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決済代行業者を経由したクレジットカード決済によるインターネット取引の被害対策に関する提言

2010年10月22日
消費者委員会

1.はじめに

近年、インターネットによる各種取引に関する消費者被害が増加傾向にあり、中でも、いわゆる「決済代行業者」を経由したクレジットカード決済による被害は、関係事業者が海外に存在する場合が多いこともあって、解決が困難であるとされている。
「2009年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要」(平成22年8月4日 独立行政法人国民生活センター)によれば、平成21年度の消費生活相談(899,433件)のうち、販売方法・手口について最も多かったのが「インターネット通販」(131,166件)であり、その主な商品・役務としては、アダルト情報サイト(33.0%)・デジタルコンテンツその他(26.8%)・出会い系サイト(19.1%)等が挙げられている。これらの相談の内容としては、「利用した覚えのないサイトから利用料を請求された」「無料サイトのはずなのに料金の請求を受け、不審に思うも支払ったところ、その後は一切利用していないにもかかわらず倍額の請求を受けた」等がみられるところである。
これらの事例では、下記2.のとおり、国内のクレジットカード会社や国内の決済代行業者の審査で通常排除されるべき悪質なネット事業者が、海外のクレジットカード会社等の加盟店である決済代行業者を経由して、商品代金・利用料金などを消費者に請求しているケースが多い。
消費者委員会は、今後のインターネット取引の増大に鑑みて、これらの被害を抑止し、被害救済の実効性を上げることが重要と考え、関係省庁において以下のような対策をとることを提言する。

2.深刻な被害の実情

インターネット上の通信販売事業者(以下「ネット事業者」という。)が、消費者との間でクレジットカード決済を利用する場合には、一般に、ネット事業者が国内の包括信用購入あっせん関係立替払取次業者(加盟店側クレジットカード会社等、以下「アクワイアラー」という。)の加盟店となり、国内の包括信用購入あっせん業者(会員側クレジットカード発行会社、以下「イシュアー」という。)を経由して、商品代金・利用料金を消費者に請求しており、この場合は、問題となる事例は少ないとされる(「図1」参照)。

(図1)
インターネット通販におけるクレジットカード決済のパターンの例1
(ネット事業者(国内)がカード会社(国内)の直接の加盟店である場合)

図1インターネット通販におけるクレジットカード決済のパターンの例1(ネット事業者(国内)がカード会社(国内)の直接の加盟店である場合)

※イシュアーとアクワイアラーが同じカード会社である場合や、アクワイアラーとネット事業者の間に国内の決済代行業者が介在する場合もある。

他方、国内のアクワイアラーや国内の決済代行業者の審査で通常排除されるべき悪質なネット事業者が、海外のアクワイアラーの加盟店である決済代行業者を経由して、商品代金・利用料金などを消費者に請求する取引に関する問題事例が、近年目立って増加している(「図2」参照)。

(図2)
インターネット通販におけるクレジットカード決済のパターンの例2
(決済代行業者がカード会社(海外)の直接の加盟店となり、ネット事業者(国内)が当該決済代行業者に決済業務等の代行を依頼している場合)

図2インターネット通販におけるクレジットカード決済のパターンの例2(決済代行業者がカード会社(海外)の直接の加盟店となり、ネット事業者(国内)が当該決済代行業者に決済業務等の代行を依頼している場合)

上記のような問題事例では、ネット事業者が、商品代金・利用料金について十分な表示をせずに高額な料金を請求するような欺瞞的な事例も多い。このような場合、以下のような問題が生じている。
(1)消費者がイシュアーに苦情を申し立てても、イシュアーとネット事業者との間には直接の契約関係はなく、海外アクワイアラーや決済代行業者を経由した交渉は難航することが多い。
(2)消費者がネット事業者に苦情を申し立てようとしても連絡がつかず、他方、カード決済を取り消そうとして決済代行業者に連絡しようとしても連絡先が分からないことも多い。

3.求められる対策

(1)被害事例及び決済代行業者の実態把握
現在のところ、決済代行業者を経由したインターネット取引の被害については、取引内容、決済に関与する事業者、契約内容等の実態が、必ずしも明らかになっていない。消費者が自分が行ったインターネット取引に決済代行業者が関与したことさえ認識していないこともその理由の1つと考えられる。
したがって、まずこれらの取引実態について十分な調査を実施する必要がある。

(2)より厳正な処分及び消費者への注意喚起
インターネット取引被害の解消にあたっては、商品代金等について十分な表示をしないなどの不当表示を行う悪質なネット事業者に対する特定商取引法や景品表示法等に基づく当局による処分・摘発等の一層の強化を図る必要がある。また、消費者への注意喚起を促すより充実した広報を行う必要がある。

(3)通信販売業者による決済代行業者に係る表示の義務付け
現在、問題となっている事例の多くでは、ネット事業者の表示する決済に関する画面上、決済代行業者が決済取引に介在していることや当該事業者の連絡先が明示されていないため、上記2.のとおり、被害救済が困難になっている。
したがって、特定商取引法の規定を見直し、通信販売業者の表示義務事項として、決済代行業者を経由した決済である旨や当該事業者の連絡先などを追加する措置を講じることが必要である。

(4)その他必要な制度改正に向けた検討
上記2.のとおり、決済代行業者を経由したクレジットカード決済によるインターネット取引の被害は、海外のアクワイアラー及びその加盟店である決済代行業者を経由した取引であることが多く、現行法の厳正な運用のみでは、十分な被害救済が実現できないと考えられる。
したがって、関連法令の見直しの検討や、海外アクワイアラー等の関係事業者間での紛争処理のルールの見直しに関する海外への働きかけ等、どのような対応が必要かつ効果的であるのか、あらゆる対応を検討すべきである。

以上

提言の概要

  1. 被害実例及び決済代行業者の実態把握
  2. より厳正な処分及び消費者への注意喚起
  3. 通信販売業者による決済代行業者に係る表示の義務付け
  4. その他必要な制度改正に向けた検討(関連法令の見直しの検討・海外の加盟店側カード会社等の関係事業者間での紛争処理のルールの見直しに関する海外への働きかけ等)

主な成果

  • 決済代行業者を経由した出会い系サイトにおけるインターネット取引の実態調査、及びクレジットカードに係る決済代行業者を介在した取引の苦情相談の内容分析を実施(2010年11~12月)。
  • 実態調査等の結果も踏まえ、「インターネット消費者取引研究会」取りまとめ(2011年3月)において、詐欺的なサイトへの厳格な法執行・警察との連携強化、消費者への啓発、決済代行業者の登録制度の導入など、具体的な取組を提示。2011年7月からは「インターネット消費者取引連絡会」を設置し、インターネット取引をめぐる最近の課題について関係行政機関や事業者団体等で情報を共有して対策を検討。
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