消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2021年2月10日)

日時

2021年2月10日(水)10:00~12:14

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)生駒委員、受田委員、大石委員、片山委員長代理、清水委員、丸山委員
  • 【説明者】
    一般社団法人全国消費者団体連絡会(テレビ会議)
    浦郷由季   事務局長
    公益社団法人全国消費生活相談員協会(テレビ会議)
    澤村 美賀  理事、関西支部支部長
    川野 玲子  理事、九州支部支部長
    日本弁護士連合会(会議室)
    釜井 英法  消費者問題対策委員会委員長
    池本 誠司  消費者問題対策委員会幹事
    全国消費者行政ウォッチねっと(テレビ会議)
    河村 真紀子 副代表幹事
    山田 英郎  幹事
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者団体ほか関係団体等との意見交換
    ①コロナ禍等緊急事態下における消費者問題及び消費者行政のデジタル化への対応
    ②地方消費者行政について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆様、本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催させていただきます。

本日、消費者委員会は、生駒委員、受田委員、大石委員、片山委員長代理、清水委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席で、柄澤委員、木村委員、新川委員が御欠席です。

まず、会議に先立ちまして、本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、3密を回避しながら、消費者委員会会議室及びウェブテレビ会議システムにより会議を進行いたします。また、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみに傍聴していただいて開催いたします。

会議資料は、2月12日金曜日、15時頃に掲載をいたします。また、議事録につきましては、後日、消費者委員会のホームページに掲載いたします。

それでは、会議の進め方及び配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日は、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

資料は議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.消費者団体ほか関係団体等との意見交換》

○山本委員長 それでは、議事に入ります。

消費者委員会では、消費者行政の一層の発展のため消費者委員会委員と消費者団体等との間で、忌たんのない意見交換会の場を設けさせていただいております。

本日は、一般社団法人全国消費者団体連絡会より、事務局長の浦郷様がテレビ会議システムにて御参加、公益社団法人全国消費生活相談員協会より、理事、関西支部支部長の澤村様と、理事、九州支部支部長の川野様がテレビ会議システムにて御参加、日本弁護士連合会より、消費者問題対策委員会委員長の釜井様、消費者問題対策委員会幹事の池本様が会議室にて御参加、全国消費者行政ウォッチねっとより、副代表幹事で主婦連合会常任幹事の河村様、幹事で、NPO法人とちぎ消費生活サポートネットワーク理事の山田様がテレビ会議システムにて御参加をいただいております。

皆様におかれましては、お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

本日の意見交換会のテーマは、コロナ禍等緊急事態下における消費者問題及び消費者行政のデジタル化への対応と、地方消費者行政についてです。皆様より忌たんのない御意見をいただきたく思っております。

まずは、御参加いただいた団体の皆様より、本日用意していただきました資料を用いまして御説明をいただきまして、その後、委員との意見交換をさせていただきたいと思っております。

本日は、多くの団体にお越しいただいておりますので、大変恐縮でございますけれども、説明は、各々15分程度、時間厳守でお願いをしたいと考えております。

それでは、最初に一般社団法人全国消費者団体連絡会より御説明をお願いいたします。

それでは、浦郷様、お願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会浦郷事務局長 全国消費者団体連絡会事務局長をしております、浦郷と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、このような意見交換の場をいただき、ありがとうございます。

最初に、私どもの団体について簡単に御説明いたします。

全国消費者団体連絡会、全国消団連は会員団体に都道府県など、地域単位の消費者連絡組織、また、主婦連やNACS、全消協などの全国的な消費者組織、また、消費者問題に関わる非営利組織などがあり、現在47団体が緩やかにつながりながら、消費者政策、食の安全、表示について、環境、エネルギーなど、暮らしに関わる様々なテーマについて、審議会への委任参加やパブリックコメントなどの提出を通じて、消費者の立場から意見発信をしております。

また、専門家や行政などと連携して学習活動、政策提言、立法運動などにも取り組んでおります。

具体的な活動については、ホームページやフェイスブック、ツイッターでも発信しておりますので、御覧いただければと思います。

本日の意見交換の最初のテーマ、コロナ禍等緊急事態下における消費者問題についてです。

資料の1ポツのマル1になります。

本文のコロナ禍の禍という字が、ちょっと間違っております。他にも幾つか誤字が出てきますが、御容赦いただければと思います。

ここでは、コロナ禍における消費者問題の対応について、CI、国際消費者機構の呼び掛けに応じ、全国消団連が政府に向け要請を行ったこと。また、CIと情報共有を行ったことについて書いております。お読み取りいただければと思います。

ちょうど1年前の2月頃から新型コロナウイルス感染症が広がり始め、まず、マスクの入手が困難になりました。どこに行っても売り切れという状態を見ると、やはり消費者は不安になり、少しでも手に入れたいという思いになり、あの頃の消費者の行動はパニック状態だったかと思います。

そして問題となったのは、マスクの高額転売です。それに関しては、3月に入って、国民生活安定緊急措置法において規制がかかりました。また、その後、アルコール消毒液についても、転売禁止の規制がかかりました。

このような緊急時における生活必需品の高額転売は、どうしても必要で高額であっても買わざるを得ない消費者にとっては、大変な不利益です。

このような悪質と言える高額転売についての規制、昨年のところでは、価格が異常ではないか、何とかすべきという声が出てから規制まで、少し時間が掛かったと思います。法律の立て付けの問題もあるかと思いますが、このような問題に関しては、国において迅速に対応するよう、働き掛けをお願いしたいと思います。

また、コロナ禍における消費者の不安に乗じた悪質商法が様々出てきました。給付金詐欺や、最近ではワクチン接種詐欺も出てきたようですが、これに関しては、給付やワクチン接種を実際に行う自治体が手続方法などを分かりやすく丁寧に説明することはもちろんですが、国や消費者庁、関係省庁なども、便乗した詐欺が行われるおそれがあることを考えて、事前に国民に対して注意喚起などをしっかり行うべきだと思います。

各省庁などから、注意喚起の情報が出ておりますが、それについては全国消団連においても、フェイスブック、ツイッター等で情報発信を引き続き行ってまいります。

新型コロナウイルスへの予防効果をうたった商品もたくさん出てきました。科学的根拠がなく、景品表示法違反の商品は、消費者庁により行政処分等を行われています。

このような商品は、後を絶たず出てくると思いますので、速やかに措置等の対応ができるよう、消費者庁の体制をもっと厚く、万全なものにする必要があると考えます。

マスクの送り付けということもありましたが、これについては、消費者庁の特商法・預託法制度の検討会において、送り付け商法の議論がありました。今通常国会での法改正に盛り込まれるようですが、消費者に負担がなく、不利益にならないものとなるよう望みます。

コロナ禍においては、旅行や結婚式場、スポーツジムなどのキャンセル料に関する問題も多くありました。

キャンセル料については、コロナ禍だけでなく、平時においても高額なキャンセル料を請求される例が多くあります。

消費者庁の消費者契約法の検討会で議論されていますが、改正は、また先送りとなったようです。消費者にとって不利益とならないような法律に早く改正されるよう、働き掛けをお願いしたいと思います。

次に、消費者行政のデジタル化への対応についてです。資料1ポツのマル2になります。

今通常国会において改正予定の特商法・預託法改正案に急遽盛り込まれました契約書面等の交付の電子化についてです。この検討会において論点にさえなっていなかったところです。

2011年、内閣官房IT戦略本部、ここの情報通信技術利活用のための規制制度改革に関する専門調査会の資料に、特定商取引法に係る書面の電子化に対する消費者庁の見解が載っており、そこでは、電磁的交付の可否については、特定商取引法の法趣旨を踏まえ、慎重な検討が必要であると考えるという真っ当な意見が記載されています。

にもかかわらず、今回の法改正に書面の電子化がするっと盛り込まれました。一体、いつ、どこで、どのように慎重な検討が行われたのでしょうか。

この件については、全国消団連においても、十分な議論がなされていない現状での法改正は拙速であり、規制の実効性や消費者保護の確保、電子書面の交付を認めた場合の弊害などについて慎重に検討することを求めるという意見書を出しています。

ほかにも、現在14の消費者団体等が契約書面等の交付の電子化に反対、又は慎重な検討を、という意見を出しています。

先日、消費者委員会でも議論がされて建議が出されました。この問題の重要性をしっかり理解いただき、素早くこの段階で建議を出すということを行った消費者委員会には敬意を表したいと思います。

しかしながら、議論を拝聴しましたが、法改正自体にも反対という旨をはっきりと述べている委員が複数いたにもかかわらず、出された建議は、法改正がされることを前提に電磁的方法による提供についてという建議となっています。

建議の内容的には申し分ないのですが、拙速な法改正には問題があるという重要な点が抜けており、大変残念でなりません。

これについては、委員の意向を酌み取ることをしなかった消費者委員会事務局の姿勢にも問題があると考えます。

次に、マル3になります。デジタル・プラットフォーム取引における消費者保護の環境整備についてです。

私自身、消費者庁の検討会の委員として参加していました。全国消団連としましては、消費者保護の観点からの立法と、その中でも、悪質な事業者がデジタル・プラットフォーム上で、堂々と偽物や、不正な商品を販売できてしまう、そういうことが大変な問題であるということから、デジタル・プラットフォーム事業者による販売業者の厳格な身元確認の義務化を求めてきました。

今回、立法はされることになりましたが、デジタル・プラットフォーム事業者が販売事業者を把握するという点では、残念ながら努力義務とされました。

この立法により、デジタル・プラットフォーム事業者による消費者保護に向けた自主的な取組が進むことが期待され、官民協議会を設け、その中で、健全な取引市場に向けた取組がされることになりますが、世界のデジタル化は急速に進んでいることから、今後も状況の変化に応じ、消費者保護に資する程度となっているか、消費者委員会においても注視していくことをお願いしたいと思います。

資料として、論点整理の時点での意見書をつけていますが、検討会報告書がまとまったこともあり、新規立法を求める意見書を、本日、この後、発出する予定です。

次に、2つ目のテーマ、地方消費者行政についてです。

2ポツのマル1になります。消費者委員会の地方消費者行政専門調査会において昨年、2040年を見据えた消費者行政の目指すべき姿、取組の方向性などが検討されました。

6月30日に報告書の骨子案が出された時点において、全国消団連では、20年後の世界を想定した報告書だとしても、地域の現場の事情とかけ離れたものであり、消費生活相談員をはじめ、多くの関係者の同意を得られる内容ではないという意見書を提出しています。

その後、当初の予定を延長して検討を進めていただき、報告書をまとめていただきました。私どもの意見に関しては反映された部分もあり、反映されない部分もありましたが、反映されなかった部分、消費生活相談員の処遇について、指定管理者制度について、財源の確保などについては、現時点においても非常に大きな問題点であると考えます。

関連してマル2です。「地方消費者行政の充実・強化に向けた取組について」という部分に書いていますが、全国消団連では、地方消費者行政プロジェクトという有志の集まりがあり、毎年、都道府県消費者行政調査を行っています。

全都道府県に協力いただき、アンケートに答えてもらい、それをプロジェクトメンバーがまとめ、考察し、意見書、報告書をまとめシンポジウムを開催して意見交換を行っています。

今年度も、先週の金曜日にシンポジウムを開催し、100名近い方々の参加がありました。

ここでは調査結果を基に、大幅に減少している消費生活相談員の確保の問題や、広域連携における自治体の分担について議論しました。

消費生活相談員が確保の問題は、相談員の処遇につながる問題でもあり、地方消費者行政に係る自治体の財源確保の問題にもつながります。正に現在進行形の課題です。

シンポジウムには、消費者団体の皆さんのみならず、現場の相談員、自治体の担当者、消費者庁地方協力課、国会議員の皆様など、多くの関係者に御参加いただき、意見交換、情報共有ができ、大変有意義なものとなりました。

全国消団連では、今後も地方消費者行政の充実・強化に向けた取組に力を入れてまいります。

消費者委員会においても、地方消費者行政における課題については、引き続き注視をしていっていただきたいと思います。

私からの報告は、以上になります。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

続きまして、公益社団法人全国消費生活相談員協会より御説明をお願いいたします。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会川野九州支部長 皆様、おはようございます。全国消費生活相談員協会九州支部の川野と申します。

本日は、このような貴重な機会を設けていただきまして、本当に感謝申し上げます。

私からの団体の活動趣旨と、コロナ禍等緊急事態下における消費者問題について、お話させていただき、後半、関西支部の澤村のから、地方消費者行政、それから行政のデジタル化について説明させていただきます。

それでは、私ども団体、全国消費生活相談員協会ですが、全国の自治体等の消費生活相談窓口に勤務して、日々相談を受けている消費生活相談員を主な会員としており、全国で1,900名余りの会員がおります。

活動の4つの柱として、1番目は、全国3か所における週末電話相談、それから、2番目は、適格消費者団体としての活動、3番目として消費者教育研究所における消費者教育に関わる啓発活動、それから、4番目の柱として、国家資格となりました、消費生活相談員資格取得講座、それから相談員のレベルアップ講座など、各種研修講座を行っております。

それでは、次ページのコロナ禍等の緊急事態下における消費者問題について、私は、消費生活相談の立場でお話をさせていただきます。

昨年の緊急事態下において、マスクの相談については、特にマスク配布に乗じた悪質商法として、マスクの送り付けというのが横行しました。

現場では、相談員は14日間保管しておいて、その後、自由に処分して良いですよということで、ネガティブオプションの助言を行っております。ただ、消費者は非常に不安がって、混乱しているという状況でした。

それから、その不安に対して、私どもは明確に支払義務がないことを、何度も何度も説明する必要がございました。

現在は、先ほどお話がありましたように、保健所とか自治体の職員を名乗って、コロナワクチンの接種には予約金が要るなどという金銭的要求をする詐欺的な相談が入っております。

次に、2番目の特別定額給付金、それから、持続化給付金の申請に関連した相談もありました。

特に持続化給付金関連については、だまされて不正受給したお金を返したいという相談が全国の消費生活センターに寄せられました。これは、消費生活センターの相談範囲ではないのですが、相談員は社会問題となっているということで、きちんと聞取りを行い、適切な機関を紹介して、この相談というのは、かなり消費生活センターに寄せられました。

それから、3番目の海外旅行、それから、ホテル、結婚式場などのキャンセルにおいては、契約当事者の責任とは言えないため、事業者へ直接交渉してはどうかという助言を行い、それから法律相談を御案内しております。

また、日本弁護士連合会が出されております、新型コロナウイルス消費者問題Q&Aを多くの相談員が活用させていただきました。

それから、今のキャンセル問題は、昨年の緊急事態下においての相談だったのですけれども、現在は、Go To トラベルの相談で、Go To トラベルを解約したのだけれども返金がなかなかないとか、追加の料金を請求されたというような相談が入ってきております。

あと3事例のお話をさせていただくのですが、非常に解決困難ということで、まず、最初に問題になっている定期購入なのですけれども、コロナウイルスの影響前から、この相談というのはあったのですけれども、コロナウイルス感染症予防のため、家の中で過ごす時間が多くなって、更に相談が増加しております。ほとんどがスマホによる通信販売であるため、この相談は、全国の消費生活センター相談窓口に相談が寄せられており、かつ、解決困難となっております。

事例としては、健康食品などが無料または100円のお試しということで、消費者がそれを申し込むのですが、翌月には、覚えのない高額な健康食品が届くということで、支払いできないという相談なのですけれども、まず、相談者が見たという広告、スマホの画像には、そういった定期購入であるということは書いていないという主張なのですけれども、それは、いわゆるアフィリエイトが出しているターゲティング広告とかSNSの報告内容ですから、そういう内容は保存していないということで、その主張を裏付けることができないということと、一応、最近の業者は、確認画面上に定期購入であることや、支払総額などの記載をしているのですが、それが小さい字で書かれており、非常に分かりにくいということ。

それから、最近の相談、業者の広告には定期購入の縛りはない。それから、いつでも解約できるなどの表記があって、消費者も安心して申し込むのですけれども、解約については電話でしか受け付けない。それで、幾ら電話をかけてもつながらない。そういう御相談が入っております。また、相談員もこのあっせんのために電話を入れても電話がつながらない状態で非常にあっせんに苦慮しております。

それから、本協会でも、この定期購入の規制を強化していただきたいということで、意見書を出させていただいておりますし、早く解約権とか取消権、民事的な規定を導入していただきたいというのが全国の消費生活相談員の願いです。

それから、2つ目の解決困難なものとして、暮らしのレスキュー関連ということで、トイレの詰まり、コロナ禍においてステイホームになっておりまして、家族が多くなって使用回数が多くなって、突然、トイレが詰まるのですけれども、そのとき、慌てて消費者が家にあるマグネットの広告とかチラシを見て、業者を慌てて呼んで、そこで修理を受けるのですけれども、その場で、高額な機械を使用したり、それから、便器の交換などを結局させられて、最初想定してきた数千円から数万程度の修理代ではなくて、高額な数十万円の請求を受けるという相談なのですけれども、これについては、相談員では、業者が来訪してからの高額な請求と、高額な、いわゆる修理の方法の勧誘をしておりますので、特定商取引法の訪問販売に当たるのではないかということで書面が出されていませんので、クーリング・オフを助言して、クーリング・オフを行使してもらうのですが、業者は全く認めてくれない。それから、払っていない方は、支払拒否でいくわけですけれども、現金を既に払っている方は、非常に返金交渉は難航するということで、この相談についても非常に解決困難になっております。

それから、最後の解決困難な事例としては、新型コロナウイルスの影響で収入が少なくなった消費者が、スマホなどで副業を探して、根拠のない情報商材、もうけるノウハウとかシステムを購入させられるトラブルですが、ネットの無料通信アプリから誘導されて普及サイトにアクセスするわけなのですけれども、スマホをタップするだけで、1日数万円の収入があるということで、数千円の電子書籍を購入した後、その後、業者から電話がありまして、高額な、いわゆる商材を購入させられるということで、私どもはあっせんに入っていくわけなのですけれども、まず、決済代行業者に申し出ても、副業サイト業者と話し合いをしてくれということで、全く協力が得られない。

それから、国際ブランドと直接契約していない、いわゆる二次会社と呼ばれるクレジット会社は非常に協力がない。請求は保留するけれども、期間が終われば請求再開すると断言するところもありまして、カード会社によってこの解決の内容が変わってきているということで、この事例についても大変困難な状況になっております。

私のほうは、以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

続きまして、どうぞ、お続けください。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会澤村関西支部長 全国消費生活相談員協会関西支部の澤村と申します。私から、地方消費者行政について報告をさせていただきます。

地方消費者行政においては、市町村における消費者行政が、高齢者が生き生きと安全・安心な消費生活を送るためには、住民にとって一番身近な市町村の消費者行政が極めて重要でございます。

高齢者にとっては一番近くにある市役所の存在というのは非常に大きゅうございます。

消費者安全確保地域協議会の設置、自治体内部の連携、そして地域の住民、事業者との連携は、市町村の業務であり、市民のために必要不可欠なことです。

次に、自治体における広域連携につきましてですが、消費生活相談員の人材不足につきましては、先ほど消団連からも御報告がありましたけれども、非常に人材不足で、各都道府県、市町村、本当に困っております。消費者相談業務を、単独の市町村で相談が担うことができないということも、何年か先には出てくると思われます。そのときには広域センターの設置も必要だと思います。

広域センターの設置により、相談員が1人体制から複数体制になることは複雑で、高度化する相談に対応することは可能というメリットがあります。

しかし、広域センターの運営によっては、市町村の事務分担などの調整が非常に難しく、そして相談業務や消費者教育に当たる機能が弱まる可能性もあるのでは?ということが懸念されております。

消費生活相談業務においての相談業務を行っての啓発という重要な部分が少し弱くなるのではないかと思われます。広域に参加する市町村の消費者行政が、後退しないように、ここは都道府県に是非リーダーシップを取っていただいた制度というのを作っていただきたいと思っております。

そのためには、やはり都道府県及び市町村の担当職員の定数増、財政支援が必要なのではないかと思われます。

次に、都道府県のセンターオブセンターの機能強化について申し上げます。

都道府県における広域センター、市町村の支援は、相談員の目線から見ますと、不十分なところがあるように感じられ、都道府県によっても格差はあると思われます、都道府県と市町村との信頼関係に基づく連携は、市町村による住民への効果的な消費生活相談や消費者教育の実現可能につながります。

そして、消費生活相談員の人材不足の件でございますけれども、やはり、先ほど消団連の発表にもございましたけれども、処遇改善が一番必要なのではないかと思われます。相談員は、地域の現場において、消費者と行政をつなぐ重要な役割を果たしております。相談業務の内容や経験、能力に合った専門職としての対応が必要なのではと思っております。やはり、それを踏まえた上での消費者行政充実のためには、国からの地域の実情に合わせた使い方を可能とする使途を明確にした交付金の財政支援をしていただくことが、相談員の待遇改善にもつながると思います。

最後の消費者行政のデジタル化についてですけれども、コロナ禍におきまして、先ほど川野からも御報告がありましたけれども、緊急事態宣言が4月に発出されまして、相談員の出勤抑制も結構各自治体で行われました。

その一方、相談は電話がつながらないなど、件数は増加しております。相談の補完として大阪府が2020年12月からAI技術を活用したチャットボット、国民生活センターも2021年1月からAIのチャットボットの実証実験、そして、Zoomにおける消費生活相談業務の実施などが行われておりますが、私自身、大阪府のチャットボットのテスト画面を、府内の相談員ということもありましたので、見させていただき、検討もさせていただきました。相談受付時間に相談ができない人のための夜間や土日祝日、24時間を対応とした場合のAIのチャットボットの導入は、とても有益と考えられます。架空請求や単純なクーリング・オフなどの説明以外はボットが判断して、昼間の相談を促すということも必要とはと思いますが、AIへの質問の仕方によっては、回答が大きく異なることが多いです。AIを利用するかどうか判断を消費者に任せることで、真の問題解決ができない可能性もあります。

例えば、「多重債務」をチャットに入れたら、多重債務についての相談窓口しか案内されないということになります。しかし、相談員が相談を聞くと、多重債務の裏に隠れているのが、若年者であれば、マルチ商法なのかもしれないし、高齢者であれば、次々の訪問販売の被害の可能性ということもあります。このようなことから、消費者に誤った情報の提供の懸念もあるのではないかと思われます。それは、消費者被害救済の機能が低下をするおそれにつながると思っております。

消費生活相談の基本は、相談員により、相談者からの聞取りが非常に重要でございます。ラインなど、文字による相談受付は消費者も情報を十分に伝えることができず、相談内容や問題点の把握が難しく必要な情報を得るために困難が予想されます。ラインによる消費生活相談の実証実験の結果も踏まえ、チャットボットなどの導入には、便利だからという形で導入するではなく、慎重な検討をしていただきたいと思います。

地方消費者行政の広域連携につき、少し川野から追加を1分ほどさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

川野さん、よろしくお願い申し上げます。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会川野九州支部長 承知しました。

すみません、私から広域連携に追加してのお話なのですけれども、今日、私は、九州から出席させていただいておりますので、福岡県においての民間委託について少しお話をさせていただきます。

私ども全国消費生活相談員協会は、福岡県において、3つの市と5町の相談業務の委託を受けております。しかし、消費生活相談員の待遇や研修などの費用は、広域連携においてもそうですが、委託費という枠の中で決められており、委託ということ自体、費用削減を目的としておりますので、相談員の待遇は全く良くなりません。そうなると相談員の資質向上の措置も厳しくなります。処遇が良くなければ相談員が辞めて、辞めてもすぐに次の相談員が決まらないという、民間委託推進の陰で、非常に危機感があることを知っていただきたいと思います。

以上です。お時間いただきまして、ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、続きまして、日本弁護士連合会より御説明をお願いいたします。

○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会釜井委員長 それでは、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会の委員長をしております、釜井から、前半について、コロナ禍における消費者問題への対応というところ、後半は池本弁護士から御報告します。

ここには書いておりませんが、日弁連の消費者委員会は、委員と幹事を含めて約200名で、15の部会と、現在は3つのPTがあって、年6回の全体委員会をもち、その日に、部会を開催しております。随時、臨時の部会を開催することもありますし、あと執行部と言いますか、正副委員長の会議は毎月行っていると、そんなような形で活動しております。

それで、コロナの関係で、この1年間でやっていることというところをまとめました。

先ほど、全相協からも御紹介がありましたが、コロナ禍で予想される消費者トラブルについての情報提供ということで、Q&Aを6月に日弁連のホームページで公開しました。これはやはり相談員たちがキャンセル問題、また、新たなと言いますか、休業とかで収入が減ったりして、これまで手を出していなかった借金に手を出す、そういう事態が予想されるというようなことで、これを分かりやすく簡単に、手軽に参照できるようにということでやったものです。

ここに掲げていますが、キャンセル問題が、1から6、スポーツジムとかイベントとか旅行、交通関係、宿泊の関係と。

また、債務関係というのが、当時、給与ファクタリングというのが、このコロナ禍で注目されて報道してくださったために、一気に消えました。これは、消費者庁や、私たち日弁連や、いろいろなところからの問題点の指摘がされたというところが、功を奏したものだと思っておりますが、この辺りの問題。あと住宅関連とか、悪質商法や特殊詐欺の対策という辺りを載せております。

これは随時、やはり日が経つにつれて、また新たな問題も起こるということで、8月に改定をし、最近、またGo To トラベルとかがあり、またそれが緊急事態宣言で終わるというようなところで、違った意味でキャンセルの問題というのが発生しているかなと。解決方法は変わらないのですが、そういう問題に対応した質問を、今、新たにちょっと加えて、また、もう少し再改定をする予定で準備しております。

コロナ禍での経済的困窮につけ込んだファクタリングの対策というようなところでは、まず、会長声明を2本、5月に給与ファクタリング、6月には、事業者ファクタリングというところの危険性についての会長声明を出しております。これは、意見書となっていないのは、基本的に闇金は撲滅すべきであるというところの意見書が出ておりまして、このファクタリングの問題というのは、その問題の応用問題と言いますか、派生であるというようなところから、迅速な対応をしてもらったというところです。

昨年の11月11日には、声明とかを出すだけではなくて、実際に困っている方々の相談を受け付けるということで、全国統一ダイヤルによるファクタリング被害ホットラインを実施しました。

ここでは、相談件数はさほど多くありませんでしたが、30件弱ぐらいでした。ファクタリングの被害自体が相当減っているということと、一方で事業者ファクタリングというのは、大変、そこに弁護士が介入するとか相談すると、事業自体がやっていけなくなるという非常に難しいところが影響しているのだろうと推測されます。相談自体は、事業者ファクタリングも何件かありましたが、たくさんの相談が来なかったところに、この事業者ファクタリングの問題点があるなと感じているところです。

コロナ禍でのインターネット通販が、利用機会が増えていると。先ほどからも、全相協、消団連からもありましたけれども、定期購入の問題、これについての規制強化を求める意見書というのを出しております。

また、それに続いて、今度は、これはコロナ禍でよく出てきたものですが、便乗した送り付け商法があると、これについての全面的な禁止というところ、これは特商法の改正の中に、定期購入の問題とともに入れ込んでくれということで、年末に出しました。

(5)と書いておりますが、これはちょっと色合いが違いますが、インターネット上の権利侵害に対する被害救済手段として、発信者情報開示請求というのがあるのですが、これが、なかなか要件が厳しくて使いにくいと。これを何とか、もっと使いやすくするための立法が必要ではないかと。これは国会でも議論されております。これについて、12月に発出しました。

やはり、コロナ禍で、非常に各人が自宅の中とかにいると、そういうところでSNS等の利用というのが高まってきているということ。また、コロナという感染症が発生したときの、また偏見とかの問題とか出ておりますが、そういう点での問題解決のための法律の整備というところを求めたものです。

コロナの関係で、いろいろな人権侵害の問題が起こっているということについては、ここには書きそびれましたが、2月15日の1時から5時まで、人権イベント、COVID-19と人権ということで、日弁連でウェビナーとリアル開催で予定しております。

また、コロナ感染が始まって1年経って、また違った段階にきているということで、生活相談、多重債務の問題であれ、貧困の問題であれ、なんでも相談できる機会を作ろうということで、2月25日に、これも全国の一斉のホットラインを実施する予定です。このホットラインは、消費者委員会と貧困問題対策本部と災害対策の委員会、この3つの委員会が共同して、日弁連の中で提案をして、実施することになったものです。

前半のところでは最後に、現在、特商法・預託法の契約書面の電子化の問題があって、これについてはまだ意見書という形で出ておりませんが、今月中には出せるような方向で、今、その問題点について議論し、検討中ということであります。

前半の部分は、以上です。

○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会池本幹事 引き続きまして、消費者問題対策委員会の幹事の池本から地方消費者行政の問題について説明させていただきます。

この課題はずっと、消費者庁ができる以前から継続的に取り組んでいる課題ですので、継続的、中長期的なスパンも含めて説明したいと思います。

レジュメでは、地方消費者行政の一層の強化を求める意見書というものを2017年に発出し、そこでは財源の確保の問題と、職員の増員及び資質の向上のことを提起しました。

それから、引き続いて2019年には、職員の資質向上のうちの、とりわけ都道府県の法執行担当職員の増員や資質の向上、そこへ向けた弁護士会なども含めた体制の強化のことを提言しました。

こういった予算と職員の、言わば中核的なことについて、その後もフォローアップの取組をしております。

もう一つの課題は、消費者行政という小さな枠だけではなくて、自治体の中の他の部門と連携した、更には地域の民間団体とも連携した大きな取組として、地域で防ごう消費者被害inどこどこという形で、もう既に十数か所、各地弁護士会で、地元で呼び掛けて取組を広げていくと、こういう活動をしております。

実は、言わばその集約点の1つとして、昨年11月に、日弁連の最大の集会である人権擁護大会の中でシンポジウムを、千人規模の大きな集会を予定していたのですが、現在のコロナ禍のために、1年先になっております。その間、研究者や各地の関係団体、関係機関のヒアリングを重ねております。

全体を通じた問題意識ということを少し整理しておきたいと思います。

消費者庁ができる前、10年間、平成10年から20年に、相談件数は倍以上に、たしか41万件が95万件でしたかね、大幅に増えたにもかかわらず、職員は45パーセント減少、そして消費者行政の予算は39パーセント減少というようなことが、実態としてあって、消費者行政は縮小、後退していると、非常に危機感があった。

当時そのことは、政府の消費者行政推進基本計画の中でも指摘されて、消費者行政を抜本的に強くしなくてはいかぬと、ということで交付金も注がれ、様々な施策が打たれてきたわけです。

その結果、消費生活センターを設置し、相談員を配置するというところについては比較的順調に進んできたかと思います。

ただ、10年を節目に、予算は独自財源、自主財源に切り替えるという大きな方向と、それから3、4年前から、地域でのネットワーク作りということが提起され、見守りネットワーク、安全確保地域協議会の設置と、言わば第二段階の被害防止の取組に消費者庁もシフトしてきたと思います。

その大きな流れ、方向性としては賛成でありますし、将来像としてはそうあるべきなのですが、残念ながら、自主財源に切り替えということが、各地方自治体で政策判断として消費者行政を充実・強化するというところに至っていないこと、あるいは、各自治体の職員のそういったコーディネート力や資質の向上あるいは増員ということが全く図られていないということもあって、安全確保地域協議会は、当時の政策目標5万人以上の市区町村全部に設置するというのが、2割前後にしかなっていない。あるいは自主財源に切り替えるというところもほとんどの自治体で実現できていないという非常に残念な状態があります。

実はそういうところを意識して、先ほどの意見書などの中で、将来像として自主財源で運営できるようにするためには、職員がそもそも強くなって自治体の中で消費者行政の位置付けを高める努力、それで、内部の職員だけではなくて、地域の消費者、消費者団体が消費者行政の重要さをしっかりと声を上げて活動し、官民連携で動いていく、そういう体制を作らなくてはいけないのだけれども、その部分が決定的に遅れてきたのだと。だから、官民連携の動き、あるいは職員の充実・強化ということをして、各自治体が政策判断として、消費者行政を強化していくと位置付けていくというところを獲得するまで、これはあるいは5年、10年かかるかもしれませんが、その間については、やはり特定財源としての交付金の確保、場合によっては、更に継続的な地方財政法10条への位置付けというようなことが必要ではないかということを指摘したのが、2017年の意見書であります。

それから、職員の増員、資質向上といううち、職員をどう配置するというのは、消費者庁としてはなかなか自治体のやることですからということで、動きが表に出てこないというのは非常に残念なことなのですが、ようやく2020年度になって、職員研修をもう少し強化しようということで、国民生活センターの中で位置付けられています。

ただ、残念なことに、コロナ禍の問題があって、なかなか集合研修がうまく開きにくいというようなことで、参加者がやや物足りない状態であると、国民生活センターの研修の状況については聞き及んでおります。

この辺りは、更にどうしていくかということをしっかりと見据えて、取組を作っていくあるいはそこに向けて、この消費者委員会でも是非調査し、提言をしていただくことが必要ではないかと。

地域の見守りネットワークを作るあるいは他の部署との連携をしていくという、職員のコーディネート力を高めていくための具体的な施策ということが必要ではないかと思います。

それから、執行力の強化ということで、これは、地域の弁護士、弁護士会とも連携をし、あるいはそういう連携の中で、専門性を高めていくというようなことが2019年の意見書の中でも触れてあるのですが、特に今、全国21の適格消費者団体があります。そういうところとも連携して、役割分担をうまく進めていくというようなことも、是非この消費者委員会でも、調査、検討して、さらには、21か所が、もう少しほかの地域でも、適格消費者団体が設置され、連携していくような流れが作られていけば良いのではないかということを考えております。

そして最後に、地域で防ごう消費者被害、正に官民連携、あるいは地域の高齢者見守りネットワークということも、実は、職員のコーディネート力という、そこにまた戻っていくわけです。その意味で、職員が何をやっていくのか、何をやらなければいけないのかというようなところは、消費者行政の内部だけではない、地方消費者行政全体、地方自治体の中での役割という大きな観点で、どう進めていくかというようなことを検討していただければと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、最後になりますけれども、全国消費者行政ウォッチねっとより御説明をお願いいたします。

○全国消費者行政ウォッチねっと河村副代表幹事 ありがとうございます。

全国消費者行政ウォッチねっと副代表幹事の河村と申します。

地方消費者行政につきましては、ウォッチねっとの山田さんから発表いたします。

まず、簡単にウォッチねっとの紹介をいたします。ウォッチねっとは、消費者庁を作ろうという運動から始まりまして、そのときは、名前が、ユニカねっとという名前でしたけれども、消費者庁というものを作る運動を消費者団体、相談員の団体、弁護士の団体、司法書士、本当に様々な団体が大きく連携し、運動を展開して、消費者庁と消費者委員会ができました。

そのあと、ウォッチねっとと名前を変えまして、消費者行政をウォッチしていこうと。私たちが望んで設置までこぎつけた消費者庁ですし、主婦連合会は60年前から、「生活省」という名前でしたけれども、消費者行政を専管するところを作るべきだと言い続けましたから、私たちの夢がかなったということで、これからもウォッチして、しっかり消費者のための庁であり、委員会でいていただこうということで、設置運動と同様の団体が集まって、毎年消費者行政の評価とその発表を行っているところです。

本日、ほかの団体の方々が、本当に様々な観点から意見をおっしゃっていましたので、ウォッチねっととしては、是非喫緊の課題として、発表の前半は私の方から、書面の電子化についてのウォッチねっとの意見を述べさせていただきます。

資料をお送りしていますけれども、特商法の書面交付の電子化につきましては、まずは、ウォッチねっとは断固反対でございます。トラブルの多い取引類型を対象にして、悪質商法を規制して、消費者を保護する、それが法律の目的です。特に特商法で定められた書面交付義務というのは、事業者に適正な契約手続を履行させて、悪質商法から消費者を保護するための必要不可欠なものとして規定されたものです。そのことは十分御存じかと思います。

消費者保護のために欠くことのできない書面交付義務を電子化することは、例え本人の同意を前提とするとしても、高齢者ですとか、未成熟の若年層をターゲットとする悪質事業者に対する規制を緩めるということにほかならないです。消費者保護という特商法の目的のもと、到底容認できません。

消費者委員会は、先ほど申し上げた通り、私たちが運動して設置された委員会と捉えておりまして、そこを見守っているという言い方はおかしいかもしれませんけれども、ウォッチしてきているわけですけれども、そういう観点から、少し言葉が厳しくなるかもしれませんが、お許しくださいませ。

出されました建議につきましては、電子化すること、しかも、取引類型を限定することなく電子化を、消費者が合意するということを前提としてということで、懸念するところを書いてはいらっしゃいますけれども、導入することを前提で書かれているということが、大変残念でございます。

資料としてウォッチねっとのチラシを付けさせていただきました。事例を挙げ、電子化に反対という意見を伝えるためのチラシです。連鎖販売取引の例では、いつもメールを使っていないという人に勧誘者が勝手にメールアドレスを作成した上で、ネットで契約していたという事例があります。これはウォッチに参加している相談員からいただいた事例ですけれども、これは、問合せも、新たに作られてしまったメールアドレスからしか対応できないと言われて、相談員はそのアドレスが分からず難航しましたけれども、こういう被害例があります。メールアドレスを作ってあげますねと言われたら、ありがとうございますとなるかもしれませんし、そういうことが問題を大きくしていくと思います。

それから、事例3に書きました電気通信サービス関連でいきますと、電話がかかってきて、自分が家で契約している固定電話会社を名乗り、「今、順番にインターネット回線を切り替えている」と言われて、その会社だと思い込んで、言われるままにパソコンを操作して、契約者である夫の名前を書き込んでしまった。後日、この場合、契約書面が届いて、回線の切り替えではなくて、他社との契約だったということに気が付いて、やめることができたと。このような場合も、もし電話で、電子的書面でも良いですねと言われたら、自分の契約先だと思い込んでいるので、合意した可能性があるわけです。

そもそも書面の電子化の問題は、政府の規制改革推進会議で、コロナ禍において、家でオンラインの英会話とか、オンラインのヨガ教室とか、そういうところに契約することが増えていて、そのときに、書面もオンラインでできたら良いのではないかと、本人が同意したら、それでも良いのでも良いのではないかというところから始まったことです。その範囲で良いのではないかというのであれば、まだ話は分かります。それを、消費者庁からの提案では全ての取引類型に広げることになり、対する消費者委員会の建議では、消費者の合意についての懸念をいかにクリアするかという論点になっているのは、大変残念です。是非、オンライン英会話等、オンラインで申し込む特定継続的役務の電子的な書面交付、しかも消費者が合意したときだけという範囲に狭めるべきという意見を、改めて出していただければと思います。

デジタル化の推進を政府が、総理大臣をはじめ、おっしゃっているわけですけれども、デジタル化によって、消費者が利益を得られるのでなければ、何の意味もないわけです。そういう意味でいえば、デジタル化によって便利なこともあるというのは、私もその通りと思うのです。それでしたら、これは個人的意見ですが、電子書面はオプションで良いのではないかと、今までの紙の書面交付は維持した上で、デジタル的に書面の写しをお送りしましょうかと。そうすれば、大きく文字を拡大して見られるとか、言葉の検索機能が使えるとか、便利と思う人もいるでしょう。そういうことであれば、何ら問題はないし、消費者にも利益があると考えます。

政府や他の省庁は、ここがデジタル化できるのではないか、ここが広げられるのではないかという視点で、提案をしていくでしょう。そういう政府を挙げてのデジタル化の中で、消費者庁、消費者委員会は、消費者が利益を本当に受けられるのか、不利益を生まないのかという、そういうチェックの視点で、デジタル化の提案に対処していただければと思います。

ちょっと視点は変わりますけれども、もう一点、是非コロナ禍のデジタル化ということで申し上げたいことは、日常の必要なものですとか、食品を、今までオンラインショッピングをしていなかった人でもするようになっているという状況があります。一人暮らしの方とか、例えば、自宅療養している方も、オンラインで食品などを買えることは、とても便利なことだと思います。

そういうときに、食品表示については、ネット販売において表示の義務がかかっていないという問題があります。そのことは、長年問題視されていますが、今こそ、消費者庁や消費者委員会から、ネット販売に関しても義務表示となるよう進めていただきたいです。いわゆる健康食品も食品ですから、きちんと表示をしているところもありますが、していないところもある。義務がかかっていないからそうなるわけで、消費者委員会で是非、そのような消費者のための消費者行政の提言をしていただけたらと思っております。

後半、山田さんから、地方消費者行政について、続けていただけますでしょうか。

○全国消費者行政ウォッチねっと山田幹事 山田でございます。

地方消費者行政について、私、山田が少しお話しさせていただきます。

もう既に3つの団体から論点や意見等は、かなり出そろっておりますので、重複しない限り、少し御報告させていただきます。

私は、在住しています栃木県の実情を紹介させていただきます。

栃木県には、消費生活センターが県を含めて21あります。ここ数年、相談員の不足が起こっているのが実情でございます。

これについては、消費者庁が毎年公表しております、地方消費者行政現況調査でも明らかになっております。

その中で、栃木県は、今年度、前年に比べて相談員が10名も減少しております。これはゆゆしき問題だと考えております。

そのために、現在どういうことが起きているかと言いますと、まず1つは、相談受付日数の減少でございます。週5日から週4日になっております。また、週5日を保持しながらも、実は、その中に受付時間の短縮が挙げられます。9時から17時が9時から15時もしくは16時という形で、受付時間の短縮です。

また、これは、県にだけに限らないのですけれども、栃木県も、土曜相談を、これまで開設しておりました。ところが、相談員不足のために開設ができない状態が続いておりました。後期に、どうにか開設したのですけれども、実は昨日公表されました来年度の、いわゆる予算案を見ますと、この土曜相談の予算が削減されております。つまり、人員不足でもって土曜相談は、当面は休止という形のようでございます。

では、何で相談員が減少しているかと言いますと、相談員を募集しても応募がないということが言われております。御存じのように、国民生活センターでは、毎週、都道府県の相談員の募集状況を紹介しておりますが、応募の締切りは、通常は2、3週間で締切りになるのですけれども、近年は。公募締切りが「随時」という地方自治体が増えているようでございます。そんなことからも、相談員不足がうかがえるのではないかと思います。

では、相談員が募集しても応募がないという背景なのですけれども、ちょっと私なりに考えてみました。

相談員の処遇が挙げられるのではないかと思います。本年度から導入されました会計年度任用職員制度があります。これによって相談員は一般の非常勤職員となって、多くの消費生活相談員が、会計年度職員として、1年単位の雇用計画になっているということでございます。

つまり、相談員の専門性が評価されていないのでないかと私は考えております。相談員は、住民からの相談やあっせんをする専門職でございます。この専門職については皆さん御存じだと思いますけれども、消費者庁のホームページに、こういうことが書いてあります。消費生活相談員の職務という形でもって、5つのものが、一応、挙げられております。ちょっと時間がないので、これは飛ばしますけれども、こういう形でもって、明確に職務の専門性が挙げられております。

次に、報酬について、栃木県の例をちょっと紹介させていただきます。

週5日勤務の場合なのですけれども、朝の8時40分から17時15分までで、この勤務ですと、月の報酬が約17万です。これが週4日になりますと、時間は8時45分から17時までなっておりまして、これの月の報酬が15万、週3日になりますと、12万という形になります。

果たして、この給料で生活できるかどうか、そして、またこれが専門性に対する報酬なのかということは、甚だ疑問に感じております。

次に、相談員の不足とともに、相談員の高齢化の問題、これはちょっと紹介させていただきます。

栃木県には、64名の相談員がおります。その中で、50代が33人、約半数です。それが最も多くて、次に60代が17名で約25パーセント、次に40代が13の20パーセントという順になっております。

この中で、50代と60代が8割弱を占めております。20代、30なると1名です。もっと詳しく言いますと、20代は0、30代が1名という状況でございます。この高齢化もすごく気になるところでございます。

この高齢化については、数年前に、全相協が、このような調査をしておりますが、全く同じような傾向でございます。

消費生活相談は、住民からの消費者事故等に関する消費者被害の救済や、消費者から寄せられた情報を集めて消費者庁と共有する役割を担っておりまして、これが地方自治体における消費生活相談です。そして、この第一線で活動しているのが、消費生活相談員です。

消費者問題が専門化・複雑化し、経験と知識のある相談員の対応が求められている中で、相談員をめぐる処遇には、私は、重大な懸念を感じております。つまり、相談員の減少は、地方の消費者行政の後退ではないかと考えております。

そのためには、消費生活相談員の人員の確保、そして育成、特に私が訴えたいのは、若い人に魅力のある職業となるような、いわゆる相談員の処遇を抜本的に改めて、相談員の専門性にふさわしい制度になるように見直しが必要ではないかと思っているところでございます。

以上でございます。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答に移ります。約50分を予定しております。

大きく3つに分けることにいたしますが、最初に、コロナ禍等緊急事態下における消費者問題及び消費者行政のデジタル化への対応ということで、例えば、コロナ禍に便乗した悪質商法等への対応、キャンセル料問題への対応、それから消費者行政のデジタル化といった点が論点になろうかと思います。

2つ目を申しますと、地方消費者行政についてであり、そして、その他の事項といたしまして、特に特商法・預託法の問題、その改正に向けたもろもろの問題、それからデジタル・プラットフォーム取引における環境整備等々の問題と、大きく3つに分けることにいたします。

最初に、コロナ禍等緊急事態下における消費者問題及び消費者行政のデジタル化への対応というテーマについてですが、御説明を一通りいただいておりますので、まず、少し委員の方から御意見、御質問等をいただいて、意見交換をしたいと思いますが、清水委員ですか、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

御説明本当にありがとうございました。私は委員になって1年半、皆さんの団体が消費生活相談の現場を理解していただいているのに、私が委員としてはっきり発言できずに今に至ったことをとても反省しております。今日はとても心強く思っております。

その中で、コロナ禍の喫緊の課題ですが、全相協からも報告がありましたが、水詰まりのトラブルだとか、情報商材、これは、もともとはプラットフォームの業者が関与しております。

消団連の浦郷さんからも御意見いただいておりますが、消費者庁新法骨子案が大きく後退しております。コロナ禍のインターネットで消費者が何を信じるか、まずキーワードで検索して、一番上に出てくるのは、SEO対策しているプラットフォーム、それも悪質なプラットフォーム業者です。

大手のプラットフォーム業者の規制だとか対策を標準化して、全てのプラットフォームを規制すれば、消費者の利益につながると思います。

例えば、ネットの表示では水詰まり、市の指定業者だ、780円からやりますと、全国区のプラットフォームの業者が言っていますが、実際は現場で、水詰まりを解消して60万円を請求するというトラブルが全国で発生しています。

そうしたことからすると、このコロナ禍、今やらなくてはいけないことは、こういった枠組みの規制だと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかに委員からございますか。

そういたしますと、それぞれの団体の方から何か今の清水委員の御意見に対してでも、あるいはお話になった中で、この点を特に強調しておきたいとか、あるいは消費者委員会への要望とか、そういった点が更にあれば、お願いをしたいと思いますが、大石委員、お願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

私からは1つお聞きしたいのが、消団連からのお話があったと思うのですけれども、これからはワクチン詐欺の話が出てきたりするという話でしたけれども、その以前として、マスクの転売とかアルコールの転売に対して国が、一応、転売禁止を出しましたけれども、消費者委員会としては、いつそれを解除するのかというところ、結構話合いの内容としてはあったと思います。

今後、また同じようなことが起こらないために、国としての対策というのをもっと立てなければいけないと思うのですけれども、その辺りの転売禁止の法律、法律というか内容について、何か消団連で、消費者庁ですとか、国に要望しているようなことがあれば、是非ちょっと教えていただきたいなと思いました。

以上です。

○山本委員長 消団連に対して、今、大石委員から御質問がありましたけれども、消団連で何かお答えがございますでしょうか。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会浦郷事務局長 全国消団連、浦郷です。

特に要望等はしておりませんが、やはり昨年の春、マスクの高額転売とか、アルコール、消毒液の高額転売とかがあったときに、やはり、消費者の立場としては、早くこういう状況を何とかしてほしいという思いはありました。けれども、すぐに国で禁止とか、なかなか動けないようで、やはり、こういう法律、国民生活安定緊急措置法という法律でもってできるのではないかということで、転売禁止としていただいたことはとても良かったと思います。解除も、多分、8月ぐらいに解除になっていると思いますけれども、その頃には、もう大分店頭にも出てきたというところなので、それは問題なかったと思うのですけれども、解除に関しては、やはり市場の様子をきちんと見て、慎重にやっていただきたいというところです。

今後、もし、このような何か生活必需品の高額転売等があったら、すぐに動けるような、何かそういう法律の枠組みができるのかどうか、ちょっと分かりませんけれども、そういうところも、また、今後考えていきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

受田委員からございますか、よろしくお願いします。

○受田委員 各団体の皆様から御説明いただきまして、誠にありがとうございました。

委員長が分類したマル1、マル2、マル3から行けば、マル1にも関係してきます。それから、その他にも入るかもしれないのですけれども、先ほど、全国消費者行政ウォッチねっとの河村さんから御説明があった中での御要望に関する点について、委員としてお答えをさせていただき、やりとりさせていただければと思います。

河村さんからは、ネット販売における食品表示の義務化というところを、コロナを受けて御要望をいただいたと理解しております。

この点については、コロナの前から、第5次の消費者委員会において、令和元年の8月だったと思うのですけれども、食品表示の全体像に関する報告書、これを通じて提言を行っていきました。

実際には、食品表示のデジタル化を視野に入れた食品表示のあり方、これを検討すべしということで、ロードマップも含めて提言をしたところでございます。

現在は、このロードマップを基に、食品表示のデジタル化、プラットフォーム構築に必要な実証事業が、消費者庁を通じて展開されておりまして、令和3年度に入りましたら、食品表示部会においても容器包装上に表示すべき事項等、さらにはデジタル化において表示をする義務化に至るプロセスを描いていくということで、今、進めているところでございます。

もしかすると、河村さんの御意見は、率直に言って遅いということかと思うのですけれども、今、そういうふうに動いているということについては、消費者委員会としてもお答えをさせていただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

何か河村様からございますか。

○全国消費者行政ウォッチねっと河村副代表幹事 ありがとうございます。

そのようなことが進んでいるということ、詳細には理解しているわけではないですけれども、表示のデジタル化の実証実験的なことがスーパーマーケットなどを使ってやられているということは、活動の仲間から聞いております。食品表示のデジタル化には、大きく分けて2つあると思っていて、店頭の食品につきまして、今、多分実証実験をされているのがそうだと思いますが、スマホをかざすと、より詳細な情報が見られるというような、店頭における食品表示の半デジタル化というか、デジタルをプラスしてやっていこうという面がひとつ、私が申し上げたのはそれとは別の面でして、オンラインショッピングで食品を買うときに、店頭で買うときは義務化されているものが、義務表示となっていないという問題です。オンラインショッピングは画面だけで見て、商品選択し、購入し、それが家に届くという手続ですから、食品表示が店頭と同様に見られることはとても重要です。店頭で見られるものがオンラインショッピングの画面に映るということは、すごく簡単に実現できることで、コストもほとんどかからないはずです。実際に商品パッケージに印刷するのは、いろいろコストがかかるかもしれませんが、データをオンラインショッピングの画面に映すということは、事業者に負担になることではないので、食品表示法の改正になるのか、基準の改正なのか、はっきり分かりませんが、早くそのようなルールの改正をやっていただけたらと思います。

すみません、音声が悪くて失礼いたしました。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。片山です。

各団体の皆様、丁寧に御説明いただいてありがとうございました。また、コロナ禍の中の中で、大変な活動をされてこられていたことが、大変よく分かりました。ありがとうございました。

ここのところで質問して良いのか分かりませんが、先ほどのお話にあったZoomによる消費生活相談業務の現状というのが、どのようになっているか、少し御説明をいただければと思います。AIのチャットボットについては、いろいろ問題もあるという御説明でしたが、Zoomは、そもそも広がっているのか、あるいはZoomを利用した場合に、どういう問題が出てくるかという辺りをお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

清水委員からいただいた後で、今の片山委員長代理の御質問に対するお答え等をいただきたいと思いますが、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

今のZoom相談に関しては、全相協に答えていただきたいと思うのですが、私も全相協の一員でして、現場の相談員です。

Zoom相談を導入して、相談員が削減された。どういうことかというと、主幹するところに、相談員がいるので、今までは、週に何回か相談員が現地に足を運んでいた、広域内の遠方の相談の場所に2人相談員がいたのですが、Zoom相談でやれば、職員が接続をして、その主たる主幹のセンターの相談員が受けるからという理由で、相談員が削減されました。

もう一つ、コロナ禍のトラブルで、今、コロナ禍でも訪問してくる業者、また、電話勧誘の被害が増えています。

また、訪問販売だとか、電話勧誘が電子化になることは、私たち相談員はとんでもないと思っているのは、電気、ガスは特定商取引法の規制ですが、この業者というのは、電気通信業者の代理店ですので、既に電子化だといって、書面不交付のところがありました。そういう実態があります。非常に懸念しています。

この点も含めて、九州や大阪も同じ状況だと思いますので、先ほどの片山先生の質問とともにお願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 それでは、全相協から、お願いできますか、お二人いらっしゃるけれども、どちらからでも。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会澤村関西支部長 関西支部の澤村から回答させていただきます。

○山本委員長 お願いします。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会澤村関西支部長 まず、片山先生からの質問ですけれども、Zoomにおける相談ですけれども、先ほど清水委員からありましたように、相談員の雇用の問題は、関わっているようですけれども、私が聞いている関西圏でのZoomの相談について対応されている自治体では、その利用実績というのは、ほとんど皆無に近いと聞いております。

理由としましては、やはり、Zoomは、こういう会議体の場合は、便利なツールですけれども、普通の一般消費者の方がZoomを使って相談をするということは、非常に難しいということを聞いております。

契約書面を見せるときに、書面の資料共有というのも、高齢者や全然やったことのない方にとってはハードルが高いということで、実際のところ、Zoomにおける消費者相談やチャットボットを実施すると、交付金があるということで、導入をされていますけれども、実際のところは非常に利用が少ないと言う状況でございます。

そして、併せて、清水委員からの質問ですけれども、署名のデジタル化につきましてですけれども、全相協からも、先ほどは申し上げませんでしたけれども、前回、うちの理事長の増田が、消費者委員会でもお話をさせていただいており、意見書も出させていただいております。

今日のコロナ禍の中にある消費者問題の中には入れておりませんでしたけれども、相談の中で、高齢者においてのガス、電気のトラブルというのは非常に増えております。そして、最近は生活困窮者におけるガスと電気における相談も増えております。

そこで問題になるのが、やはり書面なのですけれども、高齢者も、生活困窮の方も、書面についての交付が電子書面ということや、いつの間にか自分が分からないうちに、電子書面になっていて、自分がどこの電気やガスと契約したことが分からないというところが問題になっております。生活困窮者の相談では、携帯の回線が止まっているので電子書面の確認もできない状態です。支援の手を差し伸べるときの、現場は混乱をしてしまっております。特に電気ガスにつきましては、ライフラインですので、止まっている、すぐに困っているという状況になっての相談が多く、この書面化につきましては、ほかの団体もおっしゃっていますけれども、このような点においても本協会も意見書に書いているように反対でございます。

川野さん、もし、追加がありましたら、よろしくお願い申し上げます。

○山本委員長 何かございますか、どうぞ。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会川野九州支部長 私からは、特に追加はないのですけれども、九州では、一応、Zoomでの相談というのは、まだありません。

それから、書面の電子化ですか、今、澤村がお伝えしたように、デバイスとしては、パソコンで見る方は、非常に画面が大きいですのでよく分かると思いますが、スマホで、電子書面をもらっても、高齢者、障害者の方などが、画面が小さくて全体が見づらく今、お話ししたように、いつ、そういった書面が届いたのかという認識がありませんので、やはり、そこは電子化については問題とさせていただき、規制を強くしていただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 丸山です。

本日は、貴重な意見をありがとうございました。言及いただいている、トピックの中で、全国消費者団体連絡会、全国消費者ウォッチねっとのデジタル・プラットフォームの関係で、教えていただきたい点としましては、デジタル・プラットフォームは、様々なプラットフォーマーが登場しているところでございますけれども、相談としましては、割と大手の有名なところであれば、問題は少ないという状況なのか、それとも大手・新規参入者関係なく一定の問題が生じているのか。問題があると考える点としましては、出品者の問題なのか、表示の問題なのか、どこに一番問題に思われているのかという点を教えていただければと思います。

もう一点は、日弁連から出てきておりましたキャンセル問題に関してなのですけれども、御感触としましては、これは、キャンセル料が高いという問題なのか、それともコロナ禍での対応が問題だったのか、もし、そもそものキャンセル料が高いという問題があるという御認識でしたら、それは、どこかの業界特有に問題が多いという御認識なのか、この辺りを教えていただければと思いました。

私からは、以上です。

○山本委員長 消団連と日弁連でよろしいですか。ウォッチねっともですか。

○丸山委員 最初のプラットフォームの質問は、ウォッチねっとと、連絡会ともに言及されているので、問題が多いプラットフォーマーというのは、どの辺りで、どういうことなのか、両方からお伺いできればと思いました。

○山本委員長 それでは、ウォッチねっと、お願いできますか。

○全国消費者行政ウォッチねっと河村副代表幹事 大規模で有名なプラットフォーマーだから、全然問題がないというふうには考えておりません。逆に、すごく大きくなりますと、例えば、アマゾンとか、出品している人たち、事業者が大変多く、品数もものすごい数ですので、問題がある業者が入っております。

そういうときに、すごく悪質なプラットフォーム事業者だからというわけではなく、大きく全体に網をかける、そんなに強くなくても良いのですけれども、例えば、苦情受付とか、調査とか、そういうことをプラットフォーマーに義務付けるとか、何か起きたときにプラットフォーマーの責任としてやってほしいということを私たちは求めております。ちゃんとしているところなら問題なくできると思いますし、そのことによって、悪質業者も入ってこられないということで、悪質業者だけ規制するべきというようなことを申し上げているわけではないです。これでお答えになっていますでしょうか。

○山本委員長 ありがとうございます。

消団連、お願いできますか。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会浦郷事務局長 全国消団連、浦郷です。

検討会の中でも様々なプラットフォームからヒアリングをしました。やはり、大きなプラットフォームだから問題はないということではないです。私の印象ですけれども、やはり、海外に資本があるプラットフォームでは、結構、最初の販売事業者が登録するところの審査が甘いのかなというところで、そういうところで、偽物を販売したりとか、不正な商品を販売したり、あと、特商法上の表示というのをきちんとしなければいけないのですけれども、そこが本当のことを書いていなかったり、後で書き換えられたりという問題があります。

どちらかというと、国内のデジタル・プラットフォームが、そこら辺はきちんとしているのかなという印象は受けております。

それで、今回、販売デジタル・プラットフォーム事業者すべてに対しての規制というところで、本当に小さなデジタル・プラットフォームもいろいろあると思うのですけれども、そこまで、私たちも詳細はよく分かっていません。販売事業者の厳格な身元確認のところが義務化できず、努力義務となってしまったところは残念なのですけれども、この検討会の中で、やはり、事業者の自主的な消費者保護への取組ということが非常に強く出されまして、事業者も、まずは大手のところなのですけれども協議会等を作って、そういう方向に進んでおりますので、そこら辺、事業者の自主的取組に期待していきたいなというところです。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、日弁連にお願いできますか。

○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会釜井委員長 日弁連の釜井です。

このキャンセル料の関係は、どんな視点でやったかというと、相談員たちから、こんな場合はどうかというような質問とかが、消費者問題対策委員会の委員や、消費者センターとかに関わっている弁護士宛てに寄せられてきた。そういう相談が、やはりこの時期大変増えたというところがあったと。

あと、日弁連のコロナの関係で統一相談の電話があったのですけれども、そこにも同じような種類のものが来ていた。それを類型化して、これまでの中途解約とか、その辺りでの知見という辺りを整理して、コロナ禍のコロナ感染の危険性の程度とか非常に難しい問題がある中で、それを一般論として言ったのではなかなか現場では使えないというところで、ぎりぎり少しそこの辺りを詰めて、質問の形にして回答を作ったと。

それで、担当した部会は、キャンセルの関係では消費者契約法の部会が担当していました。

現在は、旅行関係のキャンセルというところを述べたところが、ほぼ当たるのだろうということで考えてはいたけれども、やはりGo To トラベルとかの関係でのキャンセルの問題、打切りというか、停止された、そこでの問題というのが、また、出てくるのではないかというようなことで、それに応じた形の質問を設定し、回答準備をしている。

先ほど言った2月25日の全国のホットラインというのは、生活全般ということですので、最近の状況に合った電話もかかってくるのではないかというので、マニュアル的なものとして、今、整備をしていると、そのような状況で作成しているところです。

○山本委員長 ありがとうございます。

キャンセル料の問題は、非常に難しいところがあると思うのですけれども、もう一つ、私から是非伺いたいのは、先ほど、高額転売の規制の問題が出てまいりまして、これについては、デジタル・プラットフォームの問題が議論される中で、何か新たな法的な枠組みをもう少し広げるべきではないかといった議論もあったのですが、日弁連で、何か高額転売の規制についての法的な枠組みの拡張とか、そういったことについて、何か御意見はございますか。

○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会釜井委員長 今のところは、電子商取引の部会というのがありますけれども、私、全てのメーリングリストの中に入っていますが、高額転売のところは、具体的には、まだ、出ていないようです。もしかすると5月ぐらいとかには、そんなマスクの問題とかで少し議論されたことがあるかもしれませんが、ちょっとテーマとして、まだ、そこまで絞っている状況ではないです。

○山本委員長 分かりました。ありがとうございます。

それでは、そろそろ次のテーマに移らないと時間がありませんので、次は地方消費者行政の問題です。

これについてですが、先ほど来いろいろ議論が出ております、消費生活相談員の育成、確保、見守りネットワークの普及促進といったような論点があろうかと思いますが、委員から、何か御質問、御意見はございますか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。皆様御説明ありがとうございました。

この地方消費者行政というのは、とても長くて、これからもうずっと考えていかなければいけない課題だと思うのですけれども、まず、相談員協会の澤村様から、都道府県のセンターオブセンターの機能というのが十分ではないという、もう少し市町村への支援が必要なのではないかというお話をいただきました。

そこの辺りのところ、具体的にどのようなことが求められているのかというのを是非お聞きしてみたいなと思いました。

それから、日本弁護士連絡会の池本先生、いつも世話なりましてありがとうございます。先生のお話の中で、やはり地方消費者行政では、職員のコーディネート力が一番のかなめだというお話だったと思うのですけれども、この職員のコーディネート力を高めるための何か具体的な方策みたいなものがあれば、是非教えていただきたいと思います。

それから最後、ウォッチねっとの山田様、ありがとうございました。栃木の実情というのが大変よく分かりました。

どこにおいても相談員の人材不足、高齢化というのは問題だと思うのですけれども、特にそれに対して栃木県が、何か具体的に対策を取られているような、それがないからなかなかうまく進んでないのかなと思うのですけれども、具体的なものがあれば教えていただきたいですし、なければどういうことを栃木県には要望していきたいのかというようなことがあれば、是非教えていただきたいと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

委員から、ほかにございますか。特にないですか。

私からちょっとお伺いしたいのですが、人材不足という点でいうと、私の業界も似たようなところがあって、研究者になる若い人がいないことが極めて深刻な問題になっています。

その原因の1つは、今日のお話と共通なのですけれども、処遇の問題ですね。これがあることは否定できないのですが、それだけでは、やはりないだろうと思うのです。若い人にとって、研究職という職場が、いかに魅力的かという部分に、いろいろな点で問題があるのではないかと思っています。

若い人に入ってきてもらうための努力と言いますか、あるいは、そのために今後どういう点を変えていったら良いかということについて、処遇の改善以外に、何かお考えになることがあるでしょうかという点をお伺いしたいと思います。

それでは、全相協からお願いします。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会澤村関西支部長 相談員協会の澤村でございます。

先ほどの御質問の件で、都道府県のセンターオブセンターの機能の強化というところですけれども、相談業務については、大阪府でも消費生活センターの相談業務をやっています。府内の市町村でも相談業務をやっています。府民からしたら、「二重行政と違うのですか」と、議会からもそのような質問をされることもあると漏れ聞こえてきております。

実際のところ、消費者安全法には都道府県には広域行政と書かれていますけれども、都道府県と市町村の業務のすみ分けというところを、もう少し具体的に書いていただきたいと思っております。

そして、私は都道府県の仕事というのは、広域行政ですので、相談業務も大事ですが、市町村の支援はきっちりやっていただきたいと思っております。その支援の具体的な内容として、市町村の相談員に対するアドバイス、そして市町村の相談員の研修、そして商品テスト、それから事業者指導の充実ではないかと思います。

現在、国での担い手養成事業というのをしておりますけれども、国だけが担い手養成をするではなくて、やはり都道府県で担い手養成をしていただき、都道府県において相談員の人材バンクというのを作り、人材不足で困っている市町村に対する支援をお願いしたいと思っております。多数の市町村の職員は兼務ばかりなのです。専任でやっているところは政令市とか大きい市町村ぐらいで、ほとんど生活困窮や市民課の窓口などの業務をやりながら消費生活センターの相談を兼務でやっている職員がたくさんいます。そのような職員が、相談員の育成をすることなどはできませんし、財政の面でも市の方ではできません。都道府県も国が事業をやっているからと言うのではなくて、しっかりと消費生活相談員の育成をし、そして人材名簿を作り、そして市町村の相談員かいなかったらという相談に応じてあげるということの部分こそが、センターオブセンターの役割と思います。

あと人材不足の点について、相談員の処遇だけではないのではないでしょうかという話がありましたけれども、処遇の問題があるので、人が来ないというところもありますけれども、女性の働き方についての問題などの社会問題があるのではないかと思われます。

私が資格取得をした20年ぐらい前の頃は、一旦大学を卒業して、主婦になって家に入って、また、もう一度ということで、社会にということで、この資格を取って、今、この仕事に就いておりますけれども、今、なかなか一旦家に入る方もいらっしゃらないというところと、人も少ないというところにもなりますので、会計年度という形で、少しだけ処遇が改善されましたけれども、まだまだ一人で暮らしていけるだけの年収をいただいているわけではないと思っております。

やはり、公務員としての定数内職員というところも、将来的には考えていただいて、相談員を専門職として雇用するということを、各地方自治体でも考えていただければ、少しは増えるのではないかと思っております。

私からは、以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、ウォッチねっとからお願いできますか。

○全国消費者行政ウォッチねっと山田幹事 山田でございます。

また、この問題については、やはり1つの県だけでは解決できません。やはり国の政策として考えてもらわなくてはいけないと思います。

それから、今、お話に出ました定数内職員としての考え方です。今、消費生活相談員のほとんどが定数外職員で、定数内職員は数パーセントと聞いております、その辺のことも、やはり若い方が来られない要因の1つではないかと思います。

栃木県では、資格取得のためのいろんな研修を、過去3年間やっておりました。でも、参加される方は、十数名とわずかです。参加者人数についても、それ以前から一般の県民向けにリーダー養成講座等をやっておりますが、そこでも若い方は少なく中・高齢者が多いのです。ですから、この辺のことをもっと抜本的に考えるために、やはり国の政策として考えてもらわなければ、一つの県ではなかなか難しいというのが実態でございます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

日弁連にも問い掛けがありましたね。お願いいたします。

○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会池本幹事 池本から説明させていただきます。

職員のコーディネート力の向上というのをどういうふうに進めるかということと、それから、先ほど委員長から相談員の人材不足の問題、処遇それ以外何があるかという御質問もありました。2点、簡単に説明したいと思います。

まず、職員のコーディネート力の向上ということですが、従来は、消費生活センターの相談員の個別相談処理の補佐役あるいは集計をしたり、そういう役割が職員だというくらいの位置付けでしか、残念ながらなかった。けれども今、被害防止に向けた、他の部署や民間団体との連携をどうしていくかということです。

従来の消費生活センターでの研修は、相談員研修に職員もどうぞ参加してくださいという形で、職員研修ありというふうな回答が多かった。これは消費者庁の消費者行政の現況調査でもそうでした。

それがようやく2020年から、職員向け研修というのがようやく始まったのですが、何をどう伝えたら良いかという標準形がまだ決まっていない。国民生活センターだけでやってそこへ集まってくださいというふうにもなかなかいかないので、都道府県でもできるようにしていく必要があると思います。

その場合、単なる座学で消費者法制度の知識を学ぶだけではなくて、現実にどういうところと、どう渡り合って連絡調整をして、例えばネットワークを作っていったかとか、という辺りを集合研修が難しければ、Zoomなどのウェブ会議も活用して、制度に関する知識と、それから現実の動き、先駆的な例を紹介し合ったり、意見交換をしたり、そういうものを含めた、どういう課題をどのくらい時間掛けてやる必要があるのか、しかもなかなか2日、3日まとめてやるわけにはいきません、地元での職務がありますから、だとすると、ウェブ会議なども使って、どのくらいのメニューを、どういう形で参加してやっていくかということを、是非、あるべき提案を出していただく必要があるのかなと思います。

相談員のことについて言うと、先ほどちょっとお話がありましたが、やはり相談員の担い手の像が、この20年、30年で変わってきているのだと。ちなみに、消費者庁の地方消費者行政現況調査の数字で、ちょっと正確なパーセントの数字が今、申し上げられないのですが、従来、この10年間で雇止めをしないようにと、専門性を維持するために雇止めを抑えるための働き掛けを消費者庁からやって、徐々に下がっていきました。20パーセントくらいあったのが14パーセントぐらいですかね、下がってきましたが、昨年秋に出た報告書では、またその数字がぽんと跳ね上がっています。

これは、会計年度任用職員制度の影響だと思います。新しい処遇にというか、位置付けに切り替わって、従来から言われる雇止めはふさわしくないというメッセージが途切れてしまっているのではないかと思います。

そういうところも含めて、最終的には、相談員の専門性というものを、これは、仕事の中身からすれば非常に魅力的な、そのトラブルを説得しながら解決に向けていくという魅力的な仕事であることは間違いないと思いますので、これをどう発信していくか、それから先ほど委員のどなたかからも話がありましたが、消費者庁、国レベルで全国に発信して、勉強の機会を提供するとともに、並行して、都道府県単位で、どこの市町村でどのくらい足りないということも含めて、講座を行って、受講して、資格を取った、あるいは、引き続き勉強することを前提に、どこの市でまず採用するという、そういう地域のニーズに合わせた、地域単位での学習機会、就職機会と連携したものと両方やる必要があるのではないかと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

全相協の川野様から御意見があるということです。

川野様、どうぞ。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会川野九州支部長 よろしくお願いいたします。お時間がない中、すみません。

相談員の不足について、少し追加のお話をさせていただきたいのですが、先ほど、全国消費者行政ウォッチねっとが言ってくださったのですけれども、私ども全国消費生活相談員協会では、平成30年に、会員実態調査報告書というものを作成して報告しておりますが、その中で、いわゆる交付金の削減による影響として、相談員の中から、こういうお話があったのです。相談員が削減されて、1人体制になった。また、次年度相談員が退職すると、新たな雇用はないと言われているような回答があります。また、実際、私で、九州で、相談窓口をなくそうというお話もあったということで、非常に危機感のあるお話なのですけれども、やはり、消費者行政において、縮小しやすい業務から縮小されている状況ではないかということで、非常に1人とか2人の体制となりますと、相談員というのは、国家資格を取ったからといって、すぐに専門的にどんどん相談を受けてやっていけるのではなくて、やはり、資格取ってから、ある程度現場の先輩などに助言をもらいながら、その場に先輩の相談員がついて、そして助言を行い、あっせんを行っていくことが必要なのです。

特に今、相談というは複雑化していて、いきなり国家資格を取った相談員が、現場において、なかなか複雑な相談を解決まで導くということが大変だと思います。

こういった体制である上に更に職員も、消費者行政専任職員の人数が0人というところも3割あります。このような環境では相談員が専門の職業として育ちませんから、資格を取っても辞めたり、困難な環境だと目指す方が増えません。やはり職員のバックアップが必要でありますから、更に消費者行政部門の拡充と、地域の実情に応じた国の支援をお願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

ほかに、委員から、特にございませんか。

それでは、その他になりますけれども、特商法・預託法の改正に向けた動き、それから、デジタル・プラットフォーム取引における環境整備等ですけれども、あるいは、前の部分で言い忘れたとか、これも聞いておきたいということがあれば、それも含めてお受けいたしますが、いかがでしょうか。

片山委員長代理、お願いいたします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

消団連と、ウォッチねっとから意見が出ていると思うのですが、デジタル・ディバイドへの対応というのが、今、強く求められていると思います。

消団連では、消費者団体等も一緒になって、その対応を進めるべきだという御意見をいただいていますが、具体的に、既に対応を何らかの形で始めておられることがあれば、是非教えていただきたいと思いますし、私も団体に関与していますので、この問題に何らかの形で取組ができればと思いますけれども、具体的なイメージの示唆をいただければと思います。よろしくお願いいたします

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、消団連からお願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会三谷事務局次長 事務局次長の三谷と申します。

デジタル・ディバイドへの対応というところで、よろしいでしょうか。

○山本委員長 どうぞ、お願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会三谷事務局次長 デジタル・ディバイドについてなのですけれども、まず、実情としまして、消費者団体の中においても、このコロナ禍で、ウェブ会議や学習会などに切り替えていっているところなのですが、それに対応できている団体と、まだ対応し切れていない団体というのがございます。

この対応できていない団体においては、例えば全国消団連においては、可能な限り実開催ということで、最小限の参加など、可能な部分、できる限りの対応はしようとしているのですけれども、それでも対応できるのは、近隣の消費者団体に限るかというところです。

地方においては、このデジタル化が進むことによって、逆に連携や、会議等での意見交換ができる機会が増えている一方で、そこに参加できない団体の声はどんどんと遠のいているという課題認識はあります。

どうしたら良いかというところでは、今のように、近隣のウェブ化対応できている団体等に支援をしてもらいながら、何とか実開催でも、そのウェブ会議に参加できるような場というのを設けるなど、そういうような対応で、今はやっているというのが、消費者団体の対応です。

すみません、参考ですけれども、以上です。

○片山委員長代理 ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

ほかにございますか。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

電子化のところで一言です。

現場では、行政処分を期待しているのですが、行政処分というのは、すごく立証が大変ですので、すぐにできないです。先日も定期購入の悪質な業者が処分されましたが、もう既にサイトは閉じられ、違うサイトを立ち上げているという現状です。

悪質業者を規制する特商法事案の書面化というのは本当に心配ですので、規制を求めたいですし、できれば書面を出したほうが楽なのだという形での規制をしてもらいたい、今後も消費者委員会で言っていきたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかに委員からございますか。特にないですか。

1つ全相協に伺いたいのですが、最後のところで、なかなか消費者行政のデジタル化に関して、問題があるということを言われました。

確かに、デジタル化だけで済まない部分が、必ず残るということは理解するのですけれども、ただ、他方で、特に今の若い人を見ていますと、コミュニケーションの取り方がかなり変わってきていて、やはりデジタル・ディバイドを使ったコミュニケーションの仕方が普通であるという世代になっていると思います。

これは、別に若い人だけではなくて、コロナのことがあったので、年齢層が高い方でも、かなりそういう人が出てきているのではないかという気もいたします。

それから、確かに事案によっては、直接対面で話を聞く必要があるものもあると思うのですけれども、そういったものが、どれぐらいの割合かということにも関心があります。

お話を伺った感じよりは、もう少し何かデジタル化の利益を使うことができるのではないかという印象も持つのですけれども、余りそうではないのですかね。

何か全相協でございますか。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会澤村関西支部長 全相協の澤村でございます。発言させていただきます。

今の御質問ですけれども、デジタル化につきましてですけれども、確かに、今、皆さんスマホをお持ちですし、若年者層は、やはり電話に関しては抵抗があるとのこと。そして、おっしゃっているように、SNSをかなり利用しているという面はございます。

全相協で、2年ぐらい前に、大学生を対象に、100人ぐらいアンケートを取りました。そのときに、消費生活相談に関してというところのアンケートを取ったときに、相談のきっかけは、SNSもしくはチャットボットでも構わないと、しかし、やはり最後は、顔を見て話がしたいといった若年者層の声が多かったという数字が出ております。

そのアンケートを踏まえた後、若者たちと一緒に、消費者相談をテーマにワークショップをしたのですけれども、やはり若い人たちがおっしゃるには、消費者相談は、若干自分にとっては恥ずかしいというところもあって、それをやはり文字化するというのは、少し抵抗もあるとのこと。それだったら、気さくな感じで話をしてくれる、聞いてくれる人が近くにいてくれたら良いと。もっと言えば、「消費生活センターに来てよ」と、そのときに言ったら、「いやいや、学校の、例えば食堂の横にでも、時々来て座ってくれていたら相談しやすい」と言われました。本当は込み入った話とかはリアルでしたいということの御意見もありましたので、やはり先ほど私も申し上げましたけれども、チャットボットについては、日曜とか、それとか夜中とかになりましたら、困ったというときに使うのには非常に有効な手段だと思います。

しかしながら、やはりもう少し込み入った相談は、実際に聞かないとわからないというのも、現状ではございますし、利用者も、その抵抗があるというところも、2年前のデータですけれども、そのような数字も出ておりますので、少し慎重にというところの部分の発言になりましたということです。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

更に何かございますか。ございませんか。

それでは、これぐらいにしたいと思います。

本日は、4団体から非常に貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

3つに分けたのですが、最初のコロナ禍における消費者問題、消費者行政のデジタル化への対応に関しては、今後、消費者委員会として関係省庁から更にヒアリング等を行って、審議を重ねていきたいと思います。非常に難しい問題も含まれておりますので、今、いろいろいただいた御意見を参考にして、審議を深めてまいりたいと思います。

それから、地方消費者行政の問題に関しては、今日もお話をいろいろ伺っていて思ったのですけれども、非常に問題が広範にわたっていて、しかも2040年頃を見据えてということになりますと、更に問題が難しくなる。短期的な問題もあれば、中長期的な問題もあると思います。

消費者委員会の専門調査会でも、非常に広範にわたる議論をしたのですけれども、2つ言うと、1つは、先ほど来出ている若い世代に、どのように消費者問題に関心を持ってもらって、実際に消費者問題に関わる活動に入ってきてもらうかを、考えていかなくてはいけないということ。

それから、高齢者、職場を退職した後の高齢者の方も含めて、これから、高齢者人口が更に増える。特に首都圏においては、これから急激に高齢化が進むと言われています。

やはり、それへの対応を考える中で、高齢者の方をどのように、消費者問題に引き込んでいくか、取り組んでいただくようにするかというところも、1つポイントではないかと思います。

という具合に、これは、非常に多岐にわたる、非常に奥の深い問題ですので、今日いただいた御意見も参考にして、更に消費者委員会としても議論を深めていきたいと思います。

また、いろいろなところで今後議論をしていただいて、是非2040年頃に向けた地方消費者行政の在り方について、幅広い層が関心を持って議論をしていただくことが必要ではないかと思います。

最後のテーマに関しましては、預託法・特商法の問題につきまして、様々な御意見をいただきました。消費者委員会では、電磁的方法による書面交付の問題に関しましては、先週、建議を発出したところでして、それに対する御意見もございました。

ただ、これは、建議の中にも書かれていることなのですけれども、具体的な交付の在り方等について、これから十分議論をしなければいけないということは書いてございます。それから、その中で、取引類型の性質、あるいは実態も見て、具体的にどういう方法であれば、消費者問題が起きないか、消費者トラブルが発生しないかということを十分検討しなくてはいけないと言っております。今後も、この問題については、消費者委員会として十分審議を重ねていかなければいけないと考えておりますので、今日いただいた御意見も参考にしながら、更に議論を深めていきたいと考えております。

それでは、ほかによろしいでしょうか。

それでは、ここで終了ということにいたします。

お忙しいところ、本日は、皆様におかれましては、御出席いただきまして、また、貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。

時間が余りなかったので、かなりせかしてしまったところもあると思いますけれども、その点は、御容赦をいただきたいと思います。

本日いただいた御意見、御要望につきまして、今後の委員会運営の参考にさせていただきたいと思います。


《3.閉会》

○山本委員長 それでは、これをもちまして、本日の意見交換会を終了いたします。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)