第7回 消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2021年6月7日(月)13:00~16:00

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【構成員】
新川座長、受田座長代理、片山委員
【オブザーバー】
生駒委員
西田佳史 東京工業大学工学院教授
八木洋介 株式会社people first代表取締役
高巖   麗澤大学大学院経済研究科教授
【参考人】
大阪府 財務部行政経営課公民連携グループ 課長補佐 菅千晶氏
大阪府 財務部行政経営課公民連携グループ 総括主査 岩嵜佑美氏
消費者庁 地方協力課 課長 小堀厚司氏
独立行政法人国民生活センター 商品テスト部 部長 菱田和己氏
独立行政法人国民生活センター 教育研修部 部長 青木正典氏
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、大岡企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 地方公共団体、消費者庁、国民生活センターからのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大岡企画官 事務局です。定刻になりましたので、会議を始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところ会議に御参加いただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、第7回「消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ」を開催いたします。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、テレビ会議システムにより開催いたします。

本日は、新川座長、受田座長代理、生駒委員、高委員がテレビ会議システムで御出席です。西田委員、八木委員、片山委員におかれては遅れての参加の予定です。

テレビ会議システムによるワーキング・グループの開催に当たりまして、委員の皆様にお願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際には、マイクのミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。発言が終わりましたら再びマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

なお、御発言のタイミングがつかめない場合には、チャットに「質問」や「発言」などと入力していただきましたら、座長から発言者を指名していただきます。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャット機能でその旨をお知らせいただきますようお願いいたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第に、配付資料一覧が記載されております。資料に不備がございましたらお知らせください。

よろしければ、以降の議事進行は新川座長にお願いいたしますが、この後、新川座長が未接続となり、受田座長代理が接続されている場合の進行は、受田座長代理にお願いいたします。また、新川座長、受田座長代理がともに未接続となった場合の進行は、事務局が行います。

それでは、新川座長、議事進行をお願いいたします。


≪2.地方公共団体、消費者庁、国民生活センターからのヒアリング≫

○新川座長 改めまして、本日は御苦労様でございます。早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。

このワーキング・グループは、消費者関連情報につきまして、事業者の方々と連携をして新しい情報提供の方式というのを何とか検討してみたいということで議論をさせていただいてきました。消費者情報をなかなか的確に消費者に伝えることができないという問題を様々な事業者の活動を通じて的確に伝えることができるのではないか、そういう観点で検討をしてまいりました。

これまでにいろいろな分野で活躍をしておられます方々からお話を聞いておりますけれども、本日は、まず最初に、様々な政策分野で公民連携ということを積極的に進めておられます地方公共団体の取組についてお話をお伺いし、そうした公民連携の中で私どもが考えておりますような消費者への情報の的確な伝達ということを実現できるような、そうした連携の仕方が考えられるのではないかなどというふうにも考えております。

そうしたヒントを今日のお話の中から見付け出していきたいと思っておりますし、今後の私どもの議論の参考になるのではないかとも考えております。そうした観点から、今日は大阪府様においでいただきまして、公民連携の取組についてお話をお伺いしたいと思っております。

(大阪府 入室)

○新川座長 本日は、大阪府財務部行政経営課公民連携グループ、課長補佐の菅様、総括主査の岩嵜様に御出席をいただいております。お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

それでは、大阪府からの御説明を20分程度でお願いをいたしたいと思います。その後、30分程度、委員との質疑に御協力を賜れればと思っております。それでは、恐縮ですけれども、大阪府様、よろしくお願いをいたします。

○大阪府菅参考人 大阪府財務部行政経営課の菅と申します。

本日は、大阪府公民戦略連携デスクの取組につきまして御説明させていただく機会をいただき、本当にありがとうございます。

まず初めに、公民戦略連携デスクの設置に至った経緯を御説明いたします。資料1ページを御覧くださいませ。大阪府では、平成27年2月にこれまでの改革の取組を継承・発展させつつ、強い大阪の実現を目指した行財政改革推進プラン案を策定いたしました。これまでの行財政改革を通じて、民でできるものは民へとの理念の下、PPP改革といたしまして、指定管理者制度、アウトソーシング、市場化テスト、PFIなどの民間開放に積極的に取り組んでまいりました。それに加えて、企業価値の向上という観点から、行政とのコラボレーションを求める声が高まりつつある中、従来の公民連携の枠組みを前進させ、双方のニーズをマッチングすることにより、新たなパートナーシップを実現することを掲げました。

もっとスピーディーに、もっと柔軟に、双方向のウィン・ウィンの関係の構築によりまして連携を進めていけるよう、都道府県としては初となる公民連携の専任部署として公民戦略連携デスクが設置されました。今は行政の力だけでは様々な社会課題に対応することはできない状況でございます。行財政改革推進プラン案が終了した平成29年度以降も、行政経営の取組におきまして、社会課題解決につながる共創の仕組みとして引き続き推進していくものとしております。現在は、市町村からの研修生や民間企業からの交流を含め、14人体制で運用しております。

資料2ページを御覧くださいませ。公民戦略連携デスクの機能について御説明いたします。デスクは、企業や大学の皆様からの提案や思いをしっかりとキャッチし、府庁内の各部局とマッチングしていく一元的な窓口機能と、府庁内からのニーズを適切に企業につなぎ、その連携がうまく進むようにコーディネートしていくという機能を担っております。私たちは、府民、企業、行政の3者がウィン・ウィンとなる三方良しとなる取組が生まれることで、3者が共感する新しい価値を創造することを目指しております。

資料3ページを御覧くださいませ。こうした三方良しとなる取組を進めていくために、公民連携では、企業と行政が対等の立場で対話を通じアイデアを出し合うことを大切にしております。これにより、双方の強みを生かした連携を実現することで府民サービスの向上、地域の活性化を目指しております。

資料4ページを御覧くださいませ。連携の形についてでございますが、企業・団体と連携を進める上で、協定を締結して進める場合がございます。協定には大きく2種類ございまして、包括連携協定と事業連携協定の2つがございます。

資料5ページを御覧くださいませ。包括連携協定は、府政全般を包括するもので、福祉であるとか教育、環境など複数の分野にわたって取組を進めていく場合に締結するものでございます。私ども公民戦略連携デスクが取りまとめて締結しております。

それに対しまして、事業連携協定では、中小企業振興とか健康作りといった特定の分野での連携を進めるものとなります。

資料6ページを御覧くださいませ。包括連携協定につきましては、現在、64社4大学と協定を締結しております。今年度も新たな締結に向けて調整をしているところでございます。

資料7ページを御覧くださいませ。公民連携1年間の取組効果をまとめた実績の概要でございます。昨年度は包括連携協定を5件締結しまして、デスクがコーディネートした企業・大学と部局との連携数は413件となっております。直接的効果額については、3億3200万円とございますが、これは仮に大阪府が単独で実施した場合に必要な金額を試算したものでございます。例えば、イベントへの商品を協賛いただいた場合や府政情報の発信、ポスターやパンフレットを制作した場合に企業に負担いただいた費用等となります。もちろん金額換算ができない場合もございますので、これで全てを測れるわけではないのですけれども、行財政改革を進める中で、公民連携に取り組む専任部署として設置されましたので、大切な観点だと考えております。

ここまでが公民戦略連携デスクについての御説明となります。資料8ページを御覧くださいませ。

続きまして、具体的な公民連携の事例を幾つか御紹介させていただきます。まず、子供・教育に関する取組についてですが英語教育支援ということで、アミューズメント施設を舞台にした日常英会話の教材を作成いただき、公立小中学校へDVDを寄贈いただきました。次に、健康分野の取組です。府民の健康寿命の延伸など、健康作りは大阪府にとって大きな課題でございます。様々な取組を進めているのですけれども、例えば大阪府が推奨しております野菜たっぷり・適油・適塩で健康に配慮したメニューであるV.O.S.メニューについては、コンビニエンスストアで販売する弁当に採用いただいたり、宅配事業者の商品に活用いただいたりと、少しでも日常に取り入れやすいように一緒に工夫をしております。

福祉分野につきましては、こさえたんに関する取組を御紹介いたします。こさえたんというのは、工賃の向上を目指して障害を持つ方が生産する製品の愛称でございます。商品開発や企業の職場での定期的な販売であるとか、顧客へ配布するノベルティとしての活用など、認知度向上や販売促進におきまして様々な民間企業に御協力をいただいております。

環境分野においては、SDGsの目標達成への機運の高まりもございまして、プラスチックを使用したストローや包装具の紙仕様への切替え、プラスチックごみ削減に向けた取組などが企業にも急速に広がっているかと思います。

公民連携におきましても、飲食関連業者だけではなく、多様な業種の企業・団体と連携しており、多くの企業が「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」に賛同いただいたり、回収したペットボトルをリサイクルしたエコバッグの製作であるとか、マイボトルの普及啓発に御協力いただき、環境問題について考える活動が加速しております。

続いて、ダイバーシティの分野でございます。大阪府では、あらゆる世代が生き生きと活躍できる社会の実現を目指しています。雇用促進もその一つでございまして、特に子育てで一旦仕事を離れた女性や高齢者、支援学校の生徒さんのサポートとして、その企業の得意分野でのセミナーの講師派遣等で御協力をいただいております。

次に、安全・安心の分野でございます。大阪府では、防災、防犯、交通安全など府民の安全・安心につながる取組を進めています。大規模な災害発生に備えまして、避難所滞在時のプライバシーを確保するための防災用パーティションを寄贈いただいたり、電気自動車やパワームーバー等を活用した避難所への電力供給支援をいただくなどしております。

次に、地域活性化の取組でございます。大阪府では、大阪産(もん)推進に向けた取組を進めております。大阪産(もん)といいますのは、大阪府域で栽培・生産される農産物、畜産物、林産物、水産物とそれらを原材料として使用した加工品のことでございます。ここでも企業とタイアップした展開に取り組んでいます。

コロナの時期で、自宅で食事を取ることが多くなってきたときだったのですけれども、大阪府はコンビニのセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートと包括連携協定を締結しているのですが、通常は競合しているコンビニ3社でございますが、大阪府が間に入ることで3社が連携した、大阪産(もん)の商品を一斉に販売する企画が実現しております。

資料9ページを御覧くださいませ。本日は消費者関連情報の提供在り方検討ワーキングということですので、府政のPRの事例を御紹介いたします。

府政のPR協力は、企業との連携の中でも一番数が多いものでございます。まずは紙面等を活用した府政のPRについて御説明いたします。写真の左になりますけれども、『まみたん』という刊行紙でございますが、府政のPR用にページをいただいております。読み手が、小さいお子さんのいる御家庭が多いので、子育て情報を中心に掲載されております。中ほどの写真でございますけれども、会員向けの機関誌に情報掲載枠をいただいたり、右の写真でございますが、大阪府とのコラボレーションポスターやチラシの掲示、パンフレットの配架など、各企業や大学の持つ情報発信ツールやネットワークを活用しまして、より幅広い層への情報発信に取り組んでいます。企業としても伝えたいメッセージに公共性が付加されて、府民に安心感を持っていただいたり、新たな顧客へのアプローチにつながる可能性もございます。このように企業と行政のお互いの強みを掛け合わせることで広報力の強化を図っております。また、企業活動の営業情報だけではなく、公共の生活に役立つ情報もあることで、利用者からは好評という声もいただいております。

資料10ページを御覧くださいませ。次に、店舗やデジタルサイネージ等を活用した府政のPRの協力例を御紹介いたします。府内に多くの店舗や取引先を持っている連携企業との協力は、府政のPRにとってなくてはならないものとなっております。府民が多く訪れるスーパーや販売店などの場所で大阪府の施策に関するポスターの掲示やリーフレットの配架を行っていただいております。左の写真でございますけれども、金融機関において各店舗でサイネージがありますけれども、お客様が待っている間に見ていただくものでございますが、そこで府政情報を流していただいております。ここには中小企業様が多く来られるということで、やはり中小企業向けの施策情報が多くなっております。

中ほどの写真でございますけれども、これは道路に面している屋上デジタルサイネージになります。右の写真になりますが、銀行のATMの画面などでも府政情報を発信いただき、府民が自然と目にできるような啓発に取り組んでおります。

資料11ページを御覧くださいませ。インターネットやマスメディアを活用した府政の周知にも連携して取り組んでおります。企業が配信・放送するインターネットテレビやSNS、ラジオなどの音声メディアを活用しまして、大阪府や府内市町村の施策情報、街の魅力などを国内外に発信しております。写真左については、企業の持つアプリやネットワークシステムによって会員に向けて府政情報をお届けしています。また、包括連携協定に基づき設置されました公民連携のプラットフォーム「OSAKA MEIKAN」の取組では、府内市町村とも連携しまして、情報発信をはじめ様々な取組を進めております。専用のインターネットテレビやSNSを活用して市町村とも連携しまして、大阪の魅力発信や、大阪府や市町村の施策の発信に取り組んでおります。ほかにも昨年の6月からはこれまでの情報発信を更に一歩前進させたニュース専用サイト「OSAKA MEIKAN NEWS」を立ち上げまして、公民連携の事例や府政情報、市町村の取組などを広く発信しております。「OSAKA MEIKAN NEWS」は、大手民間ニュースメディアのライブドアニュースや時事通信社の時事ドットコムなどと連携しまして、幅広い情報発信に向けて取り組んでおります。

資料12ページを御覧くださいませ。最後に、新型コロナウイルス対策に関する周知・啓発協力例を御紹介いたします。昨年度からは、コロナ禍でイベント等の人を集めた事業での連携が難しくなりました。一方で、コロナ対策は重要課題であり、医療物資の支援や大阪府への寄附など、数多くの企業から御協力をいただきました。府政のPRでも、大阪コロナ追跡システムや感染防止ステッカーの店舗への導入、利用促進に当たりまして、企業の会員向けの機関誌に御掲載いただいたり、リーフレットを作成いただいたりと臨機応変に御対応いただいております。また、写真右上でございますが、新しい生活様式の中での感染症対策のポスターを作成しまして、店舗に掲示いただくなど、迅速にお伝えすべき情報を府民にお届けすることができました。

ここまで、府政のPRの連携事例を御紹介いたしました。どの取組も企業と行政双方にとってメリットがあるので、実現しているものとなっております。

以上が公民戦略連携デスクの説明となります。御清聴いただきましてありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

大阪府での公民連携、様々な取組が進んでいて、府政を府民の皆様方の身近にしておられる様子、また、行革あるいは地元企業の皆様方の活動の活発化、三方良しという話もありましたが、本当にそんな効果を実感させられるお話でございました。どうもありがとうございました。

さて、私たちは消費者行政というのをこうした公民連携を通じてどのように上手に届けることができるのか、ヒントになるお話が今日のいろいろな事例の中でもたくさんありました。各委員から質問をいただきながら、参考になる点、更に深めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

まずは高委員から質問が来ておりますので、高委員、よろしくお願いいたします。

○高委員 ありがとうございます。この検討会の委員でございます高と申します。御説明ありがとうございました。

大阪府さんの取組、特に包括連携協定ということを中心に展開されていて、三方良しを実現されているなということが具体的なケースで本当によく分かりました。ありがとうございます。

2点ばかり質問をさせていただきたいのですけれども、まず1点目は、こういった数字はないかもしれませんが、個別のケースでもいいのですけれども、分かったら教えていただきたいというのが1点目です。それは、先ほどこういう連携でもって、府として直接的な効果がこれだけあったという金額で示していただいたのですけれども、三方良しということであれば、恐らく企業側もただのコストではなくて、金銭で表すのは難しいかもしれませんけれども、これをやったことでこれだけの効果があったという、総額ではなくて結構なのですけれども、一、二のケースで会社さんはこういうメリットがあったというものが情報としてあれば教えていただきたいというのが1番目です。

2番目の質問は、先ほど銀行店舗のサイネージの話を聞きまして、たしかにその方法があったなと思うのですけれども、待合室等で流すものですね。あそこに府として情報を流してもらうときには、要するに先方に一方的に任せるわけではないと思いますので、どういう御準備をして、お願いして、府として期待したものを流してもらっているのかと。自治体側の作業みたいなものは何があるのかということを教えていただけませんでしょうか。お願いいたします。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

○大阪府岩嵜参考人 御質問ありがとうございます。大阪府の公民戦略連携デスクの岩嵜と申します。

まず最初の御質問ですが、企業様にとってもメリットを感じていただけるからこそ連携が続いていると考えていますが、具体的にそれが分かるような数字でお示しするのは難しいところです。例えば店舗に置くコラボポスターを作った事例では一定の売上が伸びたというお声もいただいたことがありますが、因果関係はわかりません。

2つ目の御質問です。サイネージに関して私どもがどういった作業、準備等をしているのかということですが、一概には言えませんが、既存のコンテンツをパワーポイントなり企業様が持つサイネージの規格に合わせて準備し、それをデータでお送りしてチェックはいただいた上で、オーケーが出れば配信いただくというのがよくある流れです。

以上で回答になっておりますでしょうか。

○高委員 ありがとうございました。後者については本当にフォーマットさえそろっていれば迅速にできるという取組になっているわけですね。それから、前者については、なかなか難しいかと思うのですけれども、もし自治体様の協力がなかったらこれだけの効果が上がらなかったというようなものを、今後、個別のケースでもいいので情報収集しておいていただけるとありがたいなと思うのです。ウィン・ウィンだということが具体的なケースをもって言えると、ほかの自治体でも企業の方の協力をもらうときに説得材料になるかと思いまして、お願いした次第です。どうぞ今後、そういう点も意識して情報を集めていただければと思います。ありがとうございました。

○新川座長 どうぞ。

○大阪府岩嵜参考人 補足ですけれども、今のところ数字的なところはなかなか難しいのですが、お互いのウィン・ウィンという面では、例えば企業様と一緒に作った啓発のポスターには企業様の情報も掲載されています。通常であれば企業様がお持ちの店舗等で掲示するものを、例えば公共の施設にも掲示するということが可能になりますので、そういうネットワークの相乗効果というところには非常にメリットを感じていただいているのかなと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、生駒委員からも御質問が来ておりますので、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。大変力強い公民連携の拠点をお作りになったと思いまして、是非全国の行政のロールモデルになられるとよいなと思っております。私も出身が大阪なものですから、うれしいと思っております。

2つほど質問がございまして、1つはそもそもこの会議が催されている目的というのが、消費者関連情報がなかなか一般の方まで届かないということで、届かせるためにどう工夫していくかということでいろいろな試みをなさっている企業様や行政の皆様に集まっていただいているのですけれども、実際、こちらの連携デスクに届く消費者被害の声や消費者に関連した情報というのはどのぐらいのパーセンテージあるのでしょうか。年間どのぐらい届いているのでしょうかというのが1つ御質問です。

もう一つは、今、この連携デスクにいらっしゃる方々の人数をお聞きしたのですけれども、多様な情報といいますかお声がけがあると思うのです。対象にされているのが府民、企業、大学ですから、非常に幅広い対象を持っていらっしゃる。となりますと、多くの声がけがあると思うのですが、今この連携デスクで直面されている課題は何でしょうか。人手が足りないのか、あるいはもう少しシステムが具体的に必要であるとか、外部の専門家と組まないと解決していけないとか、この連携デスクが今抱えている課題がありましたら、教えていただければと思いました。よろしくお願いいたします。

○新川座長 それでは、大阪府様、よろしくお願いいたします。

○大阪府菅参考人 菅でございます。

まず1点目の御質問の消費者被害についてのパーセンテージということなのですけれども、この分野の具体的な割合というのは、デスクとしてデータの収集はしていないということでございます。

2点目の人員体制ですけれども、今は14人体制ということでやっておりまして、私の上司で参事が1人おりまして、私がグループ長で、部下が12人いまして、市町村からの方が7人で民間の人が1人ということで、大阪府のプロパー職員も6人ほどいるのですけれども、包括連携協定の数も今、累積で64社ということで、毎年どんどん数が増えてきていて、包括連携協定の数が増えるとそれに伴って具体的に各部局と企業・大学と連携する連携数というのも自然と増えてきていますので、やはり業務量としては毎年どんどん増えてきているという状況でございます。当然時間外勤務との兼ね合いもございますので、業務量の増大というのはデスクとして抱える課題と思っているところでございます。よろしいでしょうか。

○新川座長 ありがとうございました。

生駒委員、いかがでしょうか。

○生駒委員 御説明ありがとうございます。

消費者の関連の情報といいますか、被害の相談ですとか、具体的には数は把握されていないということなのですけれども、数でなくてもいいのですが、割合的に多いのか、あるいは半分ぐらいまで消費者からの声がけがあるのか、あるいはむしろまだまだ1割以下、少ないというふうにお感じでしょうか。どちらでしょうか。

○新川座長 大阪府様、よろしくお願いします。どうぞ。

○大阪府岩嵜参考人 岩嵜でございます。

例えば消費者様からの御相談というのは府では消費生活センター等には寄せられていると思います。私ども公民戦略連携デスクの役割は、様々な施策の効果的な実施をめざすことなので、例えば府政情報の提供であれば、相談窓口の周知を企業様のツールをお借りして実施するよう調整しますが、実際の相談を受けるのは相談窓口のため、収集していないというより私どもが府民の方からの直接相談を受けるということはないという意味で把握していないということです。

○生駒委員 ありがとうございます。分かりました。

ただ、こういうところに相談の窓口がありますよというような情報は、こちらの連携デスクから府民の方に届けていらっしゃるのでしょうか。SNSですとかデジタルサイネージで、消費者被害があったときはここに御相談されたらいいのではないですかというアナウンスはしていただけているということでよろしいでしょうか。

○大阪府岩嵜参考人 はい。消費生活に関する相談窓口、大阪府消費者センターと企業様が連携して、例えば消費者被害についての啓発を一緒に行ったりですとか、そういった案内はこれまでのケースとしてはあるかとは思っております。

○生駒委員 ありがとうございました。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、片山委員からも御質問が来ております。片山委員、よろしくお願いいたします。

○片山委員 御説明ありがとうございました。私は大阪に住んでいますので、大変興味深い試みを、地元でやっていただいていたのだということで、とてもうれしく思いました。

質問が幾つかあります。今、ほかの委員の質問へのお答えを聞いていて、消費者事故だとか被害の未然防止を図るような啓発情報をこういう企業との公民連携の中にうまく載せていくというのは、どこかやはり難しさがあるのかなという印象も受けたのですが、現場にいらっしゃって実際にどんな感じでしょうかというのが一つ。消費者事故や被害の情報をうまくこうしたパンフレットだとか企業のサイネージとかに載せていきたいなと思っているのですが、それをするためにどういう努力をすればいいのかということも併せて教えていただけますでしょうか。

もう一つは、具体的に9ページのところでいろいろな企業や団体の機関誌等に府政情報だとか大切な情報がうまく掲載されていると思うのですが、ここに消費者関係情報を掲載していただいたことはありますでしょうか。それから、実際に消費者情報を載せていただこうと思うと、デスクを通してということになると、誰がどのように動いたらこのようにうまく載せていただけるようになるのか、そこのところも教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

大阪府様、いかがでしょうか。

○大阪府岩嵜参考人 大阪府岩嵜でございます。

まず最初の御質問です。いろいろな企業様のツールには載せていただいているのですけれども、やはり企業様がその情報を載せることによってメリットがあるかどうか、親和性があるかどうかというのは非常に検討されるところがありますので、その辺を含め、どういった企業様に依頼するのかがまず一つポイントになるのかなと思います。やはり内容や使う文字によっては企業の事業活動等により敬遠されたりとかという場合があったりしますので、私も消費者被害の情報が具体的にどういった内容なのか分かりかねるのですけれども、それを届ける企業様自体が協力に前向きになるような工夫が要るのかなと思いますが、その辺は何とも難しいところで、明確なお答えができず申し訳ありません。

もう一つの御質問ですが、こういった情報を企業様の、会員様向けの機関誌に掲載いただいたという記憶がございます。消費者トラブルについての啓発や相談窓口の案内等を、推進月間等に合わせて掲載した例があったかと思います。

今後、どういったふうにすれば実現していけるかということですが、私どもでは企業様から提案いただく場合もあるのですが、大阪府の各部局、福祉、環境、商工労働、いろいろありますので、私ども公民戦略連携デスクに、こういう啓発をしたいけれども御協力いただけるような企業さんはあるかというような相談に対応しています。企業様とは顔の見える環境を心がけており、どういう内容だったら掲載していただけるというのをおおむね把握していますので、内容に応じて協力いただけそうな企業様に相談して、了承を得れば掲載いただく、そういった流れになっています。

以上でよろしいでしょうか。

○新川座長 片山委員、いかがでしょうか。

○片山委員 ありがとうございました。どうぞこれからもよろしくお願いします。

○新川座長 それでは、受田委員からも御質問が来ております。よろしくお願いします。

○受田座長代理 ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。大阪府様の公民連携の取組に関してその仕組みや目的について理解ができました。行政的な役割として行財政改革から入ってきているというところで、極めて特徴的な取組であると理解をしたところでございます。

質問としては、特に行財政改革推進という視点で公民戦略連携デスクが設置されているという点についてもう少し深く伺いたいと思います。

私は座長代理を務めておりまして、高知県から参加をしております受田と申します。申し遅れましてすみませんでした。私自身も高知市の行財政改革等に委員や委員長として関わった経験がございます。行政的に見ると、先ほどプレゼンの中でも触れていただきましたように、直接的効果、いわゆる財政的な部分でどういう効果があるかということを検証してPDCAを回していくということをかなり行政のサイドとしても意識をされているというふうに理解をしております。

その上で、先ほど高委員からもここの点、質問があったかと思うのですけれども、直接的効果額を試算しておられるというところは非常に今の行財政改革という視点から特筆すべきところではないかと思うのですけれども、公民戦略連携デスクが関わったことによって、成果として行財政の視点から評価をしていくということが更に求められるのではないかと思うのです。その点、具体的に効果が上がっているようなケースがあれば是非お伺いしたいというのが1点と、その点で更に関連してこの直接的効果額以外に試算をしていくとなると、時間軸をどれぐらいに設定するかというのが多分いろいろな行政においては論点になるかと思います。大阪府様ではこれまで平成27年から29年度でまずプランが一回実施され、その後、評価によって今につながっているというふうに御説明をお聞きしました。こういうときに直接的な効果を、あるいは更に波及的な効果をどれぐらいのスパンで描くということを考えておられるのか、この点を伺いたいと思います。

そして、今の点に関連してなのですけれども、例えば健康という観点から具体的な令和2年度の取組の事例を御紹介いただきました。食品宅配業者の皆様にとってはビジネスの視点からマネタイズしていくこともできるとは思うのですけれども、健康の維持増進ということになると、かなりロングスパンで府民に対して、あるいはその府民の効果が顕在化するという視点で行政がどこまで貢献したかということを見える化するのに相当時間を要するのではないかと思います。

最初の質問、それから2つ目の質問に関連するのですけれども、特にこういった健康というところは試算しづらい部分でもあるのではないかと思うのですけれども、こういう点はどのように成果を可視化していくのかという点を教えていただきたいと思います。

最後に、今の健康に関して、V.O.S.というメニューがありましたけれども、V.O.S.とはというところの字が小さくて私はよく理解できなかったのですが、V.O.S.というのがどういうものなのかを教えていただければと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、大阪府様、よろしくお願いいたします。

○大阪府菅参考人 行財政改革との関係ということでございますけれども、3年間のプランということで策定しまして、そのときにデスクの設置が大きな柱になったというふうに聞いております。行財政改革は御承知のように行政改革と財政改革を両面で進めてきていて、人件費の削減をはじめ財政的な改革というのが大きく目立っていたのですけれども、やはりそれだけでは駄目だろうということで、限られた財源の下でも府民サービスの向上を図っていこうという前向きな取組として公民戦略連携デスクの設置につながったと聞いております。

ただ一方で、財政的な効果も当然成果として検証していかないといけないということで、毎年、先ほど御説明しました直接効果額を数値として出し、外部にも公表して、成果として出してきているという状況でございます。

数字で検証していくことも当然重要ではございますけれども、やはりそれだけでは測れないところも公民連携の取組では大きく、目的は財政的な効果を出すということ以外にも、行政だけでは解決できない社会的な課題が数多く出てきているという状況の中で、そのための解決策として公民戦略デスクを設置したということがございます。健康分野など長い目で取り組まないといけないものについても企業様と行政両方にメリットがあるものについては、ウィン・ウィンの関係になるということで継続して取り組むものだと思っております。

また、V.O.S.メニューというのは、Vがベジタブル、野菜たっぷりという意味でして、Oはオイル、油は適正な量を使うということ。Sがソルト、塩分も適正な量のメニューというのを大阪府で基準を設けているということでございます。

以上になります。

○新川座長 ありがとうございました。

受田委員、いかがでしょうか。

○受田座長代理 ありがとうございます。

行財政改革というところでどのように捉えるかという点で非常に興味がありまして、御質問させていただきました。今のお答えで十分理解はいたしましたけれども、健康等に関しては行政的に見るとメリットがあるということになれば、やはり健康、例えば医療費の抑制であるとか、介護保険料の低減であるとか、何かそういったところ、あるいは特定の社会的疾病構造等に成果が見え始めると、より取組自体が有効性を証明できるような気はいたしましたけれども、健康等に関してそういった数字の解析というところまではなかなか難しいという理解でよろしいでしょうか。

○新川座長 いかがでしょうか。

○大阪府岩嵜参考人 大阪府は健康寿命が他府県に比べても短いということがありまして、府としても様々な対策に取り組んでおり、公民連携もその1つです。企業様とも一緒に連携し、がん検診の受診率向上をめざしたりですとか、医療費の負担をいかに抑えていくかというのも重要な一つのメルクマールだと思うのですけれども、公民戦略連携デスクでは、そこまでの分析はしておらずお答えはしかねますが、府としては、当然課題として対策を進めているかとは思います。

○新川座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○受田座長代理 ありがとうございました。

○新川座長 私からも一、二お伺いしておきたかったのですが、1つは毎年企業様や大学、連携先が増えているのですけれども、これは府のそれぞれの御担当部局から要請があるケース、それから、デスクとして開拓をされるようなケース、それから、民間側からのお申出があるようなケース、いろいろあると思うのですが、デスクとしてはどういう方針でこういう範囲を広げておられるのか、この辺りをお伺いしたいなと思ったのが1点目。それから、もう一つ、民間企業様や大学というのは今日メインでお話をお伺いしたのですが、民間でも非営利の団体、NPOとかNGOとか、私どもの分野ですと消費者団体とかというのもあるのですが、こういう非営利の分野へのアプローチ、あるいはそういうところからのアプローチみたいなものは何かこれまで御経験があれば、またそういう分野で今後広げていくというようなお考えがあればお教えいただきたいと思ったのですが、以上2点、いかがでしょうか。

○大阪府岩嵜参考人 私のほうで聞いているのは、デスクができました当初、27年4月辺りでは、私どものほうからそれこそ電話帳片手に企業様へのアポ取りから始まったというふうに聞いております。今、ある程度実績が積み重なりまして、もちろん私どもから企業様に関してアプローチするとことも当然継続しておりますが、各部局でつながっている企業様が既に部局との個別の連携をしているけれども、更に広く連携したいということで、そこから広がっていく場合もございますし、逆に既に包括連携協定を結んだ企業様、連携がある企業様から御紹介いただいて関心を持っていただくという、そういった形も非常に多くございます。日々、ホームページを見たとかいう形で直接御連絡いただくこともございます。いろいろあるかなと思っております。

生協さんとかは非営利団体と認識していいですか。

○新川座長 生協ももちろん共益団体ですので、非営利と言ってよいと思いますが。

○大阪府岩嵜参考人 私どもは大阪いずみ市民生活協同組合様と包括連携協定を締結しております。大阪府内は3つの生協様がございまして、包括を結んでいるのはいずみ生協様なのですけれども、ほかの2つの生協様もいずみ生協様を通じて一緒にできるところは取り組ませていただいております。

○新川座長 ありがとうございました。

なお、もう一つだけ追加してですが、そういう特に民間側からいろいろお申出があったときに一定デスクとしてもフィルターをおかけになる、あるいはおつなぎするような担当部局との関係でもフィルターをおかけになるような、何かそういう連携相手の基準みたいなものはあるのですか。もちろん、大阪府として府の公共の利益に、府民の利益につながらなければというのは当然あろうかと思いますけれども、デスクとして何か御方針があればということでお伺いしております。

○大阪府岩嵜参考人 企業規模とかそういったもので基準というのはもちろん設けてはいないです。いただいた連携の御提案がまず府の施策と合致しているかどうか。まずそれが一つ大きなところかなと思います。

また、私どもはガイドラインというのも設けておりまして、ここでは例えば包括連携協定を結ぶということであれば、5分野以上で連携していただけるような企業様というような形で御案内のほうはさせていただいております。

○新川座長 ありがとうございました。

少し時間を過ぎておりますが、各委員からもし追加して何か御質問があれば、お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、予定の時間を少し過ぎてしまいましたが、大阪府の皆様方には大変貴重な情報提供をいただきました。私たちはこれから企業様とどんな連携をして消費者情報を伝えていくのか、いろいろな手法を考えないといけないのですが、それに際しましてもやはり各地方公共団体の皆様方の御協力、あるいはもっと積極的な役割を是非担っていただきたいなと考えておりまして、その点でも今日の大阪府の公民連携デスクの試みというのは大変心強く、こうしたところから本当に消費者、消費生活の安心・安全が確保できるような情報伝達ができる可能性が少し見えてきたような気もしておりまして、改めて感謝を申し上げます。本日の大阪府様からの御意見の拝聴の時間は以上にさせていただきます。どうも長い時間御協力ありがとうございました。

(大阪府 退室)

○新川座長 それでは、今ちょうど午後2時少し前ですので、午後2時5分から再開をさせていただきたいと思います。5分ほど休憩とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(休憩)

(消費者庁 入室)

○新川座長 それでは、各委員お戻りになられたようでございますので、再開をさせていただければと思います。

続きまして、本日のヒアリングは消費者庁地方協力課様からお話を伺いたいと思います。地方協力課様は、御承知のとおり、地方公共団体が設置いたします見守りネットワークに関し地方公共団体への支援等を行っておられます。本ワーキング・グループでは、消費者関連情報の提供の在り方として、事業者を通じた情報提供について検討しておりますけれども、こうした見守りネットワークのようなところに関わっておられる事業者などを介して情報提供ということがされているところもございます。消費生活に関わる情報の提供ということについて、こうしたネットワークを通じて、またそこで協力者や協力団体を設けられて、適切な情報の提供に努めておられると考えております。私たちが新しい消費者情報の提供のルートを考える上でも大変重要なポイントになるのではないかということで、本日は消費者庁地方協力課様においでいただきまして、お話をお伺いしたいということでございます。

そこで、本日は、消費者庁地方協力課課長の小堀様に御出席をいただいてございます。消費者庁におけるお取組につきまして、是非お話をお伺いしたいということでお願いをいたしましたところ、大変御多忙のところを本日は御出席いただきました。本当にありがとうございます。

それでは、恐縮ですが、小堀様から15分程度御説明をお願いできればというふうに思っております。その後、30分程度、私どもの委員と質疑をさせていただければと思っております。小堀様、よろしく御説明方お願いを申し上げます。

○消費者庁小堀参考人 ありがとうございます。消費者庁の地方協力課長の小堀でございます。あらかじめお配りさせていただきました資料に基づきまして御説明をさせていただければと思います。

それでは、早速でございますが、1ページ目から参りたいと思います。まずは今お話しいただきましたとおり、消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークということでございまして、上のほうの四角に書いてございますけれども、特に認知症高齢者ですとか障害者のような方、配慮を要する消費者を見守るためのネットワークと書いてございます。限定するわけではないのですけれども、やはり中心となってくるのはこういった方。御案内のとおり地域においては消費生活相談というものを消費生活センターでやっておりますが、なかなか御自身で相談できない、極端な例を申し上げれば、被害に気づかないぐらいの方もいらっしゃいますので、相談と併せて見守りというのがもう一つの地域の柱となってございます。

同じ四角の中に矢印で既存の福祉のネットワーク等にと書いてございます。消費者行政の部局だけで見守っていくとか、アウトリーチをしていくというのはなかなか難しいところでございますので、特に地域においては先行して福祉のネットワーク、あるいは防災とか防犯のようなネットワークもあるのですけれども、そういったものがございますので、そこに消費生活センターですとか消費者団体等の関係者を追加していただいて、こういった消費者の安全を守るネットワークを作っていただくという取組を今やってございます。

左下にモデルということで絵を描いてございますが、赤枠で囲ったところが消費者関係者というイメージでございます。ネットワーク、輪っかになってございますけれども、輪っかの上のほうに消費生活センターがあります。下のほうへ行きますと、消費生活協力員、これは民生委員の方ですとか個人のサポーターのような方。その右が今回割と関係するのかなというところですが、消費生活協力団体ということで、特に丸の中にありますが、宅配業者ですとか新聞販売店、コンビニ、生協、金融機関といった比較的消費者との接点があるような事業者あるいは団体といったところが想定をされてございます。

赤枠のほかには丸の右上の辺りは社会福祉協議会、社協ですとか、地域の包括支援センターのような福祉の関係。左側に行きますと、輪っかで警察ですとか学校教育機関、こういったところが入っている例もありまして、これで地域でネットワークを作るというものでございます。

右の箱の中に取組とありまして、この協議会自体のファーストプライオリティーといいますか、最も基本的な機能として期待されているのは、実はふだんの活動の中で発見されたちょっとおかしいなといった事案を消費生活センターにつないでいただくというのが一番の目的でございます。そこに黒で3つ書いてありますけれども、そういったことによって被害の早期発見から事案解決、迅速な情報収集によって法執行などの被害の拡大防止、3つ目の丸は逆向きなのですけれども、こういった被害を見付けたことによって実は生活保護とか、この方は成年後見とかそういったことをやったほうがいいのではないかという逆向きの福祉への流れといったようなところが主な機能でございます。

それと、2つ目の四角で個人情報の共有とございます。典型的というかよく語られるのは、消費者庁が事業者から押収した顧客名簿などをみんなで共有すると。個人情報保護法の例外が適用されるということで、そういったリストのような話もあるのですけれども、一般的にはそういったリストに限らず情報をみんなで個人情報保護の適用除外ということで共有ができる、そういったメリットがあるというところでございます。

ただ、役割としてもちろん逆向きといいますか、普及啓発みたいな地域におけるそういったものも当然期待はできるところでございますので、もちろん事業者さんの負担ですとかはありますけれども、そういったことも期待されるところでございます。

2ページでございますが、これは活用例ということで、一般的には先ほど申し上げました消費生活センターにつなげてくださいというのがまず大事な点でありますので、福祉のネットワーク、防災のネットワークと書いてございますが、ケアマネさんですとか民生委員の方が訪問したり話を聞いたときに、おやっと思ったことを消センにつないでいただくということ。それと、下のほうは先ほどちょっと申し上げました見守りリストの作成、共有といったことがございます。

3ページ目でございますけれども、ネットワークの作り自体は各地それぞれの事情で様々でございますが、3ページ目は一例として埼玉県吉川市ということで、福祉の部局の見守りネットワーク、右の表で言いますと上のほうの既存ネットワークと書いてあります、要援護者見守りネットワーク事業というのがもともとあったところでございますけれども、そこに追加として消センですとか郵便局、宅配業者、コンビニ、こういったところが入っていただいて、ネットワークを作りましたというような感じになってございます。

そのほか事業者でいえば、もともと入っていた福祉のほうにバス会社ですとか生協さんもありますので、こういった一連のネットワークがあるというものでございます。

4ページ目は福祉とは違いますけれども、防犯などの例もございます。こちらは事業者というところとぴったりくるところはなかなかないのですけれども、事業者だけではなくて関係する団体ぐらいのレベルですね。そういったところには入っていただいて、地域での見守りなどをやってもらっているということでございます。

それと、5ページに参ります。設置自治体の一覧ということで、制度が施行されてから約5年になるのですけれども、現在、自治体の数で言いますと340の自治体で作っていただいてございます。そこに名前が今ずらっと載っているところでございます。

このほかに、まだ法定の協議会にはなっていませんけれども、もともと地場にあるようなネットワークを持っているところもまだまだたくさんありますので、今そういったところにお話をしながらネットワークを増やしていくという取組をやっているところでございます。

続いて6ページ目でございます。消費者庁からの支援の一つに地方消費者行政強化交付金がございます。ちょうど真ん中辺りに赤い箱で囲ってございますけれども、交付金の中のメニューの一つとして、配慮を要する消費者ということで、これは相談も見守りもいろいろ読めるようにしてございますけれども、こういった中で自治体の皆さんには設立準備のための活動資金ですとか、あるいは構成員の方の講習会みたいな、割とふだん消費者行政にどっぷり浸かっている人ではない方々が構成員になっておりますので、こういった被害が最近は多いですよとか、こういった仕組みがありますよといったことの講習会を開くですとか、あとは通話録音装置みたいなものを導入するとか、そういったことにも使っていただいているということでございます。

続いて7ページ目でございます。消費者庁では、1つは先ほど申し上げました交付金という地方自治体を支援する財政スキームが大きな柱でございますけれども、もう一方で、昨年度から直轄事業と呼んでおりますけれども、課題に対して自分たちで解決策を探っていけるような、地方にもひ益できるような事業をやってございます。その一つが地方モデル事業というものでございまして、これは見守りだけではないのですけれども、赤枠で囲ったマル1、マル2というのは今年度、まだ公募中でありまして、どうなるか分からないのですけれども、こういったテーマで少しデジタルも絡めたような見守りの普及というようなテーマで公募をしてございます。

こちらは民間事業者に手を挙げてもらって事業をやってもらうと、割と先進的なチャレンジをしてもらうというような仕組みでございますので、公募中なので何ともどうなるか分かりませんけれども、成果が出たら地域にもひ益をしていけばいいなと思ってございます。

8ページ目は消費生活協力員・協力団体養成事業ということで、これも昨年度からスタートした事業でございます。これはごくごく単純で協力員とか協力団体になってくださりそうな方に講義といいますか養成講座のようなものを開きつつ、そこに自治体の方も呼んだりして、顔合わせも含めてそういった事業をやろうというものでございます。

9ページを御覧いただければと思うのですが、昨年度、コロナなどもあった関係でなかなか思うようにできなくて、最初の取組として北海道で協力員・協力団体の養成事業をやりました。2月24日に開催をしたということで、受託者としては適格消費者団体、ホクネットさんに委託をいたしまして、参加者を下に書いてございますけれども、消費者協会ですとか地域の包括支援センターのような団体の方もそうですが、商工会議所ですとか生協さん、生保の関係の会社ですとか宅配業者、こういった方にも御参加いただきまして、そこに自治体の道庁さんなどにも入っていただきながら一日やったというところでございます。

今年度もまだちょっと確定はしてございませんけれども、こういった事業を進めつつ、裾野を広げていきたいと思ってございます。

一通り言うとこんなところなのですけれども、このほか資料にはございませんけれども、消費者庁ではいろいろなガイドブックを作ったりですとか、あと多いのは講演会とか勉強会などもかなり呼ばれてございますので、そういったところで普及啓発も図りながらネットワーク作りを進めていきたいと思ってございます。

そういう中で、一義的には何か気づきがあったら消センに伝えてねというところが一つ大きな柱ではあるのですけれども、逆向きといいますか、逆にこういう被害があるから気をつけてねというようなことをネットワークの構成員の方から消費者、地元の人に伝えていただけるようなことも、なかなか御負担もありますから何でもかんでもというわけにはいかないかもしれませんけれども、そういったところもできればいいなと思っているところでございます。

まずは設立を、作ってください、作ってくださいというのがまずやっているところでありまして、それが少し進んでもきましたので、今度はどのように動かしていくかというところ。今日も先生方の御知見もいただきながら、我々も今後考えていきたいなと思ってございます。

10分強でございますけれども、御説明としては以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

ただいま小堀様からは見守りネットワーク、また関連して消費生活協力員・協力団体の仕組み、それらに関わる地方モデル事業などにつきましてお話をいただきました。

それでは、各委員から御質問などをいただいてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。ますます高齢化が進んでいく社会の中で必要なシステムを構築されているなと思ったのですが、2つほど質問させていただきます。1つは、見守る対象は高齢者に絞っていらっしゃるのでしょうか。社会の中で見守らなくてはいけない対象はほかにも、例えば子供であるとか、成年年齢も引き下げられて青少年であるとか、高齢者以外にもあるかなと思うのですけれども、見守りネットワークの対象についてどう広げていかれるのか、教えていただければと思います。

また、海外の見守りネットワークの情報を見ますと、いろいろイギリスやアメリカでは工夫がなされていて、デジタルを活用してコンシェルジュサービス的なことが提供されていたり、高齢者の方のすぐ近所、30分以内に駆け付けられるような方々のところに3人ほどネットワークを作って、しかもそれが単に担当者ではなくて高齢者の方と息が合うというか、趣味が合うような、話が弾むような、そういう親和性のある方をあえて選んで担当にされている例があったりということがあるのですね。

1つお聞きしたいのは、このシステムは高齢者の方々にもアンケートを取られて、どういった見守りが必要か、欲しいかという御意見を伺われているのか。それに基づいてこのネットワークを作られているのかどうか。その点についてもお伺いできればと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

小堀様、いかがでしょうか。

○消費者庁小堀参考人 ありがとうございます。

まず1つ目の対象でございますが、法律上特に限定はされていませんが、まず比較的優先をしているのは高齢者ですとか障害者の方ですね。どういう視点かといいますと、なかなか御自分で御相談につながりにくいという方をまず優先的にやるというところで入ってございます。他方、今、政府の中でも孤独・孤立というのは当然重点的な分野に入ってきてございますので、そういうところも我々としては特に拒むことなくやっていければと思ってございます。

一方で、子供ですとか成年年齢の引下げなどのお話もいただきましたけれども、そういったところはうちの課では必ずしもないのですけれども、消費者庁で言えば消費者教育みたいなところですね。一軒一軒アウトリーチするという話ではなくても、一般的な注意喚起ですとか、学校ですとか、そういったところで消費者教育をやっていくというのも一つあるのだろうと思っています。

話は戻りますけれども、見守りで言うと重点的にやっているのは高齢者、障害者なのですけれども、必ずしもそこに限定するわけでもないということですとか、今後はちょっと孤独・孤立といった観点も少し見ていきたいなと、今そんなような状況でございます。

あとは2つ目の点、これはなかなか難しいところがあるのですけれども、最初のほうに少し申し上げたのですが、もともと実際にアウトリーチを図ったりしていくのは、どちらかというと社会福祉協議会ですとか福祉系の方々というのが実情でございます。なかなか消センの相談員さんが、数も非常に少なかったり、消費者部局もなかなか少ないので、実際にどういう家に行くという部分については、大きくは厚生労働省さんとかのところに依存してしまうところはあります。我々としてはきちんとそこから何かあったら情報を伝えてくださいというネットワークを作っていくという形になっているところでありますので、正直申し上げますと、直接我々から高齢者の方にアンケートというところまではやっていないところでございます。

ただ、実は厚生労働省さんなどとの連携というのが非常に大事だなと思ってございまして、先般も行ってきましたし、厚生労働省さんの会議などに出て、消費者のほうの見守りネットワークを説明したりというような取組をやってございまして、できるだけああいう福祉のほうのネットワークとうまく連携を取りながら、しっかりできるようにやっていきたいなと思ってございます。

デジタルなどにつきましても、我々も実は交付金などで活用するときは使えるような仕組みにはしてあるのですけれども、まだまだ自治体の消費者部局もなかなかそこまでイメージが進んでいないところもありますので、そういったこともいろいろ今後事例などを見ていきながら、事例を提供したりしながらやっていきたいなと思っております。

現状はそんなところでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

生駒委員、いかがでしょうか。

○生駒委員 御説明ありがとうございます。1つだけ申し上げますと、見守るということはすごく大切なことだと思うのですけれども、高齢者の方もいろいろなお考えや経験もおありですので、是非対話をし続けていただけるとありがたいかなと思います。高齢者の方も御自分の考えですとか、もちろん認知症ですとかそういう症状になられた方は見守ってさしあげなければいけないかと思うのですが、対話をし続ける。障害者の方もそうだと思うのですが、そういう対話のある形でシステムがより充実したものになればいいなと思います。ありがとうございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、ほかにも質問が来ております。座長代理の受田委員、よろしくお願いいたします。

○受田座長代理 ありがとうございます。

御説明いただきまして、本当にありがとうございました。消費者の安全確保を目的にした地域協議会の概略に関して、しっかりと理解することができました。その上で2点質問なのですけれども、今のお話からすれば、消費者安全確保地域協議会という消費者の皆様にとって極めて頼りがいのある見守り、あるいは様々な支援を国のほうが講じてくださっているということが分かり、大変頼もしく感じるのですけれども、一方で、そのサービスの受け手である消費者の側から見たときに、その十分な認知といいますか、ネットワークを含めた協議会が自分の周りに確立をされているというところを十分に理解していないがために消費者被害が予防できなかったり、不幸な様々な消費者被害が散見されるようになるのではないかと思います。

そういう意味での消費者サイドから見た地域協議会の周知という部分について、どのようにお考えかというのが1点。

2点目としては、先ほど具体的に協議会の関わる様々なプレーヤーのお話がございました。消費者安全確保地域協議会のモデルとしてもコンビニや生協や宅配業者といった様々な消費生活協力団体がいるということをお示しいただきました。また、埼玉県吉川市の事例でも、これまでの既存のネットワークに追加的に郵便局や宅配業者やコンビニが入っているのだというお話がございました。今回、ワーキングでも議論していますように、消費者情報をいかにこのネットワークの中で必要な消費者の皆様に届けるかということで、相当いろいろな場があり、プレーヤーもいらっしゃるのだということを改めて私たち委員も認知をしているところです。

先ほども少しお話がありましたように、行政の縦割りではなくて横展開していくことによって更にそのプレーヤーに対する働きかけも活発になっていくのではないかと拝察をいたします。そのことを踏まえて、ちょっと具体的になって恐縮なのですけれども、例えばコンビニエンスストアの関わりというのは今後も非常に期待ができるのではないかと思っています。

一方で、今、経産省が有識者会議で「新たなコンビニのあり方検討会」という、これはどうもコンビニ自体のサービス産業としての生産性向上に関する議論がなされているということのようですけれども、こういう議論の場において、まさにコンビニの役割として二次的に消費者被害の防止であったり、様々なより添いというのができるとすると、こういうところで一気にコンビニの役割が認識されていくのではないかと思います。

こういう他の省庁での議論で、先ほどの厚労省との話がありましたけれども、必要とされるセクターに関する連携をどの程度図っておられるかというのを改めて伺いたいと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、消費者庁、いかがでしょうか。

○消費者庁小堀参考人 ありがとうございました。

まず1点目で、消費者側から見た認知というところだったかと思います。我々は消費者に対しては、まず相談のところを確かに割と重視して広報してきたというか、していると。消費者ホットライン188もそうなのですけれども、まずは御相談くださいといったことがやはり中心になってきたところだなと思ってございます。

そういった中で、見守りネットワークをどういうふうに知らせていくかということで、一つはネットワークそのものを宣伝していくというのもあるかもしれませんけれども、もう一つとしては、特にネットワークの方々から消費者被害の情報をまさに今回は事業者を通じてというふうに御議論いただいているところですけれども、それだけではなくて、実は福祉団体の方とか消費者団体の方から、消費者に対していろいろ啓発をしていくと。何となくそういった活動を活発化していくと、相談だけではなくて何となく地域にこういうものがあるのだなというのを知っていただけるのかなと。そのようなところを考えています。

私どもも、先ほどちょっと申し上げましたけれども、まずはネットワークを作ってくださいというのがこの5年間非常にやってきたところではあるのですけれども、少し事例もたまってきたところで、こういう活動をというところがうまく地域にも見せられたらいいなと思ってございますので、そういうところも意識しながら取り組んでいきたいと思ってございます。

それと、プレーヤーとの関係ということで申し上げますと、私どもは今、会議自体は年に1回なのですけれども、高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会というものを持ってございまして、先ほどおっしゃっていただきました経済産業省さんも含めた関係省庁が入ってございますし、事業者関係の団体さんなども入っていただいて、会議自体は1年に1回で、そのときはいろいろ発表してもらったりこちらからお願いしたりしながら、そういった会も持っております。今、去年辺りから始めましたのは、日常的に構成員の方々にメールで通知なのですけれども、例えば消費者庁が注意喚起しましたとか、国民生活センターからこんな注意喚起が出ましたとか、そういったものがあったときに、日頃から連絡を取れるようなネットワーク作りに今取り組んでいるところでございます。

特に厚生労働省さんとは、先ほど申し上げましたけれども、非常に密接に関係のあるところでありますので、会議に出たりですとか、実際にこういう通知を出しましょうとか、そういったことを議論しているところでございます。そのほかの省庁もそういった感じでつながりを持ちつつやっているところでございます。

私どもは特に事業者さんから情報をといったときに、事業者さんとまさに自治体の方が最後はうまく接点を持てると地域でそれぞれうまくいくのかなと思ってございますので、そういったところもこの会議などでいろいろ議論が深まっていただけると我々も参考にしたいなと思ってございます。

ひとまず以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

いかがでしょうか、受田委員。

○受田座長代理 分かりました。ありがとうございました。

○新川座長 続きまして、高委員からも御質問が来ております。高委員、よろしくお願いいたします。

○高委員 ありがとうございます。小堀さんの地方協力課、大変御苦労して取り組んでおられる中で、こういうことはできないのかというのも心苦しいのですけれども、感想と2つ質問をさせていただきます。

消費者行政全体を見て、人も予算もない中で、あれやってほしい、これやってほしいということでなかなか身動きが取れない状況にあるということは重々承知しております。その中で、今の見守りネットワークというのはフェース・ツー・フェースを使って情報を集め、または必要な情報を流すという、最初の1番目、2番目ですかね。これが一番コアになる機能かなと思って聞いておりました。

この検討会との関連で考えているところを申し上げたいのですけれども、これは卵と鶏どちらが先かという議論にもなるかもしれませんけれども、私はできるだけ流す情報というものを非常にはっきりした形にしてあげて、それぞれのネットワークに流していく。あるいはネットワークだけではなくてもいいと思います。いろいろなぜい弱な消費者がいますので、そのぜい弱な消費者ごとに必要な情報を流すような仕組みも作っていかなければいけないのではないかと思ってお話を聞いておりました。

消費者行政は、私は実は政府のほかの部局よりも大変な財産を持っているなと思っておりまして、それはデータですね。もちろん見守りネットワークから上がってくる情報もあるでしょうけれども、要は国センに上がってくる情報、データというのは膨大なものがあって、これを使わない手はないだろうと。多分、今のAIであれば分類と予測というのは一番得意とするファンクションですね。このデータを使って分類は先でもいいのですけれども、例えばナウキャストですね。今どういう被害が出ているかということもリアルタイムで分かるし、それから、フォーキャストですね。これからどういうことが起こってくるのかということも、これだけ膨大なデータがあれば、私はかなりの精度をもって予測できるところにもう来ていると思っています。

それで、質問なのですけれども、こういうものは一気にやれと言ったって無理な話なので、少なくともデータ分析室というようなものをどこかに設けられないかなと。そのときに地方協力課にそういった分析室を置くということは可能なのかと。もちろん予算の問題があってなかなか難しいという話ですけれども、政府全体のDXを進めるという流れの中で、庁としてもこういう方向を示してもいいのではないかと感じているところです。これが質問の1つです。

もう一つは、庁としては難しいということであれば、例えば国センに注意喚起を行うということはそれなりのデータに基づいてなのでしょうけれども、やはりこれまでのやり方は経験と勘に基づいて、こういう被害が多いよねということぐらいでやっていたと思うのですけれども、こういったデータ分析のスタッフを養成していって、データに基づいて早め早めに予測を出していくような取組をやってもらうというのは、国センのレベルではできないのでしょうか、その2つを聞きたいのですけれども、お願いできますでしょうか。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、小堀様、よろしくお願いいたします。

○消費者庁小堀参考人 ありがとうございます。大変お気遣いもいただきながらお話をいただきました。本当にありがとうございます。

まさにデータのところでございます。なかなか組織論について明確にお答えすること難しいところがあるのですけれども、今、消費者庁と国民生活センターが一緒になりまして、PIO-NETを中心としたデジタル改革というのをまさに検討しているところでございます。アドバイザリーボードのようなものも立ち上げて専門家の方の話を聞きながら進めていきたいと思っているところでございます。消費者庁の伊藤長官などもPIO-NETの情報というのは宝の山だと、これをうまく活用できるようにできないのかということを常々言っておりまして、先ほど申し上げたPIO-NETを中心とするデジタル化というのも、当然範囲は広いのですけれども、その中の大きな部分としてデータの利活用というところはやはり課題になってございます。

御案内のところでもあると思いますけれども、データ自体いろいろ地方自治体との関係ですとか個人情報の問題うんぬんとか課題はあるところではございますけれども、やはりせっかくのデータをうまく注意喚起もそうでしょうし、いろいろな制度を作るというようなものにも使えないかといった点、非常に重要なところでございまして、まだ現時点で組織論まで申し上げられませんけれども、まさに今、検討しているというところ。DXについて検討して、その中にこのデータの活用というのは大きなポイントの一つになっているというところを申し上げて、鋭意検討してまいりたいと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

○高委員 ありがとうございました。いい未来を期待しております。

○消費者庁小堀参考人 ありがとうございます。

○新川座長 今後への御期待ということで、よろしくお願いいたします。

八木委員からも御発言の御希望がございます。八木委員、よろしくお願いします。

○八木委員 ありがとうございます。

リアルの見守りの重要性というのはもちろん論をまちませんし、今日お聞かせいただいたことは非常に重要なこと、なおかつそれが広がっていく過程が見えて、非常に力強いなと思いました。お話いただいた内容は、事業者あるいはいろいろな団体と線のようなつながりを持とうということだと思うのですが、もっとデジタルとか、データを使って、線の状態というよりも、網をかけて消費者を守っていくようなアプローチが欲しいなと。単純に言うと、今日のお話の中でもっとデジタルのにおいをさせてほしかったなと思いました。

例えば、民間の会社が、見守りをビジネスに生かそうとしています。民間とのコラボで、IoTを活用することなどによって、高齢者の方を様々な形で守っていけないか。そんな中に消費者行政に関わるようなものも取り込んでいけないのかなということが1点です。

それから、教育です。高齢者の方の教育にもっとユーチューブのようなものを使えないのかなと思います。ユーチューブを使ってというと「高齢者はデジタルに強くありません」という声がすぐ返ってきそうなのですが、高齢者の家族が消費者問題を的確に説明するのは難しいかもしれないけれども、ユーチューブなどに非常に使い勝手のいいものがあれば、テレビを見る感覚で消費者被害のことを理解できるというようなこともあるのではないかなと。宝塚市の広報では、消費者保護にユーチューブを活用しておられるようですけれども、そのようなことがもっとできないのかと思います。

それから、7ページ目に公募という話が出ていますけれども、これも例えばクラウドなどデジタルの力をうまく使いながら、協力したいと思っている民間の会社や団体にアプローチするようなことをもっとできないかなとも思いました。

今回、デジタル庁も発足するということなので、消費者庁が単体でやるということもさることながら、デジタル庁との取組によって、組織の壁を超えてデジタルを活用できないかなと思いました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

小堀さん、もしも何かお気づきの点がありましたら、お願いします。

○消費者庁小堀参考人 とても貴重な御意見をありがとうございます。

高齢者とデジタルというところも、消費者教育はちょっとすみません、私自身の担当ではないのですけれども、そういう中で必ずしも高齢者イコールデジタルを使えないという発想からは少しずつ変わってきているのかなと感じているところでございまして、そういったところも意識しながら私どもは見守りのところもやっていきたいと思ってございます。

先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、実は見守りにもデジタルを使えますということで交付金などをいろいろメニューとして入れてみたのですけれども、確かにまだまだ、では具体的にどうするのというところがうまく見えていない部分もあるなと思ってございますので、先ほど申し上げたようなデジタルトランスフォーメーションの検討も含めまして、私どもの課でも見守りというところで何かうまく使えないか、そういったところも考えてやっていきたいなと思ってございます。

せっかくの技術でございますので、扱わないともったいないところでありますので、大変ありがたいお言葉をいただきましたので、そこは我々も検討してまいりたいと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

八木委員、よろしゅうございますでしょうか。

○八木委員 はい。ありがとうございます。

○新川座長 本当にデジタル、なかなか地域、現場では使いこなせないところもあろうかと思います。是非消費者庁としても見守りネットワーク中心にデジタル化をする具体的な実践のよい事例、取り組みやすいものなどを御紹介いただけるといいかななどと思いながら話を聞いておりました。ありがとうございました。

片山委員からも御質問が来ております。片山委員、よろしくお願いします。

○片山委員 ありがとうございます。

地域協議会の御説明をありがとうございました。不勉強で、初めて具体的にイメージが湧いてきたというところで、大変ありがたく思いました。

1ページのモデル図を見ていて思ったのですが、本当に地域協議会のモデルというのは大変上手にできているといいますか、既存のネットワークの上に消費生活に関する協力団体等がうまく組み合わさっていって、地域の隅々までネットワークが広がっているというところで御苦労があったと思います。

さっき小堀さんもおっしゃったのですが、単にこれを見守り活動の中で発見された被害をセンターにつなげるという方向だけでなくて、更にこの図で言うと3番になりますけれども、協議会に対して情報提供や啓発活動もうまくこのネットワークの関係者の皆さんに協力していただくことができると本当にありがたいなと思います。

そこで質問ですが、さきほど、事業者等にあまり負担もかけられないしというお言葉があったと思うのですが、啓発にまで関与してもらう上で、しんどいなと思われるのは実際にこの運営をしておられて、どこだというふうに思われますでしょうか。

それから、もう一つ、ホクネットさんが協力員の養成等の講座に協力をしておられるようですけれども、啓発だとか、ちょっと手を貸さないと動いていただくのにしんどいというところを消費者団体が力を発揮することでスムーズにつながるというようなイメージは持てないでしょうか。その辺、現場におられてどんな感覚か教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○消費者庁小堀参考人 片山先生、ありがとうございます。

まず1点目は事業者様との関係というところでございます。実際に事例としてお聞きしているのは、例えば宅配事業者さんがお宅に物を届けに行く際にちょっとしたビラというのか、御自分で作られたという話も聞きますけれども、そういったビラを一緒に持っていってもらうとか、そういったような事例もお聞きしているところでございます。

ただ、一方で言いますと、まずは最初に何かおかしなことがあったら連絡してくださいねというのは、さほど負担にならないという言い方は変なのですけれども、通常の業務をやっている中でちょっとあれはおかしいなと気付けば連絡してもらう。特になければ何事もなくと、そういったところだと非常にやりやすいというところはありますけれども、実際に何か注意喚起をしてもらうというと、何を持っていくかだとか、そういったところから始まって、極端な例を言うと費用がどうのとか、そういった話にもなるケースもあろうかと思います。

そういう中でいかに協力をしてもらうかというところが肝でもありますし、もう少し難しさで言うと、それぞれの自治体と事業者がどれだけ密な関係といいますか、いろいろ話ができる関係になるかというところは、自治体さんに、僕らがどういうふうに支援できるのかなというところはちょっと悩みどころだなというのが正直ございます。理論的には多分マッチングをして何となくうまくやってもらえばいいのだろうなと思うのですけれども、実際にどこの事業者がどこの自治体ととか、そういうのを考えるとどういう支援ができるのかなというのは、正直ちょっと悩みどころな感じがしてございます。

それが1個と、ホクネットさんの例もいただいて、実は消費者団体の皆さんもそうですし、あとは適格消費者団体などの皆さんもそうなのですけれども、今ある例としては、地域で啓発活動ですね。事業者さんが人を集めて啓発活動というのはなかなか難しいのですけれども、消費者団体の方が地域何とかセミナーとかそういったところに講師で出ていっていただいたり、あとは主体となっていただいたりでやっていただいていると。そういったものは啓発を地域で進める上で非常にいい取組といいますか、大事な取組だなと思っていまして、消費者団体が何かできないかという問いであれば、まさにそれは大事な視点ですと私どもも思ってございます。

例えば、先ほどの担い手確保の例でありますと、単純な注意喚起の講座ではありませんので、こういったところですとまさに団体の中で法律的な知見を持っている方とかを活用していただいて、地域の事業者ですとか民生委員の方とかに講演をしてもらうとか、まさにそういった法律的な知見も踏まえて活動していただけると非常にありがたいですし、そこまでいかなくても最近こういう事例がありますよとか、注意してくださいねとか、そういったことであればもっと幅広い消費者団体の方に御協力いただけるのではないかと思ってございます。

ちょっととりとめなくなってしまいましたが、以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

片山委員、いかがでしょうか。

○片山委員 ありがとうございました。またいろいろ御相談させてください。

○消費者庁小堀参考人 ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございます。

すみません。私からも1つ2つお伺いしておきたかったのですが、1つは見守りネットワーク、これまで熱心に取り組んできていただいていて、少しずつは広がっているのですが、やはりなかなか全国の団体、15パーセント、20パーセントというのが大きく突破するところにならないので、この辺りは今後当然強化作戦等でも力を入れていかれると思うのですが、どの辺りがちょっとネックになっていたり、どの辺りを攻めどころというふうにお考えなのかというのを少しお伺いしたいというのが1点目。

それから、協力員・協力団体制度、これは本当に活用していただけるといいなと思っているのですけれども、やはりこうしたネットワークがきちんとできて、その中で実際に動いてくださる方々、あるいは事業者の方というのを広げていかないといけないというところがあって、こうした既存のネットワークの中でもなかなか協力員、あるいは協力団体というのをお願いするのも難しいのですが、この辺りも見守りネットワークへの働きかけ方というのがポイントになるのかななどと思いながら考えていたのですが、この協力員・協力団体を広げる広げ方、今の講座の話はしていただいたのですけれども、この辺りの今後の考え方がもしあればお教えいただきたいというのが2つ目です。

3つ目に、私ども、これからいろいろな情報提供をこうしたネットワーク、あるいは協力員・協力団体の方々を通じて何ができるのかなというふうに考えていきたいと思っているのですけれども、協力課さんから御覧になって、こういう地域での御活動の方々に逆に国から、消費者庁、あるいは国センからどのように情報を流していけばよいか。それぞれの中で皆さん方も直接的にはそれぞれの見守りネットワークの対象の方々ということになると思いますが、どういう情報を選んで出していけばいいとお考えなのか。私たちもちょっと悩んでいるところもあるのですが、この辺り、もしお考えがあればお伺いしたいというのが3点目です。すみません。ちょっとややこしい質問になるかもしれませんが、お考えのところ、お気づきの点があればお教えください。よろしくお願いします。

○消費者庁小堀参考人 ありがとうございます。

まずは攻めどころということでございますけれども、1つは地道にお願いをしていくというところでありまして、実際には歩みが遅いと言われてしまうところはあるのですけれども、年間100までは行かないですが、着実に増えてはいるというところもありますし、お話を聞く限りでは特に都道府県の皆さんが市町村などにお話をされて、少しずつ増えていただいているというところではあります。そういう中で、今思っているのは、具体例といいますか、去年ホームページなどをリニューアルして大分具体例を充実させたりしたのですけれども、実際にこうやって作ればできるんだよとか、もう少し進んでこういうふうにうまくいっている例があるんだよとか、そういったところを丁寧に説明していくというところなのかなと思っています。自治体の職員の皆さん、特に消費者行政部局の皆さんは本当になかなか大変であったり、兼務をされていたりとか、そういったところがありますので、単純にお金の支援というのもあるのですけれども、知恵というか、知見というか、そういったところの支援もしていきたいなと思っています。

例えば、自治体から要請があって講演会みたいなものでお話をすると意外と手応えがあったりしますので、対話を通じてできるだけノウハウといいますか、そういったものを見せていくというのが大事かなと思っています。

協力員・協力団体についても、特にですとか、あるいは情報提供の話と少しまとめて申し上げますと、先ほどちらっと申し上げましたが、連絡協議会などのメンバーの方には消費者庁の注意喚起情報とか、国センなどでやっています注意喚起情報などをメールなどで届けるように日常的にも始めたところであります。そのときも高齢者だけがいいのかという議論は置いておいて、何でもかんでも送るとだんだん効果がなくなってきますので、これは特に独り暮らしのお年寄りとかは狙われやすい事案だよねとか、そういったものを特に選んでやってみたりという取組を昨年の終わりぐらいからちょっと今やってみているところであります。

そういったものをやりつつ、更にそれを見守りの構成員の皆さんから外側にどう持っていけるかと。そういったところは我々としても今後の課題かなと思ってございますし、もし何かこういった検討会などでいい知見があれば参考にさせていただいて、頑張っていきたいなと思ってございます。

事業者の皆さんも割と具体的に言うと協力していただけるのかなという気もしているので、先ほどの自治体の方もそうなのですけれども、少し具体的に何かこういうことをというのを見せていければなということで我々も考えていきたいと思っています。

以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。是非積極的にお進めいただければありがたいところです。よろしくお願いします。

西田委員からも短い質問ですがということでございました。西田委員、どうぞお願いします。

○西田委員 よろしくお願いします。他の委員の繰り返しは除いて、短くお聞きしたいと思います。3ページ目に個人情報を活用した見守りリストの作成と共有という項目があり、見守りするためにはやはり個人情報をうまく活用していくというのは大事だと思っています。これに関して1点、ちょっと話が飛んでしまうかもしれないですが、マイナンバーという制度があって、あれがあまり有効に活用されていないなというのを感じています。当初あれができたときにはヘルスケアとかいろいろなものに活用していくのだという話があったと思うのですけれども、今のところ課税の仕組み、証明書の請求などにしか使われていないようなイメージがあるので、せっかくのインフラが有効に使われていないというのはちょっと問題ではないかなと思っていまして、是非そういう検討、今、使えるインフラというのがあるので、それを検討いただけるといいのかなと思っております。

それから、もう一つございます。高齢者が、先ほどアンケートを取ったり対話をしながらという話があったのですけれども、情報を受け取るときに誰からどのように受け取っているのかというような、そういうネットワークはどうなっているのかという調査がなかなかないと思っていまして、先ほど福祉的な見守りでJAとかバス会社、新聞販売店という話がありましたけれども、情報の伝え方がどうなっているかの調査も必要なのかなと思いました。以前、ある自治体に行ったときにも福祉の方がいろいろなサービスをしていて、地域とつながっていることを消費者部門の人はあまり把握されていないということがあったりしたので、地域とどうつながっているのかという調査は非常に大事なのかなと感じました。

以上2点です。

○新川座長 ありがとうございました。

小堀様、もし何か今のお話でお気づきの点などがありましたら、お願いします。

○消費者庁小堀参考人 分かりました。

1つ目の個人情報について言いますと、割とこの情報自体、例えばなのですけれども、過去に詐欺に引っかかったとかそういった情報も入ってき得るものであったりするので、なかなかそういう難しさもあるかなというところは、お聞きした段階で率直に感じたところでございます。

もう一つの点、実は地方自治体も縦割りというのは、あまり私が申し上げてしまうと申し訳ないところがあるのですけれども、そういうところも実際にありますので、ちょっと例とは違ってしまうのですけれども、実は先ほど厚労省に行ったという件は、地域における消費者部局と福祉部局の縦割りをどう打破できるかというところをまず厚労省と考えてみたいということで行ってみたところでありますので、そういったところ、地域において横の連携がうまくできるようなところも我々は努力してみたいなと思ってございます。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

少し予定の時間を過ぎておりますが、各委員、よろしゅうございますでしょうか。特に御質問がなければ、時間オーバーをして大変申し訳ございませんでしたが、協力課様からのお話は以上にさせていただきます。小堀課長さん、どうも長い時間御協力ありがとうございました。以上で本日のヒアリングを終了とさせていただきます。ありがとうございました。

○消費者庁小堀参考人 ありがとうございました。

(消費者庁 退室)

○新川座長 すみません。ちょっと時間オーバーしておりますが、ここでまた5分程度休憩を置かせていただきます。今、15時10分ぐらいですので、15時15分から再開をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(休憩)

(国民生活センター 入室)

○新川座長 それでは、およそ皆様方お戻りになられたようですので、再開をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。

本日のヒアリングは国民生活センター様から改めてお話をお伺いしたいということでおいでいただいてございます。国民生活センター様は、御承知のとおり、消費者被害を未然防止するため、消費者に向けて様々な情報提供を行っておられます。また、事業者等と協力をして情報提供も行っておられます。さらには、事業者の従業員教育に関しましてもセミナー等を開催しておられまして、事業者の消費者志向経営の在り方に積極的にお取組をされております。

今日は、独立行政法人国民生活センター商品テスト部長の菱田様、そして、教育研修部長の青木様に御出席いただきまして、お話をお伺いしたいと思っております。

私たち、このワーキングでは、あらかじめ御案内をさせていただきましたとおり、消費者関連情報というのを消費者の皆様方にいかに的確に提供できるかというところを大きなテーマにしております。そして、その際にこれから従来になかった事業者の方々を通じて消費者にアプローチをする、そんな方法をもっと積極的に活用できないだろうかということを考えてまいりました。そうした観点で本日こうした事業者の方々と様々協力をしながら情報提供をしておられる、また、事業者の方々の消費者志向に積極的に関わっておられる、そうした国民生活センターの御担当の皆様方からお話をお伺いする次第でございますので、菱田様、青木様におかれましては、お忙しいところ大変恐縮でございますけれども、本日はよろしくお話をいただければと思っております。

それでは、15分程度、菱田様、青木様からお話をお伺いし、その後、30分程度、私ども委員との質疑にお答えいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、恐縮ですが、国民生活センター様のほうから御説明方、よろしくお願いをいたします。

○国民生活センター菱田参考人 国民生活センターの菱田と申します。本日はよろしくお願いいたします。

当センターの商品テスト部では、製品ですとか役務に関連しまして身体的な危害が発生している事案につきまして、事故の拡大防止、未然防止の観点から注意喚起、あるいは何らかの改善等が必要と考えられるものをテーマとして取り上げておりまして、商品テストや調査を行って注意喚起等の情報発信を行っております。

テーマの選び方といたしましては、資料の1ページになりますけれども、消費生活センター様から相談解決のためのテスト依頼を受けて実施した結果、表示や広告を含めて商品等に問題が見られた場合、また、同種のテスト依頼が複数件ある場合で、範囲を商品群に広げてテストを実施、公表することが消費者の方々にとって有益で、消費生活センターにおける相談処理にも有効と考えられる場合、あるいは時節や社会的情勢、例えば最近ですと新型コロナの感染対策として用いられる消毒とか除菌に関連する商品など、需要が増えたり、トラブルが増えているものにつきまして、誤った商品選択や使用方法を防止するために、消費者にとって必要と判断される情報がある場合。あるいはPIO-NETに寄せられる相談情報のみならず、医療機関ネットワーク、医師からの事故情報受付窓口に寄せられる情報も参考に、消費生活上の事故の未然防止、拡大防止の観点から注意喚起を行うことが有効と判断される場合。そのほかにも、こちらには記載しておりませんけれども、従来見られなかった新たな類型の事故、例えば新たな類型の商品ですとか、既存の商品でも従来の使い方とは違った使い方がはやって事故が発生している場合、注意喚起等の効果や商品のブームが去って一旦少なくなったが再び何らかの要因で同種の事故の増加が見られる場合、あるいは法律や規格基準がない、もしくは不備があったり不十分であることによって事故等が発生している場合、こういったケース、観点などから総合的な判断で具体的なテーマを選定しております。

続きまして、2ページ目でございます。情報発信(公表)までのプロセスとございますけれども、こちらは商品テストにおいて具体的な商品名、事業者名を公表する場合のプロセスでございまして、当センターのサイトにも掲載しているものでございます。右から始まっておりまして、見づらくて恐縮でございますけれども、商品テストに取りかかる際、テストデザインと内部では呼んでおりますけれども、どういったテストをしていくのか、どういった点をポイントとするのかなど、外部の有識者、これは当該分野の専門家であったり、あるいは法律関係の先生、消費者関係の委員の方々に御参画いただいて、御意見、御見解等を伺って、商品テスト分析・評価委員会、これは入口と呼んでおりますけれども、そちらに諮って御審議いただきまして、また、テスト結果がまとまった時点で結果の分析、評価、事業者名公表の法的妥当性などを出口の委員会で御審議いただきまして、それで公表前にはテスト対象となった銘柄の製造販売の事業者様、あるいは業界団体様にお声がけをして、これから公表しようというものの趣旨ですとか事実確認を行うほか、御意見等があれば受けて対応するということをお伝えして、反論権の担保を行っておるところでございます。

現在の商品テスト部は3課体制で行っておりまして、総勢、常勤、非常勤職員を合わせまして合計35名在籍しております。テストを伴わない危害案件の情報発信と庶務管理を行う企画管理課、商品テストを実際に行う部門といたしまして、食品ですとか保健衛生品、被服品及び住居品の一部を守備範囲とするテスト第1課、家電製品、自動車及び住居品の一部を守備範囲とするテスト第2課、この3課体制で行っております。公表に関しましては、テストごとに担当課長、担当課長補佐、担当者が一、二名ほどで編成しております担当班でテストの骨子ですとか計画の策定から、テストや調査の実施、取りまとめまでを実施しております。

3ページ目になりますけれども、参考として、公表した情報の2次活用の例を挙げさせていただいております。こちらでは「くらしの危険」というものを発行しておりまして、原則として年6回、隔月で、公表した案件の中から、季節性ですとか事故等の継続性、啓発の必要性などを考慮して、直接国民に届ける、分かりやすい内容とするため、報道発表資料を読み砕いてイラストを交えて作成し、各地消費生活センター様ですとか医療機関ネットワークの事業に参画いただいている機関等へお送りして、併せて当センターのウェブサイトにも掲載して、消費者啓発に御活用いただいております。ちなみに、近年の当該コーナーのアクセス数は年間約30万件となっております。

続きまして、4ページ目でございます。現在行っている事業者ルートでの注意喚起の取組状況についてでございます。当センターでは、商品に関する注意喚起の公表を行う際、製造、販売に関わる事業者様が所属し、統括している業界団体様、あるいはインターネットショッピングモール運営事業者様に情報提供や要望、協力依頼を行っております。これを受けた先の取組を御紹介いたします。

なお、当センターには指導権限等はございませんので、各事業者様における対応の取組につきましては、先方の御判断によるところになります。

まず、事業者団体様でございますけれども、当センターが注意喚起を行う際、業界団体様、あるいは業界団体様が存在しない分野のものである場合は、事業者様に直接、情報提供あるいは要望を行っております。それを受けて業界団体様、あるいは所属している事業者様、業界団体に所属していない個別の事業者様が、当センターのテスト対象として取り上げた商品の製造販売元の事業者様でありますけれども、各社が販売している商品について注意喚起情報をそれぞれウェブサイトに掲載するなどの対応が取られることがございます。

続きまして、インターネットショッピングモール運営事業者様につきましては、インターネットショッピングモールでも販売されている商品に関する注意喚起の公表で、当センターは現在、アマゾン様、ヤフー様、楽天グループ様、この3事業者様に情報提供、あるいは協力依頼を行っております。それを受けて、各社、各モール内に注意喚起情報を掲載する等の対応が取られることがございます。なお、アマゾン様とは2018年6月頃にアマゾン様のほうからお声がけがありまして、どういった協力体制が可能かを模索いたしまして、2019年に合意に至り、それに基づき当センターが公表する危害、危険に関する注意喚起情報がアマゾン様の当該商品ページに掲載されたり、あるいは当該商品を過去に購入された消費者の方々へのメール、これはアマゾンあんしんメールと呼ばれるもののようですけれども、こちらが配信されております。

これによりまして、該当する商品を購入しようとしている消費者の方々、もしくは既に購入した消費者の方々に直接情報を届けることが可能となっておりまして、商品に起因する事故の未然防止、拡大防止等がより一層推進されることを期待しておるところでございます。

商品テスト部からの御説明は以上となります。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、お続けいただければと思います。

○国民生活センター青木参考人 国民生活センターの教育研修部長の青木でございます。

それでは、資料につきましては、国民生活センターから提出しております資料の最後の5ページ目、「3.『企業職員研修』の実施について」を御覧ください。国民生活センターの教育研修部では、地方公共団体の行政職員、消費生活相談員の方に向けた研修を主に実施しておりますけれども、企業でお客様相談室などに所属されている皆さん向けの研修というのも、回数は少ないのですけれども、実施をしております。昨年度と一昨年度の実施について御説明したいと思います。

まず、令和元年度でございますけれども、2回実施しておりまして、1回目のテーマが「消費者関連部門の職員が知っておきたい基礎知識」ということでございまして、募集定員80名のところ、96名の参加をいただいております。どんな業種の企業の方が御参加されたかということでございますけれども、食品の関係が20名、その他につきましてはアウトソーシング業などの御参加がありましたけれども、その他のところが18名、金融/保険が15名という形になっております。

それから、2回目でございますけれども、こちらは「基礎から学ぶ企業に求められる個人情報の取り扱い」というテーマで実施をいたしました。こちらも80名の募集を行いましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が出始めた時期でございまして、64名の受講にとどまりました。参加業種の上位でございますが、食品関係が17名、その他の中には情報サービスの会社の方などがいらっしゃいましたけれども、その他が11名、金融/保険が9名となっております。

それから、令和2年度の第1回は「消費者関連部門職員が知っておきたい知識と情報-インターネット通販を中心に-」という副題を付けまして実施いたしました。昨年度からコロナウイルス感染症の影響がやはりございまして、会場のソーシャルディスタンスを確保する観点から募集定員を少なめにしております。50名募集したところ45名のお申し込みをいただきまして、参加業種としては、流通/小売/販売といったところが11名、化粧/医薬が10名、金融/保険8名という形になっております。

第2回に関しましては、「デジタル社会の到来を踏まえた消費者部門のあり方」というタイトルで講座を実施いたしました。50名の募集に対して47名の御受講ということでございました。参加の業界としましては、食品関係が16名、金融/保険が10名、流通/小売/販売が7名となっております。

私どもは相模原市に自前の研修施設を持っておりますけれども、こちらのほうで宿泊を伴う研修をやっていた時代もあるのですが、近年は事業者の皆さんのニーズとして、都心の便利なところで1日とか半日でコンパクトに学びたいというお声を頂戴しておりますので、私どもの東京事務所の大会議室のほうで講座を実施しているという状況でございます。

簡単ではございますけれども、私からの説明は現時点では以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいま国民生活センター様から商品テスト部、教育研修部の御活動の様子、お話をお伺いしました。各委員から御意見あるいは御質問をいただいてまいれればと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、少し先走っているかもしれませんが、私のほうから、まずは菱田様にお伺いしたいのですが、特に企業様にこうした様々な情報を提供されるということで、そうした情報を集約されたり選択されたりということをしてこられております。そのときに考え方として、もちろん年間通じて出さなければならないもの、広く知ってもらわなければならないもの、いろいろと考え方はあろうかと思いますが、特にプラットフォーム企業のようなところに向けてお出しになるような情報の選び方であるとか、あるいはそのほか業界団体はその業界団体に関わる情報を主に向けられることになると思いますが、この辺り、業界団体のものは比較的に選び方も選びやすいのかなという気はするのですが、プラットフォーム企業様向けなどはどのような選び方をしておられるのか、少し御披露いただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。

○国民生活センター菱田参考人 私どもは商品テスト部でございますので、商品に係る危害、危険に関わるものでございまして、その商品がプラットフォーム事業者と言われておりますeコマースの事業者様のほうで扱われているかどうかということだと思います。

○新川座長 なるほど。扱われているかどうかはセンター様のほうで確認をされて、情報提供されるというイメージでよろしいでしょうか。

○国民生活センター菱田参考人 そうです。商品選択をする場合、昨今、店舗で購入する場合もございますけれども、そういったeコマース、通信販売を利用される方もかなりいらっしゃいますので、そこで、例えば売れ筋ですとか、ということでかなり数が出ている、多くの消費者の手に渡っているものを中心に選んでおります。したがって、そういった窓口で選んでおりまして、そういったところに対して戻しているというようなことになります。

○新川座長 なるほど。ありがとうございました。

片山委員から御質問が来ておりますので、片山委員、よろしくお願いいたします。

○片山委員 ありがとうございました。菱田さんに幾つかお聞きしたいと思います。先ほどのプラットフォーマーを通じた情報提供というところで、あんしんメールというのは本当にその商品に関心を持って使おうとする人に直接届くという意味で、事故情報をお伝えする上では大変効果的なものではないかなと感じました。これについてのプラットフォーマーさんだとか、あるいは消費者からの反応とかいうのは上がってきていますでしょうかというのを教えていただきたいと思います。

それから、今のところはアマゾンさんだけが採用しておられるのかなというふうにお聞きしたのですが、今後、こういう取組がほかのプラットフォーマーにも広がっていくかどうかについては、どのように感じておられますでしょうか。

もう一つは、「くらしの危険」というのは私も拝見していますが、とても分かりやすくポイントを書いていただいていて、消費者のほうにも好評なのではないかなと思っていますが、これの配布先がもう少しうまく大勢の消費者の目に付くように渡ればいいのになと願っています。

今、各地の消費生活センターと医療機関ネットワーク事業の参画機関ということですけれども、もっとこれ自体を事業者さんに広げていって、社内の社員さんにも注意喚起をするとかいうのもありかもしれませんし、あるいは事業の関係先の消費者にこれを利用して広報をしていただくということも可能なのではないかなと思うのですが、とにかくこの「くらしの危険」の有効利用というのを何か工夫していただくことはできないでしょうかという点について教えていただければと思います。

ウェブサイトにも上がっているのですけれども、なかなかウェブを見ない人も多いので、よりフェース・ツー・フェースで広げていく方法があればいいなと思っています。よろしくお願いいたします。

○国民生活センター菱田参考人 御質問ありがとうございます。まず、1点目のアマゾン様からの情報、その商品のサイトにまず載せられているということと、購入された方にメールが届くという方式の2つになっておりますけれども、残念ながらその反応というものを直接消費者の方々からお聞きすることはケースとしてはございません。ただ、消費者団体の方からは非常に好評と伺っております。

他の2社につきましては、ヤフー様と楽天グループ様でございますけれども、こちらのほうの方にも、最初、アマゾン様はアマゾン様のほうからでしたけれども、その後、私どものほうからヤフー様と楽天グループ様のほうにお声がけをして、同様な取組といいますか、こちらのほうも取り上げていただけるかどうかは相手先の事業者様の御判断になりますが、同様なことが実施していただけるとよろしいかなと考えております。

3点目の「くらしの危険」でございますけれども、確かに私どもの力不足といいますか、ウェブサイトのほうにはダウンロードができてプリントアウトができるような形で掲載させていただいておりますけれども、アクセスをされない方に対しましても、何がしかうまい方法がないものか。各地消費生活センター様のほうにお配りしたり、あるいは事業者様に関しましては御希望があれば印刷物をお渡ししたりということも行っておりますけれども、なかなかそこまできめ細やかにというのができていない状況ではございます。

○新川座長 片山委員、今のお話はよろしいでしょうか。

○片山委員 はい。ありがとうございました。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、生駒委員、御質問が来ておりましたので、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。2つほどお聞きしたいことがあります。

こういった消費者被害に関しましては、私も何より未然に防ぐということが非常に重要なのではないかと思っておりますが、現在のところ、未然に防ぐ手立てのような具体的な策というのは講じていらっしゃるのでしょうか。ちょっとそれを、PIO-NETの情報を活用してと書かれておりましたが、何か具体的なアクションを起こされる御予定、あるいは既に起こしていらっしゃいましたら教えていただけますでしょうか。

あと、デジタルトランスフォーメーションがいきなり著しく進んでいます。それに伴う被害も本当に急激に増大していると思うのですが、国民相談の場で、デジタルの悩みに対応される方というのは、やはりデジタルに相当詳しい方でないと難しいのかなと思うところがあるのです。やはりデジタルに非常にお詳しい方を新たに採用されるですとか雇用されるような、そういう体制は取られているのでしょうか。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、よろしくお願いいたします。

○国民生活センター菱田参考人 まず1点目の未然防止の取組でございますけれども、こちらのほうも大変心苦しいところではございますが、こういった組織決定等をしていって、その後に公表というふうになっておりますので、なかなか情報発信が時間的に遅れてしまうというのが悩みどころでございます。正直申しまして、あまり即時的にはできていないということになるかと思います。

2点目のデジタルトランスフォーメーションの関係でございますけれども、これはデジタルに強いかうんぬんということではなくて、実際に販売といいますか購入方法を利用されるかということになりますので、あとは取引上の問題なのかなと思います。ただ、デジタルが詳しいうんぬんということよりも、購入する経路の問題と考えておりますので、それに対して特段こちらのほうでは人的な手当てというのは行っておりません。

○新川座長 ありがとうございました。

生駒委員、いかがでしょうか。

○生駒委員 御説明ありがとうございます。ただ、このデジタルトランスフォーメーションに関しましては、デジタル庁も立ち上がり、今後勢いが増すと思いますので、やはりその被害の対応だけではなくて、どういう見方をしたらいいのか、どういう心構えでインターネット上の取引に臨めばいいのか、そういったような、それこそ未然に防止するようなアドバイスなども発信していかれるとよいかなと思います。どうもありがとうございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

座長代理の受田委員、御質問が来ております。よろしくお願いいたします。

○受田座長代理 ありがとうございます。

国民生活センターでの調査を含めた一連のプロセスに関して御説明いただきまして、本当にありがとうございました。

今の生駒委員からの質問にも関連をするのですけれども、情報発信までのプロセスに関して時間的にどれぐらいかかるのかというところが非常に関心がございます。もちろんマル1のテーマの選定・企画・立案から始まって、その内容も相まって恐らく相当なステップを踏んでいるということは明らかだと思うのですけれども、早いものでどれぐらいなのか、あるいは極めて時間が必要になるようなもの、具体的にそういう事例の際にどれぐらいの期間がかかるのかというのを教えていただきたいというのが1点。

それから、PIO-NET等を通じた寄せられる情報を参考にというところはございますけれども、候補としてどれぐらいのテーマがあり、実際にこの商品テストを実施するに至るのは、どれぐらいの確率になっていくのか。これも内容によっては相当多様かと思うのですけれども、具体的にお話しいただける範囲でお聞かせいただければと思います。

以上です。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

○国民生活センター菱田参考人 御質問ありがとうございます。

まず、かかる期間でございますけれども、早いものでございましたら、例えば今回お示しさせていただいたものは具体的な商品名ですとか事業者様の名称が入るというものでございますので、これがない場合はもう少し単純化してやることが可能です。

こういったもの、全てではないのですけれども、短い場合は3か月程度で公表に至ることが可能でございます。また、長いものにつきましては、テストにかかるものですとか、あるいは調整ですね。行政機関のほうにこういった対応ができないかとか、そういった調整等も含めまして、1年近くかかるものもございます。

続きまして、もう一点がテーマ選定につきまして、どれぐらいあるのかということでございますけれども、品目の提案といいますか、内部からこういったことについて、こういった商品群について、こういったテーマで、こういったポイントで取り組んだらどうかという提案が年間50件程度ございます。その中からいろいろ内部でもんで、実質的には15件程度の公表に至っているところでございます。ただ、品目提案の前にいろいろ情報はあるのですけれども、そういったテストのプランといいますか、デザインができるかどうかというところもございますので、その辺りでも少しフィルターがかかるのかなと思います。

以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

受田委員、いかがでしょうか。

○受田座長代理 ありがとうございました。具体的にお答えいただきまして、大変参考になりました。ありがとうございます。

○新川座長 それでは、八木委員からも御質問が来ておりますので、八木委員、よろしくお願いいたします。

○八木委員 ありがとうございます。

新たな消費の形として(消費と言っていいか、投資と言っていいか微妙なところなのですが)、クラウドファンディングによる購入という方式があります。事前に商品が形になっていない状態でネットで購入の予約をするファンディングするという新しい消費の在り方ですが、そういったことにどのように対応していらっしゃるのか、あるいは計画があるのか、その辺りをお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○新川座長 ありがとうございました。

いかがでしょうか。なかなか具体的な商品ではないようなものが、テストのしようもないということもあるかもしれませんが、この辺りで考え方などがありましたら、お願いします。

○国民生活センター菱田参考人 私どもは商品テストで実際の物とかを扱っておりまして、そういうものにつきましては、金融商品といえば商品という名前になるのですけれども、こちらにつきましては私どもの相談情報部のほうが早くそういった事象を捉えまして、注意喚起ですとか、手口といいますか、どういったパターンがあるのか等を公表させていただいていると思います。

青木部長のほうから何か補足がございましたら、お願いいたします。

○国民生活センター青木参考人 今、菱田のほうから申しましたことに関連しまして、補足いたします。契約の問題につきましても、PIO-NETに登録された消費生活相談情報の分析や相談情報部においてあっせん等を行う中で、特に悪質な手口や新たな手口が目に付き、消費者被害の未然防止・拡大防止の観点から、その手口について広く周知して注意喚起を行う必要がある場合は、情報提供資料を作成し、内部手続を経た上で、公表を行っております。

以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

なかなか想定上の商品開発をするということでお金を集めますので、その構想された商品そのものを実地にテストはできませんが、同時にそういうものの構想とか設計について今後、国民生活センターでもひょっとすると何がしか知見をお持ちにならないといけない状況もあるかもしれないという、八木委員、そういう御趣旨でよかったのでしょうか。

○八木委員 結構です。こういう商品を作りますよということで、それに対して予約を入れるようなイメージなのですけれども、商品自体がないものですから、実際にできたものが送られてきても、それが予想したものと違っていたり、クオリティーが違ったりということがあり得ます。一方で、ファンディングという名前がついているように、情報だけをみて「これを買いたい」と決めたわけで、投資に近い形だということもあって、泣き寝入りしてしまう可能性が非常に高いものだと思われます。これまでの消費行動とは全然違う形にはなるので、どこかでこの形態をウオッチしなければいけないのではないかなという問題意識を持っています。

一方で、こういうクラウドファンディング的なものを大いに活用いて、世の中にイノベーションを起こしていくということも非常に必要であり、うまくこれを活用していくという観点も必要です。まずいものについては予防措置、あるいは事後的な措置を取っていくことも考えておかなければならないと思いました。対応されるのが、国民生活センターがいいのかどこがいいのかわかりませんが、誰かがどこかで見ておかなければいけないという問題意識で発言させていただきました。的外れな質問かも知れず、申し訳ありません。

○新川座長 ありがとうございました。

また、国民生活センターにおかれましても、いろいろな可能性として御検討いただければと思います。

そのほか、各委員からいかがでしょうか。

教育研修部の御説明に関しまして、私のほうから1点だけお伺いしたいのですが、特に企業様への職員向け研修ということで今日御説明をいただきました。その中でも少し触れていただきましたけれども、企業様側からのニーズというか御要望としてはトレンドとしてどういう御要望が強いのでしょうか。基本的な基礎的な教育が多いのか、それとも、もう少し顧客対応に関わるような、あるいはコンプライアンスに関わるようなところ、かなり専門的なところに入るようなところが多くなっているのか、企業様側からの御要望とそれに対して教育研修としてどのように対応しておられるのか、この辺りを少し詳しくお教えいただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。

○国民生活センター青木参考人 教育研修部の青木でございます。

私どもは御受講いただいた方には受講者アンケートを取っておりまして、次回どのような研修を受講したいかということについて伺っております。この中では、カスタマーハラスメントへの対応、いわゆるクレーマー対応的なことに関する講座をやってほしいという声を比較的多くいただいております。また、国民生活センターとか消費生活センターがどんな活動をしているのか、こういったことについても知りたいというお声を頂戴しております。そこで我々の研修の中では、全国の消費生活センターがどんな業務を実施しているのか、どんな立ち位置で業務を実施しているのか、こういったところをよく御理解いただいた上で、決して消費者行政が事業者の活動にとって妨げになるものではなくて、世の中において共生や協働していく、そういう主体として捉えていただき、消費者行政を身近に感じていただくための研修を御提供するということで、カリキュラムの工夫を心がけているところでございます。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。よく分かりました。

西田委員からも御質問が来ております。西田委員、よろしくお願いいたします。

○西田委員 よろしくお願いします。

御説明ありがとうございました。国民生活センターの活動は非常に大事だなと思っていつも注目しております。先ほどアマゾンへの情報提供とかヤフー、その他の類似の企業への働きかけという話があったのですけれども、この流通を巻き込むというのは非常に大事だなと思っています。そういう意味で、今回の働きかけは、行政サイドからの話に近いかなと思うのですけれども、企業サイドからこういう情報を出してほしいとか、先ほど新川委員長から教育でのニーズという話がありましたけれども、教育だけではなくて消費者のいろいろな不具合情報とかに対してこういう情報を出してほしいのだというようなことを企業から受け付けられるといいなと思っているのです。実際にそういうことをしようと思うと、それに分析する部門とかそういうのが必要になってくるかなと思うのですけれども、過去そういう経験がおありになるかとか、実際にそういうことがあるのかという点はいかがでしょうか。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、菱田さん、いかがでしょうか。

○国民生活センター菱田参考人 すぐには事例が思い浮かばないのと、なかなか事業者様のほうから、テストをやってくれというお話は時々はございますけれども、こちらはそういう試験をする機関ではなく、情報提供機関ということで、そういった危害、危険に関わる情報をおまとめして分かりやすく消費者の方にお伝えするというのを業務にしております。それが方向性として事業者様がこういったことをやったらどうだということでおっしゃっていただいたことを全く受け付けないということではなく、非常に消費者の方に有益だということであれば、そういったものを事業者様主体ではなく、そこから切り離して、こちらのほうで組み立てて出していくということはあり得るかと思います。

○西田委員 ありがとうございました。まさにそのままに答える必要もないかなと思って、ワンクッション入れていただいて、国民生活センターさんのほうで判断して、これは大事なのだろうというような仕組みがあればいいなと思っていまして、是非そういうことができるといいな。だから、もうちょっと、本当は広く民間から受け付けて、もちろん精査するのだけれども、そのようなことができるといいのかなと思いました。

それから、研修会をいろいろされているのですけれども、そういうことでいろいろな良いサービス、製品が出てきたときに、実は経産省だと製品安全対策優良企業表彰であるとか、消費者庁では消費者志向経営の表彰などがあるのですけれども、研修会と、そうしたインセンティブの部分がつながっているというか、そういうアウトプットというか出力先がありますよということも含めて紹介できると効果的になるのかなと。というのは、表彰というのも結構省庁でばらばらにやっているなという印象があります。実はこういうところに関係するのですよということも連携が取れるといいのかなと感じました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

菱田さん、よろしゅうございますでしょうか。何かお気づきになられた点がございましたら。

○国民生活センター菱田参考人 特にございません。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほか各委員から何かございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、特に御質問がないようでしたらば、質疑のところ、予定の時間を既に過ぎておりますので、この辺りにしたいと思います。

本日は、国民生活センター様、商品テスト部、教育研修部、それぞれ的確に御説明、そして質疑に御回答いただきまして、ありがとうございました。私たちはこれからどのようにより的確に、特に危険情報といったようなものを消費者の方々に、しかも的確にお伝えすることができるか、工夫をしていかなければなりません。今日の国民生活センター様の企業向けの様々な試み、これらもしっかり踏まえさせていただきまして、特に事業者の方々を通じてどういう情報の提供が可能なのか、私たちもしっかり議論を重ねていきたいと思っております。

本日は、長い時間にわたりまして、国民生活センター様に御参加をいただきまして、本当にありがとうございました。なお、最初、スタート時間が少し遅れて全体にタイトな予定になりましたことを改めてお詫び申し上げます。

それでは、国民生活センター様からのヒアリングは以上にさせていただきます。どうもありがとうございました。

(国民生活センター 退室)


≪3.閉会≫

○新川座長 本日予定をしておりました議事は全て終了をいたしました。これにて第7回費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループを終了いたします。ありがとうございました。

(以上)