたいと思います。

それから、ほかの方からも御意見が出ておりましたけれども、金融経済教育推進機構が、この4月に立ち上がりますので、この新機構で行われる教育につきましては、バランスの良いものをお願いしたいと思っております。

法律を見ますと、国民の安定的な資産形成の支援と書いてございまして、バランス良くということを意識されているとは思いますが、やはり心配する声が多くございまして、先ほども信用に関する教育をというお話がありましたが、資産形成に至る以前につまずいている国民も多くある実情を踏まえ、そこにも、目を配っていただくような教育をしていただく必要がございます。誰一人取り残さない金融教育、金融分野の消費者教育を充実いただくためにも、これは、省庁の枠を超えてしまいますので、消費者委員会のほうで、この仕組みづくりというものを支援いただくことが必要なのではないかと思っております。

ということで、こちらの項目を2つ出させていただきました。

続いて、環境分野の課題でございます。サステナビリティが盛んに言われておりますけれども、この関連で3点意見を出させていただきたいと思います。

欧米、特に欧州では、グリーンウォッシュに関しては、非常に意識の高い活動が行われています。日本においては、ここの分野が遅れているとの指摘もあります。日本の景品表示法、環境広告に関する規制が不十分であり、対応を急ぐべしと言う意見を出させていただきました。世界水準に合った具体的な政策を、この分野で期待しております。

それから、これもほかの方から出ておりましたけれども、サーキュラー・エコノミーということが、今、求められているわけです。そのために所有から利用、それから新品から中古品、修理品という消費者の選択の変化、行動変容というのがもちろん必要でありまして、そういったことを消費者教育等で取り組んでいくことはもちろんなのですけれども、併せて、新たな消費者問題がここには出てくると考えており、対応が必要という意見を出させていただきました。

例えばということで書かせていただきましたけれども、サブスク、シェアリング、リユース、レンタル、リファービッシュ、リサイクル、修理等においては、消費者トラブルの増加は避けられないと思います。製品安全法について、冒頭で申し上げましたけれども、こういった点からも、新たな消費者問題を、アット・ザ・カーブで、プロアクティブに対応していくことが求められるのではないかと考えております。

そして、3番目でございますけれども、脱炭素社会に向けた取組ということで、環境省が中心になってデコ活を進めていただいておりますけれども、家庭分野での取組が重要だと言われております。環境省の取組や設定された目標を、別に疑っているわけではないのですけれども、その目標でいいのかとか、家庭分野でその達成が可能なのかといった視点での検証が必要であり、進捗状況と推進策の妥当性について、消費者行政の側から見ていくことが必要ではないかと思っており、この意見を入れさせていただきました。

それから、成年年齢引下げも、実施からしばらく経っておりますが、特に消費者トラブルは目立って出てきていないと言う意見も見聞きしてはおるのですけれども、私どもの相談現場からは、いやいやそんなことはございませんよということで、意見が出てきております。

相談現場では、ホストクラブの問題について、成年年齢引下げと関連して意識していただきたいということと、未成年者に準じた特例措置なども、実現にはなかなか難しい課題もあるかもしれませんが、予防だけではなく被害者救済の必要性があるのではないかということが意見として出てきておりました。

最後になります。地方消費者行政の充実に向けてということで、冒頭でキーワードとして格差について申し上げました。様々な格差がありますけれども、地方自治体の間の格差を、ここではあえて取り上げさせていただきました。

消費者行政の基本は、市区町村にありということで消費者行政はスタートしてきたわけですが、市区町村によっては、首長や議会の理解にばらつきが相当あるように感じておりまして、また、予算も小さいところもございます。自治体の中には、少子化で消えていくところもあるのかもしれません。これからの消費者行政というのは、もう少し大くくりで見直す必要があるのではないかということを感じており、それができるのは、消費者委員会以外ないと思いますので、この視点の見直しをしていただきたいと思っております。

それに関連して、(2)は、広域的な相談の在り方を提案させていただいております。DX化ということではございますが、このDX化につきましては、既に消費者庁で取組を始めておられますけれども、都道府県単位、あるいは、もっと広域でDX化を検討していただきたいというのが、最後の(2)の後半の意見でございます。

本当に最後になりますけれども、相談員の不足がずっと言われています。私どもも相談員養成講座なども実施させていただき、御協力をさせていただいておるところですけれども、その中で感じている限界について書かせていただきました。

相談員を目指す方々を御支援させていただき、受験いただくのですけれども、そもそも大都市でしか試験が実施されないために、試験を受けに行くことができないという地方の方々が結構いらっしゃるという現実を見ていく必要があるかと思っております。全国どこからでも受験ができる方法を考えていく必要がありますし、試験の在り方そのものについても、見直すべきではないでしょうかという御提案です。

先ほど隣からも御指摘がありましたけれども、消費者相談員の像というのも見直していく必要があります。DX化への対応を考えますと、消費者相談員にはどういう資質を求めていくのかということも考えていく必要があり、相談員像を見直していく必要があるのではないでしょうか。消費者安全法の見直しにもなるだろうと思いますが、この辺り、消費者委員会でリードしていただくしかないと感じております。

長くなりましたが、私からは以上でございます。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、日本弁護士連合会の大迫様、大高様、よろしくお願いします。

○日弁連消費者問題対策委員会 大迫委員長 日本弁護士連合会のほうから、基本計画に対する意見を申し述べさせていただきます。

最初に、日本弁護士連合会の組織について御紹介いたします。日弁連は、全国の弁護士と、全国の弁護士単位会の合同している団体でございます。そのために、機関決定をするのがやや重たい組織でございまして、今回の基本計画、これは将来の5年間を見据えたものになるわけですけれども、日弁連全体の意見を短期間にまとめて、素早くこちらで御発表することができませんので、やむを得ず、これまで日弁連が出してきた意見書、これは既に機関決定を経て発表しておりますので、その中で、いまだ政策として実現されていないものを、近い過去の中からセレクトして、これを基本計画に盛り込んでいただきたいということで、今回、出させていただいております。

非常に大部なものになっておりますので、全て読み上げるのではなく、特に重点を置いているものを拾い上げる形で御紹介させていただきます。

まず、日弁連の消費者問題についての検討は、私どもが所属します消費者問題対策委員会が、専門委員会として対応しております。この委員会の中には、部会が15ございまして、そのほか、ワーキンググループとかPTとか、幾つかの専門に研究する部署があって、それぞれがその担当の専門分野ごと政策の検討、意見書の作成を行っております。

ですから、一口に消費者問題対策委員会の意見といっても、その中でも、各部会が多様な意見を出してくるわけです。今回の私どもの資料を見ていただくとお分かりのように、恐らく基本計画に盛り込むときには、消費者庁だけが対応すればいいという問題だけではなく、全省庁にまたがる問題が出ていると思います。これは日弁連消費者問題対策委員会の部会も、消費者庁に関連する問題を取り扱う部会だけではないものですから、どうしてもそうなります。そして、過去の基本計画を拝見しておりますと、どうも他省庁との連携と申しますか、他省庁に係る消費者問題についての基本計画というのが、言葉は難しいですけれども、もう一つ良くなかったかなという印象を持っております。

他の省庁に任せてしまっていて、消費者庁は何も手が出せていないという基本計画ではなく、これは、内閣の承認を得て、政府としての、日本の消費者問題の基本計画となるものなのですから、もう少し他省庁の関わる分野についても、視野を広げた緻密な基本計画をつくっていただきたいということが、まず最初に、全体にわたって申し上げたいことです。

それで、日弁連の資料を拾い読みをさせていただきますと、現在、消費者契約法については、パラダイムシフトということで検討がされております。日弁連としましては、従前から消費者契約法というものは、事業者と消費者という格差のある当事者間の契約の問題について、格差を埋めるような手当をする法律、これは私法の一般原則を体現する民法に対する、特別法としての存在だと理解しておりまして、そういったものとして見てみますと、これまでの消費者契約法では不十分な点が幾つかあるので、その点をもう少し改正等で埋めていっていただきたいと考えております。

過去に何度か改正がされましたけれども、どうも非常に狭い具体的な問題についてだけ手当をする形での改正しかされてこなかったように思いますので、この消費者契約法の改正の方向性については、日弁連の試案等を取り込んだ基本計画を立てていただけたらと思います。

次に、フランチャイズの問題が入っておりますが、これは消費者の問題ではないと御理解いただくかもしれませんが、これは、やはり格差のある当事者間の契約の問題として委員会で意見書を出させていただいております。

こういった事業者性があっても格差のある契約当事者というものをどう位置付けるかについては、基本計画の中で御検討いただくことができないのかなということは、1つ考えております。

それから、特定商取引法については、もう各団体の方々もおっしゃっておられるように、幾つも修正をお願いしたい点がございます。

特にここへ来まして通信販売の分野、これは、法律ができたときには、カタログを買って、そこから、はがきで自分が選んで注文するというモデルが念頭に置かれていたわけですけれども、御承知のように、近年のSNSの発展とか、デジタル市場の進化とかによって、予期しなかった勧誘といいますか、想像していなかった働きかけがあって、消費者の意思形成がされるような仕組みが生まれ、しかも日進月歩の進化を遂げています。これに早く対応する法改正をお願いしたいと、これは基本計画に盛り込んでいただきたい重要課題と思っております。

特定商取引法については、そのほか訪問販売、また、規制の遅れているマルチの問題についても、是非取り組んでいただきたいと思っております。

それから、消費者保護のための発信者情報開示請求、これは、今、人権侵害等について、非常に限定的に発信者情報が開示されておりますが、例えば、大量の消費者被害を生み出しているような事例の場合についての開示請求等、まだスムーズに認められていない面があるようです。これらについての御検討も是非入れていただきたいと思います。

それから、電気通信事業法の改正についても、意見書を出しております。これは、契約書面の交付が義務付けられない契約類型が例外的であると、法文上明記してもらいたいということで出しておりますが、これについても御検討いただきたいと思います。

それから、SNSを利用した詐欺行為、これが非常に爆発的に増えているように感じられますが、これについては、基本計画に早急に取り込んでいただいて、是非、実現性のある政策を幾つか挙げていただけたらと思っております。

さらに、不当表示を一般的に制限、禁止する必要について、先ほど申しました通信販売の問題は、一方では広告の問題でもあります。この広告もSNSや、デジタル化の進化によって、思わぬ偽情報が流されて、消費者が容易に信用してしまうような仕組み、工夫がされたものが出てきておりますので、この規制については早く取り組んでいただく必要があるかと思っております。

それと、自由な競争の促進と公共料金の適正性の確保についての意見書を出しておりますが、これに関連し、適正な電力価格の実現に向けた競争環境の整備についての意見書というのも併せて出させていただいております。

これは、国の政策として非常に大きな問題になりますが、消費者の日常に直結する問題ですので、是非これを基本計画の中で取り上げていただけたらと思っております。

次に、住宅問題ですが、これは、国交省の関連の問題ですので、なかなか消費者庁が、これまであまり本腰を入れてというか、基本計画の中で重点的に取り扱っていただけているのかどうか不安でしたが、ここへ来まして、環境上の省エネということに重点が置かれて、木造住宅等の規制を緩和するという動きが出てきております。ですけれども、1月1日の能登半島地震で明らかになりましたように、木造住宅の安全性が重要であることが改めて脚光を浴びました。確かに環境問題も重要ですが、ひとたび大地震が発生すれば、住宅の問題は命に関わる問題ですので、是非、直ちに問題の洗い出しと、それから対策について活動していただきたいので、基本計画の中で重要課題として取り入れていただきたいと思います。

そのほか、賃貸住宅等の住宅の問題がありますが、やはり住宅の安全性は、何よりも重視されるべきものと思いますので、そこをまず重点的に挙げたいと思います。

それから、食品の安全ですが、これについても日弁連では、機能性表示食品についての規制の在り方についての意見書を出させていただいております。機能性表示食品は、それが制度として発足した時点から問題点が指摘され、心配されておりましたけれども、当時、日弁連でも指摘させていただいた問題が、どんどん現実化してしまいました。効果効能・安全性について検証のされているいわゆるトクホを押しのけて、機能性表示食品のほうが売上を上げているということで、これでは、正しく検証されていないもののほうが、むしろ売れてしまうということでは、せっかくつくられたトクホ等の制度が台なしになってしまいますので、是非この規制については再度御検討いただきたいと思っております。

それから、金融商品についてですが、これも外貨建て保険についての意見書を出させていただいておりますが、やはり、その時その時で、目先だけ良く見えるものが売り出されますが、その商品性について十分な検証もなければ、そして、実際に被害が出ると多額の被害を出してしまうということで、こういった金融商品の在り方についても基本計画に盛り込んで、金融庁との連携を深めていただきたいと思っております。

割賦販売法の分野についてですが、これは、決済に関しては、デジタル関係の問題としても大変重要ですし、それから詐欺被害といったような面から見ても大変重要な問題だと思っております。決済の問題は、申し上げるまでもなく、重要なものとして盛り込まれるものと信じておりますけれども、日弁連でも大変重要だと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

それから、多重債務問題ですが、多重債務問題は、ひと頃に比べると、関心が薄くなっているかのように思いますが、大変な高金利で過剰に貸し付けるような、20年くらい前のようなものはなくなった代わりに、若年者に詐欺的な方法で貸し付ける手法も出ておりまして、注視していかなければならない分野だと思っております。

意見書としては、この事業者ファクタリングと、それからヤミ金に類似したものについての意見書しかありませんが、この多重債務問題、信用の問題については、是非、基本計画の中で取り上げていただきたいところだと思います。

あとは、公益通報の問題も、まだ制度として整備されたばかりで、十分な成果を上げているのかどうか、まだ、これから育てていくべき重要な課題だと思っております。これも是非、基本計画の中で取り上げて、実効性のある、そして公益通報者が保護される制度をつくり上げるようにしていただきたいと思っております。

消費者行政につきましては、やはりこれは予算を一定程度、もう少し強化していただいて、全国の消費者相談の充実等を図るために、具体的な案をつくり、具体的に実施していけるような基本計画をつくっていただけたらと思っております。

それと、私どもが非常に気にしておりますのは、いろいろな詐欺的被害によって集められた違法な収益を回収し、被害者に分配するような手段が十分ないという今の状況、これをどうするのかという問題です。これを基本計画の中で言っていただけたらと思っております。

適格消費者団体についても、まだ、この活動範囲について、十分でない部分があろうかと思っております。

消費者教育の分野では、先ほども各団体から金融経済教育のお話が出ておりました。これは、私どもも非常に注目しておりまして、先日、意見書を出したばかりです。やはり投資をあおるだけのようなことのないように、冷静でしっかりした金融リテラシーのある国民が育つような教育がされるよう、今後の運営を見ていく必要があると思います。

いろいろ網羅的に申し上げましたが、最初に申し上げたとおり、これらはいずれも既に意見書を出させていただいて要望してまいりましたことばかりですので、是非御理解いただきたいと思います。

それと、もう1つ意見書を付けましたけれども、身寄りのない高齢者が身元保証等に頼ることなく地域で安心して安全に暮らすことのできる社会の実現を求める意見書というもので、1月に出させていただいております。高齢化が急速に進み、お一人暮らしの高齢者が増える中で、身元保証を求める病院等に対応するためにどうしたらいいのかということで、既に悪質な業者が現れているという報告もあり、この辺りは今後ますます注視すべき問題だと思います。これも是非お願いしたいと思います。

ざっと申し上げましたが、そろそろお時間になりましたので切り上げたいと思います。多岐にわたりましたので、項目だけ最後に掲げております。中でも特に重点的にお願いしたいものとして、消費者契約法や食品の安全、それから住宅問題、更にはデジタルプラットフォーム等の問題、高齢者の問題をポンチ絵風に挙げておきました。御覧いただけたらと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ボリュームがある内容を、ほぼ時間内に収めていただきまして、本当にありがとうございました。

以上で皆様からの御発表が終了しました。これより、全体を通じての質疑応答と意見交換を行いたいと思います。

時間としては先ほども申しましたように、12時15分ないし20分頃までを目処に、質疑応答の時間とさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。

私から1つだけ。日弁連様から、最初に、消費者庁だけでなく、他省庁に関わる分野も含めた基本計画策定が必要だという御指摘を頂きました。消費者委員会としても、消費者委員会はもともと消費者行政の監視役という機能を持っておりますし、それは消費者庁だけではなく、ほかの省庁に対してもお越しいただいてヒアリング等をして、意見等を述べることができる立ち位置にございますので、この間の基本計画に係る検討におきましても、その点を少し意識しまして、いろいろな省庁にもお越しいただき、検討を進めてきたところでございます。御指摘ありがとうございました。

今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。大変多岐にわたる分野にわたって、貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。勉強させていただきました。

私、食品に深く関与してきた人間として、今回、機能性表示食品について多くの団体の皆さんから指摘を頂いておりますことに感謝を申し上げたいと思います。

特に御意見を伺いたいと思っていますのが、具体的に指摘いただいた日弁連と全国消団連の方にお願いしたいと思いますけれども、自分の問題意識をもう一度繰り返させていただきますと、機能性表示食品、日弁連の御説明にありましたように、本来、トクホのような安全性や機能性が確認されたものが出回るべきものが、現実問題として、それの確認をされていないもののほうが、はるかに闊歩しているという状況があって、それも誤認がなされるようなものや、過剰な表示があって、その検証のしようもない、また追いつかないという状況があります。

また、効能があるということは必ず副作用があって、その健康被害の問題もどれだけあるかがよく分からないという状況の中で、今、企業の届出で何でもオーケーになっているという状況に、非常に危惧しております。

そして、日弁連から1月に要望書を出していただいていた内容に、私は深く共鳴させていただいたのですけれども、私もこの制度ができた当時から、今の現象が起こるのではないかと危惧しておりましたけれども、正にその状態になっていて、そのところを指摘していただいている内容になっていることに大変有り難いと思いました。

その中でも指摘していただいているのですけれども、この届出の中で十分なエビデンスを添えずに出してこられて、それで了解している、エビデンスの公開の仕方がまだまだ不十分だということ、そして、それを消費者庁が検証するのも、人手も足りないしということで、企業側がちゃんとエビデンスを出していく努力、そして、それが足りなければ、消費者庁が行き届かなければ、届出を止めることができるような権限、そういったものがないということに、一つ大きな問題があると思います。

もう一つ、健康被害が起こったときに、どれだけ健康被害が起こっているかということが把握しづらいということもあって、正に要望書の中に書いていただいたように、健康被害があった場合の透明性の確保、公表と、そして企業自身が、それにどのように取り組んでいるかということが、表に出てくるような制度改正が必要だと思っています。

そのような点も含めて、今、日弁連のほうでどうお考えかということと、全国消団連のほうからも御指摘いただいているので、併せて御意見を頂ければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、まず、日弁連様からお願いします。

○日弁連消費者問題対策委員会 大迫委員長 ありがとうございます。

あの意見書につきましては、作り上げるのに委員会としても随分力を入れて、何度か書き直していただいて出したという経緯がございます。やはり、先生が、今、御指摘いただいたように、私どもはこういうことになるだろうと最初から警鐘を鳴らしておりましたのに、本当にこうなってしまいまして残念です。私の周囲の人たちに聞いても、機能性表示食品は効くのでしょうという受け止め方しかなくて、いや、効くかどうか本当は分からないんですよと言うと、みんな、えっと驚かれます。だって、これは国が効くと認めてくれたんでしょう、と受け止めている人が非常に多いです。そのために、高くてもあえて機能性表示食品を選んで買うということが起きていると思います。

そういう意味で、私どもとしては、これは詐欺的な商法ではないかと思うくらい怒っておりますが、確かに先生がおっしゃるように、その裏側としての副作用のほうが恐ろしいかも知れません。実際に健康被害が起きたとき、皆が様々な怪しい未検証の食品を日常的に口にしているようでは、被害との因果関係を突き止めようとしても困難になるなどということは問題だと思いますので、是非これは早く、解決していただきたいと思います。本当は機能性表示食品はやめて、トクホだけにしてもらいたいというのが本音かもしれませんけれども、どのように良い落ち着きどころまで戻していただけるのかということは願っておりますので、基本計画の中でも、それを検討していただけたらと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、全国消団連様、お願いします。

○全国消団連 郷野事務局長 御質問ありがとうございます。

機能性表示食品について、制度の見直しは本当に必要だと思っております。まず、消費者の立場からすると、やはり消費者は違いが分かっていないというか、自分の体に、健康に効くだろうと思って購入しています。だけれども、実際にはそれが確実に担保されているものか分からない、健康被害も出ているというところは、すごく問題意識を持っております。

私どもは消費者に向けた学習会などを開催しておりまして、機能性表示食品というのは、こういうものですよとか、トクホとの違いなどについて、消費者の皆さんに分かるような学習会を開催したのですが、やはりその中でも違いがよく分かっていなかったとか、健康だと思って買ったのにという御意見は出ておりました。

やはり情報の開示がされていなかったり、過大広告というのか、有名人、著名人から、これは効きますよと言われたら、やはりそこに誘導されてしまうみたいなこともありますので、情報の周知、トクホに関しましては認証マークがしっかり付いているので、制度の見直しについては、消費者庁のほうできちんとやっていただくのと併せて、私どもも消費者に対してトクホの認証マークの周知・啓発をしていくというところが必要になっていると考えております。

○鹿野委員長 今村委員、よろしいですか。

○今村委員 ありがとうございます。非常に心強いお言葉です。

私は、まず、効かないということに対しての部分と、効き過ぎるという部分について、やはり危惧を持っております。効かないのは無害だからいいのですけれども、例えば、痩せるというのが本当に効き過ぎたら、それは間違いなく生物毒性なのです。ですから、そんなものが安全性を確認せずに、実際に売られていて、どれだけ健康被害が起こっているか分からないということの中で、今、食品がものすごくあふれているということに危惧を持っておりますので、是非声も上げていただきたいと思いますし、力を合わせていただければと思っています。

もう一つだけ、日弁連の最後に出していただいた意見書について、身元保証のことで、私、病院の関係のことを深くやっておりますので、今、病院では身元保証保険のようなものをつくって、それを病院が連帯保証人などのようなものをつくらずに、その保険で賄うということを考えておりまして、そういった面も情報として持っていただいて、少なくとも医療機関では、そういう逃げ道が考えられることを知っていただければと思います。

今村からは、以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今の身元保証について、何か日弁連様からございますか。

○日弁連消費者問題対策委員会 大迫委員長 ありがとうございます。

自治体によっては、身元保証がない場合は、ないまま病院が受けられるようにという指導をしているところもあるように伺っておりますが、今、今村先生に御指摘いただいた保険というのも一つの考え方だと思いますので、大変参考になりました。ありがとうございました。

○今村委員 ありがとうございます。

病院が身元保証を取っているのは、取りっぱぐれがあるからなのですよ。ですから、その取りっぱぐれ保険のようなものに入れば、連帯保証などは求めなくて済むはずなので、それを患者さん自身で入ってもらうか、病院自身で入るかということが選択肢としてあるのではないかと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ほかに御質問等は。小野委員、お願いします。

○小野委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。

なるほどと思いながら拝聴させていただいていたわけですが、私の専門との関わりで言いますと、消費者教育とか消費者の脆弱性の辺りがすごく気になっておりまして、全相協の坪田様からは、2ページのところで、消費者安全確保地域協議会の設置数など、これは数だけではなくて、それを具体的に評価していく在り方について言及いただきまして、そのとおりだなと改めて認識をした次第でございます。

また、日弁連の大迫様からは、金融経済教育と消費者教育の関連についても、最後の辺りで御説明いただきました。

私からは、この点に関連しまして、全国消団連の郷野様と、それからNACSの永沢様にお尋ねいたします。

まず、全国消団連の郷野様には、4ページの信用に関わる教育の充実というところで、信用、クレジットは特にキャッシュレス決済の進展で更に重要な観点となると思います。

恐らく信用を得ることが、消費者個人の利益にもつながるとか、あるいは傷付いてしまった信用をどのように回復するかといった辺りが大切なのかなと思っているのですけれども、周知内容や方法など、全国消団連様で何か御議論があったのか、あるいはアイデアがおありでしたら、後ほど御教示をお願いいたします。

もう一つ、NACSの永沢様でございますが、3ページのところで消費者教育について、省庁を超えた連携について、そのとおりだと思います。

さらに、金融教育と消費者教育の重なりがあり、その効率性、そして、国民の中には資産形成に至る前につまずいてしまっている人もいることに強く共感をいたします。

また、会議に各省庁がオブザーバーで参加するだけではなくて、自主的な連携をというお話でしたが、例えば、こういったやり方があるのではないかというアイデアがございましたら教えていただきたいと思って質問いたします。お願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、まず、全国消団連の郷野様からお願いします。

○全国消団連 郷野事務局長 御質問ありがとうございました。

金融教育の中での信用ということなのですけれども、今、奨学金の返済が滞るといったところが話題になっていますが、奨学金を借りるときに返済を滞らせると自分の信用に傷が付くということを知らずに、安易に奨学金を借りてしまうということが見受けられるように思います。

私も子供がおりますけれども、大学進学に向けた奨学金の話は必ず高校2年生で頂きます。子供たちが学校で得た情報を家庭で報告する際には、返済が滞ったときにどうなるのかという説明はなく、親に負担を掛けてはいけないと思っている子も多い中で奨学金を利用しようと思っている。しかしそれが、将来的に自分がもし返せなかったときに、信用を失い信用に傷が付いて、その先の自分の生活設計に影響を及ぼす、例えばローンが借りられなくなるなど、そういうことを知らないまま奨学金を申請しているという状況は、どうなのかと考え、投資ばかりでなく、将来的に金融関係に関して、こういうリスクもあるということをきちんと伝えていただきたいと思い、記載した次第です。

○全国消団連 菅原事務局次長 取組ということなのですが、信用情報を管理している機構があって、そちらから講師を招いて学習会を開いたことがあります。この辺りは継続的にやっていきたいと思いますが、本当は学校教育の中で、就職をする前ですとか、進学する前に位置付けられればいいのですが、カリキュラム的にいっぱいであったり、受験が優先されて入れ込めないという、どこでも共通する課題があると思いますので、そういったところが、うまく連携が取れればということと、やはり、学校教育の現場に外部からなかなか人が入りにくいというのもあるかと思いますので、その問題も併せて解決していく必要があるのかなと思っているところであります。

○鹿野委員長 それでは、NACSの永沢様、お願いします。

○NACS 永沢代表理事・副会長 小野先生、ありがとうございます。

私への質問は、具体的な連携にどのような方法がありますかという御質問だと理解いたしました。今、職域における消費者教育というのが、消費者庁では大きなテーマになって挙がっておりまして、予算を使っておられます。

一方、金融庁でも、金融教育の一番のターゲットは職域だとされています。今春には、金融経済教育推進機構という新機構が立ち上がることになっており、職域に対して重点的に動かれるとも聞いております。

こうした動きに関して、二つの役所の間の連携があまりまだ取れていないようです。職域における金融教育と消費者教育というのは、かなり重なっている部分もございますので、別々に企業に行くのではなく、共同連携して予算を使いませんかというのが、まず、1つの御提案としてございます。

あとは、金融経済教育推進機構に消費者庁からも職員を出向していただくということも考えられます。

もう一つ、3点目になりますが、消費者教育も金融教育も、地方格差が広がっているということを先ほど申し上げましたが、各地の金融教育は、都道府県に設置されている金融広報委員会が担っており、金融庁が全国をカバーしてやっているわけではありませんし、日本銀行に置かれている金融広報中央委員会がやっているわけでもありません。現実には、各都道府県に置かれている金融広報委員会において、各地の金融教育が行われています。

金融広報委員会が日銀の支店に置かれているところもあれば、県の教育委員会のようなところに置かれているところもあれば、消費者行政を担当している部署内に置かれているところもあります。

同様に、消費者行政につきましても、都道府県によって置かれている部署がばらばらであり、金融広報委員会を担当しているところがやっていたりするところもあります。実際のところ、消費者庁、金融庁が、地方に手足を持っていないという言い方は語弊があるかもしれませんけれども、現場で動ける職員を持っていないという問題もあったりします。その上、過去からの縦割り行政で、各自治体にいろいろな役所の出先機関が置かれているものですから、効率的にうまくいっていないように思っております。消費者教育や金融教育の問題だけではないと思いますけれども、様々な教育をもっと効率的にやるためには、教育を担う現場をもっと整理していくことが必要ではないでしょうか。教育を受ける人は1人、同一の人ですので、様々な教育を効率よくどう届けるかということをもっと工夫していく必要があるのではないかと思います。

もう一つ、信用のところで私も一言言わせていただいてよろしいでしょうか。奨学金の問題は本当に深刻だと思っております。先生たちのお手元に届いたかどうか分かりませんが、NACSでは「お金の話」、人生、お金でつまずかないためにという副題を付けた小冊子を、20代、30代を読者として想定して制作しました。

その過程で気が付きましたこととして、信用情報についての理解が十分ではないという点です。例えば、携帯電話を契約するときに、毎月の料金に機器の割賦購入部分を上乗せして払っていますが、料金を払い遅れたりすると、もうそれだけで信用情報に傷が付くということを、知らない消費者が大半です。

また、ヤミ金融の話が弁護士会からも出てきましたけれども、その前に、あっという間に多重債務になってしまう状況が、今、起きています。

悪質な事業者が美容医療とか情報商材を売り付けたときに、お金がないと言って断ると、今は消費者金融からオンラインで簡単に借入れができてしまいますので、同日に5社ぐらいから所得証明の必要ない範囲でささっとお金を借りさせられてしまい、あっという間に5社から何百万も借金ということが起きているとのことです。以前の多重債務問題のときに、多重債務を防ぐために信用情報を集約して過重貸付にならないよう対応をしていただいていますけれども、信用情報が集まるまでの時間差、穴が空いており、そこを巧みにつかれて、今、若い人たちがあっという間に多重債務になっているという状態も起きております。人生を切り開いていくのに信用を失ったらお金も借りられなくなりますので、信用こそ一番大事な財産であるということをしっかり教えていくことが大事かと思っておりまして、すみません、横から口出しをしてしまいましたが、この点も付け加えさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

小野委員、何かございますか。

○小野委員 ありがとうございました。

信用が重要ということで、私も高校の家庭科の教科書に信用情報機関であるとか、奨学金も気を付けるよう書いているのですけれども、やはり書いて良かったなということと、更にそれを推し進めていただくために、消費者行政全般で言いますと、やはり幾つかの省庁が関わっていることですので、できることがありそうだということを確信させていただいた次第でございます。どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、続きまして、大澤委員からお手が挙がっているようですので、お願いします。

○大澤委員 大澤です。本日、4つの団体様から御報告いただいて、本当にいろいろな論点があって、今、質問をされたほかの委員の方からもいろいろな論点がありましたので、私自身も興味のある論点、例えばエコの観点とか、あるいは消費生活相談等、いろいろあるのですが、時間もあると思いますので、特定商取引法の見直しの可能性について質問をさせていただきたいと思います。

本日、御報告いただいた4つの団体様から、ほぼ共通して、この特定商取引法の見直しの話が出ていたのではないかと理解しております。

とりわけ私自身の個人的な関心でもあり、そして、今やはり問題が多いものとして、SNSによる勧誘というのが、どの団体様からもお話としては出ていたのではないかと思います。

SNSについて、今の通信販売と同じようにではなく、例えば、電話勧誘と同じようにするかどうかというのは、一つの考え方ではないかと思いました。

その点、日弁連様とか、ほかの団体様でもこの話が出ていたと思うのですが、とりわけ日弁連様あるいはほかの団体様でも、NACS様ですかね、SNSの話を出されていたと思いますが、まず1つ目の質問として、SNSは、私も通信販売というよりは、正に突然消費者にSNSでしつこく勧誘してくるという点では、電話勧誘と確かに共通する点があるようにも思っているのですが、ただ、電話勧誘と完全に同じなのかどうなのかというところで、若干迷うところもありまして、ですので電話勧誘と同じようなルールを、SNSについて、例えば、今の電話勧誘と独立して何か規定を設けるべきなのか、それとも、例えば通信販売の1つのバージョンとして、電話勧誘とも通信販売とも全く違う形でSNS特有の問題を、これからいろいろ洗い出して規定を設けることが考えられるか、何か現時点で感触がありましたら、NACS様と、とりわけ日弁連様に伺いたいというのが1つ目になります。

私自身の感触としては、電話勧誘のほうが、SNSは、もちろん特に若者に対しては電話勧誘よりSNSのほうが、特にSNSの場合というのは、電話だと声だけですけれども、SNSは画像が付けられたりとか、あるいは動画とか視覚的にも音で、あるいは電話のようにしつこいしゃべり方とか、あるいは逆に甘く誘引するといったそういうものだけではなくて、SNSはやはり文言だけではなくて、動画とか画像とかそういったものも使って、より消費者に対して誘引的だという側面があるようにも思います。

ただ、その一方で、SNSの場合、私はSNS自体でいろいろ来るというのは、学生からも聞いたことがあるのですが、例えば全く気にしない学生は、全く見ていないという感じがあって、電話の場合は、やはり今のように、私は、今、自宅で伺っていますが、がんがん鳴り響くとどうしようもないという側面があって、そこの違いがあるような感じもあって、今後どう扱っていくことが考えられるかについて、現時点でお考えがあれば伺いたいと思っております。

2点目は、非常にシンプルな質問で、最初に御報告いただいた全国消費者団体連絡会の方に伺いたいのですが、マルチ商法についてお話があったと思います。

私自身もマルチ商法に関しては、やはり大学に勤めておりまして、大学生からも自分がというよりは、やはり友達がマルチ商法にどうもはまってしまっているようだとか、そういう話は聞くことがありますし、大学としてもマルチ商法については注意喚起していますので、若年者保護ということであれば、マルチ商法に関しては、やはりもう少し規制強化というか、何か策を打っていく必要があると思っております。

一番極端な策としては、マルチ商法自体を禁止してしまうと、海外では一定の形態のマルチ商法に関しては、危険性が高いものに関しては禁止しているという国もありますので、そういった策もあり得るかと思いますが、そういった点に関して、とりわけ本日の4団体の報告の中で出てきています、消費者の脆弱性という観点から見たときに、そこまで踏み込むことが考えられるかどうかというのが、個人的には検討の余地があると思いますが、これについて、現時点での御知見を伺いたいと思っております。

マルチ商法自体をターゲットにして何か規制をするのか、それとも正に本日4団体様から出ています脆弱性ということで、脆弱性もいろいろな意味があると思うのですけれども、情報弱者なのか、デジタル弱者なのか、そもそも例えば判断力とか、若者だと経験不足とか、いろいろなものがあると思うのですが、そういった消費者の弱い面というところに着目した、より一般的なルールをつくるのか、それともマルチ自体を何かターゲットにした、より踏み込んだ規制が必要かどうかということについて、御知見があれば伺いたいというのが2点目です。

以上になります。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

2点、いずれも特商法関連の御質問がありました。まず、1点目のSNSの規律の在り方ということについて、日弁連様とNACS様に御質問がありましたので、順番に、まずは日弁連様、お願いします。

○日弁連消費者問題対策委員会 大迫委員長 御質問ありがとうございました。

やはり、今の通信販売の在り方の中で、ひとたび勧誘を受けて、そして思わぬものを購入してしまうということが起きたときの解決方法としては、クーリング・オフの導入ということが、まず考えられるところだと思っておりますが、これは電話勧誘に引き付けるのかとか、通信販売独自のものとして考えるのかということですけれども、今でも通信販売の中でも、一旦申し込むと、その場で電話がかかってくるタイプのものは電話勧誘であるという切り分けで、何とか切り抜けているという感じがいたしますが、やはり今のデジタル化の進み具合が非常に早くて、では、電話をかけてこなくて、チャットで勧誘したらどうするのだとか、あるいはもしかして、基本計画の5か年の間にもっと違う手法が現れるかもしれないので、これは、そういったことも踏まえて、こういったデジタルの日進月歩ということも見通して、通信販売について独自にクーリング・オフを導入するような法規制を早く用意するべきではないかと思っております。

○鹿野委員長 それでは、NACS様、お願いします。

○NACS 永沢代表理事・副会長 大迫先生の意見と同様でございます。

やはり、これからの新しい悪質な勧誘にどのようなものが出てくるのか分からないところもありますので、電話勧誘のほうに寄ってつくるという考え方もあるとは思いますけれども、私どもは、やはり新しい1つの類型をつくっていただいて、SNSによる勧誘という分類をつくっていただいて、そこに対応できる規制を入れていただくことが望ましいのではないかという意見で、そういう意味では日弁連と同じ意見でございます。

それから、この問題は私たちだけではなくて、代表して申し上げますけれども、特商法の改正が本当は5年越しのはずで、そこで主要な消費者団体、全国で連携して立ち上がっておりまして、もう1年になりますが、特定商取引法の抜本的な見直しをお願いする全国連絡会というのを立ち上げておりまして、ここに全員入っておりまして、その中の獲得目標の1つが、これでございます。

3つ掲げておりまして、1つ目が訪問販売、不招請勧誘のところで、2番目がこのSNS、3番目がマルチ商法への対応ということで、この3つを掲げさせていただいておりますので、みんな同じ意見だと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。それでは、2番目の御質問について、全国消団連様、お願いします。

○全国消団連 郷野事務局長 御質問ありがとうございます。

特にマルチについてというところで御質問を頂いたかと思いますが、私のほうからは、法的な改正も大事なのですけれども、大学生への注意喚起というところで、やはり消費者教育がとても重要なのではないかと思っております。

特に先ほども申しましたけれども、私の子供たちからは、大学に入学したときにきちんと、マルチとか消費者被害についてガイダンスで説明を受けた大学の学生は、割と被害が少ないという話を聞きました。その一方で学生の数の多い大学の中には、4月はなかなか忙しくマルチなどの問題には触れられず、結果的にそこの学生は少し被害が多く出ているなどという話も聞きます。消費者被害についてぴんと来ない新入生は多いと考えますので、やはり最初の年度の初めのガイダンスのところでの消費者教育というのは、とても必要なのではないかと思っております。

また、今の学生、若者は意外と家族に相談をしますので、保護者に対しても周知があると、より学生だけが1人で悩むのではなくて、やはり家族に相談があったときに、家族のほうで受け止めるとか、相談しやすい環境が生まれるのではないかと思っておりますので、保護者への消費者教育にも注力をしていただきたいと思っております。

補足があれば、お願いいたします。

○全国消団連 菅原事務局次長 ありがとうございます。

預託法のような形の規制というのは、一つ考えられるのではないかと思います。と言いますのは、登録制にする、品物を売って得た利益のほうが、人を勧誘して得られる利益よりも大きいことを基準にするなど、先ほど紹介のありました全国連絡会でも検討されています。

それから学生の問題でいきますと、結局、コロナ以降のところで、先輩・後輩に会えない孤独感の中で、先輩に頼まれたから入り、後からマルチと気が付くということがあると思いますので、その心の問題みたいなところも含めて、孤立・孤独支援みたいなところにつながると思うのですが、その辺りも一緒に合わせていかないと、自分が損をしたと思ったら元を取りたいという衝動があると思いますので、連鎖的に被害者が加害者になってしまう事態が発生する可能性もあります。そういった点も含めて、教育と法制度の両面でというところがあるかと思いますが、今回、意見書に書いたという次第であります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今の点、特に教育啓発が重要であるということと、それから法制的には、預託法に寄せたような形が一つ考えられるというお話がありましたが、預託法というのは、販売預託について、原則禁止で極めて厳しい要件の下で例外を認めるというようなつくりという御趣旨でしょうか。

○全国消団連 菅原事務局次長 そうですね、どこまで厳しくするのかという部分はあるのですが、考え方としては、あの方法が使えるのかなということは論議になっていると思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

大澤委員、何かありますか。

○大澤委員 ありがとうございました。非常に参考になりました。

1点目なのですが、通信販売のクーリング・オフに関しては、私、このSNS以前の問題として、前から気にはなっていたのですけれども、基本的に通信販売の規制でクーリング・オフが、ほかのものと違って入っていないというのは、恐らく通信販売というのは、消費者が自発的に自分でカタログを見たりとかテレビを見て、テレビショッピング、サイトを見てやっているからということだったのだと思うのですが、その前提自体が、SNS以前に、例えばテレビショッピングなどを見ていても、今から30分以内に申し込めば割引になりますとか、かなり判断を焦らせるような、そういうものがあるので、これはクーリング・オフがなぜ通信販売にないのかという、その根拠自体が、昨今のSNSに限らず、テレビとか、あるいはインターネットでもそうですけれども、時間を限定するようなものとかを見ていると、そもそもその根拠が成り立っていないと個人的には思っていますので、SNSの問題だけではないように思いますので、すごく御意見には共感します。

2点目なのですが、マルチに関しては、今、最後に預託法に寄せてという話を伺って、非常に参考になりました。

あと、消費者教育という話が出ていまして、これも全く共感するところで、私、大学で1年生にも民法は教えているので、そういう被害とかに関しては、必ずだまされないようにという話は、授業の中ではしたりはしています。消費者法の授業の中でも、マルチがいかに怖いかという話は頑張ってやっているつもりなのですが、確かにガイダンス等とかで注意喚起するというのは、非常に大事で考えられるかなと思いました。

全くこれは消費者問題から少し離れてしまうかもしれないのですが、やはり大学生を見ていて思うことは、やはり、なぜマルチ商法とかあるいは闇バイトとか、そういう話が出てくるかというと、基本的に大学生はお金がほしいというのがあるのかなという感じはしていて、先ほど奨学金の話も出ていましたけれども、私も決してお金のある大学生ではなかったので、やはり短期間のアルバイトで稼げます、アルバイト感覚でできますと言われてしまうと、どうしてもそっちに引き寄せられるというのも、何か危ないと思いつつ、気持ちが分からなくはないところがあって、根本的には、例えば日本の大学の学費が高めであるとか、いろいろな問題があるような、若者の困窮とか、そういうのがあるような気がしていました。最後は全く余談になりますが、ですので、若者の消費者被害を防ぐというのは、消費者教育とか、あるいは、より進んで啓発をしたって、結局、若者はそういう高収入だとなったらどうしても惹かれてしまうところがあるので、やはり抜本的に正に預託法のような、もっと強い規制をかけるべきだとか、いろいろな観点からやっていく必要があるという印象を持ちました。

最後は、すみません、余計な感想ですが、以上になります。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかに御質問は。中田委員、お願いします。

○中田委員 消費者の日常に最も近い団体の皆様の御見解、ありがとうございます。大変勉強になりました。

1つは、私自身の気付きと、2つ目は御質問という形で伺わせていただきたいと思います。

4つの団体共通で、やはり消費者を囲む環境の大きな変化、パラダイムシフトとも言いますが、デジタル化を挙げていらっしゃったと思います。今後、第5期の消費者基本計画を考える上でデジタル化という環境、消費者を囲む環境について、大きく配慮していく必要があると思うのですけれども、デジタル化というと皆様の御発表にもございましたとおり、新たな取引形態でありますとか、キャッシュレスの新たな決済方法ということで、消費者にとって、とても便利になる反面、それによる被害も、これから残念ながら増えてくることが想定されるということであります。

一つ特徴として、やはり進化のスピードがとても速いです。良い意味でも悪い意味でも知恵比べということで新たな技術を開発して、それを適用して、便利なサービスを開発する。一方で、それを、何らかの消費者被害につながるような施策として、世の中に流布していくような者もいるという状況を考えると、なかなか法制度やペナルティだけで対応していくのは、どうしても後追いになってしまう、進化がとにかく激しいという状況があり、かつ予測がなかなか難しいということがあるので、法制度だけに頼って対応していくという難しさが、デジタル化についてはあると感じております。

その上で、やはり皆様がおっしゃられていた脆弱な消費者ですね。こういったデジタル化に伴う被害というのはどこで起こるかというと、個室なのですね、お一人でいるとき、端末と向き合っているとき、誰にも相談できないときに起こるという状況が現実的かなと思います。脆弱な消費者という定義は様々だと思いますが、例えば高齢の単身の消費者という方々の孤立ですね、社会的な孤立というのは、一つ課題であって、もしその高齢者の方が何か被害に遭ったときに、ちょっと相談できるような方が身近にいる環境があったら、もしかしたら二次被害、三次被害は防げるかもしれないという点で、やはり自助、共助、公助の中の共助が担保される社会づくりというのが、ますます必要になってくるのではないかということを、これは感想ですが、感じました。

もう一方で、デジタル市民としての見抜く力を、皆さん、若い頃から身に付けていく必要があるというお話もございましたが、そういった意味では、地方消費者行政の強化といったところ、一番消費者に身近であるところでの地方行政の強化は大事だと思うのですけれども、御指摘のとおり、リソースが限られているという観点から、例えば、民間事業会社等とともに、そういったことをやっていく、どうしても民意だけの、良心だけでの、例えば消費者教育コーディネーターの育成というのは限界があるという中で、事業としてそういったことをやっていかれる方々との連携というのは、視野にございますでしょうか。

すみません、2点目は質問です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

2点目の質問は、どなたに。

○中田委員 もし御意見がある方がいらっしゃれば伺いたいと思います。

○鹿野委員長 分かりました。

ところで、最初に申しましたように、原田委員が12時までということですので、先に原田委員から、もし御質問があったら先に出していただくということでよろしいでしょうか。

原田委員、何かございませんか。

○原田委員 ありがとうございます。

複数の団体から製造物責任法の改正に関する御提案がございまして、必要性はよく認識しているつもりなのですが、特にこの点について改正が必要だという論点がございましたら、お教えいただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、まずは、原田委員が抜けられる前に御回答があったほうが良いと思いますので、今の製造物責任法について、複数の団体が触れてくださったかと思いますが、いかがしましょうか。

それでは、全国消団連様、お願いします。

○全国消団連 菅原事務局次長 私たち全国消団連と、有志の方の集まりである、PLオンブズ会議という会議体があって、そこで毎年PL法の改正を求める報告会を開き、23年度も開催しました。

基本的には、できたときから30年経つ中で、暮らし方や商品、製品、サービスがどんどん変わってきた中で、基本的には製造物責任法が変わっていないので、世の中の変化、暮らしの変化に追いついていないのではないかということで、提言をまとめて発出しております。今回まとめた内容では、ネット取引という新たな形態の出現により責任を負うべき主体を拡大して、消費者への賠償に漏れがないようにする必要があるとか、自然農産物等を含め、全ての動産やソフトウェア、デジタル製造ファイルも対象製造物に含める必要がある。それから、技術が高度化すればするほど、欠陥や因果関係の立証が困難になるので、証拠開示手続を充実させることが必要である。それでも立証が困難な事案が想定されるので、欠陥や因果関係の推定規定が設けられるべきということで、23年度にまとめております。

この21年、22年ぐらいのところでいけば、デジタル社会に対応していないのではないか、越境取引に対応していないのではないかということで、製造物責任法を改めていくべきだということでの提言をまとめてきました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

何かほかの団体様で付け加えることが、もしあれば、よろしいですか。

原田委員、何かございますか。よろしいですか。

○原田委員 ありがとうございました。よく分かりました。

○鹿野委員長 それでは、順番が前後しましたが、先ほど中田委員から2点ございまして、1点目はコメントということでしたが、2点目は、地方消費者行政について、事業者との連携ということですね。

○中田委員 そうですね、連携を今後。

○鹿野委員長 事業者との連携が考えられないのかということでございましたが、何かお考えがございましたら、御発言いただきたく存じます。

NACS様、お願いします。

○NACS 永沢代表理事・副会長 1つかなり具体的な取組の紹介になってしまいますけれども、事業者といろいろな消費者団体と連携してやっている活動として、インターネット防災訓練というのをやっております。

孤立というときに、地域での見守りはもちろん大事なのですけれども、高齢者の場合、特にデジタル化が進む中で、デジタルの面での取り残しが出てきており、スマホを使えるようになったらいいね、みたいな活動を実施しております。KDDIや、それから、若宮正子さんを皆さん御存じでいらっしゃいますか、あの方が理事をされているブロードバンドスクール協会という団体や、それからサムソン、デジタル庁なども協力してくださっています。不定期開催ですけれども、全国をインターネットでつないで、災害に遭ったときにどのように対応するのか等を学び合っています。災害時に高齢者は孤立してしまいがちとなりますので、そのときに自分たちはどう生き抜くのかというような訓練をしています。この活動では、民間の企業に御協力を頑張っていただいていると思っております。この資料の添付の中に活動紹介をさせていただきましたが、たしか最後のページに、少しそのようなインターネット防災訓練というのを年4回ぐらいやっていますということを書かせていただいておりますので、そんな感じですかね。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

中田委員、何かございますか。

○中田委員 具体的な事例の御紹介、ありがとうございます。

やはり行政のリソースだけでは、本当に限られていると思いますので、民間企業のより一層の巻き込みというのは、この領域では今後非常に重要ではないかなと感じておりますので、是非推進していただきたいと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 御説明ありがとうございました。いろいろな論点に触れていただきましたので、今後、第5期の消費者基本計画をつくっていく上で、非常に重要だなと思っています。

その観点で御質問なのですけれども、内閣府消費者委員会では、去年の11月14日に決済制度の透明化ということで議論をしました。

キャッシュレスについて触れていただいている全相協さんとNACSさんに御質問させていただきます。決済代行業者問題というのが、このキャッシュレスの問題の中では非常に重要であって、いわゆる強制通用力がある法定通貨による弁済で債権が消滅することではなく、様々な事業者の間で債権債務が付け替えられて、最終的に債権が消滅するという議論をされるときに、そこに決済代行業者という、あまり法制度が及んでいない事業者が入ることによって、最終的なリスクの巻き戻しが非常に難しくなっているのではないかという問題を提起されています。そこで、その辺りの決済代行業者というものについて、どうお考えなのか、キャッシュレスについて御指摘いただいているのが2つの団体だったので、御質問です。

それから、全相協さんとNACSさんからは、地方消費者行政の相談体制について御指摘いただきました。これも本当に重要な御指摘だと思っているのですけれども、大きな壁として、消費者行政は自治事務であるという地方自治法の仕切りがある。そうなってくると、自治体で格差があっても、それは自治事務だねという議論が出てくるという問題があります。この点について何か両団体でお考えがあれば、御指摘いただければ大変有り難いと思います。

それからNACSさんはAIについて、消費者教育の文脈の中で御指摘いただいております。

AIというのは、正にアット・ザ・カーブを立ててというか、今後の、考える必要があると考えます。特に、この5年間の中では、自動生成AIも含めて非常に大きな社会的なインパクトのある新しい技術であると考えています。

その関係で、これはNACSさんが書かれていたのでNACSさんに聞いていますけれども、ほかの団体でもしもお知恵があったらと思いますけれども、この消費者の安全性との関係で、むしろAIを利用して消費者の安全に資するような方策というものを、もし、各団体の中でお考えがありましたら、何か考えるヒントとして頂ければ有り難いと思います。

以上、3点でございます。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

まず、第1点として決済制度、とりわけ決済代行業者等が入ってきていて、法が及んでいないところがあるのではないかということで、これは2団体に対してですね。

○黒木委員長代理 はい、キャッシュレスについてペーパーで書いていただいていたのが、全相協さんとNACSさんなので、それぞれお願いしたいと思っています。

○鹿野委員長 それでは、全相協様、お願いします。

○全相協 坪田専務理事 御質問ありがとうございました。

おっしゃるとおり、決済代行業者が問題になっているわけで、割販法が改正されて少し規制が及びましたが、実際、まだ及んでいない決済代行業者の分類のところが問題になっているわけです。これは、やはり法的な規制が必要かとは思うのですが、この決済代行業者というのは、クレジットカード会社以外様々なところでこの債権・債務の世界の中に飛び交っている状況がありますので、どういう規制が結局は現実的であるかというところは、すごく難しいところだと思っています。

ただ、その昔、割販法ができて、クーリング・オフ制度が導入された頃に、やっと割販法というか、決済の中に消費者保護規定が入ったという時代があったのですが、今、むしろカード事業者は、当然法令遵守でしかできないところがありますので、割賦販売法は、あっても当たり前というか、この決済問題には大きな関与をせず、決済問題で問題になっているのは割販法から外れたところというのが現実です。

ですから、やはり何らかの形で法制度、ルールの整備が必要だと思いますし、また、これが国際的な関連もあります。決済代行事業者、海外の事業者が問題になっていることがあります。

新しい決済方法も出てきていますので、そこにまた暗躍する可能性もありますので、そこを踏まえた法制度が、本来は必要だと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、NACS様、お願いします。

○NACS 永沢代表理事・副会長 ありがとうございます。

重なる部分もありますけれども、やはりマンスリークリアと、それからBNPLのように規制がかかっていない分野というのが、昔の時点では考えられなかったところです。特にBNPLは、海外ではかなり早くから指摘されていたけれども、日本では、あっと気が付いたらという状態になっていると思います。利用実態がどうなっているのか等を把握してみないといけないのではないかと思っています。

あとは、やはり金融庁と経済産業省との間の縦割りがやはり大きな問題であると思っておりますし、資金決済法がつくられて結構な時間が経っておりますし、規制が緩やかな部分もあります。分類が4つに分かれていたと思いますが、分かりづらいところもありますので、横断的な資金決済の法律というのをつくっていただく必要があります。規制がないところをカバーするような動きも必要で、これは金融庁だけではできないのかもしれないと思います。消費者委員会からも言っていただくことを、私としては希望いたします。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

○鹿野委員長 それでは、2番目と3番目は、いずれも直接的にはNACS様宛てですか。

○黒木委員長代理 全相協様も、地方自治体行政の中の相談については言及がありますので、御見解がありましたらと思います。

○鹿野委員長 では、まずは全相協様、お願いします。

○全相協 坪田専務理事 すみません、先ほどの決済代行の件なのですけれども、少し付け加えで、金融庁、経済産業省との連携は非常に重要なのですけれども、やはり事業者を監督するところは、自分の監督の範囲に入るところに対してはしっかりやると。一般的には、監督の範囲のところは比較的お行儀の良いところも多いわけですので、消費生活センターで問題になるのは、やはり若干お行儀の悪いところになりますので、そこをどこが、どの法律が拾うかという問題があると思います。その辺りの埋めるという役割を、是非、消費者委員会の方々にはお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

それで、地方消費者行政と自治事務の絡みというのは非常に重要な点で、実は、このDX化にしても何にしても、全ての根幹にある問題だと思っております。

実際のところ、消費者庁には出先もないですし、あとは消費生活相談というのは、本当に身近なところの話で、何か規制をするとか、法的に何かをするということではなく、都道府県には特商法等の権限はありますけれども、相談現場には特にないわけなのです。

そういった非常に住民の方にとって身近な窓口、これは本来的に理想を言えば、地方自治事務であるべきであり、地方消費者行政がしっかりやるべきだと考えております。

これは消費者行政だけではなく、本来的に、その昔は中央集権的に国でやっていたものに対して、地方自治というのがあって、分権法もできてという流れがあるわけですから、本来は住民にとって必要なサービスをやるべきだと思っております。

ただし、財政的な面が非常に厳しいということがあって、現実はなかなかで、それが全て消費者教育も含めて、問題が出てきていると思います。

だからといって、では、国がどこまで力を出すかというのは、考えるところがあって、お金を出すというすごく現実的なところはありますけれども、それ以外のいろいろなことを、もし国が主導でした場合、確かに消費者行政の底上げはできるかもしれませんけれども、地方自治から消費者問題というのが薄くなってしまうということを危惧しています。

ですので、やはり理想としては、地方自治体が体力をつけるということ、体力をつけたときに、地方自治体の中で予算をどう分配するかということがあります。地方自治体のほうも非常にいろいろ考えて、様々な町おこし、村おこしもやっていますけれども、やはり住民の安全・安心、これは経済的な安全・安心のところが多いわけですけれども、経済的な、いわゆる安全・安心は生活の質とか、あとは人間の行動に大きく影響を及ぼすわけですから、もっとこの消費者行政が重要であるということを分かっていただいて、地方が体力をつける、体力をつける支援を国がする、ついた体力で、地方消費者行政に回すということが一番必要かと思っております。

というのは、自治体の中でも先進的に取り組んでいる分野があって、ニュースになったり、注目を浴びている自治体があります。でも、そこで消費者行政が果たしてどうかというと、そうでもないという現実があるわけです。

ですから、やはりこれは消費者行政に対する自治体の姿勢という問題がありますので、この姿勢については、やはり私どもを含めて、消費者問題に関わっている者が、いかにそういったことを伝えていくかということも一つ必要かと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、NACS様、お願いします。

○NACS 永沢代表理事・副会長 地方自治が原則というのは分かるのですけれども、その前に、まず、国民はどこにいても同レベルの、同品質の、品質の高い教育を受ける、そして、消費者保護を受ける権利があると思っております。地方自治と比べてどちらの価値のほうが高いかと言いますと、私は後者であるべきだと思います。地方自治はもちろん尊重すべきですけれども、もう一度そこの建付けを考え直すべきではないかということが1点、まず、申し上げたいということでございます。

それから、やはり自治体間によって財政面での格差が広がってきていますので、このまま放置しておくと、やはり受ける住民サービスの1つとしての消費者保護サービスというものも非常に差がついていくということを、これからもっと意識していかなくてはいけないので、ここもやはり消費者委員会が中心になっていただいて、建付けについて見直しをお願いしたいです。

地方自治に関して、もう一つ言わせていただきますと、やはり地方自治の一番は警察、それから消防、そして消費者行政という順番になると思います。というのも、今、世の中は不安になっている、災害も多い。そうした中で、住民の皆様は、警察と消防にお金を使うことには、全然反対はないと思います。限られた予算の中でどこが削られるかというと、消費者行政だと思うのです。このまま放置していいのかと思います。枠組みを変えるということ、少しでも変えていただくということが大事かと思っております。

それから、ついでにAIのところも申し上げさせていただきます。AIは、避けられない流れであり、便利であることも確かだと思っています。先ほどの御意見にもあったように、法規制で何かなるものでもなく、技術というのは、我々の想像よりも早く動いていきますので、法律で規制することは難しい分野であろうと思っています。やはりここも教育でしかないのかなとは思っております。

逆に言えば、こういうAIを教育に使うことができないのか、教材など、どんどんいろいろお金をかけて作っていますけれども、こういうものはできないのかとAIに問うて、AIを使って教材を作ったりすることも考えられるのではないでしょうか。また、相談業務に関しても、AIを使って、スクリプトといいますか、そういったものを作ったりとか、あとは、どんな対応をしているのかというのも録音してAIにかけてしまえば、行われている相談業務についてもレベルアップしていくこともできるのではないかとも思います。される側は嫌かもしれませんけれども、民間の企業では、顧客対応にAIを導入して、品質管理を行ったりすることも始めていますし、分析して、こんなトラブルが起きているということも早くに察知できます。技術をそういう形で使っていくということは可能なのではないかとは思います。

以上です。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。AIのところは、ものすごく参考になりました。

ほかに何か団体で、そういうお考えがありましたら、AIについても教えていただければ有り難いです。

なければ、いいです。

○鹿野委員長 時間も大分経ってきましたが、柿沼委員から手が挙がっていますので、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。多岐にわたる課題や論点について、御報告ありがとうございました。

課題や論点を拝見しまして、消費者団体の社会的役割や期待、これは、ますます重要なものであると認識いたしました。

私が毎回消費者委員会の会議の中で、お話を聞いていく中で、消費者に対してのリテラシーや、消費者教育の充実性が重要であるということが必ず出てきております。

本日も消費者教育の重要性については、各団体からも御報告がございましたが、先頃消費者庁が公表した消費者意識調査結果から、契約の基本的な理解の正答率が低いなどが挙げられております。更なる充実した消費者教育の機会が必要と思います。

しかし、消費者教育が届かない人たちに対しての取組の必要性も、今後検討していかなければならないかと思いました。

それぞれの消費者団体様に、団体としての働きかけや取組について、再度、重なるところもあるかと思いますが、お聞きいたします。

お聞きしたい点としては、3点ございます。

まず、1つ目としては、地方自治体に対しての消費者行政の充実に向けて、消費者団体としての働きかけや取組、どのようなことを行っているのかということ。

それから、同じように企業に対しての働きかけや取組、これは差止請求とか、消費者教育というものが挙げられるかと思うのですが、それ以外について、どのようなことを行っているかということを教えていただけますでしょうか。

そして、3点目として、消費者団体の活動として、消費者委員会に対しての要望があれば、教えていただければと思います。

以上、3点です。

○鹿野委員長 これは、全ての団体様にお聞きしたいということでございますか。

○柿沼委員 お願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、順番にお願いしたいと思います。

お座りいただいている順番ということで、まず全国消団連様からお願いします。

○全国消団連 菅原事務局次長 地方消費者行政の関係なのですけれども、私たちの団体で、有志で集まって、地方消費者行政プロジェクトというのを設けています。

そこで全47都道府県に対して毎年アンケート調査を行っていて、実は来月の半ばに、それを発表するシンポジウムを開きますが、そういった形で現状の問題点、先ほどのDXの話ですとか、消費者教育コーディネーター、各県の消費者基本計画についてというところで、実態を集めて返していくことをしているところでもありますし、地方の消費者団体でも、地元の市町村を回って、同じような調査をし、提言として返していくということが、地道にされているというところかと思います。生活協同組合などでは首長訪問などをして、それぞれ今の問題点など、すり合わせをしてくるなどに取り組む組合もあります。地域の団体がそういったことをしているということが一番大きい部分かなと思います。ただ、全体的にできているかというと、まだまだこれからという地域もありますし、マンパワーの問題もありますので、そこも含めて全国消団連としては協力していく必要があると考えているところです。

○全国消団連 郷野事務局長 2つ目の企業に対しての取組を何かされていますかということなのですけれども、ACAPとの取組というか、企業のお客様相談室の方との意見交換、情報交換の場は持っていたりとか、そこを通じまして、民間企業からも情報交換したいというお話があれば、対応したりとか、消費者としての意見を発信してほしいと言われれば、こちらのほうから意見を出すようなこともしております。

○全国消団連 菅原事務局次長 今の発言に加えて、各種公正取引協議会の懇談会に出て意見を申し述べる、主に広告、宣伝の話が中心であるのですけれども、そういったところで、事務局レベルではありますが、出席をして、消費者としての意見を申し述べるということをしています。

最後の御質問ですが、消費者団体として消費者委員会に対しての要望ということなのですが、昨年も消費者団体の現状についての報告書をまとめていただきました。先ほどの報告の中でも触れたとおり、私たちでまとめた消費者運動ビジョンと結論がほぼ同じだったので、テキストにしていただいたのではないかという気がしないでもありません。

要望としては、機動的にいろいろと動いていただいて、今回もほかの団体の方が報告の中で触れられていましたけれども、消費者団体の意見ということも含めて、聞き取っていただくのと、あと、しゃちほこばった形ではなくて、例えば、地方の団体を回って、少し話をしてくる、聞いてくるということもできれば、逆に消費者委員会は何をしているのかが見えなくなっている部分はあると思いますので、そういった形でのアプローチを重ねていただくことが、求められることかと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、全相協様、お願いします。

○全相協 坪田専務理事 まず、地方公共団体に対する取組ということで、こちらのほうは、私どもの団体は、地方公共団体に勤務している相談員が中心となっておりますので、自ずと非常に関係性が強いわけです。

全国に、今、6支部がありまして、支部単位で、当然、自分の勤務先も含めて、地域の地方消費者行政の方々とは意見交換をしたり、実質的には消費者教育の講座の講師をしたり、見守りに関して、一緒にやってみたりとか、あと、地方の中でも、やはり多重債務問題をやっていらっしゃる団体さんとか、いろいろな活動をしている全国団体ではない地域の団体さんがいます。そういった団体さんの中で、私どもの支部も一緒になって地方で活動しているという例もございます。

それから、企業に対する取組でございますけれども、ACAPさんももちろんそうですけれども、事業者団体の方々を交えた懇談会、意見交換会ということを行ったり、また、幾つかの個社の方とのいろいろな意見交換ということもやっております。

その中で、消費者教育ということを、企業のほうも非常に関心を持っていて、特に金融教育も始まっておりますので、企業も社会的貢献という中で、消費者教育に取り組みたいということを考えていらっしゃるところがあります。

そういったところで、やはり、私どもが消費生活相談ということをやっておりますので、いろいろと意見交換、情報交換をして、まだなかなか本格的には難しいところがあるのですけれども、良い形で協力をし合って、地方で消費者教育が展開できたらいいねという話も出てはおります。

いずれにしましても、この企業の方であったり、事業者の方との交流というのも、私どもの支部がありまして、支部のほうでも結構やっております。企業のほうでは、地元企業もありますし、また、東京に本社があっても、地方に支店、支社がありますので、そういったところで、地域とのつながりということをやっております。

それから、消費者委員会に対してということですけれども、やはり消費者の意見を聴くということは、消費者庁もやっているわけですけれども、出先がないということもあると思いますが、地方の相談員にとっては、消費者庁、消費者委員会、それから、消費者庁がやっているようなことは、かなり遠い存在に思っています。霞が関は本当に遠いのだなということを実感として感じることがあります。

ですが、実際、霞が関を支えている、消費者行政を支えているのは、1件の消費生活相談から始まっていると言っても過言ではないと思っております。

ということで、できる限り、これまでも消費者委員会の方々に地方にお出向きいただきまして、いろいろやっていただいているのは承知しておりますが、コロナも少し落ち着いたようでございますので、より頻繁にといいますか、お忙しいと思いますけれども、オンラインということも、今、可能になっていますから、いろいろな形で地方に出向いていただくなり、交流をしていただくということをお願いしたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

NACS様、お願いします。

○NACS 永沢代表理事・副会長 まず、最初に地方公共団体との関係ですけれども、私どもも一応7支部で、2,000人を超える会員が地域で活動していますので、地方自治体との関係をつくるべく努力はしております。

しかしながら、800以上も自治体がございますので、これを全部カバーすることができないという状況ではございます。できていることとしては、教材を作ったら800幾つのところに届けるとか、それから講師依頼があったときには出ていくということぐらいがやっとかなという状況でございます。お金もあまりあるわけではありませんので、出掛けていくのにお金がかかるので、地元でやっていくということで、細々とやらせていただいております。

それから、2番目の企業に対する働きかけのところでございますが、本日、資料3-2で、私どもの最近の活動紹介を入れさせていただきましたけれども、1ページ目の相談業務を除いたもの以外は、消費者教育の分野になりますけれども、全て事業者の、あるいは事業者団体と組んでやっております。

もちろん事業者団体との定期的な意見交換や、いろいろなことをさせていただいておりますけれども、個別事業から自分たちでお金を出して消費者啓発をやると、それは、やはり、そう受け止められないからということで、自分たちの名前は伏せてやらせてほしい、特にグローバルに展開されているところは、マーケティングと、そういう公共政策が分かれている会社が結構多くて、公共政策を担当されている部署から、このような日本における啓発活動をしたいということで、お金を頂いてやっているものが幾つかございます。

これは、3ページ以降は全てそうでございますが、1つ挙げさせていただくと、5ページのギフトカード詐欺に遭わないためにというのは、自社の御支援といいますか、連携してやっているもので、これは、お金を頂いておりませんけれども、2年間で実は6,500万回の再生が行われたというもので、日本人の4人に1人にリーチできたと言っておりました。

ギフトカード詐欺というものがグローバルに問題になっていて、日本でも早く手を打ちたいということで流されました。お金はかからなかったけれども、自社の力で上に常に、ターゲット広告と同じ原理でございまして挙げていただいて、一応、ほとんど皆さん見ていらっしゃるようであることも確認できております。そういうことをさせていただいております。できることとしてやっていくということになります。

それから、3番目に消費者委員会への要望ですけれども、これまでも繰り返し申し上げましたけれども、やはり日本では、まだまだ縦割り行政が残っておりまして、法律も縦割りになっている。この穴が空いているところを、やはり時代の変化に合わせて、プロアクティブに埋めていく、横断的なものもあるかもしれませんが、法規制だけではなく、行政の在り方についても、縦割りを打破していただくことをしていただきたいということが1点。

それから、2点目として、私ども消費者団体はシンクタンクを持ち得ておりません。新たな消費者課題を研究して、説得力のある提言をしたいと思っても、科学的なことに基づいてでなければ、やはり世の中は振り向いてくれませんので、このシンクタンク的な機能を、ここのところ、いろいろと作業部会をつくっていただいて、専門性のある先生方が集まって、立派なレポートをつくっていただいておりますけれども、あのような活動は大変役に立ちますので、建議につながらないものであっても、シンクタンク的な役割をしていただきたいと思っております。

参考までに、公正取引委員会はかなりそのような調査レポートを出されていて、私ども消費者団体にも御提供いただいたりしておりますので、人数が少ない、限られている消費者委員会に御負担を掛けますけれども、シンクタンク的な機能をお願いしたいと思います。

以上です。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

日弁連さんは、ちょっと立場が違うかもしれませんけれども、もし何かございましたら、お願いします。

○日弁連消費者問題対策委員会 大高副委員長 日弁連の大高でございます。

最後の質問は、大高も一言話せという大迫委員長からの指示がございましたので、私のほうから少しお答えをさせていただきます。

まず、自治体・企業への働きかけ、連携でございますけれども、先ほど冒頭、大迫委員長からもございましたように、日弁連は、もともと弁護士と単位弁護士会の連合体でございますので、オフィシャルに自治体なり企業なりとチャンネルを持ってどうこうというのはあまりやっておりません。ただ、単発のシンポジウムなどで、講師として自治体の方にお越しいただいたりとか、また、企業の方にお越しいただく場合もございます。

ただ一方で、弁護士会のレベルまでいきますと、各地で、特に自治体との連携はそれぞれの地域の実情に応じてやっていただいているかなと認識しております。

例えば、消費生活センターに相談員さんのサポートとして弁護士を派遣したりとか、また、定期的に自治体と懇談の場を持ったりとか、場合によっては、あっせん機関をつくった自治体に、そこに弁護士も入っていくとか、そういった形で地域の実情に応じて、いろいろと自治体とはやっているかなと思います。

企業の方との連携は、ちょっとよく分からないところがありますが、少なくとも自治体に関して、そのような形でやっているかなと思っております。

最後、3つ目の消費者委員会に対する要望ということ、何かおこがましいのですけれども、我々日弁連も5年に一度の消費者基本計画は、我が国の消費者政策を決める本当に大切なものだと思っております。

様々、各方面からいろいろ御意見があるかと思いますけれども、できることであれば、5年間にできそうなことを並べるのではなくて、やはりあるべき消費者政策の姿というのを、やはりリーダーシップを持って消費者委員会が打ち出していただいて、消費者庁を始めとする各省庁を、むしろ引っ張っていただく、そういった意見、そういった計画をつくっていただくことを心から要望したいと思います。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

柿沼委員、よろしいですか。

○柿沼委員 ありがとうございました。大丈夫です。

○鹿野委員長 それでは、予定した時間も経過しましたので、意見交換は以上とさせていただきたいと思います。

本日は、次期消費者基本計画における重点事項や、課題等について各団体の皆様から非常に貴重な御示唆を頂き、有意義な意見交換を行うことができました。

各団体の皆様から出された御意見は、かなり多岐にわたるものでしたので、ここでその内容を一つ一つ繰り返すということはしませんけれども、全体として、まず、第1に悪質商法に対する対応ということは必要であるという御指摘がありました。

それから、第2に、これはかなり議論にもなったところですが、デジタル化、国際化の急速な進展への対応が必要であるということで、これはデジタル広告とか、あるいは特商法との関連でも出てきたSNS等の問題とか、あるいはダークパターンなども含めたところでございますが、この対応が必要であるという御指摘を頂きました。

それから、3番目に、複雑化する決済手段への対応ということで、こちらについても議論があったところです。

特に黒木委員長代理からの御質問を契機として、決済代行業者など、法の及んでいないような決済取引の問題が議論され、御意見等を頂いたところでございますし、それから、現在の割賦販売法におけるような限定的な対象のものではなく、より横断的な決済制度が必要なのではないかという御議論も頂いたところでございます。

それから、消費者教育についても、いろいろな御意見を頂きました。小野委員からの御質問等にも答えていただいたところです。そこでは、消費者の属性や年齢層に応じた消費者教育の必要性ということとか、あるいは先ほど言及したデジタル化に対応するような形で、デジタルリテラシーやメディアリテラシー、あるいは金融分野における消費者教育の重要性なども確認されたところでございます。

また、高齢者や障害者あるいは孤独・孤立あるいは貧困状態にあるところの消費者等への対応支援ということの重要性についても御指摘を頂きました。

それから、さらに成年年齢の引下げがあったことについて、検証が必要であるということについても御指摘いただいたところでございます。

続きまして、食品の安全性確保、食品表示の適正化ということについても御議論いただきました。特に、これは冒頭の今村委員からの御質問にお答えいただく形で、機能性表示食品制度の現状と問題点等について議論をさせていただいたところでございます。

さらに、消費者の生命・身体の安全の確保について。食品とは別の点でも、生命・身体の安全の確保については、もちろん重要だと考えておりますし、御指摘も頂きました。

原田委員からの御質問では、製造物責任法の見直しということについての問いが投げかけられ、デジタル化、国際化の中での製造物責任の在り方について、ヨーロッパの法制などが進んでおりますので、そちらも参考にしながら検討を進める必要があるのではないかという御意見なども頂戴しました。

それから、消費者行政の体制強化ということで、特に地方消費者行政の充実、地域格差の是正ということについて、多くの御指摘を頂き、御議論いただきました。

委員からは、柿沼委員、黒木委員長代理、中田委員からも、この点についての質問等をさせていただいたところでございます。

これについても、現在、団体としてどういう取組がなされているのかという現状なども確認させていただきましたし、それから、事業者との連携の必要性ということについても、中田委員からも意見として出させていただいたところでございます。

さらに、特定商取引法の抜本的な見直しということについても、多くの団体から御意見を頂きました。

特に重要な点が3点あるということで、不招請勧誘の規制ということ、それからSNS等を用いた勧誘の問題、あるいは、これは通信販売ルールの全般的な見直しということにつながるのかもしれませんけれども、そのような問題と、それから連鎖販売取引の規制の在り方、その見直しということについて御指摘を頂きました。大澤委員からも御質問があり、議論をさせていただいたところでございます。

さらに、先ほど挙げたところとも関連しますが、信用の意味と重要性、悪質商法から、あっという間に信用が傷付けられ、あるいは多重債務に陥ることもあり得るのだという重要な御指摘なども頂きました。

このほか、御指摘いただいたところは切りがないのですが、先ほど言いましたように、もう時間も経過していますので、御指摘いただいた点につきましては、消費者委員会でしっかりと受け止めさせていただきたいと思います。

また、消費者委員会に対しての御要望等として、積極的な調査審議や現場の情報を機動的に収集して対応する必要性ということについても御指摘いただいたところでございます。

さらに、やはり地方から見ると、ここが遠いということもあって、地方の御意見も聴くような機会を設けたほうが良いというアドバイスもございました。

御指摘のとおり、コロナもようやく規制が緩和されましたし、地方への訪問とか、あるいは少なくともオンラインを用いたような形でヒアリングを行う等、また、具体的なやり方は検討させていただきたいと思いますけれども、これも重要な御指摘だと受け止めております。

それから、縦割り行政で、なかなかうまくいかないところがあるということで、これは、冒頭でも私も申し上げましたように、やはり、所管が分かれているためにいびつになっているところがありますので、そちらについても消費者委員会としてしっかりと見ていきたいと考えているところでございます。

次期消費者基本計画の策定に向けた委員会意見を取りまとめるに当たっては、本日頂戴しました御意見等を踏まえ、より多くの消費者の声が反映された意見を委員会から発出することができるよう、引き続き調査審議を進めてまいりたいと思います。

本日御出席いただいた皆様からは大変貴重な御意見を頂きました。消費者委員会を代表しまして、厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 それでは、以上をもちまして、本日の会議は終了したいと思います。

再びになりますけれども、本当にお忙しいところ、ありがとうございました。

(以上)