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「健康食品の表示等の在り方」に関する考え方~健康食品の利用者アンケートの分析結果を踏まえて~

2012年6月5日
消費者委員会

1.はじめに

 消費者委員会(第一次)では、消費者庁からの「健康食品の表示の在り方」についての検討要請を受け、食品の専門家・研究者、事業者団体等の有識者へのヒアリングを行い、これを踏まえて「健康食品の表示の在り方」に関する中間整理をまとめ、平成23年8月に公表した。
 消費者委員会(第一次)での検討を受け、更なる検討を進めていくためには、「健康食品」の利用者である消費者の利用実態、健康食品に対する意識等を踏まえた、消費者目線からの検討を行うことが不可欠である。
 このため、消費者委員会(第二次)は、平成24年3月に健康食品の利用者10,000人に対して、その利用状況等に関するアンケートを実施し、それをもとに、利用者である消費者の利用状況、目的、満足度、サプリメントの利用状況等、を基礎に置きながら、「健康食品の表示等の在り方」に関して、一つの方向性を示すこととした。

 今回の消費者アンケートでも示されているように、4分の3の消費者が「健康食品」を利用している。今や「健康食品」は、消費者にとって、なじみが深く、関心の高い食品であり、政策的にも、重要な課題の一つといえる。
 「消費者基本計画」(注1)においては、消費者庁及び厚生労働省において、「健康食品に関して正しい情報を提供ができる体制の整備」について盛り込まれているなど、関係省庁においては、今後も、「健康食品」について検討が進められていくものと期待するが、本「「健康食品の表示等の在り方」に関する考え方」についても、十分参考にしながら、消費者目線での「健康食品」に関する行政の実施に努めてもらいたい。
 なお、消費者委員会としても、本「考え方」を踏まえ、必要に応じて関係省庁とも連携を図りつつ、消費者目線での健康食品の表示の在り方について、建議等に向けた具体的な議論を進めていく所存である。

 (注1)施策番号77「健康食品に関する消費者の理解の促進を図るため、健康食品に関して正しい情報を提供できる体制の整備を図ります。」



2.考え方の視点


(1)消費者が重視している「健康食品」の「効き目・有効性」について

 I 正確な情報の重要性

 消費者は、「健康食品」に対して「効き目・有効性」を重視している。これらについて、正確な情報が消費者に伝わることは、消費者にとって合理的な選択を行う上での基本的な前提というべきである。消費者に誤解を招くような、行き過ぎた表示、広告を行う事業者に対して適切に法執行を行うとともに、確実な情報源としての行政機関等の利用を促すべきである。

(考え方)
 アンケートにおいて、利用者は、健康食品に対して重視する点として「効き目・有効性」と回答した者が約5割であり、健康食品を購入する際の参考情報として、「機能性(効果・効能)」と回答した利用者が63%であった。消費者は、「健康食品」に対して、「効き目・有効性」を重視しており、これらについて正確な情報が消費者に伝わることは、消費者にとって合理的な選択を行う上での基本的な前提というべきであるといえる。
 実際、消費者が、健康食品の「効き目・有効性」について、正確な情報を持ち得ているかどうかは、健康食品の表示や広告等の実情にも大きく影響を受けるものである。
 今回のアンケートからも、約5割の者が「行き過ぎた宣伝・広告が目立つ」と回答しており、さらに、健康食品に対して不満を持っている者(健康食品の利用者の約4割)の約8割が、「期待したほどの効果がなかった」ことを不満の原因として挙げている。消費者に誤解をもたらすような、行き過ぎた表示や過剰な広告等が、健康食品への過大な期待を抱かせ、また不満を生み出している可能性は否定できないものでもある。
 消費者庁及び厚生労働省においては、健康食品等の表示や広告等を十分注視し、不適切な表示や広告を行う事業者に対して、違反の事実が認められる場合には、健康増進法(注2)や景品表示法(注3) 等による適切な法執行を行うことが重要である。

 また、健康食品に関する情報収集経路に関して、アンケートの結果、行政機関から情報収集していると回答したのは、1%程度であった。行政機関から得られる情報は、一般に公共性を有するものであり、機能性を含め健康食品に関しても消費者にとって目安となるべき有益な情報が多く含まれていると考えられるが、現状では、消費者が行政機関からの情報を十分活用しているとは言い難い。消費者庁及び厚生労働省は、ホームページ等による行政機関からの情報を充実させるとともに、その重要性を消費者に周知させ、確実な情報源としての行政機関の認知度・利用度の向上につとめることが重要である。

 (注2)健康増進法第32条の2、第32条の3
 (注3)景品表示法第4条、第6条~第9条


 II 既存の制度の活用

 消費者が、健康食品に「効き目・有効性」を重視し、消費者はある程度価格が高くなっても機能性表示を求める傾向がある。このようなニーズに応えるためには、特定保健用食品制度等の機能性食品に関する既存の制度を十分活用する視点も考えられる。

(考え方)
 上記でも述べたように、アンケート結果では、消費者は、健康食品に最も重視する事項等として、「効き目・有効性」と考えており、ある程度価格が高くなっても機能性表示をしてほしいと考えている消費者も6割に達している。
 現在、我が国では、機能性表示のできる食品としては、栄養機能食品と特定保健用食品がある。栄養機能食品とは、規格基準が定められた栄養成分(ビタミン、ミネラル)についてその機能を表示する食品である。一方、特定保健用食品とは、食品の持つ特定の保健の用途を表示して販売される食品であり、

  1. 「個別に許可された特定保健用食品」に加え、
  2. 「疾病リスク低減表示を認める特定保健用食品」、
  3. 「科学的根拠が蓄積された関与成分ついて、規格基準を定め、簡易な審査で許可する、規格基準型の特定保健用食品」、
  4. 「一定の有効性が確認された食品について、限定的な科学的根拠の表示を条件に許可した、条件付き特定保健用食品」
といった類型があり、制度としては充実してきているといえる。「機能性」表示に対する消費者のニーズに応えるためには、現在の制度を十分に活用して対応を行っていくことが自然であると考える。

 例えば、消費者庁は、海外の事例や実証研究を参考にしつつ、一定のエビデンス(科学的根拠)があるものについて、次のような事項について、追加の是非も含めた検討をすることも考えられる
  • 特定保健用食品:規格基準で認められている関与成分や疾病リスク低減表示として認められる事例
  • 栄養機能食品:規格基準で定められている栄養成分

 


(2)錠剤・カプセル型食品について

 多くの消費者が、錠剤・カプセル型食品(以下「サプリメント」という。)の摂取目安量を重視しており、さらに、複数種類の利用者が多いということに鑑み、表示の実態を踏まえ、消費者が摂取目安量について、確実に利用できるようにすることが重要である。

(考え方)
 サプリメントは、特定成分を濃縮・含有していることから、成分の過剰摂取による健康被害の発生が懸念されている。過剰摂取による健康被害等を防止するためには、摂取目安量表示は重要な役割を担うものと考えられる。
 アンケートの結果では、サプリメントの利用者の約9割が摂取目安量以下の量を利用しており、また、過半数の消費者がサプリメントへの摂取目安量表示の義務化を希望していた。消費者は、サプリメントに表示された摂取目安量を重視するとともに、これを遵守していることが窺われる。

 摂取目安量表示に関して、厚生労働省では、「「いわゆる健康食品」の摂取量及び摂取方法等の表示に関する指針について」(平成17年2月28日食安発第0228001号)において、「いわゆる健康食品が含有する成分に応じ、安全性試験データ、通常の食生活における当該食品の摂取量等科学的根拠に基づき設定した、一日当たりの摂取目安量を表示すべき」としている。
 アンケート調査では、「摂取目安量の表示がない」との回答が極めて少なかった(0.1%)ことから、概して摂取目安量の表示が行われている可能性が高いとも考えられるが、まずは、上記の厚生労働省通知に鑑み、消費者庁は、サプリメントに関する摂取目安量表示の実態を踏まえ、消費者がより確実に摂取目安量を認識して利用できるようにすることが重要である。

 なお、アンケート調査の結果、サプリメントの利用者の約6割が2種類以上のサプリメントを利用していた。厚生労働省通知においては、「摂取目安量の算出に際しては、いわゆる健康食品が含有する成分と同一の成分が他の食品によっても摂取されるケースや個人差も見込むこと」としているが、複数種類の利用者が多いことを踏まえると、消費者庁及び厚生労働省は、表示等において、サプリメントの複数種類の摂取によって同一成分の過剰摂取を引き起こす可能性についての注意喚起等を促すことが考えられる。



(3)医薬品との併用について

 健康食品の利用者の中には、医療機関から処方された医薬品も併用しており、その多くは、医薬品の処方に当たって医師等から健康食品の利用状況について安全性の確認を受けていない可能性がある。このため、医薬品の処方に際して、必要に応じて、患者に対して健康食品に関する注意喚起や情報提供を行うことが有益である。

(考え方)
 健康食品の中には、医薬品との間で相互作用(注4)が生ずることが懸念されている。消費者委員会(第一次)が日本医師会に対して行ったヒアリングにおいても、「患者が健康食品を摂取していることを伏せている場合は、相互作用の把握、原因究明に遅れがでる。」「患者に健康食品の摂取状況を尋ねたり、その健康被害リスクを説明したりすることも含め、かかりつけ医機能の推進が重要」等の指摘(注5)がなされている。

 アンケートをみると、健康食品の現在利用者のうち、約35%が健康食品と処方薬を併用しており、肥満・生活習慣病(その予備軍を含む)・アレルギー体質の者においては、約45%が処方薬と健康食品を併用している。また、医薬品の処方にあたり、健康食品の利用者のうち通院をしている者の約8割が「医師等から健康食品の利用状況に関する確認を受けていない」としている。
 多くの健康食品の利用者が医療関係者による安全性の確認を受けることなく健康食品と処方薬を安易に併用している可能性がある。
 このため、厚生労働省は、医師等が医薬品の処方に当たって、必要に応じて、患者に対して健康食品に関する注意喚起や情報提供を促すことが考えられる。

 (注4)複数の薬物を併用した場合に、薬効が減弱あるいは増強されたり、有害作用が起こること。(公益社団法人日本薬学会「薬学用語辞典」より抜粋)
 (注5)平成23年3月4日第49回消費者委員会における社団法人日本医師会石川常任理事の指摘。



(4)消費者からの情報の集約について

 健康被害が疑われるトラブルが発生した際、消費者からの通報先が散らばっていたり、あるいは、そもそも通報しておらず、被害情報が散逸・潜在している可能性がある。このため、健康食品による健康被害(健康被害が疑われる事案も含む)に係る苦情処理を保健所で受け付けていることを消費者に周知するともに、消費者や製造業者等から保健所への情報の集約を促すことが重要である。

(考え方)
 健康食品による健康被害が発生した場合、被害情報を迅速に把握することが不可欠である。健康被害(疑われる場合も含む)の情報を消費者はどこに通報しているのか、アンケートの結果を見ると、その通報先としては、医療機関(診療含む)15%、保健所1.0%、メーカー6.3%、購入先5.2%となっていた。保健所への通報が少なく、通報先が散在している。また、健康被害が疑われるトラブルを経験した者の約7割が、相談・通報しようと思わなかった、又は、通報先が不明であったと回答したことから、健康被害が疑われるトラブルに関する情報は多くが潜在している可能性も考えられる。

 厚生労働省は、「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領について」(平成14年10月4日医薬発第1004001号)において、「都道府県等が、住民に対して、健康食品等による健康被害に係る苦情相談を保健所で受け付けていることを住民に周知することにより、健康被害が疑われる場合の保健所に対する早期の申し出を促す」としている。
 また、食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)(平成16年2月27日食安発第0227012号)において、「食品の製造、輸入又は販売等を行う者は、製造、加工又は輸入した食品等に関する消費者からの健康被害(医師の診断を受け、当該症状が製造等した食品等に起因する又はその疑いがあると診断されたもの)及び食品衛生法に違反する食品等に関する情報について、保健所等へ速やかに報告する」としている。
 以上を踏まえ、厚生労働省は、健康食品による健康被害(健康被害が疑われる事案も含む)に係る苦情を保健所で受け付けていることを消費者に周知するとともに、消費者や製造業者等からの情報を保健所が集約するよう促すことが重要である。
 なお、消費者の安全の確保や同種の被害の防止のため、消費者に対する適時適切な注意喚起が行われるよう、消費者庁及び厚生労働省の連携した取組が望まれる。

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