河上消費者委員会委員長 記者会見

2013年2月12日
消費者委員会

日時

2013年2月12日(火)18:59~19:43

場所

消費者庁6階記者会見室

冒頭発言

(事務局) それでは、遅い時間までどうもありがとうございます。消費者委員会ですけれども、先ほどの委員会の席上で「消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策についての建議」を取りまとめましたので、その説明と質疑応答等を行いたいと思っております。
 委員長のほうから最初に、どういった経緯でどういった内容の建議を取りまとめたかを御紹介いたしまして、その後、質問、意見交換を行いたいと思います。それでは、委員長よろしくお願いします。

(河上委員長) 先ほどの消費者委員会に出席されていた記者の方がたくさんいらっしゃると思いますので、内容は余り詳しくお話しする必要はないかと思いますけれども、建議の中でもお話ししているとおり、リコール開始後の未対策製品による重大事故というものが、過去5年間で継続して年間100件を超えておりまして、減少傾向にないということでございます。
 これには、リコール情報が必要とされる消費者にリコールの情報がきちんと行き渡っていないということがありますし、仮に情報が届いても消費者が行動するに至っていないという状況にあるという問題がひそんでおります。
 さらに、消費者調査等においてリコール情報等の身体・生命・財産を損ねる危険のある製品に関する情報を入手できていない消費者が、どうも増えてきているのではないかということも言われています。
 消費者委員会としましては、このリコール情報を含む注意喚起の情報が確実かつ迅速に消費者に伝わる体制づくりにおいて、さらに従来よりも一歩踏み込んだ対応策が必要であると考えまして、過日、消費者安全専門調査会が取りまとめました報告書をもとに今回の建議を行うことに致しました。
 お手元に横書きの資料1‐1というのがありますけれども、ここに基本的な概要が書かれております。基本的には消費者に情報をうまく伝えるための方策として、どういうルートあるいはどういう媒体が考えられるかという問題とか、あるいは地方の消費者センターにいろいろな意味での拠点になってもらうという位置づけをはっきりさせること。必要な消費者に対して、これを届けるための効果的な実施方法等についてさらに検討していただくよう求めております。
 きょうの委員会の中でも問題になりましたけれども、肝になるのは販売業者です。販売業者にそうしたリコール情報の伝達に関して、従来、努力義務ということになっておりましたが、より一層の情報提供に取り組んでいただきたいということであります。法定の義務づけというところまでは進んでおりませんけれども、やはり状況を見て、どうしても必要であれば、そのようなことも考えていく必要があろうかと思います。
 消費者の方々、あるいは報道の方々も含めて、こうしたリコール情報をうまく伝えていくためにいろいろとお力をお借りしなければならないということですけれども、消費者委員会としては、とりあえず各省庁に対して要請をするという立場ですので、建議ではあまり書いておりませんが、報告書の中ではいろいろな指摘がありますので、そういうことも参考にしながら、リコール情報をうまく活用できるような仕組みというものを、ぜひ皆様と一緒に構築していきたいと考えているところでございます。
 私からはとりあえず以上で、あとは質問をお受けいたします。

質疑応答

(事務局) それでは、質問をお受けしたいと思います。

(問) 肝になるという販売者の情報提供の部分と、山口委員がおっしゃっていたように、最初から法改正してもということをどうして選ばなかったのかなと。どうしても進まなければというほどには少ない数の人しか亡くなっていないとは思えなくて、23年度だけでも火災で3人亡くなっていると聞きました。
 そういう状況であれば、メーカーは今、強制リコールがあるから自主的リコールをしていると受け取れますし、もうちょっと踏み込んでもいいのかなと思うのですが、その御判断はどうするのでしょうか。

(答) 基本的に消費者安全法と消費生活用製品安全法というもので、制度的にはある程度まではできる。ところが、現実にはまだきちんとできていないというのがまず一つあります。
 第2点として、経済産業省が現在その取り組みを開始しておりまして、それがどの程度効果を上げるものかということについての今後の状況をもう少し見たいということ。
 第3番目ですけれども、販売業者と言っても大手の量販店のように顧客の情報を追尾できる体制を持っているところだけではなくて、零細な販売業者がたくさんいるということがあります。そうした販売店の全てに法的な義務づけをして、場合によってそれに対してサンクションを加えるということになりますと、なかなかこれに対応し切れない販売店がたくさん出てくるのではないかということも憂慮いたしました。
 とりあえず経産省が今取り組んでいますので、その具体的な結果を見てから判断をしても遅くはないのではないかということで、決してリコールの今の被害が軽微であるとかそういうことではございません。

(問) 経産省の動きというのは、どんな動きでしょうか。

(答) これは、専門委員会のほうで一定の情報があったかと思います。その辺を事務局から教えていただければと思いますが。

(答・事務局) 経済産業省と事実確認をしている中で、経済産業省としても10年以降減っていないので、そのあたりを非常に課題と考えておられて、特に販売事業者の一応今も努力義務と書いていますけれども、これを言葉だけの努力義務ではなくて、そこに必ずやるべきことのようなことができないのかという検討を開始されているところと聞きましたので、それが法改正まで行くかどうかというところはまだ全然見えないところでありますが、何も着手をされていないという状況ではなかったというところで、フォローアップのときにきちんと話を聞くという形にしてはどうかということです。

(問) 先ほど聞いたのですけれども、それほど動きが活発だなとも受けとめられなかったので、ぜひ8月に至るまでにせっついていただければと思います。

(事務局) どうぞ。

(問) 私、この法律を実は成立のときから追っていまして、その成立のときにもここの販売業者のところはかなりもめたのです。今回、この調査の結果を見せていただくと、5年の見直し、2007年の施行から比べても全く減っていなくて、新聞社告が減っていて新聞を読まなくなっている人が本当にふえていて、流通業者への期待とか現実的に高まっている人たちがふえているとここまで調査をされて、書かなかった理由というのが、経済産業省が検討をしているからというのは、何のための消費者委員会なのかと理解ができないのです。検討されているのだったら、余計にもうちょっと踏み込んで書いたほうがいいのではないかと思うのですが、なぜなのでしょうか。

(答) それは別に書かなかったというよりも、むしろこの建議の中ではそういう販売業者に対して、どういう形での情報提供が可能かということを積極的に検討してくれということを書いているわけです。そこを法的な義務づけを検討せよと言ってしまっていいものかどうか。その部分について、なかなか踏ん切りがついていないということだけであります。今後、さらに経産省のほうで余りにも話が遅いということになれば、それはそれできちんと対応しないといけないということはおっしゃるとおりであります。
 これ以外にも、リコールの対象になっていないさまざまな分野があります。そういうものについても、今後、消費者委員会としてリコールの対象に入れるべきかどうかということとか、法的な改正を含めて、これはやったほうがいいのではないかということについては、さらに踏み込んで考えていくということはあろうと思います。

(答・事務局) 補足で先ほどの質問に答える形なのですけれども、もう一つ気にしていたのは、後半、消費者委員会事務局でアンケートをして、社告を読む人がいない、直接届けてほしいという人がふえているというところはわかったのですが、実は専門調査会のヒアリングをずっと重ねてやってきていましたけれども、販売流通業者に対してのヒアリングというのをあの場でやっていないのです。ビックカメラに行きましたが、それは事務局で調査に行ったというところで、専門調査会での議論というところももうちょっと深める必要があったのだなというのは、反省点としてはあります。そこをやっておく必要があったと思っています。

(問) 建議をする先というのは、消費者庁と経済産業省と厚労省、警察庁長官、国土交通省ということでよろしいですか。

(答) 基本的には消費者担当大臣と経産大臣というのが主たる宛て名になり、それ以外の関係大臣には、正式な宛て名という形ではないのですけれども、一般的にお届けするという形になると思います。

(問) 具体的にやれというところなのですけれども、例えば乳幼児の安全は母子健康手帳に記載というのは厚労省ですし、運転免許というのは警察庁ですよね。福祉介護関係者も厚労省だと思うのですが、建議先は消費者担当相と経産大臣でいいのですか。

(答) 基本的に消費者庁が、ある意味では司令塔的な機能を果たすわけでして、今回の建議を前提にして、消費者庁から関係省庁に対して依頼をしていくという形を考えております。

(答・事務局) あと各省庁に対しては、積極的に消費者庁に協力をしていただきたいということでお願いしております。

(問) 消費者庁にやれと言っているのは、サイトを充実させろというのと、関係省庁に語りかけろの2点を言っているということでいいのですか。

(答) ここの建議先および建議事項ということで整理している中で、消費者庁と書いてあるところが全て入ります。

(問) 情報サイトの充実というのと、メールを活用しなさいよとかそういうことなのですよね。

(答) それも入ります。

(問) わかりました。ありがとうございます。

(事務局) ほかにいかがですか。どうぞ。

(問) リコール基本法とか、リコール促進法みたいなもので、最後に入らなかったというのは理解をするということは難しいかもしれないけれども、委員さんによってはいろいろ御意見があるのだろうと思うのですが、それが一応報告書の今後の課題としては書かれたと。それについては、消費者委員会はどのように受けとめていらっしゃるのでしょうか。この中からは何も見えないです。

(答) これはむしろ消費者委員会自身の課題ということになります。委員会の中で、何をどう検討していくべきかということも含めて、リコール基本法等の法整備について、さらに検討を深める必要があるという認識は持っておりまして、場合によっては専門調査会でさらに検討を行っていただくということも含めて、今後の方向性を考えていきたいということであります。

(事務局) どうぞ。

(問) 基本的なところで、当初専門調査会の中で意見も出ました。なぜ食品が入らないのか。これは消費者庁の事故収集情報と原因究明とリコールの発信の中に、当然食品もあるし製品もあるし、施設もあるし役務もある。だけれども、その中でなぜこういう形で絞ったのか。何回か委員会の中で難しい説明がありました。納得できるような回答が傍聴にもないと思いますし、なぜでしょうか。

(答) これはあえて外したというよりも、むしろ専門調査会のいわば力量と言いますか、人的・物的・時間的の資源の中でやれることを考えざるを得なかったということで、今回はとりあえずここについてとして問題を限定してありますけれども、それ以外のところは要らないという趣旨では全くありません。
 ですから、今後そこの点については、さらに検討をするというのは当然のことであります。

(問) 今後していくということですか。

(答) そうです。

(問) 例えば食品リコールは昨年度900件あるし、ここ3年間で700件クラスでやっていますし、なぜそれが入らないのかというのが、ずっと委員の方からも入れるべきだという意見があったし、それがわからない。つまり、今、おっしゃった専門調査会委員の力量ということですか。

(答) 専門調査会委員の力量と言ったら語弊があるのですけれども、やはりそれだけ非常にたくさんの種類の商品がございまして、リコール体制に関しての議論を詰めるだけの情報を整理するところまではいかなかったということです。

(答・事務局) 補足しますと、食品を意図的に外そうという話は全然していなくて、途中で食品のリコール公告のあり方についても議論はしたところです。
 最後になってなぜ食品が外れたのか、外したのかという話になりまして、確かに議論が消費生活用製品ということで製品中心でした。最後の専門調査会のときに、少し私のほうも説明をして、今、食品についてはこれぐらいの状況で、どういうタイプのものがあるということも資料提供をして御説明もしました。だから意図的に外したというわけではないのですけれども、大きいものが外れているということは、認識は専門調査会の委員も、私どもにもあります。反省としては途中で農水省のヒアリングとかをやればよかったのかなと思います。

(問) だけれども、建議のあれが食品のリコール対応に対して消費者が注意すべきことということと、例えば専門調査会で越山さんが言っていて、報告書になっている危険認知のスリーステップのあれは全く食品の場合と違ってくる可能性があるので、そこのところがきちんと報告書に書いてあればいいけれども、書いていないものだから、そうすると、要するに隙間がさらに隙間になっていくような感じがしたわけです。
 例えば今は役務などというのは、消費者庁に年間100件近く運輸サービスとかが来ているわけです。そういうものが海外では製品サービスのリコールというサービスも入っているのに、本来は消費者庁、消費者委員会が役務のリコール対応とか、情報発信についてやるべきなのに、そういうのをしてないのではないかという、つまりそこがすっぽり抜けたまま、食品だけではないわけです。そういうのがきちんと報告の中に入っていたりとか、建議の中で食品などは問題点は幾らでもあるわけですから、書いてあれば少なくとも次につながるのではないかという感じです。身の回りの消費生活用製品だけが対象になっていて、それに対してはそうだけどもということを感じます。

(答・事務局) 継続しているのはやはり大きい課題だということで、協力してやっていきます。

(答) ここの部分について抜けていることは私も承知しております。将来的に委員会の中でもやらないといけないということについても、恐らく専門調査会の中でも同じ考えだろうと思いますので、できましたらこういうものについても検討をぜひやりたい。
 先ほど役務のリコールという話をしましたけれども、役務のリコールは結構難しくて、何かものを取り戻せばいいという話ではなくて、後ろ向きの修補のような役務を考えないといけない場合もあり、そんなことであればそのような役務はもう要らないということなのですが、一旦提供してまった役務というのはなかなか取り戻しができない。ですから、物を戻してそこを交換するという話で片づく問題ではないのです。
 そんなわけで、役務についてのやっかいな問題があることは確かで、皆さん問題だなというところまでは一致しているのですが、具体的に何をすべきかというところについては、さらに検討が要るだろうということであります。
 ほかのところに関しても、先ほど事務局長からありましたけれども、本来、こういうリコール問題について一定の制度的な改変まで考えるとすれば、やはり関係業界に対してもヒアリングをかけるなり、あるいは関係省庁に対して、もっと踏み込んだヒアリングをかけるなりしないといけないと思いますが、何せ専門調査会の短い期間の中で、かなり精力的にやったのだけれども、そこまで力が及ばなかったということがあります。足りなかった部分はぜひ今後の課題にしたいと思います。

(事務局) どうぞ。

(問) 今までの質問の確認なのですが、経産省が検討をしているけれども、法律の部分までは踏み込まない理由というのは、零細企業が心配だからということですか。

(答) 基本的に大手の、例えば実際にヒアリングをかけたようなところであれば、かなり対応はできるだろうということはわかったのですけれども、それ以外のよく経産省が日本は99.何パーセントは零細企業なのですよという言い方をしますが、販売に関してもいろいろな販売業者がいて、その人たちがリコールに関する協力義務というものを法的に義務づけられる。それに対するサンクションを加えられる可能性があるということになった場合の市場の対応が可能なのかということです。そこについては、もう少し様子を見る必要があるのではないかということに、委員の間では議論になったということです。

(問) 経産省も同様の理由で法改正まで踏み込まないということですか。

(答) そこはわかりません。経産省はひょっとしたら法改正も考えながら検討をし始めているのかもしれません。委員会のほうで得た情報によると、先ほど言ったように経産省で問題がある重要性はかなり認識しているので、検討しているということだったので、今後フォローアップをして、具体的にどんなところまで検討が進んでいるかということを確認していきたいと思います。

(問) では、経産省も零細企業の問題をすごく問題視しているということですか。

(答) 可能性はあると思います。

(問) 今回法改正に踏み込まない直接の理由としては、経産省が検討をしているからというよりは、零細企業が対応し切れないからではないかというほうが大きいのでしょうか。

(答) 両方ですね。

(問) 零細企業に対して義務づけるとしたら、具体的なイメージとしては情報管理という形になりますでしょうか。

(答) 例えば実際のリコールについての通知義務であるとか、あるいは回収そのものの行動についての義務です。今、協力義務ですけれども、そういうものも含めてやらないといけない可能性があります。メーカーさんは今、一生懸命やっていますが、流通業者とか販売業者というもので、一番効果的にどの商品がどの消費者のところに行ったかという情報をつかんでいる人がいるわけです。だから、そういう人をうまくつかまえて、その人から情報発信をしてもらうということもありだと思います。

(問) では、義務づけた場合の具体的な行動としては、購入者の情報管理と実際に回収するまでの行動も含まるということですか。

(答) そういうことになりますね。

(問) その費用も全部、義務づけた場合は販売業者ですか。

(答) そのコストはどこが持つかは、メーカーが持つことになるのかもしれませんけれども、販売業者も一定の法的な義務という形で、単なる協力義務を超えて義務づけられるという可能性も出てくるかも知れません。これは影響が大きいと思います。

(問) 建議先のところで確認なのですけれども、両大臣に対して建議をしたのではなくて、関係大臣を含むということで両大臣らに対して建議をしたでよろしかったですよね。

(答) 関係大臣を含むということでは「ら」でも結構です。

(問) 改善の報告も大臣に要請ということでよろしかったですか。

(答) はい。

(問) わかりました。ありがとうございます。

(答) 6カ月後に一応、報告を聴取することになっておりますけれども、6カ月などとは言っていないで、機会を見てつっつくと言うか、どうなっているということはぜひやりたいと思います。

(問) 確認なのですけれども、報告書は全部まだあれなのですが、要するに今の質問に関連なのですけれども、経済産業省が2年前に消費者庁が発足したときに、消費者視点ではなくて、消費者起点の消費者行政という報告書を書いています。それは要するに販売事業者のヒアリングをして、リコールの件についても、その中で施策提案をされています。
 つまり、そういう経済産業省がやってきた2年前に出ているものが、今、まだ検討中というのは解せないわけです。つまり、本来は紙面でも出しているような消費者への通知義務を法的に、つまり法改正してやるべきではないかということを提案している。それに対して経産省がそういうことはまだ検討中だから、検討を待ってということはきょうも委員会で話がありましたけれども、それは要するに、経済産業省でこれまでやってきた検討とか何かについて顧みられているのかどうか。そこはあるのでしょうか。
 つまり、製品の安全性について経産省がずっとやってきました。それを消費者庁ができる前後に報告書を出して、スリーステップメソッドとか製品の安全性をどうするか、届いていないリコールをどうするかということが報告書の中に入っているわけです。そういうものが踏まえられた上でやっているのかどうかということが、すごく気になってはいたのですが、そこはどうなのでしょうか。今、やっているというのはわかります。

(答) 経産省がサボっていたという言い方は、できないところでありますけれども、今回の専門調査会の中で具体的に例えば乳幼児向けの製品に関しては、母子手帳の中にリコール情報を入れてはどうかとか、カー用品に関しては自動車免許証の更新の際の資料の中に入れてはどうかとか、こういう具体的なアイデアもいっぱい入れたわけです。そうしたアイデアを実際に媒体にしてもルートにしても、もう少しきちんと検討して、リコール情報がうまく伝わっていくように仕組んでほしいという書き方までしましたので、これはここまで言われてちゃんと進まないとなれば、怠慢だということになろうかと思います。

(問) 怠慢との関係で、建議1の部分なのですが、ここの中に「収集される行政機関を通じたルートについて、情報発信のルートとしても活用できるよう、双方向の流れとする体制を整備し」と書いてあります。報告書の中では逆ルートとかという言葉で出てきていましたけれども、例えば消費者安全法の中では通知された情報に対して、自治体とか庁とか、要するに分析した結果を提供すると書いてありますよね。となると、これはその体制がシステムとしてあるのですが、怠慢のために整備されていないということを前提として、さらにそれを強化しろと言っているのか、それとも要するに新しいこと、つまりそういうルートがシステムとしてあるわけですけれども、ルートよりも違う新しいものを提案されているのか、どちらなのでしょうか。

(答・事務局) 新しいものという提案ではないです。今あるルートをもっとうまく双方向に活用できないかという話です。
 それから冒頭に戻りますけれども、経済産業省は情報が届いていないということを2年も3年も前から認識している。これは国民生活局も同じような認識をしていて、福田総理のときに、5つの分野に分かれて各政策の検証というのをやったのですが、その中の製品安全というか消費者安全のところでもやはり情報が届いていないということは非常に認識をしていて、どうすればいいかということの検討は内閣府でも同様にやっていたということです。

(問) わかりました。だから、そういう検討をしながら、自主的に促進させることを各省庁がこれまでやってきていながら、リコール漏れ製品による事故が多いということから、専門調査会の中では既にそういう自主的なもの以上に、法的なリコール法の制定とか、網羅するようなそういう意見が出たと私は思っているわけです。でも、それを今回は法的な改正とか制定ではなくて、今ある自主的なそういうものをさらに強化というか整備しろという提案なわけで、それでいいのかなという感じがしたわけです。
 もう一つ、報告書の中で逆ルートを使ってこうやって、地域住民に知らせるという細やかなことをおっしゃっていますけれども、例えば消費生活用製品安全法では、ルートとしては我々が知るのは重大事故の場合は、事業者名が公示されたり、製品名が公示されています。ところが消費者安全法では、事業者名は公示されず、製品名は公示されない。それを逆ルートで自治体に戻していって、自治体の中で住民がわかるようにということを書いてありますが、それは消費者安全法のシステムから言って、製品名とか事業者名は公表しないわけだから、そうするとそれが果たして住民が本当に知るのか、そういう中で果たして届くのかなというのはすごく疑問に思うわけです。
 つまり、そういうことを建議するのであれば、消費者安全法と消費生活用製品安全法のそごを改正するとか、整合化するとか、そういう提言になぜならないのかということを感じるのです。

(答) 報告書の中ではそれは触れていると思うのです。特に義務等の具体的かつ効果的な実施方法を検討してくれと要求をしているわけです。そこでの効果的な実施方法の中には、そこでのそごをできるだけ埋めるようにという趣旨が当然入っていると私は認識しております。
 どういう形での情報をどう出すのが最も効果的なのかというのは、実は商品ごとにかなり違う部分があります。ですから、消費者委員会のほうでこれはこうして、これはこうしてというところまでは、なかなか書き込むことはできなかったということで、報告書の中にかなりいろいろなアイデアが出ていますので、そういうのを随分生かしながらやっていただくということでいいかと。
 今回、報告書が出てから余り時間を置くのは好ましくないという判断もありました。せっかくこういう形で専門調査会に立派な報告書をつくってもらったので、できるだけその成果を建議の形で一旦はまとめて、次のステップに行こうではないかということであります。ですから、これでよしという話では全くありません。今後さらに、委員の中ではリコール基本法のようなものが要るのではないかという意見は多いですし、私もあったほうがいいのではないかと個人的に思います。ですから、そういうものを少し中長期的な課題としてにらみながら、検討すべき点をきちんと詰めていきたいということであります。

(問) もう一点だけ。ここに例が出ている介護ベッドです。建議事項マル2の中に福祉機器(介護ベッド等)ということで、これは周知ということです。
 例えば専門調査会が検討している最中の1月に、原因がまだわからないけれども、介護ベッドに関係した死亡事故が33件かそのくらいになっています。注意喚起を消費者庁がずっと何回もやってきた、専門調査会でもやっている、ここでもまだ周知ということで流されている。こういうことこそ本当は、周知とかではなくて法的な措置ということを考えるべき問題として、事例として挙げるべきではないかと私は思っていたのです。いたというのは要するに消費生活用製品安全法の危害防止命令、つまり全体的に法的な命令をする。この報告書では3件しかまだ出ていないと書いてあるわけですけれども、そういうことが介護ベッドについては、恐らく何百万でもあるわけだから、今後多分事故が出るだろうというおそれがあるという中で、ここで周知だけしか書いていないわけですが、改めて委員長としては何かないのでしょうか。

(答) 今回の建議は製品リコール案件の注意喚起の徹底策というところが主眼であります。リコール案件になるかどうかというは、介護ベッドにおける事故というものと、製品の欠陥との因果関係というものがある程度わからないといけない。むしろ消費者庁の中で今、消費者事故についての原因究明ということについては別途の機関が動いているということもございます。
 その事故が軽微な案件であるとか、数が少ないということでは全くなくて、むしろそれがリコールにふさわしい製品であって、リコールの問題になったときに、果たしてそれがうまく機能するかどうかというところが、今回の建議の対象になりますので、言ってみれば議論のレベルが少し違うということになります。

(事務局) どうぞ。

(問) 半年以内に実施を求めるということは、期限は8月12日でよろしいわけですか。

(答) きょうからですから、そんなところになります。

(問) あと不勉強で済みませんが、乳幼児の安全にかかる製品というのは具体的にはどんなものが考えられるのですか。

(答) 具体的にと言いますと私もなかなか思いつかないのですけれども、チャイルドシートのようなものでしょうかね。

(問) チャイルドシートのリコール情報の外ということですね。
 あと、自動車関連というのは車そのもののリコールというのがあるではないですか。エンジンの中の部品にふぐあいがありましたみたいな、それではないのですか。

(答) 自動車そのもののリコールの問題は一応除外してあるということでした。

(問) そうすると、カー用品ということでよろしいわけですかね。具体的にはどんなものが考えられますか。

(答) どうなのでしょう。私も車は詳しくないのですけれども。

(問) 過去にリコールしているのだけれども、消費者が対応しなくて事故が起きたカー用品はどういうものがあるのですかという質問です。

(答・事務局) そこはリコール情報に限っておりません。注意喚起の情報というところです。

(問) 例えばどんなものがあるのですか。

(答・事務局) これまで具体的に何があるというよりも、そういうことがあった場合にはそういうルートを使って情報提供すれば効果的ですよということです。

(答・事務局) 車に装着するチャイルドシートでも課題があるということですので、そういった問題はありました。

(答・事務局) 車を持っている人が確実に見るものは何かということを考えれば、そういうところがいいのではないでしょうかということです。

(問) わかりました。

(事務局) どうぞ。

(問) 先ほど委員長も6カ月待たずにつっついてやりたいという話で、その上でここまで例示していれば、やらないのはおかしいのではないかという発言もあったと思いますが、今、いろいろな話が出たように、母子健康手帳に記載とかすごく細かく書いていますけれども、これはある程度関係省庁がヒアリングして、そこそこできそうなものだという感触をまず得たものなのでしょうか。

(答) アイデアの段階で出ているものについて、各省庁にこういうものを例示しても構わないだろうかというか、議論の対象になるかもしれないよということは告げてあります。一応それはそれでよしということですので、ほかにも媒体がいろいろあり得るので、各省庁にも今後知恵を出していただいて、どういう媒体を使うと、こういうターゲットにはうまく話しておけば伝わるだろうということで、考えてほしいということなので、今後それぞれの省庁でどういうふうに取り組んでいくかということを注意して見たいと思います。

(問) 要は、ある程度例示しても構わないということは、それなりに検討する姿勢があるということですね。

(答) そうです。

(問) その上で、8月を期限で決めているということは、検討している程度ではなくて、もう一定の例えば母子健康手帳の記載だと、8月ぐらいで記載をしてもらうことを目標にするのか、どこら辺までをしてもらいたいこととして設定しているのか教えてください。

(答・事務局) 厚労省の母子健康手帳はもう記載されています。専門調査会の場でヒアリングもしました。

(問) あとのほかの例えば運転免許の更新のときの周知とかも、比較的簡単にでできるのかなと思いますけれども。

(答) やってほしいですね。

(問) では、本当に実施を望むという理解でいいのですか。

(答) できることから実施してほしいということになります。今でさえこんなにリコールの案件がたくさんあるわけですよね。ところがほとんど消費者に伝わっていないということが問題なわけで、できることからいろいろなツールを使ったり、媒体を使ったり、ルートを考えていただくということをやってほしいということです。
 具体的に例示したのはカー用品やベビー用品をねらい撃ちにしようという意味ではなくて、この程度の具体性を持って作業してくださいという趣旨です。インターネットのホームページにちょっと掲示を出すということではなくて、やれることをどんどんやってくださいという趣旨です。

(問) わかりました。

(事務局) どうぞ。

(問) いただいた資料の中で製造業者がリコールを開始しても、回収率が連動して上がっていないということがあるのですけれども、こちらの根拠となるような数字ですとか資料などありますか。

(答・事務局) 専門調査会でブリヂストンサイクルのヒアリングをいたしまして、非常に具体的にこういうことだったという御報告をいただいたのですが、その御報告の中で今のような実際には連動しないというお話があったということですね。それで、事業者側というか、そういった委員の方もやはりそういう傾向はあるだろうというお話がされたということで、必ずしもリンクしていかないとか、同じようには回収率は上がっていかないということです。
 どうぞ。

(問) 意気込みというか思いのところなのですけれども、せっかく情報があるのに不幸な事故が続いていて、防げるはずの重大事故が年間100件を超えている、行政は何をやっているのだと、行政はもっとやれることがあるだろうとか、そういう思いを改めて聞かせていただけますか。

(答) とにかくリコール情報というのがせっかくあって、リコール制度というのがあるわけですよね。ですから、それによって事故が未然に防げるところが、情報がきちんと伝わっていないということで、リコールがなかなかうまくいってない。そして、そのことによって被害者が出ているとすれば、それはこのリコール制度をうまく使うためにもっともっとツールを開発するなり、媒体を開発するなりして伝えるという努力はすべきで、それをもし怠っているということでこういう状況であるとすると、それはぜひ改善していただきたいということになります。
 それは広報を担当している方々、行政官だけではなくて、社会的な公器として、報道に当たる方とか、場合によってはその情報を利用する消費者の意識の改革も必要だということで、今回の報告書の趣旨は、いろいろな方々にリコール制度についての新しい姿勢を求めています。いち早く消費者委員会として、その点について建議の中で各省庁にお願いしたいということであります。
 私は余り意気込む方ではないので、「意気込み」と言われても困るのですけれども、気持ちとしては非常に強い気持ちでこの建議を出しました。

(問) ありがとうございます。

(事務局) それでは、長時間にわたりましてありがとうございました。

(以上)