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「電力小売自由化について注視すべき論点」に関する消費者委員会意見

2016年5月17日
消費者委員会

消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会から、本件に関する報告を受けた。本論点を踏まえ、今後、当委員会においては、電力小売自由化についてフォローアップを行うこととし、必要に応じて、意見表明を検討することとする。

関係機関等におかれては、本論点を参考に、電力小売自由化に関する消費者への周知と分かりやすい情報提供、さらには、小売電気事業者との契約トラブル等の消費者トラブル防止に関して、一層の取組を期待する。


電力小売自由化について注視すべき論点

2016年5月17日
消費者委員会公共料金等専門調査会

1.経緯

本年、4月1日より、一般家庭向けの電力の小売販売について、多様な小売事業者による新規参入が可能となり、消費者が電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになった。これに伴い、小売電気事業者により、ガスや通信等とのセット割などの様々なサービスが付加された多様なメニューや料金プランの提示がされ、消費者に対して活発な勧誘活動が行われている。

こうしたなか、公共料金等専門調査会においては、消費者が多様なメニューの中から適切な選択を行うことができるよう、電力小売自由化に関する消費者への分かりやすい情報提供、さらには、小売電気事業者との契約トラブル等の消費者トラブルを防止する観点から、事業者、関係機関、有識者等からヒアリングを行ってきた。

電力小売自由化については、まだ開始されたばかりであるため、現時点において消費者の観点からその成否を評価することは困難な面はあるが、当専門調査会におけるこれらのヒアリングの結果等を踏まえ、消費者の利益の擁護及び増進の観点から、電力小売自由化について今後、注視すべき論点につき、以下のとおり整理を行った。

2.今後注視すべき論点

(1)料金プラン、事業者からの情報提供

  • 自由化後も概ね、従来採用されてきた「3段階料金1」に則った料金プランが新規参入事業者からは提示されており、多くのプランにおいて、2段階及び3段階目に該当する電力使用量の多い消費者を中心に、規制料金プランと比較して割安となるメニューが提供されている。
    価格面以外にも例えば環境面に配慮した省エネルギーを促す料金プランや、使用量の少ない消費者に相対的にメリットがある料金プラン等消費者の様々な嗜好やライフスタイルに沿って選択することができる多様なプランが今後更に事業者から提示されることを期待する。
  • 電源構成・CO2排出情報やその他電気料金の内訳(電源開発促進税等)の情報は、消費者が、より能動的に、自らの考え方に照らしてプランを比較検討するために重要な情報である。全ての小売事業者において、価格とともにこうした情報に関して、情報開示の取組が可能な限り広がり、消費者にとって、見やすく分かりやすい表示をする取組が行われていくことが重要である2 3
    なお、必要に応じて「電力の小売営業に関する指針」(以下、「小売営業ガイドライン」と呼ぶ)において、事業者のより積極的な情報開示が図られるよう明記することも検討すべきと考えられる4
  • 電力小売に係る契約期間、違約金については、小売事業者により、その条件は多様である。消費者はサービス条件を総合的に勘案して契約を結ぶこととなる。
    現在、新規事業者を含めガス、通信等とのセット販売が喧伝されているが、例えば、電力と携帯電話サービスのセット販売について、電気の契約期間と携帯電話サービスの契約期間が異なることにより、両者の契約更新時期がずれる場合、セット販売による契約を同時に解除すると、片方に違約金が生じることもあり得る。このような状況は、消費者の自由なサービス選択を阻害し、実質的に、従来から結んでいた契約の拘束性を高めることとなる。現在は契約乗り換えの過渡期であり、今後違約金をめぐるトラブルが増加することも考えられ、その動向については注視が必要である。

(2)「電力比較サイト」による情報提供

  • 「電力比較サイト」については、消費者が新料金プランへのスイッチングを行う際に判断材料を収集するための有力な手段として活用されている。各比較サイトにおいて、公正中立な情報提供が行われていることを保証するため、小売事業者からの独立性が明確に示されているか、また、各比較サイトの運営に関し、遵守すべき倫理基準5等が示されているかは極めて重要である。今後、「電力比較サイト」運営事業者間共通の倫理基準が策定され、それに基づき事業活動がなされいてくことが期待される。さらに、「電力比較サイト」の公正性や中立性等を認証する公的な仕組みが必要か否かも検討すべきと考えられる。
  • 「電力比較サイト」については、小売媒介事業者が運営しているものや、小売事業者以外の第三者により運営されているものがあり、各比較サイトにおける電気料金のシミュレーションの結果については、試算条件やロジックの相違等により異なる。消費者が、こうした点を理解できるように、「電力比較サイト」運営事業者から分かりやすい情報提供がなされていくことが期待される。

(3)円滑なスイッチング対応等

  • 現在のところ、新規事業者に移行した契約者は全体でも約1%程度にとどまっている6。契約切り替え前後の小売事業者は共に、消費者に切れ目なくサービス提供を行うため、移行に際して供給体制に万が一にもトラブルが生じないよう適切に対応する必要がある。なお、円滑な切り替えも含め、供給者変更や料金の精算をスムーズに行えるようにするためにも、スマートメーターの早急な配備が必要不可欠である。
  • 小売事業者、「電力比較サイト」運営事業者等は、世帯情報、電力使用量やセット販売したサービスの利用実績等との情報を組み合わせ、今後多様なビジネス・チャンスを拡大していくことが予想される。他方、こうした生活情報の管理については、消費者からの信頼を得るためにも、事業者の情報管理体制を整備し、適正に行っていくことが重要である。

(4)消費者相談への対応、相談対応への体制整備

  • 各地の消費生活センターに寄せられた電力自由化に関する消費者相談を分析すると、新規小売参入事業者が比較的多い関東圏、東海圏、近畿圏からの相談が計約7割を占めている。また、相談が寄せられた販売チャネルにみても、訪問販売と電話勧誘販売が約8割を占めている7。さらに、相談者の傾向をみると、約7割弱が60歳以上の高齢者となっている。
    電力・ガス取引監視等委員会及び消費者庁・国民生活センター等においては、収集した相談事例について、留意すべきポイントを消費者の特性等に合わせてきめ細かく分かりやすく周知をするとともに、新たなトラブルが発生した要因等について分析し、その分析結果に基づいて、対応策を迅速に検討していくことが必要である。併せて、消費者被害に対する救済が適切に図られることが重要である。
    さらに、必要に応じて、「小売営業ガイドライン」の改定等を迅速に行うことを検討すべきと考えられる。
  • 消費者相談に関する情報の収集、消費者への周知については、電力・ガス取引監視等委員会事務局以外に各地方の経済産業局においても、地方公共団体の相談窓口と連携を図りつつ、今後、機能の充実を図っていくことが求められる。その際、本年2月に電力・ガス取引監視委員会と国民生活センターの間で締結された連携協定を参考に、経済産業局と地方公共団体の間で、より効果的な連携・協力関係が構築されることが重要である。

(5)電力小売自由化の消費者への分かりやすい周知等

  • 電力小売自由化への認知度について、本年3月に資源エネルギー庁により実施された一般国民向けのWEBアンケート調査8では、昨年11月と比較して、全般的な認知度は向上しているものの、「電力会社を切り替えても停電の頻度や電気そのものの質は変わらないこと」等の具体的知識の認知度は未だに低いことが示されている。今後、電力・ガス取引監視等委員会及び消費者庁・国民生活センター、消費者団体9等においては、様々な機会をとらえ、電力小売自由化に関する基本的事項に関する認知度を高めていく工夫をする必要がある。さらに、消費者と、電力・ガス取引監視等委員会や消費者庁等の関係機関が、意見交換を行う場を設けることを検討すべきである。
  • 訪問販売や電話勧誘販売により新料金プランの申し込みをした場合、8日以内のクーリング・オフができることについて、消費者に対する周知を徹底していくことが必要である。
  • 小売事業者の中には代理・取次・媒介といった形態をとり、提携会社等のブランド力を活用して販売している場合がある。消費者に対して、このような販売形態があることを、電力・ガス取引監視等委員会及び消費者庁・国民生活センター等においては更に積極的に周知をしていく必要がある。また、こうした代理・取次・媒介といった形態毎に、事業者と消費者との間での取引において課題が生じていないか、その動向等について注視する必要がある。
  • マンションの高圧受電契約については価格面でメリットがある一方、管理組合単位での契約のため、個々の消費者との契約ではないこと、また、通常、受変電設備等の電気設備の設置費用は事業者が負担するため、一旦、一括受電契約を結ぶと、一般的に長期契約であり、中途解約を前提としないことが多い点等について周知を図っていく必要がある。

(6)経過措置期間終了後の料金規制の解除

  • 2020年以降の規制料金解除に関しては、その時の事業者の競争状態を見極めて判断することとされており、慎重な検討が必要である。
    その際、規制料金プランにおける「3段階料金制度」について、第1段階の料金軽減については、低所得層などへの負担緩和の効果を有していると考えられる。料金規制解除後も、「3段階料金」のこうした効果が維持されるための何らかの対応が必要か否かも課題になると考えられる。

3.フォローアップの実施

電力小売全面自由化により、多くの異分野から小売事業者が参入し、多様なサービスが提供されてきているが、そのメリットを今後、消費者が十分に享受できるか否かの評価については、電力小売市場での価格動向や新たな課題の発生状況も勘案し、今後相当な期間に渡って、様々な視点から見守っていく必要がある。

このため、消費者委員会公共料金等専門調査会においては、電力小売全面自由化の消費者にもたらす影響につき、今後の都市ガスの小売全面自由化の課題に関する検討とあわせて、引き続き検証(フォローアップ)を行うこととし、必要に応じて、「小売営業ガイドライン」の改定要請も含め、意見表明等を行うこととしたい。

以上

  1. 一定の電力使用量を超えるごとに単価が変更
  2. 公共料金等専門調査会におけるヒアリングでは、東京ガス及びJXエネルギーから、既に電源構成について公表済みとの説明や、KDDIからは、早い段階で情報開示を行っていきたいとの説明があった。なお、東京電力の電源構成比については、既に同社のホームページにおいて公表済み。
  3. 全国消費者団体連絡会では、一般家庭向けの電気小売事業者(248社)を対象に、電源構成の情報開示に関するアンケート調査を実施している。アンケート結果は5月下旬に公表予定。
    http://www.shodanren.gr.jp/Annai/501.htm
  4. 「電力・ガス取引監視等委員会 第6回 制度設計専門会合」では、「電力の小売営業に関する指針」について、小売電気事業者が自社ホームページにおいて電源構成を開示する場合には、分かりやすい場所に表示することを「望ましい行為」に追加する案が示された。
  5. エネチェンジ株式会社では、英国で導入されている「confidence code」という認証制度に基づく倫理基準を独自に設定し、遵守することを表明している。
  6. 電力広域的運営推進機関から、毎週、スイッチング開始申請の件数が公表されている。
    https://www.occto.or.jp/oshirase/hoka/index.html
  7. 第16回公共料金等専門調査会 国民生活センター提出資料より。なお、4月26日の国民生活センター及び電力・ガス取引監視等委員会の公表資料によれば、本年1月以降の各地の消費生活センターに寄せられた相談件数は749件、監視等委員会に寄せられた相談件数は652件となっている。
    http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160426_1.pdf
  8. 本年3月7日~9日の期間で、全国の20~69歳の男女個人の1,000サンプルを対象にインターネット調査を実施。昨年11月についても同様の調査を実施。本年3月の調査結果については、以下のURLを参照。
    http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/denryoku_gas/kihonseisaku/pdf/005_03_01.pdf
  9. 日本生協連では、電力自由化に関する理解を深め、「電力会社」や「料金メニュー」を適切に選択できるようにするため、消費者に対して、「わが家の電気・ガス料金しらべ」として、電力自由化が家庭向け電気料金に与える影響について、実態調査を行っている。
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