第12回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2018年11月1日(木)10:00~12:10

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
鹿野座長、池本座長代理、樋口委員
【説明者】
日本通信販売協会専務理事 万場徹氏
日本通信販売協会理事・事務局長 三浦千宗氏
日本広告審査機構専務理事 山本一広氏
日本広告審査機構事務局長 川名周氏
自動車公正取引協議会四輪車業務部長 島田明氏
消費者機構日本専務理事 磯辺浩一氏
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 事業者団体ヒアリング
  3. 消費者団体ヒアリング
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 おはようございます。

本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」第12回会合を開催いたします。

本日は、所用によりまして、高委員長、山本委員が御欠席との御連絡をいただいております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

議事次第に配付資料一覧を記載しております。

不足の資料等がございましたら、事務局へお申しつけいただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、鹿野座長に以後の議事進行をお願いいたします。


≪2.事業者団体ヒアリング≫

○鹿野座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

本日は、消費者法分野におけるルール形成の在り方の重要な論点のうち、第1に「事業者団体の役割の強化」、第2に「適格消費者団体の役割の強化」の2点に関する検討を行いたいと思います。

まずは、第1の「事業者団体の役割の強化」について御意見を伺うため、公益社団法人日本通信販売協会、公益社団法人日本広告審査機構(JARO)及び一般社団法人自動車公正取引協議会から、ヒアリングを順次行っていきたいと思います。

初めに、日本通信販売協会からお話しいただきたいと思います。

本日は、参考人としまして、専務理事の万場徹様、理事・事務局長の三浦千宗様にお越しいただいております。

日本通信販売協会は、特定商取引法に位置付けられた組織であり、自主規制団体として、通信販売における広告・表示の適正化に向けた取組や窓口相談業務を行っていらっしゃいます。

主な活動として「通信販売110番」を設けて消費者からの相談を受け付け、その解決業務に当たっていらっしゃるほか、相談事例を会員へ紹介するとともに、行政機関との情報交換等にも活用されていると伺っているところです。

また、新聞折り込みチラシやテレビ通販CMを対象とした通販広告実態調査を定期的に実施し、問題となる広告・表示については会員企業に改善を求めることなどの取組を行っていると伺っております。

こうした取組は、事業者団体の役割の強化について検討するに当たって重要な示唆となり得ると考えているところです。

それでは、まず、ちょっと短いですけれども、10分程度でお話しいただきますよう、お願いします。

○日本通信販売協会万場専務理事 今、御紹介いただきました日本通信販売協会の専務理事をしております、万場と申します。

本日は、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

それでは、時間も短いことですので、早速始めさせていただきます。パワーポイントの資料で御説明したいと思います。

2ページ、協会の概要につきましては、ここに書いてあるとおりでございますし、また、先ほど座長からも御紹介がございましたので、簡単に御紹介したいと思います。現在の会員数ですけれども、現在時点で正会員が466社ということで2社増えておりますので、合計数が658社ということでございます。設立当初から消費者保護と自主規制を掲げておりますので、公益社団になってからもずっとこの2大活動が主軸になっているということでございます。

3ページ、苦情相談窓口としての「通販110番」でございますけれども、これは協会の設立の翌年に設置いたしまして、現在は消費生活アドバイザーの資格を持った者が6名、対応をしております。「通販110番」の苦情件数とか苦情内容につきましては、お手元の机上配付の資料を御覧いただければと思います。一般向けとしましては、協会のホームページでも公表しております。2017年につきましては、若干落ち着いたという形ではありますけれども、5,000件程度の苦情相談が来ておりまして、一方で、ネット通販の詐欺的サイトの相談はぐっと減ってはいますけれども、コンスタントにまだ相談は入っているという現状です。越境取引が伸びていくに従って、そういう越境取引を装った詐欺的サイトがまだ残存している状況がございます。これらの相談を受けまして、机上配付のJADMA NEWS等で周知をしていると。どういう形の相談が入ってどういうふうに処理をしたか、その辺についての通知を会員にもしているということであります。JADMA NEWSと「通販110番」の報告書につきましては、全国の消費生活センターにもお送りして、広く御利用いただいている状況でございます。啓発も兼ねて、そういった形で広く配布をさせていただいているところです。

4ページ、「通販でトラブルにあわないためには?」ということで、消費者向けのパンフレットを作成しておりまして、これも全国の消費生活センター等にお配りしております。また、社会科の教育で教材として使いたいということで、学校の先生からの御要望等もありまして、その際は部数をまとめてお送りするということもやっております。基本的には、4ページ、5ページ、6ページ辺りを見ていただければお分かりのとおり、通販を利用するに当たってこういうところに気を付けてくださいという形で、消費者に上手に通販を利用していただくための資料ということでお配りしているものでございます。

5ページ、特に返品・交換のトラブルとか、そういうものはある程度消費者のほうでも気を付けていただくと、これだけ防げますということで解説をしております。

6ページ、本当にポイントだけを簡単にまとめて、高齢者の方にも分かりやすくということで、多少文字も大きくして、これをパンフレットの中に差し込んでお配りしているということでございます。直接消費者向けの活動ということでは、「通販110番」を中心にこういった活動をしているということで、御承知おきいただければと思います。

7ページ、ここから以降は事業者向けの活動ということでお話ししたいと思います。まずは、通信販売倫理綱領と実施基準の周知でございます。どんどん法律の規制も変わってきておりますので、大幅にブラッシュアップをする予定ではありますけれども、通信販売を行う上で基本的に遵守しなければならない事項について解説をしているところでございます。机上配付で詳しいものについてはお配りしておりますので、御参照いただければと思います。そのほか、返品特約に関しても、指針とか、テレビショッピング、電子商取引に関するガイドラインは、倫理綱領を基に詳しく解説したものを作っております。商品別で言いますと、通販は取り扱う商品の幅が非常に広いものですから、商品全部の取扱基準を作ると膨大なものになってしまいますけれども、特に問題が多いといいますか、気を付けなければならないということで、サプリメントの取扱いに関するガイドラインは特別に商品にスポットを当ててガイドラインを作ったものでございます。

9ページ、これにつきましては、お手元の机上配付の中の16ページ、17ページも御参照いただければと思います。そのほか、製品事故のガイドラインとか製品安全に関するガイドブックといったものも作っておりまして、事業者向けに配付し、啓発しているところでございます。

8ページ、倫理綱領のいわゆる綱領部分について、ここで掲げさせていただいております。

10ページ、先ほど言いましたように、法律がどんどん規制強化されたり条文が変わってきたりということがございますので、関連法律の講習会は定期的に行っております。また、商品別のテーマごとのセミナーも実施しております。もう一つは、通販広告実態調査、先ほど座長からも御紹介がありました、広告適正化委員会という第三者委員会を設けまして、毎年、新聞の折込みチラシ、BSを中心としたテレビショッピングの広告をチェックして、問題のある表示については、会員の場合は速やかに指摘をし、改善を指導する。非会員につきましても、指摘をいたしまして、法律上ここは問題ですよといった形で改善をお願いするということをやっております。もちろんそれに対する返信、お答えもある場合もありますし、なしのつぶての場合もございますけれども、できるだけ改善していただくような形で通知を申し上げているところでございます。この広告適正化委員会につきましては、主婦連の有田会長にも御参加いただいておりまして、第三者委員会という形で設置しておりまして、今年からJAROにも御参加いただいているところでございます。報告書につきましては、机上で配付させていただいておりますので、御覧いただければと思います。そのほか、統計調査ですね。企業実態調査ということで、通販業界の売上調査をやっております。百貨店の売上げは6兆円を切ったということですけれども、2017年の通販業界の売り上げは7兆5500億ということで、百貨店の売上げを既に大幅に上回っている状況です。経産省などの発表ですと15兆円ですが、うちの統計は物販を中心とした商品を売っているというところで統計をとっておりますので、約半分ぐらいの売り上げでございます。そのほか、先ほど座長からも御指摘がありました「通販110番」の事業者フィードバックですけれども、ニュース等、報告書等で会員にもお配りし、また、全国の消費生活センターにもお配りして、こういう苦情の傾向とか、そういうことについて周知をしているところでございます。また、機能性表示食品制度が今年で4年ぐらいになりますけれども、それについても、特にサプリメントということでございますので、これについてはサプリ塾を設けて、連続で勉強会を継続しているところでございます。

11ページ、12ページ、広報誌につきまして御紹介しておりますので、御覧いただければと思います。こういう形で、JADMA NEWSと言っておりますけれども、この会員誌において「通販110番」に寄せられた苦情とか、事業者からもいろいろと顧客対応で苦慮するケースがありますので、そういうことについて御相談も受けておりますので、こういう形でフィードバックをさせていただいておるところでございます。

13ページ、対外活動ですけれども、最近、力を入れておりますのが地方の事業者への啓蒙活動でございます。これは、地方自治体あるいは産業振興財団とコラボをさせていただきまして、地元事業者に、通信販売においてこういうことが必要なんだということで法律関係あるいは取引関係のことで商談会もやったり、そういったセミナーを開催しているところです。過去にも、鳥取、熊本、青森、その辺りでもこういう形で活動をさせていただいております。また、自治体や消費生活センターにも講師を派遣しておりまして、これはほんの一例ですけれども、各地のセンターから御要望がありまして、特に最近はインターネット通販に関する相談が多いと思いますが、各地で相談を担当されている相談員向けの講習会、消費者向けの講習会、いずれもリクエストがございまして、講師を派遣したりということをやっております。それから、大学ですけれども、流通経済大と商業施設学会ということですが、そのほか、大学で寄附講座をやっておりまして、そこでは通販のいろいろなビジネス上の観点からマーケティング等についてもお話ししているところでございます。国際交流ということでは、日中韓の通販協会、中国は電子商会、韓国はオンラインショッピング協会というところです。そちらと、3年に1度日本の順番になりますが、毎年3カ国持ち回りで通販サミットというものを開催しております。ここでは、日中韓の代表的な通販会社が集まって、いろいろビジネス上の情報交換をしているという状況でございます。

今後の活動につきましては、広告表示に関する管理体制、広告表現の適正化の強化に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。また、サプリメントの関連で言いますと、健康被害への対応に関するマニュアルを作成しまして、あってはならないことですが、万が一健康被害が発生した場合にどう対応するかというマニュアルを作成し、普及しているところでございます。また、クレジット決済へのセキュリティ対策は、割賦販売法の改正に応じて、セキュリティ対策は万全にしていこうということで支援策をやっているところでございます。物流問題ですけれども、経産省、国交省とで連絡会がございまして、そこで研究をしているところでございます。それから、製品安全ワーキングというものを新たに作りまして、製品の安全に対する取組を支援するという活動も引き続きやっていきたいと思っているところでございます。

簡単ですけれども、以上でございます。

○鹿野座長 ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方はお願いします。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 池本でございます。

短時間で申し訳ないぐらい、非常に充実した中身の取組をされていると思います。特に通信販売が本当に飛躍的に取引高も増え、事業者も増えている中で、非常に重要な取組であると受けとめております。

何点かお伺いしたいのですが、配付資料の10ページのところで、通販広告実態調査について、その報告書を机上配付いただいておりますが、それを見ますと600件のチラシ、広告などを収集し、分析をしておられると。ここにありますように、不適正な広告についての是正の指導をしておられると記載されています。これは非常に重要な取組だと思うのですが、いただいた資料によると、前回に比べて、今回は、不適正な広告が増えたか減ったかということと、特に会員企業とそれ以外の割合はどうなのだろうかというところが分からないので、教えていただきたいという点が1点。

それから、不適正広告についての是正の指導は、会員に限らず非会員に対しても行われているかと思うのですが、それに対する、会員・非会員、それぞれの反応ぶりと言うのですかね。何パーセントが対応して何パーセントが対応しなかったという正確なパーセントまでは出ないとしても、印象でも結構ですので、会員あるいは非会員について、どういうような対応ぶりだと受け止めておられるかについて、お伺いしたいと思います。

○日本通信販売協会万場専務理事 報告書の9ページ、10ページをお開きいただきたいと思います。

会員・非会員別の折り込みチラシ件数が9ページにございます。そんなに比率的には前回とほぼ変わらない状況ということがここで見てとれると思います。

10ページですけれども、適正・不適正の今回と前回の区分をしておりますけれども、そんなに比率的には変わらないかなと。若干適正のほうが増えて、不適正が若干減ったということでございますが、この不適正という評価の中身ですけれども、特定商取引法に基づく取引条件の表示の中で、例えば、社名が欠落しているとか、いろいろあります。それから、支払方法が書いていないとか、意図的というよりもミスと言いますか、特商法の趣旨を理解されていない事業者などもありますので、特に商品の通販とか、そういう地場産品を扱っておられるようなところはそういうことが多くて、不適正だからといって全て駄目かというと、ほんのちょっとミスをしたとか、そういうものもチェックをしております。それから、広告表現についてももちろんチェックをしておりますけれども、全てを加味してやっていることが一つと、JADMA視点とおこがましい言い方ではありますが、JADMAとしては、消費者目線で見るとちょっと不親切ではないかというものも含めて入れておりますので、若干、その辺を整理しなければいけないなとは思っております。本当に全く不適正であるというものと、このぐらいだったら許されるけれども法的に言うとそれはまずいですよねという部分も含めてという割合だと御理解いただければと思います。

15ページ、16ページに、具体的にこの広告はどうだろうかという評価をしておりまして、黄色いカードとか、赤いカードとか、グリーンのカードということで、例えば、15ページの広告の場合ですと、これは多分返品・交換のことを書いていないのですね。食品の通販をやられているところは、基本的にお客から何かクレームがあったら返品を受けますと素直に返品を受けているので、余り意識をされていないということはあろうかと思いますが、特定商取引上は返品・交換できるかどうかきちんと書いておかないと、返品されてしまいますから、返品は一方的にできるわけで、その辺は事業者にとってもよろしくないですよねということで入れるようにしたりとか、レッドカードの場合、例えば、19ページなどは、明らかにこれは法令違反ではないのかという形で、色分けをして、分かりやすくやっております。

それから、この結果をもちまして、レッドに関しては、協会の会員でレッドはけしからぬということで、すぐさま指導するということで、是正をしていただくようにやっております。非会員につきましても、レッドにつきましては、お手紙を出させていただいて注意を促すということをやっております。反応としては、会員はもちろん是正しなければいけないわけでやっていただいておりますけれども、非会員につきましては全く返答がないというところが大半です。一部の企業は、非常によい指摘をいただきました、我々は知らなかったということで、勉強させてください、ゆくゆくは協会の会員になりたいという形で言ってこられる会社もございます。わずかですけれども、そういう反応はございます。

以上でよろしいでしょうか。

○池本座長代理 ありがとうございます。

今のことに関連して、もう一歩踏み込んでお伺いしたいのですが、協会から、今のような会員の場合には、もちろんその対応はしないと会員資格にかかわりますので、きちんと対応されているし、日ごろからそういう形で周知されていると思うのですが、非会員に対しても今のようなこういう取組は物すごく貴重だと思うのです。なかなか反応が芳しくないというところを、どうしたものかな、何かいい方法がないかなということは、我々も問題意識があるところなのです。

例えば、一般消費者から、何か苦情、問合せが行った場合にも、事業者として十分対応がこのごろできていない。特にネット通販の場合には、電話にしろ、メールにしろ、なかなか反応がないというところが、それがまた苦情としても寄せられていると聞いているのです。

例えば、その会員企業と非会員企業を見比べていただいて、少なくとも消費者からあるいは協会から何か問題点の指摘があったときに、そういうものを受け付ける窓口体制というのですかね。そういう苦情を受け付ける担当者をきちんと決めて対応するようにという、その辺りは何か最低限のルールとして決めて、例えば、法律にするのか何にするのか決めておけば、こういった自主的な取組の効果が広がっていくかと思うのですが、御覧になっている非会員の企業の実態と、窓口体制なり、そういう法令遵守に向けた体制作りということはどういうふうに考えればいいのか、御意見をお伺いできればと思います。

○日本通信販売協会万場専務理事 非会員の中にも、先ほど申し上げましたように、よく知らないとか、何となく通販も盛り上がっているので、うちも通販をやってみたいなということでスタートをされる、スタートアップのところは、本当に知らないのですよね。特定商取引法にしても、景表法の細かな規定を御存じないケースがあって、知らぬ間にやっているというのか、結構先行企業の取引条件などをコピペしてしまってやっているみたいなところもありますので、知識がないところに対しては、啓発活動と言いますか、教育と言いますか、うちも自治体と組んで、いろいろ地方でセミナーをやったり、そういう事業をもっと積極的にやりたいとは思っています。

逆に、消費者窓口とか、そういうものを明確にされていないとか、悪質なというか、そういう企業に対してはなかなか有効な手だてがないのが現状です。連絡先も、例えば、ネットの詐欺的サイトなどの場合、連絡しても全く違う電話番号であったり、住所であったり、適当なところを使ってやっていたりしますので、そこはなかなか我々としては限界があるかなと思います。

ただ、警察庁とも情報協定を結んでいまして、怪しげなサイトがあった場合、通報するような形で情報提供をするという仕組みを用意していますので、そういった形を我々としては活用する以外、方法はないと。我々も、一部行政的な権限でもあればもっと強く出られるところですけれども、お願いベースでやっているところでございますので、なかなか難しいなと思います。

窓口体制をちゃんと整えなければいけないということを仮に法律で作ったとしても、そういう悪質な事業者は、そんなことは全然守りもしないという感じはします。法律の限界でもあるのかなという感じもします。初めからその法律を守ろうという気のない悪質なものについては、効果がないのかなと思います。

○池本座長代理 非常に大事なポイントになるかと思うので、今の点についてもう一言質問させていただきます。

本当に、今、ネット通販を含めて、非常に幅広く広がっている中には、本当に詐欺的な業者で直ちに警察が取り締まりをやらなければいけないところと、ある程度継続的にやっているけれども、全然法令遵守について関心のない、むしろ行政指導が駄目なら処分ということで対応すべき点と、その全部を通販協会で面倒を見てくださいということではなくて、知識は不十分だけれども、もう一歩底上げをすれば、きちんと法令順守をしながら継続的にやっていけそうなところ、でも、なかなか会員拡大というか、継続的にこの法令遵守の問題について、時間と人あるいは費用を割いてやるというところまで関心が向かないといった、言わば中の上というか、この辺りの層をもう少し底上げするために何か方策がないかなと。ありていに言えば、通販協会がもっと会員全体に対しての影響力が大きくなるための工夫ということのお考えがあればお伺いしたいというところです。

○日本通信販売協会万場専務理事 まず、たしか何回目かのこのワーキングでも資料があったかと。どなたかの資料だったのですけれども、悪質な層と中間層と従順層みたいに分類をされているものがありました。悪質なところについては、行政なり、司法なり、警察が動いていただいて、業界から放逐していただきたいと思います。最近の報道でも、通販が入り口になっていて投資をさせるみたいな、投資資金を集めて破産した会社がありましたけれども、ああいうものに対しては、司法権限なり警察の権限でどんどんやっていただきたいなと思っているところです。

中間層については、確かにうちとしてもお願いはしています。実際に苦情として入ってきたものは、場合によっては、苦情の件数が多い会社に対しては直接電話でアプローチをして、こういうところは駄目ですよ、直してくださいということはやっています。ただ、それもなしのつぶての場合もありますし、御指摘をありがとうございますという形でやっていくところもあります。

そういうところはどんどん協会にも入っていただきたいと思うのですが、うちも倫理委員会という委員会が入会の審査をするのですけれども、結構厳しくて、前にもどこかでお話ししたかもしれませんが、大体入会承認率は2から3割なのです。あとは保留にしたり、これは全然駄目という形で門戸を閉ざすような形もあるので、そこをどう取り込むかということは、協会自体も課題ではあります。

ある程度、ちょっとおかしいなと思っても協会に入っていただいて、協会がアプローチをできるような体制に取り込んでいきたいとは思います。ただ、会計上の問題というか、コスト上の問題もあって、協会の会費を払えないとか、そういう小さな地方の中小企業もありますので、そういうところに関しては、昨年から、JADMAクラブという、会員ではないのですけれども、情報会員といいますか、業界の情報とかセミナーの御案内で、セミナーの勉強に来てくださいとか、そういうものをお知らせするという会員の募集をかけていますが、まだ数が少なくて、それも拡大したいとは思っているところでございます。何せ通販の業界の社数はすごいと思いますので。

お答えになっていますでしょうか。

○池本座長代理 ありがとうございます。

○鹿野座長 他にいかがでしょうか。

樋口委員、何かありますか。

○樋口委員 今、いろいろお話を伺って、通販協会でいろいろ御苦労されて取り組んでおられるということがよく分かりました。池本座長代理からお話があった点に若干関係があるのですが、倫理委員会が非常に厳しいというのは分かる気もするのですね。つまり、消費者の側から見ると、JADMAマークがついているところについては、きちんと審査をしてもらって信頼できると。これもまた非常に重要な情報であって、協会が非常に大きくなってしまって、JADMAに入っているからといって問題が起きる場合もあるということだと、逆に協会のほうがリスクを負ってしまう形にもなるし、せっかく今まで築き上げてきたきちんとした体制とか、企業倫理を持ったところが崩れてしまう可能性もあるのかなと。自主ルールをどうするかとか、そこは非常に難しい問題なのですが、通販協に余り重い荷物を負っていただくのはいかがなものかなという気もするのですね。おっしゃるように、JADMAクラブはそういう意味ではいい工夫ではないかと思っています。

若干もし情報があればということで御質問したいのですが、日本では通販協におかれてはいろいろ御苦労をされているのですが、国際的な動きというか、通販の世界は各国でいろいろなタイプのものがあると思うのです。それとの関係で、他の国でユニークな取組があるとか、そういう情報があれば、教えていただければということが1つ。

それから、シェアリングエコノミーとか、SNSとか、私たちの世代にはやや縁遠いのですが、新しい動きは非常にウエートが大きくなっているとも言われていますので、それは通信販売の形をとっている部分は結構多いと思うのですね。ただ、消費者対消費者の取引であったり、全く違う形のものもいっぱい出てきていますが、その辺に関する通販協の今後の考え方といいますか、そういった分野を積極的に取り組まれるのか、それともそこはどこかで一線を引いて、今までの通信販売協会の会員の方々の伝統的なところを中心にしてやっていくのか、もしご方針があれば教えていただければと思います。

○日本通信販売協会三浦理事・事務局長 事務局の三浦です。

最初の御質問のユニークな取組というところは、なかなかまだ具体的にはないのですけれども、先ほど万場専務理事から話がありましたけれども、日中韓の通販大会を毎年行っている以外にも、準備会議ということで、そのほか年2回は各国が集まって、情報交換を行っています。そういった中で、どういった取組が今後出てくるか。現段階では、各国の中で伸びている企業の動向のお話が中心で、まだユニークな取組としてはこちらでも把握していないです。

2番目のシェアリングエコノミーですけれども、御承知のとおりで、通販の定義がどんどん広がっています。今ですと、会員だとエアークローゼットというレンタルのアパレルといったものにコーディネート提案をスマホで加えてといった形で、サービス系の分野はどんどん伸びてきている状態です。あと、メルカリもそうですけれども、C to Cの分野からうまくのしてこられた方が通販を展開されるということもあると思いますし、そういったものも追い風の一つとして、ふるさと納税のお礼の品を送るというところで地方でも事業者が立ち上がっているという面はあるかと思います。その中で、我々もそういった分野にどう取り組んでいくかですけれども、おっしゃるとおり、今、物販が中心の会員構成なものですから、とはいえ、保険会社であったり、一部サービス系の会員も増えていますので、情報収集から当たっていくということが今のポジションだと思います。

○日本通信販売協会万場専務理事 うちとしてはウエルカムなのですね。そういう幅広い事業者に協会としては参加していただきたいと思いますし、プラットフォーム業者についても、楽天は賛助会員でうちもお入りいただいていますので、正会員だけではなくて賛助会員という制度もございますので、そういう方々にもどんどんお入りいただきたいと思っているところでございます。

○樋口委員 分かりました。

ありがとうございました。

○鹿野座長 それでは、時間が参りましたので、日本通信販売協会様からのヒアリングはこの辺で終わりにさせていただきたいと思います。

通信販売協会様からは、かなり積極的な自主的な取組について御紹介いただきました。このお話の中にも出てきましたように、通信販売は、インターネットの普及に伴って飛躍的に伸びていますが、その中には余りルールを知らないで参入してくる事業者もいるようです。そこで、事業者に対する啓蒙・啓発をどういうふうに行っていくのかということが大きな課題です。それとともに、レッドカードという話がありましたけれども、悪質な事業者をどういう形で排除していくかということも課題なのだろうと思います。

今日は、その両方に対する取組についてお話しいただきましたし、会員に対しては、通知をすれば、それは聞いてもらえるということでしたけれども、非会員に対してどういう形でそのルールの遵守をさせるのかということが大きな課題であるということを改めて認識した次第です。その会員か非会員かという話の中では、会員になるには、ある程度要件も厳しく、審査も厳しいけれども、JADMAクラブというものを作って、そこで情報を発信するという形の取組もなさっているということも伺いまして、それも非常に参考になりました。今後のことについては、最後に樋口委員からの質問にもありましたように、通販といっても、物を売るというだけではなくて、かなり多種多様な対象の取引が通販という形をとって行われているという実態もありますので、私たちも含めてですけれども、このような新たなタイプの通販についてどのように適正化していくのかということも考えていきたいと思っているところです。またお知恵を拝借できればと思っております。

今日は、誠にありがとうございました。

○日本通信販売協会万場専務理事 ありがとうございました。

(日本通信販売協会 退席)

(日本広告審査機構 着席)

○鹿野座長 続きまして、日本広告審査機構様からお話しいただきます。

本日は、参考人として、公益社団法人日本広告審査機構(JARO)様から、専務理事の山本一広様、事務局長の川名周様にお越しいただいております。

日本広告審査機構は、広告・表示の適正化を推進することを目的として設置された自主規制機関であり、広告・表示に関して、指導、相談、審査を行っていらっしゃいます。

特に広告・表示の審査活動においては、広告等の受け手からの苦情申立てを契機にして、広告内容を確認し、必要に応じて内部の検討組織で審議を行い、警告・要望・提言といった「見解」を表明する取組をしていらっしゃると伺っているところです。

また、この「見解」につきましては、当事者となる広告主に限らず、広告を流通させた媒体社などにも情報共有することによって、業界全体の理解を促すという取組もされていると伺っております。

こうした取組は、事業者団体の役割の強化について検討するに当たり重要な示唆となるものと考えており、本日、お話を伺いたいと思っているところです。

それでは、まず、これも恐縮ですが、10分程度でお話しいただきますよう、よろしくお願いします。

○日本広告審査機構山本専務理事 日本広告審査機構の山本と申します。

本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。

時間もないところなので、早速、始めさせていただきます。

2ページ、私ども日本広告審査機構は、社団法人として1974年に創立しまして、2011年に公益社団法人化いたしました。会員構成といたしましては、広告主が大手を中心に約366社で全体の40%強、日本全国のほぼ全ての媒体社322社が40%弱、それから、広告代理店あるいは広告業、広告関連企業ということで、20%弱、180社ほど、計864社で構成されております。広告主も業種は多種多様にわたりますので、先ほどのJADMAであり、あるいは自動車公取協もそうなのですけれども、各事業者団体が自主規制で取り組まれているものを飛び越えたものが我々のところに入ってくるという構造になっております。

3ページ、定款ということで、「この法人は、公正な広告活動の推進を通じて広告・表示の質的向上を図り、もって事業活動の適正化並びに消費者利益の擁護及び増進を期し、社会・経済の健全な発展と、国民生活の向上に寄与することを目的とする」。「消費者」という言葉が入っておりますし、全体の発展という概念を基に、消費者を起点としながらも余り経済活動を損なわないということも視点に入れながら活動をしております。他の自主規制団体と異なりまして、我々は広告・表示に関する規制、規約、それから、もちろん法令も含めたものが適正に運用されるようになるためにはどうしたらいいかということを主眼において活動しております。

4ページ、定款の事業の項目に基づいて順番にお話しいたします。まず、広告・表示に関する指導、相談です。これは掲出前あるいは媒体社に送られる前の広告に関する相談に対して答えるというものです。下にございますが、法律・自主規制が細かく、規制の厳しい分野の「照会」が非常に多くなっています。法令や自主規制だけでは判断しづらい、運用とかグレーゾーンが非常に広くなっておりますので、こうしたところに対して、JAROの持っている事例も含めて回答して、まず、出る広告自体が適正になるような活動をしております。これは、私どもに寄せられる電話であり、御相談全体で1年間に大体1万件でございますが、この1万件のうち、去年でいきますと1,700件ほどということになっております。この照会に関しましては、会員サービスという言い方はしておるのですが、会員以外からも御相談があった場合には受け付けて対応するということで、昨年ですと、会員以外からの御相談が約200件くらいですから、約12%のご相談をいただいております。

5ページ、広告・表示に関する審査でございます。私どもは1万件ほど受付をするうちの約7,500件ほどが苦情もしくは御意見と言われるものでございます。それ以外に、先ほどお話ししましたように、照会あるいは広告以外のものも頂戴いたします。この苦情・御意見の中、まず、電話・ファックスで受けるものが大体全体3分の1ほど、それから、3分の2ほどがオンラインになっています。2年ほど前にこれはほぼ同じ数でしたので、オンラインが非常に伸びているということが言えると思います。電話・ファックスがそれほど減ったわけではございません。この中身に関しましては、まず、表示内容に関する御意見と表現に関する御意見がございます。広告業界においては広告物自体が商品です。例えば、表現上非常に不快な思いをさせるとか、こういうタイミングでこういうCMを流さないでほしいとか、あるいはこういう広告手法は不快であるとか、こうした御意見が全体でいくと約半分ぐらいかと。それから、内容に関する御意見が約半分ぐらい。業種によってかなり異なるのですけれども、こういった感じになっております。まず1つは、こうしたものを会員社に対しましては、ホームページを通じまして会員社ごとにフィードバックをいたします。それから、こういう意見が寄せられているということを、啓発活動として、各種セミナーで公開したり、媒体社へ情報提供をしたり、あるいはリリースとして外に発出するという活動をしております。なおかつ、この中で捨て置けないといいますか、非常に消費者被害が大きかったり、あるいは影響が大きいだろうと思われるもの、あるいは明らかに法令に触れているだろうというものに関しましては、下にございますが、会員社の方から成る委員会で審査をいたします。昨年度といたしますと、審査にかかったのが32件で、この32件中全てに見解を発信しました。JAROでは、その後、その見解に基づきまして、広告が修正されたかどうか、そして、修正されないもしくはその広告が修正されてもまた他で同じようなことを同じ事業者が繰り返しているといったものに関しましては、行政のほうに、消費者庁とか、各都道府県の薬務課のほうに情報提供をするということを一昨年度から始めております。

6ページ、苦情の寄せられる業種/媒体別の動向があります。ここに関しましては、表現に関する御意見もございますので、CMでの露出量が多いところあるいは広告の露出量が多いところと、実際に間違ったあるいは不適切な表示内容があるところがごちゃ混ぜになっているとお考えください。苦情を寄せられている業種別で言いますと、デジタルコンテンツ、先ほどもお話がありましたように、ネットワーク上のあらゆるサービスをここに入れておりますので、例えば、コミックとか、ネット上で販売される音楽といったものから、C to Cの交換サイトだったり、ふるさと納税サイトであったり、こういうものまで雑多に入っている。あるいは、オンラインゲームとか、こういうものも入っているとお考えください。その次は携帯電話になっておりますが、これは広告での露出量が多いということで、広告表現に対するお問合せが多いということでございます。その後、健康食品、自動車、通信販売と続いております。また、苦情の媒体別の件数ですと、テレビが4,000件ほどで横ばいなのに対して、インターネットは毎年大体20%ほどずつ伸びております。ネット上のサービスが非常に大きくなってきていることも当然のことながら一因だと思います。

7ページ、広告・表示に関する審査でございます。左側の図で、相談者の方の御意見・苦情が全ての起点でございます。これで寄せられたものの中から、非常に悪質である、あるいは捨て置けないものについて、広告主あるいは媒体社と連絡を取った後、会員社で構成される業務委員会という委員会にかけます。その中で、これはJAROとして取り上げるべきだというものに関して、業務委員会の2段階の会議にかけまして、ここで見解を発信いたします。また、発信しました見解に対して、相談者様もしくは広告主の方が納得できないという場合には、学識経験者から成る審査委員会で裁定するという仕組みになっております。ただ、ここ10年ほど審査委員会で裁定をした例はございません。出した見解に対して、双方の方に御納得いただいているということでございます。見解は、右にございますように、法令違反、虚偽・誇大、それ以外に、誤認を期待していると思われる、誤認するおそれがある、説明が不足である、マナーに反している、こうしたものをランク別に、警告、要望、提言という形にしております。

8ページ、見解に至った商品/媒体でございます。昨年度でございますが、健康食品が断トツといいますか、11件。それから、化粧品、医薬部外品といったものが並びます。先ほどもお話ししましたように、法令であり、規約が非常に厳しいところ、難しいところにおいて、見解の対象となった商品・サービスが多くなっております。見解の対象となりました媒体に関しましては、ここにございますように、インターネットがかなりを占めるという状況でございます。実際に、昨年度、32件見解を発出しましたうち、改善もしくはその広告自体を取りやめた、あるいはそれをやらないことにしたというところが26件。すみません。これは資料には記載してございません。一部不適切なところが残ってしまっているものが1件。行政と相談中であるところが1件。JAROからは指摘を受けたけれども、行政からはオーケーが出ている。これは都道府県で、例えば、薬務に関しましては個別の判断をいたしますので、我々はこれはまずいだろうと思っても、このぐらいではいいのではないかという判断が下される例もあります。昨年度でいいますと、未改善、改善が全く見られなかった事業者を行政に情報提供したものが3件ございます。ですから、何らかの形はほぼ取れているとお考えいただければと思います。

9ページ、広告規制の構造ということで、「これまでの広告には」と書いてありますが、俗に言う4マスと言われていた時代には、広告主は事業者サイドで規制を作り、媒体社は掲載基準であったり放送基準といったものを作り、これがまず一つは機能していた。それ以外に、実際には広告主、これは過去には非常に大きなお金がかかりましたので、業態の審査が行われていました。あるいは、媒体社が広告会社を業態審査していた。要するに、こうしたものがベースとして働いた上に、自主規制、公正取引規約、あるいは法規制、あるいはもっと大きいものとしてモラル、こういうものが働いていたということでございます。ただ、ここに来まして、インターネットの媒体に関しましては、良心的な事業者は事前の審査をいたします。ただ、そうでないところは、載せて悪いものを落とす。要は、悪いものが露出されるというやり方をされているところもございます。ですから、過去のこうした広告規制の構造がだんだん効かない部分が大きくなってきている。それが先ほどのインターネットの悪質な広告・表示が増えてきている原因だと思います。

あと、他の活動について簡単にお知らせします。まず、広告・表示に関する基準の作成ですが、これは実際に関わったという例はございません。現状、各事業者間の情報交換もできるようになってきておりますので、ただ、例えば、JAROに意見が入ったことで、公正取引協議会ができたみたいなことはございまして、何らかの外部的な刺激になったのではないかと思っております。後ほどお話があります自動車公取協でも、自動運転に関する規約運用の考え方を出されるときに、JAROにもこういう意見が入っていますということをリリースで取り上げていただいたりしています。それから、広告主・媒体・広告業者が組織する自主規制団体との連携、協力ということで、ここにございますように、公取協や民間自主規制団体、それから、広告業界の団体に対してセミナー等の講師を派遣したり、連絡会を開き、常に情報交換をするようにしております。また、消費生活センターとかにも、JAROから講師を出して、現状の広告、審査活動の状況について情報共有するようにしております。

11ページ、最後のページでございます。消費者団体・関係行政機関との連絡、協調ということで、関係行政機関の皆様とは定期的に懇談会を開催して情報交換を図っております。消費者庁とは一番領域が近いので、公式の連絡会が年2回ですが、常にルーチンの中でも連絡を取り合って、現状どう考えるべきかということについてお話を伺っております。また、国民生活センターや消費生活センターの方との連絡会、こうしたものも実施しておりますし、首都圏、5都県の景表法の担当者あるいは8省庁と書いてあるのですけれども、実際には12省庁20部署、景表法あるいは消費者担当の部署のある方にお声がけをして、今、何が起きているかということについて連絡を取り合うということをしております。また、最後になりますが、インターネットが普及しまして、先ほどのような広告業界の中の自主規制の構造が取れなくなってきているということもありまして、消費者のほうのリテラシーを高めるという活動も必要だと考えておりまして、JAROに人を招いての市民講座であったり、大学との連携講座であったり、こうしたものについて力を入れ始めております。また、それ以外にも、月1回機関誌を発行し、会員社及び行政、関係団体に送る。それから、セミナーを開催する。もしくは、先ほどの全体の寄せられた苦情に関する統計的な資料等々をニュースリリースとして発行するという活動をしております。

12ページ、「ステークホルダー」と書いてありますが、JAROの一つの目標としまして、広告・表示に関するハブになる、情報のハブになるということを掲げておりますので、12ページの図を付けさせていただきました。

長くなりましたが、以上でございます。

○鹿野座長 ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方はお願いします。

いかがでしょうか。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 どうも貴重な御報告をありがとうございます。

先ほど、9ページのところで、これまでのテレビ、ラジオ、新聞のようなマスメディア、あるいは印刷物もそうでしょうが、そういうときには広告をチェックする仕組みがあったけれども、インターネットの場合にはそれがない。非常にそこが問題だという認識を共有しています。

12ページのところでも、ステークホルダーというところには、これまでの構図を前提にして照会、適正化の働きかけということがあるのだろうと思うのですが、先ほど御説明があった中で、事前の照会でチェックをし、意見を回答する中で指導をすると。これは非常に貴重な取組だと思いますし、各社が個別に対応するといっても、それぞれの力量というか、知識、経験が不十分なところを専門家によってチェックをしていただけるというのはすばらしいと思うのですが、この1,700件照会が寄せられるところは、先ほどのことで言うと、マスメディア関係の広告会社とか、媒体会社とか、そういう構図の中の関連会社からが多いのか。あるいは、インターネットのそういうチェックのない分野からが多いのか。言いかえると、インターネットのような、いきなり出すようなところからの照会はあるのかどうか。

その辺りについて、お伺いしたいと思います。

○日本広告審査機構山本専務理事 事業者の方の種別で統計を取っていないので、もし必要でしたら調べてお答えすることはできると思います。実際には、全体のうちの広告主が4割、44%ほど、媒体社が25%ほど、広告会社が30%ほどということになります。実際には、先ほどお話ししましたように、インターネット事業者の方もこの中に含まれているとは思うのですが、インターネット事業者は、今、非常に意識が高くて、出す前に審査をする。例えば、自分のトップページに載った広告のその次まで見る。要するに、リンクがありますので、その次まで見るとかというところと、機械的に全部送り込み、オートマティカルに広告原稿を入れ、要するに、不適切と思われるものを落とすというやり方をしているところに、2つに大きく分かれています。

良心的な前半のやり方をされているところは事前に照会されてくると思いますが、そうでないところは、瞬時に見て駄目なものを落とすというやり方になっていますので、多分照会に来ることはないと思います。ただ、そういうやり方を取られている事業者の方も、例えば、セミナーのようなところに来て、自分たちはどれを落としていいのか、どれを落としてはいけないのかということの判断のために勉強に来られるということはございます。

我々のセミナーは、事業者だけのものは基本的に会員だけではございませんので、非会員の方もそこに来て学んでいただくことはできるようになっています。

○鹿野座長 他にいかがでしょうか。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 JAROが非常に活発に活動しておられること、常日ごろからいろいろ拝見する機会もあります。ところで、差し支えない範囲で教えていただきたいのですが、JAROの財政的基盤とかスタッフの体制は、大まかに言ってどんな形なのかなと。それをお伺いしたかったのは、今後、例えば、インターネットとか、あるいはC to Cとか、いろいろなものが出てくる中で、これまでの一つの業態の中で支えていただいた方と、実際にトラブルが起きてくるとか、広告上の問題が出てくるところと対応関係にずれが出てくるような気もするものですから、現在、どんな形で基本的にこの日本広告審査機構が支えられているのか。どのくらいのスタッフがおられてやっておられるのか。その辺を教えていただければと思います。

○日本広告審査機構山本専務理事 現在、スタッフは私を入れて21名です。審査に関わるのは各会員社から出てきてくださる方なので、そういう方たちのお力も拝借するのですけれども、基本的に事務系を回すあるいは審査のベースを作る受付に当たるのは21名です。そのうち、現状は会員社からの出向者というのですか、実際には、今、広告代理店からの出向者は7人で、過去においては広告主からの出向者もいらっしゃったのですけれども、現状は広告代理店のみで7人出向者、残りが、プロパーもしくは嘱託の社員ということになっています。財務的な基盤は全て会員社からの会費ということで、先ほど、現在ですと約875社ぐらいですけれども、その会員社から年間15万6000円ずついただいておりまして、これが全ての基盤になっています。

先ほどの話でいきますと、確かにどんどん業容が大きくなって、やらなければいけないことが増える中でどう考えているかという御質問だと思うのですけれども、まずは、インターネットの企業あるいはインターネットを通じないとビジネスができませんので、そういうところに声をかけて、まず、会員になっていただくことがベースかと考えております。我々は、財政的基盤の担保ということと、それから、広告的成果のための仲間作りというか、要するに、JAROに入ることによって、自分たちも襟を正そうと考えていただく機会にしていただくことも含めて、あるいは勉強していただくことも含めて、仲間作りとも思っておりますので、実際には、21名の中に、専任ではないのですけれども、渉外担当を設けまして、各企業様に訪問したり、セミナーに来てくださった、媒体社はあれですけれども、クライアントといったところに声をかけて、会員になっていただけませんかという活動を日々行っております。

○樋口委員 ありがとうございました。

○鹿野座長 よろしいでしょうか。

それでは、予定した時間も参りましたので、日本広告審査機構からのヒアリングはこの辺りにさせていただきたいと思います。日本広告審査機構の皆様からは、積極的な活動について御報告いただき、ありがとうございました。

最後の質疑にも出てきたように、これはJAROだけではないのですが、このような自主規制に関する団体について、どれだけ会員になってもらって、ルールを徹底させていくかということが一つ大きな課題だと、私たちも認識しているところです。それについては、先ほど渉外担当という方がいらっしゃるということでしたが、地道に勧誘をするという、そういうことしかないのでしょうか。これは補足の質問になるかもしれませんが。

○日本広告審査機構山本専務理事 ベースにはそれしかないかと。1つは、先ほども随分御評価いただいたと思うのですが、事前相談の照会がございます。これはある意味でいくと、商売ベースでいくと、多分価値の高いサービスなのですね。そういう機能を持たない、知識のない広告主、代理店の方に対して、それをサービスでするわけですから。ただ、マンパワーと時間がものすごくかかりますので、それをもし拡充しようとすれば人を雇わなければいけないということになりますので、最初の一歩が、やはり会員社を増やすということだと思います。今既にお金を支払っていただいている方たちの値上げとかも考えないではないのですけれども、それよりは、まず、どんどんビジネスの新しいプレーヤーは出てきていますので、お声がけをして協賛者を募る。実際には重要だと。

昨今のフェイクニュースではないですけれども、広告自体の信頼性は、今、危うい状況にある。これについては、取り組むべきであるという高い志を持っていらっしゃる方も少なくはないので、そういう方たちに、お声がけをしないと入っていただけないので、お声がけをして回るということは、今の状況においては必要なことと思います。

○日本広告審査機構川名事務局長 補足しますと、セミナーとか、大体400人とか集まっていただいて、そこに非会員の方が大分いらっしゃる場合には、そこにローラーをかけるとか、あとはこの場所で言うと、消費者庁がいろいろ、今、大分、力を入れて適正化を図っている中で、できれば言っていただいたりとかすると大分助かるのですけれども、ニュアンスとしては、そういうことがあるのであればJAROに入ったほうがいいのではないかみたいなこととか、コンプライアンスが、今、非常にありますので、例えば、IPOを考えるところが向こうから声をかけてくれるみたいなこともあるので、そういう中で地道にやっているという次第でございます。

○鹿野座長 ありがとうございました。

これは、そういう会員になりルールを守っていくということが、事業を継続的に発展させていく上でメリットになるということを、どれだけ広く認識していただくかということともつながるのだろうと思っております。

本日は、お忙しい中、お越しいただきまして、どうもありがとうございました。

(日本広告審査機構 退席)

(自動車公正取引協議会 着席)

○鹿野座長 それでは、続きまして、自動車公正取引協議会からお話しいただきます。

本日は、参考人として、一般社団法人自動車公正取引協議会四輪車業務部部長でいらっしゃいます、島田明様にお越しいただいております。

自動車公正取引協議会は、景品表示法に基づき、公正取引委員会、消費者庁によって認定された自主規制ルールであるところの自動車公正競争規約を運用する団体であり、車やバイクを選ぶ際に必要な価格や品質等についての適正な情報の提供と、不当な表示等を禁止するための取組をしていらっしゃいます。

特に、不当表示への厳正な対処・未然防止活動にも注力しておられるということで、表示実態調査等を実施しているほか、規約違反行為に対しては、明確な措置基準を設定した上で違約金を課すなどの措置を行い、さらには、措置を行った事実を事業者名も含めて公表するなどをされているようであります。これは実効性という観点からも重要な取組と認識しているところです。

また、非会員の事業者への対応として、消費者庁等への措置を要請することもされていると伺っているところです。このような取組は、公正な市場を実現するために必要な事業者団体の役割について検討するに当たり、重要な示唆となるものと考えております。

それでは、恐れ入りますが、10分程度でお話しいただきますよう、お願いします。

○自動車公正取引協議会島田部長 自動車公正取引協議会、島田と申します。よろしくお願いいたします。

早速ですけれども、時間の都合上、資料の説明をさせていただきたいと思います。

2ページ、まず、私ども公取協の概要ということで、先ほど御紹介いただいたとおり、景品表示法に基づく車の販売に関する表示の自主規制ルール、自動車公正競争規約を運用する団体ということで、2ページの右側、「中央団体」というところにございますけれども、メーカーの団体の自工会、ディーラーの団体である自販連、全軽自協、輸入車のインポーターの団体の輸入組合、整備工場の団体の日整連、中古車の専業店の団体である中販連、この6つの団体によって規約を運用する機関として昭和46年に設立された団体でございます。平成15年に、二輪車、バイクの表示規約もできたということで、二輪車の団体、2つを加えた8つの団体で構成される規約の運用機関ということでございます。私ども自動車公取協は、地方組織を持たない団体でございますので、各地区におけます規約の普及・指導については、右下にございます「地方団体」というところで、「公取協事務取扱所」とございます。関係団体の中で、地方組織を持っている団体の各支部あるいは支所に、私どもの公取協事務取扱所という看板を掲げていただいて、傘下の会員に対する規約普及・指導に御協力いただいているということでございます。現在、会員は1万8400社ということで、メーカー、ディーラーについては、輸入車関係の一部を除けば、ほぼ私どもの会員になっていただいております。ただ、中古車の専業店のようなところになりますと、はっきり言って、古物商の許可さえあれば誰でも開業できてしまうというところがあって、なかなか母数は把握できないのですけれども、相当数のアウトサイダーがいらっしゃいます。ただ、大手はほぼ私どもの会員になっていただいていますので、車の販売のシェアで言えば、会員の占める占有率はかなり高いというところでございます。そのほか、中古車販売店は、中古車の情報誌に広告掲載することが多いというところもあって、この中古車の情報誌、媒体社の掲載ルールに規約を取り入れていただければ、会員のみならず非会員にも規約の効果が及ぶということで、中古車情報の媒体社の皆様にも、私どもの賛助会員になっていただいて、規約の普及・徹底に御協力いただいているところでございます。

3ページ、規約の普及活動の中で、①規約遵守状況調査を、年1回、定期的な実態調査ということで実施しております。1つは、店頭の表示ということで、店頭展示車ですとか、注文書において、規約に基づく適正な表示がなされているかということで、調査を行っておるわけでございますけれども、この店頭の調査については、各地区、公取協事務取扱所の方が実際の会員のお店に訪問してチェックか、あるいは、会員事業者が自ら自分のところの表示物を確認し、チェックをするセルフチェックか、いずれかの方法で調査を年1回実施しています。この調査は、どちらかというと、規約違反の摘発が目的ではなくて、ある意味、最近で言えば、会員における表示管理体制整備の一環ということで、気づきの機会と捉え、表示もれ等があれば、その場で各地区で御指導をしていただいております。あわせて、全体的な結果は報告書に取りまとめて、その報告書を各地区にフィードバックをして、規約の普及・指導に活用していただくということで行っております。もう一つの新聞、チラシ広告の規約遵守状況調査についても、各地区の公取協事務取扱所に御協力いただいて、全国で配付されている新聞やチラシ広告を約1カ月分収集いたしまして、私どもで規約に基づく表示がなされているかチェックをしているものでございます。こちらの結果については、報告書にまとめて各地区へフィードバックをしているところでございますけれども、特に新聞、チラシの中では規約上不当な価格表示に該当するおそれのあるもの、例えば、新車のチラシで言いますと、写真は非常に高い、見栄えのいい高グレード車の写真を出しておきながら、表示をしている価格は、それよりも安い、廉価な低グレードの価格を出している。そういうものについては、表示した価格であたかも高いグレードの車が購入できるかのように誤認を与えるおそれがあるということで、当該事業者に対しては文書で指導しております。最近は大分文書を出す件数も減っており、それは②にございますけれども、研修会の開催にここ数年は力を入れておりまして、研修会には、会員のみならず、広告関係事業者の方にも広くお声かけをさせていただいて、実施をしているというところが効果として表れているのではないかと感じております。

4ページ、調査関係というところでは、不当表示の未然防止活動の一環ということで、①オートオークションで落札された「メーター改ざん歴車」、「修復歴車」の販売時の表示実態調査を実施しております。これは、中古車の9割以上は業者間のオートオークションを介して流通しておりますので、このオークションの流通履歴をオートオークション協議会あるいはオークション会場に御協力いただきまして、その履歴のデータを御提供いただいて、修復歴のある車あるいはメーター改ざん歴車がきちんと中古車情報誌に、修復歴ありと表示されているか、改ざん車と表示されているか、そういった実態調査を行っております。こちらについては、問題があった場合には、会員に対しては、後ほど御紹介いたしますけれども、規約違反措置基準に基づき厳正に対処しており、昨年度、平成29年度に1社、今年度はこれまでに2社、会員に対して厳重警告という措置と合わせて違約金100万円の措置をとったところでございます。一方、非会員については、私どもの指導が及ばないところではありますので、行政、消費者庁や、最近は都道府県に直接ですが、証拠をそろえて情報提供をして、景品表示法に基づく措置を要請しているということでございます。その下の参考ということで、平成29年度、長野県、栃木県が非会員に走行距離や修復歴の不当表示、措置命令が取られていますけれども、これは別に私どもが情報提供をしたものに基づいてということではないのですが、行政でも、走行距離、修復歴の不当表示については厳しくやっていただいているところでございます。

5ページ、飛ばさせていただきます。

6ページ、主な活動ということで、私どものほうには、車の売買にかかわる消費者の苦情相談を受け付けている消費者相談室を設けておりまして、基本的には相談室ではトラブル解決のためのアドバイスをしておりますが、④にございます苦情相談件数の多い事業者については、関係法に基づくトラブル解決を要請しています。中古車の販売台数が多いところは、それなりに相談も多くなることあるのですけれども、相談内容を分析して、同じような相談、トラブルが続くところには、場合によっては、表示の問題、規約上の問題がある可能性がありますので、まずは規約上問題があるかを検証して、問題が認められれば、指導を行います。併せて、規約上の問題というよりは、民法であったり、消費者契約法に照らして、これは適切に対応するべきではないかという点については、強制力はないのですが、法律に基づくトラブル解決を要請するということも実施をしております。

7ページ、規約違反に対する措置で、先ほどの規約違反措置基準に基づいて措置を行うというところでございますけれども、どのような規約条文に違反したかによって、どういう措置を取るかということは、この措置基準で定められております。基本的には、右側にございます。注意には口頭と文書と2つがあり、注意、警告、厳重警告という措置が採られます。ただ、多くは注意か警告の措置になるわけですけれども、中古車の走行距離と修復歴の不当表示並びにおとり広告については、初回から③の厳重警告という措置を採ることになります。また、厳重警告の中で、この走行距離と修復歴の不当表示については、反復・継続的に複数台数不当表示を行っている、これは1台、2台、間違ってしまったというレベルではない、というものについては、初回から違約金を課すこともできるという措置基準になっております。また、措置基準の中に、違反に対する措置の公表もございます。除名処分はこれまでにありませんが、違約金を課した場合は措置を公表いたします。また、違約金を課さないまでも、走行距離、修復歴、おとり広告については、反復・継続して不当表示を行っている、台数が多い場合は、違約金は課さないのだけれども、事業者名を公表するという措置を採っております。私どもの措置の公表については、従来は業界内告知ということで、関係団体へのメール、ファックスでの通知、会員に対しては会報誌に掲載するということで、業界内告知にとどめておりましたが、現状は、業界内にとどまらず、広く公表もできるように措置基準を変更し、当協議会のホームページにも公開することになっております。

ちなみに、私どもあるいは消費者庁、行政が措置命令をとって事業者名を公表しますと、先ほどの賛助会員となっている、中古車の情報誌は、私どもの規約を各社の掲載ルールに取り入れているということで、その情報誌の掲載ルールにも違反したことにもなりますので、情報誌自らの判断によって一定期間広告掲載をとめるということをされていると聞いています。この措置の公表が抑止効果という意味では非常に高いのではないかということについては、実際に措置を採るときに、その事業者の社長とお話をしていても、違約金はしようがないから払うけれども、措置の公表だけは勘弁してほしいということを言われるケースも多いため、こういった対応が、問題を起こすとこういうことになってしまいますよ、ということでは、抑止効果が高いのではないかと感じているところでございます。

簡単でございますけれども、資料の説明については以上でございます。

○鹿野座長 ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御意見、御質問のある方はお願いします。いかがでしょうか。

それでは、池本座長代理。

○池本座長代理 池本でございます。

御報告をありがとうございました。

さすがに公正取引協議会という体制でやっておられると、執行の部分もしっかりしておられるなと感心してお聞きしました。

3ページのところで1点、4ページのところで1点、お伺いします。

3ページのところで、先ほど店頭表示のチェック、それから、新聞、チラシ広告表示のチェックをそれぞれやっておられると。これは非常に手間のかかる作業だろうと思うのですが、それを報告書にまとめて各地にフィードバックという御説明がありましたが、これは意味としては、その下にある説明会開催で、協議会様自体での開催11ブロックとは別に、地区開催もあるというところで、それを活用するという趣旨なのか、あるいはそれが更に会員に対しても説明会とは別で何か周知するということなのか、その辺りの各地にフィードバックをするということが、何らかの形で活用されている方策があればお聞きしたいという点が1点です。

2点目は、4ページ目のメーターの改ざんとか、あるいは修復歴などの表示がきちんとされているかどうか。これも正に専門家の立場で基本情報をもってチェックをしておられるということは、個々の消費者から苦情が上がるよりずっと精度の高い、すばらしい取組だと思います。しかも、これは会員だけではない、非会員についても行政と連携をしてやっておられるという点で、非常にこれはすばらしい仕組みだと思います。実際のところ、オートオークションで落札されたものについて、チェックを行う件数はどのくらいなのか。実数というよりは取引の中の何%になるか、あるいは件数でもいいのですが、現状ではどのくらいのところをやっておられるのか、あるいは今後はこれはどういうふうに計画されているのかというところについて、お伺いできればと思います。

○自動車公正取引協議会島田部長 最初の御質問、規約遵守状況調査の結果については、基本的には公取協事務取扱所にフィードバックをして、その公取協事務取扱所の中にも、規約の受け皿になっている部会なり委員会などの会議体がございますので、そちらで展開して、今、こういう問題が起きているから、こういうところは今後気を付けましょうねというところで活用していただく。それとあわせて、私どもで研修会をするに当たって、いろいろマニュアル等を作成しますけれども、そういったものにもこういった問題が見られたのでということで、問題点の表示はこうです、正しくはこうです、というようにマニュアルを作成して、説明会等で活用して普及に努めるということでございます。

もう一つ、オートオークションの実態調査なのですけれども、これは約1カ月分のオートオークションで、修復歴車として落札された車、メーター改ざん歴車として落札された車の一台一台の車のデータの提供をいただいています。大体、おそらく月とか年によっても変わるのでしょうけれども、両方合わせて5,000から8,000台ございます。そのため、この調査は非常に有効なのかもしれませんが、調査に時間がかかってしまうというところが問題と認識しています。こちらについては、会員に対しては、こういう調査をやっているから、うその表示をやるといつかは指導されますよ、非会員は行政からの指導もありますよ、ということで、抑止効果の意味でやってはいるところでございますので、今後も引き続き定期的に実施していく予定でございます。

○鹿野座長 よろしいですか。

ありがとうございました。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 少し初歩的な質問になるかもしれないのですが、4ページで、会員、非会員と分けておられるのですが、非会員の方はどういう方がおられるのか、会員にならない理由は何なのかということを、一つイメージとして教えていただければ。いろいろなケースがあると思うのですが、会員が多いほうがもちろんいいと思うのですが、あえて非会員でおられるのはどういう理由なのかなということを素人として知りたいと思いました。

もう一つは、それにも若干関係するのですが、7ページのところで、非常に厳しい規約違反に関する措置が盛り込まれていますが、例えば、過去の事例で、最初の質問に関係があるのですが、非常に厳しい措置があるなら非会員になるということがあり得るのかどうかです。先ほども、例えば、罰金というか、100万円は払ったとしてもそれが公表されることについては抵抗があるというお話がありましたけれども、会社の名誉とか、ブランドとか、いろいろあるとは思うのですけれども、例えば、もし非会員になるようなケースもあるのかどうか、こういうルールに関しては、脱退してしまえば、そのかわり行政で、悪質な場合には措置があるかと思うのですが、その辺のところは何か実態として、例えば、過去に会員が非会員になったりするようなケースがあったかどうかですね。

この2点について、関連していますが、教えていただければと思います。

○自動車公正取引協議会島田部長 会員にならない理由は、恐らく会員になれば、ルールを守れ、など、いろいろうるさいことを言われて規制されるということで、単純に自由にやりたいということが大きいのではないかと思います。

特に私どもの会員はほとんどの方が関係団体を通じて入ってきますので、ディーラーでしたら自販連を通じて私どもの公取協の会員になりますし、専業店でしたら中販連を通じて会員になるということで、中販連の会員になるメリットがあって中販連の会員になるのですけれども、その際に各地区の方が併せて公取協の会員にもなってください、ということをやっていただいているので、やむなく会員になっているという方もいらっしゃるかもしれません。

措置が厳しいということで非会員になる方も、恐らくいらっしゃると思います。昔から、今でも言われているのですけれども、会員にうるさいことを言って、非会員は野放しではないかという会員の声はございます。ただ、例えば、調査をして、こういう問題があります、こういう措置になりますよという話をしている中で、だったらやめますと言われた場合には、私どもとしては、それだったら私どもからは指導ができないので、行政のほうに証拠をそろえて持っていきますので、あとは行政の指導に従ってくださいねというお話をするので、基本的にはやめるにしても私どもの指導を受けてからやめられていることが言えると考えております。

○樋口委員 ありがとうございました。

○鹿野座長 ありがとうございました。

残念ながらほぼ時間になってしまいましたので、自動車公正取引協議会からのヒアリンクはこの辺にさせていただきたいと思います。

最初にも申しましたが、自動車公正取引協議会様は、公正競争規約を運用するという形での自主規制を徹底されているということで、実効性という面も含めてかなり強力な影響力を持った取組をなさっているということを伺いまして、今後の検討にも参考にさせていただきたいと考えているところです。

本日は、お忙しいところ、どうもありがとうございました。

(自動車公正取引協議会 退席)

(消費者機構日本 着席)


≪3.消費者団体ヒアリング≫

○鹿野座長 続きまして、本日の大きく第2の課題でありますところの「適格消費者団体の役割の強化」に関する検討を行いたいと思います。

本日は、参考人として、特定非営利活動法人で適格消費者団体の消費者機構日本、略称COJと言われるようですけれども、このCOJの専務理事でいらっしゃいます、磯辺浩一様にお越しいただいております。

このワーキング・グループの中間整理では、「執行の強化」の項目において、行政処分に至る権限の一部を消費者団体や事業者団体などの民間団体に委託するということを、今後の重点的に検討すべき論点の一つとして掲げておりました。

この論点について、本ワーキング・グループにおいても、更に検討を深めていきたいと考えておりますところ、その参考とするため、本日、消費者機構日本の磯辺様に適格消費者団体の立場からお話しいただきたいと思っております。

それでは、まずは15分程度でお話しいただきますよう、お願いします。

○消費者機構日本磯辺専務理事 消費者機構日本の磯辺と申します。

本日は、貴重な機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

貴ワーキング・グループにおかれましては、中間整理等を取りまとめていただき、行政処分を一層前進させるために民間団体に委託するという観点から御意見をまとめられていることに、感謝と敬意を表したいと思います。

お取りまとめいただいている内容を踏まえまして、私ども消費者機構日本は、適格消費者団体として、そういった権限の一部を委託することについて、どう受けとめ、考えるのかということでお話しさせていただければと思います。

ペーパーに沿って進めます。1つ、前提としてということになるわけですけれども、基本的には必要な行政処分を行える体制は、きちんとした予算・人員・権限の裏づけのある中央省庁及び地方公共団体で確保されることが大きく原則であろうと思っておりますので、その点、その権限の一部を委託することを進めることで、権限の行使がより容易になる、より多くの事案に対応できることは望ましいことかと思いますけれども、一方で、既存の行政機構の体制縮小や強化の差し控えの根拠にならないようにということも、1点、懸念しているところでございますので、それを最初に申し上げております。

適格消費者団体の活動の状況につきましては、前回もヒアリングの機会をいただきまして御紹介させていただいたところではありますけれども、差止請求の対象はそれぞれ法令に具体的に定められており、消費者契約法からスタートをした制度ということで、あくまで差止請求権の行使は民事上のものである、民事上の請求権であるということです。よって、現状、適格消費者団体が何か行政的な権限を持って調査や指導といったことができるわけではございません。あくまで民事上の手続、最終的には民事裁判において、当事者同士が主張立証を尽くした後に、裁判官が判断することで法的効果を持つという制度上の性格があるということでございます。

その関係で、適格消費者団体の体制は、消費者からの情報提供を端緒にして、法令に基づいて提供を受けられる消費生活相談情報を活用して、加えて既に公知になっている情報の収集を行うといった範囲で、先方に、問合書もしくは申入書等を送付して、回答を受けてやりとりをしながら、不当行為の是正、改善を図るという進め方になっております。そういう意味では、専門委員会や理事会といった会議体を中心に事案の検討をするという運営になっており、事案の検討は、専門家がボランティアで担っているという実情がございます。事務局の業務は、消費者からの情報の提供の受付、情報の収集、書面の整理・保管、送信及び受領といった実務対応と、会議に当たっての下準備ということの事務対応に限られております。事務局として、事業者に出向いて調査を行えるといったほどの専門性なり体制は、現状はございません。そういう意味で言いますと、行政処分に至る権限の一部の委託をもし受けるとしても、適格消費者団体にとっては、全く新しい業務分野を持つことになりますし、業務体制の抜本的変更、団体運営の見直しなども要すると考えられますので、慎重な検討を要するのではないかと捉えているところでございます。

そういう体制の問題に加えまして、行政処分による権限の一部を委託する場合の問題、課題と感じておりますのは、知り得た行政秘密に関する守秘義務、委託事業を受けて調査をするもしくは情報収集をするとなりますと、それらの情報については公になるまでには守秘義務が当然かかると思いますし、その守秘を確保するために、団体内部でその情報が他の現状の差止請求との検討部門との関係で、情報が流通されることは避ける必要があろうかと思いますので、団体内部のファイアウォールをどうするかということについても検討が必要になろうかと思います。

繰り返しになりますけれども、委託業務の上で知り得た被害をこうむった消費者の個人情報、当該相手事業者の機密情報を本来の役割である差止請求関係業務、民事的手続を遂行する業務では使えなくなってしまうのではないかとか、事業者の違法な操業実態について確信を持って行政機関に報告しても、行政機関としては見解が異なって処分が進まないといった場合に、差止め等の業務にその情報を移して手続を進めるということが難しくなるのではないかという課題もあろうかと思っておりまして、その点、付記させていただいております。

そうはいいましても、委託される内容の範囲によっては、現状の業務なり体制との関係で、そう無理なく対応できる部分もあろうかと思いまして、それをこのⅡのところでまとめさせていただいております。適格消費者団体が消費者から受け付けた情報のうち、差止請求とか、被害回復とか、そういった団体が現状有している権限よりも行政権限で指導を行うことが相当ではないかと判断される事案について、一定の専門家の会議等がございますので、法的検討を行った上で、行政機関に情報提供するということは無理なくできるのではないかと思っております。

例えば、現状でも、適格消費者団体が消費者から受け付けた情報で、指導権限を持つ行政機関に情報提供をしたほうがいいという判断で情報提供を行うケースがあります。

例として3つほど挙げておりますけれども、景表法で言いますと指定告示違反、これは適格消費者団体の差止請求権は、有利誤認表示と優良誤認表示にしか認められておりませんので、指定告示違反については差止請求権がないことになりますし、特定商取引法におきましても、法律で定められている差止請求の対象は、不当な勧誘、不当な契約条項の使用、虚偽誇大広告という範囲で具体的に指定がされてございますので、それに当たらない行為、例えば、文書交付の違反とか、そういった行為については指示に当たる行為ということで、行政で指導していただかなければ法的根拠をもって対応ができないということになりますから、そういった事例については、行政に積極的に情報提供を行うということを現状でも進めているところでございます。

特定商取引法で非常に重大な違反行為で、例えば、差止請求で、一部契約条項を是正するとか、勧誘行為の改善を図るといったことでは対応としては十分ではなくて、当該事業については、業務停止命令等が相当であろうと考えられる悪質な事案もあるところでして、そういったものについても、行政機関に情報提供をするということを行っているところです。

景品表示法の優良誤認表示又は有利誤認表示が行われたケースであっても、既に当該表示がされておらず、差止めの利益が認められるかどうかということが微妙な事案がございます。ただ、過去にそういった誤認される表示を行っていて、消費者の誤認を払拭するための対応が必要だろうと思われるものについては、消費者庁からの措置命令といったことが適当ではないかと考えられる場合があるということです。

それと、この資料から記載が漏れておりますが、前回のヒアリングのときにも申し上げましたけれども、景表法の優良誤認表示や特商法の虚偽誇大という表示については、行政の場合には不実証広告規制とか、合理的根拠を示す資料の提出命令ということが定められているところですけれども、団体にはそういった権限はございませんので、そういうもので立証が更に必要と思われるものについては、むしろ行政に積極的に情報提供をすることが適当かと思われます。

これらの事案について一定の法的検討をした上で、行政機関に情報提供をする。消費者からのダイレクトな情報提供と異なり、当方で一旦法的整理をすることが可能かと思いますので、それを委託業務として位置付けていただくということは、現状、私どもがやっている業務をきちんと行政としても位置付けていただけるということにもなろうかと思いますので、意味があることかと思います。

ただ、業務委託となった場合にどれくらいの件数ができるのかということは問題になってこようかと思いますけれども、現状、非常に感覚めいた話で恐縮ですが、私ども消費者機構日本でいいますと、今お話ししたような事例で情報提供が行える事案は年間5件程度かと思われるところでして、それを超えて業務としてしっかり位置付けてということでありますれば、情報提供を更に呼びかけるための広報、消費者から提供された情報の受付体制、もしくは検討するための会議の拡充等に相応の費用が生じますので、その費用が賄えるような委託業務の仕様といったことをお願いできればと考えているところです。あと、行政に提供した後に、行政処分に進まないと結論づけられた場合には、その旨、フィードバックをしていただいて、適格消費者団体が差止請求権の行使の範囲での対応ができるのかどうか検討ができるように配慮していただきたいということを考えております。

以上が行政処分の権限との関係です。加えて、適格消費者団体に対する支援をこうやって御検討いただいておりますので、その際の視点みたいなことで幅広い要望を幾つか書かせていただいております。現在、適格消費者団体が行っている差止請求関係業務の維持、発展となるという方向で支援を御検討いただきたいということが1つ。

委託業務の検討に当たっては、現在、団体が行っている差止請求及び被害回復業務自体の公益性が高いので、それらの業務の費用を支援できるような位置付けということで、委託業務化を御検討いただければということで2つ目。

3つ目は、これは財政面の支援というよりも、より容易に優良誤認表示や虚偽誇大広告についての対応ができるように、行政機関のような調査権限を保有していないものですから、専門的・技術的事項に関する立証責任の転換とか、不実証広告等に類するものについては、相手方事業者に対して、技術説明や証拠提出を求める権限という、証拠開示の手続の特例みたいな形で、民事上の手続における制度を検討していただけると、そのことが訴訟前の任意の交渉でも生きてくるのではないかとも考えられるところであります。

あと、現在の活動の中心となっています不当条項の差止めですけれども、契約約款の入手が困難なケースがあります。消費者から情報が寄せられて、不当契約条項があるのではないかということで約款の提供を受けるわけですけれども、消費者の契約時が数年前という例もありまして、現在使用されている約款かどうかは分からないと。事業者に開示を求めましても、開示を得られないケースがございます。そういう意味では、約款の開示義務等を法定するといったことについても、加えて御検討をお願いできればということでございます。

最後ですけれども、本日お話した内容は、ヒアリングのお話をいただきまして、消費者機構日本の中でいろいろ議論、検討したものでございますけれども、他の適格消費者団体の意見を広く私どもは聞いていない段階でもございます。いろいろ制約があることは分かるけれども、こういう行政権限の一部を民間団体に委託することについて、もう少し積極的に受けとめて検討してもいいのではないかという御意見もあるようにも聞いておりますので、更に幅広くヒアリングを進めていただければということでございます。

以上です。

○鹿野座長 ありがとうございました。

今回は、民間団体への委託ということにある程度焦点を絞ってお話しいただきました。これは、今のお話の中にも出てきましたけれども、そもそも適格消費者団体に差止請求権などの特別な権限が法律上与えられたのですが、それを支援する仕組みあるいはうまくそれを行使できるような法律上の手当等について、まだ十分ではない点があるのではないか。そして、そのことが原因でせっかくの制度が十分に機能していないということがあるのではないか。そのような問題意識から、この項目を中間整理のところで掲げさせていただいたとところであります。

もちろんこの差止請求権は民事の請求権ということではあります。けれども、従来の民法の伝統的な差止請求権は、被侵害利益の帰属主体がその私益を守るために行使するというものであったのに対し、この適格消費者団体の差止請求権は、あくまでも不特定多数の消費者の利益を守るために付与された権利ということですから、これは伝統的な枠組みに対してかなりドラスティックな変革をもたらした制度です。公益のための、だけれども、民事の請求権という制度をせっかくここで作ったわけです。そこで、この制度が正に消費者全体の利益のためにうまく機能するような方策を考えたいということでございました。

それでは、今の御説明を踏まえまして、御意見、御質問のある方。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 今、座長からもお話がありましたけれども、私も個人的には公益のための民事の請求権という位置付けでないと、適格消費者団体を法律に定めた意味が問われる可能性もあるのかなと思います。したがって、言い方は変ですが、純粋な民事ではないということではないかと思っております。これは意見でして、特に質問ということではございません。

実際の活動において、いろいろ御懸念を表明しておられますが、確かに権限が移ることによって体制が縮小してしまうということでは本来の趣旨に沿わないということだと思いますので、この委員会でもこういった観点のことについては一切検討していませんし、そういうことにつながるような話であれば、委託ということを考えること自体に問題があろうかと思います。ここは消費者機構日本のお考えと同じでありまして、いかなる場合にも既存の行政機構の体制縮小とか強化の差し控えということにならないようにすべきではないかと考えています。

その上で、公益のための民事ということでいった場合に、例えば、3のところになってくるのかと思いますけれども、具体的にどういうことができるのかということについても、現行制度の枠内でいろいろお話しいただいたと思います。その中には、現行制度の考え方、民事というところをベースにした考え方では、実際には難しいという立証責任の転換などもそうなのですが、行政側も一旦判断をしたら、適格消費者団体が、例えば、差止請求権を行使できなくなるという懸念とか、こういったことについては、そういった点を含めて今回はもうちょっと広く仕組みの問題として考えていくべきなのではないかと。このワーキング・グループ自体はかなり広く市場のルールの在り方について考える場なので、現行制度を前提とすれば、ここで御指摘のようなことになるのかもしれませんが、もう少し広い枠組みで議論をさせていただいたほうがいいのではないかと感じました。

感想で恐縮なのですが、是非最初に座長からお話がありました公益のための民事の請求権を実現するために何が必要なのかというところで議論していただければ。実際、今、御苦労されているので、御苦労されている現場の御意見としては、消費者機構日本としては、現状を一歩進めるにはどうしたらいいかということかと思うのですが、この仕組み自体、見直しをすべき時期が来ているのではないかということなので、そういう観点で法律的なところも含めて議論ができればいいのではないかと思っております。

○鹿野座長 今の御発言は、質問ではないということですね。

それでは、池本座長代理。

○池本座長代理 池本でございます。

もともとこのワーキングの中で、適格消費者団体が行政による処分と並列的に市場の監視者として不適正なものを排除する重要な役割を担っている。そこをもっと制度や財政的なところで位置付けられないかという中の一つの着想として、この行政処分に至る権限の一部を委託という、何か方法はないかというところで、中間取りまとめの中でも観点の一つとして出したのですが、非常にいろいろな場面も想定して、深く検討していただいているという点でも、本当に参考になりました。その中で、私は非常にここは重要だなと思うので、そこの意味、こういう意味かどうかというところをお伺いしたいところがあります。

2ページ目の4ポツ、②ですかね。適格団体でこれは違法な行為だということで、調査分析をし、行政機関に通報したけれども、行政機関はどうもそういうふうに見てくれないとなった場合、委託事業で受けて報告したものは行政機関の一部の役割でやっているから、それを適格団体としてやれないのではないか。もっと言うと、行政処分の一環として分析し報告する場合には、過去の行政解釈を前提にするけれども、1ページ目にもありますが、消費者団体の側の意見、適格消費者団体の側の意見と、相手方事業者の反論等を含めて、裁判所が判断するという民事裁判の構造であれば、従来の解釈をもう一歩、判例変更も含めて考えていく。例えば、昨年でしたか。広告表示も場合によっては不実の告知になり得るという新しい判例が開拓されたとか、そういう場面について少し拘束があるという懸念、こういうような意味を含むような議論なのかどうかという点、これが1点目です。

逆に、支援についての要望というところで書いておられることと、これまでワーキングの中でも議論したことを重ねて見ると、例えば、こういう考え方はあり得るかという点です。差止請求の支援についての要望の1ポツで、例えばということで、差止請求の実績に応じた助成金の交付がありますが、その前のページから、3ページから4ページのところで、差止請求で対応すればよいのか、あるいは根本的に業務停止命令まで必要なのではないかと判断したようなときにはむしろ行政庁に情報提供をするほうが効果的であると。これは、委託事業としてこの調査分は必ず報告しなさいではなくて、まさに適格団体で調査分析している過程で差止請求が適切なのか、それとも業務停止までいく必要があるのかを見きわめて、2つを使い分ける。そうすると、その報告をしたものも、あるいは自ら差止請求という方法を取ったもの、両方を含めて助成金の対象になれば、その主体的な判断と行政との連携という両方ができるのかなと。これはお話を伺いながらの思いつき的なところになるのかもしれないのですが、その辺りをどういうふうにお考えかというところ、多少整理できていない質問になりますが、お伺いできれば幸いです。

○消費者機構日本磯辺専務理事 後のほうですけれども、今、お話があったように、財政面、いわゆるⅢの1、助成金の交付は、現状やっている差止請求関係業務について、それは別に委託事業という形ではなくて、団体が自主的にやっていることについてきちんとした是正なりに結びついているということが評価できるのであれば、その公益性を評価して助成金といった形で団体への財政支援があってもいいのではないかという問題意識になります。

2つ目の話は、特に今、2ページ目から3ページ目の業務停止命令等が相当と思われるような事案について情報提供をするということですが、これはどういった範囲での情報提供ということで委託業務が設計されるかということにもよるかと思いますけれども、団体が広く消費者から提供いただいている情報のうち、検討する中で、こういった類型のものについてはむしろ行政で取り扱っていただいたほうが適当と、現状、考えているものです。こういったものを御報告するという業務について、必要な費用について支給をいただければ、情報収集をして基礎的な法的検討をするという業務の支援の一つになるかと思いますので、業務委託ということで考えてみたところになります。

それと、その前の御質問と言いますか、御意見と言いますか、これはもちろん判例変更等で民事上の場合には、いろいろトライアルでこういった判断もできるのではないかということができるけれども、行政指導の場合には、その行政の判断基準に私どもがなかなか意見を述べるということができないという枠組みの違いがもちろん前提としてございますし、そのことを前提とした上で、かつ、情報の取扱いとして、最初に入ってくる消費者からの情報は特に差止請求とか委託業務とかということを区別して入ってくるわけではないので、そこは広く受け付けて適宜配点するという形に業務としてはなります。ただ、委託業務に配点して、行政権限による指導ということで情報を行政機関に出した場合に、それ以降はその事案についての守秘義務が当然にかかってくるのだろうと思われます。そうすると、結果として、行政権限の行使に至らなかったというフィードバック、現状は情報提供をしても全くフィードバックがないので、フィードバックを受けられると大変ありがたいのですが、フィードバックがあったとしても、既に守秘義務がかかっており、そういう行政権限が行使されなかったという事実自体も公表はできないと思います。そうしますと、差止請求で同一の事案を別の観点から取り扱うといったことについて、特別の定めがないと多分活用できないと思いますので、そこはむしろこういう行政に情報提供をするという枠組みを作っていただく際には、一定の守秘義務はかかりつつも、全く新しい情報として差止請求で別の観点から検討することは差し支えないといったことが明確になるようにしておいていただいたほうがいいのではないかと思います。

それと、最初の御意見のように、私も全く私益のための差止請求とは思っておりませんので、公益のための差止請求で、そのためにどういうことができるかということを考えたつもりです。ただ、いずれにしても手続上は民事上の手続がベースになっていて、そのことを前提とした業務体制になっていることを御理解いただきたいという趣旨で書きましたので、公益的な意味合いを持っている差止請求権なので、支援についていろいろな工夫をということの御検討には感謝しているところです。

以上です。

○鹿野座長 よろしいでしょうか。

本日は、お話しいただき、ありがとうございました。

恐らく思いはご理解いただいていると思います。民間委託ということも一つのアイデアとして中間整理には書かせていただきましたし、それを更に深めるかどうかということもこれから考えていきたいとは思いますけれども、それだけではなく、要するに、最初に申しましたように、適格消費者団体による差止請求の制度がうまく機能するような方策を、これからも幅広く考えていきたいと思っております。それから、委託という仕組みの検討を更に深めるとしても、これは御指摘いただいたように、適格消費者団体の活動を過度に制約するような形になってはいけないということも踏まえて、どういう仕組み作りが可能かということを検討していきたいと考えているところです。

本日は、お忙しいところ、お話しいただきまして、どうもありがとうございました。

○消費者機構日本磯辺専務理事 どうもありがとうございました。


≪4.閉会≫

○鹿野座長 本日の議事は以上です。

最後に、事務局から事務連絡をお願いします。

○坂田参事官 本日も、長時間にわたりまして御議論いただきまして、誠にありがとうございました。

次回の日程につきましては、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。

以上でございます。

○鹿野座長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)