この賞の設立の契機となった野口英世は、非白人への偏見や身体的ハンディキャップをものともせず、黄熱病研究のためアフリカへ渡航した。野口の勇気、情熱、フィールド調査への信念が、彼の偉大な貢献を可能にした。そして、この信念こそ、野口と本賞をつなげる理念なのである。
本賞の創設に当たって、第一の課題は、多様性と包括性を確保することだった。このため、アフリカを含む全世界から候補者を求め、選考委員会の委員も国際的な顔ぶれを選んだ。第二の課題は、選考の過程で、公平さと学術的厳格さを確保することであり、医学研究・医療活動分野それぞれに選考委員会を設け、専門家レベルでの選考を行った。第三の課題は、保健・医療の現実に即した賞にすることであり、また、奨学金の半分を一般からの募金により賄うことで、アフリカと日本の人々・社会との「つながり」も確保された。
本賞の第一の目的は、アフリカに関係する保健・医療問題についての研究を強力に促進することである。また、本賞は、疾病を取り巻く人的環境、自然環境、社会的側面など、より大きな視点を重要視している。
グリーンウッド博士は、マラリアに関する大胆で創造的な業績、特に殺虫処理した蚊帳の有効性、アーテミシニン誘導体との併用によるマラリア治療の基礎研究、マラリアワクチン研究への貢献などにより受賞した。ウェレ博士は、地域レベルの医療サービス向上に長年尽力され、子供のワクチン摂取率の大幅な改善、HIV/AIDS患者や社会的弱者への取り組みが評価された。また、両受賞者の業績には、ご家族の支援と理解が不可欠であった。
この賞は、アフリカ全体において医学研究や医療活動の多様なあり方を先導するユニークな試みで、最終的には、国際社会がアフリカの医療・保健問題に対処する方法を変革するものとなり得る。アフリカの保健に関する研究は、アフリカの人々の手で行われて、真に意義深く、持続可能なものになるのである。