公益通報者保護制度の見直しについての意見

2011年3月11日
消費者委員会

 公益通報者保護法(以下「本法」)附則第2条を受けて、公益通報者保護専門調査会を設置し、法施行後5年という節目にあわせて限られた時間の中で、8回にわたる審議を行った。同専門調査会では、別紙のとおり「政府に求められる事項」を含め、報告をとりまとめた。なお、本報告公表後、消費者委員会には、弁護士会や公益通報事案当事者等から、法改正の必要を示唆する複数の意見が寄せられている。
 本法の附帯決議において、制度の見直しに係る具体的検討項目を指摘しているものの、現状においては見直しのための十分な調査が行われているとは言えない。

 このため、消費者委員会としては、本法を所管する消費者庁に対して、「政府に求められる事項」に関し早急に検討を行うことを求めるとともに、とりわけ5項目の内、法や通報処理制度の実態の把握に関する事項(注1)については、法の運用、適用、遵守状況も含め、以下の観点から充実した調査を行うことを求める。
  1. 労働相談窓口、労働委員会、裁判所、弁護士会、行政機関、マスコミ、公益通報事案の当事者から、労働相談・労働紛争・労働裁判等の中に存在する、公益通報に関連する紛争の実情・実態を調査し、傾向・問題点を洗い出すこと。
  2. また、公益通報者保護の法制度の周知が進まない原因をさらに調査探索すること。
 今後、消費者委員会は、本意見を踏まえた対応状況について適宜報告を求めるものとする。

 なお、本法の目的である法令遵守の促進を図るためにも、公益通報者保護制度の充実を図る視点に加え、本制度以外の法制度・仕組みも充実させ、総合的に体制を構築しつつ事業者や行政の意識も改革していくことが重要である。



(注1)「法や通報処理制度の実態について、アンケート調査にとどまらずきめ細やかな調査を行い、労働関係法令以外の法令に違反する事実を内容とする公益通報が少ない要因、労働者への周知、中小規模の事業者や行政機関における普及が進まない具体的原因、法改正を必要とする課題の有無等を把握すべきである。」