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商業施設内の遊戯施設における消費者安全に関する建議

2015年8月28日
消費者委員会

商業施設内の遊戯施設における消費者安全に関する建議

子どもが楽しく遊ぶはずの商業施設)(注1)内の遊戯施設(注2)において、消費者安全法(平成21年法律第50号)の重大事故等(注3)に該当すると思われる骨折等の事故が起きている。消費者庁の事故情報データバンク(注4)には、平成20年度から26年度までの7年間で骨折等の治療期間1か月以上の事故が28件登録されており、平成26年度に発生したものは5件であった。しかしながら、当委員会の調査によれば、平成26年度だけで少なくとも88件の骨折等の事故が発生していることが明らかとなり、事故情報(注5)が十分に把握されていない事実が浮かび上がってきた。

また、当委員会が遊戯施設を実地に調査した結果、施設面や運営面で子どもが安全に遊ぶのに不安のある施設も見受けられた。

この背景には、商業施設内の遊戯施設における、明確な安全基準がなく、指導監督に当たる行政機関も定められていない(いわゆる「すき間」である。)ため、事故情報の収集や、事業者に対する指導監督が行われていないことがある。

当委員会はこうした状況を踏まえ、商業施設内の遊戯施設における消費者事故等(注6)の防止のために、消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)に基づき、内閣府特命担当大臣(消費者)及び経済産業大臣に対し、次のとおり建議する。また、この建議への対応について、各大臣に対して、平成28年2月までにその実施状況の報告を求める。

(注1)本建議において、「商業施設」とは、小売業、飲食業及び娯楽業の業務を行う者の事業の用に供される施設を指す。具体的には、ショッピングセンター、家電量販店、書店、飲食店、コンビニエンスストア、遊園地、テーマパーク並びに小売業、飲食業及び娯楽業が主催する屋内外イベント会場等が該当する。
(注2)本建議において、「遊戯施設」とは、子どもが体を動かして遊ぶことを目的とした施設及び遊具を指す。具体的には、屋内遊戯施設(インドアプレイグラウンド)、複合アスレチック、エア遊具、ジャンピング遊具、ボールプール、ぶらんこ、滑り台、シーソー、ジャングルジム、ラダー、砂場、その他これらに類するものが該当する。なお、建築基準法(ジェットコースター等)、電気用品安全法(ゲームセンターの遊戯器具等)、消費生活用製品安全法(玩具等)が対象としている遊戯施設・遊具は含まない。
(注3)本建議において、「重大事故等」とは、消費者安全法第2条第7項に規定する重大事故等をいう。
(注4)「事故情報データバンク」とは、消費者庁が独立行政法人国民生活センターと連携し、関係機関より「事故情報」、「危険情報」を広く収集し、事故防止に役立てるためのデータ収集・提供システム(平成22年4月より運用開始)。なお、消費者からの申出等をもとにしたものであり、事実関係が確認されていない事例も含む。
(注5)本建議において、「事故情報」とは、消費者安全法第2条第5項に規定する消費者事故等のうち、同法第12条第1項及び第2項において、その発生に関する情報を行政機関の長等が得たときは内閣総理大臣に通知することとされている情報をいう。
(注6)本建議において、「消費者事故等」とは、消費者安全法第2条第5項に規定する消費者事故等をいう。

1 商業施設内の遊戯施設における消費者安全に関する取組の強化

(建議事項1)

消費者庁は、商業施設内の遊戯施設において、消費者安全法に基づく消費者事故等が発生していることを踏まえ、経済産業省において、同省所管の商業施設について消費者安全の観点から適切に業振興に取り組まれるよう同省と調整を行うこと。

(理由)

  • 商業施設内の遊戯施設において、事業者が子どもの骨折等の事故防止に向けて十分な安全対策を適切に講ずるためには、行政機関が必要な指導監督を行っていく必要がある。
  • 消費者庁は、消費者安全法第40条第1項及び第2項に基づいて、商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生した場合(当該重大事故等による被害の拡大又は当該重大事故等とその原因を同じくする重大事故等の発生の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合を除く。)において、重大生命身体被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、当該商品等又は役務を供給し、提供し、又は利用に供する事業者に対し、当該商品等又は役務につき、必要な点検、修理、改造、安全な使用方法の表示、役務の提供の方法の改善その他の必要な措置をとるべき旨を勧告、命令することができることとされている。
      したがって、現状においても消費者庁が、問題に一定の対処をすべき立場にあるが、同法が規定するのは個別の重大事故等が発生した場合の当該事業者への措置にとどまるものである。すなわち同法において、全ての事業者に対して安全基準を示し、その遵守を指導するなど消費者の安全確保に関して恒常的に指導監督を行うことが規定されているものではない。
  • 経済産業省は、商鉱工業の発達及び改善に関する基本に関する事務を所掌するとともに、所掌事務に関連する一般消費者の利益の保護に関する事務を所掌しているところであるが、これまで、商業施設内の遊戯施設における消費者事故等の防止に向けた事業者に対する指導監督は行われてこなかったのが実態である。
      しかし、商業施設内の遊戯施設において、骨折等の事故が発生している状況に鑑み、今後は、消費者事故等を防止するための措置を恒常的に講ずる体制を構築するため、経済産業省において、同省の所管する商業施設について、そこに設置されている遊戯施設の運営事業者等に対し恒常的に指導監督を行うことを明確に位置付ける必要がある。
  • 消費者庁は、商業施設内の遊戯施設における消費者安全政策を推進するため、経済産業省が同省所管の商業施設について、消費者安全の観点から適切に業振興に取り組み、遊戯施設の運営事業者等に対する指導監督体制を構築することができるよう、経済産業省と必要な調整を行うべきである。
  • 以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項1に基づく措置を講ずべきである。

2 事故情報の収集

(建議事項2)

経済産業省は、建議事項1における調整の結果、取り組むこととされた商業施設内の遊戯施設における事故情報を適切に収集する仕組みを構築し、収集した情報を消費者安全法に基づき消費者庁へ通知すること。

(理由)

  • 事故情報データバンクには、平成26年度に発生した治療期間が1か月以上の事故は5件(平成20年度から26年度までの7年間では28件)登録されている。
  • 一方、当委員会が商業施設内の遊戯施設を運営する事業者から聞き取り調査を行ったところ、平成26年度に少なくとも88件の骨折等の事故が発生していた。
  • このように、商業施設内の遊戯施設における消費者の事故について、消費者安全法に基づいて消費者庁に集約されている事故情報と、事業者が保有している事故情報との乖離は非常に大きく、現状では消費者庁は事故情報を十分に収集できていないと言わざるを得ない。この理由は、消費者安全法が行政機関の把握した事故情報を消費者庁へ集約する制度であることを踏まえると、商業施設内の遊戯施設の消費者安全について恒常的に指導監督を行う行政機関がないため、事故が発生した場合に事業者から行政機関に事故情報が伝達される仕組みが整っていないことが考えられる。
  • 事故情報は、事故の発生防止を図るための施策の企画立案の基盤となるものである。商業施設内の遊戯施設の事故防止を図るため事業者が保有している事故情報が経済産業省において十分に収集され、また、消費者庁へ通知されることにより、消費者安全の実現のための施策に活かされるとともに、国民に共有される必要がある。具体的には、経済産業省において、事業者から事故情報を収集する仕組みを実効性のあるものとするため、例えば、消費者安全法第12条に規定するものを参考に、事業者に事故情報の提供を要請することが考えられる。
  • 以上を踏まえ、経済産業省は、上記建議事項2に基づく措置を講ずべきである。

3.事故情報の活用

(建議事項3)

経済産業省は、建議事項1における調整の結果、取り組むこととされた商業施設内の遊戯施設における消費者事故等の発生を防止するため、以下の措置を講ずること。

  • (1)関係事業者が遵守すべき安全面に関する基準(ガイドライン、自主基準を含む。)の策定に向けた措置を講ずること。
  • (2)関係事業者と事故情報を共有し、同種の事故に対して予防対策を講ずるよう注意喚起すること。

(理由)

  • 事故情報データバンクに登録されている(平成20年度から26年度まで)治療期間1か月以上の事故(28件)を分析すると、事故の事例は以下のものがあり、その原因は高所からの落下・転落、転倒、飛び降り及び衝突によるものが多かった。
    • 滑り台の出発部から落下し、意識不明の重体になった。
    • 滑り台の階段で転倒し、怪我を負った。
    • ボールプールに飛び込み、足の脛を骨折した。
    • 遊具の送風機に手を入れて指を切断した。
      さらに、当委員会の調査では、商業施設内における遊戯施設において、事故の発生の一因となりうる下記のような状況が認められた。
    • 1人用の遊具を複数の子どもが利用している。
    • 遊具の間隔が狭いため子ども同士がぶつかりやすい。
    • エア遊具から空気が漏れており、空気圧が不足している可能性がある。
    • エア遊具の滑り台の降り口と壁との距離が近く、次に滑る子どもが下にいる子どもと衝突しやすい構造となっている。
  • 現在、商業施設内の遊戯施設の運営事業者等は、独自の安全対策を行っているところもあるが、安全対策の内容に差がみられる。商業施設内の遊戯施設において、適切な安全対策の実施が確保されるためには、例えば、遊戯施設の設計や配置、人数制限、年齢制限、突起処理や空間確保等の環境の整備などに関する一定の安全面の基準を設けることが必要である。その基準は、必ずしも法的基準である必要はなく、経済産業省が策定するガイドラインや業界団体が策定する自主基準でも目的を達成しうるものと考えられるが、その場合、経済産業省は、ガイドラインや自主基準の効果を適宜フォローするとともに、指導監督の根拠法の立法の必要性についても念頭に置きつつ、注視していくべきである。
  • 消費者安全法に規定する消費者事故等に関する情報を共有することで、遊具製造事業者、施設運営事業者、イベント事業者、遊具レンタル事業者及び商業施設の開発事業者(デベロッパー)等の関係事業者は同種の事故に対して予防対策を講ずることができ、商業施設内の遊戯施設における安全の確保に有用であるため、経済産業省は、関係事業者に対して広く情報を共有し、同種の事故に対して予防対策を講ずるよう注意喚起すべきである。
  • 以上を踏まえ、経済産業省は、上記建議事項3に基づく措置を講ずべきである。

4.専ら経済産業省が所管する商業施設内の遊戯施設を除く遊戯施設への安全対応

(建議事項4)

消費者庁は、専ら経済産業省が所管する商業施設内の遊戯施設を除く遊戯施設においても消費者事故等が発生していることを踏まえ、それらの事故防止を図るため、当該施設に係る事故情報の収集・活用が適切に行われるよう、関係行政機関と調整すること。

(理由)

  • 事故情報データバンクに登録された遊戯施設における事故に関する情報によると、専ら経済産業省が所管する商業施設内の遊戯施設を除く遊戯施設(飲食店、公園及び学校の遊戯施設等)でも事故が発生していることが明らかとなっている。これらの施設についても関係行政機関と調整の上、事故情報の収集・活用にすき間がないように対策を講ずる必要がある。
  • 以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項4に基づく措置を講ずべきである。

5.関係行政機関への情報提供及び消費者への注意喚起

(建議事項5)

消費者庁は、遊戯施設において発生した事故情報の適切な活用を図るため、収集した事故情報を、商業施設以外の施設を含め、遊戯施設を設置している事業を所管する関係行政機関に提供すること。
  また、消費者庁は、消費者事故等の防止のため、引き続き、消費者に対して適時適切に注意喚起を行うこと。

(理由)

  • 遊戯施設における事故は、商業施設に限らず、様々な施設(宿泊施設、スポーツ施設及び児童福祉施設等)でも発生する可能性があり、事故情報を共有することで、関連施設は予防対策を講ずることができ、同種の事故の発生を予防できる可能性がある。
  • 消費者への注意喚起については、これまでに消費者庁は平成24年12月に「屋内アミューズメント遊具に関する注意喚起」、国民生活センターは平成25年6月に「商業施設内の屋内遊戯施設における子どもの事故」を公表しているが、今後とも消費者に対して安全に利用するための注意点などについて、注意喚起する必要がある。
  • 以上を踏まえ、消費者庁は、上記建議事項5に基づく措置を講ずべきである。
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