第45回 食品表示部会 議事録

日時

2018年8月30日(木)13:29~16:10

場所

三田共用会議所 講堂(東京都港区三田2-1-8)

出席者

【委員】
受田部会長、樋口部会長代理、安達委員、池戸委員、下浦委員、菅委員、宗林委員、戸部委員、夏目委員、松永委員、宮崎委員、渡邊委員
【説明者】
味の素株式会社 木村取締役常務執行役員
消費者庁 赤崎食品表示企画課長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「食品表示の全体像」について
    ・今後の議論の進め方と論点について
    ・ヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は、皆様、お暑い中、また、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

ただいまから第45回「消費者委員会食品表示部会」を開催いたします。

私は、7月27日付の人事異動で消費者委員会事務局参事官に着任いたしました坂田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

本日は、今村委員、岸委員、澤木委員、松嵜委員が所用によりまして御欠席でございますけれども、過半数に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。

議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。

本日、お配りしております資料は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から5及び参考資料1から4となります。不足の資料がありましたら、事務局へお申しつけいただければと思います。

本日も、多くの傍聴の方がお越しになられておられますので、御発言の際にはマイク近くでお話しいただきますようお願いいたします。

それでは、受田部会長、以降の進行をよろしくお願いいたします。

○受田部会長 皆さん、こんにちは。本日もお忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

御案内申し上げておりますとおり、本日は「『食品表示の全体像』について」ということで、議論をさせていただきます。限られた時間ではございますけれども、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

議事に入ります前に、前回、第5期初回の食品表示部会で、委員の皆様から一言ずつ御挨拶をいただいておりました。その第1回目に御欠席だった委員の方々から、今回、初めての御出席ということで、御挨拶を賜りたいと思います。順番に指名させていただきます。

まず、池戸委員、よろしくお願いします。

○池戸委員 池戸でございます。前回は欠席しまして、大変失礼いたしました。

食品表示につきましては、言うまでもなく国民生活にとって必要不可欠で、かつ、重要な役割をしていますが、課題も非常に多い。なかなか難しい問題もあるかと思います。私もこの部会の委員の使命を頭に置きながら、少しでもお役に立つように努めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○受田部会長 ありがとうございました。

続いて、戸部委員、お願いします。

○戸部委員 nacsの戸部です。よろしくお願いします。

出おくれましたので、皆さんに追いついて議論できるように頑張ります。よろしくお願いします。

○受田部会長 ありがとうございました。

最後に、宮崎委員、お願いいたします。

○宮崎委員 全国保健所長会から来ております、副会長をしております宮崎でございます。

前回、欠席をしまして、前年度の委員のときにも欠席が多くて、皆様方に御迷惑をおかけしておりますけれども、自分の持っている知識をできる限り皆様方のお役に立てればと思っていますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

≪2.「食品表示の全体像」について≫

○受田部会長 それでは、本日の議題でございます「『食品表示の全体像』について」に入ってまいります。まずは資料1を御覧ください。前回の第44回部会において、事務局から御報告がございましたとおり、5月31日に開催された第275回消費者委員会本会議において、食品表示の全体像に係る検討を本食品表示部会で行うことが了承、決定されたところです。また、これまでも机上に配付された参考資料2、参考資料3にもありますように、食品表示の総論に関しては消費者庁において検討がなされており、一定の結論がまとめられた状況と認識しております。

しかしながら、近年、食品の各表示事項に求められる情報量が増加する傾向にある一方で、国民の個食化が進んでいることから、容器包装上の表示スペースがより小さくなる傾向も進み、それが消費者の選択に必要な情報を提供するに当たっての問題となっている可能性も考えられます。

第4期委員会においては、食品表示部会における審議の結果、昨年8月に加工食品の原料原産地表示に係る答申が発出されたところでございます。その附帯意見におきましても、今後に義務化される表示の増加で、消費者が安全性にかかわる表示を見落としてしまう要因にもなりかねないとの指摘がなされております。

以上のことから、まずは食品表示を取り巻く現状などについてしっかりと整理をした上で、今後の食品表示のあり方、あるべき姿について議論を行っていく必要があると考えております。加えて、今回の議論の結果等も踏まえ、消費者庁において平成32年度から始まる第4期消費者基本計画における食品表示制度に係る政策目標の策定に関する検討が行われることも期待されるところでございます。

以上のことを踏まえ、今般の審議を行うに当たりまして、本部会における議論の進め方を述べておきたいと存じます。

個別表示制度に関する審議、例えば前期に議論いたしました加工食品の原料原産地表示についても、消費者側からの全てを記載すべきという点を柱とする意見と、事業者側からの実行可能性を中心とする意見が折り合ったところで決着を見てきたものと思っております。個別の表示事項であれば、こういった対立軸で議論が展開することが見られがちですけれども、今回の議論を進めるに当たっては、実行可能性といった事業者側の御意見をお伺いしながらも、安全性の確保、自主的、合理的な選択の機会の確保という目的のため、消費者のニーズに十分に留意しながら、皆様とともに食品表示のあるべき姿、言ってみればグランドデザインに関する議論を展開していきたいと思っているところでございます。

実際に議論に入ります前に、まずは前提として皆様と共有しておくべきと思われる事項について、事務局にまとめていただいておりますので、確認をしてまいりたいと存じます。

それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

○坂田参事官 まず、資料2、資料3を御覧いただければと思います。

お手元の資料2でありますけれども、表紙をめくっていただきますと、1ページ目は、基本的な表示事項と表示例をまとめさせていただいたものでございます。また、2ページ目では、これまでの各所での御議論を参考に、表示事項を安全性にかかわる事項と消費者の選択に資する事項という2つのグループにまとめて整理を試みたものでございます。

資料3でございますけれども、表紙を御覧いただきますと、消費者庁で行われた食品表示に関する消費者意向調査を活用させていただきまして、結果から見られる食品表示に関する消費者の意向を整理したものということでございます。

まず、おめくりいただきまして、1ページ目でございますが、販売の際に表示が必要となる事項について、消費者がどのように捉えているかという観点で作成したグラフでございます。各表示項目ともに複数回答が可能になっているということから、一概には言えないところもございますけれども、まず、不満を感じていない方よりも不満を感じている方のほうがより多いということでございます。その不満の内容も、文字が小さいといったことですとか、表示事項が多いといった御不満の類いが多いことがこの表からは見てとれるかと思います。

2ページ目も同様でございますが、要件に該当する場合に表示が必要な事項について整理したものでございます。不満を感じていない方よりも不満を感じている方が多いというのは1ページ目と同様でございます。さらに、そもそも確認していない(見ていないためわからない)という一番右側に出てくる紺色の部分が、項目によりますけれども2割から4割程度になっておりまして、1ページ目にある事項よりも多めになっているということでございます。

続いて3ページ目は、1ページ目と同じ事項について、容器包装上の表示を絞るとすれば、どういった手段が望ましいかについて整理したものでございます。ウェブ上に掲載する、店頭でのPOP提供、3番目に電話による照会、4番目に説明書の添付といった代替手段がここでは挙げられておりますけれども、それを許容している方もいる一方で、必ず容器包装上を望む方も多いもので6割、少ないものでも3割半ばを占めるという状況がこの表からおわかりいただけるかと思います。

4ページ目でありますが、実際に消費者庁のウェブサイト上での情報提供が実施されている事項として、まず、1つとしては製造所固有記号、2つ目として機能性表示食品に関するものがございます。この認知と実際の活用を整理したものがこの表になります。いずれも実際に確認したことがあるのは、知っている方のうち4割程度でありますが、全体で見れば数%程度ということになります。ウェブでの情報提供は、もっと周知すれば実際に確認する方が増える可能性もありますけれども、他方で、確認できることを知っていても実際に見ている方は半数以下であるという点にも留意が必要かと思います。

さらに、一番下の◎をそれぞれ御覧いただきたいと思うのですけれども、年齢によって実際に確認する方の割合は低減する傾向にはあるものの、70代以上では割合が大きくなっているという点にも注目しなければいけないかなということでございます。このあたりは推測でありますけれども、時間や知識などがあれば年齢に限らず確認する人もいる可能性があるのではないかということでございます。

以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

ただいまの事務局からの説明も参考にしていただきつつ、我が国における食品表示制度の進むべき方向性について御議論いただくことになりますけれども、もう一点、前提として皆様と事前に共有をしておきたい事項がコーデックス規格でございます。国際的な食品規格として定められているコーデックスに反して表示を行うことはできませんし、また、我が国の将来的な食品表示制度を国際基準に準拠させる必要があることからも、現行のコーデックス規格について確認をしておきたいと考えております。

本日は、コーデックスの概要とそれを踏まえた我が国の制度の現状について、消費者庁より御説明をいただきます。その後、我が国以外の主な各国地域の制度の状況や理念などについて、その専門家をお招きしておりますので、お話を伺い、委員の皆様とも意見交換を行いたいと考えております。

まず、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 消費者庁でございます。

お手元の資料4-1、4-2、4-3に基づきまして、時間の制約もございますので、簡潔に御説明をさせていただきます。

まず、資料4-1「コーデックス規格について」です。コーデックス規格とは、一般に国際食品規格と言われております。先ほど受田部会長から、コーデックス規格の意義につきまして簡潔にお話がありましたが、食品表示の議論をする際には、国際整合という観点から、よくコーデックス規格という言葉が使われております。本日は、まず、コーデックス規格につきまして、どのような手続でこれがつくられるのか、また、コーデックス規格をつくった後に各国で表示制度を検討する際に、これがどのように考慮されるのか。そういう点に力点を置きまして、簡潔ですが御説明をさせていただきます。

まず、3ページに「コーデックス規格とは」とあります。これは文字どおりコーデックス委員会で策定された国際食品規格のことで、今、規格の数で申しますと200以上あります。最も典型的なものは、1つ目のStandardsというものになります。内訳をさらに見ますと、1つ目のポツにある個別の食品規格、個々のいろいろな野菜・果実等の定義を定めたものもある一方で、3つ目のポツのGeneral Standards、添加物などということで、表示も含めて一般的、横断的な規格がございます。

4ページはコーデックス委員会になります。コーデックス委員会というところで、今、述べたコーデックス規格をつくりますが、コーデックス委員会はFAOとWHOによって設立された国際的な機関になります。目的のところに「消費者の健康保護=食品安全」と、もう一つ「公正な食品貿易の確保=品質、表示」とあります。大きくこの2つの目的がありまして、こういう観点から実際に規格をつくることになります。参加国は188カ国プラスEUということで、日本も入っております。

コーデックス委員会の具体の組織が5ページになります。まずは一番上、コーデックス総会です。これが最高の意思決定機関で、年1回開催されます。ここで規格について最終採択をすることとなっています。ただ、実際の検討は、その下の部会で実務を行っています。左のほうを見ていただきますと、「規格策定について検討する機関」「1年から2年に1度開催」となっております。この「部会」が主として検討する場になります。

この部会は全てで29ありますが、内訳が6ページになりまして、まず、一般問題部会、基本的に横断的な課題について検討するものが10ございます。上から5つ目に食品表示、CCFLがございます。いわゆる食品表示部会で横断的な食品表示のルールをいろいろ検討し、最終的には総会で決定することとなります。CCFLとは、Codex Committee on Food Labellingということで、前回は昨年の10月に開催されています。おおむね1年半に1回のペースですから、順当にいきますと昨年10月の1年半後ですから、来年のどこかということになるのではないかと思っています。

それ以外にも7ページにありますような、個別の食品の規格などを検討する部会もありますが、時間の関係もあり、省略をさせていただきます。

その次、9ページが規格の策定手続です。コーデックス委員会で規格をつくると言いましたが、どんな段取りでつくるのかということが9ページになります。基本は9ページに書いておりますが、要は段階を踏んで決めていくということで、その意味では基本的にコンセンサス方式で、丁寧なプロセスで合意形成を図ることになっています。

まず、基点はステップ1にありますが、総会が規格作成を決定、作りましょうということを決定します。ただ、実務は部会で検討しますので、その次にステップ4を見ていただければ、部会で実際に規格原案を検討します。横断的な表示ルールであれば、先ほどのCCFL、食品表示部会が検討の場になります。ステップ4で部会で規格原案を検討した後、ステップ5で総会で規格原案を採択するとなりますが、実はこれで終わりではありません。ステップ5で、規格原案を採択すると、今度は規格原案が規格案となります。

10ページになりますが、ステップ6以下、再度規格案について部会で議論して、その上でステップ8、総会で正式なコーデックス規格として採択するということになっています。

その意味では、年1回総会と冒頭に申しましたが、最初にステップ1で規格を作ろうという意思決定をする。その次にステップ5、総会で規格原案を採択する。さらにその次に、ステップ8、総会で規格案を検討することとなります。年1回の総会だと最低2年はかかってしまいます。したがって、迅速手続ということで、6と7をスキップするやり方もあります。それぞれの過程でコーデックスのメンバーが意見を述べるという形になっておりまして、まとめたものが11ページになりますが、時間の関係もあり、省略させていただきます。

12ページは部会の流れになります。大体食品表示部会、CCFLですと、1年半に1回開催ですが、1年半ごとに1日の会議とか1カ月の会議ではなくて、どの部会もそうですが、基本は月火水木金、このタームで議論をし、最後の金曜日に整理をするということになります。

以上が手続の話になります。

13ページからは手続ではなくて中身の話になります。要は、いろいろなコーデックス規格があります。200を超えるStandardsがありますが、では、それがどれだけの重みがあるのか。そういう観点から整理をしたものになります。

まず、14ページをお開きいただければと思います。ここに衛生植物検疫措置(SPS)とあります。下の枠囲みにありますように、人、動物、植物の生命・健康を保護するということで、主として食品安全という形になります。

食品安全につきましては、15ページを見ていただけると、SPS協定がございます。これはWTOの協定の一つ、今の基本ルールの一つになるのですが、SPS協定とは何かというと、目的にありますように、人、動物または植物の生命や健康を守りつつ、SPS措置が国際貿易に与える影響を最小限にする。食品の安全を担保しつつ、それが貿易に与える影響を最小化する。そういう観点から、これは各国で国内法、いろいろルールをつくることができますが、その際の「基本的ルール」ということで、1つ目のポツ。加盟国は、国際的な基準がある場合には、自国の衛生植物検疫措置をそれに基づいてとるとされています。日本を含め各国がいろいろな食品安全のルールを作りますが、それは国際基準があればそれに基づいて作ることが原則になっています。

国際基準は何かというのは、16ページになりますが、下を見ていただくと、食品安全の国際基準はコーデックス委員会が作ったものだとされています。したがって、食品安全に関するコーデックス規格があれば、それは国際基準となりますので、原則加盟国はそれに基づいて国内のルールを作ることになります。

ただ、SPSは食品の安全になります。一般の食品の表示につきましては、17ページのTBTが対象になりますが、TBT協定も実はWTOの中にございます。目的を見てみますと、「各加盟国の規制等で用いられる強制規格」とあります。義務の表示も強制規格に入りますが、これを国際規格に整合化し、公正で円滑な国際貿易の実現を図るとあります。したがって、日本でいろいろな表示の義務を作るときには、これは強制規格になりますから、国際規格に整合化していくということがあります。

「基本的ルール」を見てみますと、加盟国は関連する国際規格がある場合には、それをそれぞれの各国の強制規格の基礎として用いるとされています。したがって、コーデックスでいろいろなルールが定められていれば、それを基礎として国内でもいろいろな制度検討をするということになっています。

TBT協定の解釈につきましては、19ページを見ていただければ。「しかし」以下にありますが、WTOの明文のルールだと、TBT協定上コーデックス規格イコール国際規格という一文はありません。ただ、運用上、そういうものだと判断して、実際のルールは運営されております。

整理しますと、コーデックス規格自体には直接的な強制力はありません。先ほどのTBT協定でも「基礎として」ですから、参考にしてという意味合いになっております。なので、各国の実情に応じて、コーデックス規格と異なるルールを定めることは、TBT協定でも認められています。ただ、コーデックス規格と異なるルールを作った場合、それが外国との間で紛争の原因となると、当然パネルといった紛争処理手続に乗せて、その制度が正しいかどうかを判断いただくことになりますが、コーデックス規格が基礎となって各国制度を作るべきという原則がありますので、コーデックス規格から外れれば外れるほどそれが正しいという立証のハードルも高くなって、結果的にはいろいろなルールを考える際に、コーデックス規格は非常に重要で重みのあるルールということになります。

具体例は20ページを見ていただければ。かつてコーデックス規格とWTO紛争解決の関係が問われたことがあります。TBTのところを見ていただくと「EC‐イワシの表示」とあります。申立国はペルー、被申立国はEC。これは何かというと、ペルーがイワシの缶詰をECに輸出しようとした。イワシの缶詰の写真が右に出ています。ただ、当時のECの規制が、ペルーでこの缶詰に使われているイワシの種類をイワシとして認めていなかった。したがって、ペルーとしてはイワシの缶詰なのですが、ECのルールだと、いや、それはイワシではありません。その表示は正確ではありませんと。こういうことがあったので、そのままではECで販売ができないということが起きました。

当然ペルーは、その制度が不適切だということで紛争処理手続に乗せたのですが、実はその前にコーデックスで別途規格が作られていて、この缶詰イワシ、まさにペルーがその中に入れておるイワシについては、イワシとして名称をつけてもそれは認められるというルールが既にありました。したがって、ECの判断については、既にあるコーデックス規格と不整合ということになって、結果、ペルーの主張が認められたという経緯がございます。こういう使われ方をするという、これは一例でございます。

以上、定性的なところの御説明ですが、今度は資料4-2「包装食品の表示に関するコーデックス一般規格」を見ていただければと思います。これは200以上あるStandards、規格のうちの一つですけれども、タイトルにありますように、包装食品の表示全般を規律するものでして、その意味では非常に重みのある規格だと理解をしております。

時間の関係もあり、中のポイントだけ御説明をさせていただきます。まず、1ページで、最初に「1.範囲」とあります。よろしいでしょうか。これは文の最後のほうに出ておりますが、全ての包装食品の表示に適用する。文字どおり包装食品全体がこの対象になるということを述べています。

1ページに「2.用語の定義」とありますが、これは省略します。

その次、3ページです。中ほどに「4.包装食品の義務的表示」とあります。これは最初の2行目、3行目ですけれども、表示が施されている食品については以下の情報を示さなければならないと書いていますから、それが義務表示ということになっています。

では、何が義務表示の対象かということで、まず「4.1 食品の名称」がございます。皆様のお手元のペットボトルを見ても、表示欄を見ていただくと、品名にナチュラルミネラルウォーターと書いています。これは我が国でも表示の義務の対象にしていますが、まさにコーデックス規格の「4.1 食品の名称」が義務表示ですから、それを国内法化しているということになります。

その次、4ページ、今度は「4.2 原材料一覧」というものがあります。いわゆる皆様よく表示で見られる原材料の一覧で、これもコーデックス規格に頭出しをされています。特に4ページの中ほどに、4.2.1.4があろうかと思います。「以下に掲げる食品及び原材料は、過敏症の原因となることが知られており、常に表示しなければならない。」とありますが、過敏症とはいわゆる食物アレルギーのことで、ここに書いているものはアレルゲンなので必ず表示をする。同様の制度は御承知のとおり日本にもあります。これは原材料の中にアレルゲン表示が規定されているということになります。

続いて6ページ、飛び飛びで恐縮でございますが、下に4.2.3.3とございます。4.2.3.3の2行目に「食品添加物」という文字があって、7ページにずらっと添加物の用途が書かれていますが、添加物も原材料の一部という形で表示をしてくださいというルールになっています。

同じ7ページの下に「4.3 正味量及び固形量」とございます。これはいわゆる内容量です。これもコーデックス規格に頭出しされています。

その次、8ページの上のほうに「4.4 名称及び所在地」と書いていますが、いわゆる事業者の属性情報です。それを書く。同じくそのちょっと下の「4.5 原産国」で、原産国も書く。「4.6 ロット識別」ということで、日本で言うところの製造所固有記号みたいなものも、この趣旨を踏まえて制度として認められています。同じ8ページの「4.7 日付表示及び保存方法」は、もう皆様お見かけするであろう、日本で言うところの消費期限、賞味期限で、根拠はこの4.7に載っています。

次は9ページに「4.8 使用上の注意」とございます。今の日本でも、例えば缶詰は、開缶後は別の容器に移してくださいといったようなことを書いているものもありますが、そういったものが「4.8 使用上の注意」になります。

今、述べたことは国内の表示でも基本的には義務の対象にしていますが、そもそもコーデックス規格で義務表示事項と位置づけられている。それと整合をとる形で、国内ルールもできている。こう御理解いただければと思います。

時間の関係もあり、その次、11ページになりますが「7.任意表示」とございます。結局表示の義務、これは必ず書いてもらうことになりますが、では、義務がかかっていないものはどうなのか。それがこの「7.任意表示」になりますが、7.1などを見ていただくと、要は、欺くようなもの、消費者を誤認させるようなものはだめなのですが、そうでなければ原則自由。そういう考え方がここに書かれています。

最後、「8.義務的情報の提示」になります。8.1.1を見てみますと、「包装食品におけるラベルは、容器から分離することのない方法で貼付されなければならない。」とあります。基本、このラベルといいますか、容器包装縛りがかかっていますので、いろいろな表示情報はラベルという形で容器から分離することのない方法で貼付することが原則になっています。したがって、インターネットを見ればいいというのは、8.1.1との関係では整合が問われることとなります。

その下、8.1.2を見ていただくと、結局いろいろな文言は、「明確で、目立ち、消えることなく消費者が容易に判読できるものでなければならない。」とされており、わかりやすさもここに書かれています。

その意味では、今の我が国の食品表示法に基づくいろいろなルールは、ゆえんをたどると、実は、包装食品の表示に関するコーデックス一般規格ということになります。

最後、駆け足で恐縮ですが、資料4-3です。これは国内のいろいろな表示の義務制度をまとめた資料になっております。本当にポイントだけですが、1ページに表示の一元化とあります。従前食品衛生法、JAS法、健康増進法、3つの法律で表示の事項が定められていたのを、みんな切り出して食品表示法に移して、法律は枠組み法ですから、実際は食品表示基準、まさに改正のたびに諮問をさせていただくことになっている食品表示基準に書き込んでいるということになっています。その上で、3ページ、これが加工食品の表示の具体例です。左側に実際の表示事項、右側に表示例がございます。左の表示事項を見ていただきますと、必ず書くべきもので、名称、原材料名、添加物、内容量、消費期限、賞味期限、保存方法等、先ほどコーデックス規格で述べたこととオーバーラップしていると御理解いただければと。あとは任意で、嘘ではなく各国の必要に応じてコーデックスにないこともルールとして表示の義務の対象にできるという意味では、一番下の遺伝子組換えといったものも日本ではございます。ただ、遺伝子組換え表示につきましては、少なくともEUでもありますし、アメリカも2年前ですか、そういう法律の枠組み、遺伝子組換えに関する情報開示という法律ができて、立法化に向けた対応をアメリカ政府の中で行っていると承知しています。コーデックス規格の表示義務の対象でなくても、こういう表示もできるし、している例があるということになっています。

それぞれの表示事項の詳細は4ページ以下にありますが、時間の関係もあり、省略させていただきます。

消費者庁からは、以上になります。

○受田部会長 ありがとうございました。

続いて、コーデックスに関連する各国の制度や理念、動向などについてお話を伺いたいと思います。

本日、味の素株式会社常務取締役の木村様にお越しいただいております。木村常務は御存じの方もおられると思いますが、長年民間のお立場から、コーデックス規格の策定に関与されるとともに、本業、実務の観点から、各国の動向にも深く精通された方とお伺いしております。

木村様におかれましては、お忙しいところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。恐縮ではございますけれども、30分ほどで御説明をお願い申し上げます。

○木村取締役常務執行役員 ありがとうございます。きょうは味の素の立場から、いろいろお話しさせていただきたいと思います。

まずは自己紹介ですけれども、私はここにありますように、海外が長く、教育は海外で受けてから入社したのですが、味の素での仕事はレギュラトリーサイエンス、食品添加物の安全性、それにかかわるFDA対応または欧州委員会対応などを経て、現在は取締役常務執行役員をさせていただいております。現在、健康食品産業協議会の会長や日本食品添加物協会の会長などもしておりまして、食品表示問題に関わる仕事をしていますが、きょうはあくまでも味の素での経験からいろいろお話しさせていただきたいと思います。

初めに味の素について話をさせていただきます。味の素は110年近く前に、科学者の池田菊苗とビジネスマンの鈴木三郎助が一緒につくった、いわゆる当時ではベンチャー企業みたいなものだと思うのですけれども、グルタミン酸がうま味という基本の味を呈することを池田博士が発見して、それを事業化したのが始まりです。

その後、事業は多角化して、いろいろな食品、アミノ酸、医薬品の原料や、あとは電子材料なども製造しております。海外展開ですけれども、27カ国に拠点を置いて、世界中で商品を販売しておりますので、国際規格は非常に重要と日々感じております。

さて、うま味についてですが、グルタミン酸は小麦たんぱく質、グルテンを構成するアミノ酸として発見されたのでグルタミン酸と命名されました。グルタミン酸がうま味を呈する物質として発見したのは池田先生によるものです。池田先生はドイツに留学した当時、ドイツ人の体格に驚き、日本人の栄養を改善したいという思いで昆布だしの主要成分の研究に取り組み、グルタミン酸だということを突きとめて、「うま味」と名前をつけられました。そういう点で、これはオリジナルな日本の発見なのですけれども、これが国際的に認められたのはうま味のレセプターが見つかった2000年頃のことで、基本味の一つであることが科学的にも認められたという経緯があります。

よく「うま味」と「旨味」が混同されるのですけれども、科学的にはグルタミン酸に代表される基本味の「うま味」は英語でも「umami」を使います。一般的においしさの意味で使う場合は「旨味」という漢字を使い区別されております。

何でこういう話をしているかというと、食品表示の原点に結びつくからでありまして、スライドはあと3枚ぐらい出てきます。伝統的な肉の熟成手法によってたんぱく質が分解されグルタミン酸が遊離して、アミノ酸の味、うま味が非常に多くなる。トマトも成熟するにつれてうま味成分が増し、酸味が減っていくということがわかっております。また、母乳にもうま味成分があるということがわかっていまして、母乳中のグルタミン酸は十分味わえる程度含まれています。また、チンパンジーやヒトの母乳でグルタミン酸が高いのですけれども、牛乳では非常に少ないということがわかっていまして、これは高度霊長類特有な特徴で、今、なぜ霊長類に多いのかという研究が進んでいるところであります。

いろいろな食品成分、いろいろな食材にうま味があって、しょうゆ、みそ、アンチョビ等にうま味成分が多く含まれていることがわかっております。このような研究の一環として、いろいろな伝統食材の歴史的な側面も調べたところ、古代ギリシャ・ローマで使われていた魚醤にもグルタミン酸が含まれていたことが解りました。現在の魚醤もかなりグルタミン酸含有量が多く、古代ギリシャ・ローマ時代と似たような製法であることが報告されており、古代の人々もうま味を経験的に知っていたと推察されております。魚醤は古代の加工食品の一つでありまして、当時は冷蔵がないわけですから、基本的に魚を運ぶことはできない。塩漬けにするか、発酵させて魚醤にして運ぶしかなかったということです。この写真は地中海沿岸の魚醤工場の遺跡なのですけれども、写真に写った人と比べると結構大規模な産業だったということがおわかりになると思います。

実はこの魚醤が流通をしていたということもわかっていまして、生産者がギルドをつくって流通コントロールをしていた地域もあり、オリーブ油よりやや高いぐらいで高級品もあったということです。おもしろいのは、魚醤の壺に商品名、グレード、生産地、主原料、販売者のような情報が書かれており、昔からこういう情報が求められていたのだということがわかります。このグレードの表記を見てみますと、flosというのは花で、私の解釈ですが一番搾りの意味かと思っています。あとは1級とか、通常とか2級とか、最適、優とか、そういう文字が使われており、非常に親近感を感じますし、昔の人も似たような情報を求めていたのだということがわかると思います。

この写真は、ポンペイの遺跡にあるガルム・魚醤の商人の家の床のモザイクです。これは初期の広告と言えるのではないかと思うのですが、魚醤を入れた壺にリクアという魚醤製品の名前と、flosというグレードも書かれています。古代から生産者情報などが非常に重要だったということだと思います。

さて、コーデックスにおける食品表示規格ですけれども、これは既に赤崎課長がかなり詳細に説明していただいたので端折ります。まず、包装食品の表示に関する一般規格で注目したいのは、一般原則で、何が根本の考え方になっているかということです。ここにあるとおり、虚偽の、誤認させるもしくは欺くような方法により、またはその特性に関して誤った印象を与えるおそれのある方法により提示されてはならない、即ち、基本的に虚偽や誤認を防ぐということが基本原則になっているということを強調したいと思います。

先ほど御説明がありましたので、ここは省略しますけれども、同規格には義務表示、追加義務、任意表示も記載されています。現在、コーデックス表示部会で検討中の課題に関しましては、卸売用食品の包装の表示に関するガイダンス、フロントパック表示といいますけれども、包装の前面の栄養表示、今後の作業として取り上げられているのは、インターネット販売、eコマースの表示や技術革新を活用した食品ラベル。これはeラベリングですね。アルコール飲料の表示やアレルギー表示、脂質、糖類、ナトリウムの表示。あとはマルチパックされた製品、これはいろいろな種類の製品が1つの大きな包装の中に入っている場合の表示をどうするかというような課題です。消費者の嗜好に関する強調表示は、例えばナチュラル、ピュア、無添加、ビーガンやベジタリアン用の表示をどうするかということが検討されると認識しております。

次に、オーストラリア、ニュージーランドの考え方を紹介したいと思います。我々はいろいろな国のレギュレーションを見ていますが、オーストラリア、ニュージーランドは明確に食品表示のポリシーを示しています。食品表示の優先順位を食品の安全性、予防的健康、新技術、消費者価値の順の階層に分類し、それによって表示の体系を検討していくという形で運営されております。

例えば食品の安全性に関しましては、アレルゲンや過敏症の原因物質など、直接的な脅威から消費者の健康を守るための情報。予防的健康とは、自分の健康について責任をとることを支援するための情報提供で、例えば栄養成分などです。人々の健康のための表示例としては、栄養強調表示とFOP、フロントパック表示などが含まれております。また、新技術というのは、新技術によって生産または処理された新規の原材料や食品のことで、事前承認や安全性評価が必要なため自動的に表示の問題を生じさせるのです。消費者価値というのは、消費者購入の判断をもたらす個人の価値観に関する情報で、オーガニックや放し飼い、ハラル、コーシャなどのことを言っております。

その中で、余りほかで見ない取り組みは、新技術に関してはタイムリミットの設定を前提としていることです。即ち、最初は義務表示なのだけれども30年間の期限つきとし、新技術に対する経験などにより義務表示の妥当性を判断できるというようなロジックで彼らは運営しております。あと、消費者価値に関する、安全性にそれほど関係ない情報に関しては、政府と業界との共同規制にするというような枠組みで運営しているようです。

次にEUです。EUの食品表示関連法の歴史をここに示しておりますが、一番初めに統合の指令として集約されたのが2000年です。原則として、原材の等級を誤認させるおそれのあるものであってはならない、特に食品の特質、本質、特性、組成、量、消費期限、原産国または原産地、製造または生産の方法を誤認させてはならないということが示されております。その後、これが更に改訂され、一般食品法に示されたトレーサビリティの原則などを入れ込んだ現行法になっているわけです。即ち、ヨーロッパも、まずは誤認をさせないという概念が表示の根本にあると言えるのではないかと思っています。

繰り返しになりますが、EU食品表示における基本原則として、トレーサビリティ、即ち、1 Step Back, 2 Steps Forwardを実現するため、適切に表示されていなければならず、また消費者の知る権利の保証として、消費者誤認を防止することが規則に入れ込まれております。

義務表示に関しましては、ここにある12の義務表示が提示されております。後で各国の比較表を出したいと思います。その他の義務表示としましては、例えば遺伝子組換え食品表示があり、GMO、GMOを含む、あるいはGMOからつくられGMOを含まない食品が対象になっております。一方produced with the help of、GMOの助けを借りてつくった製品は除外規定となっておりまして、何がGMOの助けを借りてつくったものなのか、何がGMOからつくられたものかという解釈が難しく、かなり議論がありました。あとはEUでは不可避の混入が0.9%以下の場合が表示除外になっております。

次は任意表示の栄養強調表示についてですが、際立った栄養特性を有することを明示または暗示するあらゆる強調表示を意味し、エネルギーや栄養素、またはその他の物質の表示が2006年の規則に規定されております。栄養強調表示の一覧に収載された表示は、承認手続を得ることなく表示が可能ということで、ある程度の柔軟な表現が認められております。また、ここにありますような比較強調表示についても一定の要件が示されております。一方で、健康強調表示は個別審査型のため、任意では表示できないということになっております。

EU食品表示の特徴の1つは経済影響効果分析をするということで、2011年の規則に入っていますけれども、規制を導入することによる費用対効果の分析をすることが義務づけられております。また、包装食品の表示に関するコーデックス一般規格に全般的に準じております。最近の動向としましては、地産地消の奨励といいますか、地理的表示、特に伝統的特産品であることを保証する地理的表示が認められた食品が増加し、EU内での伝統食品の優位が保護される傾向にあります。つまり、現地呼称保護や地理的表示保護などが一定の条件で認定され、表示できる仕組みになっております。

もう一つの動向としましては、包装前面に栄養に関する任意表示を行うということで、減塩とか減糖、減脂など健康に配慮した製品であることをアピールする目的で包装前面につける動きが進んでおります。

次は米国ですけれども、アメリカは1938年に連邦食品・医薬品・化粧品法(FDC法)ができまして、そこに虚偽または誤認を招く表示全般の禁止ということが記載されております。その後、栄養表示教育法や栄養補助食品健康教育法、食品アレルギー表示消費者保護法などができて、それが順次規則としてFDC法の中に取り込まれるような形になっております。

虚偽または誤認を招く表示全般の禁止に関しまして、FDC法の中で「虚偽と見られる食品とは」という定義があり、「表示が虚偽か誤認を招く表示のあるもの(広告を含む)」など、全25項目にわたり記載されています。FDC法が制定された当時は、虚偽食品、いわゆるにせものの食品が蔓延していたという背景もあって、かなり厳しい、細かい規定が示されております。また、虚偽広告はFDC法にも係りますけれども、もう一つ、連邦取引委員会法(FTC法)という商慣習の法律でも、商取引に影響を与える不公正もしくは欺瞞的な行為または慣行が禁止されており、連邦取引委員会によるに取り締まりを受けるという状況になっております。

アメリカの義務表示はここに書かれているようなものですけれども、一方で、例外規定も多いということで、例えばパンなどの製品には一部の免除規定があるみたいです。

EUと同じく栄養素含有強調表示は任意表示です。これは食品表示において義務づけられた栄養素の含有量を強調または暗示する表示ですが、FDAによる審査が必要で、申請を受けてから18カ月で規制化されることになっております。また、ここでも健康強調表示は個別審査型のため任意での表示はできないということです。

任意表示の条件としては、参考一日所要量または参考一日摂取量がFDAによって設定されている物質については、FDAが認可した栄養含有強調表示ができるということで、ここに示した「豊富な供給源」とか、「高い」、「多い」などの言葉を使えることになっております。一方で、一日所要量や一日摂取量が設定されていない栄養素は、何々「含有」等の強調表示は認められないが、「1食当たり何ミリグラム」という強調表示は、量またはパーセント強調表示として可能ということでございます。

さて、EUと米国の比較ですけれども、カロリーおよびその他の栄養成分に関する情報は、アメリカでは1食分、Serving Sizeで表記されるのに対して、EUでは100グラム当たりとなります。細かいところでは、米国はナトリウム含量、EUでは食塩含量での表記になっています。あと、EUの表示規則は、最終製品のパッケージ表示のみならずその広告にも適用されるが、米国では広告に関する規制は主にFTC法により管理されています。米国では添加物は一般名での表記が求められており、FDAに認可されたものでも、Eナンバーで表記してあれば取り締まりの対象になります。また、米国食品表示はEUのシステムよりも柔軟性が高く、数多くの適用除外が認められているが、包装食品の表示に関するコーデックス一般規格には準拠しているということです。

最近の話題ですけれども、フロントパックに「ナチュラル」と表示するのが非常にはやっていたのですが、FDAが「ナチュラル」を定義していないことから大きな問題になりました。アメリカは訴訟社会ですから、「ナチュラル」と表示された製品は本当にナチュラルなのか、虚偽ではないかとの多くの訴訟が起こされました。ほんの微量でもナチュラルと認知されない成分が含まれていた場合、結局法廷で勝てるかが問題で、一時はやったのですけれども、最近は多くの会社は「ナチュラル」という包装全面表示を使わなくなりました。定義がない中で、結局法廷に判断を委ねるのは非常に危険だということですね。これを受け、FDAはナチュラルの定義明確化に関するパブリックコメントを募集する事態になりました。

もう一つは、遺伝子組換え食品表示で、遺伝子組換え食品に関する情報公開基準が施行されまして、組換え食品の表示、情報開示が義務化されました。その表示法として、例えばQRコードを用いた開示も認め、QRコードによる情報開示の実現可能性の評価も実施しております。米国農務省から施行規則案も公示されて、パブリックコメントの期間が終了したところでありまして、パブリックコメントを検討した後に最終案が出されるということになります。

米国では輸入品の監視強化が行われておりまして、食品の外観により粗悪または虚偽表示とみなされ輸入差しとめの行政措置がとられる場合が結構あります。もう一つ、最近、健康強調表示申請が減少しており、これは申請に伴う負荷が高くて許可を得ても表示の独占権が付与されないことが申請意欲を鈍らせているというように聞いております。

さて、最後ですけれども、これらを歴史的にまとめてみますと、例えばアメリカや欧州、EUではコーデックスの1985年の包装食品一般規格ができる前から食品表示に関する法律が制定されていたということで、その後、コーデックスに準拠したり、もう一つはコーデックスに対していろいろ働きかけて、自国の要求事項を反映させたりして、最終的には義務表示はコーデックスに準拠した状態になっております。

この表は日本、米国、欧州とコーデックスの比較ですが、ここに見られますように、マルは義務表示、三角は任意ということで、ほぼコーデックスに準拠しています。若干違うのは任意表示の部分で、各国それぞれの歴史や状況に応じていろいろ対応してきたという歴史が見えると思います。

最後のまとめですけれども、食品包装の義務表示は世界的におおむねコーデックスに準拠していますが、任意表示に関しては各国地域の特徴が反映されています。また、コーデックスと欧米では、消費者の誤認を防ぐことが表示の大原則となっております。日本は世界を先行する高齢者率の増加に対しまして、表示の見えやすさ、わかりやすさが求められていると思いますが、包装の表示を見やすく、わかりやすくすることと、詳細情報を求める消費者への情報提供をどのように両立させるかが課題と感じております。

先ほどご紹介しました米国における遺伝子組換え表示でのQRコードの活用など、ICTを活用した包装の表示以外の表示や情報提供の方法が注目されており、このようなことも食品表示部会で検討していただければと思っております。

以上です。御清聴どうもありがとうございました。

○受田部会長 どうもありがとうございました。

30分の時間以内でまとめていただきまして、本当にありがとうございます。

木村常務からのお話は、表示に関して、まず、古代ギリシャ・ローマの魚醤を引用されて、そこから表示というものが歴史的に脈々と育まれてきたという点をお話しされました。その後、コーデックスのお話をいただいた上で、誤認を防ぐという目的が大前提になっているということを踏まえつつ、オーストラリア、ニュージーランドとEU、さらには米国の現状をお話しいただき、特にトピックス的に各国、各地域で展開されております食品表示に関するさまざまな状況に関してお話をいただき、今後の議論において参考になる情報をいただいたものと思います。

委員の皆様から、まずは今の木村常務のお話に対します御質問等をいただきたいと思います。何かございませんでしょうか。

まずは戸部委員、お願いいたします。

○戸部委員 どうもありがとうございました。

質問が1つありまして、オーストラリア、ニュージーランドの表示の制度の中で、新技術に関する表示については30年間の期限つきというようなことを教えていただいたのですけれども、この30年というのは、いわゆる技術の変化、進歩を考えての30年ということなのか、あるいは人の健康への影響の状況も要素として考えての30年なのかということを教えていただきたいと思います。というのは、今後、技術の発達ということを考えていくと、30年という期間はどうなのかなと思いまして。

○木村取締役常務執行役員 これは審議をされたときに、30年ぐらいが適当ということだったのではないかと思うのですけれども、私も研究者としての経験としまして、70年代後半で遺伝子組換え技術が始まったときに、イギリスの研究室では、どんな遺伝子をいじるのでもほとんど陰圧で特別な部屋でやっていたのが、その5年後には普通の実験室でできるようになったという経験があります。そういう意味では、技術のよしあしを見るのにある程度時間がかかる。一方で、新技術が使えるようになるまではちゃんとした安全性データがないと、これを使ってはいけないということになると思います。そういう点では一種のプリコーションみたいな感じなのかなと。

あとは先ほど申しましたように、各国の技術がいろいろ浸透してくるスピードを考えると、そのぐらいが一つの目安として見られたのだろうなと思います。30年がいいのかどうかは、データとしてどれだけ言えるのかはよくわかりませんけれども、もしかしたら審議内容とか細かい議事録などがあれば、少しそういうものが見えてくるのかもしれません。我々はそこまではちょっと深掘りしていませんので、御容赦ください。

○戸部委員 ありがとうございます。

○受田部会長 よろしいでしょうか。ほかはいかがでしょうか。

松永委員、お願いします。

○松永委員 木村先生にお伺いしたいのですが、先ほどコーデックスのところで、検討中の課題のところで、eラベリングの話がありましたが、具体的にどういう過程でどういう議論が行われているのかということをもう少し詳しく教えていただきたいのです。

○木村取締役常務執行役員 我々の認識だと、具体的には、そんなに話は進んでおらず、対象としては先ほどのQRコードなどのいわゆるインターネット技術を使った表示の仕方を検討することが決まったばかりと認識しております。(注:CODEXの表現はInnovation-use of technology in food labeling)

○松永委員 ありがとうございます。

○受田部会長 よろしいですか。私もそこの部分はもう少し伺いたかったところでございまして、今後の食品表示部会の議論とも関連していく内容かと思いました。ということは、今後の作業ということで、今から議論がスタートする、そういう受けとめ方でよろしいですか。

○木村取締役常務執行役員 そのように理解しております。現時点で一番進んでいるのは、先ほど御紹介しましたとおり、米国農務省のQRコードを使った遺伝子組換え表示のところかと思います。施行案が出て、パブリックコメント期間が終了し、最終案が出てくるという段階だと思いますので、そこは情報がとれるのではないかと思っております。

○受田部会長 ありがとうございます。

ほかはいかがでしょうか。

私のほうから、今の点なのですけれども、GMに関しての米国のQRコードを用いた例示も認める。その実行可能性に関して、現在、評価が行われているというお話だったかと思うのですけれども、QRコードを用いるということは、補足的な手段としてQRコードを使って、消費者の知りたい情報を流そうと、お伝えしようということなのか、あるいは先ほどから容器包装としてそこにラベルをしていくということと同時並行にしようとしているのか。その点についてはいかがでしょうか。

○木村取締役常務執行役員 私どもの調べでは、基本的に文字でもシンボルでも、デジタルリンクでも良く、いずれかの表示による情報開示、情報公開ということになっておりまして、補足的というよりも、どちらかを選べると認識しております。

○受田部会長 ありがとうございます。

これは非常に今後の議論において参考にすべき直近の情報であると感じました。ほかにいかがでしょうか。何かございませんでしょうか。

宗林委員、お願いします。

○宗林委員 木村さん、ありがとうございました。

先ほどのQRコードに関して、これはこれからなのかもしれませんが、国民の受けとめとか、そういった部分は何か情報をお持ちでしょうか。

○木村取締役常務執行役員 国民からのフィードバックに関しましては、パブリックコメントを見ないとわかりませんが、一方で、米国農務省としましては、Wi-Fiがどれだけ広がっているかとか、スマホの所有率とか、そういうものは評価して、それで妥当だと判断して、規則案を提案したと聞いております。

○受田部会長 よろしいですか。ありがとうございます。

ほかにございませんか。私の側は手を大きく挙げていただかないと見づらいのですけれども、委員の方、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。

それでは、木村常務からコーデックスの現状、それを踏まえたオーストラリア、ニュージーランド、EU、米国の現状に関して直近の動きも含めてお話ししていただき、我々委員としても、今後議論していきますインターネットを活用した表示等について、こういった動きをにらみながら、参考にさせていただきながら、あるべき姿を議論してまいりたいと思います。

木村常務におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜り、貴重な情報を御教授いただきましたことを、この部会を代表いたしまして、心より御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

それでは、木村常務、御退席をよろしくお願いいたします。

(木村取締役常務執行役員退室)

○受田部会長 それでは、ここまでお聞きいただいた内容も踏まえた上で議論に入ってまいりたいと思います。議論を進めていくに当たって、まずはどういった論点があるかについて整理したいと思いますけれども、資料1にもございますとおり、消費者委員会本会議からの要請を受けてここでの検討が開始されることになりましたので、議論開始に当たり、論点のたたき台として事務局に整理をしていただきました。この内容について、簡単に御説明をお願いいたします。

○坂田参事官 それでは、資料5を御覧いただきたいと思います。委員の皆様にどういった論点があるかを御議論いただくに当たりまして、部会長から委員の皆様がイメージできたほうがいいのではないかという御示唆をいただきましたので、事務局にてたたき台ということでありますが、御用意させていただいたものでございます。

○が5つございますけれども、上の3つにつきましては、本日お配りしております資料1、委員会の本会議から検討事項として例示されたものでございます。それはそのまま記載させていただいているものでございます。

1つ目の表示事項の優先順位につきましては、まず、順位を考えるべきかどうかということも論点になろうかと思いますし、順位を考えるとした場合にメルクマールはどのようなものになるかということも論点になろうかと思います。

2つ目のインターネットを活用した表示につきましては、表示の目的に応じてインターネットを提供手段として考えられるかどうかという点も論点として挙がりますし、さらに、表示の目的に応じて容器包装とインターネットという提供手段を変え得るとすると、各提供手段の性質に応じて、また、表示の目的に沿ってどのような情報をどの程度提供することが適当なのかという視点もあろうかと思います。

3つ目、容器包装上の表示とウェブによる情報提供の組み合わせ方につきましては、容器包装以外ではどのような情報がどのようにすれば確認できるかといったウェブ表示へのつなぎ方などもポイントになると思われます。

下の2つにつきましては、上の3つから事務局で連想されるものを2つほど追加させていただいております。

4つ目の容器包装上の表示におけるデザイン、レイアウト上の工夫につきましては、色使いを統一したりとか、デザイン、例えばピクトグラム、絵文字を活用するなど、わかりやすい表示にするための工夫としてどのようなものが考えられるかというようなことが挙がってくるかと思います。

最後の5つ目の外国語表示への対応につきましては、訪日外国人が増加していく中、外国語による表示への対応をどのように考えればよいかという点が論点として考えられるかと思います。

以上、委員の皆様におかれましては、あくまでこれはたたき台という御理解の上で自由に御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

そのほかに問題点としてお考えになる点などがございましたら、御提案をいただきたいというのがまずはここからの議論でございます。なお、今回の検討におきましては、個別の表示事項の制度詳細について、当委員会に諮問があったわけではありませんので、議論の対象とはなりませんが、議論の流れ上、必要な範囲において御発言いただく分には差し支えございませんので、その旨を御留意いただければと思います。

そういうことで、これから食品表示に関するあるべき姿、グランドデザインを皆様で議論してまいりたいと思います。たたき台として資料5に先ほど参事官から御説明をいただきました3つの項目、これは消費者委員会本会議から挙がってきているものですけれども、それ以外にもさらに議論のポイント等について、特にきょうはこれを皆様から御意見を賜り、整理をし、その議論の進め方、ポイント等を整理するという材料にさせていただきたいと考えております。

時間的にはこれから1時間程度を考えておりまして、皆様からまずは自由に御発言を賜りたいと思います。どなたからでも結構でございます。

それでは、渡邊委員からお願いします。その後に宗林委員、お願いいたします。

○渡邊委員 渡邊でございます。

今回、こういう食品表示の全体像について議論する場ができたというのは、非常にありがたいことだなと思っております。その中で今回、参考資料として提出させていただいております。参考資料1は食品産業センターから今年4月に、ちょうど遺伝子組換えの検討会での報告書案がまとまったころに出させていただいているのですけれども、2点、食品表示についての要請を出させていただいております。

1つ目は、今回の議論とは少し違うのですけれども、新しく食品表示法ができた後に、さらに大きな追加項目がどんどんできてきているので、実際に事業者からすると特に中小だと1つの例えばラベルをつくると5年分ぐらいできてしまうとか、そういう背景がある中で、こうやってどんどん大きい追加があるというのは非常に負担が大きいということを言わせていただいております。

2点目は、これは今回と関係があるのですけれども、先ほど表示の全体像の説明がありましたが、実は食品表示法以外にも義務化の対象になっているものがありまして、例えば今、机上にあります商品もそうなのですけれども、かなりの面積をとるのが、例えばここにある資源有効利用促進法、いわゆるリサイクルのためにその容器包装がどういう素材でできているかというのを表示しなければいけない。三角で大きく例えばPETとか、そのように表示する。これも義務化されております。

ということで先ほど表示の全体の説明があったのですけれども、実はこういうものが抜けているのです。だから実際、面積を考えるときは、このような部分とか、あるいは例えばJAS規格をとっているとJASマークをつけなければいけないとか、それ以外にもかなり食品表示法以外の部分で表示しなければいけない項目もあるということで、こういう表示全体をやるときには、さらに関係省庁での調整の場があったほうがいいのではないかということを言わせていただいております。

今回いろいろ議論する中で、義務化になっている部分というのは議論の中で頭の片隅に置いておいていただいたほうがいいかなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

今、参考資料1に基づいて、これは30年4月5日付ということで食品産業センターさんから消費者庁長官に要請という形で提出された資料を参考資料として提出していただきました。その点について今、2項目挙げていただきましたので、まずは共有させていただきたいと思います。ありがとうございます。

続いて宗林委員、お願いいたします。

○宗林委員 消費者庁さんにお聞きしたいのですが、食品表示法という法律があるわけですけれども、それとウェブによる情報提供という、この言葉を分ければ非常にしっくりいくわけですが、ウェブ上に食品表示法上の項目を一部持っていくということは、表示という概念をどのように変えなければいけないのか。法令上かなり大きな影響を与えるのではないかと思うのですが、その辺について少し整理したお考えがあれば御説明をお願いします。

○受田部会長 ありがとうございます。

今の点、今後どのように議論していくかというところで、ポイントとして先ほどの資料5の中で、インターネットを活用した表示あるいは容器包装上の表示とウェブによる情報提供の組み合わせ方は、1つ論点のたたき台として提出をされている、この具体を消費者庁サイドとしてはどう考えておられるか、その概念というお話だったので、まずは委員からこういった論点についてさまざまな意見をいただいて、そして、その後、こういった容器包装上の表示とウェブ上の情報提供、これはアンド・オアとかそういうことも組み合わせとしては考えられると思うのですけれども、違いますか。

○宗林委員 もちろん消費者にとって何が最終的に一番よろしいのかという着地点に向かっていく議論をこれからしていくのですが、まずは現行の法律によりますと、例えばウェブ上に書かれたものは表示としてみなされないのではないかと思いますので、表示という言葉、食品表示法ではどこまでを網羅されているのかということをまず確認だけさせてください。

○受田部会長 明確にしておくということですね。わかりました。では、その点に関して食品表示企画課の赤崎課長、よろしくお願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの宗林委員からの御質問でございます。

結局、表示というものと情報提供がどういう関係になるのか。その概念整理をどうするのかということかと思いますけれども、その点については、現行は基本的に容器包装縛りがかかった表示体系という形になっています。それを万が一、仮に見直すことによって情報提供というものを取り込むようにすることとなれば、これは法制的にきちんと整理をした上で考える必要があると思っていますので、現時点で有権的、確定的なことを申し上げるのはなかなか難しいと思っています。

ただ、結局のところ表示という形で容器包装と一体のものとみなすのか、それとは切り離して別の媒体での情報提供を認めてもいいのではないか、これはサブスタンスの問題としてこの部会できちんと御議論いただければ、結果そういう形で目指すべきルールというものが出てくれば、あとは消費者庁で引き取らせていただきまして、それが今の食品表示法の目的規定を変えなくてもできるのか、または受田部会長、宗林委員から問題提起があったように、情報提供と表示は別物だから、目的規定のあり方、法律の建付けのあり方を考える必要があるのか、そこは改めてこちらのほうで整理をして対応させていただければと思います。

○宗林委員 ということは、今、例えば食品表示法上の義務表示になっているものを私たちとして情報をもっと柔軟性のある情報提供のところのほうが好ましいのではないかとなった場合は、食品表示法の項目から外れる、あるいは法律を変えるというような作業が必要になるということですよね。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの御質問でございます。場合によってはということですけれども、そういうことがあり得ないとこの場で申すつもりはありません。万が一、そういうことがあるのかもしれませんが、ただ、本当に今の法体系、目的規定の中で読めないのかどうかというのは、これは非常に重要な根本的な論点だと理解していますので、我々としてもきちんと整理をさせていただいた上で、また御説明の機会をいただければと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。今後、議論していきたい本質的なところに入ってしまっているという感じもいたしますけれども、一方で先ほど赤崎課長から、容器包装縛りであるという先ほどコーデックスの話もあり、義務表示というところは当然それを前提にお話が進んでおります。一方、サプリメンタリーに情報提供し、それを表示というふうにみなすかどうかとかいう議論になってくると、その情報提供のあり方そのものがあるべき姿と現状の法体系と整合をとっていったり、あるいは改正を求めていくというところまで話は及んでいくのだろうと考えられます。これは補助的にそういった情報の提供のあり方とする場合と、もう少し踏み込んでこういったウェブ上あるいはICTを利用して、そちらにインフォームド・チョイス的に情報が与えられて、容器包装上にはそれがないようなもの、これも義務表示というところから外れれば任意表示上ではあり得るかもしれません。ですから、そういったところも今後、具体の表示例としていろいろと議論をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

ほかの委員の皆様いかがでしょうか。菅委員、お願いします。

○菅委員 きょうはまだ何を言っても良い段階かなと思いますし、これからどのような議論が始まるのかということがまだ余り自分の中でも見えてきていませんが、食品表示全体について大きな議論がなされる機会を設けるというのは、必ずしも今まで十分になされてこなかったとお聞きしますし、とても意義のあることなのだろうと思うのですけれども、今までの既に始まりかけている議論を伺いながら、もっと勉強しなければと思うとともに、議論の仕方について素朴に疑問や不安に思うところがあります。今、幾つかの論点案が出されているようですけれども、これらはいわゆる食品表示全般の大きな総論的なテーマであるようにも見える反面で、それぞれには実は結構各論的なテーマであるようにも思えるのです。

今後、個別論点ごとに議論していくとすると、実は論点一つ一つにどういうスタンスをとるのかの大前提として、さらにもっと大きな視点あるいは理念的なものと言うべきなのかもしれませんが、そもそも食品表示の充実はなぜ必要で、表示に何が求められているのかといったような、より大上段の問題に対する意見が個々の頭や心の中にもともとあって、そこから一定の方向性や意見が導かれていくのではないかと思うのですが、そうしたより上の階層の議論は、あえてこの場で議論や確認をすることではなくて、思い思いに各論的な論点について意見を述べていけば良いということになるのかどうか。あるいはそれを経て最終的に取りまとめがなされる中で見えてくるような整理があるのか。私自身議論をどう進めていくべきものなのかについて十分イメージができておらず、感想めいた意見で恐縮なのですけれども、例えば、先ほどの御説明にもありました表示事項の優先順位という論点に関して、表示を「安全」と「自主的かつ合理的選択」と整理して述べられますが、大前提としては消費者の権利、安全に関する権利や知る権利などに深く根差しているわけでして、どちらがどう優越するとかしないとかいう議論はそう簡単にしてよいのかどうかといった点、先ほどは、考えるべきかどうかについても議論すればよいのだとの御説明もあったと思うのですが、議論の仕方自体について大分工夫が要るのではと思います。

次回以降の話でよいと思うのですけれども、例えば表示の意味を大きく2つに分けて、それぞれに方向性を考えるべきだという立場を議論するのだとしまして、それが全体としてもっと今よりも充実した表示が求められるべきだというような理念や考え方とどうかみ合ってくるのかというような問題が出てくるような気がします。今、表示とは何なのかという議論も始まっているほどなので難しい問題かと思うのですが、今よりも表示の内容を縮小する方向の根拠になるような議論になるのだとすると、そのこと自体を反対するという議論をしなければならなくなるかもしれないとも思っております。

「わかりやすい表示」という言葉が導く方向が、本体への表示を余りふやさなくてもよいという方向の議論になるのだとすると、そのこと自体に大きな懸念を感じますし、それは表示の定義にもかかわることなのだという話が先ほどあったかと思いますが、そうしたもともとの理念的なことを議論することなく、各論的なテーマを個別に議論することだけでいいのかどうかが少し気になっています。

立ち位置が違う考え方がいろいろと出てきても、その考え方の一定の共有ができればよいかとも思う反面、取りまとめのあり方にもかかわる問題として、最終的にどういう形で議論が収束していくのか、まだ疑問に思っています。議論に際しては、先ほど冒頭で部会長からは、実行可能性や監視可能性という点は今回の議論では余りブレーキとしなくて良いのだという旨を述べられたかと思います。ただ、今の状況で可能なことを議論するのか、よりICTなどが進んだ世の中を念頭に置いて、こういう表示が将来的にはあったらいいねという議論をしていくのか、時的なイメージとして未来像なのか今すぐなのかという点についても、フリーに議論してよいということなのかもしれませんが、今、自由に議論するとなるとコーデックスとの関係や現行の食品表示法との関係などが考える上でのブレーキになるのかもしれませんから、どういったものを議論していくのかの共有について心配しているということです。

まとまっていない意見のような感想のようなことで申しわけありませんが。

○受田部会長 ありがとうございました。

今、菅委員から御意見というか、コメントを頂戴いたしましたので、少し部会長としての見解もお話しておきたいと思います。

冒頭でも申し上げたとおり、今回、この食品表示部会に何がしかの諮問が来たわけではありません。通常ですと諮問が来て、それに対して部会委員の皆様から各専門的なお立場、また、日々のさまざまな事業を通じてその諮問内容に関して御意見を賜り、そして、一定の方向性をこの部会で目指していき、答申とするということで議論をしてまいりました。直近では昨年の加工食品の原料原産地表示に関する議論、ここを多くの委員の皆様が議論の場に参加をされたということも存じ上げておりますので、よくおわかりいただけるのではないかと思います。

今後、この部会ではまさに諮問に関してはGMの話が出てまいります。これはきょう最後のところで今後の部会のスケジュールについてお話がありますので、そういったところで諮問内容もあるということもお含み置きをいただき、今後こういった諮問が内容的に異なるものが次々に来て、そして議論し、答申を重ねていくという中で、かなり調整に難航していく、あるいはそれぞれのお立場でお考えの違う部分をどこかに落としていかないといけないという状況が出てまいります。

そもそも今に至るまでの食品表示全般に関して、一度立ちどまってといいますか、俯瞰的にこれらを整理しつつ、そして、先ほど菅委員からもありましたように、これから申し上げますけれども、一定の時間軸の中であるべき姿、先ほどグランドデザインという表現をいたしましたが、それを明確に、あるいは共有できる部分を可視化して、そして今に戻す。よくバックキャスティングなんていう言い方をしますけれども、それに基づいてさまざまな諮問に対してさらに議論を実務的に展開をしていくことも求められていくのではないかというのが1点でございます。

そういった意味では、先ほど理念という言葉を菅委員からはコメントとしていただきましたけれども、理念あるいはグランドデザイン、こういうものをまずそれぞれのお立場で掲げていただき、そこから戻していくことは今回、この食品表示部会でまさに議論をしてみたいところでございます。

そうなってくると、余りにスコープが広がり過ぎて、そして長期的な願望だけがここに出てくる、俎上に上ってくることになると、議論の成果はどうやって取りまとめるのかというところが非常に不安になってまいりますし、なかなか議論の成案が出てこないという懸念がございます。そういう意味で一定の制約があるということを念頭に置きつつ、このあるべき姿というのを描いていく、ここも現実的な議論の進め方としては必要になるのではないかと考えました。

そういう意味で、きょうは制約因子と言うと語弊はあるかもしれませんけれども、コーデックスという世界のスタンダードとして基準があり、義務化されているものがある。これは当然にらんでいきつつ、さらに先ほど木村常務のお話がございましたように、全てコーデックスに従うという考え方ではなくて、例えばEUであったり米国であったり、自国の規格がさらにコーデックスのほうに反映されていくような内容もございますので、我が国における食品表示のあり方を現状さまざまな起こり得る社会的な変化を逆手に取りながら、ある場合はそれを課題として解決していくということをにらみつつ、あるべき姿を議論していってもいいのではないかというのが1つでございます。

それから、時間軸なのですけれども、これはさらにフレキシブルに対応ができるという状況ではございますが、1点、冒頭に申し上げましたとおり、32年度から第4期の消費者基本計画5カ年が始まります。現在、第3期の4年目ということなり、そして第4期の5カ年を今、消費者庁を中心に議論をしている状況でございます。

振り返ってみますと、今、第3期の消費者基本計画の5カ年、我々がこの食品表示部会で議論してまいりました原料原産地表示の義務化の内容あるいは遺伝子組換えの話、今後想定されております食品添加物に関するお話、こういったものは消費者基本計画の中に計画として盛り込まれている内容でございます。したがって、ここで議論をしていく内容が第4期の32年度からの5カ年、この消費者基本計画の中に内容的に盛り込まれていく可能性というのは大いに期待をしていいのではないかと思います。

もしそういったことを踏まえつつ、ここでの議論の取りまとめがそこに反映をされていくとすると、その5年を足して、今年を含めれば6年から7年先というところが1つ、時間軸として出てまいります。もちろん大きなグランドデザイン、そして希望的な内容ということで、その5カ年には盛り込めないものもあるかもしれません。となればその次の5年というのも想定はできるのではないかと思います。

したがって、グランドデザイン的に見たときの時間軸というのは、6年から7年先を1つ想定していただいてもよろしいのではないかと思います。ただ、あくまで長期的にやるべきことを整理するにとどまらず、直近として整理ができ、かつ、実行可能性が高いものについては、できる限り、可及的速やかに緒につけていくことは言うまでもないものと思っております。

そういう意味で今回、今、菅委員からまさに議論の進め方について問題提起していただきましたので、改めて私自身がこの部会としてどういうふうに議論を進めていくか、また、取りまとめに関してどのような具体的イメージを持っているかについて、少し補足をさせていただきました。

この議論の進め方についても、きょう委員の皆様から御意見をいただき、さらには今、申し上げた具体的な課題等についても俎上に上げていただき、そして時間軸としてそれぞれについてどれぐらいのものを設定していくか。すなわち最終的にはロードマップ的なものを描いていく必要があると思っておりますけれども、それについても取りまとめの中に盛り込んでいくことができれば、非常にこの部会での議論が有意義な形になるのではないかと期待を申し上げるところでございます。

今のコメントに関しても御意見を委員の皆様からよろしくお願いいたします。池戸委員、お願いします。

○池戸委員 非常に大きな課題といいますか、事務局が示されたたたき台は重要な内容だと思っています。

今の部会長の大まかなお考えは理解したつもりなのですけれども、もう少し具体的なところがもしわかれば教えていただきたいのは、きょうのグランドデザインの議論はタイムスケジュール的に、これはこれで集中的にやって、今後先ほどから出ているテーマ例えば遺伝子組換えの諮問なんかが出てきますね。そことの関係はいかがでしょうか。この後、スケジュールのところで話があるかもわからないのですけれども、それによって議論の密度も変わってきます。次期の基本計画への反映を考えると、御案内のとおり今まで消費者庁でいろいろな議論を審議会とか検討会でやってきたのも、基本計画に乗った宿題といいますか、計画はそれを対象に、閣議決定されているわけですから重みが非常にあると思うのです。そことの関係もあるので、少なくとも今年度でもいいのですけれども、そこと先ほど申し上げたような大まかなタイムスケジュールをまず終えてから、次の議論があるのか、そこを最初に確認させていただきたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。スケジュール感、この議論自体をどれぐらいの頻度、あるいは何回ぐらいにわたって議論をしていくかという点でございますが、スケジュールに関しては次回の予定等を今、決めており、年度内でのスケジュールについて大まかに計画を立てているところではありますけれども、この点については事務局から、あるいは遺伝子組換えの諮問の話があるのですが、消費者庁から、もし目途をいただけるようであれば先に伺い、そして事務局からこの部会の進め方、スケジュールについてお話をしていただきたいと思うのですが。

○黒木事務局長 まず本日から御議論いただいております食品表示の全体像につきましてでございますけれども、本日を皮切りに進めていただきたいと思っておりますが、GMの諮問の話は消費者庁から後でお話をいただきますが、恐らく今、御検討いただいている全体像が終わってからということではなくて、途中で入ってくるようなイメージでございます。諮問のほうは諮問のほうで答申の時期等もございましょうから、それに間に合うようにして、またそれが終わってからグランドデザインの検討を進めていただくことで考えているところでございまして、その後ろがいつになるかについては詰めたことはまだ検討しているわけではございません。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 引き続きまして消費者庁からです。

遺伝子組換え表示の見直しに関する諮問を、いつ食品表示部会に消費者委員会に出すかということでございますけれども、我々としては庁内の準備が整い次第、できるだけ早くというスケジュール感で考えております。きょう8月30日でして、暦の上では来週から秋になりますけれども、我々としては冬までその諮問を引っ張るということではなくて、できれば秋を念頭に置いて、ただ、具体の時期がどうかというのはまだいろいろなところと内部も含めて確定的なことを言うだけの熟度に達しておりませんので、ただ、繰り返しになりますが、できるだけ早く、もう来月9月から秋になりますけれども、今年の冬、来年春まで引っ張るようなことはなくて、そういうスケジュール感の中できちんと整理をした上で、また改めて正式な諮問を我々から出して御議論をお願いしたいと考えております。

○受田部会長 ありがとうございました。

今、補足をしていただきましたように、遺伝子組換え食品の諮問がいつ来るかというのがまだ明確になっていませんので、それが決まりましたらいついつにどちらの議論をするということも、スケジュールとして明確にできると思っています。

今、全体像の話に関しては、黒木事務局長から御説明をいただきましたように、この食品表示部会として任期1年ございますので、この期間の中で一定の議論の内容を取りまとめていきたいと考えています。この食品表示部会としてどういう形で、提言のような形になるのか、あるいはあるべき方向としてお示しをしていくのか、内容によっては多様な考え方がある場合には、その多様な考え方を御紹介していくのか。いずれにせよ今後さらにいろいろな諮問が想定される中で、その考え方の指針になるべきものをお示しできればという思いでございます。

○池戸委員 ありがとうございます。いろいろなこれからの諮問の内容にもよるのでしょうけれども、場合によっては例えばGMと表示の全体像という関係だけで言えば、全体像、それから、その次にGM、また全体像、こういうサンドイッチみたいこともあり得るということでよろしいですね。

あと一つは、そういう議論の中で、この部会の任期の中で全体像の結論といいますか、方向性みたいなものが出たときに、それは次期消費者基本計画のほうにもスケジュール的には間に合うということでよろしいでしょうか。

○受田部会長 ありがとうございます。まさに今、池戸委員がおっしゃっていただいたように、この全体像の議論とGMの議論というのは、ある時期にはかなり同時進行している。もちろんある部会のときに両方一緒に議論しましょうというような話ではなく、どちらを議論していくかという点については、しっかりスケジュールを組んでやっていきたいと思っておりますけれども、先ほども具体的な例として木村常務から御紹介いただいたように、QRコードをGMの表示に補足的に使うというようなアメリカの例もございましたので、当然、議論の方向性あるいは具体の現場での実行可能性の部分でそういうお話に及ぶことも想定されます。したがって、逆にこういった全体像の議論を進行させているということをうまくそこの諮問に対する答申に反映できれば、たちまち全体像の議論が有効に活用されたというふうになっていくのではないかと思います。

それから、基本計画に対して間に合うかどうかという点については、これは今後の基本計画、かなりもう既に熟度が上がっていることは承知しておりますけれども、消費者委員会の本会議でもその様子といいますか、基本計画自体の意見が求められることもございますので、この部会での議論の状況もしっかりとそこの中で共有させていただき、そして可及的速やかに反映が求められるものについては、その旨、要求をしていきたいと思います。

5カ年の中で毎年ローリングしておりますので、そのローリングの中で反映できるタイミングも必ずあると思います。したがって、この部会の議論が終わった後も、ここで得られた議論の取りまとめをしっかり消費者委員会の本会議に直結をして、その後もその議論自体が有効に活用できるように努めてまいりたいと思います。よろしいでしょうか。

それでは、今いろいろな議論といいますか、基本的には進め方の議論というところで御意見をいただいておりますが、その点も御意見を賜って構いません。また、先ほど資料5、具体的に議論するに当たっての論点ということで、これまで消費者委員会の本会議から議論すべきというふうにいただいている内容も含めて御紹介申し上げておりますので、さらにここに載せるべき論点がございましたら委員の皆様から積極的に御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。夏目委員、お願いいたします。

○夏目委員 新しく意見を加えるということではないのですけれども、2点ほど私の意見を申し上げたいと思います。

まず1点は、最初の表示事項間の優先順位というところで、事務局からまず優先順位そのものを考えるのかどうかというような質問を投げかけられているところですけれども、表示の目的を考えましたときには、部会長が最初にグランドデザインのときにおっしゃいましたように、安全性の確保、それから、消費者の選択に資する、この2つの目的というのは変えられないと私は思っておりまして、ですから優先順位はまずそこにあるのだろうと思います。

その上で、消費者にとって優先順位に従って表示された内容が見やすくて、使いやすくて、要するに活用できる表示であるかどうかというのは、今の表示は非常に課題があると受けとめております。

先ほど渡邊委員から、事業者の御意見を提出されまして、それはそのとおりだと思います。次から次へと表示事項が増えて事業者が対応するのはとても大変だというふうにおっしゃっておりますけれども、その増えた事項を読み取る消費者の側も非常に大変であるし、それを十分に理解するというところまではなかなか今、行き渡っていないだろうという現実がありますから、そこをどうするかというのを今後も引き続き考えるべき話だろうと思います。

もう一つの点は、これまでもほかの委員からも御発言されましたように、やはりウェブによる情報提供というものと容器包装上の表示、つまり表示と情報提供というのを今のまま、区別したままずっといくのかどうか。また、法制度を変えてきちんとそこに位置づけをするかというのは、これはとても大きな問題ですけれども、そんなに待っていられない状況ではないかと思っておりまして、第4期の消費者基本計画が32年からということで、6年から7年くらいとおっしゃいましたけれども、そんなに待っていていいのかなというのが正直なところ、感想です。

といいますのは、表示事項が増えてきておりますので、容器包装上の表示というのは限界に近づいているのではないか。その容器包装上の表示を見たときに、消費者がなかなか必要な情報を見つけにくいという現状もありますから、そういうことを考えましたときに、そろそろウェブによる情報提供を1つバージョンアップする。もしかしたら法改正まで含めてというところを検討すべき時期に入っているだろうと思います。

訪日観光客の増加だけではなくて、日本で働いている外国人も非常に増えていらっしゃるという状況の中ですとWi-Fiのフリー化、そして、スマホは皆さんお持ちです。特に外国の方はスマホなしでは生活できないような状況の中にありますときに、ウェブによる表示が情報提供のままでいいのかどうかというのは、私どもがきちんと議論すべき内容だろうと思いますので、きっちりと次の消費者基本計画には何とか盛り込んで実現させるという方向に議論が、難しいですけれども、できたらいいなというふうに皆さんのきょうの議論を聞きながら考えたところでございます。感想も含めてです。

○受田部会長 ありがとうございました。

今、夏目委員からは資料5に基づいて論点、たたき台として挙げられている内容について、具体的なコメントをいただいたものと理解をいたしました。今いただいた御意見は、まさにこのたたき台が作成された背景かと思います。かなり端折って書いてありますので、緊急度というか、そういう部分が見えない部分もありますし、外国語表示への対応についても事務局から補足はしていただきましたけれども、当然、インバウンドに加えて外国人居住者の方々も多分2%とかいう数字がいらっしゃって、そういう方々に対する消費者としての安全性の確保や自主的、合理的選択の機会の確保が担保されているのかどうか。これは当然、考えていかないといけない問題だと思います。

したがって、今お話しいただいた内容については、この資料5、論点のたたき台を考える上での貴重な御意見ということで受けとめさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

ほかにいかがでしょう。宗林委員、お願いします。

○宗林委員 皆さん少し具体的なお話をされているので、私も少し具体的な内容に入りたいと思います。

表示というか、その製品にとっての情報全体を捉えますと、先ほどから出ていますように安全性にかかわる主な事項と、消費者の選択に資する主な事項というふうに分けて整理されております。安全性にかかわる主な事項を容器包装からどこかほかのところに持っていくという考えは、基本的には私の中にはないのですが、一方、選択に資する主な事項のところを今、全部満載で容器包装に表示していくことによっての先ほど夏目委員の言葉にもありましたけれども、わかりやすいというか使いやすい表示になっているかどうかというと、その部分のデメリットといいますか問題が出てきているのだろうというような現状だと思っております。

ここを識別していくわけですけれども、きょういただいた資料、こういった資料は大変貴重だと思うのですが、資料3はまずサンプル数が幾つであるか書かれていないのですが、どのぐらいの数のアンケートであったのかなということを後で教えていただきたいのと、私自身としてのそれぞれ委員の意見はもとよりやはり最終的には客観的な国民の声のデータを幾つかきちんと踏まえた上で、それを整理していく材料にしていかなければならないと思いますので、これだけでなくもう少しほかの資料があれば次回以降、参考にさせていただきたいし、万が一、必要であれば改めてとるということも含めて、私自身の意見は消費者の選択に資する主な事項をどのように分けるのかということに焦点があるのではないかとの印象は強くありますが、そうではなくて、ここでは客観的な裏づけになるようなデータをきちんと持つことが大事かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。

今、宗林委員からはこの議論の前提となる根拠で、これを数字でしっかりと把握し、それに基づいて議論すべしということで、たしか意向調査はn数は1万で、定点でできるだけ観測をしようということで、きょう資料3でお出しいただいたのが直近のデータで29年度のデータ。そして、もう一つ、28年度のデータがございます。物によっては設問が新たに加わったもの等がありますので、全てが経年的に比較できるものではございませんけれども、かなりこの意向調査に関しては精緻な分析をしていただいていますので、今、宗林委員から御指摘をいただいた内容というのは、まずそれを根拠に、また、考察をすることによって描けるのではないかと思います。

もう一言だけついでに言わせていただくと、きょう事務局から御用意いただいた、まさにこの資料3のピックアップしたものが、その中でこれまで消費者委員会本会議でも指摘され、また、昨年の加工食品の原料原産地表示の際に附帯意見として添えられた内容そのものの消費者の意向だと受けとめられるのではないかと思います。全国的な人口比率であったり、あるいは属性としての年齢、こういったところも考慮されていますので、母数並びに属性等に関しては、偏りは極力なくしているデータかと思っております。

○渡邊委員 このアンケートですごくおもしろいなと思っているものがありまして、例えば3ページで、これは表示の文字を大きくするために絞るべき情報ということで、ウェブに掲載してもいいよというのが数字とかで出ているのですけれども、例えばアンケートの信頼性ということで考えたときに、例えば食品関連事業者の氏名または名称が26.4%、POPを入れると10.7%、両方で要するに書かなくてもいいよという人がいるわけです。書かなくていいのがこんなにいるんだなと思ったのですけれども、そうすると下のほうを見ると輸入業者の氏名または名称は、輸入業者のほうはこんなに少ないんだなとか、だから余り今、信頼性と言いましたけれども、私はどういう問いかけをしているかわかりませんが、例えば名称もかなり書かなくていいという人がいるのです。だからそういう観点で見ると、これを一番に考えるべきというのは、私自身としてはどうかなというふうに思います。

○受田部会長 ありがとうございます。確かにいろいろ眺めて見ていると、比較していくことによって、先ほど渡邊委員からも御指摘いただいた、具体的にはウェブに掲載する必要といいますか、そういうところで比較的数字が低いものと高いものがあって、比較をすることはできるのですけれども、そのことが持っている意味であるとか、それ以外のものと比べたときに、なかなか腹落ちしないような内容も随所にあるかもしません。いずれにせよ、これをどこまで具体的に消費者の意向あるいは意見として考えるかというのは、また部会の委員の皆様にもお諮りを申し上げたいところでございますけれども、まずは一定こういった母数、n=1万というかなりの消費者意向調査のバックデータはあるということは、ぜひ御記憶いただければと思います。

ほかにいかがでしょうか。池戸委員、お願いします。

○池戸委員 今の資料3もそうなのですけれども、こういう実態というのは重要だと思います。きょういただいた資料を見ても、「不便ではない」に対して、「文字が小さくて見にくい」とか、「事項が多過ぎる」というところを足したものと比べると、圧倒的に不便を感じているという実態にあるかと思うのです。

特に安全性の事項を優先というのは、今始まった話ではなくて、一元化検討会の報告書をきょうお配りしていただいておりますけれども、あの当時アンケート調査をしたときに、表示事項ごとで一番わかりにくいのは何かといったら、文字の大きさだというのが圧倒的に1位で、ほとんどが1位だったのです。ただ、そこは今も変わっていないということかと思います。

ある意味で今、宿題がずっと続いているというふうに私は受け取ったのですが、要するにあの当時はウェブだけではなくて表示を情報の一媒体という観点で見て、情報の重要性の整序という言い方をしていたと思うのです。たしか参考資料の一元化の検討会の報告書の7ページに「情報の重要性の整序」というものがあって、そこのページの下から3行目には、この当時、これは7年ぐらい前でしょうけれども、「できる限り多くの情報を表示させることを基本に検討を行うことよりも、より重要な情報がより確実に消費者に伝わるようにすることを基本に検討を行うことが適切」。次のページに、より重要な情報は安全性だという話。

アンケートをとって余り不便ではない、特に安全性のところが理解していないという仮に結果が出た場合は、理解していただくようなことをセットでやるべき事項だと思うのです。だからここのアンケートはいろいろなものを含んでいるかと思います。

それから、先ほどの重要性の整序で、要するに文字の大きさを優先するのか、あるいは情報量を優先するのか。これも当時のアンケートだと表示でやってくださいというのが73%で、ほかの媒体、これはウェブだけではなくてPOP表示もたしかあったし、人によって関心事項が違うので問い合わせ電話番号を書くとか、幾つかあったのですけれども、それぞれ一長一短があるという結論だったのです。

ただ、ウェブについては加工食品の原料原産地表示のときには圧倒的に表示でやってくださいとの意見が多く、ウェブ希望はたしか18%ぐらいしかなかったのですが、これも世代によってかなり違ってくるのではないか。スマホとかパソコンに抵抗がない世代がだんだん増えてくると、それに対応した対応というのが当然でき得るわけですし、逆にこういう表示以外の媒体を通じて情報をよく知って理解していただくということのために、そういうウェブの利用を普及させるという、要するに環境整備をセットでやることが有効であれば、そういうやり方も結論としてはあり得るのではないか。

ただ、言いたいのは今までの中でも、一元化の報告書、それから、インターネットのかなり時間をかけて議論をしていただいたという経緯もございますので、そういうものを無駄にしないように、ある意味で時代が変わればそういう視点でもう一回、検討なりアンケートを見直すという客観性を持った議論をする必要があるのではないかと思いました。ですからできるだけ、一言で言えばわかりやすく、どうやって伝えるか。その中には文字の大きさだけではなくて、事務局が書いていただいているようにデザインとか文字の間隔とかフォントとかそういうものがあるのですが、これまでわかりやすいという定義がはっきりしていない。これは科学的なアプローチというのがようやく今、始まっているところなので、ある意味でそういった分野の科学的、客観的な調査研究も並行してやることも私は有効ではないかと思っております。

きょうは思いついたことだけ述べさせていただきました。

○受田部会長 ありがとうございました。とても貴重な御意見をいただいたと思っております。

先ほど池戸委員から食品表示一元化検討会、これは池戸委員が座長がお務めになられていますし、参考資料3としてお配りをしております食品のインターネット販売における情報提供のあり方懇談会の座長は湯川先生だったのではないかと思いますけれども、こういった極めて貴重な議論の取りまとめがなされています。

実はこれを配付資料としてお配りをした背景というのは、まさにこの検討されたさまざまな議論を次に生かすという点で、繰り返し重複の議論を避けつつ、さらに一元化からは24年8月9日の日付でございますので、まさに6年たっておりまして、先ほどここで全体像を6年、7年と申し上げた時計を戻したときの一元化の検討会の報告という位置付けにあること、また、インターネット販売という意味で参考資料3の懇談会の報告がなされておりますので、今回、表示、必要な情報をどのように提供するかということで、インターネット販売とは違う面が多いとは思いますけれども、そこで議論された内容というのは、ウェブをいかに活用するかという点では通底している要素がさまざまあるという意味です。

そして、大分時間が終わりの予定時刻に近づいておりますので、徐々に取りまとめていきたいと思っているのですけれども、次回以降、さらにいただいたきょうの資料5にありますたたき台の部分での具体的な内容に関する専門的なお立場の方、あるいはこれまでこういったウェブを利用する情報提供のあり方等について、さらに言うと本質的な先ほど池戸委員から「わかりやすい」ということのお話がありましたけれども、こういった議論がどのようになされてきたかという点については、その専門的なお立場あるいは委員会を差配された方々のお話をお聞きする場をつくりたいと思っているところでございます。そういう中でまた池戸委員に別途お願いをしていくことも考えていかなければいけないと思っておりますが、そういう点は部会の中で共有をする場を当然つくってまいります。

まだ御発言いただいていない委員の方がいらっしゃるので、お考え等を伺えればと思うのですが、安達委員いかがですか。

○安達委員 先ほど来、皆様から御意見がありましたように、現在、容器包装上の表示というのは内容がどんどん増えてきているという状況がありますので、ほぼ限界に近づきつつある。そのときに小さな黒い文字の羅列で、その中から消費者の方が見たときに重要なことと、その方にとっては余り重要でないことを区別していくのは非常に難しいという状況があるので、わかりやすくしなければいけないというのは私も大いにそのとおりだと思っているところでございます。

先ほど、例えば現在、容器包装上にあるものをウェブのほうに情報提供の仕方として持っていく、その何を選んでいくかということをこの場で議論するのであれば、何かしらのエビデンスは必要であろうと私も思います。エビデンスとして何が使えるかということを考えたときには、この消費者の意識調査の結果というのは非常に大きなものではないかと思います。ただ、渡邊委員がおっしゃったように、例えば食品関連事業者の氏名及び名称をウェブに持っていっていいと考えている方が26%いらっしゃるというのは、かなり大きいなと私も思いました。法律というか法令という面から見たときに、表示をしている責任者の名称を容器包装から除くというのは、それはやはりまずいのではないかというのが私の個人的な意見であります。なのでエビデンスは必要かと思うのですけれども、それぞれ今ここにいらしている委員の皆様の御意見も取り入れながら、難しいかとは思うのですが、よりよい方向を目指していかなければいけないのではないかなと考えております。

○受田部会長 ありがとうございました。エビデンス、客観的な根拠をというお話、先ほどもいただいておりましたので、しっかりそこについてはこれまで意向調査の結果に加えて議論されている検討会等でのアンケート結果等も勘案しながらということで、また検討させていただきます。

下浦委員、いかがですか。

○下浦委員 一点目の、全体的な部分でスケジュール感のことについては、私はそれでいいと、思っております。

2点目の資料5の部分でございますけれども、ウェブ化というところを考えていきますと、資料3の4ページ目に示されているように、ウェブで確認をされているという方が非常に少ないというのはありますが、実際に確認したことがある方が年代別に見るともっと60代、70代が低いのかなという感覚を持っていたのですが、案外高いということから今後ウェブ化、また、それこそ先ほどのQRコード、AI化ということも考えていく必要があるかと思います。当然、事務局が想定した例示のデザイン、レイアウト、マーク、外国表示も考える必要があり、そういったマーク等々であれば何とか外国の方々にも理解しやすい部分だと思います。ウェブ、AI化等を今後見据えていきながら、この議論を進めていく必要があります。高齢者になっていきますと細かな表示というのは見にくいということになりますので、何らかの形で一部的にもAI等でサポートするような時代が来てもいいのではないかという感想は持っているところでございます。

以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

樋口部会長代理はいかがでしょうか。

○樋口部会長代理 全体の進め方等については部会長からもお話がありましたけれども、全体像というのはなかなか難しい問題で、直ちに例えばアンケート1つとって決めるということはできないと思いますので、並行しながら進めていくことがよろしいのではないかと思っています。そういう意味でウェブの活用の話が1つ大きな論点になっているので、このアンケートを拝見していたのですが、このアンケートはもう少し詳細な情報があればよいと思うのですが。このアンケートは極めて重要な意味があるということについては私もそのように思います。特にどういう設問内容かというところの詳細を知らないものですから、例えば3ページの資料では、表示の文字を大きくするためにどういう情報に絞ったらいいかということなのですけれども、実際にとても大事なことで、表示の大きな情報というのを何らかの形で伝えないと、超高齢社会の中で非常にお困りになる方が多いと思っています。例えばこういう質問がもし順番に並んでいて、このいずれかを選択してくださいという聞き方、例えば方法としてはウェブもありますし、説明書もありますし、容器包装上の表示もあります。あるいは提供しなくてもよいというものから丸をつけなさいとか、どの項目についてそのように絞り込んだらいいと思いますかということを同時に聞くと、質問が多過ぎて必ずしも現実的な答えが返ってこないのではないかという素朴な疑問を持ちました。

もう少し具体的に申し上げれば、例えば、最初の質問で、①あなたは表示について、最近、表示のどの部分を見ましたかと聞きます。そして、例えば、賞味期限を見ましたと答えた人に、これは、製品でチェックしたのだと思いますが、②表示が見やすかったかどうか。それから、③これがもしQRコードでウェブのほうに移った場合には、それでいいのかどうかというようなことを、丁寧に一つ一つ確認した方が良いと思います。この場合はサンプルが1万というわけにはいかないかもしれませんが、丁寧にヒアリングをするというようなやり方もあり得るのではないか。そうしないと実際に制度ができたときに抽象的なアンケートをした結果、この項目は10%多かったからということだけで単純に結論を出してしまうことになりはしないか。アンケートのやり方によっては、実際の利用者の現実の利用の場面とそぐわないケースが出てくるのではないかと懸念しています。

そういう意味ではこの部会は抽象的なものではなくて、現実の表示を考えているわけですから、一つ一つ丁寧に賞味期限についてはどうだろうか、添加物については例えば過去3カ月に添加物の表示を見ましたかとか、よく見ますかとかいうことを聞いて、その添加物の表示が見やすかったか見にくかったか、それから、これも同じようにウェブに移った場合にはどうなのか。ウェブの移り方にもよるのですが、ホームページのどこかに書いてありますというやり方なのか、それともどこかウェブの特定の場所に誘導する、すなわち製品からスマホを使えば特定の場所が開いて、そこで見えるようにするのかとか、方法も含めてぜひ少し丁寧な調査を、ある段階で、今すぐということではありませんが、した上で部会として判断していかないと、消費者の方々、特に超高齢社会の中で現実に、私自身も表示を見るのに苦労をしていますが、現実に表示を御覧になる多くの方々のニーズに沿ったものにならないおそれもある。そういう意味ではアンケートだけではなくて、少し専門の機関にそういったことを今、申し上げたような丁寧な、きめ細かな方法で調査をしていただいて、その結果も踏まえて議論をするというやり方もあるのかなと思っています。

○受田部会長 ありがとうございました。

きょう1回目として頭出しの議論を皆様と開始をしたと考えております。では、菅委員、お願いします。

○菅委員 先ほど私が出した疑問に対して部会長がお答えいただいたこととのつながりもありますし、論点出しにも関係しますが、今までのお話をお聞きしていて、食品表示をより充実させていくために表示がどうあるべきかということももちろんですけれども、それをより充実させるために必要な社会の仕組みや技術といったようなものも、こういうものがあればよいという点を議論することもできるのではないかと思いました。それぞれの論点の中で述べればよいのかもしれませんけれども、例えば実行可能性等でよく問題になるトレーサビリティー制度があるかないかといったことや、仮にICTを活用するといった場合にどの程度の仕組みがあれば、そういう形へのシフトができると考えるべきなのかといったようなこと、表示制度をより充実させる提案をすることが、あるべき環境の整備や構築を促すという面もあると思うので、そういう議論も中でできればいいなと思いました。

もう一つ、容器包装における表示の問題の今、御議論をお聞きしていて、例えばきょう手元にあるこの天然水ペットボトル上の表示は、この包材程度の大きさですけれども、この包材をどの程度広くペットボトルの外に巻くのかということも本来は選べるわけです。ですので、先ほどのアンケートの中で、どの食品のどの表示を見て不満に思ったのかや、どの程度の表示が見にくいあるいはわかりにくいと感じたのかというのは、おそらく回答された人それぞれかと思われますし、包装自体をどの程度の大きさや内容にすべきかという問題と実はかかわっているように思いますので、今後の議論において考えたいと思います。

○受田部会長 松永委員、お願いします。

○松永委員 表示項目が多過ぎて見づらいという話が消費者側からの視点ですけれども、私が取材している感覚では事業者が余りにも表示が多過ぎて、考慮しなくてはいけないことが増えてきて、なおかつ、今後、遺伝子組換えや添加物ということも表示改定が見込まれるということで、事業者が疲弊している。表示に振り回されて、どうしていいかよくわからなくなっているというような印象を持っています。そうやって事業者がいろいろな工夫をしてきちんと表示をしようとしているのですが、消費者側もそれを受けとめられない。多過ぎて判断できないという状況になっていて、どちらも今、不幸な状況にあるわけです。ですのでそれを解決する手段という点で、これから容器包装という縛りを外してのウェブでの表示、ウェブでの情報提供はきちんと整理しながら検討していくというのは、今のどちらも事業者側も消費者側も不幸な状況にあることを解決する、とても大きな手段であると考えています。

ウェブでの表示というのは、どうしても容器包装に書けないから出すという感覚になりがちなのですけれども、そうでもなくて、ウェブだからこそより充実した情報提供ができるという項目も当然あるのだと思います。例えば原料原産地表示ですと、産地を固定化できないというときに、では固定化できないのだったらもっと曖昧な容器包装にせざるを得ないという決断をするところが、ウェブでの表示に持っていくとより細かく、その時々の原料に応じて適正な、より個別対応に応じた産地表示ができるという形で、ウェブならではの特性、利点を持っている項目も当然ありますので、消費者の意向というエビデンスだけではなくて、そういうウェブを利用したよりよい表示という観点からも検討すべき事柄かなと考えています。

もう一つ、先ほど池戸先生おっしゃいましたけれども、結構ラベルのデザインというところはとても大事なところで、どうしても文字の大きさみたいなところに注目しますが、フォントを変えたりとか、行間を変えたりとか、そういうデザインで見え方はかなり大きく変わってきます。今、ユニバーサルデザインがどんどん進んできていますので、私のような素人はユニバーサルデザインの専門家の話も聞きたいなと思います。池戸先生も当然そういうことをお含みの上で御発言されたのだと思いますけれども、違う業種の方の御意見もお聞きして、今後の食品表示を考えたいと思います。

以上です。

○受田部会長 渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 今ウェブの話がいろいろ出ているのですけれども、ウェブを十分に使える事業者、先ほど読むほうの側で大分普及してきたという話があったのですが、今度、事業者側でどうかというふうに見たときに、当然、大きい企業でウェブをしっかり使いこなせる業者さんもいるのですけれども、実際に例えばうちの会員とかで、いまだにメールで連絡できない会員さんもいるのです。いまだにFAXでなければだめだというところもいますし、実際に製造しているときには社長さんも製造ラインに入っているので、ほかに誰も手がいないというような会社もあります。当然ウェブなんて持っていない会社もいっぱいありますし、だからウェブを使える人が使うのは別に構わないと思うのですけれども、この情報は必ずウェブで書きなさいと言われてしまうと、今、全然ホームページもなければ、あるいはホームページをやっとこさつくったけれども、見直すなんてとんでもなくて、1回つくったらそのまま終わりという会社もいっぱいあるのです。だからそこにタイムリーに情報を載せていくことができる会社というのは、本当に限られた会社だと思っていただきたいなと思っています。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

まだまだ御意見おありかと思うのですけれども、きょう予定しておりました時刻がまいりましたので、そろそろ議論を本日は終了させていただきたいと思います。

まずきょう食品表示に関する全体像について議論をしていきましょうということで、コーデックスのお話であったり、あるいは現状、食品表示自体が消費者にどういうふうに受けとめられているかという点を踏まえて、資料5にありましたように論点のたたき台を御紹介させていただきました。これまで御意見をいただいた中では、特に後半はウェブによる情報の提供によってさまざまな課題を解決できるのではないかという示唆を幾つかいただいたように思いますし、そういった新たな技術を活用していく方向性については、委員の皆様には一定その方向性をお認めいただいているのではないかと感じました。

一方で、そもそもこの食品表示自体を見直していく理由、背景の部分に関しては、どう変えていくべきかという点についても、これまでのさまざまな消費者に対するアンケート調査をもう一度しっかりと精査していき、より確度の高い根拠として、これをしっかり議論をしていくべきだという点を御意見として賜りました。

さらにその上で、非常に貴重な議論が一元化の検討会あるいはeコマースの表示の部分といいますか、ウェブ上の活用に関する検討会等で既に議論されていますので、これも改めて委員の皆様と共有する場を設けたいと思います。

最後に、松永委員からは、ユニバーサルデザインの専門家のお話も聞いてみてはどうかという御提案もいただきましたので、ぜひわかりやすい表示に資するようなツールとしての活用を視野に入れながら、こういう点についても事務局側で専門家を少し当たらせていただきたいと思います。

最後に、きょういただいた意見以外に、まだ委員の皆様から御発言いただけなかったところもあるのではないかと思いますので、あわせて本日欠席の委員もいらっしゃいますので、その委員の方も含めて事務局から問題意識に関して改めて照会をさせていただき、その意見をもう一度しっかり我々として受けとめるように考えてまいりたいと思います。

その上で次回、また専門的なお立場の方、あるいはこれまでの検討会の座長の皆様にスケジュールを勘案しながらお話をいただいて、さらに議論を深めていくという形で2回目を開催させていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、次回以降そのように進めてまいりたいと思います。

≪3.閉会≫

○受田部会長 それでは、本日の議事は以上となりますけれども、連絡事項等を事務局よりお願いいたします。

○坂田参事官 本日は長時間にわたり熱心な御議論をいただきまして、まことにありがとうございました。

次回は10月10日水曜日、14時30分からを予定しております。詳細は追って御連絡させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

以上でございます。

○受田部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

消費者庁においては先ほどもありましたけれども、個別表示事項としての遺伝子組換え表示制度について、諮問に向けた準備の真っ最中と伺っております。当委員会に諮問がまいりましたら、こちらを取り上げるスケジュールも考えないといけないと思っておりますけれども、改めてまた調整をさせていただきたいと存じます。

委員の皆さん、陪席の皆さん、傍聴いただきました皆様、大変お忙しい中お集まりをいただきまして、ありがとうございました。それでは、閉会させていただきます。

(以上)