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河上消費者委員会委員長 記者会見

2017年8月8日
消費者委員会

日時

2017年8月8日(火)17:34~18:25

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(河上委員長) 私からは、報告事項が3件ほどございます。

1つは「事故情報の更なる活用に向けた提言について」というものであります。

消費生活において生じた生命・身体に係る事故等に関する情報は、消費者庁において一元的に集約されておりまして、消費者庁の事故情報データバンクには、平成29年3月末の時点で、約20万件の事故に関するデータが蓄積されております。

消費者庁では、これらのデータを踏まえて、消費者に対する注意喚起を行うなど、事故情報の活用について一定の取組を行っております。

今般、消費者委員会は、事故の未然防止等につなげていくため、これらのデータの一層の活用を図ることが可能ではないかという問題意識に立ちまして、事故情報の分析手法の充実の観点から、分析におけるテキストマイニング、人工知能、統計的処理の活用の可能性に着目いたしました。

このため、今年1月から、消費者安全専門調査会において、データ分析の専門家である専門委員を招いて、事故情報データバンクに登録されている事故に関するデータを実際に用いて、それぞれの専門の見地から、具体的な分析を行っていただきます。

本日、消費者委員会では、これまで消費者安全専門調査会が事故情報の活用等の在り方について検討してきた結果に関する報告を受け、さらに、これを踏まえて、消費者委員会として「事故情報の更なる活用に向けた提言」を取りまとめた次第です。皆さんのお手元に、ペーパーが渡っているでしょうか。

この提言には、幾つか項目がありますけれども、5つほどに分けて申し上げます。

「事故情報データの品質の向上」ということで、事故情報データバンク全体での入力項目の定義あるいは分類方法を明確化すること、さらに事故情報のデータバンクへの入力項目を整理することが望ましい。また、入力参画機関において、データの品質向上の目的あるいは重要性についての認識を共有することで、具体的な方策の検討に際して、それぞれの機関がお互いに連携し、情報交換をすることが重要であるというのが第1番目であります。

第2番目は「新たなデータ分析の活用」ということで、事故情報データバンクに登録されている約20万件の事故情報を限られた人員で分析することは困難であり、そこで言語解析技術等のデータ分析技術を活用することなどは、より深い分析を支援するための方策としても有用であると考えられる。さらに、SNS上の事故情報を分析の対象とすることも一定程度有効であると考えられるというのが第2番目であります。

第3番目に「事故情報を伝達するための新たな仕組みの構築」として、事故の特性に注目して公表することが重要で、また、事故の内容等と併せて、事故の予防策・対応策を含めて情報提供することにより、消費者にとって有用となるように配慮することが望ましい。さらに、消費者が事故を疑似体験できるような仕組みや、自ら事故情報を積極的に発信する仕組みを構築することの可能性を検討することが望ましいとしております。

第4番目に「事故に対して講じた施策の効果の評価」として、事故に対して施策を講じた場合、その後の事故件数の推移を継続的に把握するなど、その効果を検証し、必要に応じて施策の見直しを実施することが望ましいとしております。

第5番目は「事故情報の公開の促進」として、事故情報は社会で広く共有するものとの認識に立ち、公開を促進する方向で検討することが望ましいなどとしております。

こうした提言を受けまして、消費者庁におかれましては、事故情報データバンクの参画機関などの関係機関とも連携して、事故情報の更なる活用等に、より一層取り組んでいただきたいと考えているところです。

また、細かい話は、隣に専門調査会で座長をしてくださった山本座長がおられますので、聞いていただければと思います。

第2番目のご報告は「消費者契約法に関する答申について」です。

消費者契約法の見直しにつきましては、平成26年8月に内閣総理大臣から諮問を受けて、当委員会では、同年10月に「消費者契約法専門調査会」を設置し、法施行後の社会経済状況の変化への対応等の観点から、消費者契約法における契約締結過程及び契約条項の内容に係る規律等の在り方について調査審議を行ってきたところです。

平成28年1月には諮問事項のうち、速やかに法改正等の対応が求められる点について一次答申を行い、同年5月にはその答申を踏まえた「消費者契約法の一部を改正する法律」が成立いたしまして、平成29年6月に施行されているところです。

他方、一次答申において、今後の検討課題とされた論点等について、平成28年9月に審議を再開して、合計23回にわたる審議を重ね、今月4日、8月4日、第47回専門調査会において報告書が取りまとめられたというものです。これを、本日の消費者委員会本会議で報告を受けまして、その内容を踏まえた上で検討を行い、本会議としての意見も付けた上で答申を決定いたしました。

こちらの答申の内容についてはお手元の資料にあるとおりでして、付言した部分がそこに3項目ほど出ています。「消費者契約法専門調査会報告書」及び答申で付言した内容を踏まえて、措置すべき内容を含むとされた論点のうち、法改正が求められる事項につきましては、法制的な見地から更なる検討を行うなど、その実現に向けて必要な措置をとることを求めています。また、解釈の明確化を図るべきだとされた点については、消費者契約法に係る逐条解説に適切に反映するなど、必要な取組を進めることを求めております。

こちらに、消費者契約法の専門調査会で座長代理をしてくださった後藤先生がおられますので、また細かい話については聞いていただければと思います。

(記者) 意見書はないのですか。

(河上委員長) 意見書は配られていないですか。では、配ってください。

今、お配りしますので、お待ちください。

この2つの専門調査会に対しては、まずもってお礼を言わないといけません。今回の提言が答申に至るまで、消費者安全専門調査会、消費者契約法専門調査会において、長期にわたって審議に熱心に取り組んでいただいた専門委員の方々、それからオブザーバーの皆様には、心からお礼を申し上げたいと思います。また、審議に協力してくださった消費者庁やヒアリングに御出席いただいた有識者・各団体にも厚く御礼を申し上げたいと思います。

事故情報の更なる活用に向けた提言あるいは消費者契約法のいずれについても、今後、消費者庁において、提言事項の実現に向けた具体的な取組が行われていくことになろうかと思いますけれども、今回の提言・答申を踏まえて、実効的な取組となるように期待したいと考えております。

最後にもう一つ「特商法施行令の一部改正にかかる答申と不動産特定共同事業法に基づく小規模不動産特定共同事業に対する意見について」、申し上げます。

小規模不動産特定共同事業につきましては、空き家の活用、地方などで随分空き家が増えているわけですが、それを活用していく等の名目に出資を募って金銭を集めるということなのですが、これには、架空の出資を募って金銭を集めて逃げるという被害が起きる可能性が否定できない。同制度を悪用した投資詐欺による被害が発生することが大いに懸念されるわけです。

こうした被害を防止するために、不動産特定共同事業法を主管する国土交通省におかれては、小規模不動産特定共同事業者に対する適切な管理や苦情の共有などの連携及び消費者に対する注意喚起等を行うことが必要ではないかと考えまして、留意すべき事項について8月3日付けで国土交通省に対して意見表明を行ったところです。

あわせて、同制度を悪用した消費者被害の発生を防止するためには、消費者庁が国土交通省と連携して取り組むことが是非とも必要であると考えまして、消費者庁に対する答申にもその旨付言いたしました。

当委員会としては、同制度の運用開始後の状況等を注視して、必要に応じてまた意見を述べることを検討したいと考えているところです。

以上、盛りだくさんにございますが、あとは質疑の中でお答えしたいと思います。

よろしくお願いします。

質疑応答

(問) 確認なのですけれども、この消費者契約法の関係での答申ですが、既に首相向けに出されたということでよろしいのですか。

(答) はい、発信しました。

(問) ありがとうございます。

(問) 消費者安全専門調査会の報告書に関係してですが、事故情報データバンクというのは、検索しても、なかなか使いにくいということをずっと感じていました。今回、事故情報データバンク自体を一般的に検索する場合は概要の公表なのですけれども、中身のデータも含めた上での分析をされたということでしょうか。

(答) 1件1件、具体的な中身を含めて分析をしていただきました。

(問) つまり各省庁から上がってきているものであるとか、PIO-NETの情報で載っているもの、一般には公開されていない部分も含めた情報ですか。

(答) そうです。

(問) 分かりました。

あと、提言の最後なのですが、5点目の「事故情報の公開の促進」ですけれども、事故情報が消費者にフィードバックされることにもなるという書き方なのですが、公開の方策としては、まず研究機関に出す、次いで事業者に出すということで、一般的に、事故情報データバンクの中身は1行くらいしか書いていない。3行、4行とか、5分の1か10分の1というデータではないかと思うのですけれども、つまり一般に公開するということは考えられなかったのでしょうか。

(答) 詳しい話はまた山本座長からお話ししていただきたいと思いますけれども、基本的には、プライバシーの問題がございますので、いきなり一般化してオープンにすることは難しい。むしろ、一定の研究目的とか分析目的のために必要となる範囲で、きちんと守秘義務をかけて提供するところから始めないといけないのではないかという認識だったかと理解しております。

もしよかったら、山本先生お願いします。

(山本座長) 事故情報データバンクにつきましては、今もお話がありましたように、専門家の先生である専門委員から見ても、いろいろ使いにくいところがあるということが分かりまして、具体的にはこの報告書の中に書かれております。

そういう状況でもありますし、今、委員長からお話がありましたように、個人情報の保護は、消費者の個人情報、それから事業者の側の利益にも一定程度配慮しなくてはいけない。いろいろな段階の情報が入っております。そういったことがありますので、ここで提言しておりますのは、段階的に公表の範囲を拡大していくことを考えるべきではないかということで、まず研究機関等に対してということを言っているわけです。

そこで、研究機関に対する公開を行っていって、このような技術的な方策で個人情報の保護が図られるといったようなことが明らかになってくれば、さらに公開の範囲を一般に拡大していくことも考えられるのではないかと思います。

そのように議論をいたしましたので、ここでは、まず研究機関という言い方をしておりまして、それ以後、どのように一般に対する公開の範囲を広げていくかということを、その方策も含めて、まず研究機関に対して公開することによって検討を深めていくという趣旨です。

(問) 分かりました。

そうなると、2ページとかに出てくる利用者のニーズといった場合の利用者であるとか、データ入力者のスキル向上、これは要するに消費者ではないと思うのですけれども、つまり、利用者というのは消費者ではないのですか。

(答) 基本的には、そのデータを使って一定の分析をするという者です。

(問) 例えば、めいっ子が事故を起こした。事故を起こしたのがベビーカーで、ベビーカーのメーカー名を出して、同じような例がないかどうか調べようとしたときに、ほとんど出てこない。要するに、ベビーカーは出てきますけれども、メーカー名が出てこない。そういうことになってきて、例えば、今回の国民生活センターの健康食品の薬剤性肝障害は出てこないですね。特保はもちろん出てこない。

そういうことで、利用者というのは当然消費者だと思っていたのですけれども、結局、事故情報データバンクでは、今、座長がおっしゃったように、段階的に公表していく中でお考えになるということですか。

(問) 基本的にはそういうことだろうと思います。

やはり後からお話になったような問題ですね、事故情報をどのような形で消費者に対して開示していくかという問題は、もう既に今も別個にあるわけです。そういう問題について、消費者庁の中でも事故情報の公開のための基準作りはやっているようなのです。内部的にはそうした基準を持っているのですけれども、なかなかそれも含めて表に出てきていないということでして、前にも健康食品のときに、私や阿久澤先生からいろいろ質問が出ましたけれども、結局、個別の情報は出せませんということでありました。

そのことについては、消費者委員会としてもっと改善すべきことはあるだろうということで、今も消費者庁との間でいろいろな協議を続けているところであります。

(問) 「事故情報の公開の促進」という一番最後のところは、医療機関ネットワークの公開をされていないということで、これは医療機関ネットワークができてからずっとあって、8,000件とかの分析をしたとき、死亡事故も起きているわけです。だから医療機関、お医者さんが関与したということは、通常の一般の申出に比べるとエビデンスがあるということで、何らかの形で情報として公開できないものか。本来はすべきではないかということなのですけれども、消費者白書の2、3ページでまとめているぐらいなのです。

つまり、集まった情報をどのように活用していくかということは、一つは情報の量の拡大とか、今言った製品名、メーカー名などということではないかと思ったのですけれども、提言は誰に出すのですか。提言というのは、要するに消費者庁にですか。

(答) これは、宛名は消費者庁になります。消費者担当大臣ですね。

この会議の中でも出てきましたけれども、アメリカの医療情報などの集め方は、本当に羨ましいぐらいですね。規格化されて、しかも必要な範囲での情報が入ってきている。ただ、それに対して一定のお金も出しているようですけれども、いずれにしても、日本でもそういう形で事故情報の中で重要なものがきちんと収集できるような体制に、最後はしないといけないと思いますが、現時点ではなかなか一足飛びにそこまで行けませんので、今後、事故情報の収集分析の方法については、できれば消費者委員会として継続して取り組んでほしいと考えているところです。

(問) 消費者契約法の関係で、付言のことで教えてください。

一つは、早急に検討し、明らかにすべき喫緊の課題とあるのですけれども、例えば、どこで、いつ、このように検討してほしいという思いがあるのでしょうか。例えば、消費者庁のほうで検討して、次の改正に盛り込んでくれとか、それは別だから、改めてまた消費者委員会に確認してほしいということなのかということが一つ。

もう一つは、新しい法務大臣から18歳成人の法律をもう秋にもという発言が出ていましたけれども、そうした中、若年成人の対策は、今回は盛り込むことができなかった。その難しさと現状をどのように率直に受けとめていらっしゃるか。

2点を教えてください。

(答) 今般の報告書そのものではコンセンサスに至らなかったという書き方になっているものでありますけれども、ただ、本会議での議論を拝見して、現在の立法的な動向であるとか社会情勢を考えれば、親委員会として、これは喫緊の課題だろうという政策的な評価をしたわけでございます。したがって、むしろこれについては早急に対応することが望ましいという意思が表明されたということになります。

ただ、今後その対応の仕方に関してどうすべきかについては、むしろ消費者庁でお考えになっていただく必要があるかと思います。いろいろな方法があると思います。改めて専門調査会で検討することもあるかもしれません。ただ、時期的に見て、成年年齢の引下げがこの臨時国会であるとすれば、そんな悠長なことはできないので、もう既に親委員会のほうでのワーキングチームで検討した結果がございますから、その検討した結果を検討した上で、消費者庁として法案に持ち込むこともあり得るかと思います。それは「検討」の意味によるわけですが、どういう形にせよ、これは喫緊の課題なので、早急に対応してほしいという趣旨であることは間違いありません。

(問) 関連です。この検討会の中で、民法の改正案とセットで出す必要があるということを、委員長は最後まで強くおっしゃられていて、賛成する委員もというか、最後に残念であると述べた委員が6人いらっしゃって、必要性を最後まで言われる委員が多かった中で、何が難しいと思われたか。

それから、外から見ていて、このような検討の方法ではいつまでたってもこの部分が実現できないのではないかという危惧を抱くような、事業者団体のほうに拒否権があるのではないかというような側面も見てとれるような気がしたのですが、どのように受け止められているか。

そして委員長の思いとして、今後、本当にどういうところが必要だと思われているか。

もう一度、お教えいただけると有り難いです。

(答) 誤解のないように申し上げますが、専門調査会というところは、多数決で物事を決める場所ではありません。むしろ、衆知を集めて、それぞれの分野の専門家が一定の消費者政策の基本的な方向性について意見を述べ合って、まとまった部分を報告書としてまとめていただくのがその役目です。ですから、当然ながら多数決で決定する場所でもありませんし、逆に、一部の委員だけが拒否権を持つような場所でもないのです。

その意味では、消費者庁が事務局になってまとめていただいたところは、コンセンサスとしてまとまった部分ではあるわけですけれども、そこで十分語られなかった部分、あるいは今回のミッションとして専門調査会の方々が、深く考えていらしたのかどうかは分かりませんが、余り表に文章として残そうとしなかった部分について、消費者委員会の本会議としてそこの部分を補充するという形で、今回、付言を付けさせていただいたものです。その意味では、全員一致のコンセンサンス方式に問題があるのかもしれませんね。

今回の付言で、専門調査会と親委員会とが、意見対立しているというような印象を持っていただくと非常にまずいので、そこは注意深く、むしろ消費者委員会としては一致して、こういうものは喫緊の課題だということを消費者庁に対して示すことにしたつもりです。

今、おっしゃるように、議論の中では様々なやりとりがありますけれども、少なくとも前進している部分もかなりありますので、前進しているところは早急に立法に持っていっていただきたいことは当然です。それから、消費者委員会の親委員会の方から付け加えた3つの留保に関しても、今、そんなに時間をかけないで対応できるならば、消費者庁に早急に対応していただきたいと思います。

正直なところ、民法の改正、成年年齢の改正と、消費者契約法における年齢等に対する配慮義務とか取消権はセットにして出したほうが、むしろ立法として説得力があるのではないかとは個人的には考えております。

(問) その関連なのですけれども、取消権の部分で、セットにして出すほうが、説得力があるのではというので、幾つか想定されていらっしゃる類型があったと思うのですが、どの部分を考えていらっしゃるのでしょうか。

(答) 専門調査会が出したのは、状況を作り出して、その作り出された状況につけ込んだという、状況作出つけ込み型というようなものだったかと思います。

それに対して、特定の状況、例えば年をとって判断力が落ちているとか、社会に出たてで経験が未熟であるなどという、既存のある状況に対してつけ込んだというタイプのものです。状況に対する単純なつけ込み型のものについて、特に高齢者や若年成人の場合もそうですし、さらに私は障害者も入ると思いますが、いわゆる「脆弱な消費者」に対する支援という意味で、そうしたつけ込み行為で不当な利益を上げようとしているような勧誘行為に対して取消権を付与することは、喫緊の課題だと。

確かに、喫緊の課題の一つの重要課題だということは、実は専門調査会の中でも認識をされて、最後に、他のものとは違う表現で結ばれているということは御承知のとおりです。しかし、それで充分かは、疑問があります。

もしよければ、後藤先生に追加的に説明をお願いします。

(後藤座長代理) つけ込み型という場合に、今、委員長がおっしゃいましたけれども、状況を作出してつけ込む場合と、既にある状況につけ込む場合と2つありまして、本来ならばこれを全部議論して、うまく整理して、取消権に結び付けることができたら、それは素晴らしいことだと思うのですけれども、議論の整理として、状況を作出する場合のほうが今回、優先的に議論されたという側面があると思います。そこの部分については、困惑類型が今回かなり豊富になったというところで、そこに結実していると理解しています。

ただ、確かにその部分の成果はあったのですけれども、高齢者で判断力が劣っているとか、あるいは若年層であるとかというように、もともと持っている状況に乗じて契約を締結するというところも非常に重要な部分なのですけれども、そこの部分が課題として残ったということでして、決して、残った部分が軽視されているということではなくて、そこの部分について議論しなければいけないという認識はもちろんあるのですけれども、専門調査会で議論した中では、事業者側の委員の方々の意見として、取消というのはやはり影響が大きいので、特にどういう要件のもとに取消を認めるのか。どういう場合につけ込んだと言えるのか。そのようなところをより明確にする必要があるという意見が出ました。

最終的に、その部分については取消権を認める形でのコンセンサスは得られない状況だったということです。専門調査会としては、できることについて力を尽くしたと私は思っておりますけれども、力を尽くしてもまだ課題が残り、ここで十分に胸を張って御報告できる状態ではないわけでありますが、本会議のほうでも意見を頂きましたので、そのようなことも踏まえて、今後、対応していただくことを望んでおります。

(問) 期間としてなのですけれども、今回、この法律は、とりあえずこの形で臨時国会に出されるということなのですか。

(事務局) それについては消費者庁にお尋ねください。

(問) その後、本当はメーン課題で残っていた課題がつけ込み型の取消権だったと思うのですけれども、そのつけ込み型が一部にとどまったということだと思うのですが、喫緊の課題であるということにとどまる。一応、親委員会としてはそこの検討を求めるというような位置づけですか。

(答) 検討を求めるというか、いずれにせよ検討しないと消費者庁は動けないでしょうから、何らかの検討はするのだと思うのです。既に調査委員会原案を出す段階でもある程度検討しているわけですし、委員会での議論なども聞いて、検討としてはこれで十分だろうという検討結果をもって、そのまま法案に向かうこともあっていいかと思います。その辺は、消費者庁でどのように対応するかということなのだろうと思いますが、前向きに動いてほしいと思います。

立法の過程でも、消費者委員会の意向がこのようなところにあるのだということが明らかであれば、また、そうしたものをきちんと立法化すべきだということが議論されるでしょうし、パブコメとかいろいろなところから出てくる可能性もあるわけですね。

ですから、その意味では、今後どうなるかは分かりませんし、現時点で、どこでいつまでに法案化されるべきであるなどということは、私どもとしては述べておりません。

(問) それから、民法の定型約款に対応する約款の事前開示については、どういう検討状況でどのようなことを求められているのかを、もう少し分かりやすくお教えいただけないでしょうか。

(答) 答申の頭に置いていると思いますけれども、約款の契約条件の事前開示について、合理的な方法で消費者が契約を締結する前に、その条項の内容をあらかじめ認識できるようにしてくださいというものです。

この契約条項と言われているのは、改正された民法の548条の2以下にあります定型約款という概念も含むものでありますから、こうした趣旨のことを消費者契約法の中で明らかにしてほしいということであります。

民法の改正の内容が、本当に約款をあらかじめ見せなくてもいいのだというようなメッセージを出しているかと言うと、恐らく法務省の方はそのようなことはないというお返事をされるのだと思うのです。ただ、普通の人が法文を読んだら、事業者は要求されるまでは出さなくてもいいのだと思いかねない文章になっているわけです。

そうすると、例えば、悪質な事業者が、あとの細かいところはうちの準備した約款によりますからと一言言っておいて、相手が要求しない限りは見せないまま、トラブルが起きたときに、自分に有利な条件を差し出して、これが約款ですと後出しをすることは十分考えられることでして、そのときに、民法に書いてあるではないですかと言われて、一般の消費者がこれに対抗できるだけの状態ではないのです。

ですから、消費者契約法の中で、そうではなくて契約条件というのはあらかじめ見せていなければいけないのですということをはっきりさせることは、かなり大事なことだと、私個人としても委員会としても認識しているところです。

(問) ありがとうございます。

もう一回聞かせていただきたいのですが、知識、経験の判断力不足とかつけ込み型の取消権が今回、喫緊の課題という背景、これがないとどういうところが懸念されるとお考えになっているかお教えください。

(答) 今回の諮問の最大の課題は、超高齢社会で、高齢者がほかに相談する人もいないような状態が増えてくるわけですけれども、そういうときに、高齢で判断力が落ちている、知識が陳腐化したり、経験が陳腐化しているという状況につけ込まれて、そして不当な契約を獲得されるようなことがあったとき、これは、ある種の暴利行為ですから、恐らく民法で公序良俗違反になって無効になってもおかしくないようなことなのです。そういうことになるはずなのですが、しかし、そうしたことを消費者契約法の中で取消事由にできないというのは、いかにもそこの部分が、手当てがないがしろにされたような印象を受けるということになりそうです。

もう一つは若年成人ですけれども、18、19歳が今まで持っていた未成年者取消権を失うことになるわけですけれども、そういうときに、若者の経験不足とか知識の不足といったものにつけ込まれて、同じく事業者が不当な利益を追求する、契約を結ばせるとすれば、これも暴利行為ですから、90条とか公序良俗違反で無効になる可能性は高いのです。けれども、未成年者取消権を失うことの、ある意味ではセーフティーネットとして、最低限、こうした未成年者に対する支援を与えておくのは必要なことではないかということです。

障害者に関しては、問題はあるかもしれません。しかし、障害者も耳が聞こえにくいとか目が見えにくいといったところにつけ込まれたならば、やはり問題です。事業者の方は、こうした将来における危険については、今現在、具体的な問題になっていないのだから、少し経験を積んで、それからでいいのではないかと言われるのですけれども、それは違うと思います。私は、若い子たちが被害者になって、その辺で被害が蔓延しないと手を打てないのでは、それは消費者契約法にならないと思いますよ。具体的に明確な要件にしないと法律としてはだめだと言うけれども、消費者契約法というのは、そもそもそういう特商法と民法の中間的なところで策定される行為規範ですから、ある程度の抽象性は避けがたいわけで、それを具体化していくのはそれぞれの実務の中でやっていくべきことです。したがって、現時点で私は、反対を言っている方が言われるような、障害となるような問題はないのではないかと理解しております。

(問) 今のに付け加えてなのですけれども、つけ込み型勧誘の類型に、高齢者とか若年成人といった方たちの取消権を付与できるように検討するよう求めるということですか。それとも、取消権についても消費者庁で検討するように、この答申書で求められているという理解でいいですか。

(答) その両者は違うのですか。

どちらも検討してくれということです。

(問) では、消費者庁として、法律に付け加えることも踏まえて検討してくれと。

(答) もちろん選択肢としてはあると思いますし、今度の国会に間に合わせるとすれば、余り悠長に専門調査会を開いているわけにはいかないかもしれないですね。

そこは、消費者庁に聞いて、お尻をたたいてあげてください。

(問) 確認です。

答申の中に喫緊の課題として、報告書を受けてという書き方ですけれども、こういう形で契約の事前開示であるとか、つけ込み型であるとか、あと成年年齢のことを書かれていますね。

先ほど、後藤座長代理の言葉の中には、十分胸を張って言えるわけではないのだけれども、答申書の意見の中に盛り込まれているということをおっしゃったのですが、要するに、報告書で明確でなかったりという部分を、この答申の中の3項目は補ったものとして考えていいのですか。

(答) 報告書の中で必ずしも明確でなかった部分とか、そこで十分検討されてこなかったというか、弱めに置かれていたものについて、優先順位を上げて強調したというものです。

少なくとも報告書は、親委員会として最大限尊重したいと考えておりますので、報告書に加える形でこれを書いたつもりです。

(問) こういう答申は、消費者委員会としては珍しかったですか。

(答) 消契法に関しましてはそうかもしれませんね。ほかでは、これまでも「答申」に条件をつけた例はあります。

(問) 全然別件なのですが、先日、国民生活センターが公表した健康食品の肝障害に関する話なのですが、この中の事例1というのが特定保健用食品の粉末青汁なのです。これについて、国民生活センターはこのスタイルのまま、特定保健用食品で粉末の青汁であること、公表されている情報を全て、2月17日の段階で消費者庁に通知をしているのですが、公表されているものは、2月28日に、当該健康食品を摂取したところ薬剤性肝障害の重症ということで公表されていると。

私も過去のものを振り返って、事故情報公表に関する基本要領というのがあるのですが、昔は、公表の基準のところに、「因果関係があると疑われる場合」となっていて、今、長官会見で、「因果関係が確定したもの」と長官は答えられていて、ここがいつすり替わったのかと私はすごく疑問に思っているところがあります。

あと、何を公表するかも、製品名ということになっていまして、括弧書きで製品の種類になっているのです。特保の青汁で通知が来たものが、健康食品を摂取したところと変えられて公表されている現状がある。

前回、目のピントの機能性表示食品のことも、公表の在り方がそれでいいのかというところで、問題ではないかという意識を持っているのですが、この問題は、公表の仕方については何か消費者委員会のほうで検討をされたりとか、何かアプローチをされたりはするのでしょうか。

(答) もう既に健康食品に関して、事故情報等の公表の仕方について、今までのままでいいのだろうかという話は出ております。

この間は、機能性表示食品の問題に関して、実際にサンプリング調査をしたときの結果の出し方等についても、ああいう形で情報を出すことで、果たして消費者にとって十分なのだろうかという問題提起をしてまいりました。

消費者庁に対しては、一つは食品の安全性をきっちりと確保してもらうということです。これが何より大事です。そのためには、食品安全委員会とか、そういうところときちんと連携しているかどうかとか、食品に関しての成分調整に関する検査の体制が、果たして十分できているのか。第三者機関との検査体制の連携といったものも含めて、きちんとやる。

出てきた情報を見たときに、消費者が選択をするために資するような情報でないと意味がないということでありまして、その意味では、消費者庁も国センもそれぞれ公表基準を持っているのでしょうけれども、その公表基準で果たして十分なのですかという問いかけは、今もしているところであります。

実際に消費者庁はそこの部分については見直しをしたいとはおっしゃっておりますので、様子を見ながら、今後の消費者庁での公表の在り方を見て、必要があれば意見を言わないといけないというのが現在のスタンスです。

(以上)

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