内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  活動・白書等  >  審議会・懇談会等  >  消費者委員会  >  建議、提言、意見、答申及び報告書  >  2014年  >  クレジットカード取引に関する消費者問題についての建議

クレジットカード取引に関する消費者問題についての建議

2014年8月26日
消費者委員会

クレジットカード取引に係る消費者からの相談の件数(注1)は、全国消費生活情報ネットワーク・システム(以下「PIO-NET」という。)(注2)によれば、平成16年度から平成25年度までの間に約3.2倍に増加している。また、全ての相談件数に占めるクレジットカード取引に係る相談件数の割合も年々上昇しており、平成25年度は全体の5.3%を占めている。

また、クレジットカード会社と販売業者及び役務提供事業者(以下「販売業者等」という。)との間で立替払い等を行う決済代行業者(注3)が介在することが多くみられる等、取引の複雑化、重層化が進展している。こうした取引の複雑化、重層化は、クレジットカード取引の一層の普及に資するものであったと思われるが、他方で、消費者に被害が生じた際には、利害関係者が多いため、その解決をより難しいものとしていると思われる。

このような中、インターネットによる通信販売取引の急速な普及に伴い、クレジットカードの利用が進んでおり、消費者が安心してクレジットカードを利用できる環境を整備することの重要性も一層高まっている。

当委員会は、以上の問題意識の下、クレジットカード取引に関する消費者問題が発生している原因や背景を探るべく、調査審議を行ってきた。
 その結果、マル1販売業者等(加盟店)の悪質な行為が原因であると考えられるトラブルが多く、加盟店の管理についての制度が、上述した取引の複雑化、重層化に十分対応してきていない、マル2消費者トラブルが急増している翌月一括払いの取引について、制度上の問題があり、被害が発生した際の事業者の不十分な対応につながっている、マル3クレジットカード取引に関する消費者への情報提供等について改善の余地があると考えられる。

当委員会は、こうした調査結果を踏まえ、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣(消費者)に対して、次のとおり、消費者庁及び消費者委員会設置法に基づき建議する。また、この建議への対応について、各大臣に対して、平成27年2月までにその実施状況の報告を求める。

(注1)本資料におけるPIO-NETのクレジットカード取引に関する相談件数は、割賦販売法第2条第3項の包括信用購入あっせんと与信期間が2か月未満の販売信用に該当するもの。平成21年度以前は、「総合割賦」と「翌月一括・ボーナス一括」に該当する件数である。
(注2)全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET(パイオネット))とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているシステムである。
(注3)販売業者等に代わってアクワイアラーと決済データ、顧客データ等の授受、管理等を行う情報処理業務やクレジットカードの取扱いを希望する販売業者等をアクワイアラーに紹介する業務を専ら行う事業者は含まない。以下同様。

1.加盟店の管理の徹底に係る制度整備

(建議事項1)

経済産業省は、クレジットカードを利用した取引における加盟店の悪質な行為を原因とする消費者被害の発生・拡大防止及び回復を図るため、加盟店の管理の徹底に係る以下の制度整備に向けた措置を講ずること。

  • (1)加盟店契約会社(アクワイアラー)及び決済代行業者に対し、割賦販売法における義務付けを含む、加盟店の管理の実効性の向上のための措置を講ずること。
  • (2)上記のアクワイアラー及び決済代行業者について、行政への登録等を義務付け、行政調査権限を規定すること。

(理由)

  • PIO-NETに登録されたクレジットカードを利用した取引における相談内容をみると、「契約・解約」(平成25年度は約4万4千件)、「販売方法」(平成25年度は約2万7千件)に関する相談が多い。「契約・解約」及び「販売方法」の詳細を見ると、「連絡不能」、「不当請求」、「説明不足」、「詐欺」、「約束不履行」、「虚偽説明」、「強引・強迫」、「無料商法」、「商品未着」等が多く、販売業者等の悪質な行為が原因であると考えられるトラブルが多い。
  • カード発行会社(イシュアー)には、割賦販売法において、苦情発生時の調査が義務付けられているものの、加盟店と直接加盟店契約を結んでいるアクワイアラーには、調査義務は課せられていない。また、加盟店契約時の審査や契約後のモニタリングについての義務は規定されていない。
  • しかし、消費者相談の現場からは、現在一般的にみられるように、イシュアーとアクワイアラーが異なる事業者である場合、イシュアーは加盟店との間に直接の契約関係がなく、悪質な加盟店について、十分な原因究明、調査等が行われていない場合があるという実態が聞かれる。
  • 決済代行業者が介在した取引におけるトラブルについては、悪質な販売業者等が、加盟店管理を十分に行わない海外のアクワイアラーと契約する決済代行業者を経由することにより、クレジットカード取引を行っているケースが多い。
  • イシュアーが苦情発生時に調査する場合には、決済代行業者の傘下の販売業者等について、決済代行業者を通じて(あるいは、アクワイアラー及び決済代行業者を通じて)調査することとなり、これらの事業者による調査の実施や協力が不可欠であるが、現行法では何らの規定がないため、アクワイアラーや決済代行業者が調査の実施や協力を行わなくとも、法令違反にはならない。
  • アクワイアラーや決済代行業者は、加盟店と加盟店契約等を結び、手数料を得ている。したがって、加盟店が不当な販売行為等により利益を得た場合、その一部をアクワイアラーや決済代行業者も受領していることになるため、加盟店の行為についての消費者からの苦情に対して、アクワイアラーや決済代行業者は調査を行う等、真摯に対応するべきである。
  • このため、アクワイアラーや決済代行業者に対し、割賦販売法における義務付けを含む、加盟店の管理の実効性の向上のための措置を講ずる必要がある。なお、措置の検討に際しては、苦情発生時の調査等の義務付けのほか、加盟店契約時の審査や契約後のモニタリングの義務付け等も含めて、検討する必要がある。
  • また、これらの措置が適切に実施されているかどうかを行政が確認し、必要な対応をとることを可能とするために、これらのアクワイアラー及び決済代行業者の登録等を義務付け、行政調査権限を規定する必要がある。
  • 以上を踏まえ、経済産業省は、上記建議事項1に基づく措置を講ずべきである。

2.翌月一括払い(マンスリークリア)の取引における抗弁の接続等の制度整備

(建議事項2)

経済産業省は、翌月一括払い(マンスリークリア)の取引における消費者被害の防止及び回復を図るため、二月払購入あっせん取引(注4)(翌月一括払い(マンスリークリア)の取引)について、包括信用購入あっせん取引と同様の抗弁の接続等の制度整備に向けた措置を講ずること。

(理由)

  • PIO-NETに登録された二月払購入あっせん取引(翌月一括払い(マンスリークリア)の取引)に係る消費者からの相談の件数(注5)が急増しており、平成24年度以降、包括信用購入あっせん取引に係る相談件数を上回り、平成25年度は約3万件に上っている。
  • PIO-NETによれば、相談の内容が、「不当請求」、「詐欺」、「約束不履行」、「虚偽説明」、「商品未着」、「無断契約」のいずれかであるもの(注6)の件数は、包括信用購入あっせん取引ではほぼ横ばいで推移しているのに対し、二月払購入あっせん取引では急速に増加し、平成25年度は約9千件に上っている。
  • 包括信用購入あっせん業者には、割賦販売法において、開業規制(登録制度)、過剰与信防止義務、書面交付義務、苦情処理等の行政規制及び支払停止の抗弁制度等の民事ルールが定められている。
  • 支払停止の抗弁制度は、販売業者等からの商品の引渡しがない等の場合に、購入者等は、販売業者等との間で生じている事由をもって、支払の請求をする包括信用購入あっせん業者に対抗すること(いわゆる「抗弁の対抗」又は「抗弁の接続」)ができることとしたものである(注7)。
  • 二月払購入あっせんについては、割賦販売法に基づく規制はクレジットカード情報(会員番号等)の管理義務のみである。
  • 消費者相談の現場からは、苦情発生時には、イシュアーの自主的対応により一時的には支払請求を止める対応をとることがあるが、イシュアーは消費者に対し、トラブル解決そのものについては直接アクワイアラー、決済代行業者、販売業者等と交渉するよう求め、交渉の結果、イシュアーが指定した一定期間内に解決に至らないと、イシュアーは請求を再開し、消費者が支払うことになるという実態が聞かれる。また、そもそもイシュアーが一時的にも請求を留保しない場合もあるという実態も聞かれる。
  • 消費者相談の現場からは、消費者が分割払いを選択しても、加盟店が、一括払いを複数回行う契約形態を取り、割賦販売法の規制を逃れるケースがあるという実態が聞かれる。
  • 翌月一括払いの場合でも、途中でリボルビング方式による支払い又は分割払いに変更できる取扱いがされているクレジットカードもあるが、変更された場合には規制の対象となる。このように、翌月一括払いとリボルビング方式による支払い又は分割払いとの差異は絶対的なものではない。それゆえ、これらの間で抗弁の対抗に違いを設けるべきでない。
  • 一つのクレジットカードの使用において、支払回数等によって規制の対象となるのかどうかが異なることは、消費者の納得を得られないものと思われる。
  • 翌月一括払いの取引は、イシュアーのカード会員に対する債権が販売契約等との関連性を有すること、与信としての性質を有すること等、包括信用購入あっせん取引との類似性が大きいと考えられる。
  • カード会社は、加盟店から直接又は間接に手数料を得ており、また、加盟店でカードを利用できることを消費者に約束してカードは発行されているので、加盟店の悪質な行為を原因とする被害については、加盟店のみならず、カード会社側も対応するべきである。
  • このため、翌月一括払いの取引においても、消費者被害を最小限に抑えるため、決済期間が2か月以上の取引と同様の規制(抗弁の接続)が必要である。
  • 以上を踏まえ、経済産業省は、上記建議事項2に基づく措置を講ずべきである。
(注4)クレジットカードの利用から2か月以内に利用者がクレジット会社への支払いを完了することが予定されているクレジットカード取引。
(注5)与信期間が2か月未満の販売信用に該当する件数。
(注6)これらについては、購入者等が立証した場合には、包括信用購入あっせん取引では割賦販売法における抗弁の接続の対象となるものもあると考えられる。
(注7)分割方式については支払総額が4万円未満、リボルビング方式については現金販売(提供)価格が38,000円未満の場合には、適用はない。

3.クレジットカード取引に関する消費者教育及び情報提供等の充実

(建議事項3)

消費者庁及び経済産業省は、消費者自らによるクレジットカード取引における被害の発生・拡大防止及び回復等を図るため、以下の措置を講ずること。

  • (1)消費者庁及び経済産業省は、クレジットカードの利用に関する知識について消費者教育及び消費者への情報提供を一層積極的に推進すること。その際、消費者が被害の拡大防止や回復を図る際に有用と思われる知識について、分かりやすく周知すること。
  • (2)経済産業省は、クレジットカード業界団体に対し、チャージバックルール(注8)が適切に運用されるよう、要請すること。
  • (3)経済産業省は、カード交付時やカード利用時における利用者への書面の交付の機会等を捉え、リボルビング方式による支払いの仕組みやリスクについて、より分かりやすく消費者に情報提供するよう、カード発行会社に要請すること。

(理由)

  • クレジットカードの利用に関する知識について、関係省庁や消費者団体、事業者等などが、資料の提供や研修の開催を行ったり、個別に消費者が問い合わせ可能な相談窓口を設置しているが、リボルビング方式による支払いに関する情報提供はあまり見られない。また、消費者が被害の拡大防止や回復を図る際に有用と思われる知識についての分かりやすい情報提供は、他の情報と比較すると非常に少ない状況である。
  • 消費者相談の現場からは、イシュアーは、チャージバックの条件に適合している場合であっても、簡単には申請してくれないことがあり、また、イシュアーの担当者がチャージバックルールを知らないことがあるという実態が聞かれる。
  • チャージバックルールは、イシュアーとアクワイアラー(及び加盟店)との間での責任関係を明確にしたものであり、消費者被害の救済のための制度ではないとされているが、結果として、被害の回復、悪質業者の排除及び被害の再発防止につながると考えられることから、適切に運用されるべきである。
  • PIO-NETに登録されたリボルビング方式による支払いに関する相談件数(注9)は、年々増加している。特に、改正貸金業法が平成19年度から平成22年度にかけて段階的に施行された時期に、急速に増加している。
  • イシュアーがカード発行時や利用時に利用者に交付する書面において、リボルビング方式についての説明が記載されていても、そのリスクの特性等についての詳細な説明は記載されていないのが一般的である。
  • このため、クレジットカードの利用に関する知識について、消費者教育及び消費者への情報提供を一層推進する必要がある。その際、消費者が被害の拡大防止や回復を図る際に有用と思われる知識について、分かりやすく周知する必要がある。
  • 特に、カード発行会社は、カード交付時やカード利用時における書面の交付の機会等を捉え、トラブル防止の観点からリボルビング方式による支払いの仕組みやリスクについて、より分かりやすく消費者に情報提供することが望ましい。
  • 以上を踏まえ、消費者庁及び経済産業省は、上記建議事項3に基づく措置を講ずべきである。
(注8)国際ブランドのルールであり、イシュアーが、カード利用者からのクレームに対し返金を行い、当該クレームが国際ブランドが規定する事由に該当する場合、清算された資金をアクワイアラーから回収することが許されるというもの。
(注9)クレジットカードのショッピング利用で、リボ払い(リボルビング方式による支払い)を利用している(利用予定を含む)と分かった相談のうち、「リボ払いの手数料が高い」などの「金利・利息」「手数料」、「リボ払いについての説明が足りなかった」などの「説明不足」、支払困難に陥っている「多重債務」の相談のものを指す。
内閣府 Cabinet Office, Government of Japan消費者委員会事務局
〒100-8970 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎4号館8階
電話番号(直通):03-3581-9176