第33回 消費者委員会 議事録

日時

2010年8月27日(金)15:00~16:55

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 消費者庁 福嶋長官、松田次長

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、川戸委員、佐野委員、下谷内委員、田島委員、
 日和佐委員、山口委員

【説明者】
 消費者庁 相本食品表示課長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.自動車リコール制度について
3.健康食品の表示に関する検討会について
 ○説明者:消費者庁 相本食品表示課長
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 自動車リコール制度に関する調査結果概要及び実態調査報告
(資料1-1) 自動車リコール制度に関する調査結果概要 (PDF形式:451KB)
(資料1-2) 自動車リコール制度に関する実態調査報告 (PDF形式:211KB)
(別紙) 資料1-2別紙一覧 (PDF形式:15KB)
(別紙1) 関係規定資料 (PDF形式:60KB)
(別紙2) 製品事故に関する事故情報収集・公表制度 (PDF形式:17KB)
(別紙3) 苦情相談情報の効果的活用のための検討会議報告書(抄)(平成19年3月内閣府国民生活局) (PDF形式:15KB)
(別紙4) データバンク掲載情報と国土交通省のホームページで公表されている事故・火災情報との比較 (PDF形式:32KB)
(別紙5) 再リコール事例一覧(平成17年度から21年度) (PDF形式:183KB)
(別紙6) 再度届出を行う理由の記載例(リコール届出一覧表(届出番号2325及び外-1570)) (PDF形式:239KB)
(別紙7) リコール届出一覧表(届出番号2379及び2540) (PDF形式:421KB)
(別紙8) 国産車のリコール(平成20年度及び21年度 416件)のうち届出者においてリコールの実施を決定してから届出に至るまで明らかに2か月以上かかっている事例一覧(34件) (PDF形式:14KB)
(別紙9) 輸入車のリコール(平成20年度及び21年度 183件)のうち届出者が本国メーカーから市場措置(リコール等)決定の通知を受けてから届出に至るまで明らかに4か月以上かかっている事例一覧(32件) (PDF形式:15KB)
(別紙10) リコール実施率の状況 (PDF形式:20KB)
(別紙11) 平成19年度以前に届け出られたリコールのうち平成22年3月末時点の実施率が50%未満の事例(48件) (PDF形式:18KB)
(別紙12) リコール等の届出後、改善が未実施の状況で事故・火災が発生した事例一覧(14件)(別紙 (PDF形式:24KB)
(別紙13) 自動車リコール制度に関するユーザーアンケート調査結果報告書 (PDF形式:242KB)
【資料2】 自動車リコール制度に関する建議(案) (PDF形式:33KB)
【資料3】 「健康食品の表示に関する検討会」論点整理及び関連資料(消費者庁提出資料)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、始めたいと思います。
本日は、まだお暑いところでございますけれども、お集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会(第33回)」の会合を開催したいと思います。
委員長、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 本日は、まず初めに、福嶋消費者庁長官及び松田次長においでいただいておりますので、それぞれごあいさつをいただきたいと思います。まず、長官からお願いいたします。

○消費者庁福嶋長官 福嶋です。改めて、よろしくお願いいたします。まだ就任して2週間ちょっとですけれども、消費者庁・消費者委員会が発足したというその役割の大きさ、意義の重さというものを改めてかみしめているところです。つまり、従来の産業振興策の派生的なテーマとしての消費者保護ではなく、消費者、生活者を中心とした社会をどうつくるのか、その推進役としての我々の役割は極めて重いなというふうに思っております。この役割をしっかり果たしていくためにも、消費者委員会と消費者庁が適切な緊張感を持ちながら協力をしていくことが大切だと思っております。
消費者委員会の皆様の役割の一つは、監視役として、いろいろな調査・研究の下に建議や提言をどんどんしていただくことがまずあると思います。消費者庁に対してだけではないと思いますが、政府全体に対して積極的にいただけたらと思っておりますし、消費者庁もすでにいくつかの提言はいただいておりますので、それをしっかりと受けとめて取り組んでいきたいと思っています。
特に事故情報の公開などについても提言をいただいております。消費者庁が持つ事故情報というのは、消費者庁だけの財産ではなく、国民、消費者共有の財産だと思っておりますので、消費者の利益にしっかりつながるような公表の在り方をさらに取り組んでいきたいと思っております。
もう一つは、法に基づいて、あるいは附帯決議などにも基づいて、審議会的な機能も果たしていただいております。消費者庁と消費者委員会の役割分担とか、実際にどう取り組むのかというところは、お互いの整理とか、考え方のすり合わせがもっと必要ではないかと思っておりますので、また、いろいろその点について御指導をいただければと思っております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、次長からお願いいたします。

○消費者庁松田次長 福嶋長官と同日付けで次長を拝命いたしました、松田でございます。
消費者行政の本体につきましては初めてでございますけれども、国会、その他、組織・定員でありますとか、官房的な仕事はこれまで随分やってきたところでございます。そうした経験を生かしまして、福嶋長官をきっちり支えてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 ありがとうございました。長官、次長におかれましては、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(福嶋長官・松田次長退席)

≪2.自動車リコール制度について≫

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。
最初の議題は、自動車リコール制度についてです。自動車リコール制度につきましては第15回の当委員会でも取り上げておりますが、その後、本年5月に、自動車の使用者である消費者の目線から制度の実態について「消費者庁及び消費者委員会設置法」に基づく調査を開始いたしました。今回、本調査の結果をとりまとめましたので、その内容について御報告するとともに、消費者委員会としての意見のとりまとめを行いたいと思います。
それでは、お手元に配付しております「自動車リコール制度に関する調査結果概要」につきまして、中村委員長代理から御説明をお願いいたします。

○中村委員長代理 自動車リコール問題につきましては、消費者委員会として「消費者庁及び消費者委員会設置法」の第6条で「消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項」については「自ら調査審議し、必要と認められる事項を内閣総理大臣、関係各大臣または長官に建議すること」ができる。この部分を目指しまして、同法の第8条には「委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、報告を求めることができるほか、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる」と規定されております。
消費者委員会として、この第8条の資料要求を最初に権限行使したのが今回のリコール問題であります。本年5月に記者会見もしておりますけれども、こういう趣旨で自動車リコール制度に関する調査を開始するということを御説明申し上げ、調査に入りました。そのときの概要とほぼ同じものが、本日お配りした資料1-1(PDF形式:451KB)の2ページ、左半分にそういうことが書いてあります。今回の調査の趣旨等はこのとおりでございますということで、重ねて御報告するのは省略します。
2ページの右の下半分ぐらいにあるのが、今回調査したポイントです。3ページ以降に詳細は述べますけれども、大きな項目としては、事故・不具合情報の収集及び公表の問題、これが1つ目の柱。2つ目の柱としては、事故・不具合情報やリコール等の改善措置に対する分析の問題。3つ目の柱として、リコール届出等の実施の問題。これらにスポットを当てて調査・検討をいたしました。本日、資料1-2ということで、資料が分厚くなっておりますけれども、実態報告という形でまとめさせていただきました。
なお、この調査に当たりましては、消費者委員会の職員5名が5月以降、ほぼ専従的にかかわっておりますし、委員としては、中村、佐野、櫻井の3名がリコール担当ということで職員の皆さんと協議しつつ、また、メーカーに対する事情聴取等に同行して、ともに調査して完成させたものであります。
では、資料1-1の3ページ以下に基づいて説明をしたいと思います。
最初の項目の、事故・不具合情報の収集及び公表の問題ですが、不具合情報が適切に収集されているかどうかという視点で調査をいたしました。実態としては、国交省は、迅速なリコールの実施及びリコール隠し等の不正行為の防止を目的として、平成12年にすでに自動車不具合ホットラインというものを設置して、ホームページ、フリーダイヤル、24時間自動音声受付にて、ユーザーから自動車の不具合に関する情報を収集しております。年間約3,000件の情報が寄せられておりまして、平成13年4月から収集して、それを国交省のホームページで公表しております。
ユーザーから収集している項目につきましては、氏名、性別、住所、電話番号、車名、通称名、型式、原動機型式、車台番号、登録番号、総走行距離、初年度登録年月、購入年月日、不具合発生箇所、不具合発生時期、不具合内容の要約、不具合状況等であります。
それらについて実態調査をして、どこか問題があったかということで、調査結果の事例マル1としてお書きしましたが、必要な情報が適切に収集されていないのではないかという点を指摘させていただきます。不具合情報ホットラインに寄せられた情報の中で、車名、通称名、型式等、入力が必須とされている項目があります。その必須項目がそもそも不明な状態となっているものが、1,276件中138件ありました。3ページの下の方にサンプルを書いてあります。「不明」、「不明」と書いてあるところが記載されていない部分です。
次に、4ページにまいりますが、ユーザーから寄せられた不具合情報に、特に欠陥の疑いのある情報については、自動車メーカー及び輸入事業者に対して事実確認を行っております。国交省のホームページを見ますと、2001年4月1日から本年の7月31日分まで載っておりまして、その冒頭には、本件についてはユーザーの申出のとおり書いているから、事実確認したものではないという旨の記載がありますが、実は事実確認はある程度行っておられます。事実確認を行って、メーカー等による不具合の原因究明結果や見解を求めていることが、今回の調査でわかりまして、本件の調査で、メーカー等への事実確認に必要な情報が的確に収集されていないのではないかという点を指摘させていただいております。
前に述べましたように、ユーザーから不具合情報を収集する際に、車台番号と事実確認に必要な情報が的確に収集されていないことがおわかりだったと思いますが、そのため、メーカー等に対して効果的な事実確認ができないという状況が見られました。サンプルとして、4ページの中ほどに書いてありますが「当該車両に関する車台番号、登録番号情報がなく、該当する案件を確認することができませんでした」ということで、事実確認ができなかったという回答が来ているわけです。こういうものが散見されます。
2つ目の事例として、メーカー等への事実確認が適切な時期にできていないという点を私どもは感知しました。国土交通省が不具合情報を受け付けた時点と、メーカー等に事実確認依頼した時点に数か年の期間を要しているケースがありました。メーカー等から適切な回答が得られない事案があるわけですが、時間がたったからわからないということになってしまうわけで、4ページの最後の事例に具体的に挙げておりますように「当該顧客の申し出から長期間経過しているため、ディーラー等への事情聴取、交換部品の技術調査なども不可能な状況です」という回答になっています。
次に、公表の問題でどうであったかという実態調査をしておりまして、その結果が5ページに書いてあります。国土交通省は、ユーザーから寄せられた不具合情報を要約して、国土交通省のホームページで公表していますが、もう一つ、通達によって、メーカー等から報告を受けている、車両の構造・装置に起因する事故・火災情報というものがあります。これについても、その内容の確認や整理を経た後、国土交通省のホームページで公表しています。現在、1,457件公表されています。
それを調べた調査結果で、事例マル1として、不具合の発生に関連する詳細情報は公表されていない。自動車不具合情報ホットラインにユーザーから寄せられる不具合情報には、発生場所(高速道路か、交差点か、坂道等)や走行速度、不具合に気づいた経緯等、不具合発生時の具体的状況について詳細情報があるケースでも、ホームページ上で公表するときはその詳細情報は省略され、簡潔なものしか公表されていないということです。
事例として一つ挙げるのは、真ん中の、国土交通省ホームページでは「コンロッドが破断し、クランクシャフトがロック状態になったため、走行中にエンジンが停止した」という記載しか載っておりません。しかし、ユーザーから寄せられた元情報に当たってみましたところ、そのほかに「30~40km/hで走行中、突然エンジンルームから異音がし、エンジンが停止した。惰性で走行し横道に入り停止、その後、エンジンは全くかからなかった」という大変詳細な記載がありますが、ホームページ上はそこまでは出ていないということです。
事例の2つ目として、メーカー等からの事実確認結果は公表されていない。国土交通省からの事実確認に対するメーカー等の回答には、当該不具合が発生した実車の調査分析結果として、発生原因または推定要因、使用上の注意等が記載されているケースがありますが、国土交通省のホームページ上ではその内容は公表されておりません。
事例として5ページの下の方に書いてありますが、ホームページが左側です。「燃料タンクにピンホールができていたためにガソリンが漏れた」としか書いてありません。しかし、事実確認調査をして国土交通省が把握しているデータを見ますと「劣化ガソリンまたは粗悪ガソリンの混入により燃料タンク内側のメッキ層が侵食されて錆が発生し、ガソリン漏れに至ったと推定します」という記載もあったわけです。しかし、これはホームページでは公表されておりません。
6ページにまいります。事故・不具合情報の公表について、3つ目のポイントですが、メーカー等からの事実確認結果に記載のあるリコール等の措置情報が公表されていないという問題がありました。国土交通省からの事実確認に対するメーカー等の回答には、当該不具合が発生した車両がリコール等改善措置の対象車であった場合、その旨の記載があり、また、当該不具合が措置未対応のために発生したと推定される場合にも、その旨の記載があります。しかし、国土交通省のホームページ上の不具合情報検査結果には、これらの内容は公表されておりません。
事例として中ほどに挙げておりますが、国土交通省のホームページでは「パワーステアリングが故障し、走行中にハンドルが動かせなくなった」としか記載していない。ところが、メーカーから国交省に対する回答の中には「当事案に対する市場措置が必要と判断し、平成×年×月×日、改善対策を国土交通省へ届け出、翌×日より市場措置を開始しました」という記載も併せて書いてあるわけです。
公表に関する4つ目の問題です。事故・火災情報の公表時期にバラつきが見られるという問題があります。国土交通省が、メーカー等から事故・火災情報を受理してからホームページ上で公表するまでの期間は、おおむね30日から40日前後となっていますが、時期によっては82日間を要しているものもありました。それが右側下のグラフのとおりであります。
7ページにまいります。事故・不具合情報の収集及び公表全般に関して、国土交通省は、適切かつ迅速な改善措置の実施や不正行為の防止を図るために、通達に基づいてメーカー等から不具合情報を四半期ごとに収集しているという制度があります。これらの不具合情報はユーザーに対しては公表されていません。一方、ユーザーからホットラインに寄せられる不具合情報は、ユーザーの不具合に対する関心を高め、適切な使用や保守管理及び不具合発生時の適切な対応の促進を図る目的で公表されています。
そこで調査の結果、事例マル1として、メーカー等ごとに報告内容にばらつきがあります。収集情報の質にも差があります。不具合の概要について、発生状況等の詳細情報を記載している会社と記載していない会社がありました。また、メーカー等による不具合の調査結果を記載している会社と記載していない会社がありました。このような状況において、国土交通省は、不具合の概要について詳細情報や調査結果の記載がないものについては、改めてメーカー等に対して事実確認を行ったり、原因究明や見解を求めたりしているものがありました。
2つ目の事例として、メーカー等から報告される不具合情報は公表されておりません。メーカー等から定期的に報告されている不具合情報は、ユーザーが実際に直面した不具合に係る情報であり、さらにメーカー等として原因究明や調査を行ったものであるが、不具合内容や統計分析結果は公表されていません。このことについて国土交通省は「メーカー等から報告を求めている自動車の不具合情報の大半は、リコールに関係するようなものではなく商品性にかかわるものであり、現時点において公表する必要性・意義があるとは考えていない」という回答をしておられます。
8ページにまいります。不具合情報ホットラインの認知度も調査いたしました。これはユーザーアンケートをやっております。国土交通省は、平成20年度のリコール検討会、これは19年・20年と2度やっていますが、20年度のリコール検討会で、リコールや点検整備などについてユーザーの意識を調査するために、ユーザーアンケートを実施しております。そのアンケート結果の報告概要において、自動車不具合情報ホットラインの認知度は11.1%と低いことから、ユーザーへのより一層の周知が必要だと検討会の報告書に書かれております。
今回、我々も独自にユーザーアンケートを行いました。その調査結果では「不具合情報ホットラインの認知度は一向に向上していない」という結果が出ております。我々の調査では、認知度は16.6%。多少は上がっているかもしれませんけれども、依然、非常に低いレベルにある。実際に自分で書き込んでみたとか、そういう利用経験のあるものはわずか2%しかいなかったという結果が出ております。
次に、今までは国土交通省の事故・不具合情報の収集・公表の問題を報告しましたが、もう一方、今回の資料要求の対象として消費者庁も掲げておりまして、消費者庁による事故・不具合情報の収集及び公表がどうなっているかという点についても、スポットを当ててみました。
消費者庁は、一般の消費者から行政機関等が受け付けた生命身体に係る消費生活上の事故情報・危害情報を集約し、事故防止に役立てることを目的とし、本年4月より「事故情報データバンク」にて公表しております。この中には、自動車に係る事故・不具合情報も寄せられており、公表されております。
それらを調べた結果、事例マル1として「関係行政機関等からの事故情報が一元化されていない」という点をまず指摘します。事故情報データバンクには、事故情報のデータベースを保有し、かつオンラインでデータ統合が可能な9つの機関が参画し、事故情報が集約されていますが、国土交通省が収集している自動車の不具合に係る事故情報については一元化されておりません。この9機関に入っていないということです。
事例の2つ目として、消費者にとって有益な情報が公表されていないという問題がありました。事故情報データバンクには、一般消費者向けサイトと行政向けサイトというのが用意されています。仕組み上、そうなっております。その情報量にはかなりの開きがあって、一般消費者向けサイトでは、行政向けサイトの6割程度の事故件数しか公表されておりません。内容についても、個人情報や商品が特定できる情報以外にも、具体的な現象や状況等についての記載内容が省略されております。
その事例として、9ページの真ん中より少し下の方にサンプルを挙げております。消費者庁の事故情報データバンクに掲載されている例として「7年前に購入した新車。3年前に不具合で点検するも異常なしと回答。年明けに同様症状が再発したが、店は不具合を認めず不納得」、これだけの記載です。
しかし、行政向けの事故情報データバンクをのぞきますと「7年前に購入した新車。3年前に不具合で点検するも異常なしと回答。年明けに同様症状が再発したが、店は不具合を認めず不納得」、その後にさらに「3年前もアクセルの減速がきかず、急ブレーキで止まるしかなかった。メーカーに点検してもらったが異常なし。その後、1か月前に同様症状が起きた」などの記載も併せて行政向けには載っていますが、一般向けには載っていないということであります。
事故情報データバンクには、独立行政法人国民生活センター・消費生活センターが参画しており、PIO-NETから情報が転載されています。PIO-NETには、相談内容に対する処理結果、メーカー等へのあっせんや関係機関の案内などが登録されていますが、事故情報データバンク(一般向けサイト・行政向けサイトともに)では、その処理結果の内容が全く公表されておりません。
次に、10ページにまいります。2つ目の柱で、事故・不具合情報やリコールに対する分析の問題を掲げております。再リコールに向けた取り組みの必要性を非常に感じたので、そのことを報告しているわけで、実態として、国土交通省は独立行政法人交通安全環境研究所に対して道路運送車両法第63条の2第6項または第63条の3第5項に基づいて、リコールの必要性やリコールの具体的な改善措置の内容の妥当性について検証させることとしています。
平成20年度・21年度・22年度に、交通研は、国土交通省の依頼を受けて計422件の事案について検証を実施しています。その調査結果として、不具合情報やリコール届けに関する検証が効果的に実施されていない。
平成17年度から21年度の5年間のリコール届出の総数が1,518件あります。そのうち、再リコールの定義については下の注に書いておりますが「同一車両において同一のまたは関連する原因による不具合を理由として複数回リコールが届け出られた事例」、もう一つ「対象車両の範囲を拡大して、同一のまたは関連する原因による不具合について複数回リコールが届け出られている事例」、これらを総称して我々は「再リコール」としました。そういう再リコールに該当する事例が何と140件も見られました。
報告書の後ろの方に大変詳しい横長のA3の表がございます。少し薄いのですが、色塗りしてあるのが、同じリコールが重ねて2回あるいは3回行われているケースです。
国土交通省は、上記再リコール事例のうち、20年度及び21年度の再リコール事例(56例)のうち、5事例について、交通研に技術検証を依頼しましたが、そのうち2件については、当該検証を経て届け出られたリコールについても、その後、新たにリコールが届け出られることとなっております。再リコールに至った要因としては「新たな情報の入手によって真の原因が後に判明したこと」「リコール対象車両の抽出手順が不適切だったこと」などが挙げられております。
3番目の柱として、リコール届出実施の問題を調査いたしました。リコール届出公表までの迅速化の問題にスポットを当てておりまして、メーカー等が道路運送車両法第63条の3第1項により、リコールを実施する場合は、国土交通省に届け出ることが義務づけられており、届出の時期については、法令では特に定めがありませんが、通達レベルにおいて、リコールの届出の必要性を認めたときは速やかに届け出るべき旨が定められております。
調査した結果、リコール届出が速やかに行われていないのではないか、という指摘をさせていただきたい。メーカー等は、リコールの実施を決定した後は、迅速に届け出ることを基本方針としているとおっしゃっています。しかしながら、平成20年度・21年度の国産車のリコール届出416件のうち、少なくとも34件は、メーカーがリコールの実施を決定してから国土交通省への届出までに2か月以上を要しており、うち8件は、決定から届出までの期間に対象車両に不具合が発生したケースがございます。
また、輸入事業者については、リコール等の市場措置の実施を決定するのが本国のメーカーで、その通知を受けてから具体的な準備が始まる点で、国産車メーカーとは事情が異なるものの、平成20年度・21年度の輸入車のリコール届出183件のうち、少なくとも32件は、本国のメーカーから市場措置の実施について通知があってから国土交通省への届出までに4か月以上を要しており、うち3件は、本国からの通知から届出までの期間に対象車両に不具合が発生しておりました。
次に、12ページです。リコール届出等の実施に関する2つ目のポイントとして、リコール届出の後の実際のリコール措置の実施率の問題です。メーカー等は、道路運送車両法第63条の3第4項及び同法施行規則51条の2第1項の規定に基づいて、国土交通省に対してリコールの実施状況を四半期ごとに報告しております。
調査の結果、事例マル1として、平成20年度及び21年度のリコール届出599件の実施率は、3回目(四半期ごとの3回目)の報告(届出後、約6か月から9か月の時点の実施率)で80%を超えており、おおむね高い水準で進捗しています。しかし、個別の事案によっては実施率が低いままとなっているものもあり、平成20年度のリコール届出295件のうち、5回目の報告(届出後、12か月から15か月の時点の実施率)で50%に達していないものが17件、全体で言うと約5%見られました。また、リコール届出後、まだリコールの措置が実施されていない状態で事故・火災が発生したものが14件ありました。
13ページにまいります。実施率の向上に関する2つ目の問題ですが、メーカー等へのヒアリング結果において、実施率が低い要因としては、ユーザーが転居・車両売買の際に、変更登録や移転登録を実施しないために、リコールの通知がユーザーに届かないことを挙げておられます。また、リコールの通知がユーザーに届いても、安全性に影響がないように見える事案等ではユーザーが対応しないこともあること。ユーザーが「車検を通ったから大丈夫だろう」という誤った認識を持っている可能性があることなどが挙げられました。
ユーザーアンケートにおいては、全体の約8%が、自動車の所有者や住所が変わる場合でも、特に変更登録を行わないと回答しておりました。
最後の14ページです。リコール関連で、市場措置には実は3つのパターンがあるわけですが、この問題についてスポットを当ててみました。リコールという制度以外にも「改善対策」と「サービスキャンペーン」という2種類の市場措置、この後者の2つは通達に基づいて運用されています。これらは、道路運送車両法に基づく制度ではないため、同法に基づく国土交通大臣による勧告、公表及び命令の対象にはなっておらず、実施状況・実施率の報告義務もなく、同法における罰則の適用もありません。
調査の結果、この3つの制度の違いについて、そもそもユーザーに理解が浸透していないということがわかりました。我々がやったユーザーアンケートにおいて、リコール、改善対策、サービスキャンペーンの3つの制度について尋ねたところ、14.8%が「すべてよくわからない」と回答し、49.5%が「3つの制度の中で知っている制度と知らない制度がある」と回答し、22.4%が「3つの制度に違いがあることは知っているが、具体的に何が違うのかは知らない」と回答しております。
メーカー等へのヒアリングにおいては、3つの制度の区分によって運用上の違いはなく、届出に至る期間や実施率についても区分による違いはない、というヒアリング結果は得ておりますが、ユーザーにとっては非常に理解が浸透していないという結果が出ています。
走って説明しましたが、詳細は、資料1-2、大変膨大な報告書になっておりますが、こちらと添付資料をごらんいただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。

続きまして「自動車リコール制度に関する建議(案)」につきまして、佐野委員より御説明をお願いいたします。

○佐野委員 今年の初め、トヨタのプリウスやレクサスなど、いわゆる世界車のリコールの在り方が非常に大きな消費者問題になり、それをきっかけに調査いたしました。今、中村委員が報告された調査をもとにして、消費者委員会として国土交通大臣・内閣府消費者担当大臣に対して建議することにいたしました。
建議案(PDF形式:33KB)は皆様のお手元にあるとおりですが、今、中村委員の説明にあった3つの柱を中心に、4つの建議事項という構成になっております。その案を簡単に説明したいと思います。
まず、1ページのところ「1 事故・不具合情報の収集及び公表について。(建議事項マル1)国土交通省は、以下の点に留意して、事故・不具合情報の収集及び公表制度の抜本的な改善を図ること。『自動車不具合情報ホットライン』の存在を消費者に周知し、十分な情報収集を図ること。メーカー等に対する事実確認を適時に行うこと。上記の事実確認において得られた情報について、できるだけ詳細に公表すること。メーカー等から四半期ごとに報告されている不具合情報を整理の上、消費者の注意喚起に資する情報を公表すること」。
先ほどの説明にもありましたけれども、自動車の不具合情報、つまり「自動車不具合情報ホットライン」というものがあるのですが、私たちがアンケート調査をした結果、存在自体を知らない方が8割以上おられます。この制度を設けた趣旨が十分生かされていないということを私たちは思いまして、消費者にきちんと周知する必要があると考えております。そして、メーカーに対しては事実確認をきちんと行うこと、また、事実確認で得られた情報を、できるだけ詳細に消費者に知らせる必要があると私たちは思っています。
もう一つは、メーカーから国土交通省に四半期毎に不具合情報が報告されておりますが、その内容は公表はされておりません。ですから、それはきちんと整理をした上で、消費者の注意喚起に資する情報として、広く、事故・不具合情報をユーザーと共有すべきだと私たちは考えております。
次に3ページ「(建議事項マル2)消費者庁は、国土交通省と連携して、同省が保有する情報が、消費者庁とすみやかに共有され、事故情報データバンクに反映されるようにすること。事故情報データバンクにおいては、事故情報の公表が不十分であるため、運用の改善を図ること」。
これは消費者庁に対してです。事故情報データバンクは9つの機関が協力していろいろ情報を集めていますが、国土交通省のリコール対策室はこれに参画していらっしゃいません。消費者庁と国土交通省は、連携を図り、お互いの情報を共有し、双方の情報提供の充実を図るべきだと考えます。
事故情報データバンクの中身ですが、一般消費者向けと行政向けの2つのサイトがあります。個人情報などを考えますと、2つのサイトがあることに関してはいたし方ない部分もありますが、個人情報には関係ない部分、例えば両者の情報件数または各情報の内容、消費者に有益な事故や不具合の実態がわかるような形で、きちんと情報提供をする必要があると思いますので、ぜひ改善をしていただきたいと思います。
次に、4ページになります。「2 事故・不具合情報やリコールに対する分析・検証について。(建議事項マル3)国土交通省は、再リコール事案につき早急に検討を行い、次のような対策を講じること。すでにリコールを実施した車両について。マル1当該リコールと同種の不具合が再発した情報を得た場合や、マル2当該不具合を理由とした2回目以降のリコール届出があった場合、これらの情報及び改善措置に対して、適切かつ効果的な技術検証を実施すること。リコール届出における対象車両の範囲を誤らないようにするために、メーカー等からの不具合情報の報告、リコール届出、立入検査等の機会に、部品の組み付けや製造工程の情報等の管理状況について適切に把握できるよう、監査方針を見直すこと」。
平成17年度から21年度まで5年間で、全リコール届出件数が1,518件ありましたが、その中の140件が再リコール、複数回リコールがされていることがわかりました。同一車両について、不十分な検査等が要因となって度重なってリコールを行うような事態をなくすとともに、対象車両の範囲を誤らないようにするために、監査方針を見直すなどの対策をとる必要があると考えます。
次にいきます。5ページ「リコール届出等の実施について。(建議事項マル4)国土交通省は、リコールの迅速な届出を促進するために、明確な基準・目標等を示すこと。リコール情報がより確実にユーザーに届き、リコールの実施率が向上するよう、その進捗状況を一層注視するとともに、ユーザーに対しても自動車の登録手続や改善措置の実施の重要性について効果的な周知を行うこと。リコールに関連する制度(改善対策・サービスキャンペーン)についてもより一層の周知を行うこと。また、中期的な課題として、市場措置の届出区分(リコール・改善対策・サービスキャンペーン)について、現在の在り方を見直すこと」。
メーカー内でリコールの実施を決定してから届出をするまでに、国内車では2か月以上経っていたり、また輸入事業者では、4か月以上を要しているという事案も見られております。
リコール届出のタイミングについては、速やかに実施すべきということが通達で規定されているだけですが、やはり明確な基準・目標を示すことが必要だと考えております。そして、リコール届出後のおおむね9か月までには実施率80%を超えているというかなり高いものもありますが、同時に、実施率がかなり低いものもあります。さまざまな理由があることは、今回の調査でもわかりましたが、ユーザーに対して、自動車の登録手続や改善措置の実施の重要性について、効果的な周知を行うことが必要であると思います。
最後になりますが、リコールと異なり、道路運送車両法に定められていない通達というのがありまして、改善措置、サービスキャンペーンという制度が設けられています。この3つの制度の違いを具体的に知っているユーザーはたった13.3%でありますし、また、メーカーにとっても、必ずしも届出区分の違いが明らかではないこともわかってまいりました。よって、この3つの区分の在り方を見直すことを求めます。
以上「自動車リコール制度に関する建議(案)」であります。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまお読みいただきました建議案につきまして、御意見のおありの方はどうぞ御発言をお願いいたします。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今、説明した後で何なのですが、2つあります。まず1つは、5ページの建議事項マル4の最初の「リコールの迅速な届出を促進するために、明確な基準・目標を示すこと」と、ここで建議としてありますが、これはいつまでに届けるべきか。5日なり1週間、10日、1か月、それは検討していく過程で日数を決めていただきたいのですが、ぜひ具体的に検討することを求めていくべきだと思います。これは多分、法改正が必要ではないかと思っております。
もう一つは、リコールと改善対策、サービスキャンペーンという3つの区分の在り方です。消費者もよくわかっていないし、事業者の方々も実際にはわかりにくいとおっしゃっている。届出先も、大臣であったり、局長であったり、課長であったりと、非常に複雑です。「現在の在り方を見直すこと」となっているのですが、私は消費者目線からということで、この3つの措置を、家庭用品などのように一般安全についても、リコールの要件とするような法律の改正を検討していただきたいと思います。
この2点、建議書の中には具体的に書かれておりませんけれども、関係省庁の方はぜひ検討していただきたいと思います。
建議案には賛成です。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 この建議案につきましては、賛成いたしております。
ただ、この建議案について、各省庁が実行に移されるのは12月までということになっておりますので、できるだけ速やかにやっていただきたいということはお願いしたいことと、併せまして、一般消費者にとりましては、事故情報データバンク、それから国土交通省が出しているホットラインがありますが、周知がなかなか難しくなっておりまして、消費者庁が設置されましたときにそこの区割りがされたと伺っております。したがいまして、今のような状態になっているのかと思いますが、一般消費者にとっては非常にわかりにくいし、どこか1点を見ればわかるようなものになっているとよろしいかと思いますので、積極的に事故情報データバンクに反映していただければいいのではないかと思います。
それから、今、佐野委員もおっしゃいましたように、リコールの3つの制度に関しまして、一般消費者というのはわかりにくいと思います。これをわかりやすく、何らかの方法で現在の在り方を見直していただきたいということをお願いしたいと思います。
以上です。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 昨年秋以来、トヨタのリコール問題が注目されて、日本とアメリカのリコール制度が大分違うようだ、どうなっているのだろうというところから始まりまして、事務局は大変な作業をした成果として今日の報告に至っているわけで、特に国土交通省におきましては、ぜひ重く受けとめて改善をお願いしたいと思います。
現状が非常にまずいとか何とかということではありませんで、日本の自動車産業は非常に発展し、かつ確実に運営されていると思いますが、より一層発展するためにも、消費者の信頼をかち取っていくことが必要だと思いますので、そういう観点から改善をお願いしたいと思います。調査の過程で、輸入車と国産車の扱いがかなり違うというところも、細かな資料からわかってまいりました。逆に言うと、諸外国に輸出した場合の日本車の諸外国におけるリコールや、その他の運用も気をつけてやっていただくことが、自動車産業の発展のためにもいいのかなと思いました。
それと、本当に細かいこと、いろいろな事情がたくさんわかってきたのですが、これからも消費者委員会としては、国土交通省・消費者庁とこの問題について協議しながら、消費者のために、あるいは業界のために、役に立つ改善が実現できるようにしていきたいと思いますし、よろしくお願いいたしたいと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 今回は建議ということですので、行政に対しての意見がまとめられているわけですけれども、補足的に、自動車メーカーに対してお願いといいますか、望みたいことを申し添えておきたいと思います。
自動車というのはかなり特殊な商品であろうと思っています。それは、リスクとベネフィットの微妙なバランスの上につくられて市場に出されているということで、絶対安全な車というのはあり得ないわけです。あれだけのスピードが出るものですから、そもそもリスクを持っている商品。したがって、使う人は運転免許が必要であり、車検という制度があり、それに加えて、不具合が発生したときにいち早くそれは食い止めなければいけないことですから、リコール制度というものが設けられている。少しでも不具合による事故の発生を防止するための、さまざまな仕組みができているということであります。そのことをもっときちんと事業者は認識していただきたい。特にこのように再リコールが多いということは、私はちょっと、何なんだろうという感じがいたします。
もう一つ問題なのは、耐用年数、いわゆる食品のような賞味期限がないということがあります。それから、運転免許という資格は必要ではありますけれども、要するに運転者の技術的な問題もあって、そういうことはリスクとして加算されていくわけですので、なお一層の安全性というものは、いろいろな形で担保されていかなければいけないと思っています。
ですから、不具合が発生したときは、とにかく早くその情報を公開して、そして、回収して改善をしていくことが求められるわけですけれども、その上に、なぜそのような不具合が発生したのか、リコールに至るようなことが起こったのか。それは設計上の問題であったのか、設計上の問題に加えて製造工程のところに何らかの問題があったのか。あるいは、テスト走行というものはかなり厳しくやられているはずですけれども、一般に使用される条件とテスト走行とでは違いがあって、実際に使用されている現場で問題が発生してくるという、予期しないことが起こったのか。
それらすべて、不具合の原因になったことについて徹底的に事業者の中で原因究明をして、なお一層安全な車を世に出していただく努力を事業者の方に望みたいと思います。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 今回、こういった建議が出せたことに非常に満足しております。初めての建議でありまして、事務局の方が必死になってまとめてくださったわけですけれども、これは別に国交省とか消費者庁、行政の欠陥をあげつらうということではなく、やはり消費者の立場に立って安心・安全をどういうふうに担保するのか。そのために私たちも必死になってやっておりますので、今後とも、国交省、消費者庁と協力して消費者の目線で行政をやっていただきたいと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 事故とか不具合情報というのは、できるだけたくさん拾い集めて公表する。公表することによって、消費者はもちろん、行政もメーカーも事業者も含めてみんなで事故・不具合情報を共有する中で、メーカーはより安全な製品の改善に向かっていくだろうし、ユーザーも事故に遇わないように注意もできる、行政も適切な措置が講じられる。こういう意味で事故情報は公共の財産であることは、すでに平成6年の製造物責任法の立法当時から国会で言われてきたことです。
しかし、その後、なかなか進まない。たまたま国土交通省のホットラインが平成12年にできて、あのときは非常に画期的でした。ユーザーからの情報だけで、車名とか通称名を実名で全部出すというやり方は、今までほかの行政分野にはなかった。でも、それをおやりになったという点は私どもは大変評価しておりました。ほかの分野にもっと広がるといいなと思っていたのですが、なかなか広がらないで、そして、昨年の消費者庁関連法案の審議の国会の場で、事故や不具合に関する情報はできるだけ国民と共有して公表していくものだ、情報の公開も必要だということが繰り返し言われております。
私たちは、まさに消費者目線でこの収集・公表制度を見たらどうかということで、改めてホットラインにもスポットを当ててみたら、評価していた半面、まだまだ歯がゆい、不十分だということがたくさん見えてきたので、今回は、長年言われ続けている事故・不具合情報の国民すべての共有化、これに向けて抜本的に進んでいっていただきたい。そういう思いを込めて、冒頭に収集・公表問題を取り上げているわけです。
今までも進展に時間がかかっておりまして、12月の時点で一度チェックさせていただきますけれども、早急に収集体制の見直し、公表の在り方、この辺は見直す。皆さんも一生懸命やってきていると、思っておられるかもしれませんけれども、私どもが今回見直した視点を踏まえて、改めて、より一層収集・公表がスムーズにはかどって万全を期せるように、ぜひ改善を検討していただきたい、こう考えております。これから予算要求の時期になりますけれども、そういう中でも必要な予算や人員のことに結びつくのであれば、そういう点も今のうちから踏まえて、早いうちに収集・公表制度が完備するように、ぜひ努力していただきたいと思います。

○松本委員長 田島委員、どうぞ。

○田島委員 初めての建議、リコールということを議題に挙げて、大変喜ばしいことだと思います。
ただ、一つ申し上げたいことは、ユーザーアンケートにもあらわれていますように、一般ユーザーは7,000万人ぐらいいますけれども、そのほとんどの人たちが、正直言って、自戒を込めて、車というのはディーラー任せにしていて、事故情報等についてはそれほど関心を持っていないのも現実だと思います。このことが、国土交通省がメーカーだけを指導するのに懸命になっていて、一般ユーザー、消費者に対する啓発活動が少しおろそかになってきたことの理由だとも思っております。やはり消費者委員会としては、この建議を契機にしまして、一般ユーザーに対する啓発活動も視野に入れていっていただきたいというふうに感じております。

○松本委員長 すべての委員から御発言をいただきまして、この建議案に御了解いただいたということでございます。したがいまして、消費者庁及び消費者委員会設置法の第6条に基づきまして、国土交通大臣及び消費者担当大臣宛てに建議を行いたいと思います。そして、建議の序文のところに書いてございますように、本年12月までに、この建議に対する関係省庁の対応状況、実施状況について、ヒアリングを行いたいと思います。ありがとうございました。

≪3.健康食品の表示に関する検討会について≫

○松本委員長 それでは、次の議題でございます。「健康食品の表示に関する検討会について」です。
「健康食品の表示に関する検討会」については、消費者基本計画におきまして、「マル1特定保健用食品等健康増進法に基づく特別用途食品の表示制度の在り方、マル2健康食品の表示の適正化を図るための表示基準及び執行の在り方等について論点整理を行い、消費者委員会へ報告し、その意見を踏まえ、所要の措置を講じます。」となっており、平成22年夏を目途に論点整理を消費者委員会に報告するとなっております。
当委員会では、第24回の委員会におきまして、消費者庁から中間報告をいただいて議論をしておりますが、本年7月28日に11回の検討を終えて、このたび、検討会としての論点整理をとりまとめたということでございますので、本日の委員会におきまして、消費者庁から報告をいただくことにいたします。
それでは、消費者庁食品表示課より御説明をお願いいたします。

○相本食品表示課長 「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理について、御報告を申し上げます。
資料につきましては、お手元の資料3-1、論点整理の概要(PDF形式:99KB)資料3-2、論点整理の本文(PDF形式:454KB)をお配りしております。御参照をお願いいたします。
資料3-2でございます。1ページ目「健康食品の表示に関する検討会」論点整理です。まず、前段といたしまして、この検討会の開始の経緯、あるいは論点についての説明を加えております。
経緯ですけれども、昨年7月、特定保健用食品の表示許可を受けていたエコナ関連製品に、グリシドール脂肪酸エステルという不純物が高濃度に存在することが判明したことに端を発し、消費者庁には、多くの消費者の方々から、特定保健用食品の表示許可制度に対するさまざまな御意見、御要望をいただいたところです。
このような経緯を踏まえまして、消費者庁において、昨年11月より、「健康食品の表示に関する検討会」を開催し、特定保健用食品及び栄養機能食品や、それ以外の「いわゆる健康食品」も対象として、特保制度が表示の整序化にどのような役割を果たしてきたかを、この制度の廃止も視野に入れて考証し、併せて、諸外国や国際機関における表示制度や、虚偽・誇大な表示や広告の実態把握などを行い、大まかに3つの論点、一つが健康食品の表示の現状の把握・課題の把握整理、特保等の表示制度の在り方、いわゆる健康食品の表示の適正化を図るための表示基準や執行の在り方などを、検討項目として議論を進めてきたところです。
この検討を開始するに当たり、検討会におきましては「健康食品」という概念自体が法律上は明確に定義されていないことから、特定保健用食品、それ以外に「いわゆる健康食品」「体調や健康の機能を表示・示唆する食品」全般について、サプリメントの表示も含め、幅広い議論を行うことといたしました。
この点については、食品に関する国際規格を定めるコーデックス委員会における整理、あるいは、諸外国、米国、EU等の現状についても調査を行い、このようなフード・サプリメントに関する制度が整理されつつあるという現状を踏まえて、議論を進めるとともに、国際的な動向との整合性や、国内事情も考慮しながらの検討といったことも、委員の中から御意見をいただいたところでございます。
いわゆる健康食品を含めて、人が口から摂取するものについては、総合的に判断して医薬品とみなされるものは、仮に食品の名目のもとに製造販売されるものであっても、薬事法に基づく指導取り締まりが行われることとされており、食品については、疾病の診断、治療・予防等の効果効能は表示することはできないこととなっております。
一方で、このような「体調や健康の機能を表示・示唆する食品」「いわゆる健康食品」等々を含めると、約2兆円近くにも及ぶ大きな市場が形成されている実態があり、多くの国民の皆様がこれらの商品に高い関心を持って、日常的に利用されていることが示されています。また、テレビCM等を通じた事業者の販売促進活動も、活発になっているという現状があります。
我が国においては、昭和50年代から学術研究において、食品の有する体調調節機能の意義が明らかとなってきたことを踏まえて、平成3年には、これらの機能を消費者に伝える表示制度として特保制度を創設し、食品であっても、その機能性に科学的根拠が認められるものについては、国の審査を経た上で、保健の機能の表示を認めることとなりました。
一方、これ以外のいわゆる健康食品につきましては、その容器包装などに特定の保健の目的や効果が期待できる旨の表示を行ったり、特定保健用食品の表示の許可を受けずにそのような表示を行った場合には、食品衛生法、健康増進法などに違反することとなり、罰則等の適用があります。また、容器包装以外でも、テレビCM、広告等に関しても、虚偽・誇大な表示、広告を行った場合には、法に基づく勧告・命令等の措置の対象となっています。しかしながら、これらの法令におきましては、対象となる範囲、行政がとり得る措置が限定されている。あるいは、違法であるかどうかの判断基準が明確になっていないなどの理由により、必ずしも効果的な執行ができていないことが指摘されているところです。
一方で、我が国におきましては、海外では表示が認められている成分の表示が認められていない、あるいは逆に、表示はされているけれども、その機能性に何らの科学的根拠も確認できない食品が販売されているといった実態もあり、消費者の適切な商品選択が困難となり不適切な摂取を招き、健康食品に対する不安を招くなどの懸念も生じているところです。
このような状況の認識の下に、検討会において議論を行い、これらの問題に対する今後の対応方策について、大きく2つに整理しております。
1点目として、今後対応すべき方向性が明らかとなった課題については、消費者庁において早急に対応すべき方策を明らかにする。さらに、制度的な対応を要するなど、慎重な検討が必要な課題については、消費者委員会において更なる御議論をいただくことを求めるということで、論点整理を行ったところです。
3ページの2以下で、具体的な課題と対応方策の提案がなされております。
まず1点目といたしまして、特定保健用食品の表示許可制度です。特保制度については、平成3年の制度創設以降、有効性・安全性の審査手続を充実させ、その品目の増加に伴って市場規模を拡大してきたところです。検討会においては、このような経緯、許可手続の詳細も検証し、制度の廃止も含めて同制度の在り方についての議論を行ったところです。
特保制度につきましては、大きく3つほどの御意見がありました。具体的には、健康食品というのは食品の一類型であって、疾病の治療を目的として利用するものではないことを確認すべきである。あるいは、特保制度が国民の健康の増進を図るという健康増進法の目的にどの程度寄与しているのか、必ずしも明確でない。一方で、特保制度は現在においても、機能性が証明された成分を含む食品の類型を明らかにするなど、食品の機能性表示の適正化に一定の役割を果たした、といったような御意見があったところです。
また、今後改善していくべき点といたしましては、表示の許可手続、科学的な評価の方法に不明瞭な点が見られることから、消費者の信頼を確保するため、審査の枠組みについても総合的に見直し、手続の一層の透明化、許可の事前・事後の科学的な評価の改善も図るべきである。あるいは、許可後に生じた新たな科学的知見を収集する体制を整えるべきである。許可表示の内容にあいまいな面があったり、許可を受けた内容を超えた広告がなされるなど、消費者に正確な情報が伝わっていない面があることから、表示や広告の内容の改善を図るべきであるといった御意見。さらに、事後的に科学的知見が得られた場合の、再審査手続をめぐる制度的な問題点についても、課題が挙げられたところです。
これらの議論を踏まえまして、検討会におきましては、以下の具体的な対応方策が提案されたところです。
また、この制度に係る課題につきましては、消費者委員会においても更なる御議論をいただくことを求めており、これにつきましては後段でさらに提言がなされているところです。
消費者庁において早急に対応すべき方策の1点目といたしまして、特定保健用食品の表示許可制度の透明化、4ページの下の段です。ここで3点の提言がなされております。
1点目、アとして、特定保健用食品の表示許可に当たっては、申請者に対して消費者庁が、有効性等の審査が必要な資料の提出を求めております。これらの資料については、デザイン、適用条件について、大まかな枠組みのみしか示されていないという現状があり、その結果として、申請ごとに提出資料にばらつきがあるといった状況が生じております。
消費者庁においては、審査に必要な試験デザイン、適用条件について、コーデックス委員会において採択された勧告等も総合的に勘案しながら、具体的な枠組みを今後示すべきである、とされております。
2点目、イとして、特保の表示許可手続に関しましては、消費者庁が食品安全委員会・消費者委員会の意見を聞いて、その許可の適否を判断することになっております。このように、審査の過程で複数の行政機関が関与し、この中で審議の公開・非公開の考え方、公表すべき情報の範囲が必ずしも統一されていないことから、外部的に審査の進捗状況が把握しづらいという御意見をいただいております。
このため、消費者庁におきましては、関係機関との調整の上、公表すべき情報の範囲、審査の基準などを統一して、手続の透明化を図るべきという提案です。
3点目のウとして、特保制度で許可実績が一定以上蓄積されている分野については、規格基準を定めることによって簡便な審査を行う。具体的には、9成分(10用途)についての規格基準が定められているところです。現行においては、許可件数がおおむね100件を超えているなどの要件で、この規格基準を定めていますが、さらに審査の迅速化・透明化を図る観点から、これまでの知見を生かして、例えば医薬品の作用との類似・相乗・相殺作用などの問題がない類型につきまして、新たな規格基準をつくっていくことを検討すべき、ということが提言されております。
2点目といたしまして、許可後に生じた新たな科学的知見の収集です。消費者庁におきましては、特保の表示許可を受けた者に対して、許可を受けた後で何らかの科学的知見を入手した場合には、遅滞なく報告を求めるという条件を付しておりますが、実際にはこのような報告は集まっておらず、十分に情報を把握できているとは言いがたい状況にあります。
したがいまして、以下の2点の措置を講ずるべきという提言がなされております。
1点目といたしましては、6ページのアです。消費者庁は、表示許可後も、関連する科学的知見を事業者に収集させ、定期的にとりまとめて報告させる。さらに、消費者に対してもわかりやすく情報を提供する仕組みを構築すべきである。
2点目として、表示の許可を行った後に新たな科学的知見が生じた場合には、必要に応じて消費者庁が再審査を行って、その許可を取り消すかどうかを判断するということになっております。
このような新たな科学的知見が収集された場合、必要に応じて再審査の手続を開始することになりますが、並行して、一回許可された保健の機能の表示、あるいは注意事項に関しましても、新たな科学的知見を踏まえて、必要があれば速やかに事業者に表示の変更を求めることを制度上明らかにすべきである、ということが提言されております。
3点目、保健の機能を適切に伝える表示・広告方法です。特保の表示許可に当たり、消費者庁は、表示できる保健の機能等について指定を行っておりますけれども、この表示自体が内容があいまいである、あるいは、その機能性の程度が消費者に正確に伝わっていないという御指摘もいただいております。
また、食品のCM、広告等に関しましては、許可の対象とはなっておりませんが、実際に許可を受けた表示内容と比べて、その文言、イラスト等の表現方法を用いて機能性をアピールするということで、結果として消費者に誤認を与える原因となっているという御指摘もいただいております。
このため、消費者庁といたしましては、7ページのア・イに掲げる措置を講ずるべきということが提言されております。
1点目といたしましては、消費者庁が表示許可を行うに当たって、提出を求めた試験データに基づいて表示を行うことになってございますが、表示された保健の機能が適切に期待される摂取条件(摂取の対象者あるいは摂取期間)がわかりやすく記載されるように、表示方法の改善を図るべきであるということです。
なお、表示につきましては、科学的な根拠に基づくことは当然であり、また、薬事法などの他法令に抵触しないようにすべきということは、当然維持されるべきですので、具体的な表示の在り方については、厚生労働省と十分に調整すべきとされております。
2点目として、特保の広告でございます。これにつきましても、許可を受けた表示とそごがないことは当然であり、著しく異なる広告については、法に基づく虚偽・誇大表示規制の対象ともなり得るということです。他方、許可を受けた表示内容を超えた表現を含む広告が現にあっても、その規制が十分になされている現状とは言えないという指摘がなされております。
したがいまして、このような広告を掲載した事業者に対しては、虚偽・誇大な表示・広告規制の対象となり得るということで、その内容の変更を求め得ることを明らかにした上で、法に基づき厳正に対処する。また、許可を受けた表示内容と広告が整合性を図るように、広告に係るガイドラインの作成を行うべきという提言がなされております。
2点目でございます。健康食品の表示・広告規制。いわゆる特保以外の健康食品に関しましては、疾病の治療等の効能効果を標榜した場合には、薬事法に反する。また、容器包装に関しては食品衛生法、あるいは健康増進法との表示規制の対象となります。また、容器包装以外にも、テレビCM、新聞広告等に関して、健康増進法や景品表示法に基づく勧告・命令の措置の対象という、制度上の整理がなされているところです。
現実には、消費者に誤解を与えるような健康食品の表示・広告は数多く見受けられるという指摘がなされております。したがいまして、健康食品の表示・広告規制に関しては、違法な表示や広告を放置することによって、国民の健康の保持増進に悪影響を及ぼし、また、消費者による正しい商品選択を不可能にするという問題が生じる。一方で、健康増進法に基づく表示・広告規制に関しては、消費者庁・地方厚生局が所管しておりますけれども、実際にはこの担当官が極めて少数である。また、現場で指導監督を行う保健所等の地方公共団体には、勧告・命令を行う権限が付与されてないといった、執行体制の脆弱という問題があります。
また、食品衛生法に基づく表示の規制に関しましては、容器を対象としていて、広告宣伝は対象となっておりません。また、事業者に対する指示、勧告などの規定も置かれていないということで、法の改正により、この検討を行うべきであるという御指摘もいただいているところです。
また、表示・広告規制の効果的な執行に関しまして、健康増進法に基づく虚偽・誇大広告の効果的な執行を確保すべきである。また、景品表示法等の他法令、あるいは事業者団体等の連携も促進すべきであるといった御意見。さらに、表示・広告規制に関する制度的な問題点についても、さまざまな課題が挙げられたところです。
他方で、このような表示・広告規制を、今後、効果的に行うことを前提とすれば、食品の機能性に関する情報を、消費者にわかりやすく伝えるための制度設計を研究することも考えられるのではないか。あるいは、特保制度はすでに存在するけれども、高い科学的根拠が要求され、審査も長期間に及ぶといった問題点があって、十分に機能していないのではないか。あるいは、国際的にすでに科学的評価は固まっているような、一定の科学的根拠を持つ成分については、機能性の表示を認めてよいのではないかといった御意見もございました。
このようないわゆる健康食品の表示に関する議論を踏まえまして、検討会においては以下の提案がなされたところです。9ページのマル1です。
まず、虚偽・誇大な表示・広告規制の効果的な執行に関して、健康食品の虚偽・誇大広告に関しては健康増進法、景品表示法、食品衛生法の連携により、効率的・効果的な規制を行うことが望まれることを前提として、以下の3点の提言がなされております。
1点目として、虚偽・誇大な広告や表示に関する基準を明確にする観点から、消費者庁として、虚偽・誇大なおそれのある表示広告の具体例を明らかにするなどしたガイドラインを速やかに作成することで、効果的な執行の確保に努めるべきである。
2点目として、消費者庁において、インターネットにおける虚偽・誇大広告の監視、改善指導を行っているところです。本年3月に消費者庁が改善指導を行った際には、迅速な是正措置がとられたところですが、今後、消費者庁としてさらにこの改善指導の回数を増やすなどして、一層の監視の強化を進めるとともに、その結果についても公表すべきであるといった提言がなされております。
3点目として、虚偽・誇大な表示や広告に関しましては、健康増進法のみならず景品表示法の規制の対象となっており、違反事業者に対しては、事業者名も含めた公表を行っているところです。
このような執行に関して、事業者に対して合理的な根拠の提示を求めることができる景品表示法の手続も、適時適切に活用するなど、健康増進法の執行と景品表示法の執行の連携を強化して、虚偽・誇大な表示や広告を行う事業者に対する事業者名の公表を含めた、厳正な対処を行うべきであるという提言がなされております。
2点目といたしまして、9ページのマル2です。関係部局・団体との連携促進に関して、まず1点目、虚偽・誇大な表示広告に対しては、関係法令の担当部局間の連携が重要であるということで、まず、薬事法を所管する厚生労働省にも事案を報告するルールを整備し、省庁間の連携をさらに促進すべきである。また地方レベルでも、健康増進法、景品表示法の執行の連携を深められるよう、地方厚生局、都道府県の健康増進担当部局、景品表示担当部局、保健所等の連携をさらに促進すべきであるという提言がなされております。
イとして、事業者の組織する団体や、広告を掲載するメディアの組織する機関等にあっては、自主的に虚偽・誇大のチェックを行っている事例がございます。表示・広告の適正化を図るためには、行政による規制に加えて、これらの自主的なチェック機能を強化することが重要であるということで、消費者庁として、これらの自主的な団体が、消費者の声を反映した中立性の高いガイドラインを策定する、あるいは、審査の参考となるようなモデル条項を策定するなど、メディアが行う自主的な規制に対する助言・支援を行っていくことを求めております。
3点目として、一定の機能性表示を認める仕組みの研究、10ページ目です。現在、特定保健用食品に関しては、その有効性の確認のための無作為化比較試験を要求するなど、高い科学的根拠を要求しているところです。一方で、いわゆる健康食品の表示・広告規制が効果的に行われるのであれば、現在、特保として認められている表示以外にも、消費者にとって一定のレベルの科学的根拠が確認された成分を含む食品について、国が何らかの関与をすることを前提に、一定の表示を認め得る余地があるのではないかといった御意見がございました。
このため、消費者庁としては、コーデックス委員会、米国・EU等の国際的動向も踏まえながら、また、当然のこととして薬事法との関係には留意しつつ、要求される科学的根拠のレベル、認められる機能性表示の類型等に関して、国が客観的に確認できる仕組みなどについて、引き続き研究を進めるべきであるという提言がなされております。
以上、消費者庁に対して、早急に対応すべき方策として論点整理されている内容でございます。
さらに検討が必要な制度的な課題といたしまして、11ページ以降に記載がなされております。まず1点目といたしまして、特定保健用食品の表示許可制度に関して、特保の表示許可後に新たな科学的知見が生じた場合には、消費者庁が、食品安全委員会、消費者委員会の意見を聞いて、許可を取り消すかどうかを判断する再審査手続を行うこととなっております。しかしながら、再審査手続を開始するかどうかという具体的な基準が明らかでなく、また、実際に再審査手続を開始したとしても、このような法的手続を踏まえれば、取り消すべきかどうかを判断するためには時間を要することが考えられます。
「エコナ問題」に端を発し、特保制度に対する消費者の不安・懸念が広がった中で、再審査手続をめぐるこれらの課題については、多くの御意見をいただいたところであり、慎重に御議論いただくべき重要な論点があると考えております。したがいまして、以下に提言されている制度的課題につきまして、この制度の必要性の検証も含めた御検討を、消費者委員会において更なる御議論をいただくことを、検討会として求めるということとされております。
2点ございます。1点目は、現行制度として、消費者庁は「新たな科学的知見が生じたとき、その他必要があると認めるとき」に再審査手続を開始することとなっておりますが、その判断基準が明確でなく、迅速に手続を開始することができないという問題があります。このため、再審査手続を開始するかどうかの判断基準を明らかにすること、また、新たな科学的知見の報告義務を事業者に課すこと、さらに、迅速に判断できる体制を整備することなどが制度上求められており、具体的な方策についての引き続きの議論が必要である、とされております。
2点目として、消費者庁が再審査手続を開始した後、食品安全委員会、消費者委員会の意見を聞いた上で判断するということで、相当の時間を要する仕組みになっております。
このため、表示許可の取り消しの判断以前であっても、消費者への注意喚起を促すための表示を義務づける、あるいは、許可を一時的に停止する仕組みを構築することも考えられるところです。こういった場合に、ではどのような表示を義務づけるべきか。また、表示の義務づけや許可の一時停止の判断基準はどのように考えるべきか。あるいは迅速性ということを考えた場合に、判断に当たって食品安全委員会や消費者委員会の意見を聞くべきかといった論点、あるいは特保制度自体に許可の更新制を導入すべきかどうかといった、特保制度の在り方についての制度設計について、引き続きの議論が必要であるというふうに整理されております。
それから、健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組みに関する検討です。特保に限らず、健康食品全般に対する消費者の関心が高まっている中で、検討会において、現在の表示規制が不十分であることが多くの消費者の不安を招いているのではないか。また、このため、より効果的な表示規制の仕組みが必要ではないかという観点からの議論があったところです。また、食品の摂取が人体にどのような影響を与えるかといった科学的な情報を、消費者へさらに正確に提供する仕組みが必要という御議論があったところです。
このような制度的課題について、さらに議論すべき重要な論点が多く残されていることから、以下に挙げる4点について、消費者委員会において専門家の意見も参考としつつ更なる御議論をいただきたい、ということが提案されております。
1点目です。虚偽・誇大表示に関して、さらに効果的・効率的な規制を行う観点から、例えば、現行の健康増進法では、都道府県の執行権限が明確となっていない、表示の虚偽・誇大についての証明責任を行政側が負っている。あるいは、食品衛生法では表示基準は広告を対象としておらず、また、勧告等の行政措置がないといったことを踏まえ、これらの法令、景品表示法の連携による執行力強化の観点から、制度の拡充についての議論が必要と指摘されております。
2点目として、錠剤、カプセルなどのサプリメントに関しては、これを対象とする法制度がないということで、食品の機能性表示をめぐる制度の見直しについても、現行の特保制度の在り方等の検証も踏まえ、一定の機能性表示を認める仕組みの研究の進捗状況や、食品表示に関する一元化な法体系の在り方の検討とも整合性をとりつつ、引き続き議論する必要があるとされております。
3点目として、消費者からの苦情や相談を受け付ける体制、消費者からの申立て制度の整備、事故情報の報告義務化、関係法令の執行状況の公表など、消費者への注意喚起を促す方策についての議論が必要と整理されております。
最後に、食品の機能性や有効性、安全性に関する正確な情報を消費者に適切に提供するため、厚生労働省においては、例えばアドバイザリー・スタッフの養成など検討が進められているところです。このような取り組みとも連携して、医師会・薬剤師会・栄養士会などとの協力を得ながら、消費者に対し適切なアドバイスができる専門家の養成や、科学的な知見に基づく情報を集約・提供する体制の整備等について、引き続き議論する必要があると提言されております。
以上、今般、消費者庁に設置いたしました「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理の概要として、御報告させていただきました。消費者委員会における今後の御検討を、よろしくお願い申し上げます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの検討会の論点整理についての御説明につきまして、どうぞ、御質問、御意見をお出しください。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 1年間にわたって検討を加えていただきまして、御苦労さまでございました。ありがとうございました。
いろいろ質問したいところはあるのでございますけれども、まず、資料3-1は概要で、その概要と資料3-2の論点整理との関係はどうなっているのか。例えば資料3-1で「さらに検討が必要な制度的な課題」というのが「消費者委員会においてさらに議論」というところから矢印が来ているところを見ると「さらに検討が必要な制度的な課題」は消費者委員会に投げかけられているというふうに読めます。3-1の「消費者からの相談を受け付ける体制の整備」「消費者にアドバイスできる専門家の養成や情報を集約・提供する体制の整備」、この2つを消費者委員会に議論を求めているのですが、このことは本文では一言も触れていないわけです。「さらに議論を深めつつ」ということで、これをなぜ消費者庁において検討しないで、消費者委員会に投げかけられているのか、ということを質問したいというのが第1点でございます。
もう一つは、概要の左側の下のマル3に「一定の機能性表示を認める仕組みの研究」となっています。先ほど課長も言い間違えたように、検討ではなく「研究」となっているのは、ちょっとイメージがわかないわけです。研究というのは、研究課題があってそれに従って何か問題を整理するということなので、何か研究にはなじまないような気がするのですが、検討ではなくてあえて研究としてあるのはいかがか。
とりあえず2点、質問したいと思います。

○相本食品表示課長 1点目の御質問でございます。資料3-1と資料3-2の関係は、整理の仕方が必ずしもよくなくて、わかりにくい構成になっていたかもしれません。趣旨といたしましては、この論点整理を行っている中で大きく2つの提言がなされているということです。
一つは「消費者庁において早急に対応すべき方策」として、本文では3ページから10ページにかけて記述されている内容を、資料3-1の左側、紫色に色をつけているところに整理しております。このうち、上段の(1)で、特保の表示許可制度についての提言、下段に、健康食品の表示・広告規制に関する提案が整理されており、これについては、消費者庁として今後すぐ実行に移していくための検討を進める、ということで整理されているところです。
論点整理の本文の11ページから13ページにかけて「(3)さらに検討が必要な制度的課題」については、今回の論点整理の報告を踏まえて消費者委員会において御議論いただきたいということで、検討会の論点整理として整理させていただいたものです。これにつきましては、具体的には11ページの前半で、特定保健用食品の表示許可制度に関する検討ということで、マル1として挙げているところです。
また、御質問のありました、相談を受け付ける体制の整備、専門家の養成等につきましては、12ページ以降、(3)のマル2に「健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組み」として、このような取り組みをどのように進めるべきかについての検討を、消費者委員会において御議論いただきたいということで整理したところです。
それから、2点目の御質問です。10ページのマル3の最後、このような表示を認める可能性があるのかどうかについて「引き続き研究を進めるべきである」ということで、なぜ「検討」ではないのかということです。ここの記述に関しては検討会の中でもさまざまな御議論があったところで、このような仕組みを直ちに具体的につくっていくところまでは難しいのではないか、という考え方が大勢であったところです。したがいまして、ここではまず、どのような仕組みが考え得るのかということを、検討ではなく、一段階もう少し幅広に考えるべきということで、そのような意味で「研究」というワーディングを使っております。いわゆる科学的な試験研究という意味での研究ではなく、具体的な検討を行う一段階前という意味を込めて、研究というワーディングを使っているところです。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私自身、1型糖尿病の患者さんがある健康食品に依存し過ぎて、インシュリンなしでも健康食品を服用し続けていれば大丈夫なんだと信じ込んでしまいまして、死亡したという事件を、今、裁判でやっています。その中で、健康食品を服用し始めて最初は具合が悪くなる。これは「好転反応」といって、健康食品が効き始めた証拠だということで、具合が悪くなっても医者に行かない。その結果、大変不幸な結果になってしまったわけです。ホメオパシーでも似たようなことが言われております。健康食品、その中で言われる好転反応の危険性というのは、非常に切実かつ重大な問題だと思います。実は、その問題は厚労省では数年前から正式なレポートなどにも書かれているわけです。今回の報告書を見ますと、その辺の問題意識が全然盛り込まれていないという感じがいたしまして、早急に検討していただきたい。
具体的に言いますと、9ページに、特保だけではなく健康食品の表示・広告規制の中で「ガイドラインを作成する」とあります。ガイドラインの策定の際、内容をわかりやすくつくっていただきたいのはもちろんですが、特に健康食品とか代替医療と渾然一体になって、近代医療に見放された人が、あたかもこれを飲んでいれば治るかのような宣伝をする、あるいは、半分宗教団体のようになってしまっている。そういうことに対する予防的な措置も含めて明示してほしいです。もちろん、薬事法違反による摘発、その他も必要だと思いますが、かなり裾野は広いですから、その辺も意識したガイドラインの作成をぜひお願いしたいと思います。
その関係で、あるいはそれよりもっと幅広の問題では、表示の規制と広告の規制と、これが確かにあちこちに散りばめられていますが、表示は規制するけれども、広告はどうも緩いとか、特に俗説では、インターネットで効能を標榜してはいけないけれども、感謝の言葉はいくら載せてもいいと。これこれを使っていたら末期がんが治りましたとか、糖尿病が治りましたとか、何とか病が治りましたという、感謝の言葉をやたら並べたホームページがあるわけです。この辺も、広告の一種としてのインターネット、そこでの正体不明の体験感謝状みたいな、その辺についての規制というか、ガイドラインのきちっとした作成はぜひお願いしたいと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 御説明、ありがとうございました。私もできる限り傍聴させていただきました。傍聴人もすごく多かったし、非常に活発な意見が交わされた検討会だと思っています。2兆円近くにも及ぶという事業者の方々の関心、それから、多くの消費者が2兆円というお金を使っているわけで、両者の関心は高いところにあると思っていて、非常に重要な検討会だったと思っています。
ここで、2つ質問したいのですけれども、新たな科学的知見の収集という面で、今まで報告された例は見当たらずということですが、エコナもその例だったと思います。今後、事業者に収集させて定期的にとりまとめて報告されるとのことですが、これは、報告の義務化をするのか、どういう形で報告させるのかということをお聞きしたい。
それから、今、山口委員がおっしゃっていたように、広告に関しては消費者庁でも調査されたし、東京都でも調査されたけれども、ほとんどと言っていいほど虚偽・誇大広告が多く、これでは消費者が惑わされるのは当たり前という状況だと思います。そこで、特保の方でも健康食品の方でもガイドラインをつくるということですが、これはいつごろまでに、どういう形でおつくりになるのかということをお聞きしたい。この2つをお願いします。

○相本食品表示課長 まず、1点目の科学的知見の収集ですけれども、法律上はこういったことを求めるという仕組みがございませんので、現行の運用としては、表示の許可を行う際に、その表示の許可の条件としてこのような報告を求めるという形にしております。したがいまして、私どもとしては、表示の許可をする際の条件として、定期的な報告を義務づけることをまずは行う。根拠法は健康増進法でございますが、特保制度を含めた制度の在り方とについて、将来的にはその制度自体の見直しも予想されますし、法律に規定していくことも当然選択肢として考えられますが、まずは許可に際してそれを明確にして、事業者の方にきちんと対応いただくことが、当面の措置として可能な対応なのではないかと考えております。
2点目のガイドラインでございます。これは、このような検討会での報告を消費者庁に対していただきましたので、ガイドラインに限らず、その他の消費者庁として行うべき事項については、早急に対応する準備を進めていきたいと考えております。
タイムスケジュールといたしましては、いくつかの課題があることから、早く実施できるものにつきましては、年内、あるいはそれ以外の課題につきましても、今年度中に何らかの方針を示せるよう、作業スケジュールを部内で整理しているところでございます。それにつきましては、節目で消費者委員会に御報告させていただきながら、進めていきたいと考えております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御報告、ありがとうございました。私は、現場の相談員の方から意見を述べさせていただきますが、先ほど来から出ております表示・広告規制について、9ページ辺りからお願いしたいと思います。今回、まとめられたことに対しましてはある程度の評価をいたしております。しかし、なかなかそこの先が見えないし、相談によりますと、健康食品とか、先ほど山口委員がおっしゃられましたように、消費者が判断に紛らわしいような虚偽・誇大広告とか、いろいろなものが出ております。安心して食べられるというものが非常に多く出ておりますので、相談現場でも、これは大丈夫なのだろうか、こういう広告が書いてあったから購入したと。それによって御自分が健康被害を起こしている。それでもなおかつ、好転反応というのがありましたが、ずっと使用を続けている。あげくの果てには多額の借金を抱えてしまう、というのが非常に多く出ております。
最近はインターネットのトラブルもあり、今回、消費者庁でインターネット取引に関する研究会を開かれているということでございますが、身近に、だれもが手に入る時代になっております。したがいまして、早急に対策をとっていただきたい。今、お伺いしますと、そのような準備をされているというようにも受け取られましたので、できるだけ速やかに検討して、実施に移していただきたい。
ガイドラインにつきましては、執行にかかわるということでもございますので、できるだけわかりやすいようにガイドラインをつくっていただきますと、それが現場でも十分に生かされます。以前、公取で優良誤認などについて細かい文言の書き方もされておりました。相談員も使いやすいということがありましたので、できるだけわかりやすく、使いやすいものをつくっていただけばいいのではないかと思います。そうすることによって消費者の被害も少なくなるのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 先ほど出ておりました、10ページの新たな研究ですが、想定されていらっしゃることは、特保とは別に、また新たな機能性食品等についての制度を設ける可能性も含めての研究ということでしょうか。これが一つの質問です。
それから、11ページのアの2行上に「特保制度の必要性の検証も含め」という1行があります。これは、ア、イと2つのことに関して、特保制度の中に含めるかどうするかということも含めという意味なのか。この「特保制度の必要性の検証も含め」という意味合いがよくわからないので、教えていただきたいのですが。

○相本食品表示課長 1点目の御質問でございます。一定の機能性表示を認める仕組みの研究ですけれども、将来的には、おっしゃるように特保以外の仕組みがあり得るかどうかについても、念頭に置いていくことも当然あると思います。
ただ、ここで言っておりますのは、制度をどうするかというよりは、今、特保で認められている機能性成分以外に、機能性として表示することができる成分があり得るかということを検証していきたい。具体的には消費者庁において、新しい機能性成分についての検証をするための予算を、現在、23年度新規予算要求として提出するよう調整を進めているところです。まずはそういった形で、個別の成分についての検討を行い、その上で可能ということであれば、特保以外の仕組みについても検討を進めていく順番になろうと考えております。
2点目の御質問でございます。11ページの「特保制度の必要性の検証を含め」という部分です。これについては、検討会の中で委員の御指摘があってつけ加えた文言です。検討会で特保制度を検討するという提言がなされていますが、消費者委員会で御議論いただく際には、特保制度が今後とも存続することが前提であることをピン止めするのではなく、特保制度そのものが本当に必要なのかも踏まえて検討を行っていただきたい。そういう趣旨で、こういう文言を入れてほしいという御意見がございまして「特保制度の必要性の検証も含め」という一文を入れたところです。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 今のことに関連して。そもそもエコナが起こったときに、特保制度は必要かどうかという意見があったものだから、これは当然だろうなと思いつつ、こちらの1枚紙、資料3-1の方には何も書いていないというのが、私は逆に不思議でした。もちろん、広告とか誇大表示とかそういうところもすごく重要ですが、やはり特保制度そのものをどう見直すかという、むしろ右側の方が重要だと思います。「さらに検討が必要な制度的な課題」は、いいのですけれども、これをいつまでにというより、むしろなるべく早くこれを検討して基準をきちんと定めるというのが、消費者にとっては非常にニーズが高いのではないかという気がいたします。

○山口委員 これは、消費者委員会でこれから検討する課題の一つになるわけで、課長に御意見をお聞きしたいのですが、12ページのアです。虚偽・誇大な表示に対する規制の在り方で、確かに景品表示法による規制が一つあり得るのですが、景品表示法は、実は都道府県の消費者行政担当に権限がないのです。

○松本委員長 ありますよ。

○山口委員 景品表示法自体の措置命令の調査権限。

○松本委員長 あります。

○山口委員 処分権限もありますか。

○松本委員長 処分権限はありませんが、指示を出す権限はあります。

○山口委員 だから、自ら措置命令をする権限がないわけです。何を言いたいかというと、今、消費者庁で景品表示法の発動の件数が減っている。その大きな原因として、都道府県にいわゆる処分権限がないし、また公取委の地方局が十分機能していないのではないか、ということが言われているように思います。健康増進法においても、都道府県の執行権限が明確になっていないということが書いてあります。どうも食品の安全とか食品についての表示の問題になりますと、もちろん、景品表示法で摘発できなくはないはずだけれども、食品衛生法とか健康増進法の分野における、農水や厚労の地方局なり、都道府県の行政担当との連携が非常に重要になってくるのではないかと思います。
これは、これからの消費者委員会での総合的な検討課題になっていくと思いますが、その辺の連携について、実情はどうなっていて、いわゆる同じ食品が、場合によっては景品表示法で摘発対象になるし、健康増進法とかその他の摘発対象になる。今、その辺のすみ分けはどういうふうに運用されていますか。

○相本食品表示課長 時間の関係もありますので、簡単に御説明いたします。現状といたしましては、各都道府県段階に食品表示監視協議会というのを置いております。これは、47都道府県ごとに食品表示に関する取り締まりを行う部局は多々にわたっており、都道府県の中でも、JASの担当、食品衛生の担当、健康増進の担当、公正取引の担当といった部局がございます。あるいは警察本部もございます。また国でも、地方農政事務所、地方厚生局、公正取引事務所といった地方機関があります。
したがいまして、都道府県ごとに横の連携を図っていくための会合を定期的に開催いただいております。これは、何か疑義情報をつかんだときに、例えば自分のところの所管法令では取り締まれない情報について相互に情報を回付いただく。そういう形で、表示に関する疑義事例についてしかるべき担当部局で対応できるようにするために、連携を進めているところです。平成20年からこのような取り組みを進めており、消費者庁発足後、例えばこれに地方の消費生活センターも入っていただくという形で、体制強化をお願いしているところです。私どもとしても、このような取り組みを契機に、さらに対応の拡充を図ってもらえるようにお願いしていきたいと考えております。

○松本委員長 ありがとうございました。健康食品の表示問題について、消費者委員会としては大変大きな関心を持っているところでございます。論点整理で、消費者庁において早急に対応すべき方策として挙げられた各事項が、本当に早急に対応されているかどうかについては、今後とも注視させていただきたいと思いますし、また、消費者委員会の方に制度的な課題としての検討が依頼された部分につきまして、どのような形で検討するかを含めまして、これから早急に対応していきたいと考えます。
消費者庁食品表示課におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

≪4.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、報告事項といたしまして、9月上旬に予定されております「消費者委員会消費者安全専門調査会製品事故情報の公表等に関する調査会」につきまして、事務局より御報告をお願いいたします。

○原事務局長 「消費者委員会消費者安全専門調査会製品事故情報の公表等に関する調査会」ですけれども、現在なお合同で審議を行っている、消費経済審議会の「製品事故判定第三者委員会」の事務局である経済産業省側と、会議の公開の在り方について座長と御相談しながら、事務レベルで調整を続けている段階です。まだ調整が終わっていないという状況でもありますので、9月上旬に予定しております第3回の調査会につきましても、議事を非公開という形で行いたいと思います。
以上、報告をさせていただきました。

○松本委員長 最後に、事務局より、次回の日程等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 本日は、ちょっとあわただしくしておりまして、申し訳ございませんでした。自動車リコールについて建議を出しましたということもありまして、本日、委員会終了後、17時を目途に、消費者庁の記者会見室において委員長記者会見を行う予定にしております。
消費者委員会の次回は、9月10日・第2金曜日、15時から行う予定にしておりまして、議題については、改めて御紹介をしたいと思っております。
事務局からは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。

○原事務局長 少し付け加えますと、この後、17時40分に、消費者庁・大島副大臣に、自動車リコール制度に関する建議案を手渡したいと思っております。今、少し御報告できますので、御案内いたしました。

○松本委員長 それでは、これにて本日は閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)