消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会(2013年2月12日) 議事録

日時

2013年2月12日(火)16:00~17:05

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【参加団体】
 全国消費者行政ウォッチねっと  拝師徳彦 事務局長
上嶋幸子 幹事
 公益社団法人 全国消費生活相談員協会  丹野美絵子 理事長
 全国消費者団体連絡会  河野康子 事務局長
 公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会  唯根妙子 理事 総務委員会委員長
佐竹愛子 消費者相談室副室長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
○全国消費者行政ウォッチねっと   拝師徳彦 事務局長
 上嶋幸子 幹事
○公益社団法人全国消費生活相談員協会  丹野美絵子 理事長
○全国消費者団体連絡会   河野康子 事務局長
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会   唯根妙子 理事 総務委員会委員長
 佐竹愛子 消費者相談室 副室長
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 全国消費者行政ウォッチねっと提出資料 【資料2】 全国消費生活相談員協会提出資料(PDF形式:149KB)
【資料3】 全国消費者団体連絡会提出資料(PDF形式:176KB)
【資料4】 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会提出資料(PDF形式:233KB)
【資料5】 消費者委員会の建議・提言と関係省庁の対応状況 【資料6】 消費者団体ほか関係団体との意見交換会出席団体一覧(PDF形式:63KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。
若干名、委員が欠席しておりますけれども、始めさせていただきます。

≪2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換≫

○河上委員長 それでは、議事に入ります。
消費者委員会では、今後の運営改善等の参考にするため、消費者団体ほか関係団体等から御意見を伺うとともに、委員との間での意見交換会をこれまで開催しているところでございます。
本日は、その第1回目として、全国消費者行政ウォッチねっと・拝師徳彦事務局長、上嶋幸子幹事、公益社団法人全国消費生活相談員協会(全相協)・丹野美絵子理事長、全国消費者団体連絡会(消団連)・河野康子事務局長、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)・唯根妙子理事、佐竹愛子消費者相談室副室長にお越しいただいております。皆様方には、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
まず、皆様から、最近の主な活動状況、第2番目に、消費者問題における最近の関心事項、第3番目に、消費者委員会の活動への評価と期待といった点についてお話をいただき、その後、意見交換をさせていただきたく思っております。
初めに、全国消費者行政ウォッチねっとから説明をお願いいたします。
なお、時間は大変短くて恐縮ですけれども、5分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○全国消費者行政ウォッチねっと 拝師事務局長 全国消費者行政ウォッチねっとの拝師です。
私たちは、御存じのとおり、消費者行政を消費者の立場から見ていくということで、年に一度、消費者行政評価というのをさせていただいております。きょうは、直近の主な活動がそこなものですから、昨年9月に行った評価の結果のペーパーを入れさせていただきました。
資料1-1の11ページのところが消費者委員会ということなのですが、昨年9月に行った最新のものでは非常に厳しい評価になっていると思います。ほかの消費者庁、国センについても評価をして、それなりに厳しい評価をしておりますが、特に消費者委員会については、今回、非常に厳しい評価だったと思っています。
御理解いただきたいのは、一つは、この評価は、委員の皆さんに当てたものであると同時に行政全体に向けて当てているものですから、委員の皆さんの努力で改善できるものと、政治のほうできちっと予算や人をつけないと難しいだろうというところも入っています。そもそも第2期の消費者委員会については、我々としては政治の責任が大きいと思っていますが、消費者委員会のメンバー構成そのものに消費者団体の人数が少ないとか、第1期に比べると、少し我々から離れた組織の構成になってしまっているのではないかというところがもともとあったということで、こういう厳しい評価になっている部分があることは御理解いただきたいと思います。
それから、コミュニケーション度というところも少し低くなっています。これも、それとも関係するのかもわかりませんが、我々が行っている勉強会、シンポジウム、集会、そういうところへの消費者委員の方の出席が第1期に比べると非常に減ってきたのではないかという感覚を持っていまして、そういう評価になっています。
他方、地方消費者委員会など御努力されていて、非常に評価がされている部分もあるのですが、普段の我々の活動との一体感みたいなものがちょっと薄かったのではないかということが、結果的にこういう評価になっていると思います。こういう意見交換会を設けていただいたことも非常にありがたいと思っていますし、今後は、いろいろな団体がいろいろな集会や勉強会とかをやっていますので、是非、一緒に消費者問題に取り組むという形でやっていけたらというふうに思っています。もともと、消費者委員会というのは我々の運動体の延長線にあると理解していますので、なるべく同じ立場で動ける組織であってほしいというのが大きな望みです。
最近、我々が一番関心を持っているテーマとしては、資料1-2以下に入れてありますが、国民生活センターの問題です。これについては、御存じのとおり、民主党政権時代に閣議決定で国に一元化することまで決まっていたわけですけれども、我々としては、ねじれ国会の中で、自民党が独法改革とは切り離して議論せよということを当時から言っていましたので、恐らく閣議決定が終わっても終わらない問題だろうという認識は持っていました。そうしたところ、政権交代になって、1年間は一元化は棚上げになって、また検討するという状況になっています。
ただ、決して楽観視はできないと思っています。消費者庁のほうは、やはり一元化が望ましいというスタンスで事務方は動いているやに聞いていますし、自民党のほうも、与党になってからどういう考え方で動いていくかというのはまだまだ予断を許さないというふうに思っています。我々は、国民生活センターが、独法のままでいる問題点というのも重々承知していますけれども、やはり消費者庁とつけることの弊害は非常に大きいと思っていますので、独法の縮小路線とは違う形での法人として残せないかというふうに思っております。
国民生活センターの在り方について述べたのが資料1-2という、昨年4月に出した意見書でして、資料1-3は、昨年の8月、「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」の報告書に対する意見ということで、非常に問題が多いという指摘をした意見書になっております。特に国民生活センターについて我々は非常に関心を持っておりまして、消費者委員会でも、消費者行政全体の在り方も含めて非常に重要な検討事項だと思っていますので、是非、消費者にとって何が一番いいのかという視点で御検討いただければというふうに思っています。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
続きまして、全国消費生活相談員協会(全相協)から説明をお願いしたいと思います。

○全国消費生活相談員協会 丹野理事長 資料を出しておりまして、資料2になります。「消費者委員会との意見交換会資料」ということで4ページばかりのものをつけております。最初に事務方に確認したら、数分でというお話がございましたので、数分でしゃべれるだけの分量にいたしましたので、主なものだけをここに掲げております。
まず、現在の活動状況はということでしたので、資料2の1ページ目、「現在の活動」の下に「主な活動」というのがございますが、私どもは、公益社団法人になりまして以降も、全国の消費生活相談員の団体として、週末電話相談、適格消費者団体活動ほか、さまざまな従来の活動をさらに敷衍し拡大してまいっております。
2番目のテーマですが、最近の消費者問題における関心事項についてというのもございましたので、何点か挙げさせていただいております。
1番目は、全国の消費生活相談員が、国民生活センターの問題はどうなるのかと思っております。見直しというのは重々承知しておりまして、1年かけて見直すというお言葉もあるのですが、それでいいのだろうかということもありますし、国民生活センターの柔軟性、独立性を保つというのが一番の問題だと思いますので、そこを具体的に早急に実行していただきたい。特に消費者委員会には、消費者庁、消費者委員会、国センの関係を再整理して最も有益な活動ができる体制について、積極的に関与をしていただきたいとお願い申し上げたいと思います。
2番目が、地方消費者行政・消費生活センターの充実でございます。マル1にありますように、活性化基金の継続はもとよりでございますが、やはり大きく関心を持っているのはマル2でございまして、消費生活センターの民間委託、特に民間企業への委託というのが実際に行われ始めましたので、これについて懸念点を挙げております。
懸念点は3つありまして、中立性、公平性、消費生活相談の質です。質が維持できるかというのが相談員の団体として関心があり、そこを大きく懸念しております。あっせんというのを我々は行いますが、そのあっせんが本当に民間企業になったときに行われるだろうかという懸念を持っております。
それから、同じ民間委託の話でございますが、情報の保守、特にPIO-NETの情報については、当該企業が見ることができるというのはどうなのか、ということがあります。我々がいくら大きな声で言っても、やはり地方の消費者行政の財政状況は厳しいので、効率化という観点でますます民間委託を行うだろう。それに対して一定の対策が必要だと思っております。
3ページのマル3でございますが、消費生活相談員の雇止め。言うまでもないことですが、雇止めはそこの地域の消費者の損失になりますので、何とかして止めなければいけないと思っていますが、なかなか実効性のある対策が取られておりません。大臣通知、長官通知、私どもの団体も全国の自治体へ要請文書を送りましたが、実際に食い止めることができないでおります。
4ページ目の3でございますが、私どもは適格消費者団体でございますので、適格消費者団体への財政的支援が必要であるということを声を大にして申し上げたい。差止請求を行っていますが、事実上のボランティアでございます。資金的な援助は既にでき上がった適格消費者団体に対しては皆無なので、制度を作っただけで、「あとは適宜活動しろというのは如何なものか」と書きましたが、是非、恒常的な財政支援を行っていただきたい。
最後でございますが、消費者委員会の活動への評価と要望について書いておりますが、消費者委員会のこれまでの提言等の活動については大変高い評価をしております。特に私どもの適格消費者団体活動から言えば、有料老人ホームのことは法改正にまで結びつきましたので、それは非常に評価をしていますし、国センの移行問題についても、消費者委員会が棹さしていただいたという実績は高い評価をしています。
ただ、残念ながら、消費者委員会の機能と役割は消費者に知られていないのではないか。消費者庁との役割や目的の相違等について、国民は知らないという現実がございますので、消費者委員会からの強いメッセージが欲しいと書かせていただきました。
さらに、地方でさまざまなパフォーマンスをなさっていることはわかっているのですが、消費者庁は消費者庁、消費者委員会は消費者委員会というふうにやっていらっしゃるのではなく、連携してやっていただけないだろうか。そのほうが差異が目立って、その役割がみんなに熟知されるのではないかと思っております。
最後に書いているのが、現状では消費者委員会の活動はテーマが多岐にわたっていて、その必要性は重々認めているものではありますが、やはり人的・物的な資源の有効性の観点から、検討が必要ではないかということを書かせていただきました。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
続きまして、消団連から御説明をお願いいたします。

○全国消費者団体連絡会 河野事務局長 全国消費者団体連絡会の河野と申します。本日は、消費者委員会の皆様と御一緒に消費者課題を協議させていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
資料3ということで、事前にいただきました課題につきまして簡単にまとめてまいりましたので、資料3をもとにお話をさせていただきたいと思っております。
全国消費者団体連絡会は、連絡会という名称が示しますように、会員の方はすべて、いわゆる消費者団体の皆様でいらっしゃいます。中央に本部を置かれる中央の団体が24、地方にある地方消費者連絡組織が24ということで、現在、合わせて48の消費者団体の方に御加入いただいています。共通の課題で、同じ目線でという形で、一つの何かを協議するというよりは連絡をするというスタンスでおります。
2012年度、消団連の主な活動は、1番のところにまとめさせていただきました。本年度、年度当初に活動計画を立てております。先ほどから申し上げているように連絡会でございますので、課題は多岐にわたります。基本的には、消費者行政に関すること、復興支援に関すること、食の安全に関すること、エネルギーに関すること、暮らしのセーフティネットに関すること、消費者被害に関すること、国際連携に関すること。前回のこの意見交換会でも申し上げましたけれども、私ども全国消団連は、国際消費者機構(CI)の正会員でございまして、ここでさまざまな情報交換をしておりますけれども、その辺りでも活動を進めております。
次のページにまいりまして、今後の全国消費者団体連絡会の活動計画です。実はここは懸案になっておりましたが、全国消団連はことしの3月末を目途に一般社団の法人化という方向に一歩進むことになりました。現在あるさまざまな消費者課題に正面から向き合おうということで、法人格を取ろうと思っておりますので、法人格を取りましたら、そこに書いてございますマル1からマル7番のような形で新たに活動を進めていこうと思っております。
3番目に、消費者問題における最近の関心事項をまとめてあります。
まず1番目は、地方にいらっしゃる消費者団体の皆様、地方消費者行政の充実は私どもの最大の関心事でございます。60.2億円プラス5億円ということで財政措置が何となく形が見えてきたのですけれども、あくまでもその財政措置は1年間の延長であって、命拾いをしたかなというふうに思っております。本日6時半から、私どものところで消費者政策検討会ということで、改めて60.2億円と、お題が決まっている5億円の当初予算についての学習会を持ちますけれども、この辺りはしっかり恒常的な予算措置につながるような形で、全国で皆さんとの足並みをそろえていこうと思っております。
2番目は、集団的消費者被害回復のための訴訟法の早期上程、成立についてで、これも現在、46団体の協賛を得ております。いよいよ国会がスタートしますので、消費者庁も法案を提出してくださると思いますから、それに合わせてさまざまな行動を計画しております。
その他、そこに書きましたけれども、食の安全とリスクコミュニケーションについて。なかなか放射線問題は解決にいかない問題ですけれども、その辺りのリスコミの問題。それから、施行されました消費者教育推進法、その後の取組みについて。5番目は全国消団連の特異なケースだと思いますけれども、消費者庁が主催されている地方消費者グループ・フォーラム、全国8ブロックでやっていらっしゃいますが、その開催をきっかけとして地方消費者団体の活性化についてということで、これも鋭意取り組んでいこうと思っております。国民生活センターの国への移行検討について。
最後は、2013年度、1年間かけて、国連で消費者保護ガイドライン改定の検討作業に入っています。それに対しまして、消費者団体としての意見をというふうに求められています。国のレベルでこれをやっていただけるとありがたいのですけれども、今日的な消費者問題に関しましては、私どもで何とか意見提出にこぎつけたいと思っております。
最後、お題をいただきまして、消費者委員会の活動への評価と要望についてということでございます。簡単に5つにまとめさせていただきました。
先ほど、丹野さんもお話しになっていらっしゃいましたけれども、私どもも、ここのところ出されている違法ドラッグの問題、本当にここ数日間、メディアで取り上げられていますけれども、医療機関債の問題、それから、先日、建議が出されましたけれども、健康食品問題等、私たちの本当に身近な問題に対して建議、意見、提言が出されています。
その後なんですけれども、ここのところ、ずっと同じことを申し上げておりますけれども、実際の施策にどのように反映されたのか。目に見える部分もございますが、フォローアップした結果を定量的、また定性的に示していただきまして、私たち国民が評価し納得できるように、情報提供を是非していただきたいと思っております。消費者委員会の活動というのは、私たちの日常的なところからなかなか見えません。ですから、この辺りは是非お願いしたいというふうに思っております。
例えば公共料金に関しましても、公共料金の決定過程に消費者代表を参画させるべきだと意見が出されていますけれども、実際の人事のところでその提言等が行かされているのか、私どもはなかなかわかりません。その辺りもしっかり最後まで責任を持ってフォローして、私たちに情報提供をお願いしたいと思います。
消費者行政推進に果たす役割については、国民生活センターの論議の中で、消費者庁と消費者委員会と国民生活センターの役割に関してさまざまな論議がなされました。複雑化、高度化する消費者被害に迅速に対応する体制確立が急務だと私自身も理解しましたけれども、最近の連携はどのように進められているのか、是非、知りたいというふうに思っております。
それから、先を見据えた取組みということで、消費者委員会の皆様は消費者庁や他省庁とは立ち位置を是非変えていただきまして、俯瞰的、重層的に消費者問題に向き合っていただきたいと思っております。
例えば一連の電気料金値上げの問題の対応では、実際のところ、電気料金値上げに関して消費者委員会で別途検討の場を設けていらっしゃいますけれども、目前の課題に一生懸命になるというよりは、昨年来、公共料金の決定の仕組みに大局的な視点から取り組んでいらっしゃいまして、報告書もまとめていらっしゃいます。そこのところは一歩下がって、公共料金の決定の仕組みと消費者の参画について具体的なガイドラインを取りまとめる方向に動いていただいて、目先の問題と言いましょうか、この後、経産省、エネ庁と消費者庁のほうで、最終的な関電、九電の電気料金値上げにはまいりますけれども、そこよりも大局的な観点から活動を進めていっていただければと思っております。
4番目は、これは私自身の疑問です。内閣府のホームページを拝見しました。そこに消費者委員会の記載がございまして、消費者委員会というのは、「消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組みであり、消費者問題について調査審議し、建議等を行うとともに、消費者庁や関係省庁の消費者行政全般に対して監視機能を有する独立した第三者機関です」というふうに書かれています。この最初のところ、「消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組み」、できて3年半以上たちますけれども、この辺りをどのように受け止めていらっしゃるのか、是非、見解を伺いたいと思っております。
最後に、消費者委員会がされている活動は私たち消費者にとってとても大事なものだと思っております。期待する気持ちがとても高いです。ですから、消費者委員会が持っている役割と成果を周知する機会を、是非、たくさん設けていただきたいと思います。
最後に書いた、事務局体制についてというところは、25年度の予算案の中で、事務局体制の強化につながるような予算措置がないということを拝見しております。マンパワー強化につながらないというのは、全員が消費者である国民からの支持、やはり消費者委員会があってこそという、その支持につなげるような周知が必要ではないかと思っております。その辺り、私どもも頑張りますけれども、是非、外部発信をしていただきたいと思っております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、最後に、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会から御説明をお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 唯根理事 NACSからは、既に今までの御発言で、要望等につきましては御一緒の意見になってしまいますので、最近の活動について御紹介させていただきたいと思います。11月にやりました、消費者からの直接の意見をお伝えしたいということでお持ちしましたこちらのキャンセルなんでも110番報告書と、毎年つくらせていただいております学校教育のテキストを。御紹介させていただきたいと思います。
110番の報告とテキストの内容につきまして、担当の佐竹から行わせていただきます。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会消費者相談室 佐竹副室長 それでは、昨年の11月10日・11日の両日で行いました110番事業について、御報告させていただきます。詳しくは後ほど報告書を見ていただきたいのですが、今回は、110番事業の報告と消費者教育についてお伝えしたかったのですが、まず最初に、キャンセル110番の御報告をさせていただきます。
今年度は、「キャンセルなんでも110番」ということで、消費者がキャンセルという言葉の意味をどのように理解して受けとめているのか、トラブルになる問題の根幹はどこにあるのかということを、多くの相談の中から課題を探り、法のすき間事案や未整備な分野に提言を行っていけるようにということで110番を実施しました。
2日間で受けた相談件数は、東日本と西日本両方で198件。キャンセルの内容を限定しませんでしたので、非常に多岐にわたって、85種類の商品サービスのキャンセルに関する相談が寄せられております。その抜粋は資料4に書かせていただいておりますが、特徴的な分類を10分類に分けています。通信機器、通信サービス、サイドビジネス、情報商材、冠婚葬祭にかかわる契約、クーポン・チケット類の契約、通信販売や不当請求関連の契約、社債やファンド、先物取引など、通常、行政の消費者相談、私どもが土日にやっております週末相談等に寄せられるすべてのキャンセルに関する相談が寄せられたと思います。
今回の110番では、改めて、事業者の主張するキャンセルに伴う平均的損害というものと、消費者の考える一般の常識に乖離があることがよくわかりました。キャンセルに至る理由はさまざまですが、事業者に問題があると思われる契約でも消費者が契約の拘束から容易に逃れられない。また、キャンセル規定が明らかに平均的損害を超えているのではないかと思われる事例も多くありましたが、各事例から、キャンセルに関する問題点や課題をまとめまして、今回は、消費者委員会をはじめ、経済産業省、総務省、8省庁に提言書を出すことができました。既に消費者委員会にも要望書として提出させていただいておりますので、それを資料としてつけさせていただいております。
また、業界と行政、消費者が横断的に、この古くて新しいキャンセルをめぐる消費者問題に取り組んでいけるようにということで、業界・事業者へ、行政機関へ、そして消費者へということで、課題、問題点をまとめて提言しております。
それも詳しくは報告書をごらんいただきたいのですが、特徴的なこととして、業界・事業者には、今、トラブルが非常に多くなっております通信サービス関連事業者に、勧誘時の適合性の原則の重視とか、訪問販売、電話勧誘販売時の特商法を準用した規制の強化が必要です、ということ伝えております。
行政機関には、特商法で適用を除外された取引で深刻な被害が発生していることから、権利も含めて、すべての指定制の撤廃が望まれる。また、業界にモデル約款がある場合でも、キャンセル規定が消費者契約法9条1項に照らして問題がないとは言い切れません。それぞれのモデル約款を関係省庁で有識者検討会を発足させるなどして、モデル約款の検討が望まれるということ。
最後に消費者には、言い尽くされていることですが、契約の重み、拘束性についてしっかりと認識して、契約する前には、本当に今の自分に必要な契約かということを熟慮し、トラブルに遭ってしまっても自分が悪かったとあきらめないで、自分のトラブルが他の人の被害未然防止になるかもしれないという認識で、声を上げることが大切ですということを提言としてまとめさせていただきました。
2番目に、NACSは設立以来、消費者教育に取り組んでおりまして、消費者教育推進に関する法律ができましたが、消費者団体には努力義務ということで課せられております。NACSでは、設立当初から消費者教育に自主的に取り組んで、多くの学校教育の教材もつくり、講師の派遣事業も行っております。推進法では、消費者団体に、学校や地域の行政機関や他の団体と連携して、消費者教育の担い手となることが求められていると思いますが、学校や行政機関のほうに、消費者団体と連携して消費者教育を進めるという姿勢がないと、消費者団体がせっかくこれまで培った消費者教育のノウハウは生かせません。
12月25日に消費者委員会から出された意見書を読ませていただきましたけれども、残念ながら、学校や行政機関と消費者団体の連携強化というところの視点が示されていなかったのではないかと思いました。今後、地域における効果的な消費者教育の推進体制のモデル一環という意味で、消費者団体と学校、行政との連携ということを伝えていただきたいと思いました。
要望は、また後ほどお伝えしたいと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
幾つか共通した御指摘もあったところですけれども、こちらから少し説明を加えたほうがいい点があるのかなという気もします。もし事務局長から何かございましたら。

○原事務局長 いろいろと御意見、いつもありがとうございます。資料でおつけしているものだけ少し説明させていただけたらと思います。
先ほど消団連からの、出された建議や提言やその後どうなっているのかというところですが、実は前のときも同じ御意見をいただいているところで、ホームページ上で工夫もさせていただいて、建議・提言の概要、主な成果ということで、資料5-1ですけれども、現在の状況、フォローアップした状況、最新の状況がわかるようにここは少し改善させていただきました。ホームページも、以前は、会議を開催しましたという羅列でしたが、そこも、毎月ごとに少し動きがわかるような形ですとか、建議・提言のフォローアップもわかる形。今、消費者基本計画の検証・評価・監視ではどういう作業をしているのかというのも、わかるようにいたしました。
ただ、お話を聞いていて、こういうふうに改善したけれども、そのPRが足らなかったのだなというのを思っておりまして、半年に1回ぐらいでも、今、こういう状況にありますというような報告を、委員会の場でもしたほうがいいのではないかというのは感じております。
丹野さんから、地方のグループ・フォーラムの話ですが、消費者庁が去年11月からことし3月ぐらいにかけて、特に冬を中心に全国8か所をやっておられる。消費者委員会のほうは、第2次消費者委員会になって、2か月に1回くらいの割合で開催をしておりまして、それは1年を通してという形でやっています。ただ、冬場は重なるというところがありますが、できるだけ重ならないように場所は決めていきましょうという話をしていて、去年の秋ぐらいから相乗りにしておりまして、グループ・フォーラムをやっておられるところに消費者委員会委員なり事務局が出かけていって、消費者委員会の資料も提供して、交流会には参加をしている。
それから、消費者委員会が実施している地方消費者委員会には消費者庁の方にも来ていただいて、資料を提供し、お話をしていただく時間も設けたりということをしております。それぞれお互いに相談をしながら、去年の秋ぐらいからは進めております。全国48都道府県ありますから、消費者庁で8か所、こちらで年間6か所、14か所にしても、それでも4、5年かけて全国を回ることになるのではないかと思っておりますけれども、両者でそこはお互いに力を出し合ってやっていきたいと思っております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 御意見、ありがとうございました。NACSさんからも御提言がありましたが、地方において消費者団体と行政との連携というところ、消費者教育に限らずということかと思いますけれども、地方の消費者行政を活性化していくことと、地域においての消費者力といいますか、消費者市民力といいますか、そういったものを向上させていくには、行政とその団体がしっかりとパートナーシップを組んでいくことが重要かと思います。地方消費者行政はもっと頑張って工夫してやっていかなければいけないわけですけれども、一方で消費者団体が、例えば適格消費者団体については、まだ全国的に余りできていませんし、地方の消費者団体においては、例えば若い人が入ってこなくて高齢化が進んで、このままだと立ち行かないような話しか聞こえてこないという状況があるかと思います。
消費者団体が、地方においていかに基盤強化をしていくか、活性化をしていくかということは非常に重要なテーマかと思っています。全相協からは、適格消費者団体は財政支援が必要だということで、いかに財政基盤をきちっとつくっていくかということが、私もそうだなと思いますが、活性化する一つのポイントかと思います。消費者団体が地方、地方でいかにうまく大きくなっていくのかということのアイデアといいますか、どうしたらそうなるのかというところで、いろいろ課題はあると思いますが、御意見をお持ちの方がいらっしゃれば是非伺いたいと思います。

○河上委員長 唯根さん、どうぞ。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 唯根理事 意見というよりは、私どもの会の取組みの中での課題ですが、全国に7支部ある中に県単位の分科会ができましたり、食にかかわることですとか、テーマによって自主研究会というのが立ち上がっています。私どもの会費の中から、そういう分科会や研究会に場所の確保のためですとか、交通費の補助をしたいということで、少額の援助をするのが、今のところ、ぎりぎりの会としての支援策でどの会も活動資金がなく、会員の自主活動です。
やはり地方から上がってくるのは、そういう活動をもっと広げたいとか、成果をどこかに発表したいとか、成果物をつくりたいというときの経済的なバックアップがないという点です。補助金事業などを一生懸命行政機関や業界団体などから本部で受けてくるのですが、そういうものですと非常に使途が限定的で、使い勝手が悪く、地方の方々に小回りがきくような使い方ができないというのが実態です。NACSは、ことし、25周年を迎えますがこのままでは、いろいろな活動を地方で繰り広げられている分科会や研究会のグループの方々が、近い将来力尽きてしまうというか、続けていけなくて解散してしまうケースも出てくるのではないかと危惧すらしております。
それから、一つご紹介したいのですが、自主研究会で新しい若い方たちが、子どもたちの安全・安心ということで立ち上がって、今、標準化ということで、子ども服のJIS化について会員の声が国の規格へ生かせていただける動きも出てきたりして、本当に自主研究会の維持や活動で消費者運動に広がりが出てくるのだなと思います。そういうところはわかっているのですが、私たちの会自体を運営するのが精いっぱいで、そこまで地方に力が注げない。地方の消費者行政だけではなく、地方で活動している消費者団体への支援の在り方についても、御検討いただきたいと思っております。
意見というより実態の御紹介になってしまい申し訳ありませんでした。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
丹野さん、どうぞ。

○全国消費生活相談員協会 丹野理事長 おっしゃるように地方の消費者団体は大変です。NACSさんもおっしゃいましたけれども、私どもも全国組織なので、とりあえずのことを申し上げれば、活性化基金がこれで1年、上積みということになりました。この3、4年で、地方消費者行政に活性化基金がついて、その活性化基金を使って、その地域の消費者団体と連携して例えば啓発事業をやってみたり、さまざまなシンポジウムをやってみたり、各地の地方自治体と消費者団体が相互にマッチングしてやっているのだと思います。
そうは言いましても、そういう事業というのは、やれば潤うという事業ではございませんで、ほとんど実費に多少の上乗せというような形で、それでも活動としてやれるから、みんな頑張って参画してやっているのが実情でございます。基金がもし来年でおしまいになってしまえば、そのあとはある意味、干ぼしということになります。せっかく、基金が地方消費者行政からにじみ出して消費者団体へ行き渡っていって、その地域の消費者団体を何とか育てつつあるけれども、そこの水路が絶たれると、地方の行政だけに任せておくとなかなか立ち行かないです。
消費者団体のほうも、唯根さんがおっしゃったように、そのときどきのテーマを追いかけて、集まって何か活動したいというのがありますが、やはり恒産がないと恒心が続かないということになります。人的な部分はボランタリースピリッツで何とかするにしても、継続的活動ということになると資金難では厳しいということになると思います。
自治体側も、地域の消費者団体を育てると言っても、団体がかなり高齢化していたり、なかなか見つからなかったり、任せてみたらうまくいかなかったりと、いろいろと思いますけれども、とりあえず水があれば、そこで芽を出して育っていく方向に行くのではないかと思っております。

○河上委員長 河野さん。

○全国消費者団体連絡会 河野事務局長 私は、普通の消費者団体、専門的知識がなくても自分たちは団体を結成していてというところが、今、どんな状況かというのと、そこの皆さんがこの後どうなっていくかということに関して、現状で認識しているところをお話ししたいと思います。
確かに地域の中で、いわゆる専門的な知識がない消費者団体というのは高齢化が進んでおります。新しいメンバーもなかなか入らずに新陳代謝もうまくいっていない。ただ、つい先日ですけれども、関東で開かれました、消費者庁の「地方消費者グループ・フォーラム」に参加いたしましたら、こういう役割もあるのかなと思ったのが、平均年齢が70歳を超えている20年以上の消費者団体である、次世代の皆さんのために一生懸命活動していると。ただ、それだけではなく、自分たちの居場所になっている。
これは一つ、福祉と言いましょうか、暮らしの視点からの新しい価値観かなと思ったのですけれども、例えばご主人を亡くされたり、奥様を亡くされたりして一人になる。話し相手がいない。そのときに寂しくて消費者被害に遭ってしまうのではなく、友達とか、話す場を求めてそういったところに定期的に参加していく。そうした消費者団体が、核になる方々が頑張って定期的に会合を開いていると、そこで集うことによって情報交換ができる。「居場所」というふうに話されていましたけれども、心のよりどころになる。大仰な活動はできなくても、そういったことで、消費者団体の存在価値にまた新たな光が当たったのではないかという視点はございます。
ただ、客観的に見ますと、当然のことながら、人的・財政的には、地方の消費者団体はボランティアのかたまりのような形でずっとやってまいりました。少なくとも行政が手取り足取りという形で支えてきてくださっている。今回、活性化基金の上積みがございました。行政の方は、急にこういう形で大きな金額がついたと。自分の自治体には担当者も余りいないけれども、計画はしっかり立てておかないと消費者の皆さんには申しわけないということで、今、非常に焦っていらっしゃる。どうしょうかと。でも、行政の人的なマンパワー不足は消費者団体の方と御一緒にやっていくしかない。アイデアももらわないといけない。さまざまな場と機会の設定も手伝ってもらわないといけない。
ということは、地域の中で、縦割りでいろいろな指令を出すというよりは、狭い狭い地域の中で、行政の担当者の方と地域で活動していらっしゃる方が日常的にしっかりとコンタクトを取る。その中で、福祉の観点も非常に高くなってくると思いますけれども、ステークホルダーの方がそれぞれの役割を発揮することによって、地域の消費者力を上げていくところにつながっていくかと思います。「ネットワーク」というのが、次の一つのキーワードかなというふうに私自身は感じています。

○河上委員長 拝師さん、どうぞ。

○全国消費者行政ウォッチねっと 拝師事務局長 皆さんおっしゃるとおりで、地方の消費者団体は非常に高齢化も進んでいるし、資金的にも厳しいので、資金的なフォローは必須ではないかと思っています。そういう意味では国からの支援が継続的に出てくるというのは、一つは、相談窓口強化とか、相談員さんの人件費という面もありますが、消費者団体への継続的な支援が、金額は少なくても継続的にあることが大事かなと思っています。
それから、人の育成というのも非常に大事だと思っていまして、その地域その地域で人材を育て、その地域で活動してもらうという視点が重要だと思っています。今まで、結構あちこちで消費者向けの教養講座とか、サポーター講座とか、名前はいろいろですが、各地で一般消費者向けの消費者問題についての講座を結構やっていたのですけれども、欠けていたのが、その学んだ知識をもとに地域に帰ってどう生かすかという、地域で活動する場とか、チャンスを、きちんと与えてあげてこなかったのではないかという気がしています。それをきちんと整理して、その知識や意欲を生かす場を与えてあげることができるようになると、初めは消費者団体という名前ではないかもしれませんけれども、そういう人たちが地域の中で集まるようになってくるのではないか、増えるようになってくるのではないかというふうに思っています。
そういう意味では、昨年できた消費者教育推進法というのは非常に注目しています。地方に消費者教育推進地域協議会というのをつくって、そこでその地域の消費者教育を見ていくという、努力義務ですけれども、そういうものがあると。ですから、できれば市町村単位でつくるように進めていって、その市町村の中で、自分の地域でそういう人を育てることを計画して見ていく。お金もそこにつけていくということでやるといいのではないかと思っています。
昔は消費者モニターのようなものがあって、ちょっと行政のお手伝いをするという形でやっているところは結構あったと思いますけれども、それより少し主体的に活動してもらうようなイメージで、一部は行政のお手伝い、行政側から来る情報発信を地域に広めるとか、被害の掘り起こしをお手伝いするとかいうお手伝いもしつつ、独自のイベントもできるような人たちを地域で育てるという発想が必要なのではないかと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
吉田委員、よろしいですか。

○吉田委員 さまざまなアイデアをいただきまして、ありがとうございます。このテーマだけでも一回きっちりやってみたいという感じがしておりますけれども、本当にいろいろな新しい視点を入れていかなければいけないと思っています。例えば、企業のCSR活動との連携だとか、若い人が入りやすくするソーシャルネットワークサービスとの連携だとか、いろいろなことをやって、多様な人たちが参画できる市民活動になっていけば、自ずと行政ともうまくいくのではないかという感じもします。
ただ、一方で、お金の問題をどうするのか、ボランティア精神でいつまでも継続的にできないぞというところも確かにあると思います。その辺の新しい仕掛けというか、仕組みみたいなものを、ぼんやり妄想している感じではありますが、いつかまた、じっくりとお話をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 ただいまの地方消費者行政のことに関しまして、私どもも全国組織として、地方を大切にしているという視点から、例えば今回の消費者庁の25年度の予算を見ましたときに、先駆的プログラムの話、2分の1ルールが適用されない、100%交付ですね。先駆的と挙げていますけれども、5つのテーマの中身を見ますと、非常に地方が取り組みやすい。普段取り組んでいる内容を既に網羅してあるわけですから、地方自治体を動かしさえすれば事業予算は取れるという仕組みができています。
ところが、地方にこの情報が届いていないという事実がございます。ですから、きょう、お出かけいただいている消費者団体の皆様は、地方に対して、むしろ消費者委員会以上に発信力と組織をお持ちですので、積極的に提供していただくことも必要ではないか。もちろん、私自身の団体ではやりますけれども、消費者庁に任せるだけではなく、消費者委員会はもちろんですけれども、消費者団体としても、皆様にお使いいただくようなこういう財源がありますよということも、必要かなというふうに思います。
消費者教育のほうでは、地方協議会、これも努力義務ですから、要するに地方自治体が動かなければだめなので、こういうシステムをつくってください、地方で必要ですよということを消費者なり一人ひとりが声を発信していかないと、行政は動かないわけです。そういったところも、少しでも消費者行政を動かすという方向にみんながうまく連携できるといいなということを、自分の活動も含めて思ったところです。きょうはありがとうございました。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
佐竹さん、どうぞ。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会消費者相談室 佐竹副室長 地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実ということで建議していただいて、今回、活性化基金が25年度もついたということは非常に喜ばしいことですが、活性化基金がつくということがわかった時期が非常に遅くて、私が所属している行政でも、自前で次年度の予算が決定した後に基金がつくということが決まったわけです。そうなると、地方消費者行政の充実ということに実は活性化基金は活用できないのです。つまり、単年度の活性化基金では、行政のほうは、消費者団体も巻き込んで、消費者教育も含めて、活性化基金を使って消費者行政を充実していくということにインセンティブが働かないと思います。ですから、単年度ではなくて、継続して確実に活性化基金がつくという形に是非していただければと。消費者委員会のお力をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 きょうは、どうもお話をありがとうございました。私はいつも全体的な制度のことのお話をするのですけれども、御承知のように、消費者庁・消費者委員会体制ができてから3年以上たって、我々の任期ももう半年になって、もうすぐ終わりで、今後の半年でどうするかということも委員間で話し合っているような状況です。消費者庁・消費者委員会というのは、制度としては画期的なものができて、まさに革命的とも言えますし、考えてみれば、ほかの機会でも私はお話ししましたが、今、消費者庁の長官は、もと消団連事務局長の阿南さんですね。国センは消費者弁護士の野々山さんだし、消費者委員会は委員10名みんな民間人だし、事務局長は原さんがなったわけですよ。すばらしい。主要ポストをみんな消費者団体が握ったわけです。
では、パフォーマンスはすごくいいのかというと、今、お話のようにいろいろな問題があって、先ほど丹野さんからもお話がありましたように、適格消費者団体の財政支援一つ全く進まないわけです。なぜなのか。ここをもう一回立ち戻って考える必要があると思って、消費者庁・消費者委員会ができたときの盛り上がりをもう一回持って、再検証すべきではないかと思います。今は何が問題なのか。国センの在り方も宙ぶらりんですから、それも含めて、消費者庁・消費者委員会は何が足りないのか。
八条委員会ではなくて三条委員会というお話もありましたし、一方で、この前、森大臣が御挨拶に見えたとき、消費者庁と消費者委員会と2つに分かれているから事が進まないと、そんなことをおっしゃっていました。その真意を伺ってみたい。確かに自民党は消費者庁一本でした。民主党にいろいろ言われて消費者委員会をつくったということだから、自民党からすると、消費者委員会というのは余り快く思っていないのか、それはちょっとわかりません。その真意は伺ってみたいと思いますけれども、そういうことも含めて、もう一回ここで盛り上げて、是非、シンポジウムとかを開催していただいて、このままでいいのか。どうあるべきか。
あるいは、国会でも、消費者庁・消費者委員会ができてから全く議論がされていないです。消費者問題特別委員会はほとんど開催されなくて、今回、自民党政権になって、動きもどうかなと思います。せっかく勝ちとったものというのはあるし、これを無駄にしてはだめなはずで、消費者委員会も確かにだらしないところはいっぱいあって、私自身も中にいて忸怩たる思いはありますけれども、では、なければいいのかというと、そうではないと思います。そこはどういうふうに考えるかというのを議論すべきではないかと、最近、つくづく感じています。いかがでしょうか。

○河上委員長 何か御意見がありましたら、どうぞ。

○全国消費生活相談員協会 丹野理事長 細川先生、非常に率直におっしゃっていただいたので、こちらも胸襟を開いて申し上げれば、消費者委員会というのは、私の個人的感想で申し上げれば、非常におもしろい存在ではないか。消費者委員会というスタンスがあるからこそ、例えば、前任者のときに消費者庁がいろいろ迷走しかけたときも、消費者委員会は、ちょっと待て、そこはおかしいのではないかということを言っていただいて、国センの移行の問題も、先ほど私は棹さしたと言いましたが、そういうことができた。
先ほどので申し上げれば、有料老人ホームの話も、消費者委員会がここまで踏み込んでくれたおかげで老人福祉法が改正され、現実の反映はまだすったもんだ、じたばた実はやっているのですが、そこは是非消費者委員会にフォローアップしてもらいたいと思っているのですが、そういう意味では、消費者委員会という、消費者庁でもなく、国民生活センターでもない存在がここにあることによって、微妙なバランスがうまく調整ができているところがあるのではないかと私は思っています。
法律的に難しい話は存じ上げませんが、現実の重みとして、そこに存在意義というか、活躍する余地がたくさんあると思って、先日の消費者契約法の中間報告もそうでしたが、消費者委員会に我々が期待する部分は大変多いと思っていますので、シンポジウムの御提案はおもしろいと思います。

○河上委員長 ありがとうございます。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 ありがとうございました。一つひとつ、グサッグサッと突き刺さって、責任が重いなというふうに感じていますけれども、先ほど細川委員がおっしゃったように、我々は8月で終わりです。これから半年間で何ができるのかというところで、具体的にやらなければいけない、あるいは、やる方向でということで、今、思い定めているのは、詐欺的投資勧誘の問題で、特に高齢者が、さまざまな詐欺的な金融商品、と言っていいのか、詐欺グッズと言っていいのか、そういうもので引っかかっています。それを抑止するための運用の改善と、詐欺的なツール、法人登記制度とか、電話などが使われていますし、バーチャルオフィスのこともありますので、その辺で制度的な改善なり運用改善なり、どこまでできるのか。
それから、法律の改正まで建議することができるのか、しなければいけないのかどうか。その辺はまだ白紙ですが、3月、4月ぐらいまでにはそういうこともやりたいと思っていますので、また意見交換の場があれば、あるいは、意見交換の場がなくてもお聞かせいただければと思います。
もう一つは、インターネットに絡む消費者被害が非常に多い。これも、建議という形までできるかどうか、論点整理で終わる部分もあるかもしれませんが、2つ、問題があります。一つは、インターネットでその気になって契約したけれども、ちゃんとした商品が届かないとか、いろいろな被害に遭ったとか、サクラサイトのような問題も含めて、インターネット絡みの取引被害。何かの形で運用改善なり制度改善の提案ができないか。これは、消費者庁にはできない。総務省や経産省も絡んでくる問題ですので。まさに消費者委員会がやらなければいけない部分だろうと思っています。
もう一つ、これが難しいのですが、個人情報保護の観点で、御存じのとおり、Tポイントとか、ビッグデータを事業者がインターネットツールを使って集めていまして、それが、200億あるいは数千億円のマーケットになろうとしています。便利なのはいいのですが、個人情報保護の観点から大丈夫なのかなという点が非常に心配されていまして、国際的な問題にもなっています。これはかかわり出すとなかなか大変なので、具体的なところまで出せるかわかりませんけれども、せめて論点整理や問題提起ぐらいは、8月までにしなければいけないのではないかと思っています。その辺、なかなか難しい問題ですが、是非、御意見もお聞かせいただければと思います。

○河上委員長 時間があっという間に過ぎてしまって、予定していたのは1時間ですが、この時間ではなかなか語り尽くせないものがたくさんございます。
消費者委員会に対しては、特にウォッチねっとから非常に厳しい評価が出て、私などは、ちょっと不本意だなと思いながら見ていたのですけれども、一つは、消費者委員会がやっている活動そのものについて、情報発信がうまくいっていなかったのではないかという反省がございます。この点については、いろいろ工夫もしておりますので、その辺りを是非見ていただければと思います。他方で、評価が厳しいというのは逆に言うと期待の大きさの裏返しでもあって、消費者委員会に「もっと頑張れ」というエールを送っていただいているのだろうと思います。
消費者委員会は、よく指摘されるように、人的・物的資源が非常に乏しい中で活動をしているから、もう少しターゲットを絞って効果的にやってはどうかという御意見もあって、これは企画・運営会議でも随分議論はしております。ただ、そうは言っても消費者委員会でないとできない仕事というのもあって、それを見ていくと、かなり欲張ってやらざるを得ないところがございます。我々としては、うちの職員もみんな疲弊していますけれども、しかし、精いっぱい頑張ってやれることはやっていこうと思っております。100点を取れなくてもいいからと、私はよく言っていて、私の部屋の入り口のところに絵を掛けてあって、「一歩一歩」と書いてあるんですね。100点は取れなくてもいいから、60点、70点を積み重ねながら改善していくということを、是非やりたいと思います。
消費者庁、国民生活センター、消費者委員会の関係というのは古くて新しい問題で、ずっと議論はされております。森大臣の発言について、先ほど、細川委員からもございましたが、森大臣自身も、できたものだから、むしろこのいいところを生かしたいと、そういう趣旨だったように記憶しております。現在の制度には、欠点もあれば、それのメリットもございます。個人的には、国センと消費者庁と消費者委員会というのは、三極をうまく形成して、お互いに緊張関係をもって、それぞれが独立した形、課題は同じなのですから、連携すべきは連携しというやり方で、現在の形でもう少し経験を積んでみてはどうかというふうに思います。
もう一つ、山口委員長代理が先ほどから、あと6か月ほどでということで、何となく締めにかかっているような言い方をしておりましたけれども、私は締めにかかっているとは全然思っておりません。消費者委員会というのは継続している存在なので、課題はどんどん蓄積されておりまして、やれるところまで課題を高めていって、次の第3期に引き継いでもらうということを考えております。詐欺的投資勧誘とか、IT関連というのはもちろん喫緊の課題で、できるだけ早期にまとめて、一歩を踏み出したいと思いますが、消費者契約法の見直しとか、幾つか、2期のときに是非課題として確立しておきたいものはまだまだございます。
消費者団体の方々からも、いろいろお力をいただいて活動していきたいと思いますので、今後ともよろしく御支援をいただきたいと思います。また、こういう機会がありましたら、是非、御意見をいただければというふうに思います。

≪3.閉会≫

○河上委員長 本日は、どうもありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。

(以上)