第21回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2016年11月2日(水)13:58から16:07

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
井手座長代理、古賀委員、陶山委員、松村委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
蟹瀬委員、長田委員
【説明者】
国土交通省鶴田自動車局旅客課長
国土交通省笠井自動車局旅客課乗用運賃係長
一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長
一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会佐藤副会長
一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会太田広報委員長
一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官
消費者庁 澤井消費者調査課長

議事次第

  1. 開会
  2. 東京のタクシー運賃組替え案についてのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、委員がおそろいになりましたので、少々早いですけれども、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、「消費者委員会第21回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、古城座長、白山委員、山内委員が御欠席との御連絡をいただいております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第下部に配付資料一覧を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては、公開で行います。

議事録についても、後日、公開することといたします。

それでは、井手座長代理、以後の議事進行をよろしくお願いします。


≪2.東京のタクシー運賃組替え案についてのヒアリング≫

○井手座長代理 古城座長が所用で欠席ですので、私が代わりに議事進行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

本日の議題は「東京のタクシー運賃組替え案についてのヒアリング」です。

若干背景を述べますと、東京タクシーにつきましては、消費者庁に設置されております物価担当官会議の申合せにより、引上げを含む変更がある場合には、物価担当関係閣僚会議の了承が必要です。そういった公共料金という定義でございます。この度、消費者庁から、東京都特別区、武三地区のタクシー運賃の組替え案について、物価問題に関する関係閣僚会議に付議するに当たって、消費者委員会に意見を求めるということがございました。本件を審議するに当たり、今日、公共料金等専門調査会を開催することになりました。

審議を行うに当たりまして、関係省庁であります国土交通省及び参考人として一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会から、それぞれタクシー事業の現状及び今回の運賃組替え案について御説明を伺いたいということでヒアリングを実施することになりました。

それでは、時間も限られておりますので、国土交通省自動車局旅客課長の鶴田課長より御説明をお願いしたいと思います。20分程度でお願いいたします。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 国土交通省自動車局で旅客課長をしております、鶴田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元の資料1を御覧いただけますでしょうか。20分ということですので、要点をかいつまんで御説明申し上げます。

まず、3つに分けてございます。タクシーの運賃制度、タクシー事業の現状、それから、今回の運賃組替えとしてございます。

2ページ、1つ目の運賃制度ですけれども、これは規制緩和前後の制度の変遷を示してございます。いろいろな項目がありますけれども、主に上の2行、すなわち、台数規制です。それから、下から2行目の本日の話題の運賃・料金が大きく変更がございまして、平成14年に道路運送法という法律を改正して規制緩和がなされたわけですけれども、まず、上の2行である台数規制に関して申し上げますと、それ以前は、需給調整をしていた。地域で需要に見合った供給、すなわち、タクシーの台数がある場合にはそれ以上参入できないという制度でしたけれども、それが平成14年以降は、一定の安全等の基準を満たしたものであれば、参入なり増車ができると変わってございます。これが平成21年の特措法、その後議員立法で平成26年に改正された道路特措法によりまして、一定の供給過剰地域については、地域と期間を限って地域指定をしまして、そこでは需給調整を現在行っている。場合によっては、法律的に新規参入又は増車が禁止されるとなってございます。

それから、もう一点の大きな項目である運賃・料金につきましては、下から2行目のとおりですけれども、平成14年の規制緩和に先立ちまして、幅運賃というものを欄外に記載してございますが、平成9年から導入してございます。それ以前はいわゆる同一地域同一運賃ということで運用してまいりましたけれども、これを運賃の認可制という法制的な変化がない中で、認可基準として一定の幅にあるものは認可をすると平成9年から変わったところです。これがその幅の外側にあるもの、特に下限を割った水準の運賃について、平成9年から平成14年までは認めないという運用をしてございましたけれども、これを規制緩和のタイミングの平成14年からは、個別に審査をして認可をするというように変わってございます。これは一番右側の平成26年からの現行の特措法では、一定の地域指定された場所では、下限割れの運賃は国による変更命令の対象と制度が変わってございます。

3ページ、これが今、申しました、現在の特措法の関係規定です。左側にございますように、太字のところを御覧いただきますと、まず、国土交通大臣が各地域の協議会の意見を聞いて、運賃の範囲を指定する。実際には運輸局長が公示する形で範囲を指定してございます。

その上で、右側を御覧いただきますと、16条の4にありますように、タクシー事業者は旅客の運賃を定めて、これをあらかじめ国土交通大臣に届け出ることになっております。2項にございますように、この運賃は、先ほど左で申しました国があらかじめ指定した運賃の範囲内で定めなければならない。3項は、その範囲外のものについては、国が事業者に対して期間を定めて運賃を変更すべきことを命ずることができると規定されてございます。

4ページ、では、その運賃幅はどう決めるのかということですけれども、これは、まず上の段にございますように、総括原価方式という考え方によっております。すなわち、タクシー事業の経営に必要な人件費、燃料費等を積算して、これに適正利潤を加えて、これを総括原価として、これと総収入が等しくなるように水準を決定するということでございます。

その考えのもとで幅を設定するわけでございますので、上限、下限をどう設定するのかが下の段でございます。まず、上限につきましては、全国98ブロックの運賃ブロックを設定して、その上で標準的な経営状況にあると考えられる事業者、これは原価計算対象事業者と言っておりますけれども、これを基礎として、そのコストを基礎として平均原価を算出する。これをベースとしてございます。

一方、下限運賃につきましては、その標準的な事業者の中でも、特に効率的な経営を行った場合でも、つまり、コストを下げた上でも収支が償う水準という考え方で設定しております。具体的には、各コストの要素ごとに事業者ごとの差異を認めるものと認めないものと分類をしまして、例えば営業努力で燃料代が安くなるとか、車両費が安くなるとか、役員の報酬をカットするとか、そういうものは特に低コストでやっている方の数値を採用して、一方でドライバーの人件費ですとか、車両修繕費、保険料といったものについては、先ほどの上限運賃と同じ数値を採用して計算をする。そういった考えで下限を設定してございます。

5ページ、先ほど申しました全国98の運賃ブロックの一覧です。98ですので、おおむね都道府県の数の倍ぐらい、東京で申しますと、今回の議題でございます23区、武三のほかに多摩という地域がございます。

次に、タクシー事業の現状について御説明申し上げます。

7ページ、この10年間のモード別の旅客数の推移でございます。このピンク色でずっと下がり続けているのがタクシーでございまして、10年間で3割以上お客さんが減っている。一方で、黄色い鉄道のように伸びているモード、それから、緑の国内航空は、東日本大震災の年に底になりましたけれども、その後、翌年からLCCが就航し始めて回復している。タクシーと類似と思われるバスについても、ほぼ横ばいで最近は微増している。そういう中で、利用者のタクシー離れが下げ止まっていない状況にございます。

8ページ、こういった現状も踏まえまして、政府として観光ビジョンを策定してございますが、その中にもタクシーの位置付けをしてございます。これは今年の3月30日に総理が議長の明日の日本を支える観光ビジョン構想会議で、訪日外国人の人数が今、2,000万人ほどですけれども、これは2020年に4,000万人、2030年に6,000万人にする。そういった数値目標等も盛り込んだビジョンですけれども、この中で、東京23区のタクシー初乗り運賃の引下げということを盛り込んでおります。これは来年度初めに実施を目指すとありますが、当時は消費税の税率を上げるのがこの時期ということで、それに合わせてという想定でしたが、その後、10%が延期という方針が発表されておりますので、現在においては、今回の運賃の組替えはできるだけ早くという希望を持っておるところでございます。

9ページ、これは行政と利用者、学識経験者、事業者、労働組合、そういった主体が自分たち自身、又は外から見てタクシーはどう変わっていくべきかという議論をした結果をまとめたものでございます。今年の4月に発表しておりまして、それに先立って、1年余り議論を重ねてまいりました。

幾つか具体策を盛り込んでおりますけれども、その中でも、「2.サービスの向上」の(2)にありますように、初乗り運賃の短縮・引下げの実施ということ、これは先ほど申し上げたお客さんが3割減っている中で、タクシー自身がどうやって自己改革していくのかという中に盛り込んでいるところでございます。

10ページ、東京の実績でございます。前回運賃改定がございました平成19年度からの推移を示してございますが、この黄色が運送収入ですけれども、それから、実車率、その辺を御覧いただきますと、一旦平成19年度からしばらくリーマンショックも経て下がっておりました。その後、増加に転じていますけれども、なお、前回の運賃改定のときの水準には達していないということでございます。

11ページ、タクシードライバーと全産業の労働者との比較ということで、左から順に申しますと、全て点線が全産業で、実線がタクシーです。左から申しますと、タクシードライバーは平均よりも長時間働いて、所得が低くて、年齢が高いということが御覧いただけるかと思います。

12ページ、東京のタクシーの収支の状況でございます。これは収入と通常の運賃改定の手続をした場合と仮定をして、その場合、平成29年度の値を出して、そこで収支相償うようにということをいたしますので、それと類似の試算をしたものでございます。これから後ほど各項目の考え方を御説明しますけれども、この試算の結果で申しますと、右下にございますように、平成29年度で収支が均衡するようにと定める場合には、東京の運賃が11.46%値上げになるということでございます。

13ページ、これはいろいろな項目ごとに査定をしていくわけですけれども、その考え方をお示ししたものでございます。まず、原価計算対象事業者を選定する。これは右にありますように、非効率な経営を行う事業者を排除する。一定の効率性を持って経営している事業者を様々な要素から選び出して、それを比較の対象にするということでございます。

その上で、まず、順番に計算してまいりますけれども、実車走行キロ、これは過去5年間のトレンドで推計する。右側にございますように、運送収入の算定の基礎になります。

ここから、次に総走行キロを求めるために、実車走行キロを実車率で割っておりますけれども、これは点線の中に記載してございますように、実績年度、つまり平成27年度の数値を使うか、又は過去5年間の平均を使う。そのいずれか、実車率の高いほうを使う。または実際に過去5年のほうが上回っている場合は足して2で割った数字を使う。つまり、直近の値よりもいい効率的な経営がなされるというような計算をして、総走行キロを求める。つまり、無駄に走らないという総走行キロを抑える値がこれで求められて、それをベースにして燃料代ですとか、車両の修繕費という距離に比例するコストを算定してございます。次に、この総走行キロを実働日車走行キロで割ることで延べ実働車両数を求めます。これをベースにしまして、人件費を算定する。その算定の考え方はそこに記載のとおりです。

さらに、この延べ実働車両数を実働率で割りますけれども、この実働率は8割とか9割というものですが、それをそのまま使うのではなくて、実績、すなわち平成27年度の数値と95%という相当車が稼働している状態を足して2で割った数で割る。これで延べの実在車両数が求められまして、例えばずっと毎日1万台が1年間あるとすると365万台、延べの台数はそうなりますけれども、これを365で割って、年間で言うと平均何台あるのだという値を求めまして、これをベースにして車両の償却費等を求めてございます。

一番下は適正利潤ですけれども、これは右にございますように、自己資本の1割、税引き前の1割ということで、各事業者の値を計算して、それを足し上げたものでございます。そういった効率性の指標も入れたような査定の仕方をして試算をしたところ、その前のページにございましたように、11%の値上げになるというものでございます。

14ページ、これを更に前回の運賃改定前後の各指標と現在を比較するということです。比較をするために、実数でそのまま比べるとタクシーの市場が当時よりも利用者数が3割減っているということですので、単位化するということで、総走行キロ当たりの数値を記載しております。これで申しますと、例えば1行目の人件費ですけれども、これが前回の運賃改定の申請時の実績というものから、運賃改定直後の平成20年度で若干下がっておりますけれども、その後、現在の直近では少し上がっている。それから、燃料油脂費、これは前回の改定後から現在も上がっている。これはここにデータを付けておりませんが、最近原油安がこの一、二年の現象でありますけれども、もう少し長いトレンドで見ると、それに沿ったようなものになっているかと思います。そういったような比較をできるようにということで、この資料をお付けいたしました。

続きまして、今回の運賃組替えについてです。

16ページ、左下のグラフにありますように、まず国際水準ということで、これは増加する訪日外国人のニーズに応えるということです。これは黄色が東京の現行で、赤が今回の組替え案ですけれども、これが実現すると、ロンドンやニューヨークと同程度ということになろうかと思います。

右下のグラフは、東京都の人口の年齢別の推移ですが、これは全国よりも高齢化の率は低いとは言いながらも、東京でもこれぐらいの規模で高齢の方が増えていく。そういった方を初めとする短距離移動の需要の喚起を図りたいということでございます。

17ページ、こういった考え方に基づいて、今年の4月以降、東京のタクシー事業者から申請がなされてきまして、申請率は左の真ん中にありますように、8割以上の事業者の方から申請がございます。

右側のグラフにございますように、初乗りの水準、それから、4キロ、これは東京の平均乗車距離で見ると同じぐらいで、8キロになってくると、赤い線の申請額のほうが3,000円弱のところで100円高いということになってございます。考え方は下にございますように、全体の運送収入が前後で変わらないということで、近距離の利用者の分が、収入が減収して、その分が長距離の利用者による増収分ということです。ただ、いずれにしても、現在の運送収入を上回らないという考え方で申請がなされております。

18ページ、これを我々が査定の案として検討しておりまして、これはタクシーメーターの関係で、運賃は10円刻み、加算運賃も10円刻みということがございますので、その中で、先ほど申し上げたような運送収入が変わらなくて、かつ今より上回らないものを実現する。2キロで730円というところも今と変わらないようにということで、なるべくその考え方に合致するような計算をした結果が、この18ページの表でございます。

19ページ、これでもって運送収入がどうなるのかを計算しますと、東京から運行データ、900万トリップぐらいのデータを抽出してございまして、それに当てはめていきますと、現在の総収入の99.96%ということでございます。これは上の段にございますように、運行回数が前後で変わらないものです。

20ページ、需要の価格弾力性を考慮したらどうなるのかという検証をしました。弾力性として内閣府の過去の調査も参考にして、0.7と1.0で試算をしております。これはそれぞれ900万トリップのデータに当てはめて、需要を増減させて収入をはじきますと、運送回数は、近距離で増えて、長距離で減る分、全部でならすと、需要は3%から4%増える。一方、運送収入は99%台で現在より増えないということで、先ほどの19ページのやり方は、ある意味簡易な査定ができるようにということでやっておりますけれども、それと矛盾しない結果が得られたかと思っております。

21ページ、この8月、9月に行った実証実験でございます。6週間で都内の4か所で実施をしまして、アンケートを実施しました。

22ページ、その結果ですけれども、非常に多くの回答をいただきまして、日本人からは1万人以上、外国人は167人ということで、その方々の答えは、左のグラフの一番下を御覧いただきますと、日本人の6割が410円になったら利用回数が増えると回答されておりまして、具体的には、下の表にありますように、今は月に4.8回乗っているけれども、これが平均しますと2.2回増えるということで、月7回になるという回答です。

右側の外国人は、約8割が410円という値段は安い、又は適当だという回答をいただいています。

23ページ、最後、これは御参考として、実証実験で実際にどういう距離帯の人が今後の利用動向についてどういう答えをしたのかというクロスの分析は1万の回答の分析が、そこはひも付いていない状況ですけれども、実際に幾らのお客さんがどれだけ乗られたのかを示してございます。

一番左の650円までというのは、今の730円より低い額を払って降りた人が5割弱いらっしゃいます。そのずっと右のところは御覧の分布ですけれども、一番右の2,330円以降は、今の運賃よりも高くなるという距離帯ですが、そういうお客さんは5.6%おられて、その間の方々は距離によって10円高かったり低かったりするという現在と同水準のお客さんです。これは実証実験ですので、近距離に若干バイアスがかかっている可能性がありますので、平成27年度全体の実績で見てみますと、この730円よりも安くなるお客さんが2割強いらっしゃって、現在と同程度という方が半分強、一番右の今より高くなる方が2割弱という分布になっております。

少し長くなりましたが、以上でございます。

○井手座長代理 ありがとうございました。

御質問等は、次の東京ハイヤー・タクシー協会からの説明を受けて、討議に入りたいと思います。

それでは、国土交通省様、どうもありがとうございました。

続きまして、本日参考人として出席していただいております、東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長から御説明をお願いしたいと思います。

それでは、30分程度でお願いしたいと思います。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 皆様、いつもハイヤー・タクシー、日々の公共交通として、大変お世話になっております。東京のハイヤー・タクシー協会の会長をやっております、川鍋と申します。よろしくお願いいたします。

まずは大変遅れまして、誠に申し訳ありません。それから、本日説明を3パートに分けさせていただいておりまして、最初のパートを、こちらの広報委員長の太田より説明をさせていただきます。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会太田広報委員長 広報委員長の太田でございます。

まず、私からはお手元の資料2、こちらの前段でタクシー業界の現状についての御説明をさせていただきます。資料といたしましては、お手元の参考資料の「東京のタクシー」、こちらから主なものを抜粋したものを載せております。

それでは、お手元の資料2に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

2ページ、目次の下でございます。「東京オリンピック・パラリンピックに向けて」ということで、オリンピック・パラリンピックに向けての各種取組、これが2ページから5ページにかけて説明がございます。

冒頭、今回のテーマでございます、初乗り距離短縮運賃取組の目的が書かれております。こちらなのですが、後ほど別の者より詳しく御説明はさせていただきますので、私からはこちらの資料に基づきまして、概略のみ御説明させていただきます。

先ほど鶴田課長のお話にもありましたとおり、東京のタクシー運賃というのは、国際比較で見た場合、全体としては決して高くはございません。ですが、初乗りの距離が2キロと設定されていた関係で、そこに比例して運賃も730円と、正直申し上げまして、ニューヨークやロンドンの大体400円前後の初乗りと比べますと高いということは確かにございました。ですから、今回、この初乗りの距離を短くいたしまして、運賃を400円台に下げるということで、現在の顧客の利便性の向上、さらには、新規需要の創出、そういったものを目指しております。

新規需要の創出に関しましては、こちらの資料にもありますとおり、御年配の方、また、外国人観光客の方、また、こちらの資料にはございませんが、子育て世代の方にも積極的に御利用いただきたい。そういった目的で、こちらの初乗り距離短縮運賃に取り組むことになりました。

向かって右側のページでは、ユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーについての紹介がございます。こちらは車椅子のまま御乗車いただけるタクシーでございます。身体障害者の方や高齢の方に御利用いただけるタクシーで、2020年までに1万台の導入を目指しております。また、このユニバーサルデザインタクシーに乗務するユニバーサルドライバーの育成も進めておりまして、2020年までには3万5,000人、約半数の乗務員がユニバーサルドライバーとして認定されるように、現在積極的に教育を進めているところであります。

3ページ、こちらではオリンピック・パラリンピック開催までに外国語による観光タクシードライバーの育成を目指している旨の説明がございます。TSTiE(タスティー)と呼ばれる制度でございまして、こちらはお手元の資料の真ん中にステップ1、2、3、4とありますが、まずステップの1、2の段階で、日本語による観光タクシードライバーであることが求められます。更にそこから、TOEIC600点程度、比較的高スコアの英語スキルを持っていること。そして、観光英語対応ドライバー認定プログラムに合格すること。こういったハードルをクリアして乗務員が晴れてTSTiEドライバーとして認定されまして、外国語、英語による観光ガイドを行うものでございます。こちらは2020年までに300人の養成を目指しております。

向かって隣の右側のページでは、こちらは観光ガイドではなく、一般のタクシードライバーの英語対応の教育についての記述でございます。「外国語対応タクシー(ホスピタリティタクシー)の運行」と書かれております。こちらは東京タクシーセンターと一緒に教育を行いまして、こちらも2020年までに8,000人のドライバーが、英語によるタクシーの乗務が可能になるように教育を進めているところでございます。

4ページ、こちらは、スマホによるアプリの配車についての記述でございます。こちらはスマートフォンアプリによる配車「スマホ de タッくん」と呼ばれるアプリがございまして、現在都内のタクシーの約4割、1万2,000台以上のタクシーが対応可能になっております。

また、その隣では各無線グループのデジタル化、IT化を推進して、無線配車効率の向上に努めていることが書かれております。従前のアナログ無線からデジタル無線に移行することによりまして、更なる配車効率の向上を目指しているところでございます。お手元の資料、グラフにありますとおり、無線配車回数、これは近年、伸びてきております。また、お客様のスピーディーな支払が可能になるクレジットカードの導入が全体の9割以上、また、Suicaなどの電子マネーの導入は全体の6割以上で進んでいるところでございます。

5ページ、定額タクシーの運行について紹介をさせていただいております。羽田空港、成田空港、東京ディズニーリゾート、この3エリアで都内からの定額タクシーを運行しております。具体的には、メーターより1割から3割程度安く、そして、混雑等による値上がりの心配のない定額運賃ということにさせていただいております。実は、ロンドンは空港から都心エリアへの定額タクシーの運行がございません。ニューヨークは空港からこの中心エリアの定額タクシーは運行されているようなのですが、東京の定額タクシーもほぼニューヨークと同じ水準での運賃で運行をさせていただいております。

また、その隣では「東京のタクシーサービスは世界一」と書かれておりますが、これは有名な東京オリンピック・パラリンピックの招致の際の滝川クリステルさんのプレゼンに、東京のタクシーは世界一というプレゼンがありました。これは、実はトリップアドバイザーという外国人旅行者による口コミサイト、ここの旅行者による世界の都市調査、これによって東京のタクシーが非常に高い評価を受けた。これを受けての、滝川クリステルさんのプレゼンでございました。

また、先日は小池都知事が、外国特派員協会の会見で、東京の安全に関するお話のときに、タクシーで忘れ物をしても戻ってくるという話をされておりました。このように、東京のタクシーは、東京の安全・安心を測るベンチマークの一つと言ってもいいかもしれません。

6ページ、先ほど鶴田課長からお話がございました、タクシー乗務員の高齢化、こういったところの取組でございます。現在、タクシー乗務員の平均年齢は58.6歳とここにはございます。このように、非常に高齢化が進んでいるというところ、また、一般のユーザーの方のイメージとしても、タクシー乗務員といえば、比較的高齢で、男性が多いイメージがあるかもしれません。ここを業界としては具体的には新卒者、大卒や専門学校、こういったところを卒業した若者を積極的に取り入れることによって、新陳代謝を図っております。お手元の資料、新卒ドライバー採用人数のところにありますとおり、新卒ドライバーの数、280名と全体から見ればまだまだ少ない数ではあるのですが、非常に伸びてきているところでございます。

また、向かって右側の下のグラフでございます。こちらには女性乗務員の数が伸びていることも書かれております。こちらは育児や家事、こういったものと両立できる勤務体系の整備などを進めて、また、事業所の設備なども女性向けのものをどんどん取り入れて、女性乗務員を増やしているところでございます。

7ページ、安全対策でございます。向かって左側上のグラフ、これはタクシーによる人身事故の件数でございます。このグラフを見ていただければ分かりますとおり、件数としては減ってきております。ただ、残念なことにタクシーによる事故はまだまだございます。究極の目標といたしましては、タクシーの事故ゼロだと思うのですが、そのゼロに向けてどういった施策をしているのかについての紹介がございます。

まず、ドライブレコーダーの導入でございます。これは法人タクシーの97.9%で進んでおります。ドライブレコーダーは実際に事故のときの証拠画像にもなるのですが、それに併せてこの事故の映像、また、事故には至らなかったのですが、冷やりとしたいわゆるヒヤリ・ハットの画像、こういったものを使っての乗務員教育にも活用されております。

また、各事業所においては、各交通安全運動、セーフティドライバー・コンテスト等を通じまして、事故防止に積極的に取り組んでおります。

また、独立行政法人自動車事故対策機構と協働いたしまして、乗務員教育、また、自動車事故の被害者支援等にも積極的に取り組んでいる旨、ここで紹介がされております。

8ページ、ここからはタクシーサービスの向上について説明がございます。まず、陣痛タクシー、これは無線グループによっては別の呼び方もございます。マタニティ・タクシーとか、そういった名前でもあります。こちらは事前に妊産婦の方に御登録いただくことで、24時間365日、いざというときに素早く産院、病院へ向かうことができるサービスでございます。2012年にサービスを開始いたしまして、2年余りで都内タクシーの1万5,000台、また、都内の妊婦の方の約7割の方に御登録をいただいているものでございます。

その下にはキッズタクシー、子育てタクシーの説明がございます。こちらは通学、通園、通塾といった、お子様が通われる際にタクシーを御利用いただけるサービスでございます。顔なじみの乗務員により、また、料金も後払いということで、お子様単独での利用が可能になるサービスでございます。

9ページ、観光タクシードライバー、先ほど外国語による観光タクシードライバーの説明でもありましたが、こちらは日本語による観光タクシードライバーの紹介でございます。こちらは東京シティガイド検定、ユニバーサルドライバー研修等を受けまして、その後、専門の研修を受けたドライバーが晴れて認定されるものでございます。一般ドライバーよりも高い観光スキルを持って、充実した観光タクシーの御旅行を楽しめるサービスでございます。こちらは2020年までに3,000人の観光タクシードライバーの養成を目指しております。観光タクシードライバーといたしましては、単に観光案内だけではなく、カメラマンやヘルパーをこなす、そういったマルチプレーヤーとなることを目指しております。

また、近年では長距離東京観光タクシーという説明がございますが、いわゆる東京を起点とした富士山など、比較的遠隔地の観光タクシーの運行を開始しております。

10ページ、こちらは東京ハイヤー・タクシー協会の広報活動について説明がございます。

その隣でございますが、こちらは各種割引制度・サービスでございます。具体的に申し上げますと、障害者割引制度、これは身体障害者の方に加え、知的障害の方に対してもメーター表示額の10%の割引を行っている。また、点字シールの表示、遠距離割引制度、禁煙タクシー制度などについての説明がございます。

11ページ、私のパートは最後になります。こちらは「(公財)東京タクシーセンターと連携し、一層のサービス向上に努めます」というところでございます。先ほど、東京のタクシーは世界一という評価をいただきましたが、その世界一の評価を維持するために、また、更に向上するためにも、タクシーセンターと協力いたしまして、苦情の対応、また、乗務員教育に取り組んでいるというところが書かれております。

また、タクシーの評価制度も積極的に導入されておりまして、いわゆる不良事業者は振り落とされる仕組みにもなってきております。

以上が、私からのタクシーの現状についての説明でございました。どうもありがとうございます。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 続きまして、今回のテーマであります初乗り距離短縮運賃について、その背景、概要、そして、利用者への御説明、御意見等について、経営担当の西澤委員長より御説明差し上げます。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 経営委員長を仰せつかっております、西澤でございます。よろしくお願いいたします。

12ページ、初乗り距離短縮運賃を申請した背景と期待される効果でございます。先ほど来、鶴田課長からもありましたように、また、太田委員長からもありましたように、我々のお客様の数は年々下がってきている。先ほど太田から御説明がありましたように、いろいろなサービスで我々も努力してきているところではありますけれども、30%下がっているというような数字も先ほど出ておりました。そのような中で、このグラフのように今までの我々のコアなユーザーでございましたビジネスの需要というものが、御覧のとおり生産年齢人口としてどんどんこれから減っていく。それに対しまして、高齢者の数は上がっていくというところで、ここに我々は目を向けなければいけないというところでございます。今後、増加する高齢者の近距離移動ニーズに対応するための運賃設計が必要なのではないだろうかというところでございます。それを見据えまして、3年ほど前から初乗り距離短縮を研究してまいったところでございます。

13ページ、これは2キロまでのお客様がどれだけいたかというところでございますけれども、実際のデータをとらせていただきました。平成26年の10月1日から、平成27年の3月31日までの半年間です。都内の事業者2,667台の車のデジタルタコグラフのデータを使いまして、総数が887万件のデータを用いた数字でございます。その887万回の初乗りまでの距離を点にしていったグラフでございますが、これによりまして、今まで2キロで730円という運賃設定の中で、初乗り利用者の平均乗車距離、これが1.4キロメートルでございました。初乗り距離1.4キロを下回る運賃に今回組替えることによりまして、距離に応じた適切な運賃を適用し、お客様の公平性を図るというところを期待しているところでございます。

14ページ、先ほど来、出ております観光立国、2020年に向けまして、オリパラの対応として、初乗り距離が諸外国に比べ長い分、東京の運賃が高く見えてしまっていると思われております。2020年を見据えまして、グローバルスタンダードへの対応が急がれているところでございます。訪日外国人の移動利便性の向上の一環となり得るのではないだろうかというところで、初乗り距離を短くする効果として考えられます。

以下の表は、先ほど来出てきておりますが、ニューヨーク、ロンドンと東京の現行、東京の実験、8月、9月に行いました実証実験でのデータになっております。

15ページ、ウーバー、リフトに代表されるような、ライドシェアが今、問題視されております。世界各国でウーバー、リフトが走り始めている、拡大しているところではあります。我々の業界としては、真ん中にありますように、ライドシェアの問題点、乗客が事故等の危険にさらされているのではないか、事故が起きたときの補償がないのではないか、旅客を勝手に選定できるのではないか、社会保険料や税金を払わないライドシェアの運転手ばかりではないかという問題点があり、これらに対抗するために、私どももアプリの導入であったり、今回このように初乗り距離を下げて、お客様の利便性を向上し、また、後に出てきます活性化策をこれからも進めていって、ライドシェアに対して対抗していかなければならないということがございます。

16ページ、これも先ほど申しました887万回のデータの数字でございます。その887万回の中で、初乗り回数は何%かというと、赤いところでございます。27%が初乗りのお客様でございました。それに対して、営業収入は右の円グラフになります。初乗りのお客様の営業収入は11.3%というところでございます。

17ページ、前提条件というところです。初乗り距離をどれぐらいに設定すればいいのかというところの前提条件で3つ考えさせていただきました。

組替え後の運賃と現行運賃の運送収入を同等とする旨の通達、組替え後の運賃が2キロメートル時点で、現行運賃の730円を超えないという旨の通達、先ほど申しましたように、初乗り利用者の平均乗車距離は1.4キロ、これによりまして、いろいろシミュレーションした結果、初乗りは410円、事後は80円が妥当なのではないだろうかというところでございます。

18ページ、410円、事後80円を実証実験の距離で現行と比較したところでございます。730円、410円と始まりまして、平均乗車距離1.4キロのところでは730円を下回っております。2キロの時点では730円、同じ料金になっておるというところです。1回当たりの平均乗車距離4.1キロ、その辺までは現行90円の事後運賃と、初乗り距離を行った場合の事後80円、この差によりまして、現行より高かったり安かったりをずっと繰り返すというところになっております。

19ページ、4月から7月まで我々が3か月間申請をしたわけですけれども、先ほどありましたように、85%ぐらいの申請がありまして、国交省さんで、今、審査に入っているところでございます。これは実証実験等もありましたおかげで、マスコミ等々には流させていただいたわけですが、実際の御利用者にも説明をしなければいけない、広報をしなければいけないというところでございまして、我々はこのような申請を出しましたということを9月15日に、出席者としては消費者団体4団体の皆様、利用者としまして、4社ばかりお呼びしまして、我々のほうで申請の内容、または、今お話ししました背景等々を御説明させていただきました。

その中で、消費者、利用者から出ました御意見は、タクシーを利用するのは、深夜、荷物が多いとき、雨の日などのときです。今回のように初乗り運賃が下がることは非常に乗りやすくなると思います。

また、それとは逆に、短距離利用者が増えた場合、サービスの低下が心配なので、教育をしっかりしてくださいという御意見もありました。

それから、利用者代表の中で、就職活動の学生へのサービスをしており、学生の観点でヒアリングすると、料金の高さで乗らないという実態があります。タクシーの便利さが、今回の初乗り運賃が下がるということで、若い人たちに伝わってくれればいいですねという御意見もいただきました。

それから、その他利用者への説明会といたしまして、8月12日から8月25日、書面開催ではありますけれども、特定地域協議会を開かせていただいております。

以上が今回の初乗り距離短縮運賃についての御説明でございます。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 続きまして、私から、それ以外のタクシー業界からの活性化の取組を御説明させていただきます。

今の初乗り距離短縮に関しましては、長らくタクシー業界自体が東京で始まりまして、現在、105年目を迎えております。運賃は最初の運賃からずっと右肩上がりで来た長い歴史がございまして、このままでいいのかという思いをずっと我々事業者としても抱きながらも、なかなかそこを変革する勇気がなかった状況でございました。

ただ、オリンピック・パラリンピックが決まり、そして、全体的なタクシーの需要が長期的に低下傾向である。その中で、人口構成も少子高齢化が進む中で、初乗りが少し高過ぎるのではなかろうかという思いに至って、少子高齢化、そして、観光立国という大きな流れに向けて、業界として手を打っていこうという流れの第1弾と言えるのではないかと考えております。

そちらのほうは後ほど御審議いただきたいですが、それ以外も時代の流れはかなり我々の先輩タクシー経営者の時代と変わっておりまして、特にスマートフォンを初めとした情報通信技術の発展が、このアプリケーションで呼ぶことを可能にしておりまして、それらに対した我々の取組をこれから御紹介させていただきたいと思います。

20ページ、相乗り運賃、我々はタクシーシェアと呼んでおります。1台のタクシーを何人かで、最初から最後まで一緒に乗ったり、途中で乗ってきたりという形で共有するというアイデアでございます。今まではタクシーのメーターに依存する形ですと、なかなかこういったものが実施しづらいところもございましたけれども、新しいスマートフォンアプリケーションができたことによって、こうした柔軟な複雑な計算、それから、お客様の運送申込み、こういったものが可能になったことによりまして、特に空港への相乗りですとか、若しくは通勤時間帯という需要のピーク時によって、台数がある程度限られておりますので、同じ方向に行く方をお乗せするですとか、若しくは、雨が降りますと、若しくは台風が来るとき、雪のとき、こういった天候によって非常に需要がピーク時に上がりますので、そういったときはできるだけ限られた台数を共有したほうがいいのではないか。このような形からこうした運賃ができるのではないかということを現在国土交通省の皆様と一緒に検討しておる最中でございます。

続きまして、20ページの右側、こちらは事前確定運賃、どうしてもタクシーは降りてみないと幾らかかるのか分からない。いつもの道でも、どうしてもちょっとずつメーターが違ったりしております。これはその道路状況が混んでいたり、すいていたりという状況の変化に応じてでございますけれども、これが消費者のアンケートからもどうしても分かりづらいから乗りにくいということを常々我々はいただいておりました。それに対しまして、運行データを精緻に分析することによって、大体通常であればこのぐらいの料金でいくというものをある程度決めさせていただいて、そこで運賃を合意させていただく形により、突発的な事故もしくは渋滞によって運賃が上がるのを防ぐ効果がありますし、必ずしも、それで時間がかかって高くなるよりは安くなるという値下げ効果のみならず、事前に分かることによる安心感、事前に分かりことによって様々な電車とのパッケージツアーに組み込んだりといった新しい形でのタクシーの利用といったものを喚起できるのではないかと考えております。

21ページ、定額運賃(乗り放題)タクシー、これも新しい取組として検討の俎上(そじょう)に載せております。対象の方、若しくはエリア、時間帯を限定した形で、その区間、その時間、その対象者に限っては乗り放題というものを目指しておりまして、一部地方で開始しておりますが、例えば高齢の方がいつも行かれる病院、そして、いつも買物に行くスーパー、自宅と病院とスーパーという3点の間であれば、1か月何回乗ってもいいということで、運賃を設定させていただいて運行させていただいております。これをそういった地方での高齢者の足のみならず、子育て世代の足、もしくは東京であればビジネスマンの足としても応用可能かと考えておりまして、検討を進めております。

その右側、ユニバーサルデザインタクシー、これは先ほど説明もございましたが、特にトヨタ自動車様が、新しいタクシー専用設計の車両を来年10月に発売予定でございます。この車がこの右側の黒い車両のほう、ミニバンタイプのようなロンドンのような車両でございまして、ユニバーサルデザインということで、車椅子の方もそのままお乗りいただけるような設計になっております。かつ、大きなワゴン型になりますので、荷物も多く載って、若しくはチャイルドシートも乗る。どうせ一人の人間が運転するのであれば、車両はある程度大きいほうが利便性、万能性が高まるわけでございまして、これまで日本は歴史上の背景からずっとセダンで来ておったのですけれども、これを、オリンピック・パラリンピックを見据えて積極的に導入していこうと。こちらはトヨタ自動車の新しい車両の発売に合わせて、東京都からも御予算をいただきながら、2020年のオリンピック・パラリンピックまでには、都内の3台に1台はこういったワゴン車両にすべく、協会は全力で取り組んでおる次第でございます。

22ページ、車両が大きくなるに従いまして、それらを広告の媒体として利用できないかという検討も我々はしております。諸外国もしくは東京でも、都バスで車体のラッピング広告というものがございまして、もちろんバスよりも生活道路に入り込むといった観点から、広告の内容についてはいろいろ検討する必要があると思いますけれども、一つ、こういった車体が大きくなったものをある程度物事を告知する媒体として活用できないかということも、我々は検討しております。

さらに右側、第2種免許の緩和、これは現在タクシー運転手になるには、皆様もお持ちだと思いますが、1種免許、普通の免許に追加して約40時間のトレーニングをさせていただいて、2種免許をいただいております。ただし、例えば女性の方がタクシーを職業として選ぶ場合、若しくは若い方が選ぶ場合に、2種免許がハードルとなるケースが増えてきております。同時に、2種免許で担保すべき運行の安全性が、運転者のみならず、自動車の装備によってその安全性の担保ができるようになりつつあります。例えば昨今、スバルの車についておるようなアイサイトと呼ばれるような衝突防止若しくは軽減ブレーキ、若しくは最近日産のセレナで発売されたレーンキーピング、レーンを維持するような装置、さらには、駐車のとめる場所まで最後自動で入るというパーキングアシスト、こういった技術を活用することによって、運転者の安全に対する担保をする責任ないし負担は少しずつ下がってくるのではないかと考えております。

したがいまして、こうしたICTを活用した場面に限っては少しずつ年齢を、現在は21歳となっておる最低の年齢制限を19歳までもう少し下げていただく。もしくは1種免許を取ってから最低でも3年たたないと取得できないという取得年限を1年にしていただくということが可能ではないかと考え、こちらも検討しておる最中でございます。

23ページ、訪日外国人等の富裕層の需要に対応するためのサービスと称しまして、先ほどワゴン型の車両を3台に1台入れるというお話がございました。さらに、高級な車両もタクシーとして導入するべく努力をしております。特に、訪日外国人の間には相当なる富裕層の方も多く来日されておりまして、普通のタクシーではない、どちらかというとハイヤーに近い車両を求められるケースが近年とみに増えております。こうした車両、トヨタで言えば、例えばアルファードという車両、日産で言えばエルグランドという車両と、ある程度の車格以上になりますが、こういったハイグレード車両に、特に語学にたけた乗務員を選抜して乗せて、なおかつ車内でWi-Fi環境を整備する等、特に海外の富裕層に的を絞ったような商品の開発もできるのではないかということで、取組を進めておる最中でございます。

最後に、その右側でございますけれども、他方で過疎地の高齢者、若しくは子育て層の足が近年不足する事態に直面しております。そういったものに関しては、我々もICTを活用しない中でも、こういったワゴン型の車両を用いて相乗りでこういった主にデマンドタクシーと呼ばれるような、タクシーとバスの中間形態をそれぞれの地方自治体と模索しておりまして、こういった形態の運行は全国で4,000弱のルートを運行しております。なかなか我々もアピールが不足しておりまして、目立ってはおりませんけれども、地方の過疎地における足として、タクシーも様々な形態を用いて運行責任を果たすべく努力しておる次第でございます。

以上、タクシー業界の新たな取組について御説明させていただきました。ありがとうございました。

○井手座長代理 ありがとうございました。

ただいま2つの御説明がございましたけれども、これについて御質問、御意見等がございましたら、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

矢野委員、お願いいたします。

○矢野委員 東京ハイヤー・タクシー協会さんにも関連するとは思いますけれども、国交省さんから出されました資料で質問させていただきます。

1つ目は、12ページの収支状況ということで、平成29年度の試算値もあるわけですが、仮に改定を行うとした場合には、試算をすれば値上げになるでしょうという810円ということが試算として出ていますが、今回はそういうことではなくて、初乗り運賃という組替えという御提案になっていると思うのですけれども、この試算を出されたことと、それから、初乗り運賃の組替えということをどう捉えたらいいのでしょう。今回の申請の条件としては、運賃収入が同等でなければいけないということがありますけれども、それとの関連において、平成29年度の試算を見れば収入は減っているわけですが、そういったことと関連してこれをどう捉えればいいのか、御説明をいただきたいと思います。

2つ目は、よく分からないところで、14ページの運送費のところの「その他運送費」というものは結構占める割合が大きいのですが、これは一体何を示しているのか教えていただきたいと思います。

3つ目は、18ページになりますが、組替え後の新運賃ということで、今、提案をされているわけですが、タクシー運賃の場合は、上限運賃と併せて下限運賃もあると思います。下限運賃は算出すれば出てくるとは思いますけれども、下限運賃は具体的には幾らぐらいになるのか、それを教えていただきたい。

それから、これは東京ハイヤー・タクシー協会さんになるかもしれませんけれども、申請されたところで、「410円等」と書いてありますので、410円以外の申請運賃があれば、具体的にどういう運賃額があったのか、それも教えていただきたいと思います。

以上です。

○井手座長代理 以上、4点ございましたけれども、いかがでしょうか。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 どうもありがとうございます。お答え申し上げます。

まず、12ページ、運賃改定するとすれば11%値上げということと、今回の組替えの関係ですけれども、これは組替えという方式で申請が出てきたのは今回初めてですけれども、これを仮に従来と同じように白紙で一から運賃改定という手続をとった場合は、この11%程度の値上げになるだろうと。それは先ほどタクシー協会からのプレゼンテーションの中にもありましたけれども、値上げ値上げを続けてきた過去の時代の延長ではなくて、新しい時代に適応した在り方を模索される中で、今まで十分開拓できていなかった近距離の需要を開拓したいということかと思います。これは値上げを、要は総収入を今までと比べて増やさないと、収支が相償わないのですとか、そういうプロセスを省略して、現在の運送収入の範囲内で短距離を下げていくことを実現しようということかと思います。

具体的に申しますと、次の13ページを御覧いただきますと、通常の運賃改定のときの算定の第1番目に、原価計算対象事業者の選定があります。これは通常の運賃改定ですと、全部の事業者から詳細なデータを出していただいて、その中で、我々はいろいろな項目を比較して、標準的な事業者、効率的な経営を行っている事業者を10者ないし30者ぐらいを選ぶということも行いましたので、非常に申請する側も審査する側も時間のかかることになりますけれども、そういったことをして、結局のところ値上げになってしまうことを回避しつつ、先ほど申し上げたような効果を得られるような仕組みとして今回申請がなされているということでございます。

2点目の、14ページ、その他運送費ですけれども、これは例えば営業所施設や車庫の施設料や、車両に対する税金、保険料などがこの項目に計上されております。

下限については、別の担当から説明をさせます。

○国土交通省笠井自動車局旅客課乗用運賃係長 18ページの資料については、これは上限運賃を示しておりますが、下限運賃については、現行の730円の下限運賃が今、700円でございまして、ここで4段階ございます。それを、今回の組替え運賃でも存置した形になりますので、上が410円、下が380円という形で設定されることになります。

○井手座長代理 東京ハイヤー・タクシー協会、どうぞ。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会佐藤副会長 410円以外の申請にどのようなものがあったのかは、我々は個別申請なので、協会として各会社がどういった運賃で申請したのかは分からないのですが、シミュレーションの中で、いろいろなパターンを考えたことは確かですが、実際にどういった運賃が申請されたのかは、我々感知していないところでございます。

○矢野委員 では、国交省さんのほうで。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 割とバリエーションがございまして、どの申請にどれぐらいパーセンテージが行ったのかは今、手元にありませんが、初乗りの額で申しますと、410円のほかに430円とか、490円というものがございました。490円は、恐らく80円下がりますので、今の運賃よりも80円を何段階下げるのか。それを3段階下げたら410円ではなくて、2段階下げた490円ということかと思いますが、そういう幅でできています。

加算運賃については、ほぼ80円が大半ですけれども、80円を何メートルで加算するのかは、これは1メートル単位なので本当にまちまちですが、10種類ほどあると思います。

一方、少数ではありますけれども、90円、現在の加算幅を維持して距離を短くするといった申請もございます。

それから、時間距離併用制、時速10キロメートル以下のところも、ほぼ加算額は80円が大半ですけれども、それを何秒で上がるのが、85秒、90秒、105秒といったようなバリエーションがございます。

一番多かった申請は、初乗りが410円で、距離が1.059キロメートルということになっております。

○井手座長代理 それでは、古賀委員、お願いします。

○古賀委員 御丁寧な説明をありがとうございました。今の矢野委員の質問ともかぶってしまうのですけれども、国交省さんの10ページから13ページの資料について少し教えてください。

ここで、そもそもこの今回の申請については、値下げではなくて値上げだと消費者としては捉えているのですけれども、この12ページは先ほど矢野委員も指摘されたのですが、現行の場合に、組替え後の運賃と現行運賃の運送収入を同等とするという前提に立った上で料金を組変える場合には、「ここは赤字になっているので、810円の値上げをしなければいけない」ということが前提になると思うのです。この中で人件費が、平成27年度実績190億くらいでしょうか、平成29年度が204億1,000万になっていまして、13億円くらい上がっています。13ページのところで、人件費の算定に、延べ実働車両数という基準を入れ、ここのところで、実働率を8割から9割と考えていらっしゃるということなのですが、10ページを見ると、現実には実車率は50%に満たないのがこの実績だと思うのです。ここで9割の実働率を計算して、人件費が原価算定の中で上がっているのですけれども、ここのところはどのように理解したらいいのかを教えていただきたいと思います。

もう一つ、18ページの組替え後の新運賃の算定ですけれども、初乗り運賃と、その後の従量的に上がるのが、運賃加算のやり方だと思うのですけれども、実際にこれはメートル当たり単価と、これは素人的な考えで間違っていたら教えていただきたいのですが、現行の730円初乗り運賃は、メートル換算すると0.365円になって、新初乗り運賃410円になるとメートル換算すると0.387円になるのです。加算のほうも、現行の90円で280メートルだとメートル当たり0.321円になるのですけれども、新加算運賃が80円になるとメートル当たりの運賃は0.337円になって、大体双方とも9.4%から9.5%がメートル当たり値上げになるわけなのです。そうすると、実際に今回は410円の初乗り運賃で値下げになるということがアピールされているので、短距離のところは非常に安くなるイメージがあるのですけれども、実際に乗る方のところを、東京ハイヤー・タクシー協会の方に出していただいた資料のほうがより分かりやすいと思うのですが、こちらの18ページのところを見ると、4.1キロメートルぐらい乗る方が多くて、そこのところは固定したままで、最初のところを410円にして、その後のところは実質的には値上げになる。消費者の目から見るとそのように感じられるのですけれども、そもそも今回の申請というのは、端的に言って値上げではないでしょうか。

○井手座長代理 国土交通省、どうぞ。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 2点御質問をいただきました。

まず、1点目の人件費のところですけれども、少々話が詳細になって恐縮なのですが、まず、この「実働」という言葉と「実働率」という言葉と「実車率」という言葉が、似ているのですけれども、相当違うものとしてございまして、実働率は、あるタクシー会社が車を100台持っています。その100台のうち、何台実際に車庫で眠っていないで走っていますかというもので、大体これは8割から9割ぐらいの間になっております。需要に応じて、ピークでないときは全部出さないこともありますし、あとは点検整備等で常に走れるわけではないということもございます。それが実働率です。

一方、実車率と言いますのは、実際にタクシーが道を走っている。その走っている中で、何%お客さんが乗っていますかという数字です。したがいまして、これは例えば、今ですと40%台ですので、1日仮に100キロメートル走ったとしたら40キロメートルはお客さんが乗っている、収入の上がる距離が実車率でございます。したがいまして、実車率は半分を切っているような数字で、大分そこの数字が違うのはそういうことの反映でございます。

その上で13ページを御覧いただきますと、この人件費の算出に当たって、実はこの実働率を使っていますのはその次のステップでございまして、人件費を算定するところは、上から順に計算をしてきて、延べ実働車両数、つまり、実働する車が何台ありますかと。実際に実働する車の台数に応じてドライバーの人数がほぼ決まってきます。その人数の計算の基礎として、この実働車両数を算定しています。その上で、これを実働率で割っておりますのは、ここが高いのではないかということですが、これはむしろ先ほど申し上げたような実車率ではないほうの実働率、通常8割から9割のものよりも高くするように査定をしております。これは割る数、分母を大きくするということですので、次の行の延べ実在車両数が小さくなる効果がございます。これをベースにして、先ほどの例で言うと、100台持っていますと、この100台あることによって生ずる費用を計算する基礎になりますので、例えば車両の償却費のようなものを計算する基礎になりますので、なるべくこれが低く出るようにということで、実際の実働率よりも高い数で割っているという関係になります。実働率が高ければ高いほど効率的な経営をしている。100台中95台も動かせる事業者はそうそう居ないと思いますけれども、そういうことを基礎とした金額までしか経費として認めませんということをやっているものでございます。

2点目、これは値上げになるのではないかという点につきましては、これは国交省の資料の17ページを御覧いただきますと、右のグラフで青が現行で赤が申請です。これは全体の運送収入を増やさないようにという考え方ですので、グラフの左のほうで下がった部分は右で増えて全体として変わらないようにということなので、実際は階段型をしていますが、ずっと遠くから見ると、1次曲線に近いかと思いますけれども、青よりも赤の傾きが大きくなるというのは御指摘のとおりだと思います。

ただ、これが値上げと言えるのかどうかということで申しますと、先ほどの平均乗車距離では変わらないなどということもございます。実際に上がるところは8キロメートル、常に赤のほうが高くなるのは6キロメートルを超えた辺りで、二千数百円になってくると、100円ぐらい高くなるというぐらいですけれども、一方で、短距離のところで言いますと、410円から始まって幾つか階段がありますので、それぞれ今より何割安いのかということがありますが、最大四十数%安い。これを全体として見たときにどうかということで、これが一つの手掛かりになるかと思いますのは、我々の資料の23ページ、最後のページです。これは今の価格帯別にどれぐらいお客さんが居ますでしょうかと。下のグラフで御覧いただいて、一番右の2,330円が、ここから先になると今より高くなるということですが、こういうお客様が2割弱ぐらいは居るのではないか。ほかのそれよりも短い距離で降りる方が、逆に言うと、これを全部足し上げますと8割強いて、その8割強の方にとっては今と同程度、又は安くなるということかと思っております。

さらに、このグラフで言う一番左の棒のところは今よりも安くなるということで、このグラフは今のお客さんの構成を反映していますけれども、実際には価格弾力性を幾つと見るかにもよりますが、需要の誘発には期待しておりますので、今よりもここの利用者が増えて、全体で言うと、今回の運賃の組替えで恩恵を被る方のほうが多いのではないかと思っております。

説明が前後して恐縮ですけれども、1点目の御質問に関連して、説明漏れがありましたので補足させていただきますと、12ページの表で、この表は仮に従来型の運賃改定の手続をしたらどうなるかということで、この場合には、11%値上げをしないと収支が相償わないという御説明を申し上げましたが、これは念のための御説明ですけれども、今回の組替えというのは、従来のように、今、これだけコストが上がっていて足りないから上げてくださいという要素は一切ございません。平成19年の改定の運賃をベースにして、現在の運送収入が実績としてありますけれども、その全体として増収しない範囲内で、先ほど申し上げたような短距離を下げて長距離で穴埋めするものであるということは、改めて御説明申し上げます。

以上です。

○井手座長代理 ありがとうございました。

今、古賀委員の質問にもありましたけれども、この10ページの実車率です。運賃改定の組替えをやったら、どのぐらいまで実車率は上がるのですか。実車率は、高くなれば高くなるほど流しの空車になかなか出会わないということは、サービスの低下にもなるわけですね。高齢者とか外国人が乗りたいと思ってもいつも満車という状態になる状況が出てくるわけですから、実車率は今回の組替えでどのくらいになる。そして、理想的な実車率は何%ぐらいなのかはお分かりでしょうか。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 理想的なとは違うかもしれませんけれども、二十数年前、タクシーが非常に捕まりにくい時期はまだ御記憶にある方もいらっしゃるかと思います。特に夜中、深夜など電話で呼ぼうとしても、空車がまず居ない。電話をかけようとしてもなかなかつながらないような、ああいう時代で実車率は6割という感じです。

ただ、これはいろいろな要素がございますのは、先ほど東京ハイヤー・タクシー協会の説明でもありましたが、このアプリによる配車が今後どんどん増えていくと思います。そういうことが実現していくと、実際に流しで車を走らせていなくても、アプリで申し込んで、それでタクシー会社が配車の指示をするということをすると、同じ台数で対応できるお客さんの数は大分増える可能性が出てくると思います。これを定量的に何%と言うのはなかなか難しいと思います。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 補足をさせていただければと思います。

私も経営を16年ほどやっておりまして、体感ベースで、何となく五十数%辺りが一番お客様からのクレームが少ないなと感じております。実は、井手座長代理がおっしゃったとおり、捕まりにくくなるのです。それはどれぐらいかといいますと、課長からありましたバブルのときの頂点が60%ぐらいでして、こうなると体感として、特に女性やお子様は捕まりにくいのです。大体55%を超えるぐらいから、相当捕まらないぞというお電話をいただく本数が増えます。では、とにかく逆に沢山車があれば乗りやすいかと申しますと、今度はタクシーが余り過ぎていて邪魔だという逆のお声を頂いたのは、リーマンショックの後です。ですから、4割を切ってくると、どちらかというと車が余り過ぎる。特に、実は警察等からは緊急車両が通れなくなる。例えば銀座ですとか六本木、赤坂辺り、もしくはその辺りで普通の自家用車が入れないほど車があり過ぎるというお声を頂くケースがございます。ですから、4割は超えていないと多過ぎだというお声が多くて、55%を超えると何となく今度は捕まらないぞという声が非常に大きくなる。このように、私は体感として考えています。ただ、当然雨のときはこれががっと上がりますので、やはり捕まらないと言われ、逆に秋晴れの日はぐっと下がってくることになるかと思います。補足でした。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 あともう一点、御質問の中で今回の組替えをやったらどうなるのか。これは数値としてはなかなかはじくのが難しいかと思いますけれども、川鍋会長がおっしゃったような幅の中の、今、一番低いぐらいの水準にあるということと、今回狙っています短距離のお客さんは、短距離なだけに乗ってもすぐ降りる方ですので、そこは期待されているように相当程度増えたとしても、それによって実際に1日に走っている距離のうちの何%乗っているのかが実車率ですので、ここに悪影響が出て車が足りなくなるとか、そういうことではないのではないかと思います。

○井手座長代理 では、蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 蟹瀬でございます。

私は4社の愛用者で1日6回以上タクシーに乗っておりまして、今日ももう4回乗っております。タクシーの運転手さんにいろいろお話を伺って、時代と共にタクシーのサービスがよくなったり、きれいになったりしていますので、東京ハイヤー・タクシー協会の方が非常に頑張っていらっしゃる様子はよく分かります。

私は3つお伺いしたいことがあります。1つ目はこの組替えになのですけれども、この1.052キロメートルと2キロメートル以内のタクシーの乗り方を、私は10回ほどやりました。本当に近過ぎて、730円にあっという間になるのです。ぽっとメーターがすぐ変わっていく。それで、タクシーの運転手さんとお話をしました。「そうなのです。ちゃっちゃと上がります」と。「そうですか」と。その上がるのがとても心臓に悪くて、そこで止めてと言ったときにちゃきっと上がると、運転手さんによってはいいですという人と、走っていないではないのと私が言っても、びしっと取る方。私もシルバーの前期高齢者に入りつつありますので、見せていただくと、そういった何十円の差というのは非常に大きな差なのです。1点は、短い距離が安くなるが、730円まで上がるのがたった4回です。だから、ちゃんちゃんと上がるのを2回ぐらいに止めないと、730円以下にはならない。ここのところを消費者がちゃんと理解していないといけないということなのです。それを今、古賀委員が値上げではないですかというお話をしたと思うのですが、値上げとは言わないけれども、でも、明らかに私から見れば値上げです。なぜならば、私は長距離利用者なのです。2,500円以上の距離を何回も乗ります。そうしますと、大阪で車に乗りますと、5,000円以上は半額になります。長距離であればあるほど割引はないのと、こうなる。逆に言えば、長距離からたくさん取ろうよという、この姿勢が果たして、長距離の人が一番お金を落とすわけですから、本当にきちんとしたサービスになっているのかどうかをお聞きしたい。皆さんが、2キロメートル以内は730円で何度でも安く乗れますということを、恐らく広報としてかなり訴えていかれると思いますが、そうではないところは高くなりますということもきちんと公表していただけるのかどうか。これをお聞きしたいです。

もう一つ、いろいろとここで実証実験、もう一つは初乗り410円になったときにはいかがですかという調査をしましたと。このアンケート調査の要件を教えていただきたいのです。要するに、730円の距離までは安くなるけれども、それ以上は上がるのだということをおっしゃって案件としてちゃんと出されたのかどうか。初乗りのところだけがフォーカスされていきますと、初乗りから410円ではいかない田舎の地方、あるいは私は三鷹などに住んでいると、そこがどうなるのかは分かりませんけれども、そういうところからちょっと駅まで行っても、お金は1,000円ぐらいいってしまいます。そういうことをきちんとアンケート調査のときにおっしゃってアンケートをしているのかどうか。初乗りのみのアンケートをして、初乗りの410円のところだけをアンケートなさっていらっしゃるのか。同時に、タクシー離れの分析なのですが、これは価格とサービスと、どのようにしていらっしゃるのかをお聞きしたいです。私の感想では、東京駅のタクシー乗り場は最悪です。あれが世界の窓口とは思えない。例えば銀座のタクシー乗り場、全てのタクシー乗り場において、私たち市民に対してちゃんとしたサービスがされているとは思わない。そうすると、そのタクシー乗り場も含めて、タクシー離れの分析をどのようになさっているのかをお聞きしたいです。

3点目です。ウーバーの話が出ました。大変勉強していらっしゃると思いますが、私はニューヨークに行くとウーバーしか使わないです。なぜならば、ルートがちゃんと分かります。私がいる場所が分かります。車情報が前もって来ます。そして、運転手にお金を払う前に、この運転手はどうでしたかという評価をします。そして、私のところにファクスなりメールなりで、あなたの乗った車はここからここまで走って幾らでしたけれども、いいですかと。それで、私がオーケーとやったら初めてお金がチャリンと落ちるというシステムを持っていらっしゃいます。これを白タクと片付けていい時代では、私はないのではないかと思っています。今、白タクですと位置付けていらっしゃいますが、日本の中では白タクなのですが、世界でウーバーがあれだけ人気になっている理由があるわけなので、その辺に関しての見解をお聞かせいただきたいと思います。

最後にお願いでございますが、タクシーを広告媒体として使おうということがありますが、私は拾うときに、タクシーの色を見て、デザインを見て、どのタクシー会社を見ながら選びます。それがピカチュウの絵になってしまうと、ピカチュウだから乗ったけれども、がたがただったということだってあり得るわけですから、簡単に言えばそういうことなのです。

また、私たちの車の場合は、日本は一番安全に拾えるというところなので、拾うというタクシー、予約をするとか、そういうところは別なのですけれども、拾うということに関して言えば、同じタクシー会社でも黒塗りを選びます。それはいい車なのです。運転手さんもいい運転手さんです。その次に、しようがなかったら同じ会社の違う色の車を選びます。4社が来なかったらしようがない、個人を選ぶかなというような、段々お客様が賢くなって選択していくのです。そのときに、広告というものを載せて果たしていいのか。広告の載り方です。それを真剣に考えていただきたいということが、私の3.5のお願いでございます。

長くなりました。以上です。

○井手座長代理 3点とお願いのようなものが出ましたけれども、これに対して何かございますか。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 まずは、1日6回も御乗車、誠にありがとうございます。タクシー業界を代表して御礼を申し上げます。

おっしゃったとおり、もし蟹瀬委員が長距離をずっと乗っていただいている方であれば、我々にとって大変ありがたいのみならず、もしかしたらおっしゃったとおり、蟹瀬委員に対しては値上げという側面になってしまうということが現状ではないかと考えておりまして、そこはこの制度上、確かに蟹瀬委員に対してはそうなってしまうなと私も正直、認めざるを得ない状況でございます。

ただ、その中で、決して我々は長距離のほうが値上げになることを隠して、初乗りが安くなることだけを喧伝(けんでん)しているつもりはなく、きちんと媒体に、世の中に発表する際には、我々は値上げとも値下げともなかなか言いにくく、基本的には運賃の組替えでございますという形で、ただ、遠距離の場合は値上げになることが多いことになると思います、短い距離の場合は値下げになることが多いということでございますという現実をお伝えする活動をしております。どうしても、それがマスコミ等の捉えられ方によって解釈が、人数ベースで言いますと安くなる方が多い関係で、そういうようにマスコミでもやや値下げのような形で言われてしまっているケースも結構多うございまして、我々協会としても誤解を与えてはいけないなと日頃から懸念しておりました。蟹瀬委員の御指摘を受け止めて、きちんとした正しい広報活動をより繰り広げる必要があると勉強させていただきました。

それから、タクシー乗り場についてです。これもおっしゃったとおり、実は非常に多くの方から、短距離が安くなるのはありがたいのだと。だけれども、同時にタクシー運転手舌打ち禁止条例でも作ってくれと私は言われることもありまして、要するに、特に乗り場で大分時間を並びますと、短距離のお客様にお乗りいただいたときに運転手が非常にぞんざいな態度をとることも、残念ながらいまだによく私も指摘されるところでございます。これに関しては、今回410円になって、東京駅もそうですし、銀座等々、様々な乗り場で並ぶ一人一人の運転手たちが、きちんとこの業界の取組を理解できるように、我々としても教育及びきちんとした情報の共有をせねばならないと思っている次第でございます。ですから、乗り場に関しては、引き続き努力をしてやっていきたいと思っております。

アンケート調査に関しましては、これは国土交通省様のアンケートでございますので、譲りたいと思いますが、ウーバーに対しては、おっしゃるとおり、これもなかなか難しい面がございまして、我々業界の立場としては、特に免許を持っていない方がやられる、ニューヨークで言えばウーバーXというタイプでございます。これは現行法制度上認められていないことは我々も理解し、ただ、我々もそういったものを批判するのみならず、ウーバーがなぜ世界で人気になっているのかを詳細に分析し、今、必死になって取り入れている最中でございます。特に東京ハイヤー・タクシー協会でやっております「スマホ de タッくん」というアプリ、それから、各社様々なアプリを出しておりまして、ほとんどのアプリにおいて、先ほどおっしゃったような車両の番号が事前に分かるですとか、評価できるとか、後で領収書がメールで行くとか、ある程度ウーバーに倣った機能を鋭意取り入れておりまして、まだまだそれはウーバーにかなわないところが多いのでございますけれども、必死で追い上げて、必ず近々、アプリといった面に関しては、同じような利便性を消費者の皆さんにお届けできるように努力してまいりたいと思います。

最後、広告して使うのと、選択性を邪魔しないようにという御指摘は全くごもっともなところでございまして、我々公共交通として、タクシー業界としてやることと私企業として、各社で努力して選ばれる部分とございますので、この辺りのバランスを見ながら、決してそういった選択性を妨げることのないように注意して進めたいと思います。ありがとうございます。

○井手座長代理 アンケートについて、お願いします。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 アンケートにつきましては、質問票の中には今回の運賃はどうだという詳細は記していませんけれども、同時に乗り場でチラシを配ったり、看板で内容を説明しておりますが、その中には、距離によっては約5キロメートル以上になると、現行の730円タクシーのほうが安くなる場合がありますというようなことは申し上げています。ただ、410円タクシーよりも730円タクシーのほうが安くなる場合がありますと記載してあります。

報道もその後、私も注意して見るようにしておりますけれども、社説も含めて長距離のほうが高くなるのだということには触れていただいているメディアが多いとは思います。重要なのは、蟹瀬委員がおっしゃるように、消費者の方にちゃんと分かるように伝えるということだと思いますので、こう言っているからいいのでしょうということでは全くないと思います。東京ハイヤー・タクシー協会からもありましたが、そこをしっかりと周知をしていくということかと思います。

○井手座長代理 ありがとうございました。

時間も迫っておりますので、陶山委員、まだ幾つもありますので、端的によろしくお願いいたします。

○陶山委員 端的にということで、1点だけお聞きしたいと思います。協会からいただいた資料の16ページでございます。今回の組替えの御提案によって、料金の増加の傾斜がきつくなっているということで、長く乗れば乗るほど少し値上げの幅が大きくなりますよということなのですが、このグラフを拝見しますと、料金が高くなるゾーンの方たちが22%前後、ここが営業収入の52%を占めているということで、この利用者の選択が経営に与える影響はかなりあるのではないかと拝見いたします。

この高くなっていく利用者の属性をどのように見られて、ここの価格弾力性はあるとは予測できますので、この辺りの利用者の、どういう選択をされて、経営に大きな影響を与えないのかどうなのか、見通しをお聞きできればと思います。

○井手座長代理 ありがとうございました。

それでは、これも端的にお願いします。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 おっしゃるとおりです。このエリアのお客様は主に経費でタクシー運賃を処理されるタイプの消費者が多いと我々は分析をしております。すなわち、自営業の方ですとか大企業の役付の方です。そういった場合に、確かに短期的には価格弾力性は余り高くないとは思われるのですが、同時に企業のコスト削減という面におきましては、大きな影響を与える可能性もございまして、この辺りに関しては、我々も非常に注意をしながら推移を見守る必要があると考えております。

○井手座長代理 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 会社の経費で支払われる利用者が多いのだという御理解なのですが、高齢者などの病院の通院に使うとか、タクシーを使わざるを得ない人たちが沢山おられます。それが最終的に医療費として控除されたり、介護保険等で補填されるケースもありますが、そうでないケースも多くあります。一旦かかった病院には長距離であってもそこへ通わなければならないという家族とか、当然患者御本人にとっても非常に影響する価格になってくると思います。福祉タクシーだとか介護タクシーだとか、そういった新たな商品をどんどん出してこられているというお話ですので、そういうところに期待したいと思いますが、是非とも、会社持ちで乗っているのではない高額の料金を払わないといけない利用者に対しての対応をもう少し考えていただければと思います。

○井手座長代理 古賀委員、お願いいたします。

○古賀委員 何度も申し訳ありません。21ページの先ほどの初乗りの実証実験のことなのですけれども、私も蟹瀬委員ほど頻繁には乗りませんけれども、週に2回か3回は乗ります。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 ありがとうございます。

○古賀委員 この実証実験、私も新橋から神谷町まで乗ったのですけれども、はっきり言って変わらないのです。むしろ割高になる場合もある。実際に乗るのは、通常的に乗るのならば4キロ以上なので、今回の410円のメリットは本当に右左が分からなくて目的地の近くに行きたい外国人などは非常にメリットがあると思うのですけれども、この外国人のわずか167人のアンケートのところで、浅草で25%の人が高いと感じているというところは、かなり重要なところだと思うのです。新橋や新宿で外国人が頻繁に乗るのかというと、それはちょっと疑問で、浅草は観光地なので、外国人の方はよく乗ると思うのです。そういう意味では、今回の先ほど余り強調して初乗りが安いということは前面に出さないと伺ったので安心はしましたけれども、全体的には私も値上げではないかと考えているということを再度申し上げたい。

それから、東京ハイヤー・タクシー協会さんが、20ページ以降、タクシー業界の新たな取組として、シェアとか事前確定運賃とか乗り放題、これはすごくいいお取組だと思うのですけれども、実際にこれまで20%の強制減車とか、度重なるいろいろな特措法による減車やいろいろなことが訴訟も含めて起きていたわけなのですけれども、そういうことを踏まえて、こういう相乗りタクシーや事前確定運賃、いつ頃をめどにこういうことが可能なのかというめどと、改革を阻んでいるものはないのかということをお聞かせください。

○井手座長代理 以上の点、いかがですか。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 実証実験も御協力いただきまして、ありがとうございます。申し訳ありません。余り実感いただけなかったということで、真摯に受け止めて、きちんとした広報及び周知を徹底いたしたいと思います。

その上で、新しい取組、我々は1970年がタクシーに御乗車いただいたお客様の人数のピークでございまして、以来、残念ながら46年間右肩下がりを続けております。これは主には公共交通機関、特に地下鉄、電車の発達によるものだとも理解しておりますが、ずっと初乗りを上げてきて、従来のやり方が効いていない。この辺りで我々ももう105年という大分長い産業でございますので、新しい方向を向いて、しっかり経営をしていかなければいけないということが、最近の我々の目指すところでございます。

大変手前みそではございますけれども、私が東京の会長になったのは2年前でございまして、私の前会長が私の父と同じ代でございまして、ですから、今年79歳です。33年の年齢を隔てて、それも一つ、タクシー業界全体として変わらねばならないということで、大分業界としては若い私にバトンが託された。以来、とにかく時代にマッチできる体制を築くべく、様々な努力を続けたいと思っております。

事前確定運賃等について、これは国土交通省と一生懸命いろいろと検討させていただいたり、また、当然業界の中でも様々な意見がございますので、今までですと、少し議論をして、例えば業界の論理でこんなものはだめだとすぐ終わってしまったようなこともきちんと何度も取り上げて、何度も議論して、いいことは実現する方向で何とか前に進めようと考えております。

続きは是非お願いいたします。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 今、川鍋会長がおっしゃったことに加えて、まず、前段でありました、すぐ上がってしまってという話とか、その前のいろいろな御指摘も含めて、我々が看過できないと思っておりますのは、現に730円を今、払っている人が、実際に乗っている距離は平均すると1.4キロメートルで、要は2キロメートルよりも短くて730円を払っている。これはある意味余分に払っているという見方もできるわけで、なるべく乗った距離に応じて負担していただく。移動する距離がタクシーに乗ったときのまず一番の便益ですので、そこに見合った額を負担していただきたいということがベースにはあります。ただ、もちろんだからと言って、長距離の人が上がっていいのだとか、そういうことではなくて、度々御指摘いただいているように、今回やろうとしていることを正確に伝えていくことが一番大事かと思います。

新しい取組につきましては、業界の体質的なお話もありましたが、これは行政のほうも新しいことに取り組んでいこうという気風に欠けるところがあったのは事実だと思います。これは遅まきながらかも分かりませんけれども、業界側からも行政側からも新しいことに取り組んで良くしていこうということを今、始めつつあるということで御理解いただければと存じ上げます。よろしくお願いします。

○井手座長代理 今、御指摘のあった点ですけれども、初乗りが730円で払い過ぎているのは、これは別におかしくはないと思うのです。国鉄だって初乗りは高いわけですね。あとは距離に応じてもっと安くなっているわけです。長距離乗る人は単位当たりの料金は安くなっている。これは固定費を誰が負担するのかという話で初乗りを高くしているということで、それは別におかしいとは私は思わないのですけれども、それであれば、長距離乗った人は単位当たりの料金を安くしないと。そういう料金体系もあり得ると思うのです。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 2度目です。すみません。

今回は新しい取組の一つと捉えていきたいと思いますし、今日、東京ハイヤー・タクシー協会さんから様々な新たな取組をいろいろ説明していただけたので、その辺が意欲的に行われていることは本当に大事なことだと思っています。一方で、こういった改定のときには必ず意見聴取をしなければいけないということで、19ページのところには、意見、説明会の事も出ていますが、それにしては声が少ないなと思いますのと、協議会の声が実際には今日は紹介されていないので、正に協議会のほうの声。マスコミ等はこの間のこういった経緯について、いろいろ取り上げて、かつ、それぞれ関係者からもいろいろ声を聞いていますけれども、例えば薄利多売になって運転手さんの負担につながるのではないかとか、長距離運賃が高くなるということで、かえって長距離のお客さんが減って収入が減るのではないか。そういった懸念も実際には声としてはあるわけですね。私も大変心配をしております。本当に経営が安定していくだろうか、収入がきちんと確保できるだろうか。今のところ、数字上の算出なのですが、そうなると、事後のフォローや検証をどうしていくのかも非常に重要になると思います。規定では、事後については事業団体において労働条件の改善状況や合理化計画の実施状況を公表することが必要であることは定められていますし、行政側は、運賃の変更命令が一つの事後の対応としてありますが、しかし、初乗りのところを高齢者の方と併せて外国人の方にも沢山利用してほしいということであれば、少なくとも、オリンピック・パラリンピック開催の2020年まではずっとこの状況が続かないと、そして、できれば2020年までに、確かに実車率も増えているし、収入も一定増えているといういい状況がなされないと、今回のこういった改定がいい意味をなさないわけですから、その辺、少なくともあと3年をどうしていくか。しかし、その3年の間の実際には来年ぐらいから実施になると思いますけれども、その直後も含めて、事後検証なりフォローをそれぞれ国交省さんなり業界団体さんはどう考えていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

○井手座長代理 それでは、いかがですか。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 ありがとうございます。

確かに労働組合、それから、個々の運転手と私も話すにつれ、懸念の声は多々聞いております。個別の運転手にとってみれば、今まで1キロメートルでも730円もらえたのにという感覚にどうしてもとらわれがちですので、その辺りは彼らのそういう気持ちもよく分かるということもございます。その中で、労働強化になるという側面も否定はできないと思います。また、先ほどの長距離低減という新しい考え方も頂きましたので、そういったことも考えながら、事後のフォローに関しましては、我々も経営者として日々数字も見ておりますし、また、それは定期的に月ごとに全事業者が国土交通省に運送実績と称して報告させていただいておりますので、我々はミクロの目線で、そして、運転手の声も日々聞きますので、我々もものすごく自身でどきどきしながらやっているという側面もありますので、きちんとフォローいたしたいと思いますし、恐らく国土交通省様に関しましても、きちんとフォローいただけるのではないかと考えております。ありがとうございます。

○国土交通省鶴田自動車局旅客課長 事後の検証は、特に新しい試みですので、非常に大事だと思いますので、よく連携をとってやっていきたいと思います。

○井手座長代理 予定していた時間が過ぎましたが、いかがでしょうか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 1点お願いがあります。迎車料金なのですが、この辺も入っていないのですけれども、迎車料金が300円のところと400円のところがありますね。それで競争なさっているかと思うのですが、シルバーの方が410円で、雨の日にどこか行きたい、病院に行きたいというときに、迎車利用金400円だと810円になってしまいますね。ですから、シルバーパスというものが電車にもあります。バスにもあります。福祉だけではなくて、かなりシルバーの方が増えていらっしゃる中で、迎車料金の割引ということも、せっかく関係者がいっぱいいらっしゃいますので、考えていただければうれしいです。

○井手座長代理 よろしいですか。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 真摯に受け止めて、勉強させていただきます。ありがとうございます。

○井手座長代理 そのほか、何かございますか。よろしいでしょうか。

それでは、これで質疑応答は以上といたします。国土交通省並びに東京ハイヤー・タクシー協会の方々、どうもありがとうございました。

○一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会川鍋会長 ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○井手座長代理 それでは、事務局から連絡事項がございましたら、よろしくお願いいたします。

○丸山参事官 本日は、熱心な御議論、どうもありがとうございました。

次回の会合につきましては、11月9日、水曜日、午後4時からの開催を予定しております。

○井手座長代理 それでは、本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

(以上)