第一回野口英世アフリカ賞授賞式における小泉衆議院議員による祝辞第1回野口英世アフリカ賞授賞式及び記念晩餐会

天皇、皇后両陛下、TICAD出席の各国首脳閣下、御列席の皆様、グリーンウッド博士、ウェレ博士、第1回野口英世アフリカ賞受賞おめでとうございます。

野口博士は、ちょうど今から80年前今月21日、アフリカのガーナで命を落とされました。しかし、今、野口博士の霊魂が天から舞い降りて、皆様と共に、受賞者をお祝いしているような気がします。

本賞は、私が総理在任中の2006年5月、アフリカ訪問の際、エチオピアに向かう機中で、そのアイディアがひらめきました。アフリカは、世界で最も深刻な病の問題を抱えている地域です。アフリカは、G8サミットで必ず取り上げられる国際社会共通の課題です。私は、以前から野口英世の伝記を読み、映画等を見て、野口博士の生涯に大いなる感銘を受けてきました。そして、私も野口英世の志を継いで、アフリカ、そして世界の医学の進歩、保健の増進のために何か貢献することができないかと考えました。そこで、アフリカの病気と闘っている医学研究者、医療従事者に、国籍を問わず、ノーベル賞に匹敵するような賞を創設してはどうかと考えたのです。

野口英世とアフリカとの関わりは、先ほどビデオで紹介された通りであり、改めて繰り返すまでもありませんが、既に世界的に名声を博していた野口英世が、敢えてガーナに渡り、アフリカ人の命を奪っていた黄熱病の研究をしようとしたその探求心、使命感、勇気―――これこそが今、アフリカの病の問題に立ち向かうために求められているのではないか。以上の思いがこの賞を思い立った原点にあります。

その後、ガーナのクフォー大統領とアフリカ連合のコナレ委員長にも相談し、賛同を得て、2008年のTICADで第1回授賞式を開催することを約しました。本日、こうして約束が実現したことは誠に感慨深いものがあります。

この賞のもう一つの特徴は、受賞者にお渡しする賞金の原資です。政府賞ですので、賞金は当然国費が中心となりますが、賞の趣旨に賛同する方からの寄附も加えられます。昨年6月に募金委員会が発足し、私はその代表世話人として寄附を呼びかけ、これまで国内外から多くの浄財が集まりました。アフリカの病と闘う医学研究者、医療従事者の努力に報いることが、すなわち、アフリカの病に苦しんでいる人たちを助けることになる―――野口英世アフリカ賞は、このように一人一人の国民、そして世界の人々の善意に支えられています。これは、今後十年、二十年と歴史を重ねる中で、賞の透明性、公平性、多様性を維持・確保していく上でも大きな役割を果たすものと信じています。

本日ご列席の皆様の中にも、ご寄附をされた方が大勢いらっしゃいます。この場をお借りし、募金委員会を代表しまして、厚く御礼を申し上げます。

最後に、グリーンウッド博士、及び、ウェレ博士に対し、改めてその功績に対する敬意を表しますとともに、これからのお二人の益々のご活躍を祈念しまして、祝辞とさせて頂きます。