河上消費者委員会委員長 記者会見

2017年5月23日
消費者委員会

日時

2017年5月23日(火)16:00~16:32

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(河上委員長) よろしくお願いします。

報告事項が2件ほどございます。

第1は、消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見についてでして、本日の本会議において、お手元に資料があるかと思いますが、資料のとおり「消費者基本計画工程表の改定素案(平成29年4月)に対する意見」を取りまとめました。

当委員会では、本年1月に消費者基本計画工程表の改定に向けた意見を公表いたしましたけれども、消費者庁をはじめとする関係府省庁等では、その後、その意見を踏まえつつ、工程表の検証・評価、見直し作業を行い、取りまとめられた工程表の改定素案、これが4月にパブリックコメントに掛けられました。

このパブリックコメントに掛けられた工程表の改定素案については、4月11日の委員会本会議でもヒアリングを行ったところであります。また、成年年齢引下げ対応、機能性表示食品制度、あるいは地域の見守りネットワークについては、個別に本会議でも扱ったところであります。

本意見については、このヒアリングの結果や、これまでに当委員会において行った建議・提言等を踏まえたものとなっております。

「第1 全体的な事項」では、KPIや工程表の図の在り方について意見を述べております。

「第2 工程表への反映が必要な事項」では、成年年齢引下げ対応、食品表示、地域の見守りネットワークの3つのテーマを取り上げまして、それぞれにおいて工程表に盛り込むべき事項を述べております。

関係府省庁におかれましては、意見の各項目について積極的に検討の上で、可能な限り工程表の改定原案等にこれを反映させていただきたく思っております。

第2番目の報告事項は、「電力・ガス小売自由化に関する課題についての消費者委員会意見」についてであります。

本日の本会議で「電力・ガス小売自由化に関する課題についての消費者委員会意見」の取りまとめも行いました。電力及びガスの小売自由化に関する課題につきましては、これまで公共料金等専門調査会において議論が重ねられてまいりましたが、今般、専門調査会で議論の取りまとめが行われましたので、本日その結果を、ここに同席いただいております古城座長に御報告をいただきまして、その御報告を踏まえ、消費者委員会としての意見を取りまとめました。

別添の資料に、専門調査会の報告の本体がお配りされているかと思います。かなり長いものですから、概要だけ申し上げますが、初めに本件の経緯が示されております。昨年4月の電力小売全面自由化について、昨年5月に専門調査会が示した注視すべき論点等を踏まえまして、フォローアップを行い、今後追加的に注視すべき論点を整理すると供に、本年4月のガス小売全面自由化について、関係者からのヒアリング等を踏まえて、今後注視すべき論点を整理したというものだと書かれております。

その下から3ページにかけまして、電力自由化後の状況の評価について、昨年5月の注視すべき論点等を踏まえた記述がなされております。

3ページから4ページにかけてですけれども、電力小売自由化に関して、追加的に注視すべき論点が示されております。項目だけ申し上げますが、自由化に関する認知度の更なる向上や、消費者相談の動向の分析、そして、競争の更なる促進、電力比較サイトの信頼性向上について、関係機関が重点的に推進すべき取組が述べられております。

4ページの終わりからは、ガス小売自由化に関して注視すべき論点が示されております。特に5ページのあたりからですが、1.都市ガスの小売市場の健全な競争環境の維持、6ページからは、2.消費者への適切かつ分かりやすい情報提供、7ページからは、3.円滑なスイッチングの確保、さらに、8ページからは、4.消費者相談への的確な対応といった事柄について、それぞれ問題意識が示されておりますが、内容の詳細は割愛させていただきます。

最後のページの「Ⅳ.その他」のところで、消費者庁等による今後の状況把握について、そして、「Ⅴ.引き続きのフォローアップの実施」ということで、消費者委員会による今後のフォローアップの考え方が示されております。

関係機関におかれては、本報告で示された論点を参考に、電力及びガスの小売自由化に関して、消費者の利益の擁護及び増進に向けて、一層の取組を期待しているところでございます。

私からの報告は以上でございます。

質疑応答

(問) 特保の自主回収の問題なのですけれども、会見の阿久澤委員の発言を思い出してしまったのですが、昨年9月から10月にかけて全商品の成分調査をさせたときに、1カ月の猶予を与えて、事業者が提出したものの結果を提出させたと。その直後の2月の買上調査で今回2商品が見つかってしまった。これについて委員長はどのようにお考えでしょうか。

(答) 今まで買上調査は余りなされていなかった。今回初めてそういう形で買上調査をして、実際にそれが特保の品質の維持管理にとっては、かなり有効な手段であることは、これではっきりしたと感じております。

なぜ今回選んだ7品目がこういう形であったかということについては、選び方にもいろいろ枠があったのだろうと思いますけれども、比較的問題がある可能性が高いものを選んでみたということのようでありまして、7つのうちの2品目というのが多いのか少ないのか分かりませんけれども、いずれにしても、一定の効果が買上調査にあるということが分かったのは、成果だったと思います。

(問) 今回公表の仕方も、事業者の自主公表に併せて消費者庁が発表し、その経緯とか、一体どういうものを幾つとかというのが会見ではっきりせず、消費者に対してどのくらいのものが伝わったのだろうかという思いがあったのですが、今日は、委員長が買上調査をした後の対応についてあらかじめ明確にしておく必要があるという発言をされていたのですが、その辺りについてもう少し御説明をいただけると。

(答) 基本的には、消費者庁が買上調査をする際に、どういう基準でこれを判断していくのかということや、その事案についての販売量、販売期間、違反状況といったような詳細について、既にある程度把握していたはずです。その把握した情報について、相手方の事業者が自主回収を始めているのだからということで、余り情報を出さなかったのではないかと逆に思いました。それは、消費者目線での情報公開の在り方を考えたときには、必ずしも適切なやり方ではなかったと思います。今後は、開示の仕方についても一定の基準をちゃんと作って、出すべき情報はきちんと出すということにしていただきたいと思います。

今回の事業者については、余り悪質ではなかったという評価をしているようですけれども、個人的に考えますと、特保にふさわしくないものを一定期間売っていたという事実は否定し難いわけでして、それによって決して安くない値段で消費者が製品を購入し続けたわけです。これは結果責任だと私は申し上げたのですけれども、しかし、考えてみると、結果責任というよりも、品質管理におけるごく初歩的な管理責任がきちんと果たされていなかったということであって、悪質であるかということについて言えば、悪質です。明らかに一定期間、1年以上にわたってそういう状態を続けたということは決して同情すべきものではなかったということになります。それを考えれば、消費者庁の対応の仕方は、将来の制度の運営の改善のことを考えてやったとはおっしゃっていたけれども、それで正当化できるような対応ではなかったのではないかという印象を持ちました。

(問) 関連ですが、今の委員長の御発言は、この3ページの下の部分、28年度の買上調査においてというところですか。

(答) 付け加えた部分です。

(問) 今日の委員会は傍聴できなかったのですが、ここでは保健機能食品で問題のある製品が見つかった際の対応ルールについて、行政処分の是非を判断する基準の明確化・透明化のほか、当該事案の情報開示、要するに、消費者視点に立った情報提供の在り方ということは、つまり、行政処分の是非を判断する基準の明確化とかということになってくると、今回7品目中2品目が表示どおりでなかったということについて、行政処分をどうするかどうかという判断が非常に曖昧である、だから、基準の明確化をすべきだと捉えていいですか。

(答) というか、予測の可能性が非常に低くなってくるということでして、同じ事柄が起きた場合にも、消費者庁との事業者の交渉の対応いかんによって、情報提供の仕方が変わってきたり、場合によっては措置の程度が変わってきたりということでは、かえって不公平でありますし、特保制度に対する信頼という点からすれば、むしろマイナスです。一定の基準を満たしていなければきちんと対応して措置するということにしないと、今後の特保にとっていい結果にはならないと思いました。

(問) わかりました。

もう一点なのですが、電力・ガス小売自由化の課題なのですけれども、どこかに書いてあるかもしれませんが、電力・ガスの小売全面自由化に対しては、経産省の監視等委員会と国民生活センターが連携して対応していくという形をとっていると思うのです。電力のときも記者会見をしてやったということで、ガスについても、そういうことが確かあってということですが、連携の在り方とか中身とかということについては、何か課題として意見は出ましたでしょうか。

(答) 私自身は、具体的にその内容については関知しておりませんので、後でもしよければ古城先生から話を聞いていただきたいと思います。今回特にやろうとしたことは、電力小売自由化に関して追加的に注視すべき論点、あるいはガスの小売自由化で注視すべき論点というものがどういうところにあるかということをきちんと整理するというところにあったと認識しています。ですから、今後、いろいろな形でいろいろな機関がこの問題を取り扱う際には、必ずこの点については留意してほしいという気持ちでおります。

委員会自身としては、この問題については、この視点を重視しながらフォローアップをしていくということを考えておりまして、必要に応じて意見表明をしたいと思います。

今おっしゃったような、更にそれを踏み出したというか、連携の仕方とかいろいろな問題について専門調査会のほうでお考えになるかどうかというのは、専門調査会の御判断になるかと思います。

もしよければ、古城先生、お願いします。

(答・古城座長) 1例目に関しては、消費生活センターから連携についていろいろ問題があるとか、そういう意見は出ておりません。


(問) 機能性表示食品制度の見直しについての意見のところなのですが、これは工程表にきちんと書き込めということと、要否の検討のところを修正されたいという書き方をされているのですが、これはどのように修正しろと言っていらっしゃるのでしょうか。

(答) これは消費者庁のほうで考えてくださいということなのですけれども。

(問) ということは、要否の検討ではなく、やれということですね。

(答) はい。

(問) それから、前回議論された目のピント調節機能の商品についての東京都の公表なのですけれども、ここで議論された後、東京都の公表文書が変更されていて、あと、消費者団体が、各事業者と東京都について、事実について質問状を出しています。その後、結局、本当に肝障害がその商品で起きているのかどうか何も分からないまま、本当に消費者庁に報告されたのが、ガイドラインに基づいた報告があったのか、消費者安全法に基づいて報告があったのか、それを消費者庁が受けたのかどうか、それをどう処理したのかが今分からないままになっているのですが、消費者委員会としては、その後、フォローはされているのでしょうか。

(答) 申し訳ありませんけれども、まだフォローしておりません。消費者庁が現在どういう動きをしているのかについては、私も気にはなっていたところなので、情報は収集してみたいと思います。どうもありがとうございました。

(問) 機能性表示食品のときに、有害事象の報告ということについて、報告されることのシステムはあるのですけれども、報告が義務化されていない。機能性表示食品ができる前の保健機能食品と栄養機能食品という2つがあったとき、いわゆる健康食品について、有害事象があった場合、都道府県を通して、つまりお医者さんが都道府県に報告して、都道府県を通して、消費者庁ができる前なのですけれども、当時、厚生労働省に届け出られたいわゆる健康食品についての有害事象。これは原因は究明されていない、不明なのだけれども、こういう情報が来ましたということを、現在も平成19年の段階ですけれども、厚生労働省はホームページというか、ネットで出している。要するに、メーカー名と商品名を出してやっておるのです。

機能性表示食品の場合は、それが原因であるかどうかということを判断するのは事業者のほうなのですけれども、明確に分かった段階で報告するようなシステムになっていて、なかなか有害事象について集まっていないのではないかとこちらは思っているのです。

つまり、それまでいわゆる健康食品と言われたものに対して、ちょうど国交省の自動車不具合情報のように、はっきりしていないのだけれどもとりあえず出す、公表するというシステムが厚生労働省にもともとあったのだけれども、消費者庁ができたことによってそれ自体がそれで止まっているわけです。

つまり、ある一定のルートを通ってきたもの、お医者さんが都道府県に報告したりとかしたものについては、それまではメーカー名や商品名が条件付ながら発表されていたものが、ない。機能性表示食品の中でも有害事象を集めたものをどう発表するかと、それをその議論の中で委員が言ったことがあったのです。

そういうものを考えると、報告書の中では2年を目途に必要とあらばちゃんと書いてあるわけですけれども、当然それは改正の検討、制度ではないかと思ったのですね。そういうものがあるものですから、消費者委員会としても、前と有害事象の発表の仕方が後退しているよというところは把握しておいたほうがいいのではないかという感じはしました。

(答) どうもありがとうございます。

恐らく有害事象の情報の伝達の収集のルートに関しては、前にも委員会からも意見を出したことがありますし、現在は病院等からのいろいろな情報が入ってくる仕組みにはなっているはずなのです。ですから、厚労省に今まで上がってきた情報がそこで止まっているということはないはずなのです。

(問) 厚労省のほうで発表していない。

(答) 発表していないのでしょうね。ただ、今、消費者庁のほうに、一応集まっている体制になっているのではないかと思います。あとは公表の仕方の問題かもしれないですね。

(問) 東京都のあれも私は経緯がわからなかったのですが、要するに、肝障害であるということについては、多分前であれば、消費者に対していろいろな形で発表できる形になっていたシステムがあったはずだと思いますし、それは東京都ではなくて厚労省です。要するに、いわゆる健康食品対策室がありましたので、その健康食品のところの担当課がそれをやっていたと思いました。

だから、私も取材したことがありまして、まだ原因究明がはっきりしていないということを1行書きながら、でも、こういうものが都道府県から来ましたということで厚生労働省は発表していましたので、新たな制度ができながら、それがされていないということについては、制度上の後退ではないかとずっと思っています。

(答) 意識して見てみることにいたします。

(問) 実は、地方消費者行政の国の財政支援、ここは今回消費者庁で検討会を持っていると。今まではずっと消費者委員会で、専門調査会で検討もしてきたし、建議も出してきていたのですけれども、新規事業に使える交付金は今年で終わってしまう。その交付金について、消費者庁の中で数人の委員さんで検討されている。それが間もなく、明日26日には報告書の骨子が出るという状況で、なかなか手挙げ方式の交付金になるのではないかと。どういう結論になるのかは、まだ骨子ができていない段階なのですけれども、その辺りで、消費者委員会で何かアプローチを御検討いただくということは考えられないのでしょうか。

(答) 地方消費者行政に対して、活性化はどうするのかということか、地方の消費者団体に対する、特に適格消費者団体等に対する経済的な支援という問題については、消費者委員会からは、何度か意見や建議を出してきております。

恐らく、現在そこで切れてしまうであろう現在の交付金の次をどうするのかということについては、消費者庁が今、対応策をむしろ検討しているということなので、それを拝見してから、また必要があれば物を言うということになるのだろうと思います。

現に、かなりの地域で、そういう形でのいろいろな支援のためのお金を出しているようなところが出てきつつあって、東京都なども、実際に無利子での貸付けであったり、経済的支援を決めたと言っていました。ですから、だんだんそういうようにして地域が手を挙げてくれる。消費者庁も、何らかの形で支援事業というものを考えて、モデル事業とか、いろいろな言葉は使っていますけれども、そういうものを使って経済的な支援ができる材料を集めているとは理解しているところです。

(以上)