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未公開株等投資詐欺被害対策について(提言)

2010年4月9日
消費者委員会

1.深刻な被害の実情

 未公開株やファンド等の実質的に無価値な金融商品を電話や戸別訪問によって売りつけられる高齢者等の被害が増大している。しかも、被害者本人が、自分の被害に気付くのが遅れがちであり、事業者は一定の利得を得てクレームが目立ってくると解散して連絡さえとれなくなるため、被害回復が困難なことが多い。
 代表的な手口は、第1に、金融商品取引法に基づく取引業者としての登録をしていない事業者(無登録事業者)が、未公開株が近く上場されて値上がりまちがいないなどと虚偽の事実を述べて売りつける。第2に、自社の株や転換社債などを、確実な高利回りを保証するなどと称して販売する。しかも、50口未満の販売であれば金融商品取引法の法規制を受けないことから、この規制の抜け穴を巧妙に悪用する手口が目立っている。第3に、ある事業者が高齢者等に電話をかけ、後で別の事業者が売りつけることとなる株や社債が優良だからもし持っているならぜひ買いたいなどと購買をあおる劇場型の手口が蔓延している。

2.求められる対策

 消費者委員会では、関係庁等へのヒヤリングや委員の調査、討議を経て、これらの被害を抑止し、被害救済の実効性をあげるため、以下のような対策をとることを提言し、今後その実現のため関係省庁の協力を求めていくこととする。

(1)被害救済を迅速に進めるための民事ルールの整備
 被害にあった消費者が事業者に支払った代金の返還の交渉をするにあたって、現状では、公序良俗違反による無効、錯誤による無効、詐欺による取消し、不実告知による取消し、断定的判断の提供による取消しといった民法ないし消費者契約法の一般法理を援用するしかない。これらの法理を積極的に援用する努力はなお必要であるが、他方で、事業者側として様々な理由を付けて法理の適用を回避し、返金を先延ばしにしたり、拒否することもできるものであるために、迅速な被害救済交渉が難しい。また、相談員による消費生活センターでの効果的救済には活用しにくい。このため、判断の容易な民事ルールの導入による解決の促進が必要であり、そのための法整備が求められる。
 まず、無登録事業者が業として不特定又は多数の消費者に金融商品を販売する行為について、これを無効もしくは取り消すことができる旨を定めることを検討すべきである。具体的には、現行の金融商品販売法等関連法に当該趣旨にかかる規定の導入あるいはそのための新規立法が考えられる。
 また、自社株等の販売に対するクーリングオフ等を可能とするために、特定商取引法の適用対象を広げることを検討すべきである。同法では、平成20年の改正により指定商品・指定役務制が廃止されたが、「商品」概念は、改正前の法律の「物品」概念を置き換えたものであり、形のある物品と形のない金融商品について、別々の所管省庁の下で別個の法律を適用するという縦割り行政を引きずっている。一般消費者に向き合う消費者庁にふさわしく、既存の所管省庁にとらわれず幅広く適用可能な特定商取引法に変えていくことを検討すべきである。

(2)違法行為に対する抑止効果のある制裁措置の検討・導入
 違法行為を抑止するという観点から見た場合、無登録事業者の金融商品販売行為に関わる現行金融商品取引法の罰則には実効性があるとは言い難いのが実情である。そこで、罰則については法定刑の見直し、さらに罰則以外のより効果的な制裁措置についても検討し、その導入を図るべきである。

(3)効果的な行政対応
 現在の金融商品取引法は、登録事業者のみを金融商品取引業者として行政規制の対象としているが、高額被害の多発に鑑み、無登録事業者についてもより効果的な行政対応ができるよう措置を講じるべきである。例えば、悪質な無登録事業者に関する情報を収集し、事業者名も含めて早期に公表することや、無登録事業者に関しても、裁判所に対する行為の禁止又は停止の命令の申立て制度を積極的に活用することが必要であり、その前提となる調査のための処分を積極的に行うことが必要である。
 また、不特定又は多数の自社株や私募債の発行、販売を行う者については、金融商品取引法に基づく企業情報等の開示規制を実効的に運用することが必要である。

 以上に掲げたもののほか、関係当局による取締りの強化や、高齢者等に対する効果的な注意喚起や被害相談のあり方については、関係省庁においてなお一層の努力、工夫を行うよう強く求める。
 また、中期的には、被害の未然防止のために、すでに一部の金融商品について定められている不招請勧誘の禁止を未公開株等にも拡張することや、被害回復と被害抑止の実効性を高めるための方策としての集団被害救済・不当利益はく奪のための法整備を進めることが必要である。

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