河上消費者委員会委員長 記者会見

2016年11月30日
消費者委員会

日時

2016年11月30日(水)11:00~11:23

場所

消費者庁記者会見室

冒頭発言

(河上委員長) 始めますけれども、次回ですと少しまとまってお話しできることがあるのですが、今、全てが現在進行形の状態ですので、今日、私のほうから積極的に御報告することはございません。何でも御自由に質問をいただければと思います。

以上です。

質疑応答

(問) お願いいたします。

次回ならということですけれども、正に成年年齢の引下げとかが来月12月中ということだと思うのですけれども、めどとしては来月のいつぐらいを目指している状況なのでしょうか。

(答) 消費者庁からの意見照会では、年内にと言われておりますので、できましたら年内には意見をまとめたいと思っております。12月の後半になるのではないかと思います。

(問) 中旬よりも後半ぐらいまでしっかりやるという。

(答) その辺は議論の進捗度合いによりますけれども、今、ヒアリングをどんどんやっている最中で、それが終わって、委員間で最終的な取りまとめのための協議を数回やらないといけないだろうと思いますので、下旬になるのではないかと思います。

(問) 今までのヒアリングをお聞きしていると、法律の内容、表現を変えるとか、法改正まで踏み込むような意見を聞いているようなところもあるかと思います。その辺りまでも視野に入れて今、議論を進めるということ。

(答) もちろん視野に入れております。ある程度制度的な対応ということが必要になる場面というのがあるのではないかということで、必要とあればそこにも手を付けることになります。

(問) ありがとうございます。

(問) 昨日消費者庁が特保の取消しの関係で、再発防止策を発表したのですけれども、消費者委員会としていつ頃アクションを起こされるかという点を。

(答) 昨日発表した内容は私も拝見いたしましたけれども、正直言って、余り具体的な対策についての内容が見えない部分が多いような印象を受けました。

今後の予定としては、12月6日に消費者委員会本会議において、消費者庁に追加で説明を求めている事項への回答と併せて、昨日公表された対応についての説明を聞いて、更に議論を深めたいと考えております。

既に御承知かと思いますけれども、幾つかの対応策の枠組みだけは示されているようなのですけれども、それが具体的な内容としてどうなっていくのか、まだまだわからない部分が多いので、しっかり聞いていきたいと考えています。その上で必要があれば、消費者委員会として意見を表明していくということを考えているところです。

(問) 12月6日、とりあえず1回会議で意見表明するかどうかを判断する感じですか。

(答) 現時点で既に情報はいただいておりますし、いろんなやりとりは水面下でやっております。6日の説明を聞いてみて、なお明らかでないということであれば、それでまた対応を考えたいと思います。

(問) 不足していると感じる部分があれば、その部分について再建議する感じも。

(答) 再建議はあり得ることですけれども、ほかの方法でやるということも考えられます。消費者基本計画の工程表というのが今、見直されているところですので、工程表についてのヒアリング等々の中で、具体的に求めるべき点があれば求めていくというやり方もあろうかと思います。その辺は消費者庁の対応いかんで考えていきたいと思います。

(問) 今の関連なのですけれども、具体的な内容でわからない部分が多いというのは、具体的にはどういうところをもうちょっと詰めたいとお感じになったのでしょうか。

(答) 昨日の記者レクのときに消費者庁からこういう紙が配られたと聞いております。一応課題が3つほどあって、許可条件どおりの製品が販売されているか把握できていないのではないかとか、許可後に販売の状況を正確に把握できていないのではないか、新たな科学的知見の報告が法的に明確にされていないのではないかというような課題があって、それに対する対応策として6つほどが項目として並んでおります。

例えば販売されているかどうか把握できていないということで、買上調査を前倒しして実施するのだと書いてあるのですが、ただ、買上調査の内容を先取りして公表するようなことをしては、警告を与えるようなもので、これはまずいのではないかと思いますし、実際に買上調査をした後、それで問題があるというときに、その後の対応策がどうなるのかということがわからないままになっております。

販売のときに新たな科学的知見を入手した場合に、消費者庁への報告を義務化するというように内閣府令を変えるということを言っているのですが、それは今も同様の許可条件になっていることですので、それをすることに一体どういう意味があるのかはよくわかりません。何か特別な効果を考えているのかどうか。

それから、失効届の提出依頼を課長通知で発出したということですけれども、では、それで失効届が出ればいいですが、出なかった後どうなるかというような、様々な疑問が湧いてくるものがありますので、そういう対応策についても、具体的にどうするつもりなのかということをきちんと聞いてみないといけないと思います。

さらに、消費者委員会からは更新制の問題を長期的には検討してくださいと申し上げてまいりました。代替手段の再審査制があるからいいのだと言われましたけれども、代替手段が事実上機能していないということが明らかになったわけで、やはり更新制についても正面から検討していただけるのではないかと考えておりまして、その辺についても消費者庁がどのぐらい本気でこれをやるかということを見極めた上で、対応をとりたいと思います。

(問) 更新制についてですけれども、昨日の会見では、1年に1回成分分析の分析結果を出させる、これで何とか担保できるのではないかということを言っていたのですけれども、それについてはどう思われますか。

(答) 出てきたものについてある程度まではいけると思います。けれども、出てこないものもあるでしょうし、その内容いかんを前提として、どうするかという次の策が見えないですね。いずれにしても、今のままでは、対応策としては、消費者委員会として、わかりましたと言うわけにはいかない。その辺については、更に検討してみたいと思います。

(問) 関連で、今後、6日の会合を経て、もし対策が足りないということ、不十分だという判断だったときの検討をする場というのは、例えば特保の調査会とか、そういうところに設けて、何回か議論していくという流れになるのでしょうか。

(答) どういう形でやっていくかは更に次の問題ですので、現時点では考えておりません。

(問) あと、例えば4つ目のポツとか、建議との絡みもあるところかと思うのですけれども、その文書だけだと内容がなかなかわかりづらいところがあるのですけれども、例えば6日の会合では建議の進捗状況の説明があると思うのですけれども、その中で4番については具体的に消費者委員会はこういうことを求めているけれども、消費者庁はここまでしかしないとか、そういうところまで詰めるような感じであるのでしょうか。

(答) 一応建議についてのフォローアップですので、建議がどういうことを求めたのかということと、消費者庁はそれに対してどこまでのことをやってくれたのか。さらに、足りないところはどこかという形で、明らかにしていくことになります。その確認の中で、対応状況について疑義があれば、次の手を考えていくことになります。

今、特保の話ばかり出ていますけれども、実は機能性表示食品に関しても、消費者庁の事後チェックの在り方が問われているという意味で、今回の議論に関連します。買上調査の結果、問題が生じた製品に対する対応状況がどうなったかについても併せてその場で確認していきたいと考えているところです。

(問) 建議の内容で、更新制、それから更新制に代わる再審査制を求められていて、この中で過去に科学的知見が事業者から一回も出ていなくて、再審査も行われていないという状況を踏まえて、今回出てきたのが、科学的知見の提出の義務付けだと。これに関して、今、建議に対する答えとしてどのように受け止められていて、本来、建議としてはどういうことを求めていらしたのかをもうちょっと御説明いただけないでしょうか。

(答) 今回の調査結果というのは、全数調査をしてみて、一定の分析をされた内容について、問題はないようだということを言ったわけですね。ただ、自社調査だけにとどまっているものもかなりありますし、消費者庁の話では、第三者機関に頼んで調査をするというようなことを、分析を義務化するのだという次長通知の改正を対策として挙げているというところまではあります。

ただ、うまく回転していって、現在の製品について定期的に成分とか科学的な知見についての更新が行われているかどうかは、この段階ではまだわからないわけでして、消費者委員会が考えたのは、余り長い間そのままになっているようなものについては、場合によっては更新制度をとって、一定の段階でそれが出てこないときには失効させるというようなところまでいかないと、千数百もある特保で全然動いていないものが相当あるわけですから、そういうものを整理していく必要があると思います。

機能性表示食品のほうがこれだけ出てきて、特保が一方でこういう状態になっていて、特保についてもこれ以上手を入れることに対する積極的なインセンティブが湧かないのかもしれませんけれども、やはり、特保制度と機能性表示食品制度というのはそれぞれの良さがあるわけですから、それをいかしていける方向で、特保制度もブラッシュアップすることが必要なのだろうと思います。

消費者委員会からの提言との関係を、細かく言い始めれば切りがないのですけれども、その辺は消費者庁に更に頑張っていただきたいと思っております。

(問) すみません、義務付けに伴って、内閣府令を改正すると言っているのですが、それによってアクションが変わるようなことが期待できるのでしょうか。

(答) そもそも、今の許可の条件になっているわけで、新しい知見が出たら届け出なさいということが許可の前提条件となった形で許可が付与されていることを考えれば、実際の製造者の公益違反としては変わらないわけです。ですから、何か変わるかというのは疑問です。

(問) 今の関連で、昨日記者会見の後に事務方に聞いてみたら、新しい科学的知見というのは今回の日本サプリメントのような、もう一回調べてみたら成分量が少なかった、別のものが入っていたというのは、必ずしも新しい科学的知見には当たらないのではないかということを言っていて、そうしたら、これは再発防止策ではないではないかということを、そもそも新しい科学的知見というのがぼやっとし過ぎていて、これのハードルをもうちょっと下げればいいのではないか。そうしたら、大分今回、報告を義務付けることで、許可の前提があるかもしれないのですけれども、そもそも新しい科学的知見という概念が何を指すかのハードルを下げるというか、そうすれば報告がもっとあるのではないかと思うのです。

結局再発防止策を打ち出したところで、今回の日本サプリメントのようなものは報告義務の対象にならない。

(答) その辺はわかりません。消費者庁にまた聞いていただければと思いますけれども、日本サプリメントの問題に関しては、新しい科学的知見だと私は思います。

(問) 私もそう思ったのですよ。それを聞いたら、必ずしもならないというので、これは意味ないではないかという。

(答) そうですか。その辺は私はにわかには答えられませんが、常識的には新しい知見ですね。

(問) そう私は思ったのですが。

(答) 賛成です。

(問) では、よかったです。

(問) これは非常に個人的な見方かもしれないのですけれども、先ほど委員長がおっしゃったように、機能性表示食品のほうがどんどん出てきて、実際、受理されたのが約530ぐらいで、たった1年半ちょっとでそのぐらいで、特保は二十数年かけて実際売られているのは366品目、ひょっとしたら市場では追い抜いているかもしれないぐらいの勢いなのですけれども、さらに、その背景には特保が金と時間がかかるというのが元々あったわけですけれども、今回の日本サプリメントの事件を受けて、本来必要な規制かもしれないのですけれども、更にいろいろ規制がかかってきて、ますます特保離れが起こったときに、ここからは個人的な意見なのですけれども、特保が一部の企業のための制度になってしまって、その審査のために税金を投入していく構図になっていくのではないかというところも懸念しているのですけれども、その辺についてどのように委員長はお考えでしょうか。

(答) 私は必ずしも特保制度の意義が失われていくわけではないと認識しております。国民にとってみると、国がきちんと安全性と機能検査をやって、お墨付きを与えた形で出てきた特保に対する信頼はまだまだ厚いわけですね。

機能性表示食品のほうが自己責任でもって検査をしているとはいうものの、玉石混交である可能性があるわけで、その辺の機能性表示に関する実際の審査とか、分析とか、そういう作業が、国の審査等に匹敵するぐらいの形になるまでにはまだ時間がかかるという気がします。

しかも、機能性表示に関する表示の仕方は、国が特保で表示について神経を使っているよりも、かなりルーズに広告の中で使われているという印象があります。しばらくの間は機能性表示食品に対して、景表法等の違反を含めてきちんと対応して、信頼の置ける制度になるように育てるということが一方で必要です。また、同時に特保制度の価値をきちんと維持していくだけの作業というのを併せてやっていかないといけないのではないかと考えています。

(以上)