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美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議

2015年7月7日
消費者委員会

消費者委員会では、平成23年12月21日に「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」を発出し、美容医療サービスに関しては、厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣(消費者)に対して、不適切な表示(広告)の取り締まりの徹底及び消費者への説明責任の徹底等を求めた。

この建議を受けて、厚生労働省は、平成24年9月、医療法(昭和23年法律第205号)(以下「法」という。)に関する「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)」(参考資料1参照)(以下「医療機関ホームページガイドライン」という。)を策定した。また、平成25年9月、「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」(参考資料2参照)を都道府県知事、保健所設置市の市長及び東京都の特別区の区長(以下「都道府県知事等」という。)に通知する対策を講じた。

当委員会は平成23年度の建議後、消費者基本計画の検証・評価・監視の機会等を捉え、厚生労働省に対してこれまで講じてきた取組の効果について十分に検証・評価を行い、十分でない点があれば法規制を含め、さらに必要な措置を講ずる必要があるということを再三指摘(注1)してきたところであるが、厚生労働省による検証・評価が適切に行われていない。

また、こうした対策が講じられてからも、美容医療サービスを受ける消費者が増加(注2)する中で、美容医療サービスに関する身体被害を含む消費者トラブルは発生し続けており、全国消費生活情報ネットワーク・システム(注3)(以下「PIO‐NET」という。)に登録された美容医療サービスの相談件数(図1参照)は減少するどころか、当委員会が建議を行った平成23年度に約1,600件であったものが、26年度には約2,600件に増加しており(内訳は、図2参照)、厚生労働省が講じた対策では効果が十分とは言い難い状況にある。

(注1)消費者委員会本会議において、平成24年5月18日、同年7月24日、同年12月4日、25年5月21日、同年11月12日、26年5月27日、27年2月3日、同年3月3日、同年5月26日に審議を行った。
(注2)「医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(厚生労働省)による美容外科を受診した患者数。平成20年130,428人、23年175,485人
(注3)PIO‐NET(パイオネット)とは、国民生活センターと全国の消費生活センターをオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベース

図1 美容医療サービスに関する相談件数の推移
図1美容医療サービスに関する相談件数の推移
(注)PIO‐NETのデータ(データは平成27年5月31日までの登録分。以下同じ。)に基づき、当委員会が作成した。美容医療サービスとは、医療脱毛、脂肪吸引、二重まぶた手術、包茎手術、審美歯科、植毛などの「美容を目的とした医療サービス」を指す。

図2 美容医療サービスに関する相談の内容別分類の推移【複数回答】
図2美容医療サービスに関する相談の内容別分類の推移
(注)PIO‐NETのデータに基づき、当委員会が作成した。

当委員会では、このような経緯から、美容医療サービスに関する消費者問題について平成23年度に発出した建議を土台として、(注4)今回把握した実態を踏まえ、消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)に基づき、厚生労働大臣に対して、次のとおり建議する。

また、この建議への対応について、厚生労働大臣に対して、平成28年1月までにその実施状況の報告を求める。

なお、美容医療サービスに関する消費者トラブルは広告、勧誘、契約、施術前の診療情報の提供及び施術の各段階に起因し、それぞれに課題がある。当事者間の紛争解決のルールなど場面によっては特定商取引法や消費者契約法の規律によって消費者の利益の保護を図るということも考えられるところ、現在、当委員会の下部組織である特定商取引法専門調査会及び消費者契約法専門調査会において、それぞれの法律における規律の在り方についての検討が進められており、これらの法律による手当については本建議の対象とはせず、各専門調査会の審議に委ねることとした。

(注4)本建議に係る調査結果については、本建議に掲載している図を除いては平成23年度の建議及び報告書を参照

1.医療機関のホームページの情報提供の適正化

(建議事項1)

厚生労働省は、医療機関のホームページにおける情報提供の適正化を図るため、医療機関のホームページについて、是正命令や命令に違反した場合の措置等を設けることにより医療機関に対する指導監督の実効性が確保されるよう、法令の改正に向けた検討を行い、以下の措置を速やかに講ずること。

  • (1)法第6条の5の規定に基づき規制の対象とされている「広告」の概念を拡張し、医療機関のホームページも「広告」に含めること。
  • (2)少なくとも法第6条の5第3項の規定に基づき禁止されている「虚偽」の広告並びに同条第4項及び医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9の規定に基づき禁止されている類型(比較広告、誇大広告、広告を行う者が客観的事実であることを証明できない内容の広告及び公序良俗に反する内容の広告)の広告を、医療機関のホームページについても禁止すること。

(理由)

  • PIO‐NETに登録された美容医療サービスに関する相談事例において、美容医療サービスを利用したきっかけとなった媒体として最も多いのは、インターネットにある医療機関のホームページなどの電子媒体である。平成23年度は約6割が電子広告であったが、平成26年度は約8割が電子広告となっており、電子広告の割合が高まっている(図3参照)。

図3 美容医療サービスを利用するきっかけとなった広告媒体
図3美容医療サービスを利用するきっかけとなった広告媒体
(注)PIO‐NETのデータに基づき、美容医療サービスを利用するきっかけとなった広告媒体が判明しているものについて当委員会が作成したもの。なお、「電子広告」はホームページやネット広告等、「雑誌広告」は週刊誌、専門誌等、雑誌に掲載されている広告、「折込広告」は新聞等への折り込みチラシ等のことを指す。

このように、インターネット上のホームページの表示に誘引された消費者の割合が高いことを考えると、インターネットを通じた情報提供の重要性が高まっている。

  • しかし、美容医療サービスについては、医療機関のホームページにおいて、次のように問題のある表示が行われている事例があり、相変わらず改善されていない(参考資料3参照)。
    例1)他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの
    • 「リピート率No.1」と表示しているもの
    • 「アイドル○○さんが選んだ○○法」と表示しているもの

    例2)手術・処置等の効果・有効性を強調するもの
    • 二重瞼の施術前後の比較写真について、施術前は化粧をしていないと思われるが、施術後はアイシャドウやマスカラなどを使用しているもの

    例3)特定の手術・処置等の有効性を強調することにより、有効性が高いと称する手術等の実施へ誘導するもの
    • 「生着率が100%を超えた」旨の表現をしているもの
    • 「100%生体に安全」と表示しているもの
    これらの事例は、医療機関ホームページガイドラインにおいて掲載すべきでないとされているものであり、ガイドラインが機能していないことを示すものである。
    また、広告該当性が厚生労働省により明確化されているバナー広告及びそのリンク先のページ等については、法に基づく広告規制を遵守しているが、それとは別に一見すると同一の内容に見える医療機関のホームページは、法に基づく広告規制及び医療機関ホームページガイドラインにおいて認められていない体験談や比較写真等を用いたコンテンツを掲載している事例もあった。また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)で承認を得ていないため、広告表示できない施術を表示しているものもあった。
  • 厚生労働省は、美容医療サービス等の自由診療を行う医療機関のホームページに掲載されている情報を契機として発生するトラブルを踏まえて、「医療機関ホームページガイドライン」を策定した。
    しかし、上述のように医療機関ホームページガイドラインが遵守されておらず、同ガイドラインの実効性が確保されていないのは、医療機関のホームページが法に基づく広告規制の対象とされておらず、不適切な情報提供が行われていたとしても、改善措置を命ずるなどの法律上の措置がないためと考えられる。
  • 厚生労働省は、医療機関のホームページを原則として広告規制の対象としていないことについて、患者や国民に対する医療情報の提供を一層推進していく必要があるためと説明(注5)している。そのこと自体は当委員会として否定するものではないが、情報提供を推進するというときの情報は、あくまで質が良い適正な情報でなければ意味がないのであり、その意味では情報提供の推進という大目標のためにも、医療機関のホームページに対する法的規制が必要である。
  • 厚生労働省は、バナー広告及びそのリンク先のページ等については広告であるが、医療機関のホームページについては広告の定義(参考資料1参照)の一つである認知性の要件を満たさないとして、広告とみなしていない。しかし、実際はバナー広告から閲覧するか検索エンジンから閲覧するかの違いであり、医療機関が不特定多数の人間に対して示している治療内容ということには変わりなく、あえて区別をする必要性はないと考えられる。
  • したがって、医療機関のホームページについて法に基づく「広告」として取り扱うべきであると考える。
    医療分野における「広告」一般の概念の拡張を速やかに行うことができない場合、少なくとも法及び医療法施行規則(注6)で禁止されている「虚偽」の広告並びに比較広告、誇大広告、広告を行う者が客観的事実であることを証明できない内容の広告及び公序良俗に反する内容の広告を、医療機関のホームページについても禁止することとなるように、具体的には、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の例(注7)にあるように、規制の対象として、「広告」の他に「記述」又は「流布」の概念を加えるなどの法令の改正に向けて速やかに措置すべきである。
(注5)第192回 消費者委員会本会議(平成27年5月26日開催)
(注6)法第6条の5第3項並びに同条第4項及び医療法施行規則第1条の9
(注7)第66条
  • なお、厚生労働省は、美容医療サービスに係るインターネットによる情報提供の適正化を図るためとして、平成27年5月26日の消費者委員会本会議において、新たな対応案について説明を行った。
    その内容は、広告に該当するか否かに関わらず、患者や国民に対して虚偽又は誇大な表示や説明等を行うことは、法第28条及び第29条における「医事に関する不正行為」に該当するおそれがあることを明確化し、監視・指導を強化するというものである。厚生労働省はこの対応案により、医療機関ホームページガイドラインの「関係団体等による自主的な取組を促す」という指導監督の姿勢から転換し、上記の「不正行為」があったときには、管理者の変更命令(第28条)や病院等の開設の許可の取消又は期間を定めての閉鎖命令(第29条)という処分の対象となり得ることを明確にすることにより、今後、都道府県、保健所設置市及び東京都の特別区(以下「都道府県等」という。)がこの規定を根拠に法第25条の規定に基づく報告の徴収、立入検査を行い、必要な指導監督を行えるようにするとしている。
    医療機関ホームページガイドラインには強制力がなく、より実効性のある規制が必要であり、その観点では、上述の厚生労働省の新たな対応案も一定の効果を期待し得るものではある。
    しかし、こうした措置だけでは規制の十分な実効性を確保できないものと考えられる。法第28条及び第29条は、管理者の変更命令及び病院等の開設許可の取消という非常に重い処分を課すものであり、実際に適用されていくのかについて懸念が残る。これに対して、法第6条の5の規定に基づく広告規制においては、都道府県知事等は、同条に違反しているおそれがあると認めるときは、「当該広告を行つた者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、当該広告を行つた者の事務所に立ち入り、当該広告に関する文書その他の物件を検査させることができる」(法第6条の8第1項)こととされ、さらに「違反していると認める場合には、当該広告を行つた者に対し、期限を定めて、当該広告を中止し、又はその内容を是正すべき旨を命ずることができる」(同条第2項)こととされており、より実効性があるものと考えられる。このように、医療機関のホームページによる情報提供について規制を行うに当たっては、適正な情報を消費者に提供するための方策を考える必要がある。そのためには改善命令などができるような規制の枠組みというものを新たに考えていくべきである(注8)。
  • 以上を踏まえ、厚生労働省は、上記建議事項1に基づく措置を講ずべきである。
(注8)法第6条の5第3項の規定に違反して内容が虚偽にわたる広告を行った者については、法第6条の8第2項の規定に基づく是正命令の対象とはなっておらず、法第73条第1号の規定に基づく刑事罰の対象となっており、ホームページの記載が虚偽にわたる場合についてもこれに倣うことが適当と考えられる。

2.事前説明・同意の適正化

(建議事項2)

厚生労働省は、消費者が美容医療サービスについてそのリスクなどを正しく理解した上で、施術を受けるかどうかの判断を行えるようにするため、以下の措置を講ずること。

  • (1)都道府県等に対し、事前説明・同意に関する厚生労働省の通知の解釈や指導の基準(Q&A等)を速やかに示した上で、都道府県等による指導を通じ、美容医療サービスを行う医療機関に対して、患者に対する施術前の説明を適切に行い、患者の理解と同意を得た上で施術を行うべきこと、消費者トラブルの原因となりやすい即日施術を厳に慎むべきことを徹底すること。
  • (2)都道府県等と連携して、消費者に対し、美容医療サービスを受けるに当たって注意すべき事項について、医療機関にチラシを備え置くなどの方法により注意喚起すること。

(理由)

  • 美容医療サービスにおける事前説明・同意に関する相談の状況(図4参照)を見るため、美容医療サービスに関する相談のうち、「説明不足」と「虚偽説明」を抽出した。これら二つを合計した件数は、平成23年度には443件であったものが、26年度には760件に増加している。

図4 美容医療サービスにおける事前説明・同意に関する相談件数【複数回答】
図4美容医療サービスにおける事前説明・同意に関する相談件数
(注)PIO‐NETのデータに基づき、当委員会が作成した。

国民生活センターが公表した資料(注9)及びPIO‐NETに登録された相談事例(参考資料4参照)に以下のようなものも見られた。

(注9)第185回消費者委員会本会議(平成27年3月3日開催)「美容医療サービスに関する相談の概要」
  • 例1)即日施術を受けるかどうか熟慮するための十分な時間を与えないもの
    • カウンセラーから「ダウンタイム(注10)ゼロのとても良い治療がある」と勧められ、術前・術後の写真を数枚見せられた。当時、しわ等は気にしていなかったが、写真を見るととても効果があるように思えたので、費用を聞くと「普段は200万円だが、今日治療すればキャンペーン適用で60万円」と言われた。昼時だったので食事に出てからゆっくり考えようと思ってその旨を伝えたが「手術前に食事などとんでもない」と言われ、そのまま手術を受けることになった。
  • 例2)施術の安全性に係る説明が丁寧に行われていないもの
    • カウンセリングの担当者が「痛みはない。私も受けた。その日に友人と飲みに行った」と言っていたが、実際は麻酔中も痛く、頭の中まで糸を通すのが分かった。腫れは2~3日で引いたが、こめかみから頭にかけてズキズキ痛み、今でも時々痛み、市販の薬を飲んでいる。
  • 例3)施術の有効性及び安全性に係る説明に当たって、個人差がある旨が説明されていないもの
    • 「リフトアップをすれば永久的に効果が持続するので、今後美容整形にお金をかける必要はない。痛みもダウンタイムもない」との説明を医師から受けたが、実際に施術を受けてみると、手術後、効果はないが、こめかみや頬に痛みが強く何も食べられない状態が続き、内出血も引かなかった。
  • 美容医療サービスは侵襲性を有する施術を行うことから、患者の十分な理解と同意を得た上で行われるべきものであるが、上記に示したように、実際には不適切な説明や説明不足により、消費者はリスクの少ない施術であると誤認し、十分な情報を得られない状態で施術を受ける判断をすることが、被害につながっている。
(注10)施術から回復するまでの期間
  • 厚生労働省は、平成25年に「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」を都道府県知事等に通知している。この通知においては、「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントに関して特に留意すべき事項」として5項目を示している。上記の事例は事前説明・同意に関する厚生労働省の通知が機能していないことを示すものである。
    また、当該通知の内容を見ると、「品位を損ねる又はそのおそれがある情報及び方法を用いて説明してはならない」、「当該施術を受けようとする者に対して、丁寧に説明しなければならない」というように、抽象的な表現が散見され、具体的に何をすべきなのか、何をしてはいけないのかが不明確なものとなっている。
    消費者にとって美容医療サービスは施術を受ける緊急性が低い一方で、一度施術を受けると場合によっては回復できないリスクがあることなどを正しく理解した上で、施術を受けるかどうかの判断を行えるようにする必要がある。都道府県等に対し、事前説明・同意に関する厚生労働省の通知の解釈や指導の基準(Q&A等)を速やかに示した上で、都道府県等による指導を通じ、美容医療サービスを行う医療機関が、患者に対する施術前の説明を適切に行い、患者の理解と同意を得た上で施術を行うべきこと、消費者トラブルの原因となりやすい即日施術を厳に慎むべきことを徹底すべきである。
  • また、消費者に対しては、
    • 目先の広告やインターネット上の情報を鵜呑みにしないこと
    • 施術の内容や時期、後遺症などを含めて診療に係る情報について納得が行くまで医師から説明を受けること
    • 説明を理解した上で施術を受けるか否かの判断をすべきこと
    • 美容医療サービスは施術を受ける緊急性が低いことを踏まえ、即日施術 を避けるべきこと
    について、厚生労働省が都道府県等と連携して医療機関にチラシを備え置くなどの方法により注意喚起すべきである。
  • 以上を踏まえ、厚生労働省は、上記建議事項2に基づく措置を講ずべきである。

3.苦情相談情報の活用

(建議事項3)

厚生労働省は、美容医療サービスに係る法令やガイドラインに違反等する事例を適切に把握し、都道府県等が医療機関に対する指導監督を効果的に行えるようにするため、PIO‐NETや都道府県等に置かれている医療安全支援センターに蓄積された情報の活用を図るとともに、医療安全支援センターの相談窓口が活用されるよう、消費者に周知を図ること。

また、行政手続法に基づき、国民が、法令に違反する事実を発見した場合に、行政機関に対し、それを是正するための処分や行政指導を求めることができる仕組みについても活用を図ること。

(理由)

  • 都道府県等が美容医療サービスに係る法やガイドラインに違反等する例を把握するきっかけとして、消費者からの苦情相談が重要な役割を果たすと考えられる。
    苦情相談情報の入手元としては、PIO‐NETや都道府県等に置かれている医療安全支援センターが有力であるが、厚生労働省においてはそれらの活用が十分でなく、適切な実態把握のためには、PIO‐NETや医療安全支援センターに蓄積された情報を収集し活用を図るべきである。
    また、医療安全支援センターの相談窓口が一層活用されるよう、同センターにおいて患者等の相談を受け付けていることについても周知を図るべきである。
  • この他、平成26年6月に改正(27年4月1日施行)された行政手続法においては、国民が、法令に違反する事実を発見した場合に、行政機関に対し、それを是正するための処分や行政指導を求めることができる仕組みが設けられた。申出を受けた行政機関は、必要な調査を行った結果、必要があると認めるときは、その処分又は行政指導を行うこととされており、こうした仕組みが消費者に周知され活用されるよう広報にも注力すべきである。
  • 以上を踏まえ、厚生労働省は、上記建議事項3に基づく措置を講ずべきである。

4.執行体制

なお、以上で述べた対応を含めて、美容医療サービスの諸問題に適切に対応するためには、厚生労働省及び都道府県等における指導監督の執行体制にも目を向けるべきである(注11)。

医療機関のホームページに対する規制を強化する場合、ホームページによる被害は都道府県を超えて広域に及ぶことが通例であるため、国は地方自治体に対する技術的助言だけではなく、調査、指導権限を強化することが必要である。そのために、厚生労働省及び都道府県等の役割分担(注12)、都道府県等の医療監視に従事する職員の専門性の確保、人員配置について必要に応じて見直し・強化を図るべきであることを付言しておく。

(注11)国においては厚生労働省が法を所管し、都道府県知事等に対して技術的助言を行っている。広告規制に係る法執行については、その医療機関を管轄している都道府県等に置かれた医療監視員が、報告徴収や立入検査を行い、必要に応じて指導、さらには指導に応じない場合には是正を命ずることにより、その実効性を確保する役割を担うという体制になっている。
その人的体制を見ると、厚生労働省においては、美容医療サービスに関する業務に携わっている職員は1人しか配置されていない。また、都道府県では、東京都の場合、保健所等に医療監視員が配置されているが、このうち保健所に配置されている専任の医療監視員は1保健所当たり3人程度となっている(平成25年4月1日現在)。いずれも、美容医療サービス以外の診療科を有する管轄区域内の病院及び診療所全体に対する医療監視を担っている。
なお、法第6条の11の規定に基づき、都道府県等は、医療安全支援センターを設けるよう努めることとされており、医療に関する苦情・心配や相談に対応するとともに、医療機関、患者・住民に対して、医療安全に関する助言及び情報提供等を行っている。苦情については、必要に応じて指導監督権限を有する行政機関に連絡し、当該行政機関が対応する体制になっている(全国の医療安全支援センターの配置状況及び相談件数については参考資料5参照)。
(注12)地方公共団体のみに与えられていた権限について、国も自ら権限行使を行えるように見直した例がある。建築基準法では、建築物の事故等に対する調査体制の強化のため、従来、特定行政庁にのみ与えられていた調査権限について、国が自ら必要な調査を行えるようにする改正を行っている(建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号))。
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