第16回 食品表示部会 議事録

日時

2012年2月20日(月)14:00~15:27

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、夏目部会長代理、青柳委員、阿久澤委員、阿南委員、鬼武委員、
 春日委員、川戸委員、栗山委員、迫委員、澁谷委員、宗林委員、立石委員、手島委員、
 中下委員、森(修三)委員、森(康益)委員、山浦委員、山根委員
【説明者】
 消費者庁  増田食品表示課長、中村課長補佐
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会  原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.玄米及び精米品質表示基準の見直しに係る調査結果について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:64KB)
【資料1】 玄米及び精米品質表示基準の見直しに係る調査結果の概要について (PDF形式:92KB)
【資料2】 砕粒等に関する市販品(低価格の精米)実態調査 (PDF形式:186KB)
【資料3-1】 集荷場所(カントリーエレベーター)、精米工場の実態調査及び米穀関係者等のヒアリングの概要について (PDF形式:74KB)
【資料3-2】 カントリーエレベーターにおける実態調査 (PDF形式:150KB)
【資料3-3】 精米工場における主な精米工程 (PDF形式:269KB)
【資料3-4】 産地・品種・産年表示等に関する関係者意見一覧 (PDF形式:170KB)
【資料3-5】 砕粒等(ふるい下米を含む)表示に関する関係者意見一覧 (PDF形式:136KB)
【資料4】 規制・制度改革に係る対処方針(平成22年6月18日閣議決定)抜粋 (PDF形式:141KB)
【参考資料1】 玄米及び精米品質表示基準 (PDF形式:21KB)
【参考資料2】 米穀の品質表示ガイドラインの制定について (PDF形式:162KB)
【参考資料3】 精米表示の経緯 (PDF形式:22KB)
【参考資料4】 米品質表示基準についての情報提供及び意見書(山浦委員提供資料) (PDF形式:501KB)
【参考資料5】 乳児用食品に係る表示基準の設定に関する御意見募集 (PDF形式:329KB)

≪1.開会≫

○小田審議官 それでは、まだお見えでない委員の方もおられますけれども、時間になりましたのでスタートをしたいと思います。
 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会」第16回会合を開催いたします。
 消費者委員会の事務局におります小田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は海老澤委員が所用により御欠席との連絡をいただいておりますが、過半数に達しておりますので本日の部会が成立していることを御報告いたします。
 川戸委員は5分ほど遅れるという御連絡をいただいております。
 配付資料の御確認をいただきたいと思います。お配りしております資料1、資料2、資料3は束になっておりますけれども、資料3-1~資料3-5までございます。その後に資料4、以下、参考資料1~5でございます。お手元にございますでしょうか。
 それでは、田島部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

○田島部会長 ありがとうございます。
 本日は消費者委員会事務局から小田審議官、後ほど原事務局長もおいでになります。
 消費者庁からも増田食品表示課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録につきましても後日公開することにいたします。
 それでは、本日の議題に入ります。本日は玄米及び精米品質表示基準の見直しに係る調査結果についてを議題として取り上げます。
 それでは、議事次第「2.玄米及び精米品質表示基準の見直しに係る調査結果について」の議論に入りたいと思います。
 まず初めに、消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪2.玄米及び精米品質表示基準の見直しに係る調査結果について≫

○増田食品表示課長 消費者庁の増田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料に基づきまして私の方から今回の調査結果の概要について概略を説明した後に、中村の方から各調査の詳細を御説明させていただきたいと思っております。
 最初、お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。この玄米、精米品質表示基準につきましては、平成22年6月に規制改革の閣議決定があったことを踏まえ、平成22年10月にパブリックコメントという形で意見を募集し、そこから検討が始まっているという状況にございます。
 この意見募集を踏まえまして、昨年、平成23年7月1日に、これは米のトレーサビリティ法の施行等も踏まえまして、まず産地について農産物検査法の有無にかかわらず、都道府県名等が表示できるという形の改正をいたしました。また、この際に品種・産年及び砕粒あるいはふるい下米の表示について引き続き調査を進めることになりまして、それ以降、消費者庁の方で調査を進めてまいりました。
 今般、市販品の砕粒等に関する実態調査あるいは産年・品種に関わります集荷場所及び精米工場での実態調査、これらは網羅的にというわけにはいかなかったので事例的調査ということになるんだと思いますが、それを踏まえて関係者の方々からヒアリングを実施いたしましたので、その結果を御報告したいと考えております。
 主な調査の結果をここに書いておりますが、1つは砕粒に関する市販品実態調査の結果についてでございます。この調査は小売店等から一般の価格より安い価格で販売されている精米200点を購入し、砕粒等を測定したものでございます。詳細は後ほど説明しますが、砕粒について10%を超える精米が6%、15%を超えるものがそのうち1.5%あったという結果になってございます。
 次に集荷場所。カントリーエレベーターにおける実態調査の結果でございます。詳しくは後ほど申し上げますが、カントリーエレベーターの段階で農家ごとに品種・産年を確認し、分別保管・流通するというような、いわゆる混ざらない工夫がされております。
 同様に精米工場におきましても、後ほど詳しく申し上げますけれども、分別管理が行われているというものでございます。
 最後に、これらの調査結果も踏まえまして関係者のヒアリングを行っております。詳細は資料にも付いておりますが、大きくヒアリング項目は3点。
 1点目は、農産物検査によらない品種・産年の表示について。
 2点目は、複数原料米の都道府県レベルでの産地表示について。
 3点目は、砕粒あるいはふるい下米についての表示の在り方についてという3点でございます。
 いずれも賛否両論あるということですが、詳細は後ろの資料を見ながら御説明したいと思います。

○中村課長補佐 消費者庁食品表示課の中村でございます。
 詳細についてこれから御説明したいと思います。資料2をごらんください。資料2は砕粒等に関する市販品(低価格の精米)実態調査としております。この調査は平成22年10月の意見募集の際に、相当のふるい下米が流通していて、それが品質や食味の低下を招いているのではないか。全生産量の中でくず米と書いてあったのですが、くず米を使った粗悪品が出ていて、これに表示がないことが問題である。平時においては主食用の米には整粒のみを使用し、ふるい下米の混米を禁止すべきではないか。このような御意見の中で精米の品質の実態を調べる必要があるということで、精米での品質の実態として砕粒などの実態調査を行いました。
 砕粒については4ページの参考資料に記載してございます。砕粒というものは農産物検査法に基づく農産物の規格規程というものがございまして、その中の完全精米の中に一定の定義がございます。今回もこの定義に当てはまるものを測定したものです。
 農産物検査の完全精米の規定もありますが、これとは別に米穀の品質表示ガイドラインというものがありまして、その中で精米の砕粒の基準は最高限度が8%と決まっています。
 では、どういうときに砕粒が発生しているかと申しますと、1つは米の乾燥温度が高い場合、水分などの影響で精米するときに砕粒が発生しやすい。品質の悪い薄い玄米などを使っている場合などや、少し時間が経ってにおいが出るような玄米を使う場合にも、精米の度合いによっては砕粒が出やすくなると言われています。このことを踏まえて実態調査を行ったものです。下の図のように、上の定義の中で3分の2とはどのぐらいとかをお示ししたところです。
 また1ページ目に戻っていただいて、今回の調査は200点を購入。先ほど課長からお話しましたように、比較的価格の安いもの。単一原料米の中でも安いようなものも探して買ってきております。インターネットも使って計200点買いました。調査期間は11月から1月で、試料購入は12月までに行っております。調査は財団法人日本穀物検定協会にお願いをしました。調査項目、測定方法はここに書かれているとおりです。
 2ページに図と表を2枚付けております。(1)として砕粒と価格の関連についてということで、価格と砕粒の割合を二元的に配置してみたものです。一番高いもので25%ぐらい砕粒があったものもございました。縦軸が価格になっていますので、大体似たような価格のところで水平に点が並んでいるのですが、これを見ると例えばキロ250円を切るような安いものでも、砕粒が15%以上あるものもあれば、3%や4%ぐらいのものもある。先ほど8%という基準がありますということもあるように、大体5%から大方、下の方におおむねかたまっている状態になっています。
 値段では、単一原料米が平均キロ365円程度、複数原料米も317円程度という形でもちろん差はあったのですが、複数原料米を見比べてみても、価格と砕粒の含有率にはなにか相関があるというものではなく、同じ価格帯のものでも砕粒が多いものと少ないものがあるという実態でございました。
 (2)は砕粒の分布を、階層別に分けてございます。8%という先ほどのガイドラインの基準もありましたので、8%というところで区切ってあります。左端の累計のところは上からの累計をとっておりまして、逆に言いますと大体5%未満が82%、8%未満で92%ほどとなっております。
 反対に高いものはどうだったかというと、10%以上のものが12点、15%以上のものが3点。このように大方のものは基準の8%以下になっている。ただ、低価格帯、特に単一原料米より平均価格が安い複数原料米の中には、高いものが多く存在する状態になっておりました。
 3ページに5%、8%、10%がどのぐらいかというのを例として写真を載せております。写真だと粒の状態とかわかりづらいかもしれませんが、測定方法に沿って20gとったものを選り分けていくと、こんな形で見た目でも違う部分が出てくることになっておりました。
 次に、資料3を御説明させていただきます。
 資料3-1でもう一度繰り返しになるような部分もありますが、調査目的と今回、現地調査に合わせていろいろなヒアリングを行ったものと、米穀の関係団体や消費者団体の方、登録検査機関からも同じように意見について確認をとったヒアリングを行ったところです。
 現地調査の場合にはここにも書かせていただいていますが、現場の声という形で私どもの消費者庁の職員が聞き取ってきたというものなので、その会社の御意見というわけではございません。下の方にどういうところに行ったかということを調査対象、調査機関を書かせていただいております。集荷業者というのは後で出てきますカントリーエレベーターでの実態の話。米穀卸売業者というのは一般的に言う精米工場です。米穀小売業者というのは町のお米屋さんというイメージを持っていただけば良いかと思いますが、実際に精米・とう精を行っている事業者さんのところへ行きました。
 米穀加工業者というのは例えばふるいの下にあったお米を集めて、それを再度ふるい直して加工食品の原料にする事業者さんのことです。消費者団体や登録検査機関にもヒアリング調査をお願いして、お話はお聞きしてきたところもございますが、こういう資料に名前を出すのはというお話があったところもあり、名前を出してもいいですよという団体について記載をさせていただいております。
 資料3-2はカントリーエレベーターにおける実態調査として、実際にお米がカントリーエレベーターに集荷される段階でどうなっているかということを実際に見せていただきました。精米工場の調査を含めてどこか見られるところはありませんかということを各団体にお聞きした上で、紹介を受けて行っているところです。
 まず、もみが入ってくるのですが、もみが入ってくる際に現物と関係書類、生産者別の種子の証明や栽培記録などの証明を併せて確認をとった上で、品種ごとの専用投入口に入れておりました。投入口から入ったものがそれぞれの品種ごとにもみを保管するタンクの中に入っている。そこから発注があるともみ摺りし玄米になりますが、もみ摺りの際にオートサンプラーで農産物検査用の試料を採取していました。
 抽出したサンプルについては、農産物検査の検査員の方が目視の検査や、その後、採取した試料の品位の検査、整粒の検査等を行った上で検査結果をまとめて証明書を発行、押印・捺印して、この場合、たまたまフレコンと呼ばれるフレキシブルコンテナに付けるものでしたので、こういうふうな形で証明書をつくって押印して貼り付けるということを行っていました。
 目視の検査がどうかという話を確認していたところですけれども、書類も含めて判定を行っており、関係書類も見て、それで現物を見て判定を行えば問題ないという話を聞きました。
 併せて農林水産省から農産物検査はどういうふうになっているんですかとお聞きしたところ、平成17年、16年にDNA分析による品種判別の調査を行っている。そこでは16年が98%、17年が99.2%と農産物検査の品種証明とDNAの分析結果が一致しているという資料がありますよということで、ちょうだいをしたところです。こういう形で検査証明書が発行され出荷されることになっておりました。
 次に資料3-3です。こちらは精米工場における主な精米工程という形で、実際の工程のうちの幾つかの大きな工程について確認をとってきました。
 この中でも原料は産地・品種・産年・等級ごとに保管し、受入れの検査として伝票と現物の確認、玄米の水分などの品質の確認を行っている。それで問題なく受入れの基準に合致していれば、実際、製品の状況に合わせて張込口という形で原料玄米を投入口に入れます。その際にもう一度フレキシブルコンテナや袋に付いている農産物検査証明書を確認した上で投入をしていく。次に、小石の除去など、小石以外のいろんな異物の除去を行った上で玄米タンクに一旦保管される。
 次のページをごらんいただくと、その後、精米機で玄米をとう精して精米になる。そのときに割れているお米などはふるいを通して除去をします。このふるい目がどのぐらいかというのは各精米工場でも違うこともあったのですけれども、1.67とか1.9mmとか、精米工場によって実態は少し違っていたんですが、砕けた米はふるいの下に落ちるようになっています。
 その後、色彩選別機というものでCCDカメラや近赤外センサーで着色粒などを除く。これらの米はまとめて加工業者の方に販売されている。この工程が済んだものは精米タンクに入って、この後、またふるう工場もありますが、こういう形で計量して、最終的に品質検査の結果、袋詰めされるということでした。
 検査ではまた砕粒など品位の検査をしたり、内部的な確認のため、DNA検査を依頼したりしていました。工場でお聞きした中ではプライベートブランドであればプライベートブランドのブランド側がDNAの検査を定期的にしなさいということを決めていて、それに沿ってDNAの検査を行っているとか、納入の流通の方からの要望でDNAの検査証明を定期的にやっているお話も聞いてきたところです。
 この段階でそれぞれ大手精米工場さんの場合にはコンタミ防止のためにエアーを使ってラインのお米を全部除去するやり方をとっておりました。先ほどの中に小さいお米屋さんにも行ってきたところですが、小さい工場でもふるいが入っている精米機を使っていて、砕米を除去、小さいお米は除去する。コンタミについても小さい精米機なので掃除しているようですけれども、そういう形で混ざらない努力をしているということでした。
 次に、各社の意見を聞いてきたものとして資料3-4をごらんください。
 米穀卸売業者の方々や米の小売の方々の一般的な声といいますか、今回お見せしていただいたところには未検査米を使っていたところがなかったこともあり、基本的に農産物検査の証明書を品種・産年・産地の記録確認の証明として使われている。そういう形で受入検査の重要な証拠書類になっていることもあって、その代わりになるものがあれば、それでもいいですよということをおっしゃっていたところもありますが、農産物検査に基づく表示が基本であるという声が一般的でした。
 未検査米について品種・産年がどうかということをお聞きしたところ、やはり情報が伝票等の情報だけでは不安ではないかという声。
 複数原料米の都道府県別産地はどうなのかというのは、やはり頻繁に産地が切り替わったり、複数原料米についてはそのときに応じた原料に合わせて精米をすることがあるので、なかなか難しいのではないかという声が多かったです。
 3ページは各団体お名前を出してございますが、基本的に産地証明については反対。やはり担保として、証拠として農産物検査の証明が役に立っているという立場かと思うんですけれども、その中で農産物検査法によらない証明行為というものが本当にできるのかどうかという御意見。それから、品種・銘柄・産年については従来どおりの証明でよいのではないかという御意見。米の表示については慎重に考えるべきではないかという御意見などをいただいております。
 4ページにも端的に出ているんですが、川上の段階からの農産物検査の証明が流通全体の秩序を守る役割をしているのではないかとか、未検査米についても不適正流通を取り締まる仕組みが担保されていない中で、担保されず農産物検査に基づかない表示の義務は適切ではないのではないかとか、このような意見が出ています。
 4ページの上の方に平成22年11月及び平成23年4月に提出した意見書をベースとした意見と書いてあるのですけれども、各団体さんについてはヒアリングした結果をもう一度お返しして、内容を確認していただいたときに修正された意見をそのまま掲載しております。
 5ページに主婦連合会さん、全国地域婦人団体連絡協議会さんからお聞きした意見を書かせていただいております。主婦連合会さんの御意見としては、JAS法の表示に農産物検査による証明を必要とすることは、次の理由により妥当だとは言えず、米表示の透明性確保の観点から見直しが必要と考えますという形で、4点の理由を述べられています。
 複数原料米についても問題があるという御指摘。それから、放射能問題にかんがみ、都道府県等産地だけではなく、地域の産地も表示するべきではないかという御意見をちょうだいしました。
 全国地域婦人団体連絡協議会さんからは、産地、品種、産年の情報は消費者が商品を選択する際の判断材料となるものであり、すべての商品に可能な限り表示すべきと考える。検査米と未検査米の表記も希望する。複数原料米については上位の産地表示を希望する。これも勿論、義務としてという形でお話を聞いております。
 農産物検査機関ということで日本穀物検定協会さんにもお話を伺ってきていますが、その際も農産物検査法に基づく証明と同等となり得る公的証明を受けた場合に限っては認めるべきではないかという考え方。下の方には品種はDNA鑑定が可能で、産地・産年についても科学的技術の開発が大分進んでいるので、こういうものを根拠として表示を認めることは早急に検討していくべきと考えますという御意見をちょうだいしております。
 資料3-5をごらんいただきたいのですが、こちらもふるい下米、砕粒についてどうお考えですかという御意見を伺ってきたところです。主に米の事業者さんの方々は、ふるい下米をどう考えるかというよりも、砕粒についてどうなのかという御意見をちょうだいしてきたところもあったので、なかなか砕粒を仮に決める場合にも表示をどうさせるかという疑問点などをちょうだいしておりました。具体的な数字を表示するのは難しいのではないかという御意見や、米として2~3等の米をとう精すれば10~20%の砕米が入る可能性はある。わざわざ入れる人はいないのではないか。古いものだとどうしても先ほどもお話があったように、砕米が多く出る場合があるということなど、砕米を表示するというときにも、いろんなルールの決め方があるのではないかという御意見をちょうだいしています。
 2ページに米の小売業者さんや米の加工業者さんの意見を書いてあるんですけれども、ゼロにすべきではないかという声とか、ふるいの下のものは主食にならないように、法律で決めるべきではないかという御意見もちょうだいしてきたところです。
 例えば砕米、砕粒の基準をつくったとしても、そこまで入れるような人もいるのではないかという御意見もちょうだいしてきたところもありますし、1.何ミリ以下の砕粒は混入させてはいけないという明確な規格が必要なのではないかという御意見。砕米は食味に影響するので入れない方がよいと思うし、うちは砕米を購入して価格を抑えるようなことはしていませんよという御意見も伺ったところもございます。
 各団体さんからの意見は3ページの方にありますが、先ほど課長からもありましたように、その商品の品位が一定の基準に達しない場合に、その旨を表示することを義務化することを提案する御意見もあったところですけれども、精米は袋が透明になっており、内容を価格と照らし合わせて自ら判断して購入することも可能ではないかという御意見もありました。
 砕米、ふるい下米の使用実態を明確化することは、消費者選択の一助になるのではないかという御意見もございましたし、4ページとして主婦連合会さんら消費者団体2団体が書いていますけれども、ふるい下米については外から判別できないので問題ではないか。何がしかの表示はすべきではないかという御意見。
 穀物検定協会さんからは、ふるい下米使用の表示などに関する要望があるというのは、精米それ自体の品位に関する表示がないことが原因ではないか。一定品位の精米と区別を可能とするように、基準を満たしたものについてその旨を表示することによって、低品位の精米と区別することが可能となり、消費者の適切な商品選択に資することが考えられるという御意見も出したところです。
 以上のように、いろんなところに職員が出向いて、いろんな意見を聴いてきた結果として御報告させていただきました。
 以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。消費者庁からの御説明でございました。
 本日は山浦委員より事前に参考資料4の意見書をいただいておりますので、議論に入る前に、まず山浦委員の方から参考資料4に基づきまして御説明をお願いできればと思います。山浦委員、説明は5分以内程度でお願いいたします。

○山浦委員 ありがとうございます。
 私の方は参考資料4ということで、傍聴の方々にも配付していただきました。机上配付で委員の方々には後で説明いたしますが、現代農業という雑誌に今野さんという方が書かれた、くず米の流通についての意見。それから、実際に庭先でくず米の流通がどうなっているかということを調査された岩瀬さんという方の、やはり現代農業の記事、そして岩瀬さんが秋田県立大の学生だったときに卒業研究で書かれた論文の要旨を付けておきますので、それに基づいて5分ということなので簡単に御説明したいと思います。
 今、事務局の方から説明がありましたように、お米の流通についての実態調査をされたというわけでして、特にくず米についての取扱いということがお伺いできたわけですけれども、私がまだ不満に思うのは、実際に農家の庭先でくず米がどのように集荷されて、そして、それが流通にどういうふうに入っていって、最終的に消費者はどういうふうなお米を買って食べているか。その中身についてはまだまだわからないところが多いのではないかと考えます。
 今回、未検査米についても県の名前というのは書くけれども、産年とそのほかの品種についても書くということはないわけですが、これがふるい下米の問題もそうですけれども、非常に消費者にとってはわけのわからないものが流通してしまう原因になってしまうのではないかと考えます。
 一番の原因は以前から申し上げていますように、農産物検査法による等級というものを設定するやり方と、JAS法によるお米の表示ということの間に乖離、矛盾があって、実際に消費者が米を選択するときに農産物検査法のそういった基準が生かされていない。むしろそういったものがブラックボックスに利用されてしまう。こういったことが構造的に問題ではないかと思いますので、この問題を検討して改善していかなければ、問題の解決にはならないのではないかということを申し上げたいと思います。
 具体的に、今、話題になっております未検査米の産年・品種についての表示については、私は米の検査規格の見直しを求める会の会員でもありまして、そこでいろいろと普段から議論をしておりますけれども、それに基づいて意見を申し上げたいと思います。
 私の参考資料の2ページに未検査米の産年、品種の表示についてということで簡単に意見を述べさせていただきましたけれども、従来、ふるい下米等についても定義がありまして、これが消滅してしまった歴史がある。そして精米品位基準も消滅してしまった経緯があるわけですが、表示の改善をするためにはこういった問題についてしっかりともう一度見直して、俎上に乗せることが必要ではないかと思うんです。
 まず第一に申し上げたいのは、農産物検査の有無にかかわらず、産地・産年・品種の表示を行った方がいいということです。
 2番目には、米トレーサビリティ法もあるわけですから、産年・品種についてもこれを証明していくシステムをつくるということで、すべての米穀の3点セットを米トレーサビリティ法に基づいて一元表示できるような仕組みといったものが望ましいのではないかと思います。
 くず米についてもしっかりと定義をして、これの流通実態がわかるように、これが流通の中で悪用されないように規定していくことが重要ではないかと考えます。
 傍聴の方には今日、配付していただいていないんですけれども、現代農業の方では今のくず米の流通の問題点について今野さんの文章を載せてあります。
 もう一点は、岩瀬さんの文章がありまして、岩瀬さんはくず米の流通実態を身を持って農家の庭先で集荷されている様子を調査し、それを卒業論文にも書かれているという資料がございますので、やはりこういった実態に沿ってこれからの制度というものを考えていかなければ、消費者にとってはわけのわからない表示というものが押し付けられてしまうということを申し上げたいと思いますので、こういったことも含めてしっかり議論をすることが必要ではないかということを申し上げたいと思います。ありがとうございました。

○田島部会長 ありがとうございました。
 それでは、これから御議論に移らせていただきますが、事務局の方では資料2と資料3を分けて議論したらどうかと御提案していただいておりますけれども、資料2と資料3はどちらも関連した話でございますので、合せて御議論をいただければと思います。ですので消費者庁からの御説明の資料につきまして御意見がございましたらば、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

○阿南委員 資料3-2と資料3-3の実態調査について質問させていただきたいのですが、それぞれカントリーエレベーターについても、もみ摺りをした後に検査をして、フレコンに入れていくわけです。精米工場も精米をしてくず米をちゃんとチェックしていますけれども、そのどちらにおいてもくず米については別に梱包されて、分別で流通に回っているのかどうかということについて、ちょっとお聞かせください。

○中村課長補佐 カントリーエレベーターの方のくず米、ふるいしたものについては、JAを通して加工業者に販売されているということで、全く別な方法でやられておりますし、当然、精米工場の砕米、精米になったものの砕けた米についても別包装にされて、当たり前のことですけれども、別なものとして加工業者に流通されておりました。

○阿南委員 もう一点、山浦さんに質問したいのですけれども、米トレーサビリティ法に基づいて一元表示できる、品質のところに位置づけられたらいいのではないかと思うのですが、こうした場合に農家の庭先で集められたいわゆるくず米が、このところで十分にチェックされるかどうかということはどうでしょうか。トレーサビリティ法でこのような仕組みをつくったときに、庭先収集のくず米はちゃんとチェックされることになるのでしょうか。

○山浦委員 それは流通の過程でわからなくするような実態があるわけです。ですから、それをわかるようにトレーサビリティをかけることは至難の業ではあるかと思うんですけれども、ただ、それが実際の米の流通過程でそういったものが購入されて、大手のところでそれが利用されていくという過程はあるわけですから、そこの事業者に入っていく段階でその袋についてチェックできるような仕組みは何らかとられなければいけないと思いますので、そこのところの例えば伝票の処理とか、そういうものについての証拠をしっかり集めるとか、そういう形でトレースできるような仕組みにしていかなければいけないと思うんです。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 私も御質問ですけれども、このカントリーエレベーターにおける実態調査のところの産地・品種・産年・品位の目視の確認ですが、品種については例えばDNAでやるというのはよく私たちも知っていますが、産地とか産年を、ここでは品種も含めて目視で確認されています。これは私は伝票で書類確認をしていくという意味はわかるんですけれども、目視でどのくらいわかるのか教えていただけますでしょうか。

○中村課長補佐 見てというのは、実際に品種を見てという形で、産年に関しては今年に収穫している米かどうかは、古いお米かどうかは見てわかるという話もあります。品種についてもカントリーエレベーターで行われている農産物検査の検査員に直接聞いてみたのですが、基本的に集荷段階でその地域の、数が限られている品種の中で見ていくので、関係の書類と合わせて見れば、わかりますと。疑問がある場合は複数の検査員で確認をとって、もう一回関係書類等を突き合わせるなり、農家に確認するなりしてチェックをしていますというお話がありました。
 どのぐらいわかるかということは、わかると言われたので、そのことだけ聞いてきております。

○宗林委員 関係書類というのは、出荷したときの伝票とか、そういったものですか。

○中村課長補佐 出荷書類というのは種子の購入記録や栽培記録、栽培計画書など、一連の書類になっています。ですから出荷伝票というだけではなくて、遺伝子組換えの分別生産流通管理のときも同じようにいろいろな関係書類を提出させて、それで確認をしているというお話でした。

○山浦委員 今の御説明ですけれども、やはり農家の自主的な書類を提示して、それを見て了承ということが実態ではないかと思うんです。ですから場合によっては抜取り的にDNA鑑定を含めて、本当にそうなのかどうかという検査をすべきだと思うんですが、そういったことは行われているのでしょうか。

○中村課長補佐 そのようなDNA検査をやっているという話はなかったですが、依頼があったときにはDNA検査をやったというお話は聞きました。

○迫委員 資料2に関連して質問させていただきます。
 まず1点目は、資料2の2ページのグラフでございますけれども、砕粒の非常に多い事業者の商品があるということが、この中で言うと25%という高いものもあるということで、全体としては砕粒8%を超えているものは6%程度というお話を伺いました。これは先ほど別の説明の中で、砕粒については別に処理がされており、加工用に回されていることになっているとのことですと、この8%を超える数値というのは、自然に流通過程で砕粒になってしまったものと言えるのかどうか。
 もう一点は、これだけの砕粒割合の大きいもの、件数としては少ないわけでございますけれども、基準が8%だとすれば、それに対する監視指導体制があるのではないかと思うんですが、その辺について教えていただきたいと思います。

○中村課長補佐 砕粒というところでもう少し詳しく、きちんと説明すればよかったと反省しているのですが、資料3にある下に来る砕米というのは製品の方に回らないものです。ですので、これが混入することはヒアリングの段階ではあり得ませんと聞きました。
 製品中に残ってくる砕粒というものは、ふるいの工程とか、どうやって入るかというのは実態的には私たちもよくわからないのですけれども、いろいろなお話をお聞きしていると先ほど申しましたふるいがどのぐらいで、下の方に落ちるお米はどのくらいにするかということで、そのふるい目をどうするかによっても変わるでしょうし、推測ですが、もともと質の悪いお米、例えば胴割れという状態で、完全に割れてはいないんですけれども、製品中に胴割れという形で入っているものが流通段階で割れるものもあるでしょうし、いろんな形で割れているお米が入りやすいことがあるようです。
 私たちが見た工場は、途中からそういう別の米を入れるという工程はなかったんですけれども、やろうと思えばそういう工程ができることも事実かなとは、そういうこともあり得るのかもしれませんし、今回の調査やヒアリングの中では、砕粒が多いお米をつくっているところには行っていませんので、詳しいことは当方では今わからない状態になっております。
 自主的なガイドラインについてどのようなチェックがされているかということは、ガイドラインを持っている事務局に確認していないので、申し訳ないですけれども、今はわかりません。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。

○立石委員 山浦委員の御意見の中で賛同する点もありますけれども、やや誤解をされている点もあるなということで、その辺を修正したいと思います。
 まず、農産物検査法についての誤解がかなりあるのではないかと思います。農産物検査法はもともと御存じのとおり食管法の時代に国がやっていたものです。これが改正食糧法の中で民間に移行される中で、国の仕組みをそのまま今も続けているというのが実態です。
 やはり一番川上において、生産者がつくられたお米を、まず、つくった生産者がそれを持ち込むというところが基本なのです。米の流通というのは多段階、御存じのように三笠フーズの事件とか見てのとおりでして、ものすごくあちこち動いており、多段階流通です。それから、これは長期間の貯蔵が可能ですから、そういった中でさまざまな偽装だとかに使われてきたのは御存じだと思います。やはり一番川上のところできちんと押さえていく必要があります。品種・産年・産地は地域の中で近いところで確認をしているからこそ守れるのです。
 確かに品種というのは難しいです。これはプロでもわからないです。川上から川下に流れていく中で、例えば、コシヒカリとこしいぶきの違いはどうかとか、そういった違いがだれがわかるかというのはわからないわけです。米の世界というのは信用取引なのです。ですからほかの農産物とは全く違うということを押さえていただかないと、これはどこかでやらなければいけないわけです。最初のところでやらない限りは難しい。ですから私は農産物検査にこだわるつもりはないと思っています。何かほかのやるべき手法があれば、それで置き換わるものがあればいいと思っています。
 アメリカだってインスペクションの仕組みがあるわけですけれども、これは全員をきちんと巻き込まないとできないのです。全員を巻き込むという仕組みがあるからこそ、同じ規格でもってやっていける。国でもってつくるか、アメリカでは生産者自ら声を出して、3分の2が合意すれば全員を縛るという仕組みがあるからできるわけですが、今は全員を縛れない。統制経済から自由化に向かったときに、この農産物検査法自体の網のかけかたがやや弱まった。山浦さんが指摘されているようなくず米の定義、こういった仕組みがなくなったとか、幾つか問題があるのです。そこら辺を押さえておかないと、今、考えていかないといけないのは消費者の立場の表示をどうそれに結び付けていくかというところで、もう一回議論をそこに焦点を当てないと、農産物検査法がだめと言われても、別にだめと言うのであったなら、それに代わるものがあればいいんですけれども、それに代わるものはどうも見当たらないのです。
 何かあればいいんですけれども、DNA検査をしても膨大な金がかかるわけですし、実際に現場に一番近いところで生産者の顔を見ながら、その生産者が嘘を言っているかどうか、何をつくっているか一目瞭然でわかるわけです。その地域に根差している生産者の近くでやっているわけですから、そういったところでは騙しようがないわけです。その信用を基にずっと商取引は続いているということを、まず申し上げたいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。山根委員、どうぞ。

○山根委員 今、立石委員からお話をいただきましたけれども、私はやはり農産物検査は生産者の申告どおりの目視検査ということで、表示の根拠としては弱いと思っています。
 それと、ヒアリングのときにもお答えして紙にもありますが、等級がつくけれども、それが川下の生産者には届かないということですとか、いろいろと課題がありますので、大きく見直すべきだと思っています。
 トレーサビリティ法もできました。DNA検査のキットなんかも大分簡易なものもできていると聞きます。その辺りも昔とは随分違っていると思いますので、農産物検査については抜本的に考え直す時期かなと思っています。

○田島部会長 ありがとうございました。
 青柳委員、どうぞ。

○青柳委員 先ほどの迫委員の質問と似ているかもしれませんけれども、資料2のグラフなんですが、砕粒と価格の相関関係なんですけれども、このばらつきを見るとほとんど関係ないという感じなんです。そうなると例えば消費者の方は例えば0%のものと15%のものが同じ価格でずっと並んでおりますが、全くわからない状態で買っているという状況になってくるわけです。それと、こんなに実際に差が出るんですか。そこら辺をお聞きしたいと思っています。

○中村課長補佐 相関があるかないかというのは今お話があったように、安いものに砕粒が多いという相関はないです。全体の差がどうかは実態調査なので、これ以上のことはわかりません。下の表のように単一原料米、もう少し細かく層別した表を付けていないのですが、複数原料米でも銘柄がこう書いてあるお米や、一部証明されて表示があるようなものに比べると、全く何も書いていないものの方が砕粒の量が多いものの頻度が多かったことはわかっているんですけれども、それ以上のものはわかりません。今の実態はこういう状況になっております。

○田島部会長 私自身も見て、砕粒が15%もあればかなり食感的に違うので、消費者の方は気が付くのではないかと思うんです。

○中村課長補佐 食品総合研究所が1980年代に調べた結果でも、10%を超えると食味が悪くなるという報告が出ているところですので、山浦委員の資料の中にも少し苦情の例が出ていると思うのですけれども、買った方が苦情になっている例というものが出ているものもございます。見てわかるかというと、先ほどのヒアリングの結果の中に、袋が透明になっていて見えるようにということはあるんですが、そこまで気づいて購入しているかどうかというと、それは何か1回そういう経験があると注意深く見る方もいらっしゃるかもしれませんけれども、具体的に何か書いてあるわけではないので、そこまで見てはないのではないかと推測されます。

○田島部会長 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 今回は調査結果という報告でしたが、私は玄米及び精米表示基準、現行の精米の表示基準、参考1と参考資料2に玄米の品質表示基準のガイドラインというものが制定されていて、それと併せてこの間、表示の共同化の中では品種・産年・検査の手法についての課題であるということが明記されているのですが、消費者庁としてどういうことが今、課題だと思っているのですか。
 要するに、何を議論してほしいかがわからないのです。現状がどうなっていると言われても、今、調べた段階ではこうですということを我々に漠然と言われても、これは全体の表示の中で私がどれだけ重みづけて言うべきなのか、そういうことがわからない。今後はそういうことも含めて検討されるのですか。
 結果について事務局の方から説明がありましたから、その中で今後必要改善なり、表示としてこういうことについて検討していかないと、現行の表示基準なりガイドラインでは不十分であるとか、そういう点があれば教えていただけますか。そうしないと議論が進まないような気がするのです。何について議論したらいいかさっぱり不明で、消費者庁が中立的に全部投げていただくのはいいのですけれども、何をしたいのかという方向、道しるべなしに議論しても非常に無駄なような気がするのです。その辺を教えてください。

○田島部会長 確かにおっしゃるとおりで、品質表示基準の見直しをどういうふうな点で見直す必要があるから、消費者庁としては今後こういうふうに見直したいというような、もう少し展望といいますか、先の話を少ししていただけますでしょうか。

○増田食品表示課長 確かに余りこちらからこうしたいというのを申し上げるのも、またこれが適当かというのはありますが、1つは砕粒については前回の意見募集のときにふるい下米、くず米という表現もありましたけれども、そういったものについては流通過程に入れるなという意見もありましたが、少なくとも消費者がそういったものが入っているときは、入っているものがわかるというふうにすべきではないかという意見があって、調査を開始したという点がございます。
 そういった意味からすると、まさに何を表示させるか、どういう場合に表示させるかというのは非常に難しいんですけれども、そういった砕粒といったものが入っている、あるいは一定以上入っているものについては、何らかそれが消費者にわかるようにする必要が、問題意識としてはあるのではないかということを考えております。ただ、何をどういうレベルでさせるかというのは非常に難しい問題だと思っております。
 もう一つの品種・産年については、1つは平成22年の規制改革の閣議決定の中で、今、検査した場合にのみ書けるというものについて、広げるべきではないかという閣議決定がございました。そういった意味では政府全体として、それ以外の場合で表示できることを検討していくという方向にはあるのだと思っております。
 ただ、閣議決定の中でも一定の場合には、あるいは農産物検査と同等の証明ができる場合には書くということが考えられるのではないかというふうに指摘されておりまして、そういう意味では留保なく表示させたらいいのではないかというものでもないというのが、22年のときの考え方の整理でございます。
 これについてもどれが適当かというのは非常に難しいのですけれども、今、特に流通業者等の方からお話を伺う範囲においては、農産物検査以外で要するにあるものを信じてそれを表示することは、なかなか不安がありますねという声が多いことは事実だと思います。端的に言うとある流通業者が売るときに、前の人が「これはコシヒカリですよ」と言って自分で買ってきて、それをコシヒカリと書く。それがいいのかというと、そういうものではないでしょうというのが多分、流通業者の多くの意見だろう。それは要するに、そんなことで本当に正しいかどうかわからないでしょうということだと思います。
 さはさりながら、検査以外一切書いてはならないかというと、それは人によっては検査が基本だと言う方ももちろんいらっしゃるんですけれども、同等にチェックできるような状況であれば、それは検査に限らなくてもいいのではないかということで、その点についてむしろ私どもの感じといたしましては、どういう状況であれば今の農産物検査と同等の証明ができるものなのかということをある程度整理して、そこから先はその範囲でどうするのかというのはまた議論があると思います。いずれそういったものについて品種なりを書いていく場合を広げていくのかなと思っておりますが、当然、そうでないとおっしゃる方も多いと思うので、それは我々もイメージとしてはそういうものを持っているということでございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 消費者庁からの御説明ですと、少なくとも今よりは改善していきたいということで、その方向性につきましてはまだこれから御議論をしていただきたいといったことだったと感じました。

○立石委員 幾つか論点があると思うのですけれども、まずふるい下米の問題については表示の義務化が必要なことだろうと思います。
 あと、山浦委員も指摘されている生鮮食品品質表示基準と玄米、精米品質表示基準のダブルスタンダードの問題は是正していくべきだと思います。
 検査法については先ほど山根委員が自主申告と言われましたけれども、農業の世界はすべて自主申告です。農家の方の作業だとか、農薬をまくだとか、すべてのことが自主申告しかあり得ないのです。自主申告がだめと言われれば農業を否定することなのです。農業というのはすべて生産者しかわからないのです。つくっている方しかわからない世界があって、それをきちんと一番近いところで確認するという作業こそ、まさに必要なことで、それに代わるものがあれば、一戸一戸つくった圃場はどこか確認して、その圃場に確認に行く。確認に行ってそこでまたチェックをするという仕組みをやれば膨大なコストがかかって、こんなことは合わないわけです。そういうところも含めてよくよく農業ということを理解していただきたいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 消費者庁としても、今後の方向性というものがそれほど鮮明ではないということでしたので、私の感じを申し上げますと、トレーサビリティの充実は米の世界でも非常に重要ではないかと思いますので、目的としては消費者の選択権が確保できるような制度にどう改めていくかということが、最終目標ではないかと思うんです。
 個々のいろんな問題については今、立石委員もおっしゃったようにくず米の基準は例えば韓国ではあるわけです。こういったものを日本でも導入するとか、玄米には等級がありますけれども、白米になるとわからなくなります。こういった矛盾を解消して、例えば同じ等級ということを考えるのであれば、白米ではどうなのかということも考えてみるとか、やはり消費者の目線から見てどういう米かということがわかるような仕組みを構築していかなければいけないと思うんです。
 検査と未検査については、例えば生協が使うお米とか、生産者が直接消費者に販売するお米とか、さまざまな流通が今、展開されておりますけれども、私どもでは未検査として流通しているが、これは顔の見える関係で検査米よりもむしろ中身がよくわかっているという実感があるんです。ですから、米の流通についても実態をもっとしっかり把握された上で、今の検査米というものが形ばかりの検査になっていないかどうかということをしっかり反省した上で、検査、未検査ということも考えなければいけない。
 そういう意味では未検査米に産地だけではなくて産年とか品種を書くのは、これはむしろ現実にできるところが多いと考えますので、今後の改善策としては、まず未検査米についても表示をしてもいいというルールにしていくとか、先ほど申しましたくず米についての基準を設けるとか、そういったことから始めていくことが必要ではないかと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。中下委員、どうぞ。

○中下委員 先ほどの議論の方向性の御説明があった中で議論を聞いておりまして、農産物検査法そのものをどういうふうにしていくのかということも併せて御検討いただかないと、今、検査法と表示の仕組みとが必ずしもぴったり来ていないところもあるわけで、何がどういうものを表示しなければいけないかということを考える上で、では農産物検査法との関係はどうするのかということも当然考えていかなければいけないのではないかと思いますので、その点も論点に加えていただいたらどうかと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 農産物検査法は農林水産省の所管ですのでなかなか難しいとは思いますけれども、消費者庁の方で御検討お願いします。

○立石委員 米トレーサビリティ法の中できちんと伝達ができるということであれば、私は大いにやるべきだと思うのですけれども、現実的にはそうではないのです。極めて性善説に立っているわけです。流通業者すべてが善人であれば当然成り立つわけですけれども、法の網をくぐる人間がいるわけです。そこで崩れるわけです。全体の秩序が崩れていく。そのときには、直接取引されているいい関係でつくられている、それはそれでいいと思うのです。だけれども、全体の秩序が崩れたときに消費者、生産者ともに共倒れになってしまうのです。全体の秩序をどうつくるかということを主眼に置いてやるべきであって、今、生産者と直接取引されている。だから見える関係。それは大いに結構だし、やっていただきたいと思いますけれども、全体がそうでない中でくずれてきているからこそ、いろんなルールがつくられているわけでありまして、その辺をどういうふうにつくっていくかという点で、もう一回議論すべきではないかと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 森修三委員、どうぞ。

○森(修三)委員 表示のことに関しては検査、検証が非常に重要と考えています。先ほど御説明にもありましたように、品種に関してはDNAの方法とか検討されていて、ある程度実用的なものが出てきていると思っておりますけれども、今回の資料の中にも農産物検査法によれば大体5kgで50円程度(発言者訂正:5円程度)という検査の費用がコスト的にかかっているという御意見が出ておりますが、もし仮に現在いろいろ検討されている新しい検査法と言うのでしょうか、そういったものは大体コスト的にはどの程度のものになってきたのか。いろいろ議論はされていますが、かなり高そうだなという感触は持っておりますけれども、実際どの程度のところに来ているのか。その辺のところがもしありましたら御説明いただければと思っています。

○田島部会長 お答えできますか。

○中村課長補佐 ヒアリングの際に聞いている話だと、やはり1万とか2万という単位でDNA検査をやっていると聞きました。ただ、それが分析機関の公定的な料金なのかどうなのかわからないのですが、確実に50円という世界とは別なものになるかとは思います。すみません、分析機関によって料金が違うこともあるので、今、正確にお答えできる数字は持っておりません。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。

○阿南委員 立石さんが先ほど、今の仕組みが崩れているというお話をされましたけれども、私は今の検査法の仕組みよりも、今度施行された米トレーサビリティ法をもっと厳格に運用していく中で、より消費者にもわかりやすい仕組みができてくるのではないかと思うのです。ですから、先ほども山浦さんがおっしゃっていましたが、くず米も導入して何かつくろうとするときには、それも全部証明が必要になってくるわけなので、私はそこで必ずチェックできるようにするということで運営していけばいいのではないかと思います。だから米トレーサビリティ法を拡充していく、強化していく方向がいいのではないかと思います。

○田島部会長 ほかに御意見ございますか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 結果的に、今の農産物検査法自体は、生産者がお金を一俵50円なり出して負担しているのです。その結果、そのことが担保となって、それが川下の方も含めて流通の中で信用取引になっているということなのです。
 米トレーサビリティ法という中で、伝票の受け渡しの中でやっていく米の商品性、特にほかの農産物との違いというのはわからないのです。先ほどのDNA検査は1検体当たり2万円かかるわけです。そうすると現実的には嘘が入ってくるわけです。これはほかの農産物とわけが違うのです。私もずっと米以外のことはさまざまやってきましたけれども、米以外のことは比較的見抜けるわけですが、米はなかなか見抜けないのです。もしそういったトレースというか検査法できちんと証明になって、ずっとこれが袋に現物にずっと続いているわけです。ところが、それがないわけです。今、言っている米トレーサビリティ法だけやるとすると、何もないということは普通の袋でもって、伝票の中でそういう確認をしていく。その中に悪い人間が1人でも介在すればこれは全部崩れていくわけです。そして、悪いことをしたということがなかなか判別できないのです。だれがどこでやったか。これも当然お金がかかる、検査もかかる、コストもかかる。そういったことでいくと、このトレーサビリティ法の中で限界性があることを申し上げたいのです。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。

○迫委員 今までの議論をいろいろ聞かせていただきまして、砕粒の問題をどうするのかという問題と、産年または品種の表示についてどうするのか、一緒に議論していることで、かなり混乱を来しているのかなという気がしております。
 1点、砕粒に関しては現段階で表示を進めていくというのはいいのではないかと思うのですが、その前の段階で品質表示基準と、私も米のことは余り詳しくなくて申し訳ないんですけれども、農産物の規格規程、ガイドラインそれぞれに及ぼす範囲と言うのでしょうか。例えば先ほど砕粒の問題ではふるいのサイズがそれぞれ事業者によって違う可能性がある。これは断定的ではございませんでしたけれども、そういうことであるならば、そのふるいのサイズを規定していくことを基準の中に位置づけるとか、ガイドラインの8%という数字をガイドラインより上位なところに位置づけるということも、当面できる話としてはあるのではないか。
 品種その他については、これは中間的な話になりますけれども、トレーサビリティの拡充を図ると同時に、現行の中でそれをどういうふうに生かしていけるのかというところでの具体的なスケジュール感みたいなものを併せて示していただけると、より具体的に議論が進んでいくのではないかと思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。

○夏目部会長代理 私は米を栽培している生産者の立場と、皆さんのように米を消費する消費者の立場で見ますと、先ほどたびたびお話が出てきますように、お米を栽培して販売をしていくまでは信用取引だと思います。栽培履歴を私たちは一生懸命書きますけれども、それはあくまでも自主申告でありますし、トレーサビリティの根拠になっているのも自主申告なんです。農薬の使用状況も全部自己申告です。そこでもって、それが信用できないということになりますと、全くそれは取引ができない、生産もできない状況になるというのが、これは生産者の現場で申し上げたいと思います。
 勿論、米を栽培するときに全く独立して、自分1人だけが例えば人の介在しないような場所でつくるわけではありません。多くの生産者の中で水田というのはあるわけですから、つまり地域の中ではだれがどの段階で例えば農薬を使い、どこの水田、圃場でどの品質をつくっているかというのは一目瞭然なわけです。そういう中で皆さんは一生懸命つくっているということを御理解いただきたいというのが生産者の立場です。
 それとはまた別に、消費者としての考えとしましては今、出ておりますふるい下米、つまりくず米が製品の中に混じって流通されている現状というものが、この実態調査でも明らかになったわけで、明らかに食味を損なっているような状況を消費者にわからないままに提供しているというところは改善していただきたい。課題が多いのではないかと感じております。
 さまざまな課題がある中で表示についてもっと改善をして、価格は消費者の選択でございますけれども、少なくとも納得して買えるような表示をもう少し適正化していくという観点は必要ではないかという感じを今、御議論を聞いていて思った次第でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。とりまとめをしていただいたような印象でございますけれども、ほかに御発言ございますでしょうか。
 それでは、まず第一点の砕米に関しましては、この部会としては表示を進めていっていただきたいという雰囲気であったと感じました。
 産地・産年の表示について、未検査米での表示につきましては、米トレーサビリティ法の適用を考えるべきだという御意見が山浦委員、阿南委員辺りから強く御主張がありましたけれども、それに伴うコストアップをどう考えるかという話もございました。

○宗林委員 済みません、やはりこの砕粒についてなんですが、ガイドラインの方では1.7mmのふるいをもって8%以下とするというふうに書いてあることと、食味との関係で10%を超えるとかなり影響があるということ、もしそういうことがあるのであれば、表示だけで済ませるのか、今回の結果ですと10%を超えているのが6%あってびっくりしたという感じなんですが、一般消費者が買う際に基準というか、それよりも多いものは食味として問題だという線を引くことが可能であるのかどうかは、表示だけというよりも基準化で考えた方がいいと思うのです。
 ただ表示で破米が25%あります。安ければそれでいいのかどうかというと、そこまで砕粒が混ざっているものについては、書いてあれば一般の人がみんなそれでわかるわけではないので、ガイドラインに従ったような形の8%以下の基準があってもいいのではないかと思いました。

○田島部会長 ありがとうございました。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 その辺を基準とか通知のレベルに、ガイドラインはあくまでガイドラインでございますので、それをもう少し上の段階に上げていただくことで可能になってくるのではないかと思われます。ふるいのサイズが自由に規定できるんだとすれば、もともとその基準すら意味がなくなってくる可能性がありますので、それを統一的にしていくことが1つ入ってきさえすれば、表示のあるなしにかかわらず、品質の高いものが供給されるのではないか。そんなふうに思います。

○田島部会長 ありがとうございました。そのことも含めまして砕米につきましては今後、表示をする方向でもって検討していただきたいと思います。

○山浦委員 先ほど田島部会長がまとめられました中で、産地・産年ということについて言及されましたけれども、産地については未検査米であっても書くことになっていますので、先ほどの御発言の中では産年と品種について今後検討すべきではないかということだと思います。

○田島部会長 間違えました。ありがとうございました。
 ということで、消費者庁の方で更に検討していただきまして、しかるべき御提案をしていただいて、再びこの部会でもって議論していただきたいと思っております。よろしゅうございますか。
 それでは、次の議題に進ませていただきます。その他報告事項として、乳児用食品に係る表示基準の設定に関する御意見募集の開始についてでございます。これも消費者庁の方から御説明をお願いいたします。

○増田食品表示課長 参考資料5をごらんください。前回の食品表示部会で乳児用食品に係る表示基準、これは今、検討中でございますが、新しい放射性物質の基準値に乳児用食品というカテゴリーがつくられるということを前提に、それについて消費者がそういった放射性物質に係る規格の食品であることがわかるように、乳児用食品についての表示をするというものでございます。
 前回御議論いただきました基本的な考え方で先月1月27日に意見募集、パブリックコメントの手続をしてございます。現在のところまだパブリックコメントの期間中ということで、月末にパブリックコメントの期限となっております。
 本件につきましてはこのパブリックコメント、それと並行的にやっておりますWTO通報の結果、これらを御報告させていただきまして、3月末の食品表示部会で改めて御議論いただきたいと思っております。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に御質問等ございますでしょうか。御報告ですので承っておきます。
 本日の議事は以上でございます。事務局から連絡事項等ございますでしょうか。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
 次回の日程につきましては今、3月という月が出ておりましたけれども、改めて日程調整させていただきまして御案内をしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

(以上)