河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年11月7日
消費者委員会

日時

2012年11月7日(水)12:59~13:59

場所

消費者委員会大会議室1

冒頭発言

(事務局) それでは、時間がまいりましたので、消費者委員会の河上委員長の定例記者会見を始めたいと思います。
 今、資料を机の上に準備させていただいておりますけれども、最近の消費者委員会の動き、それから、これからについて、冒頭に委員長のほうから少しお話をいたしまして、御質問とか御意見をお受けしたいと思います。
 よろしくお願いします。

(河上委員長) よろしくお願いします。始めさせていただきます。
 「報告事項」が3点ほどございまして、1つは、健康食品に関する問題であります。
 健康食品の表示のあり方に関しましては、10月16日の第102回の委員会で表示・広告規制に関する法執行の問題、10月30日の第103回委員会で安全に関する規制、制度のあり方についてということで、論点ごとに有識者あるいは関係団体等との意見交換を行ってきているところでございます。
 次回11月13日の第104回委員会では、機能性表示につきまして、全国消団連、日本健康・栄養食品協会、有識者との意見交換を実施するという予定でおります。
 ヒアリング、意見交換は一応この3回で終わりということにいたしまして、これまでの意見交換をもとに委員の間でさらに議論をいたしまして、年内をめどに委員会としての見解をまとめたいと考えているところでございます。
 第2番目ですけれども、前にもお話ししました地方消費者委員会の山口での実施報告でございます。これは資料があるかと思います。
 第5回地方消費者委員会を山口で行いました。10月20日の開催日の前日には山口県の副知事であります岡田さん、山口市の市長さんである渡辺さんとも懇談をいたしまして、消費者行政の充実をお願いしてきたところであります。山口という特殊な地形的、文化的な位置関係ということもあって、いろいろと面白い話が聞けました。
 当日は、地元の方とも相談をして、「高齢者の消費者被害の防止」というのをテーマに議論させていただきました。地域包括支援センターの方も交えてフロアと一体になった意見交換ができたかと思います。
 パネルディスカッションの概要でありますとか内容については、お手もとの資料にいろいろと書いてありますので、御参照いただければと思います。
 次回の第6回の地方消費者委員会は12月1日に大分で開催する予定でございます。大分はちょうど適格消費者団体もできたということで、これからの地方の消費者行政の一つの動きを代表する場所になろうかと思いますので、頑張って一緒に議論したいと思います。
 テーマは、地元のほうから高齢者の消費者トラブルについてやりたいということでしたので、山口と同じテーマになりますけれども、このテーマで大分でも実施するということで、お手元にチラシが配布されているかと思います。パネリストの中には消費者問題関係の方ばかりではなくて、地域包括支援センターの方にも参加いただいて、高齢者を取り巻く今の状況の中で、全体が連携をうまくとれるような形での雰囲気を盛り上げていきたいと考えているところであります。
 記者の皆さんにも積極的に参加を期待しておりますし、現地の支局等にもお知らせいただけるとありがたいと思います。
 これは地方消費者委員会の話であります。
 第3番目ですけれども、消費者とのコミュニケーションの強化という課題でございまして、これは資料がございます。
 消費者団体とか関係団体と、消費者委員会としても何回かに分けて意見交換の場を設けてきたところでありますけれども、出された意見をどういう形で委員会の活動に反映していくかということについて、前にもウォッチねっとからもいろいろと御批判をいただいて、消費者委員会は意見を聞いても何も返事がない、意見がどのように反映されているのかが見えないという御批判をいただいたこともございます。そこで、少しでも消費者委員会としてこういう意見にどう対応して考えているかということを明らかにするという意味で、こういう資料をつくらせていただいて、ホームページにもアップすることにいたしました。
 これに加えて、各地の消費者団体あるいは弁護士会等から委員会に宛てて幾つかというか、相当数の要望書、意見書をいただいております。これらの要望書の発信元とか題名を取りまとめて委員会でも公表することにいたします。毎月というわけにもいきませんが、3カ月に一遍ぐらいまとめて、こんな意見が来ていますということと、その意見について委員会で議論した内容で御紹介できるようなものがあれば、委員会の中でこれを適宜お話をするという形で、意見に対して委員会がどういうふうに反応しているかということも時間の許す限りで公にしていこうということを考えているところでございます。
 報告事項は以上3点であります。
 第2番目に、委員会の「当面の関心事項」ということになります。
 大体予想のつくところかと思いますけれども、詐欺的な投資勧誘対策は、この間からずっと委員会が関心をもって取り組んでいる問題でして、これをめぐるトラブルが全国のセンターなどに非常に数多く相談が寄せられている。しかも高齢者が被害に遭われています。こうした問題に対してどう対応したらいいか、なかなか決定打がなくて難しい問題ですけれども、できることからやらないといけないということで、消費者委員会ではこの詐欺的投資勧誘の実態を踏まえまして、被害防止に向けた総合的な対策というものについての検討を進めているというところでございます。
 このための準備として、先月から担当委員を中心として学識経験者らとの意見交換をさらに行っているところでございます。早い時期に、できれば年度内にと思っていますけれども、早い時期に意見というか提言というか何か出したいと考えております。なかなかお約束ができなくて申しわけないのですけれども、頑張ってやっているというところです。
 さらに、消費者基本計画を検証・評価・監視の時期に入っておりまして、関係省庁のヒアリングというものを今後実施していくという予定です。具体的施策の年度前半の実施状況を確認するということで、12月に関係省庁をお呼びしてヒアリングをやっていきます。
 ヒアリングを通じて具体的な施策の実施を後押しするということと、現在足りないところを明らかにして、来年の基本計画改定に向けて委員会として意見表明を行っていきたいと考えております。これまでのいろんな提言をしたものについてのフォローアップになるようなものも、できましたらこのヒアリングの中でやれるものはやる。ただ、大きなテーマはヒアリングでは時間がありませんので、恐らくその後に個別にまたヒアリングを予定していこうと考えております。
 ヒアリングのときに、私のほうから問題だと思うことについてはその都度積極的に意見を申し上げます。それは単なる感想ではなく、委員会としてこうあってほしいという意見表明でもありますので、注目していただくとありがたいと思います。
 第3番目ですけれども、消費者契約法の実体法部分の改定に向けた動きであります。
 現在、委員長のもとに、ワーキングチームをつくって、それぞれの論点について検討を進めておりまして、9月から、どういう論点が最終的に議論されるべきか、そしてそのとり得る選択肢にどういうものがあるかということと、解釈上の問題点のメリット、デメリットといったようなものも含めて整理をする作業に入っております。
 前回の委員会のときにも資料を出しましたけれども、まとまったところから概要を委員会に資料として出していくことにしておりますけれども、大きな方針が大体出たら、事業者団体の方も含めて、消費者委員会として整理したところを皆さんに提示するという機会を持ちたいと考えております。具体的には来年早々にシンポジウムを開きたいということで、現在、準備のための作業をしております。また場所、時間等が決定いたしましたら御紹介いたしますので、ぜひ奮って御参加いただければと思います。
 当方から用意したことは以上です。

質疑応答

(事務局) それでは、御質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
今のこちらからの報告事項に限りませんので、どうぞよろしくお願いします。
どうぞ。

(問) 詐欺的な投資勧誘のトラブルは、形態としては建議でいいのでしょうか。

(答) そうですね。建議になるかと思います。

(問) 健康食品も建議ですか。

(答) 健康食品はなかなか難しくて、決定的な対応ができるかどうかが、資料も今、いろいろと集めているのですが、具体的に方向を出せるかどうかが見えにくいのです。場合によってはできる範囲のことを提言として出すということになるかもしれません。
ただ、委員会としては、建議にするか提言にするかは余り深刻には考えておりませんで、どちらも相手の省庁にちゃんとやってもらわなかったら再度提言することになりますので。ただ、ボリュームとか裏付け資料など、具体性を考えると建議にできるところまでいけるかどうかというのがまだ見えていないということです。

(問) わかりました。
これ以外ですが、公共料金のところで、今月にも一部電力会社がまた値上げという申請があり得る情勢で、それを審査というか査定、経産省ですが、消費者委員会としてどう対応していくのか、消費者庁側の以前の研究会から移行してくるような話も聞いていますが、どういうお考えで、いつごろどうなるのかというところを。

(答) 既に御案内のとおり、公共料金については消費者委員会がことしの2月に建議を出したところでありまして、その後東電の関連で5月から7月にかけて要所要所で必要な意見を述べてまいりました。その審議と、消費者庁のタスクフォースでやっていた審議が両方立ち上がっていて、若干ダブり感があるのではないかということも言われていたのですが、消費者庁との関係でいうとかなりうまく連携をやってきたつもりです。最終的に松原大臣の意見を固めるためにはお互いに協力できたかと思っています。
あの形でもう一度やるのは、外から見ても何か2カ所でいろいろ同じような議論をしているように見えるということで、整理をして、消費者庁の協力を得ながら消費者委員会のもとに専門的知見から調査審議を行えるような、何か調査会のようなものを考えてみるという相談をしているところです。
消費者庁は実際に経産省から協議がかかってから何かできるところですけれども、消費者委員会としてはことし2月の建議もございますので、あらかじめいろいろなところに対してこういう方針でお願いしますと意見を申し上げたり、ヒアリングを行うこともできるので、消費者委員会のところで対応ができるのが一番いいのではないかと思います。
東京電力での経験がございますので、基本的には電力料金も含めた公共料金について、連携した専門調査会というものをつくった上で、受け皿を用意しておいて作業をすることになろうかと思います。今、実は準備をしている段階でございますけれども、電力だけではなくて、鉄道料金とかいろいろな問題がございますので、それを親委員会のほうでやるのか、専門調査会に任せるのかというような、全体の構図をどうするかというところを、詰めている段階です。
また具体的にこうなりますということが決まり次第、報告をしたいと思います。

(問) いつごろ決まりそうですか。

(答) そんなに時間はとれないと思います。そろそろ関電と九電あたりが申請をするのではないかという話が出ていますから、それに間に合うようにしたい。

(問) では来週とか再来週とかそのぐらいの。

(答) はっきり申し上げるのはなかなか難しいですけれども、そんなに遠くない将来だと思います。

(事務局) ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。

(問) きょう配付されました、意見交換会でいただいた意見の対応というペーパーの中に、2ページ目の「消費者庁や国民生活センターとの連携」とか書いてあるところに「消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの3機関は、それぞれの持ち味(機能)を活かし、良い意味での緊張関係と連携関係をもとに」と書かれています。
国民生活センターの特別な機関という位置づけの中で、平成26年1月から消費者庁と一元化が予定されていますけれども、消費者委員会としてはこの特別な機関とか国センのあり方について、ここでは持ち味を生かしている3機関ということを書かれていますけれども、何か判断されていらっしゃるのでしょうか。

(答) 判断といいますと。

(問) 特別な機関としていくことについて、消費者委員会としてその方向性でオーケーだということになっているのでしょうか。

(答) まだ消費者庁で具体的な制度設計ができていない段階です。今、法案を出すための準備作業をしていらっしゃるということです。
消費者委員会としてのスタンスは、前々からお話ししていたとおりでして、基本的には国民生活センターの機動性とか柔軟性とか、一体性も守っていただくということ、独立性、中立性といったものも含めて、消費者庁から、人事の問題もいろいろな形で制度的に独立性が担保されるような仕方での機関にしてほしいということをずっと申し上げ、それを受けた上での今回の方向づけだったと理解していますから、今後は消費者庁で制度的にどう対応していくのかということについてモニターしながら見守っていくことになろうかと思います。そこの部分は全く変わっていません。

(問) 次のページに「当委員会の調査審議と消費者庁の検討会等における検討の重複を避けるため」と書いてありますが、そういう重複の例というのは何かあるのでしょうか。

(答) 今のところは公共料金の話が一番めだちました。ですから、公共料金に関しては今、消費者庁との間で調整をして、むしろ消費者委員会のもとに何かの機関をつくって、消費者庁の協力を得ながら作業ができればと考えているところです。

(問) もう一つなのですが、昨日消費者庁の消費者事故調、消費者安全調査委員会が記者会見されまして、評価調査の対象事項として5件を挙げられました。公表されているのは3件なのですけれども、あと2件については非公表。その言い方も、消費者員会のほうで事故について消費者庁が国会報告されるときの商品分類がありますね。中分類、小分類、大分類とか、それにも沿っていない、単に製品とか役務とか、2件についてはそういうことについての公表でしかなくて、家電とかそういう大分類とか何かではない公表のあり方をしていらっしゃいます。
1つが、調査評価をするに当たっては、同種の事故が発生する可能性があるということを消費者は心配するわけで、原則的には公開を原則として例外非公表という、今は原則非公開、例外公表ということですけれども、そういうことについて今回全く公表されていないことについて、委員長はどうお考えでしょうか。

(答) 基本的には事故調がどういう公表方針をとるかということについて、一次的には決定をされる問題なので、その決定を尊重したいとは思います。
けれども、ここから先は個人的な見解も含めてお話しいたしますが、事故調というのはそもそもが消費者の利益に非常に重大な利害関係があるような事故についてピックアップして、それについての原因を調査して、その後の被害の拡大であるとか発生の抑止のために一定の政府提言をしたりするというためにできた機関であります。その意味では、数ある消費者事故の中から、これを対象として調査しようと決めた時点で、その事件は、基本的に消費者の利害に重大な影響のあるものだという推定が働きます。ですから、そのことについて、事故調がどんな事件を今から調査対象としようとしているかということについては、むしろ明らかにすべきだと思います。
もちろん企業のいろんな秘密事項であったり、刑事事件との関係を考えれば、そこは秘密にしないといけない部分もあると思うのです。刑事責任を問うような事実が明らかになるかもしれません。ですから、秘密にすべき部分が必要だということは個人的に理解できますし、恐らく国民もみんなわかると思うのです。ですが、事故調がやろうとしていることというのは本来刑事責任を問うことではなくて、消費者事故が未然に防止できるように制度的な対応をするということが必要だからつくったわけですから、むしろ原則非公開にして例外公開という態度をとるよりも、黒塗りが多くてもいいから原則は公開、これはプライバシーに関するところだとか刑事責任とかかわるからということで黒塗りにするという形で例外的に非公開とするほうが、筋ではないかと個人的には思います。
ただ、事故調がどう判断されているかということもありますから、その部分については余りこちらから強く申し上げることは難しいのですけれども、消費者委員会として事故調の活動も含めて消費者庁の活動全体に対しては監視機能を働かせないといけないと思いますから、もし必要があるとすれば意見を申し上げたいと思います。

(事務局) ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。

(問) この対応というタイトルの資料の1番のところに「建議・提言等の実施状況に関するフォローアップを継続的にしっかりと行い、実効性の確保を図っていきます」と書いておられますが、これは具体的にどうされるのかということが1点。
もう一点が、そのページの一番下「大臣のもとで、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターのそれぞれの権限が有機的に結合することで、消費者行政の司令塔機能が十分に発揮される」という、これもちょっとぴんとこないのですけれども、有機的に結合するというと、これはどういうことですか。

(答) 「結合」というか「連携」でしょうね。
質問それぞれについてお答えします。
まず、最初の建議・提言等の実施状況に関するフォローアップですけれども、先ほど申し上げましたような形で、今から消費者基本計画の検証・評価をやっていきますけれども、消費者基本計画の中に既に我々が建議したり提言をした項目が計画として盛り込まれております。ですから、それが具体的にどういうふうに、どこまで実現しているのかということをヒアリングをしていくことになろうかと思います。つまり、この検証・評価の部分というのは事実上はフォローアップが相当含まれていると考えていただいて結構です。基本計画は170くらいあるはずですから、全部を検証できませんので、消費者委員会として関心を持って提言をしたり意見を述べたところに焦点を合わせて検証をするということになりますが、これが事実上のフォローアップになるということです。中でもこれまでやった建議や提言でかなり大きなものに関しては、例えば欠陥住宅の問題とかいろいろありますが、幾つかの大きなテーマに関しては、特出しして、年明けの消費者委員会でさらにヒアリングをしてフォローアップをすることを考えているところです。
第2番目の御質問の点ですけれども、「有機的な結合」というのはむしろ「結合」という書き方をすると、一体になって活動するような印象があるので、ミスリーディングだったかもしれません。むしろそれぞれの持ち味を生かす形で協力をし合うということが必要だろうということを考えています。
行政に対する司令塔機能は消費者庁が果たすということになりますけれども、消費者員会は一歩引いたところで行政全体に対する監視機能を果たして、場合によっては消費者庁が物を言いづらいところに対してもいろいろなヒアリングをかけたり提言をして前線に立っていくことが可能になります。
さらに国民生活センターというのは情報源でもありますし、地方のいろいろなセンターとも密接な関係を持っておりますから、そこで得られた情報あるいは知見というものを消費者委員会にも定期的にいただいて、必要な提言の資料にしたいと考えています。
既に試行的にではありますけれども、国民生活センターの方と定期的に、現在何が問題になっていますかとか、今後やっていく上でどんなところが改善されたらやりやすくなりますかということについて意見交換を始めています。
そういうわけで、それぞれ持ち味と権能が違いますので、それをうまく使って、全体として消費者行政が強力に推進できるように作業して行きたいということが、この言葉にあらわれていると御理解いただければと思います。

(問) では、追加なのですけれども、今、2点御質問させていただきましたが、フォローアップのほうはどこまで実現されているか。ヒアリングをされるというのはいいと思うのですが、全然実現していないね、こちらが言っているのに全然聞いていないねというのがいっぱいあると思うのです。そこの実効性の確保を図っていくというのは、やりなさいとやらせないといけないということでしょうけれども、これは非常に難しいと思うのですが、どのようにやっていかれるのかということ。
もう一つが、2番目のほうはわかったようなわからないような感じなのですけれども、例えば公共料金の話にしても、消費者委員会のほうに一本化したら、前は2つでやっていたものが1つになるので無駄が省けるというところは理解できるのですが、調整するのは消費者庁なのに話し合うのは消費者委員会になってしまったら、何となく前より後退してしまうのではないかという印象があるのですが、有機的な結合でも言葉は何でもいいのですけれども、結合によって何がいいのか。つまり消費者庁1個でやるのと2個あってやるのと、消費者委員会があってその下にくっつけるほうがいいという理由が何なのかどうしてもわからないのです。

(答) 最初の実効性の話ですけれども、消費者委員会自身には何か関係機関に対して命令をするという権限はありません。しかし、ヒアリングをしたり、提言・勧告をしたりすることを通じて、そこに一定のいわば圧力をかけることはできます。当該機関には、建議等を尊重すべき義務がありますから。消費者庁に対してそれがうまく説得できれば消費者庁自身はかなりの統率力を持っておりますからそれが動く。場合によっては内閣総理大臣のところに上げて、行政的な指揮を依頼するということも可能であります。言うことを聞いてくれないところもあります。ありますけれども、それは何遍でも呼び出して、何遍でも提言をするということを根気よくやるほかないと考えています。
次の調整の問題ですけれども、消費者委員会の下に置くほうがいいだろうと私は考えています。恐らく消費者庁は、協議がかかった段階で、その協議の内容について消費者担当大臣の意見形成のためのタスクフォースとして動くという任務があります。
しかし、私たち消費者委員会としては、前々から申し上げておりますように、公共料金に対して消費者の参画であるとか透明性の確保であるとか、あるいは場合によってはその内容に対する意見といったようなものを、協議のいかんにかかわらず、これまで2月にやった建議のフォローアップとして表明することができます。
ですから、例えば関西電力なり九州電力なりが経産省に対して申請を行ってきて、安全委員会あたりがそれを受けて審査をする前に、あるいは審査をし始めたと同時に、場合によっては一定のことを申し上げて、例えば消費者代表が委員になっていますかというようなことを聞くなり、そういうこともできる。
協議がかかる前に消費者委員会しては動き始めることができますので、その意味では消費者庁にあるよりは消費者委員会のもとに置いておいた方が、すみやかな対応が可能です。それから、具体的なデータの提出を求めたりヒアリングをかけたりすることも、消費者委員会としてはできるわけですから、その意味では事前に協議がかかる前の段階でその内容について話を聞くという機会を持つこともできます。
そんなわけで、消費者委員会としての監視機能をうまく使えば、むしろ協議がかかってからばたばたと動くようなことはしなくて済むと考えているところです。

(問) しかし、東京電力のとき、そのようなメリットが生かされているようにも見えなかったですけれども、どのように評価されていますか。

(答) むしろ協議がある前に動けました。その段階で消費者担当副大臣のほうから、消費者庁と一緒になって委員会をつくってくれないかということが消費者庁に話があったようなのですが、我々は消費者担当大臣の意見形成のためにやっているのではないということで、消費者の立場から言えることを自由に言うから、その意味ではこちらはこちらとして一定の制度的な対応に関する議論はさせてもらうという言い方をして、それぞれ別々の委員会、中にはうちの消費者委員もあちらのタスクフォースには入っていますから、こちらで検討した結果はあちらのタスクフォースには生かされました。内部の目から、ダブリ感はほとんどありません。

(事務局) どうぞ。

(問) 具体の話なのですけれども、サントリーが来週からペプシの特保のコーラ飲料を発売するのですけれども、消費者委員会にはキリンのメッツコーラに対して許可の取り消しを求める意見が以前寄せられていると思うのですけれども、特保の飲料市場がかなり今、激しい競争になってきているのですけれども、消費者庁の許可について、コーラというと、一般に特保というものの消費者の受けとめとしてなじむのかどうかという意見もあると思うのですけれども、その辺は委員長としてはどう受けとめていらっしゃいますでしょうか。

(答・事務局) 2つに分けたほうがいいと思います。コーラを特保として認めるかどうかという議論はキリンメッツを認めたときに、第1次のときにやっています。委員会打ち合わせでも。
もう一つは、日本消費者連盟から8月末に発がん性の話で出されている要望書の扱いだと思いますけれども、その2つがあると思います。

(答) そういうことでいいですか。

(問) お願いします。

(答) 何を特保として扱うかということについて、2次では余り議論していないかと思うのですけれども、ただ、特保の対象は基本的には食品で薬品ではないですね。薬品とまでは言えないけれども一定の健康とか栄養に関してプラスの効果がありそうだ、少なくともマイナスの効果はないというものについて、特保という枠組みの中で提供しようということで、厚生労働省としてもそういう方向を考えてできた制度だと私は理解しています。
その上で、例えば、みそなどといったものも含めて、ほかのものにくらべると健康にはプラスになる可能性があるというものが特保対象食品として出てきているということになります。保健とか栄養とかという話になってきたときに、コーラみたいなものがどうかというのは、私は個人的にはどうかと思いますけれども、一般のコーラと比べるとこういう点ですぐれているということが、ある程度明らかなものについて特保にしたということであれば、それはそれで今、否定するまでもないかなという感じがします。
もう一つ、中に入っているカラメルの発がん性の問題ですね。あれは委員会でも議論をしました。本当に危険なものかどうかということについては、最終的な判断は食品安全委員会がするという役割になっていると思うのですが、食品安全委員会としては一旦検討した上で、安全性に問題はないという結論を出したと聞いています。ただ、実際にアメリカで出た結果というものと、それをめぐってアメリカの中での、全米での試験の機関が出した別に問題はないんだという意見と、アメリカ国内でも評価が分かれていると伺っています。
消費者庁のほうから厚生労働省に対してそのことを前提として、もう一度検討して事実関係の詳細を求めているという段階のようでして、それを待って私どもも必要があれば動きたいと思います。もう一遍再検査をする必要があれば再検査してくださいということを要望する用意はございます。ただ、今の段階では事実関係がどうなのかということを把握するのを待っているという段階です。
もう一つ申し上げますと、もともとのデータもよく拝見すると、一日に三十数リットルぐらい飲まないと危険性が明らかにならないという程度のもののようでして。
三十数リットルでしたか。

(答・事務局) カラメルからはそういった反応が出てきまして、ちょっと量はわかりません。

(答) カラメルというのもいろいろなものに入っているわけですね。ですから、その意味では抽象的な危険性はあるのですけれども、本当に健康に被害があるような、つまり発がん性が危ぶまれるようなものなのかということについては、必ずしも明らかではないというのが実態のようであります。

(答・事務局) 既に今、厚労省に事実照会を消費者庁がかけているというところの情報で、消費者委員会としては待っているというところです。

(問) ありがとうございます。
ちょっと確認なのですけれども、委員長個人の見解としてはコーラに特保というのはちょっとどうかなという感想も漏らしましたけれども、一般のコーラに比べるといいという判断基準でコーラに特保を許可ということが、一般の消費者にとってどう受けとめられているのかというのとちょっとずれがあるのかなと思うのですけれども、その辺はいかがですか。

(答) それはあると思います。みそなども含めて、あれだって塩分がたくさん入っているのですからたくさんとると危ないですよ。ですから、そういうものを健康食品として特保の対象にするかとか、いろいろな問題はあるのだろうと思うのです。本当は、特保の表示のあり方だとか、健康食品の表示のあり方について、さらに食品表示のあり方全体が、広告も含めて反省しないといけないのではないかということです。とくに健康食品の表示のあり方については、委員の間でも随分悩ましくて、表現の自由ということもあるのですけれども、やはり安全ということを第一に考えたときには、最低限のルールというのはとりわけ加工食品の表示に関してはあってしかるべきではないかとは思います。

(問) 関連ですけれども、今度の健康食品の提言なりはその問題も含んで提言されますか。

(答) コーラの話は今のところは入っていないかと思います。

(問) コーラではなくて、みそとかコーラとかそういう一般的なイメージ。健康食品とされていていいのかということは入れますか。

(答) 広告のあり方について、やはり反省を促したほうがいいのではないかという気はします。具体的な中身についてはまだ入っていないですね。

(答・事務局) 今、調査案件としているのは特保を一旦外した形の、いわゆる健康食品と呼ばれているものについて、広告とか表示について意見を言おうとしています。

(問) 特保はやらないのですね。入っていない。

(答・事務局) そうですね。特保については第1次のときに、更新制の導入のときに新しく科学的知見を得たときにはという話も含めて試験デザインの話とかも消費者庁に宿題でお出しをしているというところです。

(問) 消費者庁の動きは非常に鈍いし、全然今、やっていませんが、そこを突っつくつもりはないのですか。せっかく健食でそうやって提言をするつもりなのに、特保はどうなっているんだということをフォローアップの意味を込めてやるべきですよ。

(答) それはしないといけないですね。食品表示全体について本当はやらないといけないということなのですが、差し当たって今は健康食品のところに限っての提言を準備しているのです。課題はおっしゃるとおりあります。

(問) 去年提案されました、特に更新制について、こちらのほうでフォローアップはされていますか。

(答・事務局) フォローアップします。状況としては聞いているというのでしょうか、知ってはおりますけれども、きちんとフォローアップしたいと思っています。

(問) 例えばキリンメッツにしろペプシにしろ、カラメルのことが出てきて、消費者団体が要望を出して、要するにカリフォルニアの新しいデータではないかと、そういうデータが出てきて、先ほど量をおっしゃいましたけれども、日本では500ミリリットルを売るべきではないとか、アメリカではアメリカの団体が言っているとか、そういうのが出てきたのだけれども、またリスクコミュニケーションの中で、先ほどかなりの量を飲まないとというあれもあるけれども、日本の場合は中に含まれているものについての規格基準はないし、カラメル自体はあるけれどもということになってくると、消費者委員会として厚生労働あるいは食品安全に対して行政機関がやっていない部分、これからやろうとしているのでしょうけれども、安全性については非常にスピード感がない。そういうことについて意見とか提言が出せないのか。
そもそも、ここで出てきている意見が寄せられていることに対して、団体にどう応えるのか。ペプシにしろ前のキリンメッツにしろ消費者委員会の新開発の調査の会で検討をしてオーケーを出しているわけで、つまり、消費者委員会にも責任があるのではないかということで出されているわけですから、そういう意見の反映とか提案とかというのはないのかどうかということなのです。

(答) おっしゃるとおりだと思います。そこは検討はさせていただきます。

(答・事務局) 第1次のときに、更新制の話だけをしていますけれども、試験デザインの確立と、新しい知見を得たときにどう考えるのかという制度設計もしろというのを入れて、3つ入れて消費者庁にお出ししているわけです。更新制については今、委託調査をやられているようですけれども、残りの2つについても中で検討しているというお話ではあるのですけれども、何をしておられるかちょっとわからないので、そこはきちんとヒアリングをしてやっていきたいと思います。
それから、要望書の扱いについては今回一覧でしかお出ししていませんけれども、どういう対応まで含めて皆さんにお示ししたらいいかと、また委員会打ち合わせでも協議をしたいと思っております。

(答) 要望書は結構数が多いので、委員の中には、これはちょっとという冷や汗マークをつけたりびっくりマークをつけたりして、委員の感触だけでもわかるような印をつけたらどうかという意見もあるのですけれども、他方でちゃんと考えてちゃんとした対応ができるものに関してその対応を一つ一つ示していくというほうが大事だろうという意見もあって、我々としては一応全体について拝見して議論はしているのですけれども、うーんと考えて込んでしまうものも随分あって、対応できるものに関してはこういう形でまとめた文書をお出ししてできるところから対応していくということで、まずは始めてみましょうということで、今回公表するということにしたということです。

(問) 先ほど出てきた質問との関連なのですけれども、フォローアップのことなのですが、意見とか建議とか、例えば今、消費者団体などで非常に今、中心テーマになっている食品表示の一元化ということにしても、消費者委員会のほうでは1年前に三法、3つの法律だけでは限界があるという、JAS法でも特に限界があるということ、景表法も多分含まれているのだと思いますけれども、法案を作成し、法案を出す過程で、三法だけでなくてもっといろいろな法律を入れた検討を期待するという意見を出されているのだけれども、消費者庁は三法と決めて、急遽またパブコメをやっていますけれども、そういうときにその意見をフォローアップするに当たって、消費者委員会として再度何かまとめて出すとかそういうことは必要ではないかなと思うのですけれども、どうでしょうか。

(答) 検討しているところです。
ほかにはいかがですか。

(事務局) きょうは結構長い時間になりましたけれども、また2時からはあれですね。長官の。

(問) それはちょっとずれて3時40分ぐらい。

(事務局) そんなにずれているの。わかりました。

(答) いい機会ですから、いろいろと御意見を伺わせていただければ本当にありがたいから、何かありましたらどうぞ。

(問) 最近トップ会談というか、国セン理事長と阿南さんと定期的に会って話し合っているではないですか。あれは何を話して何か決まったりしているのですか。

(答) あれは3人で何かを決める場所にはしないということで了解しています。ボス交渉みたいな形で何かを決めてしまうのではなくて、今、我々がどういうことを考えて動いているかという情報を共有して、必要な問題意識はお互いに理解できるようにしようということで、場合によって手伝えるところがあれば、例えば消費者庁がこの問題について考えているのだけれども、何とか省がなかなかかたいというようなことで頭を抱えているのだというような情報があれば、消費者委員会としてヒアリングをかけられるのであればかけてみようかというようなことを考えたりするということで、3人の間で協力できるところを協力する。
今まではどちらかというと、何となくぎくしゃくしていて、協力体制というか提携関係というほうが弱かったので、そこは3人で問題意識は共有するようにしましょうということで話をしています。できるだけざっくばらんに互いに感じたことや困ったことを話してみるということで、今のところは何かを決めたということはないのですけれども、非常に有益な話し合いになっています。

(問) 国センが最近情報発信というか、発表案件が少なくて、特にテスト部とかが少なくて、それは消費者庁に大分人をとられたからだという見方があって、そのあたりの悩みとかぼやきとか。

(答) 国センの中でのいろんな問題に関しても、野々山さんは随分苦労されているようです。まだ法案がはっきりしない段階ですから、これからのことについていろいろ考えることがたくさんあるようなのですけれども、ただ、3人で協力すればある程度は解決できるのではないか。風通しは非常にいいので、今から必要があったらどんどんと情報を出すということになると思うのです。
阿南長官も今までの国センが持っていた機動性に関してはできるだけつぶさないようにするというか、チェックをかけるということはできるだけしないで国センに任せるという立場なので、その意味では野々山さんは比較的自由に動けるのではないかと期待しています。

(問) 大分戻りますけれども、消費者庁の事故調、消費者安全調査委員会の公表のあり方ですけれども、おっしゃるように原則公開で部分的に非公開とか非公表とかとやればいいのですけれども、そういうことを話す、こういう委員長の会見とかが昨日でいうと15分しかなかったりとか、初日も30分だけだったりとか、ほとんど我々とコミュニケーションをなかなか図れないのです。委員長と直接話そうとしても個別の取材は受けていないと言って、直接の意見のやりとりができなくて、では事務局と話すと、事務局は、それは委員会が決めることだと言ってらちが明かないわけなので、多分もう必要なのです。消費者委員会が消費者庁事故調の公表のあり方についてそれでいいのですかというのはもう今なのかもしれないなと個人的には思っているので、ぜひそのあたりに気を配っていただければと思うのです。

(答) ただ、事故調が立ち上がって、人選されて、委員長が選任されて、まだ内規などもつくっている最中なのですね。

(問) そうですね。ぐらぐらはしていますね。

(答) それから、警察との間で捜査資料の扱いについての協定などもまだ結べていない段階ですね。だから、事故調としても立ち上がってまだはっきりしていない段階で、どうしていったらいいだろうというところでこんな事故が起きてしまいましたから、かなり大変な思いをしていらっしゃると思うのです。余りここで変な対応をすると事故調自身の信頼を失いますので、そこも考えてどうすべきかというのは相当慎重に考えていらっしゃるのだろうと推測します。
個人的意見からすると原則公開にして、この委員会の性格を考えれば黒塗りがいっぱいあったってみんな理解してくれますよ。だからむしろ原則公開にして、ここはプライバシーに関連するのでというので黒塗りがいっぱいあっても、それは皆さん理解してくれるから、そちらに切りかえたほうがいい。このことは長官にも、私の感触をお伝えしたことがあります。
ただ、事故調が立ち上がってどうしようかという方向づけをしている段階だから、そこのところはもうちょっと見守ってあげたほうがいいのかなという気はします。

(問) 多分その場では長官はそうですねと同意を示したと思うのですけれども、実際はあれなのです。事務方におりてくると原則非公開みたいな話になってくるので。

(答) それはむしろ委員会の御意見でしょうから、個人としてどう判断するかということと、委員会としてどう決定するかという問題がありましょうから、なかなか難しいですね。消費者委員会だって公開しろ公開しろということはよく言われるのですが、もうあばら骨が見えるほど公開しているのですけれども、なかなか。
例えば消費者委員会の打ち合わせ会でどんな議論をしているのかというのはよく記者会見などでも聞かれますね。打ち合わせ会はむしろ情報収集の場なので、委員の意見をまとめるのはむしろメールでまとめていたり、いろいろなところで意見は形成されていっているので、あの場を公開しても余り意味はないだろうと思うのです。
ですから、むしろできるだけ委員会の場で皆さんが発言するような機会と時間を持つようには最近心がけていて、見ていておわかりかと思いますが、私は最近いろいろな委員の方にどうでしょうかと振っているのです。少なくとも消費者委員会では議論の様子が見えるように試みているつもりです。

(問) あと、消費者委員会の専門調査部会とかの公表のあり方も、もう大分早く字起こしはできているのだから、もうちょっと早くアップしてほしいなと思うのです。非常に遅いですね。委員に目を通してもらわないとということがあるのはわかるのですけれども、やはり遅いですね。

(答・事務局) 議事録ですか。

(問) 議事録ですね。

(答・事務局) 部会とか専門調査会の議事録ね。

(答) できるだけ早くアップできるように頑張りたいと思います。

(事務局) それでは、2時になりましたので、よろしいでしょうか。
また何かございましたらお呼びください。

(以上)