河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年7月4日
消費者委員会

日時

2012年7月4日(水)13:00~13:26

場所

消費者委員会大会議室1

冒頭発言

(事務局) 時間がまいりましたので、定例の委員長記者会見を始めさせていただきたいと思います。
 今日はお忙しいところお集まりいただきましてどうもありがとうございます。
 冒頭、委員長の方から最近の委員会の活動について御報告をした後、御質問をお受けしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(河上委員長) よろしくお願いいたします。
 座らせていただきます。幾つか御報告をさせていただきます。一番最初に、東電の家庭電気料金の値上げ申請の問題ですけれども、御承知のとおり、本件についてこれまで3回にわたりまして、委員会の場で経済産業省ならびに東京電力からヒアリングを行ってまいりました。
 その中で、委員から指摘のあった主だった疑問点、課題について整理をいたしまして、その内容を、「東京電力の家庭用電力料金値上げ許可申請に関する消費者委員会としての現時点の考え方」というペーパーにとりまとめ、6月19日に公表いたしました。
 この「考え方」につきましては、6月20日に開催された経済産業省の電気料金審査専門委員会で取り上げられ、消費者委員会からは細川委員が出席して、説明を行ってくださいました。
 今後の予定ですけれども、審査専門委員会で一定の審査方針が出されましたら、その内容や当委員会の考え方への対応状況について、改めて経済産業省から報告を受けるということにしております。
 御承知のように、消費者庁の方からも審査の「チェックポイント」なるものが出ているということも承知しておりますけれども、それを含めて消費者委員会として、今後、付議があった場合にどう対応していくかを改めて考えていく必要がございます。これが東電関係のご報告です。
 第2番目は、消費者基本計画の改定です。消費者基本計画の改訂原案につきましては、6月26日の委員会で消費者庁から報告を受けたところであります。この原案については委員会として一定の意見を出しておりましたが、それらの意見がどうなっているかということを中心にヒアリングをしたわけです。例えば違法ドラックの対策ですとか、こんにゃくゼリーなどの食品の物性形状に関する観点からのチェックといったものへの対応。それから、CO2の排出権取引その他の投資被害への対応といったようなもの。更に公共料金に関する施策の在り方といったような点。幾つか注文を出していたわけですけれども、おおむね項目の中に盛り込んでいただけたということで、その意味では委員会としても一定の評価をしているところです。
 原案につきましては、現在、各省と調整中であるというふうに聞いておりまして、恐らく来週に予定されております閣議決定に向けて、調整された内容がどうなるのかという辺りを注目しております。できるだけ現在の内容を最低ラインとして維持していただきたいと考えているところです。これが消費者基本計画関連のご報告です。
 第3番目ですが、「地方消費者委員会」についてです。6月30日に千葉県の消費生活センターで第3回目の地方消費者委員会を開催いたしました。以前に、福田元総理が訪れたというセンターですけれども、非常に熱心に議論をしていただいて、県とか市の消費者行政の担当者、相談員、団体、弁護士といった方々、全部で117名の方が参加してくださいまして、非常に活気のある実り多い議論ができました。
 テーマは、「地方消費者行政」ということで、御承知のように基金が終わってしまった後、地方消費者行政を維持・強化するにはどうすればよいかというような問題が非常に深刻であります。今回は、千葉県内の地域間格差とか、相談員の処遇改善問題、センターの窓口体制の充実・強化とか、小規模自治体の広域連携の在り方などが議論されました。その2日ほど前に、千葉県知事である森田健作知事のところにも参りまして、いろいろとお話をさせていただき、知事からは、千葉としても頑張るという力強いお話を伺ったところです。
 ちなみに、第4回の地方消費者委員会は7月21日土曜日に名古屋で開催する予定で、テーマは「消費者教育」というものです。御案内のように、消費者教育推進法が制定に向けてかなり動いている状況にございますけれども、今後の消費者教育の在り方について、名古屋の方々と議論してみたいとかんがえております。記者の皆さんの積極的な参加も期待しておりますし、もし機会がありましたら現地の支局等にもお知らせいただいて、議論に参加していただけるとありがたいと考えております。
 以上が、これまでの報告ですけれども、当面の関心事項について更に少し追加して申し上げます。
 第1は、地方消費者行政の話です。地方消費者行政については、いわゆる集中育成・強化期間が終わった後の、支援の在り方というものが大きな課題になっているところであります。特に、今年度末で期限を迎えてしまいます地方消費者行政活性化基金については、基金終了後も、各自治体の取組みが更に充実し後退することがないように、制度面、財政面、人材の面からやはりもう少し継続的な支援が必要であるという認識を委員会として持っております。
 この地方消費者行政の実情を把握するために、担当委員と事務局が全国20か所の自治体を直接訪問して、効果的な支援策の在り方についてヒアリングや意見交換を実施してまいりました。また、委員会において、有識者の皆様から、地方消費者行政活性化基金の評価ですとか、基金終了後の必要な支援策について御意見を伺っているところであります。
 いろいろ議論はありますけれども、消費者庁、消費者委員会という形でいろいろなものを一元化して、司令塔機能を果たしていこうという場合の根っこにあるのは、地方の現場でありまして、その基本となる現場が枯渇してしまうというようなことは絶対あってはいけないと考えております。やはり自治体がすべての議論の出発点になるわけで、個人的には、自治体に一定の力が蓄えられていくということと、特にそこでの人材がきちんと育成できるようにすることが大事だろうと痛感しております。
 基金終了後の自治体の取組みが後退することがないように、消費者庁とも協力して、場合によっては、消費者庁に対して一定の注文をつけながら、問題に取り組んでいきたいと考えておりまして、できれば7月中に地方消費者行政の充実・強化のための支援の在り方について、建議ないしは提言をとりまとめて発出したいと考えております。
 あとは御質問を伺う中で答えたいと思います。

質疑応答

(事務局) こちらから御説明した中に含まれていないことでも結構ですので、御質問ございましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

(問) 東電の絡みなんですが、今後のスケジュールとか委員会としての対応のタイミングとか、その辺りをもう少し詳しく教えてください。

(答) スケジュールについてはまだよくわかっていない部分があって、工程に関して実務的にはいろいろ考えているようですけれども、委員会としてはその議論の進捗に応じて対応せざるを得ないと思います。
 最終的に、実際に値上げの認可がいつぐらいの時点になるのかということは、まだ予測ができませんので、そこは速やかに対応するという以上のことは、今のところはお答えしづらいのです。

(問) 最終的にこういうことをもって何か来たときに臨むということは、どこかで改めて整理して出したりということはあるのでしょうか。

(答) 現在、経済産業省の方で今、専門調査会が査定方針を定める作業をしています。それが近々一定の結論は出すと思います。それが消費者庁の方に連絡されて、これでどうだろうかと協議するという話になるのだと思うのですが、恐らく同じ日に消費者委員会に対しても付議があると伺っています。
 そのタイミングがいつになるかですけれども、恐らく7月上旬とかその辺りになるとは思うのですが、そこら辺で対応して、こちらでも一定のヒアリングをかけるということになろうかと思います。

(問) そのときに、消費者委員会側が基にするのは「考え方」という、19日に出したものになるのか、それを差し替えたものを事前にもう一回くらい発表して構えるのか。

(答) それは出てきたものによるわけですけれども、基本的な考え方は、公共料金についての「建議」以来一貫しておりまして、消費者委員会としては、できるだけわかりやすい形で、料金の値上げについての根拠を明らかにせよということで透明化を求めてきました。
 もう一つは、消費者参画の機会がちゃんと保障されるようにしろということも言っておりました。「考え方」の中では、更に積算の根拠について、こういう項目についてはまだよくわからないからもうちょっとはっきりしてくれ、というようなことも申し上げていたところで、その辺についての対応ぶりを拝見しながら、評価をしていくことになります。
 消費者庁の方もチェックポイントというのも出していて、これはかなり内容に踏み込んで人件費何%とかというようなことまで書いています。
 消費者委員会としては、今のところは具体的な数値を出すようなことはしておりませんで、個人的に言うと、そういう数値を出すことが消費者委員会としていいことかどうかということについては若干疑問も持っています。むしろ、基本的な考え方や項目の性質ごとに「これでいいのだろうか」という疑問点を、もう一度精査することになろうかと思います。

(問) わかりました。

(事務局) よろしいでしょうか。スケジュールについてはこちらが主導ではなく、
やはり経産省の動きがどうするかによってこちらに及んできますので、申し訳ありませんけれども、確定的なことはなかなか言えません。
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

(問) 明日にも専門委員会で東電の社長を呼んで方針がまとまるんじゃないかと言われていますけれども、じゃあそれは即日、明日にも来るという御理解なんですか。

(答) もし明日、結論が出るというようなことが経済産業省であるのであれば、速やかにこちらにも連絡が来るということになると思います。
 幾つかの可能性はこちらでもシミュレーションしていますが、今のところはわからない。

(事務局) ほかにはいかがでしょうか。

(問) それと、今のところどういうふうに見ているんですか。つまり、これまで消費者委員会なり消費者庁がいろいろ言ったことによって、事業報酬の面であるとかあるいは年収給与の部分を減らしていって値上げ幅が圧縮されるというふうに報道されていますけれども、この一連の流れを今までどういうふうに見てらっしゃいますでしょうか。

(答) 少なくとも消費者委員会はいろいろ疑問点とか考え方について、もうちょっと説明をきちんとしてくださいということですね。消費者委員会の中でも申し上げたり、いろいろなメモ書きで質問項目を経済産業省とか消費者庁に伝えてきたわけですが、これをかなり反映して議論が進んでいることは事実です。説明なども、かなりわかりやすくなってきました。
 その意味ではやったかいはあったと思っているんですが、ただ、出てきた内容が本当に消費者が「なるほどね」と思うような内容になっているかどうかということについては、まだいろいろ考えるべき点があって、経済産業省の方でどういうふうに考えていくのか、消費者庁でも判断があるでしょうが、今のところまだこれで「十分うまく行っていますね」という状態ではないと思います。
 まだ足りないところがあれば、場合によっては、再度、委員会として「意見」を述べる機会があるかと思います。

(問) 十分じゃないというのは具体的にどの辺りが。

(答) 例えば「事業報酬」の考え方などです。例えば原発のまだ稼働していない部分について、一定の範囲で事業報酬の中に費用として積算しておりますけれども、不稼働部分について本当にこれは入れていいものなのかどうかとかいろいろ説明を求めましたけれども、なかなか納得できるような説明はいただいていないわけです。
 そういう部分について十分国民にわかりやすい形で情報が提供されないとまずいんじゃないかということで、場合によってはいただいたものを見て、再度、意見を述べるという機会を持ちたいと思っています。

(事務局) ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

(問) 今の回答2の関係なんですが、先ほど電気料金の値上げについて疑問点について精査されると。
 それで、十分ではないと納得できていないという部分があった場合とか、消費者庁のチェックポイントの検討の中で、前提として消費者基本法の中の消費者の権利があって、その意見が反映される権利とかいろいろ挙げられて、それらを前提としてチェックポイントの検討、詳細化をしたと。
 一番最後のところに、納得できない場合は、拙速な値上げはするなという1文が入っております。消費者委員会の判断として、意見が求められた場合は、まだ説明、透明化が不足しているとか、事業報酬のあれとか電気料金の値上げをする範囲があいまいであるとかわからないとか、その説明が不十分だという意見はわかるんですけれども、チェックポイントの一番最後に書かれたような値上げはするなという判断はあり得るのでしょうか。

(答) 値上げをするなという判断そのものを消費者委員会がやるかどうかということは確かに1つ問題ですけれども、現状では、消費者は電力会社を選ぶことができないわけで、そのため、なぜ値上げが必要なのかということをきっちり説明していただかない限り、その値上げに唯々諾々と従うというわけにはいかないということは確かだと思います。ですから、結果的に、拙速な値上げは回避せよという意見になるかと思います。
 消費者庁の対応としては、経済産業省の専門委員会での議論にはこだわらないで、消費者目線で検証するというふうにおっしゃっていますから、大臣が消費者委員会、消費者庁の検証結果というものを踏まえて、そこで政治的な決断をされるということになると思うんですけれども、消費者委員会としての意見も、はっきりと申し上げる機会があると思います。

(事務局) ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

(問) それに絡んでのところなんですけれども、例えば人件費が今、3割削減の500万ぐらいならというような報道もありますけれども、それで納得できるかどうか、具体的な根拠がどうかというのは、かなり難しい判定になると思いますし、それをどう判断して表明するのかと、ちょっとイメージがつかないのですが。

(答) 少なくとも、人件費に関しては、委員会のときに私も申し上げたんですけれども、余り一定の数値を条件にするようなことは好ましくないと思うのです。自分たちがどれほど身を削っているかということを示すバロメーターになることは確かですけれども、しかし、3割だからいいとか、2割だからだめだというような話にはなりにくい。
 特に、東電の現場で働いている方々は、今かなり過酷な状況で働いていて、危険な仕事もなさっているということもわかります。ですから、そういう方々の生活を切り詰めることがいいことだというふうには私は思っておりません。委員会としても、何割がいいかという議論には余り立ち入りたくはない、というか立ち入るつもりはなくて、むしろ東電が、自らどのくらい絞って人件費に関して合理化をやったか。特に、上層部の方に関しては、少し今までの経営責任というのは考えていただく必要があるかなと思います。具体的な数値でこちらが条件づけるということは、現段階では、いたしておりません。

(問) 消費者目線だとどんどん下げれば下げるだけいいんだというような雰囲気がありますけれども、決してそれを消費者目線としてそれを反映させようとかそういう意図はないのですか。

(答) それは本当に消費者目線なのかどうかですよね。やはり合理的な目というのが必要で、感情的に「下がればよい」というのはよくないと思うのです。東電がこれから立ち直るためには、東電の社員がある程度元気でないといけないわけで、そうだとすると東電から人がどんどん抜けていってしまって、もう廃屋になるような状態というのは避けないといけない。むしろ東電の人には頑張ってもらわなくちゃいけないということなので、余り鞭打つようなことはしたくないと思っています。
 逆に、本来電力生産の「経費」としてあるものではなくて、今回の事故によって生じた付随的な費用をこの際だからということで、電気料金の方にそのまま転嫁しているようなものは、「どけてください」という言い方で対応できればというふうに考えています。

(答・事務局) ちょっと補足をしますと、人件費については委員会としてもっときめ細かく出してほしいと言っています。
 平均で出すだけではなくて、上層部の人たちはどうなのか。そうではなく30代、40代で働く人はどうなのかというと、上層部や役員については、子会社との兼任で報酬がどう支払われているかというきめ細かさを情報として出してほしいということでお願いしているところです。

(問) わかりました。

(河上委員長) 東京電力以外でも結構です。

(事務局) 個別にいつでもお話をお受けいたしますので、是非また御連絡をいただければと思います。

(河上委員長) ちなみに、違法ドラックの件について、消費者委員会の方から提言を出した影響だとうれしいんですけれども、最近いろいろなところで摘発が続いていて、マスメディアでもしっかり取り上げていただいているということで、この点はむしろこちらからお礼を申し上げたいと思います。
 どうもありがとうございました。

(以上)