河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年6月5日
消費者委員会

日時

2012年6月5日(火)18:00~18:54

場所

消費者庁6階記者会見室

冒頭発言

(事務局) それでは、時間になりましたので、委員長の記者会見を始めたいと思います。
 今日の記者会見は、先ほどの委員会で発表いたしました健康食品のアンケート調査に基づく考え方の話と、それから、その月の第1週の水曜日に委員長の定例記者会見を行っておりまして、本来であれば明日ということですけれども、今日は、それも兼ねた形で全体についてのお話もさせていただけたらと思います。
 それでは、委員長、よろしくお願いします。

(河上委員長) よろしくお願いします。
 先ほどの委員会でとりまとめました、「健康食品の表示等の在り方に関する考え方」についての説明、それから、月1回行っております定例会見を併せて実施させていただくということで、お願いしたいと思います。
 まず最初に、「健康食品の表示等の在り方に関する考え方の概要」ですけれども、お手元に資料があるかと思います。委員会でもお話ししましたけれども、第1次の消費者委員会で消費者庁から検討要請を受けて、それに対する中間整理を平成23年8月にとりまとめたところであります。あれは中間整理でしたので、そこから今度はどうすべきかということが問題になっていて、その前提として一定の調査をやろうということになったわけであります。1万人を対象としたアンケート調査を実施いたしまして、前回、5月18日にその結果について公表したところであります。本日は、その公表した資料を、アンケート結果をもとにして更に一定の方向性というか、考え方をとりまとめ、次のステップである具体的な建議なり提言なりに向けた方向づけをしたいということであります。
 ちなみに、消費者庁の中で議論されている食品表示の一元化、これは直接関係はないのですが、そこでの議論のときにも、その方向性について考える上で参考にしていただけるのではないかということも期待しているところでありまして、「考え方」をとりまとめた次第であります。
 具体的な内容については、特に中心になってこの案件を担当されました田島委員から御紹介したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(田島委員) 消費者委員の田島でございます。
 アンケートのとりまとめを事務局と共同で行いましたので、私からポイントだけ御説明いたします。資料がお手元にあると思いますので、資料を参考にしていただきながら、ポイントだけ御説明いたします。
 考え方のポイントとしては、4点を申し上げたいと思います。
 第1点でございますが、アンケートの結果、消費者が、健康食品の効き目・有効性、機能性、これを大変重視しているということがわかりましたので、何らかの情報の伝達が必要ではないかという話でございます。消費者の方が効き目・有効性等を参考データとしているということについて、何を参考にしているかをお聞きしたところ、行政からの情報が非常に少なかったというところがショックでございますが、今後、もっと行政からの情報発信、例えば今、国立健康・栄養研究所が健康食品の情報の発信をしていますが、そういうことをもっと有効に活用できないかといったことでございます。
 機能性の表示を求めている消費者の方が非常に多く、しかも、価格が高くなっても構わないという要望も結構強かったということがありました。今、特定保健用食品制度というのがございます。特定保健用食品制度の中で、現在は個別評価型とか、規格基準型とか、さまざまな制度がありますが、それに加えて機能性表示を制度化できないかということを、今後、検討していきたいということでございます。
 過剰摂取の問題がどうしても健康食品にはございますが、業者が勝手に摂取目安量を申告しているわけですから、摂取目安量というものが余りはっきりしていません。摂取目安量が確実にできるように制度化することも必要ではないか、ということを申し述べております。
 それから、健康食品と医薬品との相互作用の危険性というのもございます。危険性については、本当でしたら医師がしっかり把握しなければいけませんが、今のところ、それが有効に機能しているとは思えません。ということで、必要に応じて注意喚起や情報提供を行うことが有効ではないか、ということを申し述べております。
 第4点目ですが、仮に健康被害が生じても(現実にはほとんどないのでございますが)、現在のところ、ほとんど報告がなされていないという現状があります。食中毒が発生すれば保健所へ自動的に被害情報が通達されますので、やはり健康食品による被害情報も保健所に集約できるシステムがつくれないかということでございます。
 以上、資料に述べております、四角で囲んだ部分の御説明でございます。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(事務局) 最初に、この案件についての御質問をお受けしたいと思います。後半で、消費者委員会全般について委員長から再度お話しさせていただき、意見交換させていただければと思います。
 御質問がございましたら、お願いいたします。

(問) 今後、更に提言や建議につながっていくのだと思いますが、今、委員のおっしゃった機能性表示の制度化という部分は、どんなイメージなのでしょうか。諸外国にあるようなものをイメージされていますか。

(答・田島委員) 機能性の表示というのは、諸外国で一部行われているのも事実です。ただ、日本で言ういわゆる機能性の表示というのは非常に少ないです。例えばアメリカのヘルスクレームというのは、どちらかといえば、日本で言えば栄養機能食品の表示に近いです。ということで、特保あるいは健康食品の機能表示というのは外国でも非常に例が少ない。これから詳細に調査いたしますが、私の知るところでは、お隣の韓国の機能性表示が、日本の考えている機能性表示と割と似ているというふうにとらえておりますので、そんなところを参考にしながら、今後、進めていきたいと思っております。

(問) つくるとなれば、厚労省に働きかけるのですか。

(答・田島委員) 健康増進法の一分野というふうに今のところは考えておりますので、当然、健康増進法を所管しているのは厚生労働省でございますので、厚生労働省に働きかけるという話になると思います。

(答・事務局) 健康増進法、表示の部分については消費者庁です。

(問) 共管ですか。

(答・事務局) そうです。両方になります。

(答・田島委員) 失礼しました。表示については消費者庁でございます。

(問) この考え方というのは、誰に見てほしい、誰に影響を与えたいというものなのですか。いまいち、そのメッセージがよくわからないのですが。

(答・田島委員) メッセージの発信先は厚労省と消費者庁を考えております。健康増進法を所管しているのが厚労省と消費者庁ですので。

(問) 送付をするということで。

(答・田島委員) そうです。

(問) 特に何か回答を求めているとか、そういうことではないですか。

(答・田島委員) そうではなくて、今後、施策の参考にしていただきたいということです。

(問) 去年の中間整理と今回の考え方の違いというのがよくわからないのですが、方針の変更をされたのかどうか、転換されているのかどうか。去年の中間整理の場合は、健康食品に対して極めてネガティブな部分をピックアップされていて、それに対して法規制とか、表示の規制とか、錠剤・カプセルについてはほかの法的規制に含めるべきだとか、そういうのも意見としてあったというふうに書いてありました。
 ところが、今回の場合は考え方としては、ポジティブな部分ということに対して、例えば特保の部分では第5類型みたいな機能性表示、これをプラスして提案されているニュアンスもうかがえる。例えば情報提供にしても、去年の場合は、メーカーの事故情報の報告義務とか、そういうこともたしかフレーズとしてあったような気がします。今回の場合は、消費者が保健所に知らせるべきだということを周知徹底するように厚生労働省に働きかけると。つまり、今の健康食品が非常に利用されていることを前提としてアンケート調査された結果として、機能性があるということ。
 ですが、先ほどの消費者委員会の中では、健康食品の定義の中に特保とか栄養機能食品が入っているわけですね。そういうことでアンケートされていて、事務局からの説明は、なぜそれを入れているのかというのがわからなかったのです。今まで、いわゆる健康食品と言った場合は、特保と機能性食品は抜かした上でアンケートしたり、その中で問題点をピックアップされていましたけれども、今回、特保を入れたりしたことに対して説明をきちんとしないと、大きな誤解を招く。つまり、機能性表示、機能性を求めているアンケート結果になりかねない。まさにそうなっていると思うのです。
 そうなると、あえて機能性表示が必要だという結論になってしまう。となると、アンケート自体が失敗になりますので、そこのところが極めて大事なところですが、そういう説明がなかった。つまり、去年の中間整理と今回の考え方の違いというのがよくわからない。ポジティブとネガティブの部分で、健康食品をどんどん進めていく、その中での在り方を考えているのか。去年の場合は、もう少し法的規制とか、問題提起みたいな感じでしたけれども、それの何か違いがあるのでしょうか。

(答・田島委員) 中間整理はあくまでも中間整理でありまして、ヒアリングを重ねた結果、中間整理をさせていただいています。こういう問題点がある、こういう問題点があるというふうな、問題提起に終わっているわけです。それを今回、1万人の実際の消費者に対するアンケートをして、そこから浮かび上がる問題を整理したということですので、原則はしていますが、観点が全く異なっております。一見してちょっと矛盾があるように思うかもしれませんが、消費者委員会としては、別に矛盾なく仕事は進めているというふうにとらえております。
 それから、特保をこのアンケートの中に含めたということですが、あらかじめ予備調査をして、インターネット調査をするとき、健康食品と言ったときに一般消費者はどういうことをイメージするかとなると、特保も栄養機能食品も含めて健康食品としてとらえているわけです。ということで、今回、インターネット調査では特保と栄養機能食品も含めた、そういう事情がございます。

(問) そうすると、健康食品とは何かということの中で、特保も入りますということをアンケートに答える方は思って答えているということですね。

(答・田島委員) そうです。

(問) そうしますと、機能性を求めて購入した方、参考になるという方が6割ぐらいいらっしゃった。その中で不満だという方が8割いる。その不満だという人の中には、特保も栄養機能食品も不満だというふうに入っている、と考えていいわけですね。

(答・田島委員) そこまでの解析はこのアンケート調査ではできませんので、よくわかりません。

(問) 基本的なことを教えてください。
 これは、今日初めてオープンになるアンケート結果ではないですね。5月の時点で、もう明らかになっているものですね。

(答・田島委員) そうです。

(問) 明らかになった場所は、消費者委員会で配って、ホームページに載っているという状況ですか。

(答・事務局) そうです。

(問) では、これは5月からホームページに載っている結果なわけですね。

(答・田島委員) そうです。

(問) わかりました。
 あと、「消費者庁からの健康食品の表示の在り方についての検討要請を受け」とあります。消費者庁が答えるべきものかもしれませんが、消費者庁は、健康食品の表示の在り方について何をどうしたいという検討をしているのですか。

(答・田島委員) これは第1次のときに既にありまして、もともと花王のエコナ問題があって、それで消費者庁に研究会が設けられた。その結果、更に消費者委員会で検討していただきたいと消費者庁から投げかけられた課題が、表示の在り方、広告の在り方で、それを受けて第1次消費者委員会でヒアリングを重ねて中間整理まで持ってきた。今回、消費者アンケートを更に実施して深掘りしたと、そういうような話でございます。

(問) これは、今、別に議論されている食品の一元化の表示とは別の議論ですか。

(答・田島委員) 一元化とは全く関係ございません。

(問) 消費者庁では、健康食品の表示というものが今はよくないから、新たな法律をつくりたいという目的のもとにこういうふうな検討会を開いているのですか。

(答・田島委員) 全く関係ございません。あくまでも消費者委員会が、もともとは消費者庁から意見を求められたことについての回答で、第1次から議論が始まったのですが、その中で今回はアンケートを実施して消費者委員会独自で考え方をまとめたと。

(問) 理由がわからないのですが、なぜ消費者庁はこういう在り方について検討会をつくっているのですか。何かが悪いから、何かを変えなければだめだという考え方のもとに、そういう検討をされているのですか。

(答・田島委員) それはもう3年前の話で、いわゆる花王のエコナ問題があって、消費者庁が、特保制度というものは問題点がある。なぜならば、エコナの問題が起きたときに対応がうまくいかなかった。それは、新たな科学的知見が得られたときに再審査をすると条文に書かれていますが、その再審査の仕組みというのがどうもはっきりしていない、もう一度特保制度を洗い直す必要がある、そういったことで研究会が設けられたということです。

(問) エコナが発端でできた話ですか。

(答・田島委員) そうです。それで半年、消費者庁が田中平三先生を座長として研究会を設けて、その結果、最終的に消費者委員会の方には表示と。勿論、消費者庁独自もその研究会の報告を受けて、例えば特保の審査の明確化、そういうものをしようということも実際には行っております。

(問) 健康食品についてのアンケートというのは、今まで、行政機関でほかにやった例というのはないのですか。

(答・田島委員) 一般消費者に対してのアンケートは、消費者委員会が初めてだと考えております。

(問) 一般消費者でないものであれば、ありますか。

(答・事務局) 第1次のときも、並行していろいろな資料を収集していました。たくさんアンケート調査はありますけれども、一般の消費者を対象にしたきちんとした利用者実態調査はなかったというところで、取り組んでみたということです。勿論、主婦連合会が調査をされたり、兵庫県が調査をされたりという先駆け的な調査はありましたけれども、1万人を対象としたのは初めてです。

(問) 国の機関がやったのは初めてなのですか。

(答・事務局) 行政機関では初めてです。

(答・田島委員) そうです。

(問) ちなみに、このアンケート調査の予算は幾らでやっていますか。

(答・事務局) 90万ぐらいです。

(問) このアンケート結果を公表して、どうしたいのですか。考え方を出して、誰にどうさせたいのですか。

(答・田島委員) 今回、考え方というのをお示しして、これをもとに更なる制度化に向けて活動を続けていきたい。ですから、諸外国の状況の調査をする、あるいは有識者ヒアリングを、今後、消費者委員会として行って、提言までいくかどうかわかりませんけれども、できれば何らかの形でまとめていきたいと考えております。

(問) 厚労省と消費者庁に、どこの法律をどういうふうに変えろというふうに具体的に言えないのですか。

(答・田島委員) まだ今の段階ではそこまでは言えないので、こういうことを消費者委員会では考えていますということを、あらかじめ示しておくということでございます。

(問) 最終的には、消費者庁や厚労省に、例えば健康何か法とかJAS法を変えて、こういうふうにわかりやすく、機能もちゃんと明記しなさいみたいなことを、建議なり提言をしたいという目的があるということですか。

(答・田島委員) できればそういう方向で進めていきたいとは思っております。できるかどうかはわかりませんが。

(問) しなければ意味がないと思いますけれども、ちょっと質問を変えます。この前、消費者庁で、ヒアルロン酸とか、コンドロイチンとかの機能について調べた結果が出されましたが、あれをごらんになっていますか。

(答・田島委員) はい。4月25日に発表されました。

(問) あれは、消費者委員会が求めていることを一つ先にやっているということではないのですか。

(答・田島委員) あれは消費者庁独自の調査で、消費者委員会とは全く関係ございません。

(問) やっている主体がどうかということではなくて、求めているものが、諸外国の知見を集めろというふうなことをおっしゃるなら、消費者庁はもう既にそれをやっているのではないですか。

(答・田島委員) 具体的なことは消費者庁から報告を受けておりませんので、わかりませんが、ある意味では先行してやっていただいているというふうにもとらえることができると思いますが。

(問) 屋上屋根みたいな話ではないですか。既にやっていることをやれと言うのは、余り意味がないのではないですか。

(答・田島委員) 視点がかなり異なってくると思いますので、二度同じことをやるということにはならないと思っております。

(問) これで終わりますけれども、消費者として知りたいのは、本当にウコンが効くのか、コンドロイチンが効くのかというのを、行政機関が認定をしてくれるならしてほしいのですが、この前の消費者庁の発表では、そんなことも判断できずに、ただ知見を集めてこういう宿題をやりましたという結果しか出ていない。消費者委員会としても、消費者がこれが本当に効くのかどうかわからないという声を吸い上げてきて、アンケートでわかっているなら、それが効くかどうかというのをちゃんと調べなさいと厚労省や消費者庁に言うべきではないのですか。

(答・田島委員) 今後の課題だと思います。

(問) 頑張ってください。

(答・田島委員) はい。

(問) 3つほどお伺いしたいのですが、1つ目は、健康食品の場合、広告が非常に問題だと思います。まさに虚偽・誇大広告だらけです。先ほど田島先生が、業者も意識して賢くなっているし、取締りというのは非常に難しいというふうにおっしゃいました。私はあくまでも生活者、消費者の立場からですけれども、私が見ても、明らかに虚偽・誇大広告と思うものがいっぱいあるわけですね。業者の方に言っても、「そうですか、担当の方に回しておきます」で、終わりなわけです。
 詳しいことは省きますけれども、2年ほど前に、ある新聞広告でグラフが捏造だということを私は見つけたわけです。勿論、業者の方にも言いましたら、認めていましたし、単に捏造というより、いろんな問題があるんですね。それで、これは消費者庁に言った方がいいと思って、私は思い切って電話をして消費者庁に言って、それから2年たちますが、何にも連絡はないわけです。そういう場合、どうしたらいいでしょうか。健康被害だったら保健所ということをおっしゃいましたけれども、これは明らかにおかしいというものは、言ったらきりがないかもしれませんが、その場合は本当におかしかったんですね。朝日新聞にも一面広告が載っていたもので、朝日新聞にも電話をしたり、私なりに調べたことがありますけれども、消費者庁に連絡して、その後、何も連絡がなくて、どうしたのかなとときどき気になるんですね。そういう場合、要するに監視ですか、どうしたらいいでしょうか。法規制はあるにはありますが。

(答・田島委員) それは消費者庁の仕事でございますので、やはり消費者庁に電話して実情をお示ししていただいて、消費者庁の対応を見守るということしか私の口からは言えないと思います。

(問) 消費者庁に、よろしくお願いしますと言うほかないですね。

(答・田島委員) そうですね。

(問) 2つ目です。実際に買って飲んだり食べたりした消費者被害的なことは、保健所に集約したいと先ほどおっしゃいましたけれども、私は消費生活センターにも少しかかわっていたことがありますが、やはり消費生活センターにもそういう相談があります。私も健康食品のことを結構いろいろ調べて聞き取りもしましたけれども、こっちが聞き取りのつもりでも、とにかくいろいろ聞かれるんですね。要するに疑問がいっぱいなわけです。
 そうすると、健康被害に対応する以前に、健康食品の相談ができるところがあるといいなというふうに前から考えていまして、栄研などがNR、サプリメントアドバイザーの方を養成していますけれども、そういう方たちの仕事をする場がないということも聞いたりします。消費生活センターに、健康食品についてちゃんと相談できるスタッフは、今、消費生活相談員がちゃんといますけれども、それにプラスして、健康食品に強いスタッフをそこに付けたらいいのではないかなと思っています。そのことについてはアンケートでは出てきませんし、そういうことまでも提案していただくということはできないのでしょうか。

(答・田島委員) 御提案をこれから検討したいと思います。確かに消費者相談の窓口として、消費生活センターというのは身近ですから、保健所に相談するほどのことでもない、あるいは医師に相談するほどでもないというときに、身近なセンターにする。ところが、センターに詳しい人がいないと。

(問) 現在は、契約とか販売に関する健康食品の相談というのは消費生活センターに結構来ていて、スタッフもそれに対しては対応しているのですが、例えば健康食品についての疑問、中身について答えられる人が、はっきり言って本当に少ないんですよ。

(答・田島委員) 一つは、国立健康・栄養研究所に健康食品のデータベースをつくっている部署がございます。ああいうところに相談するというのも一つかと思います。

(問) ところが、私はあれをよく見ていますけれども、一般の消費者があれをこなすまでにはいかないのです。難しすぎるのです、一般の方には。栄研の方たちもそれは自覚して、本当にこのごろいろいろ工夫してやっていらっしゃいますけれども、一般の方が気軽に相談できるところがあったらいいなと。メーカーに聞いても、メーカーの言うことは大体わかっていますしね。

(答・田島委員) メーカーさんには相談しても。

(問) 相談するところではないんですね。そんなことで、そういうところができるといいなと。一つとして消費生活センターというのを私は考えていますが、是非そういうことも、同じ消費者庁の管轄ということでお願いできたらと思います。
 もう一つ、特保の許可のことですが、審査が甘いように私は前から思っているんです。それについてはいろいろな御意見があるでしょうけれども、先ほど先生がおっしゃった、名前を言っていいでしょうか、キリンメッツコーラ、あれはひどいですね。あれほどの広告。特保については今までもいろいろ問題になっていますけれども、審査をするときに、内容的なことだけではなく、要するに、消費者のあるべき食生活にプラスになるものをという視点がすごく大事だと思うのです。ですから、そういう視点も是非入れていただきたいと思っています。その視点がないように、この間、思ったんですね。コーラそのものが悪いものとは私も思っていません。添加物を使ったから悪いとは思わないです。でも、私たちの当たり前の、あるべき食生活を損なうようなものを紹介してほしくないなと思ったのです。
 それと、どんな広告を打つつもりか、そこまでも想定した上での許可をしていただきたい。そんなふうに思っていますが、今後の特保の認定というところで、お考えいただけたらいいなと思っています。

(答・田島委員) 今のお話は、新開発食品調査部会でも話題になっておりまして、脂肪の吸収を抑えるというお茶などの広告についても、非常に問題があるということで消費者庁に実は申入れをしております。消費者庁がどう取り扱うかというのはこれからですけれども、というので、広告には必ず「食生活のバランスを」というのを、特保の表示にはしなければいけないということになっていて、それを広告にも入れなさいということも消費者庁を通じて申し伝えてございます。テレビなどには小さく出ているんですね。

(問) 本当に小さく、ちょっと出てはいますけれども、あれは効果がないですね。

(答・田島委員) 新開発食品調査部会でも非常に話題になっております。気がついていないというわけではございません。

(問) 時間が余りないと思いますので、端的にお伺いします。先ほどの過剰摂取、薬との相互作用、この辺に関して、お医者さんのヒアリングとかいろいろされているとは思いますが、例えば薬剤師さん、それから、平成13年に厚労省の通達で、健康食品にはアドバイザリースタッフがいます。この辺の方のほうが実はお医者さんよりも詳しいという部分が結構あります。この辺のヒアリングというのは、今後、される御予定というのはありますでしょうか。

(答・田島委員) 今のところは話題にはのぼっていません。十分参考にさせていただきたいと思います。

(問) 特にアドバイザリースタッフに関しましては、薬剤師とか栄養士が、セカンドとして資格を取っている方が結構いらっしゃって、先ほどのNRとか、日健協がやっています食品保健指導師とか、そういったものも是非活用していただきたいというふうに思います。

(答・田島委員) せっかく制度がございますからね。

(問) もう一つ、これは法的な問題ですが、先ほど、健増法とか景表法、この辺でというお話がありましたけれども、大きな枠で見ますと、薬事法の網をかぶせてしまいますと、すべてそこで終わってしまうという現状があると思うのです。例えば、今すぐというのは難しいと思いますが、将来的に薬事法の枠をとりあえず外して、食品として健増法で立派に(立派にという言い方はおかしいですが)規制していく、というようなお考えはいかがでしょうか。

(答・田島委員) 初めて伺ったお話で、まだ、薬事法までというふうなことは考えておりません。今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

(問) 業界では、最後の手段として必ず薬事法が出てきまして、薬事法イコール「46通知」というもので、伝家の宝刀がございます。それで身動きがとれないという部分もありますので、是非、今後の御参考にしていただければと思います。
 以上、2点です。ありがとうございます。

(答・田島委員) ありがとうございました。

(問) ちょっと確認です。この考え方ですけれども、先ほどの委員会の中では、河上委員長が、今回の意見を踏まえて二弾、三弾の御検討をされていくということで、委員の方々の了承を得るような、そういうまとめということでした。今、こうやって発表されているわけですので、そうなのでしょうけれども、委員会を見ていて、とても委員の方々の了承を得たというふうには思えませんでした。これは、今の段階では、委員の方々は了承されているというふうに思っていいのでしょうか。

(答) 委員会の中では基本的には了承を得ているものです。ただ、ここから先、今回の「考え方」でもっと踏み込んで書くべきことがあるかどうかという辺りで、意見が分かれていたということです。建議や提言のようなものにしてはどうかという意見も当然あって、そうなると具体的な問題点を取り上げて、それについての証拠をそろえて一定の調査をし、もっと大部なものをつくらないといけませんが、それにはまだ時間がかかるということになりますので、今は第一弾で、委員会としてはこういう調査結果が出ましたと。この調査結果から、少なくともこんな問題点が浮かび上がってきますというところまで、関係省庁に共有財産として見ていただくという段階に入ったということであります。ですから、二弾の建議をした場合に、相手にそれを受け入れやすくなる素地にもなろうかと思います。
 更に、それぞれの省庁が食品に関して問題を考える際に、健康食品という切り口から一定のことを考えるときのいわば参考資料にしていただきたい。こんな調査結果というのはそんなにたくさんあるものではございませんから、早く共有財産にしたい、そういうことだと思います。

(問) 中間整理の中で、錠剤・カプセル型、つまり過剰摂取が問題になりそうなものに対しての、日本医師会のヒアリングをもとにした法的規制とか、健康食品の中でも錠剤・カプセルの部分については、別途、法的規制とか、そういうものをやれというのはなくなったということですか。

(答) いえ、そんなことはないです。

(問) でも、表示ではこうなっていますね。

(答) アンケートに基づいて出てきたところの分析とまとめにすぎないので、中間とりまとめの中で挙げられた意見というのは勿論ベースにありますし、今後はこのアンケートで出たものを参考にし、更にもう少し論点を深掘りして、建議になりそうなものを建議にしていくというか、提言にしていくという作業にかかるわけです。アンケートで枠をはめていくような性格のものでは全くありません。

(問) そうすると、第2点の錠剤・カプセル型食品について、摂取目安量を義務づけするということになると、錠剤・カプセルを今の状況の中で認めた上で表示を改善していくと。

(答) 表示だけではないでしょうね、恐らく。

(問) それはプラスになる可能性があるということですか。

(答) そうですね。少なくとも、これだけ表示に信頼を置いてそういうものを見ている人がいるわけですから、その信頼を裏切らない表示にしないといけないということ、これは言えるはずです。利用者がどんなところに着目して、どういうことに関心を持っているかというのをまず見て、それに対して効果的な規制の仕方とか、表示の要請をしていくということを考えていく必要があるという意味でも、今回の資料はそれなりに役に立つのではないかと思います。

(問) 役に立つものですが、この中に特保が入っているものだから。

(答) それは、さっき御質問を伺いながら、そうだなと思ったのですが。

(問) 特保が入っているものだから、役に立つのは当然ですけれども、いわゆる健康食品に対しての役に立つ立ち方と、特保はもとが製造的に違うから、本当は分けるべきということを説明すべきだと。

(答) アンケートのやり方に関して反省すべき点はあるかもしれません。ただ、余り細かく分けていくと、健康食品そのもののイメージというのが皆さんいろいろあるものですから、その辺をきれいに分けては、かえってアンケートがしにくいという判断があったのだと思います。

(事務局) それでは、時間が過ぎてまいりましたので、個別には勿論、御質問はお受けしますけれども、後段、全体のお話もさせていただきたいと思います。

(河上委員長) ちょっと時間が窮屈で申し訳ございませんけれども、これから、必要に応じて関係省庁と連携を図って、消費者目線で健康食品の表示の在り方について具体的な議論を進めていきたいと思いますので、また、よろしくお願いいたします。
 健康食品に関しては以上でございますけれども、定例会見の趣旨もということですので、簡単に、定例会見用の内容についてもお話しさせていただこうと思います。
 報告事項が多いのですが、一つは電気料金の話です。今般の東京電力の家庭用電気料金の値上げ申請については、5月10日の定例記者会見で「委員長声明」を発出いたしました。適切な審査体制の確保、公聴会を適切に開くこと、適切な情報提供をするということで経済産業省に対して求めて、枝野大臣に手交したという経緯がございました。
 委員会の中に、公共料金の担当委員であります、小幡委員、細川委員、山口委員長代理、それから、専門的な知見を有する外部有識者を交えてワーキングチームを立ち上げました。今般の申請についての審査過程全体を見渡して、前の建議で要請したような、決定過程の透明性と消費者参画の機会の確保といった観点、あるいは情報の適切な表示がなされているかどうかといった手続面を中心に検証作業を行っています。
 5月29日の委員会では、このワーキングチームで、問題点がこんなところにあるのではないかというようなことが少しずつわかってきましたので、今、安念委員会の方で査定をやっておりますけれども、その安念委員会に出された資料、こちらにも情報が全部来ていますので、それを見ながら、ここは問題になる可能性があるというところを質問票にいたしまして、質問票の形であらかじめ安念委員会にも出しておきました。安念委員会での調査、査定の段階でも、消費者委員会での質問票をかなり参考にして回答を出していただいているという段階でございます。
 経産省にこういう質問票を出すということは消費者庁にも伝えておりまして、消費者庁からも、委員長声明を出した同じ日に13項目のポイントというのが出ました。私は知らなかったのですけれども、突然出たものですが、内容を拝見したら、当方とほとんど同じ内容のものが出ていたということで、消費者庁と今後も連携しないといけないなというふうには思っております。
 5月29日の委員会では、ワーキングチームにおける議論の成果も踏まえながら、今般の申請内容について、経済産業省、東京電力との間でヒアリングを行ったところでございまして、御存じのとおりです。この案件に関しては、とにかくこちらから出した質問票について、これは国民がみんな監視している会議ですから、その意味では公開の場で説明するいい機会だから、わかりやすく説明してくれということをお願いしているところであります。実際に1時間ちょっとの時間で、私もあらかじめ文書を検討はしたのですけれども、実際に聞いてみたらやはり難しいなと。更に、聞いていた内容についても必ずしも腑に落ちるだけのものではなく、多くの問題点を感じました。6月12日に再度、委員会においてヒアリングを行う予定です。これまで出てきた東電からの説明、あるいは経産省の説明を更に吟味いたしまして、再質問といいますか、改めて補充質問票をつくって相手に渡すことを考えているところです。
 経済産業省及び東京電力におかれては、委員会における議論のポイントについて、一般の消費者にもわかりやすい形で情報発信をしていただくことを特に要請したいと考えているところです。また、本件について議論を行っている経済産業省の「電気料金審査専門委員会」においても、消費者委員会での問題意識を踏まえて御検討いただきたいということを、改めて申し伝えたいと考えています。電気料金についてはこれから更に問題は続くということですので、十分にモニターをしながら、必要に応じてまた問題提起をしたいというふうに考えております。
 2番目の話でございますが、消費者基本計画の検証・評価・監視という作業がありまして、5月の委員会で、計画の改定素案に盛り込まれた施策の実施状況を、今後の取組方針を含めて、関係省庁から計3回にわたってヒアリングを行いました。5月29日の委員会で意見をとりまとめたところであります。計画の原案のとりまとめに向けて、本委員会の内容を可能な限り計画の具体的な施策に反映させることを関係省庁に要請し、これを期待しているところであります。
 消費者委員会としては、この意見の計画への反映状況や、その後の実施状況等については引き続きモニターをいたしまして、消費者被害の状況が深刻なものや取組みが不十分なものについては、関係省庁ヒアリングの場で改めて取り上げていくとともに、必要に応じて建議、提言などを行っていく所存であります。消費者基本計画原案への意見書についてはホームページで公開しておりますので、ごらんいただければと思います。
 3番目、今後の関心事項でございますけれども、地方消費者行政の問題がやはり非常に重い課題でありまして、いわゆる集中育成・強化期間が終わりそうだということで、それが終わった後の地方消費者行政の支援の在り方は大きな問題であります。全国の地域の方々にとっても重大な関心事であります。
 現在、消費者庁において、地方消費者行政の充実・強化のための新たな指針作成のための検討を行っているということでありますが、地方消費者行政活性化基金終了後の自治体支援のための財源確保について、十分な見通しが立っていないというのが実情です。消費者委員会におきましても、現在、地方の消費者行政担当部局に先々週辺りからスタッフがみんな出向いていきまして、効果的な支援策の在り方についてのヒアリングを行っているところであります。更に有識者からのヒアリング等も計画しておりまして、そういうものを行った上で、7月中を目途に、地方消費者行政の充実・強化のための支援策の在り方についての提言をまとめたいと考えております。
 それから、「地方消費者委員会」というものを開いていることを前々から御紹介しておりましたけれども、第1回に仙台、第2回目、松山に参りましたが、第3回目の地方消費者委員会については、6月30日に千葉で開催予定でありまして、テーマはまさに「地方消費者行政」を予定しております。
 ちなみに4回目は7月21日に名古屋で開催して、テーマは「消費者教育」でやろうということを考えています。記者の皆様の積極的な参加を期待しておりますし、また、現地の支局にもお知らせいただいて、こうした取組みがあることについて報道いただければありがたいと思います。6月30日が千葉、7月21日が名古屋でございます。
 早口で恐縮ですが、以上でございます。

(事務局) この1か月間の活動の実績と今後の取組について、紹介させていただきました。御質問がありましたら、承りたいと思います。

(問) さっき一番聞きたかったことですけれども、考え方は、「健康食品の表示等の在り方に関する」ということですね。健康食品の表示といった場合は、ネーミングのことまでも含めて考えていらっしゃるのでしょうか。

(答) それはそうではないでしょうか。ネーミングから受けるイメージというのも随分大きいですから、それは「表示」の一部と考えるべきですね。

(問) 実は、食品表示一元化検討会の方でネーミングのことがすっぽり抜けていまして、私はこの間、意見交換会でそのことを申し上げたのですけれども、ネーミングのことは余りやらないのかどうか、「頭には入っています」とか言っていましたけれども。

(答) こんにゃくゼリーでも、こんにゃくというのが小さく書かれていて、ゼリーと書いていたらゼリーだと思ってしまいますね。それはあるのではないでしょうか。

(問) では、こちらの場合はネーミングのことまでもしっかりと。

(答) 当然、視野に入れるということです。

(問) 健康食品の場合、成分名と商品名が一致していますね。私はあれが非常に問題だと思いますので。

(答) いろいろな問題点について、御意見を消費者委員会にちょうだいできればと思います。

(問) お願いいたします。

(事務局) それでは、長時間になりましたけれども、ありがとうございました。また、個別の質問はいつでもお受けしますので、事務局までいらしていただければと思います。
 では、どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。

(河上委員長) どうもありがとうございました。

(以上)