河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年12月12日
消費者委員会

日時

2012年12月12日(水)11:00~11:28

場所

消費者庁6階記者会見室

冒頭発言

(事務局) おはようございます。時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
委員長の定例の記者会見、12月は、日程、時間も変更させていただきまして、申しわけございませんでした。朝の時間になりまして、恐縮です。よろしくお願いいたします。
最初、委員長から、当面の委員会が抱えている課題、関心事項ということで説明をさせていただきます。その後、意見交換をさせていただければと思います。
では、委員長、よろしくお願いいたします。

(河上委員長) どうぞよろしくお願いします。
まず、報告事項を幾つか申し上げます。
第1は、「電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題についての提言」で、これは資料1に入っているかと思いますけれども、12月11日、昨日の消費者委員会においてお配りしているような形での提言を取りまとめたものであります。
トラブルの実態については、提言の中にも書いてありますけれども、御承知のように、携帯、スマートフォン、あるいは光回線のインターネットの接続回線に関する契約について、相談件数が非常に増えており、トラブルが絶えないわけであります。福岡市からも要望がありましたし、そのほか、関西の消費者支援機構関西から意見書などもいただいておりまして、そちらからのヒアリングを103回の委員会でやりました。その後、国民生活センターから被害の実態、総務省からは対応の実態などについてもヒアリングを行いまして、結局、一定の提言が必要であると判断して、提言を行うことにいたしました。
提言内容については、最後のほうを見ていただければと思います。この問題については、業界団体で自主基準が策定されており、まずはそれを遵守するよう徹底していただくことが大事ですけれども、その上で、今年度の状況でどんなふうになっているのかということのデータがまとまり次第、速やかに委員会に報告していただいて、もし改善が見られないようであれば、法的措置を含めた必要な措置を検討していただき、これを確実に実施することを求めております。
委員会を傍聴された方はお気づきかと思いますけれども、問題に対して、総務省は積極的に出ようという姿勢ではなく、自主基準で何とかやれないかとか、様子見の状態だったことから、委員の間からもかなり厳しい意見が出ました。
ですから、このデータの収集・分析を速やかにやっていただいて、もし結果が改善されていないということであれば、電気通信事業法に特商法と同レベルの消費者保護規定を設けていただくとともに、特商法では店舗販売が規制対象とならないということがありますので、店舗販売についても、例えば適合性の原則などの消費者保護規定を設けること、もしくは、電気通信事業者の役務提供契約について、現在では特商法で適用除外という形になっておりますけれども、これは廃止するとともに、店舗販売については、電気通信事業法上、一定の消費者保護規定を設けることを求めております。
この提言は、総務大臣、消費者担当大臣、両者に宛てて発出致しました。今後、機会をとらえまして提言の実施状況をフォローしていく所存でございます。
これが、第1の報告事項であります。
第2の報告事項ですけれども、資料2に、106回委員会のときの委員長発言がお配りされているかと思います。これは「発言」ということで、提言・意見とも違うものなのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、積極的に何かを要請しているというのではなく、むしろコメント的なものでございます。
御承知のように、違法ドラッグについては、ことしの4月に消費者委員会から「違法ドラッグ対策に関する提言」を行っておりまして、各関係方面に対して、この対策をきちっととってほしいということをお願いしました。厚生労働省を中心に、この問題に対しては積極的に取り組んでいただいていることが見えておりまして、その意味では大変評価し、歓迎するという趣旨の意見表明であります。今後とも違法ドラッグに対する強力な取締りを行っていただくようにということで特に発言いたしました。
ちなみに、各マスコミにおかれましても、違法ドラッグについてはかなり積極的に取り上げていただいていて、成果もかなりあらわれているのではないかと思います。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。
第3ですけれども、公共料金等の専門調査会に関するものであります。これは御関心の高いところかと思います。11月13日の第104回消費者委員会において設置を決定いたしました公共料金等専門調査会ですけれども、これを昨日、11日(火曜日)に、第1回目の会合を開催いたしました。
この専門調査会におきましては、個別の公共料金の改定認可申請に係る審議と、より一般的に情報公開の在り方等、公共料金の分野、横断的な課題に係る審議を行うことを予定しております。仕組みについては既に御案内のとおりでして、調査会の下にもう一つ調査会を設けて、個別の案件に関してはそこで対応することにしております。年明け以降、両者の課題について委員会で審議を行っていただくということであります。親委員会としても、随時、モニターしていくつもりでございます。
第4は御報告ですが、資料3に内容が入っております。12月1日の土曜日ですが、第6回の地方消費者委員会を大分市で開催いたしました。テーマは、山口のときと同じ「高齢者の消費者被害の防止」です。大分の方と相談して、やはりこれをやってほしいということでしたので、このテーマでやりました。地域包括支援センターの方にも出席をお願いして、こういったさまざまな分野の方を交えて、フロアと一体になって意見交換を行うことができたかと思います。
その前日に、二日市大分県副知事、釘宮大分市長を表敬訪問いたしまして、懇談し、消費者行政の充実をお願いしたところでございます。ちょうど消費者教育推進法ができて、協議会などができるということもございますので、いろいろな分野の方と協調して情報交換しながら、消費者行政充実のためのいいステージができるのではないかということで、今回のパネルディスカッションもその意味ではいいきっかけになったのではないかと思っております。年明け後も、引き続いて、2から3か月に1度のペースで地方消費者委員会を開催していく予定でございます。また、具体的な内容が決まりましたら御報告させていただきます。
次は、当面の関心事項であります。これから、消費者委員会はどういう活動をしていくかということですが、まずは消費者基本計画の検証・評価・監視ということで、それに係る関係省庁ヒアリングをかなり精力的に行ってまいります。12月は毎週、委員会が開かれていることは御案内のとおりであります。
基本計画に盛り込まれた具体的施策の年度前半における実施状況を確認するということで、この12月にヒアリングを実施しているわけです。12月18日には詐欺的投資勧誘対策の問題を、25日には住宅用の太陽光発電システム、特商法、違法ドラッグ等について、関係省庁から報告を聴取する予定でおります。ヒアリングを通じて具体的施策の実施を後押しするとともに、来年の基本計画の改定に向けて、委員会としての意見表明を行っていきたいと考えております。その機会をつかまえて、ある意味ではモニターといいますか、監視機能を消費者委員会として果たしていこうと考えております。
2番目の関心事項ですけれども、これは消費者教育に関するものです。御案内のとおり、消費者教育推進法が12月13日に施行となり、年明けには消費者教育推進会議が発足して、基本方針の策定に向けた審議が開始されることになっております。消費者委員会としては、推進会議が基本方針の作成のための検討に入る、それに先駆ける形で、近々、一定の意見表明を行うべく、現在、準備を進めているところであります。推進会議では、当委員会の意見を踏まえて消費者教育を着実に推進するため、明確かつ実効的な方針を提示することを期待しております。
3番目は、消費者安全専門調査会の報告書についてであります。消費者委員会のもとに設置されている消費者安全専門調査会がございますけれども、この調査会では、リコール等のリスク情報に関するいろいろな問題、注意喚起の周知徹底といった方策について、審議を行っています。ことしの4月から審議が始まっておりまして、現在、報告書の取りまとめの段階に来ていると理解しております。1月には消費者委員会に報告書が提出される予定です。今週の12月14日に会議があって、そのたたき台についてかなり詰めた議論が行われる予定です。消費者委員会としても、この報告書の内容を受けまして、建議あるいは提言等の検討を行っていきたいと考えております。
4番目ですが、健康食品の表示等についてということで、健康食品の表示等の在り方については、個別の論点をさらに掘り下げた検討を行っているところであります。できるだけ早い段階で、委員会としてその見解を取りまとめるということで、最初は年内を考えておりましたが、論点をもう少しきちんと詰めるということがあって、年明けぐらいに見解を取りまとめられるよう、作業を急ピッチで行っているところでございます。
最後に、消費者契約法のシンポジウムに関する御案内でございます。資料4に緑色の紙が入っているかと思います。来年の2月2日に、主婦会館のプラザエフで、「シンポジウム 消費者契約法の課題を考える」をやりたいと計画しております。今、準備をしておりまして、基本的な内容としては、プログラムに書いてありますように、消費者委員会でこの1年間で検討してきた、消費者契約法の論点に当たる部分について整理したところを提示するということで、一定の方向性も示すことになろうかとは思いますけれども、論点の整理を中心に御報告をする。それを受けて、パネルディスカッションで「消費者契約法と民法改正」というテーマで、各界の方にお越しいただいて、この問題について意見交換することを考えています。
現行の消費者契約法については、必ずしも十分な内容ではないという意見が圧倒的に多く、ワーキングチームでは、例えば広告でありますとか、IT関連の問題点でありますとか、不当条項規制に関しても十分ではないのではないかというので、リストの補充を含めてさまざまな問題が議論されています。他方、法務省での債権法改正の動きの中では、消費者関係の規律を民法の中に導入してはどうかという議論があります。不実表示などに関しては、実際、民法に入れる方向での中間取りまとめがなされているようでありますが、いずれにしても、いろいろな形で消費者契約法の規律と民法の改正との関係も、この際きちっと検討しておかないといけないということで、パネリストとして法務省から筒井参事官にもおいでいただくということで、この点についてもいろいろ議論ができるのではないかと期待しているところでございます。
一般の方に広く御紹介いただくとともに、記者の皆様にも積極的に御参加いただくことを期待しております。
こちらで用意したものは、以上です。

質疑応答

(問) 電気通信事業者に対する提言ですけれども、これは、総務大臣や消費者担当大臣に出すというのは、もう出したということでよろしいのですか。

(答) 文書では発出いたしました。

(問) きのう付ですか。

(答) はい。

(問) 最後の2ページの後半のほうから、総務省に対して、こういったところをきちんと来年の3月末時点での状況をまとめてといったお話ですけれども、これは、大体いつごろまでに提出してもらうのか。あと、総務省が及び腰というか、先ほどおっしゃっていましたけれども、その辺はどうして総務省が及び腰なのか、背景というか、どういった理由でやる気がなさそうなのか。

(答) それは総務省に聞いていただかないとわからないですが。

(問) どう見ているのか、教えていただきたいと思います。

(答) やはりまだ内容はいろいろあるので、この業界に対して不必要に介入したくないと。総務省としては、電気通信事業の展開をむしろ支えたいという気持ちがあるのだろうと思います。今の段階で総務省からきちんと期限を限って、ひけないようにして建議をすることも考えたのですけれども、3月までにデータを検討するというふうにおっしゃったので、それだったら、そこから速やかに検討して報告をして、変化がないのだったら、法的対応をすべきだということを明確に述べたつもりでございます。「確実に」という言葉まで入れて、建議の中では相当強く実施をお願いしたところでございます。

(問) そういう意味で言うと、「明確な減少傾向になるなどの」という言葉も、かなり強めの表現なのかなと思って拝見しましたけれども、そんじょそこらの減少では許さないぞという意思表示でしょうか。

(答) そうですね。いかにも問題事例が多いわけですね。それぞれの事業者の直属の営業展開をしている人たちではなくて、それを受けた二次の孫請けぐらいの人たちが、かなり強引なことをやっている。どうも実績ごとにペイがあるみたいでして、無理な勧誘をしているようなのです。高齢者なども、本当は要りもしないようなタイプのサービスを押しつけられているということもございます。この状況がそう簡単に改善されるとは思えませんので、その意味では、特商法上の適用除外から外してもらうぐらいのことは考えたほうがいいのではないかということでございます。

(事務局) ほかにはございませんでしょうか。
 どうぞ。

(問) 健康食品の件でお伺いしたいのですが、取りまとめが、年内が中間取りまとめ無理のようだということで、来年になりそうだということですけれども、例えば、大体1月ぐらいにはまとまりそうなのか、3月ぐらいまでずれ込みそうなのかという見通しというのは、今、立っていらっしゃいますでしょう。

(答) 見通しといってもはっきりとは申し上げられないのですが、3月ということはないと思います。速やかにやりたい。新しい大臣には早速手に入れていただきたいと考えています。

(問) 業界の一部では建議に違いないという話もありますが、この辺の見通しはどうでしょうか。

(答) それはそういうことになると思います。

(問) もう一つ、消費者教育推進法も施行されまして、ヒアリングの現場で、特に健康食品に関しては消費者教育という言葉がたくさん出てきたと思います。ただ、残念ながら、ヒアリングの場所に呼ばれたのは医師会と薬剤師会さんです。御存じのとおり、釈迦に説法になりますが、栄養学、特に彼らというのは公衆栄養を一部かじっただけで、日本の栄養教育というのは大体ベースが公衆栄養になっているのですが、健康食品自体は、臨床栄養とか、分子栄養とか、こういった食品化学の面でないとなかなかアプローチできないというところがあります。消費者教育の現場で消費者に正しく健康食品を伝えるということになると、10年前、厚労省が指針を出してつくった健康食品のアドバイザリースタッフという制度があります。例えばNRとか、食品保健指導士とか、こういった資格があって、彼らが一番ベストだと思うのです。ところが、この議題がなかなか出てこなかったので、この辺はいかがでしょうか。

(答) いろいろと工夫して、食育という大きな中で消費者教育の一部を構成するときには、必ずしも公衆衛生とか、今まで議論をしていた分野ばかりではなく、おっしゃるように、いろいろな分野の方の知恵を借りながら考えていかないといけないと思います。健康食品に余り依存しない社会といいますか、ちゃんとバランスのとれた食事をして、きちんと運動をしていくというのがまず第一で、プラスアルファで補助的にそういうものを使っていただくということになるのだろうと思います。今、なぜか皆さん健康食品に依存してしまって、朝から錠剤を食べているというような不自然な状態もあると聞きます。食育の中で、いろいろな方の知恵を借りて問題状況を改善していくことは消費者教育にとって大事なことですので、また、いろいろとお知恵を拝借したいと思います。どうもありがとうございました。

(問) 今の話の延長で、今回の提言には間に合わないと思いますが、やはり健康食品は脇役というのは我々も十分理解していまして、足りないものを補うだけの話なので、おっしゃるとおり、食事が中心というのがあります。現在、食品の機能性というのは、農水関連の予算も出ていますし、各自治体でもみんなばらばらに機能性を研究して、お医者さんもかなり絡んでいますが、全く横につながっていない。要は、消費者に届かないというのが現状です。この辺も是非、委員会のほうで取り上げていただけないかなと思います。多分つながると思います。

(答) 大変貴重な御意見だと思います。今、食品表示の一元化に関する議論がありますけれども、あの中でも栄養の機能に関して、食品全体についてどういうふうな役割をそれぞれが演じていくかというのは、やはり一貫した形で議論ができるようにしないと、消費者にとってもわかりにくい。御発言のようなこともしっかりと気にとめてやっていきたいと思います。どうもありがとうございました。

(事務局) ほかはいかがでしょうか。

(問) 健康食品で論点を詰めたいとおっしゃっていましたけれども、どの辺がネックになって論点を詰められないという状況なのでしょうか。

(答) 詰められないということではございません。むしろ、論点として考えるべきことはほぼ確定しておりまして、あとは、文章的にどのくらいの形で表現ができるかということを、今、精査している段階でございます。ですから、今の段階で、考えているような事柄が落ちるとか、変わるということではございません。

(事務局) ほかに、よろしゅうございますか。
 また、個別にもございましたら、いつでも、事務局、委員長のところにお越しいただければお話ししたいと思います。

(河上委員長) それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

(以上)