消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2022年7月8日)

日時

2022年7月8日(金)14:00~16:20

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、生駒委員、大石委員、黒木委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、清水委員
  • 【説明者】
    一般社団法人 エシカル協会
    大久保 明日奈 理事
    一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会
    山口 真奈美 代表理事
    日本証券業協会
    岳野 万里夫 副会長・専務理事
    森川 怜子 SDGs推進本部 SDGs推進室長
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、友行参事官

議事次第

  1. 開会
  2. SDGsについて
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お集まりいただきありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会と消費者団体ほか関係団体様との意見交換会を開催させていただきます。

本日は、生駒委員、大石委員、黒木委員、私が会議室にて出席、青木委員、飯島委員、清水委員がテレビ会議システムにて御出席です。

受田委員長代理、木村委員、星野委員は御欠席です。

開催に当たり、本日の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日はテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.SDGsについて》

○後藤委員長 消費者委員会では、審議の参考とすることを目的として、消費者団体を始めとした関係団体等の皆様より御意見、御要望をお伺いするとともに、委員との意見交換を行っております。

SDGsの達成に向けては、消費者一人一人に行動変容を促すことが重要であるとともに、消費者の適切な選択のためには事業者の取組も重要です。そこで、本日は、SDGsについて、特にエシカル消費、認証ラベル、ESG投資等をテーマとして持続可能な社会の実現に向けた課題やそれに対する取組のほか、行政に求めることなど忌憚ない御意見を頂戴できればと思っております。

本日は、一般社団法人エシカル協会理事、大久保明日奈様、一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会代表理事、山口真奈美様、日本証券業協会副会長・専務理事、岳野万里夫様、SDGs推進本部SDGs推進室長、森川怜子様に会議室にて御出席いただいております。

皆様、本日は大変お忙しいところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、各団体様に事前に御用意いただいた資料を用いて10分程度御説明をいただいた後に、20分程度委員との意見交換をさせていただきます。また、3団体の発表、意見交換が終了した後に、全体としての意見交換の時間を30分程度設けておりますので、3団体への共通の御質問や参加団体様から委員や他の団体への御意見、御質問などがございましたら、その際に発言をお願いいたします。

それでは、最初に、一般社団法人エシカル協会、大久保様、よろしくお願いいたします。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。ただいま御紹介にあずかりましたエシカル協会の大久保と申します。よろしくお願いいたします。

本日、私からは、エシカル消費の現状と普及に向けた課題を皆様方にお伝えできればと思います。

まずはエシカル協会の活動の概要と、私ども団体が行っているアンケートからエシカル消費の現状をお話しした上で、エシカル消費の普及における課題と事業者・行政の皆様に期待することといった形でお話をさせていただきます。

まず、我々エシカル協会の活動概要について御説明いたします。最近、エシカルという単語を聞かれるようになったかと思いますけれども、ここではその意味について皆様にお伝えできればと思っております。まずは一般的な「エシカル」の定義についてです。英語が語源となっておりまして、直訳すると倫理的なというような意味合いでございます。少しかみ砕きますと、法的な縛りはなくても、多くの人たちが正しいと思っていること、本来人間が持つ良心から発生した社会的な規範こそがエシカルという形でお伝えしております。ただ、これだけでは実際にどういったことが該当するのか少し分かりづらい部分もあるかと思いますので、我々の協会では、エシカルについて、4ページにあるような形で、「人・社会・地球環境・地域に配慮した考え方や行動」であるとお伝えしております。

5ページに、私どもの協会のミッションを記載しております。エシカルは非常に広範なもので、概念として少し分かりづらい部分もあるかもしれませんが、私たちの協会としては、エシカルの本質について自ら考え、行動するような消費者の皆様や事業者の皆様と一緒に変化を起こしていきたい、そして、持続可能な世界を実現したいという思いで活動をしてございます。

具体的な活動といたしましては、6ページにまとめておりますとおり、エシカル・コンシェルジュ講座というエシカルについて学んでいただける全11回、約半年間の消費者向けの講座を行っております。また、企業や自治体、若者に対する講演を通じまして、より広い方々にエシカルの考え方をお伝えするということもしております。また、政府・行政への働き掛けというところで、このような機会に私どもの考えでございますとか御提言もさせていただいているといったような形です。

また、私どもの協会は法人会員制度というものを設けておりまして、事業者の皆様と実際、エシカル消費の普及に向けた課題でございますとか、一緒になってお取り組みできることを法人会員の皆様と一緒にお話をさせていただいているようなところでございます。

ここから、エシカル消費の現状といったところもお伝えしてまいります。エシカル消費とは、先ほどお伝えしたエシカルといったものを実践するに当たって、「地域の活性化、雇用なども含む、人・社会・地球環境に配慮した消費やサービス」であるというふうにお伝えをしております。

具体的な分類は、10ページに書いてございますとおり、環境に配慮した消費、社会へ配慮した消費、地域へ配慮した消費、また、消費のみならず行動のことも指し、このような形の具体例を御用意しておりますので、後ほど資料を御覧いただければと思います。

そして、現在の日本におけるエシカル消費の現状について、11ページから私ども協会のアンケートの結果を取りまとめております。私どものエシカル協会は、先ほどお伝えしましたとおり、企業や教育機関等々で講演の機会を多くいただいておりますので、その講演を聞いていただいた消費者の皆様、約6,000名の全国各地の方々に対して、右の1番から7番までの御質問をさせていただいております。回答としては10代が多くなっておりますが、教育機関等でよく講演をさせていただくためにこのような回答の分布となっております。この1番から7番の設問のうち、特に今の日本の消費者の現状をよく表す設問について、皆様に御紹介していきたいと思います。

まずは12ページにありますとおり、「エシカル消費そのものに興味があるか」と消費者の皆様にお伺いしたところ、約7割の方がエシカル消費に興味があるという御回答をされております。10代で一部興味があるという割合が5割を切っているところではあるのですが、これはやはりこの後お伝えする教育機会といったことにも関連するところかと考えております。

13ページでは、「これまでエシカルな商品・サービスを購入したことはありますか、今後購入しようと思いますか」という、すなわちエシカル消費の実践に対する消費者の意向を聞いたところ、3割程度の方が「これまで購入しており今後も購入したい」、また約6割の方が「これまで購入したことはないが今後は購入したい」といったような形で、エシカル消費の実践の意向については、約9割の消費者の方が非常にポジティブな回答をされたという回答になっております。

ただ、「これまで購入したことはなく今後も購入したいとは思わない」、「今後は購入したくない」という、エシカル消費の実践において、あまり実践したくないなというふうに回答されている方も一部いらっしゃいまして、その方々に理由を聞きましたのが、14ページにある、「エシカルな商品・サービスを購入したくないと考える理由は何ですか」という設問でございます。最も回答として多かったのは、「購入したくない理由は特にない」であったのですけれども、その次に多かった回答は、「どれがエシカルな商品・サービスか分からない」、「本当にエシカルなのかどうか分からない」であり、エシカルなのかどうか分からないといったところが、エシカル消費実践の課題になっているというところが分かってきたかと思います。

15ページでは、株式会社電通が行ったエシカル消費に関する意識調査のアンケートから抜粋させていただきましたが、エシカルに関わる様々なテーマに対して、知っている、共感できる、実践したいというそれぞれの意向を確認いただいたアンケートでございます。左側の食品ロス防止といったところを見ていただきますと、例えば知っている、聞いたことがあるという消費者は6割ぐらい、共感できるといった消費者も6割ぐらいですが、生活に取り入れたいという方は少し割合として下がっているという形でございます。また、再生可能エネルギーになりますと、知っている方が約6割、共感できる方は少し割合が下がって4割程度、そして、生活に取り入れたいという方が2割程度といったような形で、知っているけれども実践までの距離が少し遠いというところが、このアンケートの結果から見て取れるのではないかと考えております。

今までのところをまとめたものが16ページでございまして、エシカル消費に係る消費者の現状として、まず1点目としては、エシカル消費に対する関心はあるけれども、まだ実践まで結び付いていないといったところが見て取れるかと思います。ここに対しては、実践は難しいという認識を変えることが重要と考えておりまして、身近なところからエシカルを取り入れ、実践や成功体験を積み重ねていくことが大事かと考えております。

また、先ほどのアンケートの結果にもありましたとおり、どれがエシカルな商品・サービスなのか分からないというところがエシカル消費実践の壁にもなっていると思いまして、情報開示を進展させるために、この後お伝えするとおり企業の皆様にも是非情報開示に御協力いただきたいところですが、消費者からも積極的に働き掛けをしていくことが非常に大事だと考えております。

また、エシカル消費に対する本質的な理解もまだまだ不足していると思います。エシカルというものを一過性のブームで終わらせないためには、消費者教育、また学校教育といったところで、消費者に対する本質的な理解の普及が必要であると考えております。

ここから今の課題を踏まえた上で、行政や事業者の皆様に期待することを少しお話しさせていただきます。18ページにその前提といたしまして、エシカル消費の普及におきましては、消費者・事業者・行政それぞれが連携してエシカル消費を普及拡大していくことが重要であると考えております。まず消費者はエシカルな商品・サービスを選択する、すなわち消費の主体としての意思表示ももちろん大事ではございますが、エシカルな商品・サービスを求める声を企業の方々に伝えていくといったところも是非行っていただきたいと思っております。企業としては、エシカルなものが必要とされているか分からないと、商品の開発などに一歩踏み込めないところもあるかと思いますので、消費者からも是非積極的な意思表示が大事になるのでないかと考えております。

また、事業者には、エシカルな商品・サービスを提供することに加え、エシカルな商品・サービスに関する情報開示を積極的に行っていただきたいです。エシカルな商品・サービスの需要を喚起するために、消費者に対して、なぜそれが重要なのかといったところも積極的にコミュニケーションを行っていただきたいなと考えております。消費者、事業者が両輪となってエシカル消費が普及するものと考えております。

ただ、エシカル消費の普及のための仕組みづくりというところも欠かせないと考えております。行政に求めたいことといたしましては、やはり重要な役割として、レベル・プレイング・フィールド、すなわち公正な競争条件確保の観点から、事業者が情報開示をするに当たってのルールを定めていただくでございますとか、また、先ほどお伝えしたような消費者への教育、学校教育でエシカルを学ぶ仕組みを構築するといったところです。また、公共調達などの基準の中でエシカルな視点も含めることで、行政自身も是非エシカルの実践の主体になっていただきたいと考えてございます。

上記を踏まえて、19ページに先ほどのエシカル消費の現状3点に対して事業者・行政に期待することを取りまとめてございます。エシカル消費への関心とアクションの乖離といったところにつきましては、事業者の方々に、消費者が身近に実践できるエシカルな商品・サービスの展開、また先ほどの電通のアンケートでもありましたとおり、身近な食品や日用品については消費者もエシカル消費の実践の意向が高く出ておりましたので、まずは身近なところから是非展開いただければと考えてございます。

また、2点目のどれがエシカルな商品・サービスなのか分からないといったところについては、事業者の皆様に商品・サービス、企業ごとに異なる形ではなく、横並びで比較可能な積極的な情報開示を是非お願いしたいと考えてございますし、行政の皆様に対しても、先ほどお伝えしたとおり、レベル・プレイング・フィールド確保の観点からの情報開示のルール整備も是非御検討いただければと考えております。

3点目のエシカルに対する理解といったところについては、是非事業者の皆様に、エシカルな商品・サービスの意義を消費者の方に積極的に訴求いただきたく、行政に対しては、学校教育を含む継続的な消費者教育の支援もお願いしたいと考えているところでございます。

まずはエシカル協会からのエシカル消費の現状といったところ、このような形でお伝えさせていただきました。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの発表内容につきまして、御質問や御意見がある方は御発言をお願いいたします。時間は20分程度でよろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。私も日本エシカル推進協議会の会長を務めておりまして、エシカルの普及推進に取り組んでいるのですけれども、これは質問といいますか、私自身も考えていることですので、是非エシカル協会としての見解をお聞きしたいと思います。

この委員会でも、消費者被害が非常に多い中、私は何よりも被害を未然に防止するということが非常に重要だとかねがね考えておりまして、それに必要なことは何かといいますと、やはり消費者教育、その消費者教育の中でも一番大きな柱がエシカル教育ではないかと考えていますので、エシカルという言葉とともに、是非消費者教育を強化していきたいと思っています。

この統計を見ますと、興味はあるけれども実際の行動につながらないような傾向も見える中で、エシカルという言葉とサステナブルという言葉、隣はサステナブル・ラベル協会でいらっしゃいますが、あとSDGsと、多くの言葉が並んでしまっているところで、サステナブルとエシカルはどう違うのですかとか、SDGsとはどうなのですかと、私自身もよく質問を受けるのです。その辺りで協会としては何か見解はお持ちでしょうか、という質問です。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。私ども協会の見解として、まず、SDGsは、2030年までの15年間のゴールといったところが意味合いとしては大きいと思います。サステナブルな社会の実現の方法として17個のゴールが定められている、すなわちターゲットとゴールという、いわゆる期限付きのものであるというような位置付けも意味合いとしてはあるかと感じております。

サステナブルにつきましては、意味合いとしては「持続可能」であり、また、エシカルも先ほどもお伝えしたような概念でございますので、非常に親和性がある概念だと協会としては考えているところではございます。

ただ、一つ、我々が思うことといたしましては、環境に良いと思ったことが、実は社会的な側面、例えば人権面でもしかしたら深刻な状況を起こしてしまっているというような、イシューとイシューが関連し合っているというところが今、問題になっている部分もあるとは思います。その中で、エシカルというものは、「人・環境・社会に対するホリスティックな視点」という言い方を最近はしているのですけれども、それぞれに対する影響をまずしっかり考えて、その中で最適なものを自分たちで選んでいく、その考え方や行動であると考えております。

なので、今、生駒委員から頂戴した御質問に対しては、SDGsはゴールでありながらもエシカルと親和性がありますし、サステナビリティも非常に親和性はございますが、エシカルについては、よりホリスティックな考え方や行動であると今時点では考えているところでございます。

○生駒委員 ありがとうございます。私も全く同意なのですけれども、私がエシカルに取り組んだ一つのきっかけは、サステナブルといったときに、どうしても環境問題が最優先されてしまっている現状があると思うのですが、ここ2、3年とりわけ人権デューデリジェンスであるとか、動物福祉であるとか、環境だけ守るのではなくて人や社会も守らなくてはいけない。その点、エシカルは大きな傘なのですね。なので、どちらかというとその部分をより皆さんにお伝えできる含みを持っているかなと思っていまして、今おっしゃったことは全く同意なのですけれども、その辺りを共有させていただきながら進められればと思います。ありがとうございます。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。今の説明の中で、基本的なことを確認させていただきたいと思います。アンケートの調査が11ページ、12ページに載っているのですが、たしか消費者庁の調査によると少し違っていたように思います。どちらかというと若い世代の人のほうがSDGsですとかエシカルということについて関心が高くなっていて、高齢者のほうが関心が薄いという調査結果があったように思います。今回御紹介いただいたアンケートは、さっきお話しいただいた内容ですと、講座に参加した人の回答ということで、もしかしたら例えば10代というのは学校で皆さん一斉に講座を受ける人たちで、一方、40代、50代、60代というのは自主的に講座を受けようと参加した人たちなので、それでこのように、例えば年代が上の方のほうが関心が高く、若い人のほうが、この数値で見ると関心が低いという結果が出ているのではないか、と消費者庁の調査との違いについて考えましたので、その辺りについて教えていただきたいと思いましたのがまず1点目です。

それから、おっしゃっていることは本当にそのとおりで、消費者がエシカルな商品を購入したいと思っても、どれが目指す商品なのか分からないと選べないということで、まさしく消費者と事業者と、また後押しをする行政がそこに関わることが大変重要だと思うのです。具体的に消費者が、エシカルな商品やサービスを選べるような仕組みとして、こういうことが社会で実現できれば一番良いのではないかなど、何か御知見がありましたら、是非教えていただければと思います。

以上です。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 御質問ありがとうございます。まず、こちらのアンケートの回答者の部分、1点目に御質問を頂戴したところから御回答いたします。今、大石委員から御質問を頂戴した部分、御指摘のとおりである部分もございますけれども、まず、10代はおっしゃるとおり学校教育の中で講座、我々の講演を聞いていただく方が多いので、そのまま、すなわち自然体のものであるかと思います。

ただ、20代以降も、御関心ある方だけではなく、いわゆる会社の研修などを通じて、「そこまで御関心はないけれども、プログラムなので受けます」といったような方もいらっしゃいます。20代以上のほうがより自分から受けようという方もいらっしゃる部分もあるかとは思いますけれども、10代と20代以上で回答者の属性として興味関心がもともと違うかというと、そこまででもないかと私どもとしては考えているところもございます。

ただ、我々も実際にこのアンケートの結果を見たとき、かなり驚いたというのが正直なところでございました。私たちも日々若い世代の方々と触れ合うと、非常に熱心で、かつ自発的な方が多くいらっしゃるので、私たちの認識としては10代の方、すなわちZ世代の方はエシカルに対してものすごく興味があって、いわゆる社会人になってからの方のほうが興味関心としては低いのではないかなと分析前は思っていたのです。とはいえ、このアンケートの結果を見てから10代の人たちとまた新たに話すようになりますと、「エシカルに自分は興味があるのだけれども、周りの子にはあまり学校で興味がないと言われてしまいます」という声も結構いただくことがむしろ増えました。興味あるよねという前提で話しますと、そうですねという回答なのですが、ただ、周りの友達はどうというふうに聞くと、意外とそういう実情も見えてくるところもございました。

先ほど消費者教育と一緒に学校教育が重要であるとお伝えしたのは正にその部分でございまして、10代という若い方々は、一般的には恐らく学校教育の中で、例えばお友達と触れ合う中で情報を取得していくかと思います。誰と触れ合っているのか、学校教育でどういうことを教えてもらっているのかといったところで、そもそものエシカル消費に対する理解であるとか興味関心が左右されるといったところの表れかなというふうにも感じております。

学校教育の中で教科書自体はすごく良いものに今なっているというところを我々も認識しておりますが、それを教える先生方から「どういうふうに教えたら良いか分からない」というお悩みをいただく機会もあります。そうすると、このクラスではエシカル消費についてすごく詳しく教えてくれるけれども、もしかすると、隣のクラスではエシカル消費についての知識があまり普及しないという場合もあるかと思います。先生方からも、「自分たちがうまく教えられるために、ちゃんと伝えていけるための機会が欲しい」というお声も頂戴しますので、そういうところを含めての学校教育だと感じております。

また、2点目で頂戴した消費者に対する情報開示の仕組みづくりにつきましては、この後、山口様からお話しいただく内容でございますが、消費者の方々にとって認証ラベルは非常に効果的だと感じております。事前に調べられない方々も、スーパーなどに行って認証ラベルのものなどがあるとすごく選びやすくなると思いますので、非常に有効な仕組みだと考えております。

また、話としては大きくなってしまうのですけれども、EUなどでは、企業がどれだけサステナブルな取組をしているのかといったような情報開示の制度も進んでいると聞いております。商品そのものもそうですし、また、その商品を作っている事業者がどれだけサステナブルなことを企業全体として取り組んでいるのかといったような両輪で取組を進めていけると良いのではないかなと感じております。

○大石委員 ありがとうございました。よく分かりました。

○後藤委員長 ありがとうございました。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 すみません、一言だけ。エシカル消費への関心が10代の方は低いのが意外だという御指摘があったのですが、私もそういう世代、Z世代の方にいろいろ話を聞きますと、後ろの14ページに、なぜエシカルな商品・サービスを購入したくないかという3つ目の本当にエシカルかどうか分からないというのと、価格が高いというのが結構大きな障壁になっているということを学生とかに聞きます。オーガニックコットンのものは買いたくても買えない。実際に食品もちょっと高めですよね。ですので、エシカルに対しては興味があると思うのですけれども、エシカル消費となると、やはり若い方というか学生たちは二の足を踏むところもある。高級品みたいなイメージが逆にあって、高くて買えないですよという声は聞きますので、そこのところをどういうふうに伝えたり改善していけるかというのは今後の課題かなと思います。意識改革ですね。補足的な話ですけれども。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。

○後藤委員長 ほかにございませんでしょうか。

青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木でございます。どうも御説明ありがとうございます。

やはり非常にエシカル消費の推進、消費者の皆さんの実態調査を見ても、まだまだギャップがあるなというのを感じている次第です。

弊社もこの辺のところに力を入れているのですが、ここでいつも感じるのは、かなり概念が広い。先ほど出ていました環境も人権も地域貢献も含めて、社会のところも含めて非常に概念が広いことと、具体的にその商品・サービスという一つずつに反映されている、そこで示されるものと、私は企業のところにいますので、企業活動として取り組んでいることというのは、もっと広範な、あるいは奥深いところがあるのですね。ですので、事例で挙げると、いろいろ油脂製品を私どもは扱っておりますが、森林に関してのいろいろな認証を使っていますというようなことは商品にももちろん表示を含めて反映できるのですが、更にその先の実際の零細農家、インドネシアなんかはそうなのですけれども、そこでの人権の問題ですとか、あるいはそこでの貧困の問題とか、そういう辺りのところに対しても取り組んではいるのですが、そういう奥深いところまで含めた、特に倫理的な人権のところは、なかなか一つずつの商品・サービスというところでは見えにくい部分だと思うのです。やはり先ほど来出ていました、どの商品・サービスを選ぶかということとともに、その企業、あるいは事業者がどういう活動をしているかという、ここの両輪ということが、なかなかこの教育のところでも難しい部分なのかなと感じますが、その辺についてはいかがでしょうか。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。我々としてもまさしく感じているところでもございます。おっしゃるとおり、何か1つの商品・サービスだけがエシカルだとしても、企業全体として見たときに果たしてエシカルなのかと疑問が生じる形になってしまうと、それこそがウォッシングになりかねません。企業活動自体がエシカルであること、すなわち環境、人権、そしてアニマルライツなど様々な課題に対して、できるところから積極的に取組をするというところは非常に大事であると思います。

また、先ほども最後の図でお示ししましたとおり、企業も消費者に対して情報を伝えていくことはもちろん大事なのですが、やはり消費者側も、企業にそのような企業であってほしいといったことを積極的に伝えるということ自体も重要であると考えております。その中で、我々エシカル協会のような団体が消費者の普及・啓蒙をすることにより、消費者の方々が企業に対して働き掛けをするようなポジティブな力を生み出していきたいと考えております。企業全体としてエシカルに取り組む姿勢を見せることに対してポジティブな消費行動がついてくるなど、そのようなことが見込めると企業の皆様としてもより一層取組が強力に推進されるところもあるかと思います。難しさもございますが、我々のような団体がいる意味はまさしくそこかなと思っておりますので、消費者に積極的に伝えていきたいと感じているところではございます。

○青木委員 ありがとうございます。事業者も消費者自身を行政も、本当に多面的に皆が努力していかなければいけない、取り組まなければいけない課題だと思いますので、引き続き、いろいろな意味でリーダーシップも発揮していただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 黒木です。どうもありがとうございます。私は法律家でして、あまりよく分かっていないところがありますので、本当に根本的というか、素人みたいな質問をすることになります。まず、9ページのエシカル消費の定義です。ここでは地域の活性化、雇用なども含む、人・社会・地域環境に配慮した消費やサービスのことと書いてありますが、このそれぞれの間でコンフリクトが起こる可能性はあると思うのですね。ここで書かれている、例えば地域の活性化をしようとしているときに、そこで活動すること自体が実は地球環境とはトレードオフの関係になっているとか、そのようなことが起こる可能性は常に社会活動をやっているとあると思います。そういうときの優先順位の付け方といいますか、これが全部矛盾なくできてしまえば、社会活動としては極めて良いし、それに対して誰も異論はないと思います。しかし、それぞれの課題を追求すればするほど、そこの間で相互にコンフリクトが起こる可能性があると思うのです。そういったようなことを考えながらのエシカル消費はどういうふうに考えたら良いのかということを教えていただければと思います。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。今頂戴した御質問はまさしくいろいろな方から御質問いただくところでもございます。エシカルとは非常に多面的であり、包括的に物事を捉えることなので、何を選べば良いのだろうという議論になることは多くございます。我々としても、実は毎回回答に悩む部分でもございます。例えば、オーガニックなものなのだけれども海外から輸入した産品と、地産地消で少し農薬を使っている産品はどちらが良いのだろうと問われると、人によっては判断が難しいと思いますし、立場によっても考える部分は違う可能性もあります。

その問いに対する何か明確な一つの回答はなく、我々としてはこのような対話を通じて、実際に様々な矛盾もある中でどのようなことをみんなで考えていけば良いのか、今の社会の仕組みの中では難しいことをどのように解消していけば良いのか、といったことを検討している最中であると考えております。

我々エシカル協会は、「エシカルはホリスティックな視点」という言い方をしておりますが、もう少しかみ砕きますと、エシカルとは「影響をしっかりと考える」とお伝えしています。もちろん物差しは一つではありません。消費者の方々が、自分の中で何であったらやっても良い、何だったらやりたくないといったような自分の物差しを作っていただいて、その物差しについて、それぞれの方が対話を通じて考えを深めていく。そういうことが今非常に大事だと思っておりますので、そのためにも皆様と積極的に意見交換していきたいなと考えているところでございます。

○黒木委員 ありがとうございました。

関連しての質問で恐縮ですけれども、18ページのところですが、行政に対して、レベル・プレイング・フィールドの観点の確保から、情報開示等のルールを定めることをお考えいただきたいということだというふうにプレゼンで聞きました。今のように様々なファクターにおいていろいろとコンフリクトが起こっているときに、行政がどういう形でこれのルールを考えていくのかと。行政が一定程度ルールを作るとなってしまうと、それはかなり大きなインパクトがありますけれども、それはある種の価値観を行政が是としてルールを形成することにもつながると思いますので、その辺りのところについてはどういうふうにお考えなのか、教えていただければと思います。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。これについては、行政から「これが正しいからこれを守れているかどうかを開示しなさい」というようなイエス・ノーという形は想定していません。今まで議論にあったように、例えば環境の中でも、CO2の話もあれば、生物多様性の話もございますし、人権といったような様々なエシカルに関わる分野がございます。それらについて、まずはファクトとしてどのような情報を開示しなければならないのかというルールを是非御検討いただきたいといった趣旨でございます。その情報をどのように判断するのかは消費者に委ねられる部分だと思いますけれども、横並びで情報として開示されていないという現状に対して、このようなところをお伝えした次第でございます。

○黒木委員 ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、一旦ここまでとし、後ほどまた御発言がありましたらお願いいたします。

続きまして、一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会、山口様、よろしくお願いいたします。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会の山口です。本日は消費者委員会意見交換会にお招きいただきありがとうございます。

それでは、私どものほうから、サステナブル・ラベル/認証ラベルの概要と課題というところでお話しさせていただきます。

めくっていただきまして、様々なサステナブル・ラベル、皆様御覧いただいたことがあるラベルもあるかと思います。

次の2ページ目ですけれども、サステナブル・ラベル、国際認証ラベル、様々なラベルが乱立しておりまして、消費者の方も何がどういう意味なのか分からないところがあるかもしれませんが、持続可能な原材料調達や環境・社会的配慮につながる国際認証ラベルをサステナブル・ラベルと総称して普及啓発の活動をしております。このサステナブル・ラベルは、各々の基準を作っているスキームオーナーと呼ばせていただいている団体が全て違いますけれども、それぞれが一定の基準を定めております。その基準にのっとって第三者の認められた審査員が現地へ生産者・事業者を訪問し、その基準に合っているかを第三者が確認していくような仕組みになっているところが共通点かと思っております。

3ページ目ですけれども、そちらの仕組み、時間が限られておりますので簡単に御説明させていただきますが、企業が作るラベルもあれば、第三者がチェックするものではないラベル、様々なラベルがありますけれども、ここで御紹介しているのは、スキームオーナーが定めた基準にのっとって第三者の認証機関が例えば年に一度、事業者の方、生産者の方を訪問・審査をし、基準に合致しているかをチェックして、そこのチェーンがつながって初めてこの認証のサステナブル・ラベルが商品に付いて市場に出るという仕組みになっております。また、誰でも認証機関になれるわけではなく、きちんと認証の活動ができているのかというのを認定する組織もあったりします。

共通点として、4ページ目では環境・社会・経済、そしてガバナンス・管理システムというところで、森林認証のFSCですとか漁業のMSC、フェアトレード、様々な個々の認証ラベル、基準がありますけれども、大まかにはこの環境・社会・経済の3つの柱とガバナンス・管理システムを見るという共通点があるかと思います。

5ページ目、特徴などを書かせていただきましたけれども、簡単に申し上げると、第三者がチェックしていることで信頼性、透明性が担保されるというところで、認証制度は、制度自体は環境・社会的な問題が一定水準以上改善されているかというのを第三者が評価する仕組みとなっております。なので、我々日本サステナブル・ラベル協会では、このようなサステナブル・ラベルを普及することで倫理的、エシカルな生産・流通・消費を促進して、持続可能な社会の実現に貢献することを目的として活動しております。

また、買物は未来への投票と捉えていまして、このサステナブル・ラベルを普及啓発することで、7ページをめくっていただきまして、事業者の方にはこういった製品・サービスを市場に出していただいて、8ページを御覧いただければと思いますけれども、事業者が持続可能な責任ある調達をまず実践する。そして、原材料がどこからどのように調達されたかというだけではなくて、加工・流通過程におけるサプライチェーンでも環境・社会的な配慮がされて初めてチェーンがつながって、認証ラベル付きの製品が消費者の手元に届くというところで、事業者の方々はこのチェーンがつながっていく必要がありますけれども、消費者側としては、先ほどの発表にもありましたが、何がエシカルか、何がサステナブルか分からないという声も今よく聞かれます。こういったサステナブルな製品・サービス、認証ラベルが付いた製品を消費者が手にすることで、頑張っている事業者を応援し、エシカル消費が進むことでサステナブルなライフスタイルが実現できればと思っております。

なので、協会としては、この社内外におけるサステナブル・ラベルの活用ですとかサプライチェーンマネジメント構築、また調達方針の策定や教育などのお手伝いをしております。

次、10ページ目に活動の様子を簡単に載せてございます。また後ほど御覧いただければと思います。

11ページで、その基準を保有しているスキームオーナーの活動支援、フェアトレードや海のエコラベル、MSC、FSCを始め、それぞれが様々なキャンペーン活動なども行っておりますので、そうしたところのお手伝いもさせていただいております。

また、会員企業の活動支援というところでは、国際認証のフォーラムですとか、イオン様、サラヤ様、マクドナルド様、セブン&アイ・ホールディングス様を始め、それぞれが活動している活動のお手伝い、プラスアルファ、みんなで協働でフォーラムをさせていただいたり、2020年にはサステナブル・ライフスタイル宣言というシンポジウムを皆様とさせていただいております。

13ページに活動の展開としては、基準を保有しているスキームオーナーの皆様の支援、事業者の支援、それから消費者に対して、また行政、政府の皆様を始め様々な関係者と活動をともにさせていただいております。

15ページ、16ページは、2020年に調査を行った結果なので少し古いのですが、認知度というところで簡単に御紹介させていただいております。ここで注目していただきたいのは、認証ラベル付きの製品を買うという理由のほかに、買わない、購入しない理由として、値段が高いだけではなくて、種類が少ない、味やデザイン、性能が劣るというような結果が挙がっております。

また、17ページでは、FSCマークについては認知度としては実は10代のほうが高くて、学校教育で主に学ぶ機会が多いのではないかと。フェアトレードも同じですけれども、様々なエシカル消費やサステナブル、SDGsの教育の場面で認証ラベルを御紹介いただく機会が増えているのではないかと思います。30代、40代になるにつれて少し認知度としては年代別では低くなっている傾向がございます。

20ページに飛ばせていただきます。このように衣食住と様々な認証製品はつながっておりますけれども、我々は様々な関係者の方々と活動させていただく中で、まず、事業者の方々についてです。本来、サステナビリティ経営を実践して、そのサステナブル調達を実践すること自体が求められていて、その一環でサステナブルな製品・サービス、認証制度というのはそのツールの一つだと考えております。ただ、認証取得に手間とか時間、あとは費用が掛かってしまうという問題があるので、ここで皆様かなりお悩みでいらっしゃいます。また、ラベルの付いた製品が高く売れるのかという期待と、実際には高く売れるわけではないというようなギャップもあったりしますので、そこは直結しないと思っております。

この認証システム自体はBtoBの間でも一定の基準をクリアしているかというような事業のサステナビリティの観点での経営のマネジメントシステムを見る、そして、そこの上で初めて商品を販売する企業は、その商品がサステナブルな認証のものだということになりますので、実際に事業者が自ら消費者にサステナブルだと裏付けされた製品・サービスを提供するのがもともと必要だと考えております。ただ、消費者側はラベル付きの製品が欲しいという要望に応えるだけが目的ではなくて、事業者としては、このサステナビリティ経営と調達というのを実践していくことが必要だと考えております。

次にめくっていただきまして、コスト負担というところでは、認証は事業者のリスクを回避するための手段と書かせていただいていますけれども、サプライチェーンが長くなればなるほど、非常にどこにリスクがあるか分からないというところがあります。それを自ら上流のほうまでたどっていく、また取引先に情報開示を行っていくのは難しいというところの観点では、環境・社会的リスクがないというところは、認証のチェーンがつながることで確認する手段としては有効かと思っております。そういうところではリスクマネジメントの要素があるのではないかと思います。

ただ、その場合、認証取得するためにはコストが掛かりますので、誰がこのコストを負担するのか。ESG投資も含めて事業者自身が負担する。また、商品を少し高くするですとか消費者に対して負担をお願いする。また、行政も含めて様々な認証取得のための補助金とか助成というのも分野によってはありますので、そうした行政によるサポートというのも有効かもしれません。

次に22ページ、サステナブル主張とありますけれども、先ほど生駒様からも御質問がありましたが、サステナブル、エシカル、SDGs、様々な言葉が今、市場で会話の中で使われております。そして、サステナブル・ラベル認証については、個々のサステナブル・ラベルは商標とかラベルの使用に関する規約があるので、それにのっとった運用が必要なのですけれども、良かれと思ってか、もしくは理解不足というところもあるかもしれませんが、認証取得者が不適切な使用をしてしまう場合もありますし、認証取得していなくても勝手に使ってしまう場合もあったりします。こういったところでは、スキームオーナー側から事業者に指摘されることもございます。

また、サステナブル、エシカル、SDGsと、言葉の関係性というところでは、事業者が一部だけサステナブルな製品を販売して、まるで自分の会社全体がサステナブルのように見せてしまうというようなエシカルクレーム、主張の問題があるかと思います。なので、SDGsに貢献とか、SDGs商品ですとか、そういったSDGsに絡めた主張も増えてきておりますけれども、根拠が不透明な場合もあるということで、何をもってサステナブル、エシカルなのかという裏付けという確かな情報開示が必要だと思っております。

すみません、時間が押し迫っておりますので、消費者については、簡単には消費者側の問題ということでざっくり申し上げますと、ラベルの種類が多くて見分けるのが困難で分かりづらいというところがあるかもしれません。また、そういう様々なラベルで第三者認証の透明性、信頼性が高いラベルなのか、誰でも付けられるもの、もしくは企業が独自に作っているもの、比較的容易なものなのか、そういったところの違いが分かりづらいというのもあるかもしれません。なので、そういったばらばらな情報を整理していく必要があるかと考えております。

また、安いほうが良いというのも当然あるのですけれども、低価格志向の場合、値段で判断される場合に、ライフスタイルに取り入れる動機やきっかけも必要かもしれません。

また、国産であれば良いというような意見もありますけれども、国産イコール安心・安全というイメージもありますが、先ほどの何をもってサステナブルかというところも同じなのですけれども、その裏付け情報も含めて、何をもってエシカルか、サステナブルかというのをもう少し分かりやすく消費者とコミュニケーションする必要があるのではないかと考えています。

行政に対する要望というところで、やはりこのサステナブル、持続可能な責任ある原材料調達をしているような事業者様を応援していっていただきたいですし、まず行政側からこのサステナブル公共調達を実践し制度化していただければと思っております。

また、例えば行政の中の食堂も含めて、様々なところで有機食材を使いましょうとかいろいろな活動が始まっていますけれども、行政で使用するものをサステナブル調達製品に切り替えていただくですとか、そういった認証取得企業とかラベル付きの製品の優遇ですね。ポイント制であったりとか、様々な形で頑張っている企業を応援していただくような制度があったら良いかなと考えております。

また、中長期的に持続可能な生産の在り方というところでは、省庁横断的に議論を進める必要があると思っております。消費者庁、内閣府、農林水産省、環境省、経済産業省、様々なところで議論がされているかと思いますけれども、実際には、いつ、どこから原材料が調達されて、どこで作っていて、そこにエシカル的なサステナブルな視点のリスクがないかというのを省庁横断的に議論していただく場があったら良いかなと思います。

最後に25、26ページですけれども、行政では、つながりを可視化し、応援する仕組みを作っていただきたいというところで、企業に対しては、持続可能な責任ある調達を実践する。消費者は、サステナブル経営企業、そしてサステナブルな商品・認証製品等を選択していくことで、そういった事業者を応援していく。それを行政のほうでは可視化を応援する仕組みを持っていただければと思います。

最後は加えてということで、私たちの生活は衣食住つながっておりますし、自然生態系もつながっているので、そういったつながりを見せながら、サステナブルなライフスタイルの実践に向けた行動変容を促すような活動を皆様とともに実践できればと考えております。

以上になります。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの発表内容につきまして、御質問や御意見がある方は御発言をお願いいたします。時間は20分程度でよろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。1つ質問なのですけれども、これだけたくさんの認証ラベルがあるわけですが、諸外国に比べると日本の立ち位置といいますか、企業への浸透度が高いのか低いのか、を知りたいと思います。予測されるところ、ちょっと低いのかなと思います。

私、実はグローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード、GOTSの地域代表を3年ほど務めていたのですけれども、日本はフランスやドイツ、アメリカとかと産業構造が違う。中小企業や零細企業が多いために、なかなかそういう小さい企業でお金の負担をして認証ラベルを取ることが難しいという現状がありまして、それをドイツの方に説明しても、産業構造の違いまでなかなか理解されないというのもありまして、認証ラベルの効能は素晴らしいと思うのですが、広まりにくいという現状が未だにあるのです。

その点いかがでしょうか。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 御質問ありがとうございます。今、GOTSの事例がありましたけれども、まず、認証ラベルは全体的にはやはり諸外国、特に欧米ですとか、この基準を作っている本部があるのはヨーロッパとかアメリカが多かったりしますので、そうしたところのほうが認知度も高いですし、歴史も古いというところで、企業は率先して活動していると思います。ラベルを付けて高く売れるのかなとか消費者がどうかなというよりも、企業が持続可能なその経営をしていく、調達をしていくというところを見える化するのは必然でやっていくというところと、NGOから指摘されたときのネガティブキャンペーンといいますか、そのインパクトの大きさから、かなり欧米のほうの企業は率先してやっているので、日本のマーケットよりは進んでいて、認証製品も多く市場に出ているのかなと思います。

GOTSの事例もありましたけれども、基準を作っている団体の本部が海外にあって、いろいろな国の人たちが意見をしたり、基準の改定のたびにパブリックコメントとかもあります。そういったところでは、GOTSも日本のJOCAが団体としては入っていると思うのですけれども、日本の産業構造も含めて、どこをどういうふうに変えていったら良いのかという声を上げて、少しルールを変えていくですとか基準を変えていく。今、実際にグループとか小規模でも取りやすいようなスキームをGOTSは特別に運用し始めておりますけれども、そのような日本からの働き掛けをもっとしていく必要が本当はあるのではないかなと、これは様々な国際ルールを作る場面もそうですけれども、あるのかなと感じております。

○生駒委員 ありがとうございます。

○後藤委員長 ほかにございませんでしょうか。

○生駒委員 あと1つだけよろしいですか。全体の認証ラベルの中の日本発のラベルの割合はどれぐらいになるのでしょうか。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 割合は数字ではなかなか表現しづらいのですが。

○生駒委員 少ないという。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 そうですね。ただ、日本でできた認証ラベルも当然ありますし、同じ業界で例えば森林認証の場合、FSCとかPEFCが海外ではありまして、SGECという日本独自の認証制度があります。水産だとMELもありますし、様々な日本からできたラベルもあります。そこが時期的には後から出てきて普及がどれくらい進むかというのもありますし、行政がどれくらい後押しするかというのもあるのですけれども、国際的にやはり、国をまたいだ商取引のときにそれがコミュニケーションのツールとして信頼性、透明性が高くきちんと使えるかというところも議論にはなります。日本発の認証というのも当然ありますので、そこの精度を引き上げる努力を皆さんされているのかなというふうに見受けられます。

○生駒委員 国際的な展示会とかに出した場合には、認証ラベルで皆さん判断される、コミュニケーションを取られるというのがほとんどのケースですよね。ですので、私もやはり日本の企業にはもっと積極的にこういったことに関心を持って取組をしていただければと思っているのですが、そのためには先ほどもおっしゃったように行政のサポートがあると良いですよね。お金も掛かることですし、人手も掛かることなので。でも、そのエネルギーが未来への投資というか、その企業にとってのより良いガバナンスを生むものになりますので、是非と思っています。

私どもの日本エシカル推進協議会でもエシカル基準というものを作っておりまして、主に中小企業向けに、いかにエシカルな経営をしていくかという8項目にわたる審査基準、自己判断基準を作っていまして、これは無料で皆様に使っていただけるものにしております。山口副会長も入ってくださっていますので、是非またそういったことも広めていければと思っています。

先ほどちょっと黒木委員からあったのですけれども、完璧というものがなかなかエシカルとかサステナブルの領域はなくて、例えば、B corpという国際認証も、200の質問のうち80以上取ればその認証ラベルはいただけるという、それをどんどん改善していくというグラデーションの状況なのですね。ですので自分たちの環境をより良く改善していくためのきっかけとして考える視点もあるかなとも思っています。100パーセント完璧なという基準にしてしまうとほとんど当てはまらなくなりますので、経営状況やものづくりの環境を改善していくためのきっかけとしても考えていただければと思います。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 ありがとうございます。

○後藤委員長 ほかにございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。日頃から本当にいろいろと活動していらっしゃる中でお感じになっていることもあると思うのですが、6ページにありました買い物は未来への投票と、まさしくこれが一番で、それを消費者が意識できるかどうかということが重要だと思っております。

その場合に、確かにメーカーがこのようにサステナブルなラベルを付けるということも大事なのですけれども、消費者は知っていれば目に入ってくるのですが、知らないと、たとえその商品に環境ラベルが付いていても、なかなか目に飛び込んでこないというか、気が付かないのではないかと思います。となると、やはり重要なのは、流通の現場、例えば今はかなり進んできていて、大手のスーパーが売り場のところにラベルの説明を書いてくださったり、また、そういう商品を集めてくださったりとか、結構ヨーロッパなんかでもコープがそういう売り場を設けていらっしゃるという話を聞いたりします。もちろん作る側のメーカーもそうですし、消費者側も気が付かなくてはいけないのですけれど、そのきっかけになるのは流通の現場かなという思いがあります。そういう意味で何かサステナブル・ラベル協会のほうで流通現場とのやり取りなどがありましたら、是非教えていただきたいなと思いまして、質問させていただきました。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 御質問ありがとうございます。流通現場もそうですし、私どもの会員でイオンですとかセブン&アイ・ホールディングスが入ってくださっていて、コミュニケーションを普段させていただく中でも感じるのですが、やはり事業者が様々な認証ラベルのものを販売する。その販売するコーナーで、例えば有機だと有機JASのマークとか説明を書いていただいているのですけれども、まだまだそのつながりを見せられるような店舗ですとかコミュニケーションはできていないかなと思っているので、そこの推進もしていきたいなと思っております。

消費者の方は、今おっしゃっていたように、1つ見つけたり気になると、どんどん探すわけですよね。子供たちともワークショップとかをすると家中のラベルのものを探してきてくれたりとか、店舗に行ったら探してくれたりとか、そういったところではやはり気にすれば見つけるのですけれども、割と日本の企業はひっそり端っこに付いていたり、裏に付いていたりとかして分からないという指摘もあったりしました。

おっしゃるように、例えばスウェーデンのコープとかでもラベルの一覧がいろいろなところに貼ってあって、このものはこういうような意味があるよというところのコミュニケーションを活発にされていて、販売する方もそれが語れるというのも大事かなと感じております。作って売るだけではなくて、販売して消費者と一番近いコミュニケーションを取る方への普及、どういった意味があるのかとか、その背景、ストーリーを伝えるような場面も必要かなと思っておりまして、社員教育のお手伝いですとかはさせていただいています。

○後藤委員長 ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。

黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 すみません、全く分かっていないので、またものすごくど素人の質問をすることになり恐縮ですが、何で国際認証でないといけないのですか。そもそも地産地消で生産者と消費者が近ければ認証は要らないですよね。ということは、結局これはグローバルスタンダードみたいなものを消費者としてはデフォルトにするからこういう認証が要るということになるのですか。その辺りのデフォルトルールとして国際認証が要るという考え方は、グローバルな物流とかそういうものがもうあるのだと。地産地消とかそういう形で生産者と消費者が近いものではない社会があるから、国際認証でやっていかないと持続可能ではないのだよという考え方がデフォルトなのですか。そこをちょっと教えてください。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 まず前提といたしまして、私自身は、チェーンが短くて顔が見える関係で、その生産者がサステナブルな生産の仕方をしていれば、それが素晴らしいと思うのですね。実際に衣食住にまつわる様々な、食品でお野菜ですとかは良いのですけれども、普段着るものの原料のコットンはほぼ海外の原料が使われていますし、衣食住を支える様々なアイテムはどうしても海外から原料を輸入している、もしくは作っているものが多々あるという中では、何を基準にどういうふうに生産しているのかというところでは、経済性だけではなくて、環境とか社会に配慮したものづくりをされている事業者、そういった製品・サービスをなるべく買う、使うというのを推進したいというのがまず根底にあります。

そういったところでは、国際認証でなければならないという話ではなくて、有機JASも実際に地元の農家が作られていてというところで、国際認証が付いていないと良くないという話ではなくて、実際にこのチェーンがつながって、サプライチェーンが長くなっていったときに何を基準にチェックするのかといったときには、割とBtoBの中で国際認証制度ですとかラベルというところがコミュニケーションや取引の手段で使われることが多いので、事業者を推進するためにこういった基準があるよというのを御紹介しているというところがまずベースにあるという感じです。

○黒木委員 分かりました。ありがとうございました。

○生駒委員 ちょっとよろしいですか。もともとGOTSというのも、先ほど申しましたように、日本にはオーガニックコットン協会があるのですけれども、その認証ラベルだけだと国際的な取引はできないのですね。ドイツ、フランス、アメリカ、それぞれそういう協会があって、グローバルに輸出をしようとか、原材料を輸出入しようとしたときに、基準が異なるためなかなかコンセンサスが取れないわけですね。それで、その4か国が集まってGOTSという基準を作ったのが2000年を越えたぐらいの、割と最近の話なのです。ですので、やはりオーガニックやサステナブル、エシカルな原材料、それから商品のグローバルな流通の中では、今、山口代表もおっしゃったのですけれども、認証ラベルがあることで共通認識として取引しやすくなるというのはあると思います。

地産地消は我々は是非とも応援したいところではありますけれども、グローバルな取引が未だ多くある現状を考えますと、そうした現実があるかと思います。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 そうですね。あと補足ですけれども、日本の農林水産業も含めて、繊維業界も含めて、様々な現場、企業を見させていただいたのですけれども、管理の仕方ですとか様々な経営の仕方、原材料がどう来たかというだけではなくて、そのマネジメントの仕方も含めて、国際基準の様々な観点が人権への配慮であったりとか、環境への配慮であったりというところで参考になるというような声もありますので、そういった使い方をしていただいて、ゆくゆくは、恐らく本当に長期的には認証ラベルに頼らないような、みんなが当たり前にサステナブル経営をし、そういった製品・サービスが流通するというのが理想かと思っております。

なので、BIOFACHという展示会でも、有機の認証を取っていないと展示会に出られないというところがあったのですが、繊維についても、大体皆さんが浸透していったので、卒業という形でヨーロッパはいろいろと体制が変わっていっているという話は伺っております。ありがとうございます。

○後藤委員長 よろしいですか。

飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 飯島でございます。御説明いただきましてどうもありがとうございました。

ごく単純な質問で恐縮ですが、御報告の資料の23ページに国産も両輪だとありますけれども、今までのお話の流れの中で、ここで国産と出てくるのはどういう意味なのでしょうか。あと24ページに、優遇だけではなくペナルティとあり、クエスチョンマークが付されていまして、なかなか難しいとは思うのですけれども、どの程度政策、あるいは行政への要望としてお考えなのでしょうか。よろしくお願いいたします。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 ありがとうございます。まず、23ページの国産という意味合いですけれど、私もやはり日本で国産のものがなるべくそのチェーンといいますか、距離が短いもので生産されたものを購入したり、生産者の支援をするというのが一番良いのではないかなと思っております。ただ、先ほど申し上げたように、生産されている在り方がサステナブルかどうかという判断材料がなかなか分かりづらい場合には、こういった国際的な基準ですとか認証というものを取得している事業者がたくさん増えてきておりますので、そういったサステナブルな経営をしている、認証製品も扱っているような、更に日本の企業、また国産で扱っている企業を応援するというのも非常に素晴らしいなと感じているので、こう書かせていただきました。例えば森林認証だとFSCで、日本では2000年に初めて速水さんが取られてから少しずつ増えていますけれども、日本の林業の問題も解決していくためには日本の木を使っていかなくてはいけないですし、そうしたところでうまく両輪で使えたら良いのではないかなと思っております。

それから、ペナルティについてですけれども、例えば交通違反をしたら取り締まられるとかがあるように、きちんとしている事業者のほうがコストが掛かって手間も掛かっていて、なおかつ消費者からすると高いみたいなところが改善できないかなと思ったときに、頑張っている企業に対しては例えば税制の優遇があるとか、余りにもひどい経営をしているところに対しては、何かちょっとマイナスの要素を与えられてしまうような、そこの差異を付けられないかなというところで、持続可能な調達を実践していない企業に対しての措置というのが、ペナルティという言い方が正しいかどうか分かりませんが、差異を付けられるような制度がないかなという形で書かせていただきました。

答えになっているか分かりませんが、以上です。

○飯島委員 ありがとうございます。

この基準自体、スキームオーナーが自ら策定して、その認証も、第三者認証であるけれども、作成された基準が守られているかどうかを認証するものだとしますと、これは私的なルールと見てよろしいのでしょうか。行政がどう関与するのか、更にペナルティまでとなると、正統性の問題も出てくるかもしれませんが。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 例えばオリンピック・パラリンピックの調達方針の中で、様々な原材料ですとか農林水産物についても、こういった基準をクリアしているものを調達しましょう、使いましょうというルールを作りました。そのときにクリアしているのをどうやって確認するかといったときに、自分たちで全部デューデリジェンスをして判明できれば良いのですけれども、できない場合に、この認証を取っていれば、これを満たしているとみなしますよという形で認証を活用されるケースがあるので、そうしたところでは、認証というのは民間ベースでできているものなので、これをどのように行政側も活用していくのかという手段として一つ、企業の調達方針と同じように見ていたら良いのではないかなと考えております。

○飯島委員 どうもありがとうございました。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。一旦ここまでとし、後ほどまた御発言をお願いいたします。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 ありがとうございました。

○後藤委員長 最後に、日本証券業協会、岳野様、森川様、よろしくお願いいたします。

○日本証券業協会岳野副会長・専務理事 御紹介いただきました、日本証券業協会の岳野でございます。本日は、SDGsについての意見交換ということで、私どもにお声を掛けていただきまして、大変ありがとうございました。日本証券業協会では、2017年からSDGsに本格的に取り組むことといたしまして体制を整え、私は、日本証券業協会SDGs推進本部副本部長として本日参加させていただいております。

それでは、説明は、SDGs推進室長の森川さんからお願いいたします。

○日本証券業協会SDGs推進本部森川SDGs推進室長 日本証券業協会の森川と申します。本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。

本日、事前に御連絡いただいた項目について御説明したい内容を取りまとめたところ、資料が非常に大部になりまして、資料3-2というような量になってしまったものですから、今日は説明時間の関係もありますので、表紙に3-1のエグゼクティブサマリーと書いてある資料を使って御説明させていただければと思います。

1ページ目を御覧ください。そもそもSDGsの達成のためにはというところで大きな課題になるのですけれども、SDGsの達成のためには、2014年のUNCTADのレポートによりますと、世界全体で年間5兆~7兆ドルの資金が必要、投資が必要と言われております。こういった必要となる金額ボリュームのレポートというのは様々なところから出ているのですけれども、いずれにせよ非常に膨大な資金が必要になると示されているところでございます。

このような資金不足に対応するためには、公的部門からの投資のみではなく、民間資金の活用が不可欠となりますことから、証券業界では、この後説明申し上げますが、SDGs債の活用などが挙げられるのではないかと考えております。

2ページ目を御覧ください。そのような背景においても証券業界もSDGs達成に寄与できる部分は大きいのではないかと考えたことからも、先ほど副会長の岳野から申し上げたとおり、証券業界も2017年よりSDGsの推進に向けて取り組むことといたしました。具体的にはどのような取組をしているのかと申しますと、真ん中の3つ並んでいるテキストボックスがございますとおり、3つのテーマごとに取り組んでおります。左から1つ目がサステナブルファイナンス推進をテーマに、証券業を通じて社会的課題解決に貢献するため、インパクト投資関連の金融商品の組成・販売の促進に向けた具体的な内容について検討・対応しております。2つ目が業界横断的に働き方改革ですとかダイバーシティの推進をテーマに様々な方策を検討しております。3つ目が子供の貧困対策をテーマに、経済的に厳しい状況でも子供たちが将来に希望を持って成長できるように、子供への投資は未来への投資だということで証券業界として支援できる方策、例えば株主優待品を活用した支援などについて検討して取り組んでいるところでございます。本日、本協会はこの場でESG投資をテーマに御説明の依頼を受けておりますので、本日はこれら3つのテーマのうち、サステナブルファイナンス推進に関する取組の内容などを御説明させていただければと思います。

3ページ目を御覧ください。証券業界がSDGsに取り組み始めた当初、いろいろと模索していたときの御紹介になるのですけれども、まだこの当時、SDGs自体に取り組まれている事例もあまりなかったということもございまして、当時の本協会会長が国連を訪問し、国連の副事務総長と面談させていただいて、今後考えている取組などについて御意見を伺ったときの様子になります。そのときいただいたコメントといたしましても、今後もファイナンスに関しては、政府や民間が連携して取り組むべき余地は多く、ファイナンスの規模が大きく促進されることで、民間企業のSDGsの取組が一層進むだろうといったコメントをいただいております。

続きまして4ページ目を御覧ください。本協会では様々な取組を行っているのですけれども、まずは身近なところで大学との連携に関する取組を御紹介させていただきます。本協会では、SDGsの達成に向けて国内外のパートナーシップを図ることを目的として、大学との連携にも積極的に取り組んでいるところでございます。その中でも本ページでは東京大学様との事例になりますが、大学が発行する債券、すなわち大学債が初めて社会的課題解決に資するプロジェクトの資金調達のために発行される債券、ソーシャルボンドと呼びますが、ソーシャルボンドとして発行された際に、主にほかの大学の財務御担当者などを始めといたしまして共催したカンファレンスの概要となります。大学債がソーシャルボンドとして発行される社会的意義ですとか、SDGsへの整合性などといったことについて、関係者の理解を深めていただくことを目的として開催したところでございます。

続きまして5ページ目を御覧ください。この後、本協会のサステナブルファイナンスの取組を御説明させていただきたいと思いますが、その前に、サステナブルファイナンスにおけるインベストメントチェーンの全体図をお示ししながら、本協会の会員である証券会社がそもそもどのような役割を果たしているのかというのを御説明させていただければと思います。

一番左側が個人や法人、機関投資家です。右側が環境や社会に貢献する国や政府、事業会社、自治体、学校法人といった、そもそも資金調達を行いたい主体が並んでおります。左側の投資家と資金調達を行いたい主体の右側にある発行体との取引は真ん中の赤い部分で示しております証券市場で行われるのですが、その2者をつなぐ役割、この図の中で申しますと水色の矢印の部分を証券会社の仲介機能が担っております。すなわちサステナブルファイナンスにおけるインベストメントチェーンでは、我々証券業界の有する仲介機能が重要な役割を果たしているというわけでございます。

6ページ目を御覧ください。続きまして、サステナブルファイナンスにおける重要な概念である、今日のテーマでもあるESG要素について御説明いたします。

ESGとは、環境のE、社会のS、ガバナンスのGを合わせた言葉で、投資をするために企業などの価値を測る要素だと理解しております。具体的には、Eの要素として環境、気候変動、水の資源、生物多様性など、Sの要素といたしましては社会、ダイバーシティ、サプライチェーンなど、Gの要素といたしましては取締役会の構成ですとか、少数株主保護などが挙げられるかと思います。これらのESG要素を投資プロセスに組み込むESG投資自体は、2006年の国連の当時のアナン事務総長が機関投資家に対して責任投資原則、PRIを提唱したことをきっかけに金融市場に広まったものになります。日本では、年金積立金管理運用独立行政法人のGPIFのPRI署名を契機に、ESG投資が非常に急速に拡大したところでございます。

7ページ目を御覧ください。今まで御説明いたしましたESGとSDGsの関係を簡単に示した図になります。まず責任投資原則、PRIに署名した機関投資家というのは、民間企業、発行体等に対しましてESG投資を行います。一方で、SDGsに賛同した社会的な課題解決に取り組む民間企業というのは、機関投資家によるESG投資によって事業機会を増加させます。その結果、社会的な課題の解決が事業機会と投資機会を創出いたしまして好循環を生み出していると考えております。このようなことによって、国連の提唱するそもそもの持続可能な社会への貢献が図られると考えております。

8ページ目を御覧ください。ここからは本協会のサステナブルファイナンスに係る市場関係者に向けた取組を御紹介したいと思います。環境や社会課題解決を資金使途とした、グリーンボンド、ソーシャルボンドといった債券を発行体が発行する際の、いわゆる現在グローバルスタンダードとなっている原則があるのですけれども、そちらを作っているICMA、国際資本市場協会という団体と本協会では2017年から市場関係者を対象とした共催カンファレンスを開催しているところでございます。2017年からこれまで途切れることなく5回開催しておりまして、今年も開催予定でございますが、スタート時よりも人数、また参加者層の内訳にも変化が見られまして、こういった変化を踏まえながら、関係省庁様の御協力もいただきながら開催しているところでございます。

続きまして9ページ目を御覧ください。このページでは本協会の取組の一つでございますSDGsに貢献する債券の呼称統一の提唱について御紹介をいたします。呼称統一としてはSDGs債ということを提唱しているところなのですが、なぜこのような呼称統一を提唱することに至ったかと申しますと、環境や社会課題に貢献する債券といいますのは、皆様も新聞や報道等でも耳にしたり目にしたりすることがあるかと思うのですが、環境債ですとか社会貢献債、SRI債、ESG債、ESG関連債などといった多様な呼称が用いられているところでございまして、この点が投資家や販売側の理解、認知度の向上を妨げる一因になっているのではないかということと、SDGsに貢献する投資の促進のためには、分かりやすく統一した用語が使用されることが望ましいのではないかという問題意識と議論から検討した経緯がございます。検討の結果、顧客に対する分かりやすさ、認知度向上の観点から、可能な限り統一呼称を使って、本協会では統一呼称が広く一般に浸透するように周知を図っていくとしたことが経緯としてございます。

10ページ目を御覧ください。SDGs債の考え方を示しております。SDGs債はどういった考え方かと申しますと、調達資金がSDGsに貢献する事業に充当される債券や、SDGsの実現に貢献するKPIの設定、達成型の性質を持つ債券の総称であることといたしまして、具体的にはSDGsに貢献する環境・社会へのポジティブなインパクト、すなわち改善効果を有しまして、ICMA原則など一般的にスタンダードとして認められている原則に沿った債券が含まれることといたしました。

11ページ目を御覧ください。このページは統一呼称の名前をなぜSDGs債にしたのかといった理由を掲げております。主なものを読み上げますと、SDGsというのは幅広い課題解決に向けた包括的な概念であるということと、呼称の対象であるグリーンとかソーシャルボンドというのは、SDGsのいずれかの目標に資するものであること。あと、この当時はSDGsの認知度が現在よりも低かったということもございますが、SDGs自体の認知度向上にもつながるのではないかということで考えた次第でございます。

12ページ目を御覧ください。本協会では、SDGs債等の普及に向けて、まずは証券会社役職員はもちろん、SDGsに貢献する金融商品の認知度、理解度の向上が大切だろうということで、こういったことを説明したガイドブックを作成いたしました。こちらは本協会のホームページにも掲載しているところでございますが、本日お手元にもお配りしておりますこちらのガイドブックになっております。このガイドブックは会員の証券会社に使っていただくだけではなくて、イベントや勉強会を開催する機会を捉えて適宜配布して利用しております。一般の方にも見ていただけるように本協会のホームページにも掲載をしております。

続きまして13ページを御覧ください。関係省庁様の連携というところでこういったページを作っておりますが、ESGに関わる個人投資家に対する取組への政府提言を御紹介いたします。金融庁様が昨年6月に公表したサステナブルファイナンス有識者会議の報告書では、個人投資家に対する投資機会の拡充を図ることが重要であり、一方、顧客の保護の観点から、ESG関連投資信託の組成ですとか販売に当たっては、投資銘柄の選定基準も含めて丁寧に説明を行うことなどが提言されております。販売業者となる我々証券業界といたしましても、ESG関連金融商品の効果が長期間にわたる特性などを踏まえて、顧客側に立ったアドバイザーとなる人材育成強化に向けた取組を進めていくなど、必要な取組について引き続き検討しているところでございます。

14ページ目を御覧ください。最後にSDGs・ESG投資関連の普及に向けた関係省庁との取組について追加で御説明させていただきますと、今から御紹介するのは一例なのですが、環境省様ではICMAのグリーンボンド原則と平仄を取りつつ、国内の視点も加えたガイドラインが策定されていたという当時の背景がございまして、そのような中で社会的課題解決に資するプロジェクトのために発行される債券、すなわちソーシャルボンドに関するガイドラインはまだなかったというところがありまして、我々日本証券業協会などから金融庁様に要望書を提出したことなどによって、2021年、去年10月にソーシャルボンドガイドラインを策定いただいたということがございます。

15ページは、経産省様の御協力をいただきつつ開催した市場関係者向けの勉強会の御紹介になります。2050年までにカーボンニュートラルを達成するということに向けまして、今、日本を挙げて取り組んでいるところは御承知のことかと思いますが、具体的なトランジションに向けた取組というのは業種ごとに異なりますことから、経産省、国土交通省様において、多排出産業の各分野別に参照し得るロードマップが昨年度末までに策定されているところでございます。そのロードマップというのは、市場関係者全体が理解したほうが良いということもございまして、本協会で広い市場関係者向けに計4回開催したときの概要になっております。

本協会からのサステナブルファイナンスの推進に関する取組の説明は以上になります。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの発表内容につきまして、御質問や御意見がある方は御発言をお願いいたします。時間は20分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。世界全体の投資の中でのESG投資の割合といいますか、普及率のようなことは捉えていらっしゃいますでしょうか。私は何かの統計で35パーセントとか40パーセントぐらいまではESG投資が占めているとお聞きしているのですが、それについてと、あと、日本での投資全体の中でESG投資が今占めている割合をもし把握されていらっしゃいましたら教えていただけますでしょうか。

○日本証券業協会SDGs推進本部森川SDGs推進室長 すみません、今手元に正確な数字はないのですけれども、ESG投資というそもそもの考え方が皆様の算出されているレポートの中で異なるのかなという印象は前置きとさせていただいた中で、今、生駒委員がおっしゃったように、個人的には30パーセントぐらいというのは認識をしているところでございます。ただ、その基準がどういったものでそうなっているのかというのは、申し訳ないですが、把握しておりません。

○生駒委員 日本ではいかがですか。あまりまだそういう数字が出ていない段階でしょうか。

○日本証券業協会SDGs推進本部森川SDGs推進室長 そうですね。私が把握していないだけかもしれませんが、日本においてどういった算出がされているのかというのは、すみません、ちょっと手元に承知している数字がございませんので。

○生駒委員 日本証券業協会としては、日本でのESG投資の普及度が進んでいるのか、まだまだもっともっと進めていくべきなのかと、その点はいかがでしょうか。

○日本証券業協会SDGs推進本部森川SDGs推進室長 今、本協会では、本日はSDGs債というものを説明させていただきましたが、まずは債券から普及しようと思っておりまして、それはなぜかと申しますと、やはり調達資金の使途が分かりやすいというのがありまして、それに対するもの、目的に対して使ったインパクトというのも一番把握されやすいのではないかということで、そこから取り組んでいるところでございます。

今、債券だけの国内のボリュームを申し上げますと、エグゼクティブサマリーではないほうの45ページと46ページになるのですけれども、日本では、今、大体私どもがSDGs債と呼んでいるものは、2021年で3兆円弱となっております。一方、グローバルで見たときが46ページになりますが、2021年を見ますと大体8000億ドルを超えているというところになります。債券にフォーカスしたデータだけで申し訳ないですが、なので、海外の比較としては、まだまだ発展の余地は大きいのかなと思っております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。いかがでしょうか。

黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 すみません、この分野についてもほとんどよく分かっていないので、すごく素人的な質問になって恐縮です。SDGsのゴールに向けての投資ということなのですが、このようなものは基本的には経済活動とコンフリクトを起こしそうな、つまり、どちらかというとノンエコノミックというか、あまり利益につながらないような活動になるものが結構あるのではないかなと思います。個人的な経験をもとに発言いたしますが、私は昔、ハウステンボスの更生管財人代理をやったのですけれども、あそこは徹底的に環境負荷をしないということで膨大な環境投資をしていて、それが経営破綻の一つの遠因となったわけです。したがって、環境に配慮したりして、コストを外部費用化しないでやっていくと、それは短期的な利益には結び付かないことが結構経済活動としてはあるのではないかと思っています。そのように投資判断として難しいようなものに対して、市民というか、市場から投資をしていく場合の利回りとか、元本の返済可能性とか、そのようなものはどういう基準で判断されて、このESG債というものの組成をされているのか。何かそこに関する考え方とかがありましたら、教えていただければと思います。

○日本証券業協会岳野副会長・専務理事 御質問ありがとうございました。今先生がおっしゃられた短期的な利益とサステナブル、持続的な利益の問題でございますが、ESG投資なりサステナブル投資の考え方は、社会経済や環境に悪影響を与える、あるいは倫理でも人権でもSDGsの目的に反するような経済活動は長期的にはサステナブルでないと。したがって、持続的な投資、サステナブルファイナンスの考え方からは、そういった投資は歓迎しない、避けるということで考えているということでございます。

したがいまして、長期的な利益とかサステナビリティを無視して短期的な利益を稼ごう、あるいは短期的なビジネスをしようということ自体を、どうかということはございますけれども、そういうものの存在を全て否定し切れるかということはございますが、基本的にはESG投資のリスク・リターンは長期の観点で考えていくということが今の大体の共通認識になっているのではないかと考えております。

○黒木委員 ありがとうございます。それは理想としてよく分かるのですけれども、事業体としては、通常の会計原則に従ってPLもBSも会計報告をしていかなければならないのだと思うのですね。そうなってくると、その辺りのところが膨大な「暖簾」というか、先行投資というのか、そのような形で資産として認識して各年度で償却するのかとか、その辺りのところを教えていただければと。投資に関する会計としては、ある意味では単年度主義の企業会計というものにどうそれを認識していくのか、元本とか利息とかを考えていくのかということについては、もしもお分かりでしたら教えていただければと。

○日本証券業協会岳野副会長・専務理事 ただいまの先生の御質問に関して申し上げますと、財務報告と非財務報告と2つ大きく分けて考えるということかと存じます。また、財務報告につきましても単年度限りの収益を見て、それで良し悪しの判断をするのか、企業はほぼ中長期的な計画を持って経営しておりますので、投資家も、この四半期とかこの1年の決算を見て、その企業の長期的な価値を判断するのではなくて、長期的な視点で物を考えるということだろうと思います。

それで、株式市場と融資貸付の市場の違いは、株式市場の場合はある程度将来の成長性を見た判断をしてというところが特徴でございまして、御案内のとおり非常にイノベーションが進む中で、今は赤字だけれども、将来必ず大きくなるといった企業はちゃんとファイナンスが付きます。今、何とかやりくりして利益は出しているけれども、持続性がない、成長性が低いなという企業についての評価は低くなる。これは財務報告の世界だけでもそういうことなのですが、最近は更に非財務報告ということが世界の潮流になってきております。非財務報告の世界でも、現在その統一的な世界基準を作っていこうという動きが加速しておりまして、国際会計基準の設定主体であるIFRS財団におきまして、非財務報告の基準設定主体を立ち上げていこうという動きになっております。そういうことで、基本は、短期か長期かという視点で、サステナビリティ、長期的に持続可能なビジネスと企業を選んでいこうというのがESG投資の考え方でございます。

一方、企業サイドがどうされるかということなのですけれども、それこそ短期で利益を上げて1年で商売を畳んでも良いというような企業がないとは言わないですが、現在、相応の企業であれば、雇用も抱えておりますし、取引先もいる。ステークホルダー資本主義の立場で考えても、やはり長期に存続することが自分たちの社会的な使命でもあると考えている企業が多いのではないかと思っております。私ども投資家と企業体の間をつなぐ仲介業者の証券会社といたしましては、双方の頑張っているところを応援するというのが私どもにとってのSDGsなのかなと考えているところでございます。

○黒木委員 ありがとうございます。ということは、非財務情報とかその辺りのところの目利きを、結局のところはSDGs債を組成する証券業協会において、責任を持ってこれからそこの目利きをしていっていただくというようなことでないと、企業会計的な発想でいくとなかなかこれは難しいなとずっと思っていたところなので、その辺りのところをよろしくお願いしたいなと思っています。

○日本証券業協会岳野副会長・専務理事 大変ありがとうございます。私どもは市場の仲介業者として債券発行の場合には引受として、しっかりデューデリジェンスをいたします。これは一般の場合でございます。更に、SDGs債、グリーンボンドなりソーシャルボンドの場合には、先ほど森川が御説明いたしましたICMAの国際原則でも、やはり第三者の評価が重要であるということになっておりまして、現在、ほぼ全てのSDGsに貢献すると称することができる債券につきましては、第三者による確認といいましょうか、そういったことがなされて、どういう点で何を評価したかということも全て開示されております。そういうことで、私どもといたしましては、第三者評価機関とも連携して、質の高いファイナンスを推進していく。そのために先生がおっしゃったようにやはり人材が大事でございまして、そういうことで先ほど森川が説明いたしましたこのガイドブックも、まずは証券会社の担当者の勉強から始めようと。それから、先ほど来、御説明している様々な市場関係者、プロ向けのシンポジウムなども、まずプロの我々のレベルをアップしていかないと、この新しい課題、発行体、それから投資家それぞれ、あるいは最後、地球社会から期待されているサステナブルファイナンスというものの担い手の一人としての役割をしっかりと果たしていけないので、まず人材ということは、先生のおっしゃるとおりでございます。

○黒木委員 ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木です。どうも御説明ありがとうございました。

いわゆる株式を発行しております事業者にとって、今、ESG投資は会社法、CGコードを含め、世の中的にここにしっかり対応していくことは必須になっていると思っております。ここは消費者委員会ですので、消費者目線ということで考えたときに、先ほども少しお話が出ていたのですが、いわゆる投資家の中でも個人投資家がこのSDGs投資への関心を高めるということは、エシカル消費も含めて消費者教育という中で、やはり個人投資家に対してこういう理解を深める取組というのも非常に期待したいところなのですが、その辺を実際にやっておられる中での課題とか方向性ですね。特に個人投資家向けのところでどういうふうなお考え、あるいはどういうふうに推進されているかということを少しお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○日本証券業協会岳野副会長・専務理事 御質問ありがとうございます。正に消費者委員会ということで、個人の消費者や個人投資家、あるいは地域における環境問題の取組に対して私どもに何ができるかということは大きな課題だと考えております。その際に、2つチャンネルを分けて考えさせていただきまして、1つは実践的な投資教育といいましょうか、通常の営業活動を通じた投資家、地域の皆様との接触のときのコミュニケーション、これは販売勧誘と関連したものになります。もう1つは、日本証券業協会は金融商品取引法に基づいて金融知識の普及啓発を団体として担うことになっておりますので、そういう投資家、国民の皆様に対する普及啓発と、この2つのチャンネルがございます。まず、最初の販売勧誘という観点で商品別に申し上げますと、グリーンボンドなどの債券につきましては、現在、個人投資家向けに販売できる債券があまり発行されていないので、どちらかというと、ある人からグリーンボンドを買いたいと証券会社に言ったのだけれども売っていないではないかと、こういう御指摘をいただきます。これは発行体側の事情がございまして、社債というのはもともと大口の発行でございますので、個人向けの債券は少ないということがございます。一方で、先ほど森川から御説明した資料の中の投資信託、その中でもESG関連の投資信託につきまして、やはりESGウォッシュみたいな問題があるのではないかと御指摘をいただいております。私どもとしては販売勧誘に当たっては、金融庁の報告書にもありますように、一体何でその商品がESG関連と言えるのかというところをしっかりと理解して対応する必要があるということで、これはどちらかというと消費者庁的な観点、投資家保護的な観点で、本来正しくない間違った販売の仕方をしないように注意していくということでございます。

一方で、社会課題の解決に対しまして、国民の皆様の投資が役に立つ。投資というものは社会課題の解決につながっていくお金でございますので、できればグリーンボンドなどを通じて国民の皆様の環境意識が醸成されると良いねということは、環境省様とも前から議論をしているところでございます。私どもは国民の皆様への一般的な金融知識の普及啓発の中で、ESG投資が、ここで今話題になっておりますエシカルの問題も含めて、社会課題の解決につながっていくという内容の金融教育の教材を用意したり、説明をしているところでございます。単に投資の勧誘とかではなくて、投資の社会的な意義をESGあるいはSDGsとの関係で説明していくと、こういったことは現在取り組んでいるところでございます。

ちょっと話が長くなりましたけれども、以上でございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。青木委員。

○青木委員 是非その視点でも啓発のところは、特に若年層のところは、そういう概念をしっかりと理解していってもらえるような取組を推進していただきたいと思います。

以上です。

○後藤委員長 それでは、清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 説明ありがとうございました。実は青木委員と全く同じ質問でしたので、今、御丁寧に説明いただきましたので、理解しました。消費生活センターではやはり証券マンの方を信頼して、勧められるがままにブームというか、商品を買ってしまうという相談があります。エシカル消費という意識があって買ったのに、ちょっとこれは疑問ということのないように、今御説明いただいたように丁寧な説明、丁寧な勧誘、これがエシカル啓発につながると思っております。もちろん私たち行政もそのような啓発をしていますので、相乗効果で高めていって、国民全体がエシカルに対して理解を高めていくと思っていますので、よろしくお願いします。

もう一つは質問です。グリーンボンドなのですけれども、今、電力不足とか、インフラが非常に不安になっているので、消費者としてはやはり応援していくという視点も必要だと思いますが、ここで再生可能エネルギーという解釈の確認なのですが、一般的に原子力は入っていると思いますが、そのような認識でよろしいでしょうか。

以上です。

○日本証券業協会SDGs推進本部森川SDGs推進室長 御質問ありがとうございます。昨今新聞で拝見しましたが、今そこは正に議論されているところだと思います。ただ、数日前だったと思いますけれども、報道で、EUのタクソノミーの中で原子力は含まれる、天然ガスも含まれるというふうになっておりますので、非常に国ごとによって考え方が違うというのが現状かなと思いますが、ちょっと微妙な状況かなというのが正直な返答になります。

○清水委員 そうですよね。LNGも非常に難しいと思われますが、石油よりは良いと思います。今は過渡期で、エネルギーも新エネルギーがどんと出てくるわけではないので、業界団体と調整していただいて、今の現実、電力不足にならないように、生活の安定、電力の安定供給というのはお願いしたいと思います。

以上です。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。先ほどからの委員の皆様のお話を聞いていて思ったのですけれども、私はどちらかというと、持続可能な社会のためにはこういう投資の場面でもESGに関するSDGs債というのは必要だとずっと思っているほうなので、証券業界様がこういう取組を進めていることは大変評価したいと思うのです。

ただ、やはり一消費者にとってなかなか投資というのは遠いところがありまして、貯金とか預金くらいであれば身近ですけれども、なかなか投資ということになると、それだけでも二の足を踏むというところで、それで今、学校などでも金融教育を始めていこうという話だと思います。その中で、今お話しいただいたような、投資というのが今までの流れの中で言えば、物や商品を選ぶというのと同時に、企業を選ぶという意味があって、その一つがESG投資であり、だから、しっかり将来を見据えて活動している事業者を応援するという意味もあるんだというようなことを分かりやすく伝えていただく必要があります。また、もっと社会全体としてこういうものを進めていくというのであれば、先ほど11ページにも個人投資家が購入できる単位はわずかであると書いてありましたけれども、もっと垣根を下げるといいますか、敷居を下げて、社会全体が認知して取り組めるよう今後は是非進めていただきたいなと思うわけです。

また、先ほど申し上げましたけれども、学校の先生も含めた教える立場の人たちへの教育というのがこれからもっと重要になると思います。その辺りについて協会様ではどのように取り組んでいらっしゃるか、教えていただければと思います。

○日本証券業協会岳野副会長・専務理事 ありがとうございます。御質問の最後のところ、学校の先生方へのサポートという点でございます。私ども証券業協会は、先ほども御説明申しましたが、金融商品取引法に基づきまして、金融知識の普及啓発ということをミッションとして持っているわけでございます。そういう中で現在、まず初等中等教育ということでございますと、主に中学校、高校の先生方向けに副教材の提供、あるいは先生方向けのセミナーや情報誌の提供、こういったことをさせていただいております。財源に限りがございまして、十分なボリュームではないかもしれませんが、その中では、今お話のありましたような投資の意味合いも、単にリスク・リターンがどうだということではなくて、投資を通じてそのお金がどう使われていくか。それが社会課題の解決にしっかりとつながっていき、自分たちの社会の本当の明るい未来につながり得る投資もあるということで、投資の積極的な意味合いも御説明できるようなコンテンツの提供はさせていただいております。

一方、この投資の世界は、ここは消費者委員会なので言わずもがなで、むしろそちらのほうがメインテーマかもしれませんが、やはり強引な販売勧誘ですとか、断定的な判断に基づく投資勧誘ですとか、そういったことは厳に戒める必要がございます。投資教育に当たりましては、そういったリスクの存在から、また、販売勧誘の問題につきましてもきっちりと併せて取り組んでいくということで、アクセルとブレーキのバランスを適切に取りながら進めていくことが必要と考えているところでございます。

したがいまして、サステナブルファイナンスにかこつけて個人投資家に、例えばグリーンボンドだとかソーシャルボンドを無理やり販売するということは考えておりませんし、現に発行体の皆様も、債券というものの性格上、あまり個人向けに小さな単位で発行されていないということもございまして、今どちらかというと機関投資家と発行体の間をいかにつないでいくかということがメインのビジネスであると考えているところでございます。

以上でございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。以上で皆様からの発表が終了しました。

意見交換会の終了予定時刻に近くなっているのですけれども、これより全体を通して時間の許す限りで意見交換をしたいと思います。先ほどの時間内にできなかった質問や意見のほか、発表いただいた団体様からも御質問などがありましたら遠慮なく御発言いただきたいと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 質問というよりは意見になってしまうのですけれども、私も消費者委員会に関わらせていただいて、エシカル消費を消費者庁で推進されているという流れを是非応援していきたいなと思っている立場です。そういう立場から、今日はこういう場を設けていただいて、大変有り難いと感じております。今は、社会全体が生まれ変わろうとしているような時代だと思うのです。エシカル消費、個人においてはそうですし、企業においてはエシカル経営ですね。これは全てさっきホリスティックとおっしゃったのですけれども、証券業界においてはSDGs債の推進、これらが全てつながると、社会の中に本当に好循環、サーキュラーエコノミーという言葉がありますけれども、ある意味でのエシカルなサーキュラーエコノミーが生まれるかなと思っています。

そこに、毎日行われている消費というのが大きな力になりますので、原動力にもなりますので、エシカル消費、投票という言葉がありましたけれども、是非推進していきたいということで、消費者被害を未然に防止していく力を蓄えていくということがすごく重要かなと考えています。

でも、エシカルは本当に、まだまだ我々も全員が勉強途中、学習途中でございます。いずれは本当にエコやエシカルという言葉が必要なくなるときが来ることを我々は願っております。当たり前になることが一番かなと思っているのですけれども、今はこの言葉によって我々がどんどん学んで前に進んでいくことが必要な時期かなと思っています。ですので、引き続き消費者委員会におきましても、是非エシカル消費ですとか、今お聞きしました証券業界においてのESG投資やSDGs債の推進に関しましても、引き続きいろいろと意見交換をさせていただく場を設けさせていただければと希望しております。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 ほかにございませんでしょうか。お願いいたします。

○大石委員 大石です。ヨーロッパから日本に、エシカルやSDGsという考えが入ってきて、現在までかなり日本も前向きに進んできているという思いがあったのですが、実はここに来てウクライナ情勢ですとか、円安の影響もありまして、良い方向に向かっていたのが少し立ち止まっているというか、もしかして元に戻ってしまうのではないかという危機感も持っています。しかし、将来目指さなければいけない方向というのはあるわけで、この難局だからこそ、ここをSDGsですとかエシカルの気持ちで乗り越えていかなければいけないのだと思います。ただ、先ほどどなたかおっしゃいましたが、どうしても消費者ですから物を買うときに高いよりは安いほうを選んでしまうということがあって、本来であれば、良いものが安くなければいけないのだけれども、社会にとってもしかしたらあまり良くないもののほうが簡単にできて、安くて、それを消費者が選ぶことで動きが後退してしまうようなこともあるのではと心配しているところです。

ですので、この状況は、今、私たちが試されている時期ではないかという思いもあります。そういう時代で、今日参加された方々が今後、エシカルの方向、SDGsを進める方向で気を付けてらっしゃるとか、思っていらっしゃることがあれば、是非お聞きしてみたいと思いました。

以上です。

○後藤委員長 いかがでしょうか。どなたからでも御発言いただけたら有り難いのですが、よろしくお願いいたします。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。今、大石委員がおっしゃった点は我々としても非常に大事なテーマだと考えております。私どもの資料で少しお伝えしたところでもありますが、SDGsやエシカル、サステナビリティというものがブームで終わってはいけないと思っています。今だからこそ必要とされている側面はありますが、SDGsが終わったら別のターゲットができて、次はそれを達成すれば良いというものではないと考えています。社会の在り方として、例えば環境・人・社会、それらに対する包摂的な視点でより良い方向に向かっていくというのがエシカルの考え方です。なので、結局、我々としてできることは、ブームで終わらせないために、まずは消費者の方々にお伝えしていくこともですし、企業の方への啓発も進めていく。そういうことを繰り返していくと、社会が本質的にそのような価値観を内包するような形になると考えております。もちろん我々の団体だけでは実現できないことですので、皆様と一緒に連携していければと考えているのですが、まずはブームで終わらせないというところは今強く思っているところではあります。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 山口です。大石委員、ありがとうございます。大石委員がされているNACSもそうですし、生駒会長と一緒にさせていただいている日本エシカル推進協議会でも、いろいろなところで推進したい事業者も消費者もいろいろな団体もあるけれども、先ほどおっしゃっていたロシアのウクライナ侵攻の問題も含めて、原材料がどういうふうに調達されていくのかという、日々高騰する様々な消費の、消費者からしたら非常に、消費するというところでは、ただ選ぶだけでも大変なのにというところはあるかなと思います。ただ、ここの困難なところをどうやって乗り越えていくのかというところでは、一部の富裕層の方が非常に多くの蓄えを持って、頑張っている人たちがどうやって日々生きていくのかというところを解決していく必要があるかなという思いがあるのです。

消費者の方々とか、Z世代や小学生、中学生、私も小学生と中学生の親ですが、SDGsは毎日のように学校でも教育があるけれども、それを自分の行動にどうやってつなげていくのかというところがやはりまだまだ分かりづらい。子供たちは例えば学校の調達している備品を変えていったりとか、できることから少しずつしている子たちも増えているので、そういう子たちも応援していきたいですし、例えば良いものを選びたいと思っていても、普段手にするもの、買うもの、使うものは、そういうサステナブルやエシカルではないものを選んでしまうという、思いと行動が矛盾する社会の中で私たちは生きていると思うので、そこの差を埋めていくためには、事業者の方々が頑張ってサステナブルなものを作っていく、製品・サービスを世の中に提供していく。そこの事業者側の応援も私どもは引き続きしていきたいですし、消費者がそれを選んでくれないという声もよくあるので、そういった企業を応援する、そうした製品・サービスを消費する、買う、選ぶということで、未来への投票という話もしましたけれども、みんなの力がその企業を後押しすることで、サステナブルな企業経営と、SDGsの先ほどの日本証券業協会さんがおっしゃっていたような、様々なところで金融との関係も併せて進められれば良いのかなと考えております。

簡単ですが、以上です。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。日本証券業協会様、よろしくお願いします。

○日本証券業協会SDGs推進本部森川SDGs推進室長 今日のお話の中で、頑張っている企業ほどお金が掛かるというような発表もありまして、私どもも正に同じようなことを感じております。今、グリーンとかソーシャルといったラベルを付ける債券を付けている企業は、第三者から評価を受けるために費用を払っていると。良いことをするのにお金が掛かっているというところがございますので、そういったところを我々の団体としてできることは限られているところではございますが、支援できることはしっかりと模索しながら検討していき、そうは言ってもやれることは限られておりますので、国内外の関係者の皆様と引き続きいろいろな話をさせていただければ有り難いと思っているところでございます。ありがとうございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。では、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 今日は大変丁寧な御説明いただきましてありがとうございます。エシカルにしても、SDGsにしても、ESGにしても、この名前自体、考え方自体、理念に反対する人はほとんどいないと思うのです。それは間違いないと思うのですけれども、やはりそこではトレードオフの関係が内部にいっぱいあるのではないかと思っています。しかも、最終的な末端で消費をする、あるいはその消費の際に選択をする、あるいは最終的に投資、債券を買ったりとかそのようなことをするときに、内部のコンフリクトみたいなものが見えないことによって、二重、三重の情報量の格差が個人と、それからエシカルとかSDGsとかESGという言葉との間に生じているのではないかなと思っていまして、そこをどうやって架橋していくのかというのは非常に難しいなとずっと思っていたところです。

特に非財務指標に関しては、ある意味では職人芸というか、数字と違いますので、読み込み方も含めて難しいし、いろいろなところで難しい問題があると思うのです。そこの架橋というのに関して、今後何らかのルールづくり、認証ラベルは分かりましたけれども、しかし、先ほど言った地産地消では認証ラベルがなくても良いよと言ったときにどうするのかとか、そういうのも含めて、何かその架橋のルールづくりみたいなものを、ジャストアイデアで聞いているだけですから、何かありましたらというぐらいですけれども、お考えがありましたら教えていただければと思います。

○一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会山口代表理事 最近、私どものほうによく問合せがあるのは、本物のとか、本質的なSDGsに合致するサステナブルなもの、エシカルなものは何かという問合せが結構来るのです。これはメディアの方からも、消費者からも、子供たちからも来ます。なので、何をもってサステナブルなのかとか、例えば認証マークにしても、品質を説いているものと、原材料の背景の環境への配慮なのか、人権への配慮なのか、みんな違ったりします。そこの違いをもう少し分かりやすく見える化するような、何をもってというような、オーガニックなのか、それとも人権への配慮でフェアトレードなのか、これは水産物の海洋の生態系に対して配慮しているのかとか、そういったところをもう少し分かりやすく整理して見える化していきたいです。例えばさっきの地産地消に近い、そこのフードマイレージからして近いものをなるべく選ぼうという視点と、あとはそれがオーガニックなのか、すごく農薬漬けで、もしかしたら食べたら自分の体の健康被害に直結するかもしれないのか、などもう少し誤解がないような情報の整理をしながら制度化していく、もしくは見える化していくというのが今後できたら良いかなと個人的には感じております。

○後藤委員長 お願いします。

○生駒委員 私がずっと関わってきたファッションの世界は、今、いきなりエシカルファッションがすごく話題になっています。少し前まで食品ロスというのが大きく取り上げられましたが、今はファッションロスをどうしようということで、大量生産、大量消費、大量廃棄がコロナ禍を経て更に問題化されまして、一気に、それまでファッション業界は全くサステナブルですとかエシカルが遅れていたのですけれども、ここ2、3年で一番先頭に来てしまった。ファッション業界はさすがトレンドキャッチャーというところなのですけれども、日本でもサステナブルファッションアライアンスというアパレル産業が立ち上がり、賛同していらっしゃる企業を集めると50社近い繊維産業、アパレル産業が集まって、改善していこうという動きがあります。

長年、ファッションの裏側は見えなかった部分が多く、ファッションが世界で第2位の汚染産業だということは情報がなかったのです。それが2000年を越えてからどんどん出てきて、その情報が消費者にも伝わると、驚きますよね。こちらでも食品表示部会はあるのですが、これから是非ファッション表示部会を作っていただきたいと私は思っているのですが、全然ファッションの情報は十分に見える化されていないです。消費者も口に入らず、健康被害がないので、そこは少しのんびりしてしまうのですね。ところがファッションの裏側の情報が報道されると、急速に社会や人の意識が変わるのです。決め手は、やはり情報ですね。情報開示していくことが大切。それが消費者の方の手にも届くような状況を作っていくことで、変えていくことは可能かなと、ファッションの経験を通して感じていますので、そのことをお伝えいたします。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○一般社団法人エシカル協会大久保理事 ありがとうございます。皆様のおっしゃるところはそのとおりだと感じております。追加の情報共有として、EUでは企業の情報開示が非常に進んでおります。EUでは、非財務情報開示指令(NFRD)という企業の情報開示法令が導入されており、その発展系である企業サステナビリティ報告指令(CRSD)も現在検討されています。企業の非財務情報のレポーティングのやり方自体を統一し、消費者や投資家の方々が、その企業がどれだけサステナビリティな実践をしているのかということが比べられるような仕組みです。EUとしては、サステナビリティ、エシカルを非常に重要視しているものの、情報が横並びでないと比べることができないと考えているのではないでしょうか。見栄えが良い情報を開示する一方、自分たちができていない情報は開示しないとなってしまうと、ほかの事業者にとっても、取引をして良いのかが判断しづらいというような背景もあると考えています。今は大企業向けのレギュレーションというような形で検討が進んでいますが、そのような比較可能な形であることは非常に大事な視点だと考えております。

○後藤委員長 以上で御意見はよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

本日の意見交換は以上としたいと思います。

本日、御出席いただきましたエシカル協会様、日本サステナブル・ラベル協会様、日本証券業協会様におかれましては、SDGsの達成に向けて消費者が起こすことができる行動やその重要性など貴重な御意見をいただきましたこと、誠にありがとうございました。消費者委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。

委員の方々から多様な意見が出ておりまして、十分にまとめることはできないのですけれども、最初に基本的なエシカル、サステナブル、SDGsというそれぞれの概念、どのような意味内容なのかというところから入って、非常に分かりやすい説明をいただいて、有り難く思っております。

それから、消費者にとってどの商品がエシカルなのかということが分からないという問題についての御指摘が委員からありまして、これはサステナブル・ラベルとの関係にもなるのですけれども、消費者に対する情報開示の重要性、そういうことについての御指摘がありました。

また、企業のエシカル消費への取組ということについては、一つ一つの商品だけでは見えにくい側面があるという御意見が出ておりまして、企業活動全体としての取組が重要であるという御指摘をいただいております。

更には、エシカル消費において配慮すべき事項の相互の関係について、それぞれのバリューの付け方ということについても御指摘をいただきました。

更に、認証ラベルについては、その浸透度がどの程度なのか、それを向上させる取組が必要だという御指摘がありまして、行政によるサポートの必要性も指摘されました。

それから、サステナブル経営を頑張っている企業については応援し、努力を怠っている企業についてはマイナス評価というのでしょうか、一定の対応ということも考えられるのではないかという御指摘もありまして、それに関する質疑応答がありました。

更に、ESG投資に関しては、企業活動とコンフリクトを起こすという問題があるのではないか、これをめぐっての御説明もありました。

それから、ESG投資に関しては、社会課題の解決に向かう投資ということになりますけれども、一方で消費者や個人投資家に対する丁寧な説明、丁寧な勧誘が重要だという御指摘もありました。

以上、まとめ切れてはいないのですけれども、有益な御意見、御指摘をいただきまして、大変有り難く思っております。

先ほどの御意見の中でウクライナ情勢ということも出てきておりますけれども、世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延や昨今のウクライナ情勢など、極めて厳しい時代となっていて、今、試されている時期だという御指摘も出ております。そのような中にあっても、消費者一人一人ができることから始めること、事業者がその消費者の選択に資する取組を着実に進めていくこと、そして、消費者、事業者相互の取組を行政が適切に支援していくことが重要であると改めて認識いたしました。

その際、一つのポイントとして、事業者の取組に関する積極的な情報開示と、開示された情報を見た消費者が消費行動、投資につなげる意識付けが必要であり、行政としては、そのための環境整備の役割を担うことが必要と整理することができるのではないかと思います。特に情報開示につきましては、事業者の取組のみならず、認証ラベルの種類・内容や認証の基準についても透明化が重要で、様々なレベルでの情報開示が丁寧に進められることが必要であると考えます。

消費者委員会としましても、本日頂戴した御意見を踏まえて、関係省庁の取組をフォローし、必要に応じてその取組を後押しできるよう、調査審議を進めてまいります。


《3.閉会》

○後藤委員長 以上をもちまして、本日は終了したいと思います。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)