委員プロフィール

過去情報

今村知明(奈良県立医科大学公衆衛生学講座教授)

今村知明(奈良県立医科大学公衆衛生学講座教授)

略歴

昭和63年関西医科大学卒業。平成5年東京大学大学院医学系研究科第一基礎医学専攻修了後、厚生省入省。文部省、佐世保市、厚生労働省等において保健行政を担当。東京大学医学部附属病院企画経営部長を経て、平成19年より現職。消費者委員会臨時委員、食品安全委員会専門委員等を歴任。現在、地域医療構想アドバイザーも務める。主著に『食品防御の考え方とその進め方 よくわかるフードディフェンス』、『地域医療構想と地域包括ケアの全国事例集』等。

メッセージ

この度、第8次の消費者委員会の委員を拝命いたしました。併せて食品表示部会、新開発食品調査部会の部会長も拝命いたしました。私は第5次の消費者委員会から食品表示部会や新開発食品調査部会の委員をやっており、公衆衛生の中でも特に食品保健の立場から取り組んできました。
 公衆衛生での守備範囲は食品に限らず、日本の感染症対策や医療福祉行政についても多岐に亘り取り組ませていただいています。その中で感じるのは、本来であれば科学的根拠に基づいた健康政策(Evidence based health policy)であるものが、情緒に基づいた健康政策(Emotion based health policy)となってしまっているケースが散見されている現状です。これを正確に科学的根拠に基づいた健康政策となるために求められている「正論」を発信したいと考えております。
 この「正論」は多くの非難を受けることになるでしょうが、勇気を持って「正論」と思える情報提供をするという信念を基に取り組みたいと考えております。

大澤彩(法政大学法学部教授)

大澤彩(法政大学法学部教授)

略歴

平成13年東京大学法学部卒業。平成19年同大学院法学政治学研究科民刑事法専攻博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員、法政大学法学部准教授、法務省民事局参事官室調査員(民法(債権関係)改正担当)等を経て、平成28年より現職。日本消費者法学会理事、(独)国民生活センター紛争解決委員会委員、東京都消費者被害救済委員会委員等を兼任。過去、消費者委員会専門委員も務めた。主著に『消費者法』、『不当条項規制の構造と展開』等。

メッセージ

私は民法・消費者法の教育・研究に従事しており、研究を開始した当初は民法とその特別法である消費者契約法の比較に関心を持っていましたが、消費者法の研究や教育の中で、消費者法が民事ルールだけではなく行政ルール、紛争解決ルール、さらには競争ルールなど学際的な分野であることを実感し、これらのルールの「共働」によって消費者法を発展させていきたいと思うに至りました。そのような中で、第8次消費者委員会委員を拝命し、身の引き締まる思いです。
 現在の消費生活には、デジタル化、AIの発展、環境保護といった、社会のめまぐるしい変容の中で、これまでの消費者法や「消費者」像では十分解決できない問題が多くあります。また、消費者「法」を超えて、「よりよい消費生活」のために事業者・消費者それぞれに何が求められるのかも考える必要があります。消費生活全体に幅広く視野を広げて、以上の問題を考えながら職責を果たしたいと思っております。ご指導の程、よろしくお願いいたします。

小野由美子(東京家政学院大学現代生活学部教授)

小野由美子(東京家政学院大学現代生活学部教授)

略歴

平成14年日本福祉大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程満期退学。博士(社会福祉学)。平成16年より15年以上にわたり、おたふくけん(多重債務者問題からみた社会福祉のあり方研究会)の代表を務めた後、(一社)消費生活総合サポートセンターを設立。(独)国民生活センター相談調査部研究員、東京都消費生活総合センター消費者教育読本作成検討会委員等を歴任。令和5年より現職。日本消費者教育学会理事・関東支部長。

メッセージ

私の専門である消費者教育は、主体的に消費生活を送るために必要な知識や技術を身に付ける実践的な学問です。消費者トラブルを未然に防ぎ、早期に解決するための方策を探ることは大切ですが、どのような消費者が、どのように消費生活を営んでおり、それぞれの生活の質を高めるためには何が求められるかといったところにまで想いをはせる議論も大切となります。
 私はこれまでに日常的に支援が必要な消費者に関する研究活動を継続しています。勤務先が大学ですから、若い世代の消費者教育にも注力しているところです。日本では金融経済教育の推進のための組織づくりも進んでいます。私の関心が、抽象的な概念の理解が難しいとされる知的障害のある消費者や、本格的な社会経験がこれからである大学生と過ごすことが多いからなのかもしれませんが、知識だけではなく、知恵や行動が伴った消費行動を獲得する大切さを痛感しております。私の果たせる役目とは何かを模索しながらの日々ではありますが、努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

柿沼由佳((公社)全国消費生活相談員協会消費者教育研究所副所長)

柿沼由佳((公社)全国消費生活相談員協会消費者教育研究所副所長)

略歴

日本女子大学大学院修了、明治大学専門職大学院修了。平成22年より千葉県内の消費生活センターで消費生活相談員として勤務。令和5年より現職。千葉県消費生活相談員の会会長、千葉県消費者行政審議会委員を兼任。(公社)全国消費生活相談員協会ではIT研究会研究員も務めるほか、日本女子大学家政学部学術研究員として『プラスチック製品と消費者~海洋汚染の一要因であるマイクロプラスチックを中心に~』、『ネット社会における消費者教育を考える』等の論文を発表。

メッセージ

第8次の消費者委員会委員を拝命いたしました。
 本協会は全国の自治体、省庁などに消費生活相談員として従事しているものなどを会員とする全国的な組織です。直接、消費者からの相談を受けている、いわば消費者問題の最前線におります。所属する消費者教育研究所では、消費者からの生の声をもとに消費者被害の未然防止、拡大防止のために、消費者教育の体系整備や、消費者問題の調査研究を行っています。デジタル社会の急速な進展により、消費者問題も大きな変化が押し寄せています。生活の中でデジタルは不可欠であります。現時点ではデジタルに対して脆弱さを感じていない消費者も、何かのタイミングで問題を抱えることが予測できます。そこで、私は一生を通じて消費者がデジタルを利活用できる環境を『デジタル・ジェロントロジー』と定義し、デジタルのメリットを最大限享受しつつ、安全・安心な消費生活を送るための問題を明らかにする必要性を感じています。今期の委員の皆さまと課題解決に向けて取り組んでいきたいと考えています。また、消費者委員会での議論を誰もが理解・関心をもっていただけるように、わかりやすい言葉で、伝わるように心掛けてまいります。よろしくお願いします。

鹿野菜穂子(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)

鹿野菜穂子(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)

略歴

昭和58年九州大学法学部卒業。昭和63年同大学院法学研究科博士課程単位取得退学。東京商船大学助教授、神奈川大学法学部助教授、立命館大学法学部教授等を経て、平成17年より現職。日本消費者法学会理事長、日本消費者政策学会副会長。検察官・公証人特別任用等審査会委員、原子力損害賠償紛争審査会委員、中央労働委員会公益委員等を兼任。主著に『基本講義 消費者法』、『消費者法の現代化と集団的権利保護』(いずれも共編)等。

メッセージ

第8次消費者委員会の委員長を拝命し、重責を担うことになりました。よろしくお願いいたします。
 消費者委員会は、消費者行政の監視機能を担っています。現在は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、安全面と取引面を含め、重要な項目について集中的に審議を行い、次期消費者基本計画に盛り込むべき中長期的な課題等についてとりまとめを行うことを予定しています。
 消費者法は、いま、大きな転換を迫られています。近年、日本では、高齢化が進む一方で、デジタル化が急速に進み、このような環境変化の中で、新たな課題が顕在化してきました。従来の消費者法では、消費者と事業者との間の情報と交渉力の格差が、消費者保護ルールの出発点に据えられてきましたが、それに加えて、生活者として行動する生身の人間である消費者のもつ多様な「脆弱性」に目を向けることが必要です。また、断片的なルールから脱却し、新たな事象にも対応できるような柔軟なルールを構築することも必要です。さらに、ルールの実効性を高めるための方策や、越境取引における消費者被害への対応も重要です。
 委員会として、緊急の問題への対応も欠かせませんが、中長期的な視点での課題にも引き続き取り組みたいと思います。

黒木和彰(弁護士)

黒木和彰(弁護士)

略歴

昭和60年九州大学法学部卒業。平成元年弁護士登録(福岡県弁護士会所属)。平成6年九州大学大学院修士課程修了。同年、独立開業。平成24年より福岡県弁護士会消費者委員会委員長を3期務め、日本弁護士連合会では消費者問題対策委員会委員長(平成30、令和元年度)、COVID-19対策本部幹事等を歴任。適格消費者団体NPO法人消費者支援機構福岡副理事長。『実務解説 改正債権法』、『Q&A消費者からみた改正民法』(いずれも共著)等、多数の解説書を執筆。

メッセージ

第7次から引き続き第8次消費者委員会委員を拝命いたしました。第7次は任期中新型コロナウイルス感染症のために、オンライン中心の委員会活動でしたが、今期は、委員長代理を拝命いたしましたので、できるだけ上京して過去2年間にわたる委員経験に基づき、10人の委員の方々の力を最大に発揮できる環境づくりに貢献してまいりたいと考えています。
 第8次は、2025年から5年間の第5期消費者基本計画の策定時期にあたります。今後5年の高齢化の進展、生成AI技術を利用した社会の変革といった社会情勢の変化に十分対応できる第5期基本計画の策定に向けた議論を展開していきたいと思います。これには、私の弁護士としての法律知識だけでは、不十分ですので、他の委員の方々や、ヒアリングに応じていただく識者の方々の知見を最大限活かしていきたいと考えています。
 また、第7次の委員として、行政と司法の発想の違いを痛感しました。内閣府の独立委員会の委員として、第8次でも司法的な観点で、よりよい委員会活動が行えるよう尽力していきたいと思います。
 この2年間どうぞよろしくお願い申し上げます。

中田華寿子(アクチュアリ株式会社代表取締役)

中田華寿子(アクチュアリ株式会社代表取締役)

略歴

昭和62年上智大学文学部卒業。広告代理店を経てスターバックスコーヒージャパン(株)入社。広報室長・執行役員として、同ブランドの日本進出、全国展開に貢献。(株)GABAマーケティング部門長・常務執行役員を経て、ライフネット生命保険(株)入社。常務取締役として開業から4年弱で株式上場へと導く。令和2年アクチュアリ(株)設立、代表取締役に就任。複数企業の社外取締役を兼任する。主著に『10万人に愛されるブランドを作る!』。

メッセージ

第8次消費者委員会の委員を拝命いたしました。わたくしは長らく民間企業の経営やマーケティングに携わってきましたが、一消費者としての立場と、商品・サービスを届ける企業の社会的責任の両面を意識し消費者問題に向き合ってきました。消費者問題を社会のどこかで起こっている遠い出来事ではなく、生活者自身そして自身にとって大切な方が明日にでも直面し得る問題としてとらえ回避・解決を試みていただけるようにエンパワーメントされていくことが一層求められていると思います。そのためには問題の調査・審議に留まらず、消費者の皆さまに必要な情報をタイムリー且つわかりやすく届けるコミュニケーションの実現に特に取り組んでまいりたいと思います。一人でも多くの方に消費者問題に関心をもっていただき、自分ごと化していただくことで被害の発生拡大を防止し、安全・安心、そして豊かな消費生活が送ることができる社会に一歩近づくのではないかと思います。

原田大樹(京都大学法学系(大学院法学研究科)教授)

原田大樹(京都大学法学系(大学院法学研究科)教授)

略歴

平成17年九州大学大学院法学府博士後期課程修了。九州大学大学院法学研究院講師・助教授・准教授、京都大学大学院法学研究科准教授等を経て、平成26年より現職。京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター「環境と法」ユニットリーダーも務める。日本消費者法学会理事。主著に『自主規制の公法学的研究』、『公共制度設計の基礎理論』、『政策実現過程のグローバル化』(共著)等。

メッセージ

少子高齢社会、情報通信技術の急速な進歩、グローバルな消費者取引の一般化など、消費者を取り巻く状況は急速に変化しています。消費者法・政策を規定していたこれまでの諸前提が大きく動きつつある現状において、消費者行政法も大転換の時期を迎えています。従来の常識を当たり前のことだとは思わず、新たな状況に的確に対応できる消費者行政法の構造転換を図っていく必要性を強く意識しています。具体的には、消費者の具体的な状況に応じたきめ細かい保護を実現する消費者行政法のあり方や、消費者の意見が消費者向けの財・サービスの提供条件に適切に反映できる消費者行政手続のあるべき姿を模索したいと考えています。当然ながら、こうした課題の解決はひとりでできるものではありませんが、その方向性を示す一助となるべく、微力を尽くして参りたいと思います。

星野崇宏(慶應義塾大学経済学部教授)

星野崇宏(慶應義塾大学経済学部教授)

略歴

平成16年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。名古屋大学大学院経済学研究科准教授、東京大学大学院教育学研究科准教授を経て、平成27年より現職。慶應義塾大学経済学部附属経済研究所所長、行動経済学会会長、日本マーケティング・サイエンス学会理事、(国研)理化学研究所AIPセンター経済経営情報融合分析チームリーダー等を務める。日本学術振興会賞受賞。令和2年には(株)エコノミクスデザインを創業。主著に『調査観察データの統計科学-因果推論・選択バイアス・データ融合』等。

メッセージ

消費者委員会委員として2期目を拝命しておりますが、前期に引き続き政府全体で目指されているいわゆるエビデンスに基づく政策意思決定(EBPM)とそれに基づく政策実行を消費者行政に根付かせることができればと思います。具体的には現場で日々得られるエビデンスの活用のみならず他省庁とのデータ連携も行うことで、予防的な消費者被害防止の仕組みを作ること、消費者保護政策のPDCAサイクルを回すことで限られた政策資源の下でその効果を高めるための枠組みについて、私の専門的見地から提案できればと思っております。
 また、我々「必ずしも合理的ではないヒト」の認知や行動のバイアスに関する行動経済学の知見が近年海外で消費者保護政策に実際に活用されています。我が国においても、これらの事例に学びながら我が国の社会や取引の形態を踏まえた行動経済学の活用を実行に移すお手伝いができればと思います。

山本龍彦(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)

山本龍彦(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)

略歴

平成11年慶應義塾大学法学部卒業。平成17年同大学院法学研究科博士課程単位取得退学。桐蔭横浜大学法学部専任講師、同准教授を経て、平成26年より現職。司法試験考査委員、ワシントン大学ロースクール客員教授等を歴任。現在、(一社)ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会理事、(一財)情報法制研究所理事。主著に『おそろしいビッグデータ 超類型化AI社会のリスク』、『デジタル空間とどう向き合うか 情報的健康の実現をめざして』(共著)等。

メッセージ

専門は憲法学で、プライバシー権や個人データ保護の問題、人工知能(AI)と基本的人権の関係などについて研究してきました。そのなかで、AIを含むデジタル技術が、心理学や神経科学などの知見ともあいまって、消費者の認知プロセスに深く入り込み、その意思決定に影響を与えるようになっていると感じています。いま、「自己決定」とは何かが根本的に問われている――そう思います。消費者委員会委員として、様々なステークホルダーの声に耳を傾けながら、こうした問題の実態を把握し、消費者目線に立って、必要な施策について具体的に検討していければと考えています。また、デジタル技術が消費者の意思決定を支援する重要なツールになることもわかってきました。「認知」や「自己決定」に関する消費者問題を解決するためにどのような技術的ツールが存在するのかをしっかりと調査し、文理融合の視点に立って、技術的対応と法的対応とのベストミックスを探究していきたいと思っています。