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消費者基本計画の改定素案(平成25年4月)等に対する意見

2013年5月28日
消費者委員会

 当委員会は、消費者基本計画(以下、「計画」という。)の検証・評価及び見直しに係る関係省庁等の作業に先立つ本年2月26日に「消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しに向けての意見」を取りまとめ、本意見の内容を可能な限り改定計画に反映することを求めてきた。
 今般とりまとめられた計画の改定素案には、(i) 「消費者力向上の総合的支援」、(ii) 「地域力の強化」、(iii) 「消費者の信頼の確保」による3つの柱立ての下、18項目からなる重点施策が新たに示されており、当委員会が上記意見において指摘した課題の多くが重点施策として位置づけられている。また、従来からの具体的施策等の見直しにも上記意見の趣旨が一定程度反映されており、当委員会としては、今般の計画の改定素案等の内容について、総じて高く評価するものである。
 その上で、当委員会としては、この5月に計3回にわたって行った関係省庁等からのヒアリング結果や、今後、計画に基づく取組をより効果的に推進するための課題等を踏まえ、計画の改定素案等に対して、下記の通り意見を述べる。関係省庁等におかれては、計画の原案の取りまとめに向けて、下記の各項目について検討の上、修正・追加等が必要なものについては計画の重点施策や具体的施策等に反映されたい。あわせて、本年2月26日付け当委員会意見に盛り込んだ各項目についても再度検討を行い、同様の対応をとられたい。
 当委員会としては、本意見の計画への反映状況やその後の実施状況等について引き続き監視を行い、消費者被害の状況が深刻なものや取組が不十分と考えられるもの等については、計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリング等の場で改めて取り上げていくとともに、必要に応じて建議・提言等を行っていくこととする。



1.改定計画全般に関する事項

 今般の計画の検証・評価及び見直しにおける最大の課題は、(i) 計画におけるこれまでの取組を総括的に検証・評価し、(ii) 平成26年度末までの計画期間中の重点施策を示すことにあることを踏まえ、以下の事項について検討の上、必要な修正・追加等を行われたい。

(i) 総括的な検証・評価」の拡充

 改定計画とあわせて作成されている「施策別整理表」には、計画の具体的施策に関する実施状況等が記載されているが、その記載内容については施策ごとに濃淡があり、計画におけるこれまでの取組の総括的な検証・評価としては必ずしも十分でないものも見受けられる。計画を起点とするPDCAサイクル(注1)を回していくためには、取組の進捗や成果、課題等についての検証・評価とそれを踏まえた取組の改善が極めて重要であることから、不十分なものについては記載内容を拡充し、今般の計画見直し結果の根拠を十分に説明されたい。

(注1) 計画(Plan)、実行(Do)、検証・評価(Check)、改善(Act)の4段階を繰り返すことによって、事業の継続的な改善を図ること。

(ii) 重点施策の実施工程の具体化等

 今般の改定計画で新たに盛り込まれた重点施策については、平成26年度末までの計画期間中の年度ごとの実施工程が明示されたことが評価されるが、概括的な記述にとどまるものが多く、当事者以外には具体的な取組内容が判然としないのではないかとの懸念が残る。重点施策についての今後の取組方針を明確化するため、その実施工程をより具体的かつ分かりやすく記載されたい。


2.個別施策に関する事項

(1) リコール情報の周知・徹底(重点施策1、施策番号7関係)

  • 改定計画に盛り込まれた施策について、優先順位を明確化した上で取組の速やかな具体化を図るとともに、施策の進捗や効果について継続的に検証を行い、取組のさらなる改善に努められたい。(消費者庁、経済産業省、関係省庁等)

(2) 自動車リコール(重点施策1、施策番号8関係)

  • 消費者の安全確保の観点から、改定計画に盛り込まれた再リコール事案における技術検証の的確な実施、並びに自動車メーカー等が行うリコール業務への監査等を通じた適切な確認・指導等の取組を徹底されたい。(国土交通省)

(3) 食品と放射能に関するリスクコミュニケーション(重点施策2、施策番号21、21-2関係)

  • 消費者に正しい知識や理解に基づく合理的な選択を促すためには、信頼できる正確な情報を徹底的に開示することが取組の基本となることに十分留意した上で、施策を推進されたい。(消費者庁、食品安全委員会、外務省、厚生労働省、農林水産省、復興庁)

(4) 公共料金(重点施策4、施策番号67-2関係)

  • 当委員会の公共料金等専門調査会で行われている公共料金の在り方に関する調査審議の成果も踏まえ、公共料金決定過程の実質的な消費者参画の確保、透明性の確保及び料金適正化の確保に向け、具体的なスケジュールを示しつつ、その取組を強化していく旨を明記されたい。(消費者庁、各公共料金等所管省庁)

(5) 健康食品の表示等(重点施策6、施策番号76、77関係)

  • 当委員会の「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」(平成25年1月)を踏まえ、健康増進法、景品表示法等の執行強化に向けた取組等、改定計画に盛り込まれた施策を速やかに実施されたい。また、健康食品の機能性の表示を検討する場合には、適切な科学的手法による機能性の評価、正しい情報提供及び十分な消費者理解を十分確保するものとされたい。(消費者庁、厚生労働省)

(6) 消費者教育・啓発(重点施策7、施策番号87、87-2、90、92、93、94、95、96、97、98関係)

  • (i) 現在、政府が策定を進めている「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(以下、「基本方針」という。)に基づく取組を改定計画に位置づけるとともに、現時点で基本方針案に盛り込まれなかった具体策についての検討スケジュールを可能な限り明確化されたい。
  • (ii) 基本方針の策定を受けて、今後、各地方自治体等において「消費者教育推進計画」の策定や地域協議会の設置・運営等の取組が本格化することを踏まえ、地方消費者行政の充実・強化策との連携を図りつつ、国が地方自治体等における取組を積極的に支援する旨をより明確に記述されたい。
    (以上、消費者庁、文部科学省、関係省庁等)

(7) 地方消費者行政(重点施策10、施策番号121・122関係)

  • 当委員会の地方消費者行政専門調査会で行われている地方消費者行政の現状分析や国・都道府県・基礎自治体の役割分担に関する調査審議の成果も踏まえ、地方消費者行政が中期的に目指すべき姿や国からの支援のあり方等について引き続き検討されたい。(消費者庁、関係省庁等)

(8) エステ・美容医療(重点施策14、施策番号39、39-2、39-3、153-3関係)

  • (i) 「医療機関のホームページに関するガイドライン」の遵守状況について、平成25年度中に一定の改善が見られない場合には、美容医療機関等のホームページにおける表示を医療に関する広告とみなすなどの法規制も含めた表示適正化の実効性を担保するための措置を検討する旨を明確に記述されたい。
  • (ii) 美容医療サービス等における消費者(患者)への事前説明(消費者取引に関する内容を含む。以下同じ。)や同意に係る消費者トラブルの実態把握と分析を速やかに実施するとともに、必要に応じ消費者庁と協力しつつ、美容医療サービス等に係る事前説明の内容やその方法を具体的に示した指針の策定について検討する旨を明確に記述されたい。
    (以上、厚生労働省)
    (なお、本件については、当委員会において引き続き検討することとしたい。)

(9) 詐欺的投資勧誘対策(重点施策16、施策番号41、48、49、51、60、60-2、60-3、62、64、66、153-2関係)

  • (i) 高齢者等を狙った詐欺的な投資勧誘による被害の未然防止・拡大防止、被害回復の迅速化を図るため、下記の事項に積極的に取り組むことを明確化されたい。
    • ・金融商品取引法、刑法、特定商取引法、消費者安全法等の厳正な執行を行うこと。(消費者庁、金融庁、警察庁)
    • ・携帯電話不正利用防止法、犯罪収益移転防止法、振り込め詐欺救済法の運用強化等による詐欺的投資勧誘に係る犯罪ツール対策を強化すること。(警察庁、金融庁、総務省、法務省、経済産業省、国土交通省)
  • (ii) 特定商取引法について、指定権利制を含む諸課題の検討を進められたい。(消費者庁、関係省庁等)
    (なお、本件については、当委員会において引き続き検討を行い、意見表明を行う予定である。)

(10) 有料老人ホーム等(重点施策17、施策番号58、58-2、173関係)

  • (i) 有料老人ホーム等における入居一時金については、想定居住期間等の実態を把握し、償却についての透明性をさらに高めるための方策について、早期に検討を進める旨を明記されたい。(厚生労働省)
  • (ii) 改定計画に盛り込まれた有料老人ホーム等におけるスプリンクラー等の消防用設備等の実態を踏まえた検討を速やかに行い、必要な対策を講じられたい。(総務省(消防庁)、厚生労働省)

(11) 住宅リフォーム(施策番号55、56、104、117関係)

  • (i) 住宅リフォーム工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じた工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにした見積りを実施し、見積書を交付することについて、義務化することも含めて検討されたい。
  • (ii) リフォーム工事の瑕疵発生防止及び当該工事に瑕疵があった場合における瑕疵担保責任の履行確保を図る観点から、リフォーム瑕疵保険制度の普及への取組をさらに強化されたい。
    (以上、国土交通省)

(12) 情報通信分野における個人情報保護(施策番号176関係)

  • 事業者がパーソナルデータ(個人に関する情報)を取得する際には消費者から適正な同意を得ること、また、取得した情報を匿名化して利用・流通させる場合には、それが個人情報保護法上の個人情報には該当しないという点をモニターし、担保することが重要である。それらの実効性を担保する仕組み等についても、関係省庁が連携を図り、個人情報保護法の在り方の見直しを含め、さらに検討を進められたい。(総務省、経済産業省、内閣官房、消費者庁及び関係省庁等)

3.今後の課題

(1) 新計画の策定に向けた基本的な検討への着手

 現行計画の計画期間は平成26年度末までとなっており、消費者行政を切れ目なく推進するためには、平成27年3月末までに新計画を策定することが必要である。消費者庁及び消費者委員会の発足後2番目となる新計画を充実した内容とし、中長期的に消費者行政を強力に推進していくため、今般新たに盛り込まれた重点施策や消費者白書の内容等を踏まえつつ、新計画の策定に向けた基本的な考え方や進め方等についての検討を早期に開始されたい。


(2) より実質的かつ効果的な検証・評価のあり方の検討

 現行計画の最終年度となる来年度に行う計画の検証・評価作業は、現行計画による成果を総括し、新計画の策定に向けた検討を行う上で極めて重要となる。今般作成された「施策別整理表」の書式については、施策の実施状況の報告が主目的となっており、施策の成果や課題等についての検証・評価を行うためには必ずしも十分ではないと考えられることから、来年度の作業に向けて、より実質的かつ効果的な検証・評価を行うための手法について十分に検討されたい。

以上

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